ゼロ魔SS投稿掲示板




No.7277の一覧
[0] ケティ・ド・ラ・ロッタの事も、時々思い出してあげてください(ケティに転生)[灰色](2010/10/04 10:30)
[1] プロローグ[灰色](2009/05/07 01:14)
[2] 第一話 クラッシュできないフラグもあるのです[灰色](2009/07/02 19:17)
[3] 第二話 貴族の矜持はそういう所で発揮しない方が良いのです[灰色](2009/11/22 01:19)
[4] 第三話 引き際は重要なのです[灰色](2009/10/25 15:10)
[5] 第四話 思わぬ失態と収穫なのです[灰色](2009/11/22 01:22)
[6] 第五話 人を呪わば穴二つなのです[灰色](2009/04/13 23:59)
[7] 第六話 決戦に挑むは後の勇者たちなのです[灰色](2014/05/14 22:52)
[8]  番外編 ハーレム願望も程々にして欲しいのです[灰色](2009/11/22 01:29)
[9] 第七話 男はアホな生き物なのです[灰色](2009/10/31 23:38)
[10] 第八話 格好つかない日もあるのです[灰色](2009/10/25 15:11)
[11] 第九話 これが青春だ!なのです[灰色](2009/11/22 01:30)
[12] 第十話 男心も乙女心も複雑なのです[灰色](2009/04/14 00:01)
[13] 第十一話 気付けば矢面なのです[灰色](2009/05/17 15:13)
[14] 第十二話 介入し過ぎたのかもしれないのです[灰色](2009/04/24 09:58)
[15] 第十三話 裏切りとか、壮絶な最期とか、油断とか、なのです[灰色](2009/04/25 17:31)
[16]  プレ編01 杖と契約するまで[灰色](2009/05/17 15:13)
[17] 第十四話 嵐の合間の静けさなのです[灰色](2009/11/22 01:31)
[18] 第十五話 ファンタジーといえばクエストなのです[灰色](2009/05/17 15:12)
[19] 第十六話 ついて来る人来ない人なのです[灰色](2009/05/23 11:04)
[20] 第十七話 でっち上げ傭兵団、旗揚げなのです[灰色](2009/11/22 01:32)
[21] 第十八話 往くぞ空の彼方まで!なのです[灰色](2009/05/29 17:05)
[22] 第十九話 男と女のエトセトラ、メカもあるのです[灰色](2009/11/22 01:32)
[23]  幕間19.1 トリステイン空軍の意地[灰色](2010/02/25 00:03)
[24] 第二十話 そして少年と少女は背景になった…なのです[灰色](2009/11/22 01:27)
[25] 第二十一話 姫様がはっちゃけ過ぎなのです[灰色](2009/07/12 11:32)
[26] 第二十二話 媚薬なんか作るからこんな事になるのです[灰色](2010/02/22 10:03)
[27] 第二十三話 羞恥心と後悔で死ねそうなのです[灰色](2009/09/08 21:57)
[28]  幕間23.1 女王誘拐[灰色](2010/02/25 00:03)
[29] 第二十四話 絶対に叶わない恋のお話なのです[灰色](2009/10/30 06:59)
[30]  幕間24.1 トリステイン銃士隊&約束を履行したりさせられたり[灰色](2010/03/10 18:34)
[31] 第二十五話 勤労精神と格差とガンマニアなのです[灰色](2010/02/22 10:04)
[32]  幕間25.1 艦隊再建[灰色](2010/02/25 00:04)
[33] 第二十六話 酒場にまつわるエトセトラなのです[灰色](2010/02/22 10:05)
[34] 第二十七話 何事も計画的に程々に、なのです[灰色](2009/10/30 07:01)
[35]  幕間27.1 探す人、あるいは貧乏人達の夜&微熱と熱風の憂鬱[灰色](2010/03/10 18:30)
[36] 第二十八話 諦めた方が幸せな事もあるのです[灰色](2009/10/25 15:09)
[37]  幕間28.1 お買い物デートっぽい何かと女王の憂鬱[灰色](2010/03/10 18:44)
[38] 第二十九話 仕掛けは済んだ、後は…なのです[灰色](2010/09/25 01:44)
[39]  幕間29.1 王女と剣士の少年[灰色](2010/03/10 18:52)
[40] 第三十話 少し気まずい決着…なのです[灰色](2010/02/22 10:09)
[41]  幕間30.1 演歌は心で歌うもの そして、例のアレ[灰色](2010/02/25 00:07)
[42]  番外編 タバサの冒険・ケティの物見遊山01 [灰色](2010/11/01 10:27)
[43]  番外編 タバサの冒険・ケティの物見遊山02[灰色](2010/11/04 07:35)
[44]  番外編 タバサの冒険・ケティの物見遊山03[灰色](2010/11/04 21:36)
[45]  番外編 タバサの冒険・ケティの物見遊山04[灰色](2010/11/08 23:16)
[46]  番外編 タバサの冒険・ケティの物見遊山05[灰色](2010/11/19 22:08)
[47] 第三十一話 やっぱり男は必要なのです[灰色](2010/02/22 10:11)
[48]  幕間31.1 スイーツとビター[灰色](2010/02/25 16:55)
[49] 第三十二話 美容の為に命を懸けるのです(加筆修正+幕間部分を試験的に追加)[灰色](2010/03/10 18:57)
[50] 第三十三話 人間なので、間違えることも多々あるのです[灰色](2010/03/19 22:54)
[51] 第三十四話 ハードラックとダンスっちまった…なのです。[灰色](2010/05/08 06:59)
[52]  幕間34.1 舞台裏…って、裏とか言うな! ※ゴム存在に改定※[灰色](2010/05/19 10:20)
[53] 第三十五話 前半分は思い出したくも無いのです[灰色](2010/05/26 23:10)
[54]  幕間 35.1 ダータルネスの大艦隊[灰色](2010/05/30 15:46)
[55] 第三十六話 とんでもない事実なのです[灰色](2010/08/11 18:11)
[56] 第三十七話 才人はお酒を飲まない方が良いと思うのです[灰色](2010/06/19 00:40)
[57]  幕間37.1 漆黒の女王、情熱の娘[灰色](2010/07/01 06:57)
[58] 第三十八話 ジュリオに始まりジュリオに終わるのです[灰色](2010/07/15 21:45)
[59] 第三十九話 勝ったのに御通夜みたいなのです[灰色](2011/04/20 21:37)
[60] 第四十話 勝敗は兵家の常なのです[灰色](2010/08/11 21:17)
[61] 第四十一話 たった三人の撤退戦なのです[灰色](2010/08/19 20:14)
[62]  幕間41.1 血塗れの真紅の悪魔[灰色](2010/08/22 05:55)
[63] 第四十二話 泣いている暇なんて無いのです。[灰色](2010/09/11 08:53)
[64]  幕間42.1 よくコケる王様[灰色](2010/09/16 22:12)
[65]  幕間42.2 怪力娘と真っ黒王女[灰色](2010/09/29 10:22)
[66] 第四十三話 いいモノ持ってんじゃねえか?なのです[灰色](2011/04/20 21:37)
[67] 第四十四話 砲兵は戦場の神なのです[灰色](2010/10/11 15:56)
[68] 第四十五話 ウエストウッド村要塞化なのです[灰色](2010/10/19 11:50)
[69]  幕間45.1 青髪の王と可哀想な使い魔[灰色](2010/10/21 22:53)
[70] 第四十六話 骨の髄までしゃぶり尽くされるのが英雄なのです[灰色](2010/10/30 19:12)
[71] 第四十七話 飾って眺めるのです[灰色](2014/05/14 22:49)
[72]  幕間47.1 無茶振り女王とガンマニア娘[灰色](2010/12/09 00:06)
[73] 第四十八話 ああ!窓に!窓に!なのです[灰色](2010/12/17 12:04)
[74] 第四十九話 平和な時ほど物騒なのです[灰色](2011/01/11 07:06)
[75]  幕間49.1 よく考えてみれば新年度だったのです [灰色](2011/01/11 07:06)
[76]  幕間49.2 忘れてなんかいないヨ、本当ダヨ?[灰色](2011/01/14 10:03)
[77] 第五十話 未練たらたらなのです[灰色](2011/01/29 09:34)
[78]  番外編 チョコ無き世界のバレンタインデー[灰色](2011/02/14 10:22)
[79] 第五十一話 平行世界は色々あるのです[灰色](2011/02/25 01:05)
[80]  幕間51.1 タバサに関わる色々なもの 1[灰色](2011/04/21 07:55)
[81]  幕間51.2 タバサに関わる色々なもの 2 (若干追加)[灰色](2011/04/23 14:53)
[82]  幕間51.3 タバサに関わる色々なもの 3[灰色](2011/07/09 12:04)
[83]  幕間51.4 タバサに関わる色々なもの 4 (加筆修正)[灰色](2011/09/06 19:16)
[84]  幕間51.5 タバサに関わる色々なもの 5[灰色](2011/09/19 15:05)
[85]  幕間51.6 タバサに関わる色々なもの 6[灰色](2011/10/01 00:40)
[86] 第五十二話 久しぶりにのんびりまったりと…エロ話なのです[灰色](2012/05/29 21:55)
[87] 第五十三話 さあ、作戦を始めよう…なのです[灰色](2012/05/18 23:42)
[88] 第五十四話 霧とともに舞い降りるのです[灰色](2012/05/29 21:29)
[89]  幕間54.1 エルフとタバサ、そしてとある物語[灰色](2012/08/03 10:27)
[90] 第五十五話 悲しいけど、これって潜入任務なのよね!なのです[灰色](2012/09/25 20:17)
[91]  超番外編01 てりやきバーガーが食べたい[灰色](2012/11/04 07:57)
[92]  超番外編02 豆チョコ戦車、それは愛[灰色](2013/02/16 19:53)
[93]  幕間55.1 タバサの願う事[灰色](2013/04/24 19:03)
[94] 第五十六話 なるべくなら戦わずに勝ちたいものなのです[灰色](2013/05/26 19:58)
[95] 第五十七話 取り敢えずは逃げるのみなのです[灰色](2013/06/24 01:13)
[96]  幕間57.1 門を開放するまで / ガリアの変な面々[灰色](2013/06/24 20:22)
[97]  突発座談会 そんな名の罰ゲェム[灰色](2013/06/30 00:31)
[98] 第五十八話 人生初のゲルマニアなのです[灰色](2013/08/31 19:16)
[99]  幕間58.1 時の迷子マリー[灰色](2013/08/31 10:24)
[100] 第五十九話 秘密にし続けるのは無理なのです[灰色](2013/10/09 09:11)
[101]  超番外編03 This Is Halloween[灰色](2013/11/01 21:59)
[102] 第六十話 私は見守っていますよ。見守るだけですが、なのです[灰色](2013/11/04 23:47)
[103]  幕間60.1 鬼の居ぬ間に鬼が居る[灰色](2013/12/19 22:26)
[104]  幕間60.2 ケティの居ない学園アレコレ[灰色](2014/01/26 23:42)
[105] 第六十一話 久々の学院なのです[灰色](2014/05/05 07:25)
[106] 第六十二話  ロマリアの光と影なのです[灰色](2014/09/09 18:12)
[107]  タバサの冒険編 タバサとケティとついでに吸血鬼01[灰色](2014/08/06 19:03)
[108]  タバサの冒険編 タバサとケティとついでに吸血鬼02[灰色](2014/10/31 22:51)
[109]  タバサの冒険編 タバサとケティとついでに吸血鬼03[灰色](2015/02/24 20:03)
[110] 第六十三話  武器、治療。そして教皇あらわる。なのです[灰色](2016/01/03 00:15)
[111] 第六十四話 教皇との面倒臭い話なのです[灰色](2017/03/19 01:19)
[112] 第六十五話 私の弱点などどうでも良いのです[灰色](2017/05/26 20:55)
[113] 第六十六話 3度目のアルビオンなのです[灰色](2020/07/16 00:30)
[114] 第六十七話 知っていても話せないのです[灰色](2020/07/16 00:52)
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[7277] 第五話 人を呪わば穴二つなのです
Name: 灰色◆a97e7866 ID:79909f1c 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/04/13 23:59
ドツボというものは思わぬところにあるものです
己の所業は巡り巡って最悪の時にこそ返ってくるものです

ドツボに嵌ったらもう手も足も出ません
今回の情けなさを私は一生忘れないでしょう

ドツボから脱出するには誰かの手を借りなければいけません
自分では絶対に脱出できないものなのです





「ダーリン、ダーリン、貴方の愛しいキュルケが来たわよ、ドアを開けて。」

「煩い!この万年発情期女!
 とっとと自分の部屋に帰って一人で盛ってなさい!」

ルイズの部屋の前で、キュルケがノックしていますが、案の定ドアは開きません。
キュルケたちになんとなくついてきたら、案の定ルイズの部屋の前でした。
ジゼル姉さまは私とは既に別れて帰っています。


「アンロック。」

アンロックの使用は学則で禁止されているのですが…そんな事をキュルケに言っても無駄ですか、そうですか。


「私の愛と情熱の前に、鍵など存在しないわ!
 さあダーリン、私の愛を受け取ってもらいに来たわよ。」

「いきなりアンロックとか何考えてんのよ、この万年はつじょ…うゎきゃ!」

キュルケを止めようとしたルイズでしたが、顔がキュルケの胸の谷間に埋まってしまうだけでした。


「ムー!モガモガ!」

「あらヴァリエール、何をやっているの?」

キュルケの胸の谷間でもがいているルイズをキュルケは不思議そうに眺めています。


「ぷは!私が止めているのにあんたが気にせず進んでくるから、あんたのその不愉快な塊に埋まっちゃったのよ!」

少し苦しかったようで、ルイズの顔が真っ赤になっています。


「あら災難だったわね、ヴァリエール。
 そんなことよりもダーリン、愛しい貴方にプレゼントよ!」

「なななっ、その剣は!?」

キュルケが包装を解いて取り出したのは、装飾過多な大剣です。


「これこそはゲルマニアの錬金の名手、シュペー卿が作った…。」

「…あ、これは式典儀礼用の装飾宝剣なのですね。」

ぴたっと、キュルケの動きが止まりました。


「…し、式典儀礼用の装飾宝剣?」

「はい、基本的には我々貴族が、大きな式典などで使う装飾宝杖と一緒のものなのです。
 装飾宝杖を実用する杖として使用する人が滅多に居ないように、式典の権威付けなどに使うのですから、剣としての性能は大抵二の次三の次になっているのです。
 たぶん平民中心の傭兵団などが、団の権威付けとして飾りに使うものではないでしょうか?
 そもそも、このような宝石やら金細工やら螺鈿やらがごちゃごちゃと貼り付けられた剣で戦いにおもむく人は、あまりいないと思うのですよ。」

まあメイジは剣は完全に門外漢ですから、知らなくて当たり前なのですが、キュルケには少し可哀想な事をしてしまったかもしれません。


「つまり、この剣は見掛けだけ立派なガラクタだってこと?」

「いいえ、本当にシュペー卿の作であれば、剣としての実用にも耐え得るでしょう。
 ただし、実用品とするならば装飾は全部剥がした方が良いと思われるのです。」

螺鈿に使われている貝くらいならとにかく、戦闘中に金細工や宝石が剥がれ落ちていったりしたら、物凄く勿体無いのです。

 
「ぎゃははは!言うじゃねえか娘っ子、気に入ったぜ。
 その通り、剣は斬ってなんぼ、頑丈でなんぼだ。
 飾りがついたチャラチャラした剣なんかで戦えるわけがねえ。」

ルイズの部屋に立てかけてある剣が、いきなりしゃべり始めました。
あれがデルフリンガーなのですか。


「あなたはインテリジェンスソードなのですか?」

「おう、インテリジェンスソードのデルフリンガー様だ、よく覚えておけ!」

デルフリンガーの鍔がカチャカチャ動き、声を発します。


「デルフリンガーというのですね、今後ともよしなに。
 ちなみに装飾云々言っていましたが、喋るなんて宝石よりも無駄機能なのです。
 喋ったからといって、切れ味が上がるわけでも頑丈になるわけでもないのですよ。」

「がーん、がーん、がーん…。
 俺様の存在が、無駄…無駄…無駄…。」

アイデンティティーを否定されたデルフリンガーは、そのまま静かになりました。


「うわ、ひでえ…。」

「あなた鬼ね、ケティ…。」

何故か才人とキュルケから非難の視線が。
まあ、投げっぱなしも可哀想ですから、フォローはしておきますか。


「まあ、インテリジェンスソードは大抵色々な魔法が付与されていますから、インテリジェンスソードに与えられた機能はその取扱説明書みたいなものなのです。
 孤独な夜の話し相手にもなってくれますし、まったくの無駄かといえばそうでないような気もするのです。」

「え?この剣魔法が付与されているの?
 ひょっとしてすごい当たりを引いたのかしら!」

ルイズが目を輝かせ始めます。


「はい、おそらくは2種類以上の魔法が付与されているものと思われるのです。」

「わわ凄い!ねえデルフリンガー、あなた何か特殊な機能はあるのかしら?」

おお、ルイズの瞳がきらきらしていますね、これでキュルケの鼻っ柱をへし折ろうとしているのでしょうか?


「おう良く聞いてくれた!そうよ、その通りよ、俺の機能は無駄なんかじゃねえ!
 やいそこの娘っ子、さっきは散々な事言ってくれやがったな!
 俺はすげえんだよく聞きやがれ!俺は…俺はな…お…れ…は…?」

「おれはなに?どういう機能があるの!?」

ああルイズ、今のあなたは最高に輝いていますよ。


「すまん…忘れちまった。」

『ズコーッ!』

私以外の皆が、盛大にずっこけました。
タバサも本を読んだ体勢のまま、床に倒れています。
本読みながらもこっそり聞いていたのですね、ああなんてラブリー。


「ああああああんたね、わわわわ忘れたですって、わわ忘れたですって!
 せせ説明書の癖に、せせせ説明書の癖に忘れたですって!?
 ふふふふざけんじゃないわよこの駄剣!駄剣!駄剣!駄剣!!
 何なのよこの無駄機能!」

「ま、待て娘っ子、忘れているだけで思い出すから、何とか頑張って思い出すから蹴らないで踏んづけないで、ぎゃー!」

ルイズが物凄い形相で、デルフリンガーを何度も何度も踏みつけています。


「まあまあ、落ち着いてくださいミス・ヴァリエール。
 デルフリンガーも必死に思い出そうとするでしょうから、そのうちこの剣の機能は見つかると思われるのですよ。」

「嫌よ、せっかく機能があるのに使えないなんて、そんなの宝の持ち腐れじゃない。
 ケティだった?あんた剣に詳しいみたいだけど、何か良い考えは無いの?」

このままだと本当に壊されそうなのでルイズを止めたら、思わぬ事を聞かれてしまいました。
私の不用意な一言で才人がどちらの剣を選ぶかのイベントが無くなってしまったので、まあ渡りに船ではあるのです。


「…そうですね、この手の魔剣には結構な確率で魔法を無効化する機能が備わっているのです。
 本来こういうものはメイジ殺しが持つべきものなのですから。」

平民出身の傭兵の中には、己の技量のみでメイジに効し得る『メイジ殺し』と呼ばれる人達が居ます。
そういう人達の中にはメイジの魔法を無効化する魔法が付与された武具を身に纏っている人も少なくないそうなのです。


「それはすばらしいわ、ぜひとも試してみなくちゃ。」

「そのボロ剣がねぇ…。」

デルフリンガーを抱えて目を輝かせるルイズを、キュルケが当惑した表情で見つめています。


「部屋の中で攻撃魔法を使うのは流石に危ないですから、外で実験してみるのですよ。」

「あら、それは名案ね。」

ルイズは笑顔で満足そうに頷いたのでした。





「ほ、本当にやるのか?」

本塔に吊るされたデルフリンガーが強張った声で聞いてきます。


「もちろんやるのですよ。
 それとも、ミス・ヴァリエールに蹴り壊されたいのですか?」

「どっちも嫌ってのは駄目か?」

ちなみに私はレビテーションで浮きながら、彼(?)を紐で釣り下げている最中なのです。


「あなたはミス・ヴァリエールの所有物ですから、そもそも選択権など無いのですよ。
 彼女の決定に従い、己の運命を黙って受け入れるのみなのです。」

「な…なんてこった、こんなに己の身が動けない剣であることを呪った事はねえぜ…。」

デルフリンガーは観念したのか、落ち込んだ声でボヤいています


「始祖プリミルに祈っておいてあげます。
 死後もあなたの魂が安らかでありますよう…。」

「何それ、おれ死ぬの!?死ぬ事前提なの!?」

おお、元気になったのです。


「冗談ですよ、たぶん大丈夫です、たぶん。
 あなたはたぶん魔法無効化能力を持っていますよ、たぶん。
 持っていなかったら私かミス・ツェルプストーの炎で跡形も無く溶けますが、たぶんあなたなら大丈夫です、たぶん。」

「滅茶苦茶『たぶん』を多用していませんか?
 何でおれから目を逸らすのですか?
 ぜんっぜんおれが大丈夫だと思っていねえなコンチクショー!」

まあデルフリンガーで遊ぶのはこれくらいにしておきましょう。


「では、頑張ってくださいね。」

「何を頑張れってんだ、どう頑張れってんだ、おれはただ吊るされているだけじゃねえか!
 畜生、もしも死んだら呪ってやる、化けて出てやるからな!」

さて、デルフリンガーには早めに覚醒してもらうとしますか。


「さあ、ちゃちゃっとやってしまいましょう。
 もう夜も遅いですし、私も早く寝たいのです。
 ではミス・ツェルプストー、間違えて宝剣を買ってしまった遣る瀬無さをあの剣に思う存分ぶつけてやってください。」

「やめろー!やめてくれぇ!おれはまだ死にたくねえよぉ!」

何という処刑シーン。
彼を吊るした私は、どう見ても悪役なのですね。


「あ…アレにファイヤーボールぶつけるの?」

「ええ、ご存分にどうぞ。」

キュルケの顔が引きつっています、ぶっちゃけ青いのです。
まあ嫌ですよね、いくら剣でも生理的な拒否感は出るのですよね、あんなのに魔法ぶつけるのは。


「ミス・ロッタ、あの剣に魔法無効化能力があると仮定したのはあなたでしょう?
 あなたが試すべきだとは思わなくて?」

「ヴァリエールの宿敵たるツェルプストーこそ、あの剣に魔法を放つのにふさわしいと思ったのですが。
 まあ、そうおっしゃられるのであれば、私がやります。」

今回は普通のファイヤーボールにするのです。
アレンジしてもしょうがありませんし。


「ファイヤーボール!」

「な、大きい!」

ただし、ファイヤーボールの容量に詰め込めるだけの魔力を詰め込んだ特大ですが。


「受けるのです、これが私の全力全開なのですよ!」

「ぎゃああああぁぁぁぁ!お助けええええぇぇぇぇぇっ!」

ファイヤーボールはデルフリンガーに向かって真っ直ぐ飛んで行き、ついに直撃しました。


「たっ、助けてくれええぇぇ…え?あれ?」

デルフリンガーに当たった途端にファイヤーボールは小さくなっていき、代わりにデルフリンガーのサビサビの刀身から錆が抜け、見事な白銀の輝きを放つようになりました。


「お…おおおおおお?
 思い出したぜ、そういやあんまりにもつまらねえ事にばかり使われるから、錆びて相手にされないようにしていたんだった!
 それと俺の能力は魔法無効化じゃねえ、魔法吸収だ!」

デルフリンガーの喜びの声が響き渡ります。


「どうやら魔法を吸収して自らの力に変える魔剣のようですね。
 もう少し魔法を吸収させてやれば、もっと機能が回復するかもしれないのです。
 ミス・ツェルプストー、お願いで…ん?なんですか、ミス・ヴァリエール?」

「はい!はい!私もデルフリンガーに魔法ぶつける!」

なんか、滅茶苦茶張り切っています、ルイズ。
もう少し後に頼もうと思っていましたが、デルフリンガーも元の姿に戻りましたし、このくらいでもかまいませんか。


「そうですね、持ち主であるミス・ヴァリエールが魔力を与える方がここは良いですね。
 では、ご存分にどうぞなのです。」

「うん、存分にやるわよ。
 ファイヤーボール!」

大爆発しました、しかもデルフリンガーのいるあたりにピンポイントで。


「やった、大当たり!」

しかし、爆発の煙が消えた後、そこにデルフリンガーの姿はありませんでした。


「…ヴァリエールの魔法で吹き飛んだかしら?」

「え?嘘、そんなまさか、あの剣魔法を吸収するんでしょ?」

まあ、固定化を無効化できる虚無魔法ですから、直撃したら消し飛ぶでしょうね。


「…デルフリンガー、惜しい剣を亡くしました。」

「そ、そんなぁ…。」

ルイズはヘナヘナとへたり込みます。
私もへたり込みたい気分です…まさかルイズの魔法が直撃するなんてラッキーショットがこんな時に起きるだなんて。


「あの剣、吹き飛んじまったのか?」

「おそらくは跡形もな…」

その時、頭上から風切り音が聞こえたかと思うと、私の目の前数サントにデルフリンガーが突き刺さっていました。


「ぅきゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「うぉ、ケティ何を!」

思わず隣に来ていた才人に思い切り抱きついてしまいました。


「勝手に殺すんじゃねえ!
 おれは不死身だ!」

「なっなっなななななななな…。」

何という所に落ちてくるのですかと言おうにも、驚愕で舌が麻痺して喋れません。


「ちょっとケティ、ダーリンから離れなさいよ。」

「こっここここここここ。」

腰が抜けて才人に抱きついていないと立っていられないのですと言おうにも、舌が麻痺して声帯が引きつった状況では無理なのです。


「うお、ケティって結構でかい?」

「さささささささささささささっ!」

才人の鼻の下が伸び始めていますが、抗議しようにも口が動かないのです。


「こらーっ!ケティ離れなさい、離れなさいってば!」

「むむむむむむむむむっ!」

無理ですミス・ヴァリエールと言おうにも、発音すらままなりません。
ルイズに制服を思いきり引っ張られますが、離れたくても離れられないのをわかってください!
ああっ、キュルケまで加わってきました。
これは罰ですか、デルフリンガーをおちょくり過ぎた罰なのですか!?



「離れな…何?」

私達の背後に巨大な人影が現れました。


「ゴーレム。
 しかも物凄く大きい。」

「いったいなに?何なのよアレ!」

こんな時にフーケのゴーレムですかっ!
腰は抜けたままですし、腕を離して才人を自由にしようかと思ったら…。


「ななななななななな!(何で離れないのですかっ!)」

腕も硬直してるうううぅぅぅぅ!?
このままじゃあ、才人ごと踏んづけられてしまいます。


「離しなさいケティ、ふざけている場合じゃないってばっ!」

「ふふふふふふふふふっ!(ふざけてなどいませんっ!)」

キュルケとルイズが私の腕を引き剥がそうとするのですが、全く動く気配すらありません。


「ルイズ、タバサ!ダーリンとケティを何とか動かすわよ…って、タバサ?」

タバサがいない…と思ったら、タバサが乗ったシルフィードが急降下してきて、私達の前に降り立ちました。


「乗って。」

「乗ってって、ダーリンとケティはどうするのよタバサ。」

私達は置き去りですか?


「大丈夫、何とかする。
 だから二人とも早く。」

ルイズとキュルケがシルフィードの背に乗った途端にシルフィードが飛び立ちました。


「ちょっと待て、俺たち置き去りかよ、おーい!
 いやまあ、こんな死に方なら幸せかもしれないけどさ。
 ケティは柔らかいなぁ…。」

「ええええええええっちなななな!」

才人、無事に帰れたら制裁です。
断じて制裁するのです!

そんなアホな事をしている間にもゴーレムはどんどん近づいてきます。


「ああここで俺の人生も終わりか…そういえば、俺のキスって、ルイズとの契約でしたのだけだよな。
 もう一度女の子とキスしたいな、そう思わないか、ケティ?」

「おおおもおおもおおおもおおおもおおもっ!」

思いません、全く、これっぽっちも、欠片も思わないのですよ!


「んー…。」

才人の唇が、唇がどんどん近づいて…急に重力から解き放たれました。


「おわぁっ!なんだこれ!」

「ししるしるししるしるふぃーど!」

い、いろんな意味で危機一髪な状況は去ったのです
。命とファーストキスの両方の危機が、危機が去りました…。


「なんて大きいゴーレムなのかしら…。
 あ、本塔が!」

「いったい何をするつもりなの!?」

ゴーレムがルイズの傷つけた跡を思いきり殴りつけると、本塔の壁が崩壊しました
本塔の中の宝物庫を破壊し、ローブ姿のフーケが破壊の杖を持ち去っていくのが見えます。




ゴーレムは学院から悠々と立ち去り、暫くすると崩れて消えました…。


「ささ才人。」

体の硬直がやっと解けて来ました。


「お、ケティ、やっと話せるようになったのか。」

「よよくも、よくもすす好き放題にやってくくれたものなのです。」

制裁です…制裁なのですよ。


「わ、私も体が硬直して貴方にめ、迷惑がかかった事は、しゃ、謝罪します。」

「いや、ホント死ぬかと思ったよな、あはははは…は?」

何を暢気に笑っていやがりますか?


「身動きが出来ない私が喋れないのを良い事に、キスまでしようとしましたね?」

「えーと、ひょっとして怒ってる?」

ようやっと気付きましたか、この唐変木。


「これで怒らなかったとしたら、私はロマリアで列聖されるでしょう。
 降りたら、制裁です。」

「ひぃ!?」

このあと彼がどうなったのか、それは想像にお任せするのですよ。


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