「……という夢を見たわ」
「ルイズ、貴女疲れてるのよ」
~~~「"わっふる支援"それは諸刃の剣。最初は数が飛んで嬉しいが、
次第に"わっふる以外の感想が無い事に気付く"」作者談~~~
「で、そっから先は?夢の中で二人は結ばれちゃったワケ?イヤン、それアナタ、絶対に欲求不満よ」
頬を押さえクネクネするキュルケとテーブルに両肘を着き俯きながら落ち込むルイズが居るのは、意外にもキュルケの部屋だった。
部屋の主が朝からため息ばかりで遠くを見ているルイズを引きずり込んだのだ。
「ねぇねぇ、教えなさいよ。アナタ夢の中でサイトとどこまでしたの?っていうかそんな知識あったの?」
「はぁ……」
キュルケの質問は耳に届いているのだが、いや耳に届いているからこそ、ルイズは窓の外を見ずには居られなかった。
誰が言えるものか、そのまま全身の汗を下は足のつま先から上はおでこまで舐め取られたなんて。
今でもハッキリ覚えている、膝の裏から太ももの内側まで一気に舐め上げられた時の電気が走ったような快感とか、うつぶせでバンザイの格好で両手を押さえつけられて背中を舐められた時の不自由感と恍惚感のミキサーとか。
しかもそれが頭が痺れて何も考えられなくなる程気持ちよかったなんて言ったら……確実に自分の人生は破滅する。
「全く……っ…あのっ…あのバカ犬がっ……」
なんだか色々思い出して勝手に赤くなったルイズは紅茶に突っ込んだままのスプーンをかちゃかちゃ鳴らしながらブツブツと独り言を始める。
「ル、ルイズ?」
因みにキュルケの存在は完全に意識から外れていた。
彼女のタスクマネージャーは今日の朝の時点から"バカ犬.exe"にCPUメモリ共に100%だった。
なんだかこう書くと悪性のコンピューターウイルスのようだ。
まぁ、あながち間違ってはいない。
「こ、ここここの前だってゆ、ゆゆゆゆ指をしゃぶってくるし」
「あら、随分可愛い所があるじゃない。そういうの好きよ?私」
「良いワケないでしょ?!指はふやけるしブラウスは肘までビショビショだし……た、たたた大変なんだから!?ま?まぁアンタみたいな年中発情期にとっては毎日の事なんでしょうけど!!」
カチャン
と
キュルケがスプーンを取り落とした。
え?何?
指がふやけるって何?
指ってしゃぶられてふやけるの?
っていうかふやけるまで舐めさせておくルイズもルイズでどうなの?
え?肘までって………唾液で?
キュルケはメダパニに掛かった!!
一方ルイズは普段のサイトの奇行のせいで男女間のそれに対するハードルがガン上げされている事に自分では気付かず、次々に爆弾発言を投下する。
見た目とは裏腹にウブだったキュルケにはあまりに耳に毒だった。
この時期の彼女達と言えば、せいぜいが夜部屋に呼んで一緒に愛を語り合ったり、お菓子を食べたり、ちょっとキスをしたり、腕を絡めて見たり……かなり頑張って抱き締めあって相手に顔をうずめる程度だった。
いくら水魔法で妊娠しないと言っても貴族の処女はそこまで安くは無いのだ。
「あの犬ったら蹴っても殴っても踏んでも喜ぶしちょっと隙を見せたら抱きついて匂い嗅いでくるしこの前なんて私が部屋で食べようと思ってたロイヤルベリーークッキーを毒見って言って食べたのよ?!それであの犬どうしたと思う?よりにもよって残った半分のクッキーを咥えたまま私にキスして食べさせようとしたわ!!あんな…あんっな……舌なんて入れられたらクッキーが噛めないじゃない!!何考えてんのあのバカ犬??!!」
混乱しているキュルケの耳にはルイズの更なる爆弾が連続で投下されてゆく。大空襲だった。
これが普段散々男女関係でからかっていたたツケだとしたら、キュルケは過去の自分にファイヤーボール1年分をプレゼントしたい気分になってしまった。
そしてルイズ、アナタそれ食べたのね………
っていうかさっきからの話、全部ノロケでしょう!!
途中から顔がニヤケてるし。
何これ。
何なの?
何この格差。
何で私がこんなぺたん娘に嫉妬しなくちゃいけないの?
あーそうですか。
そんなにあのサイトと居て楽しいんですか。
じゃあ良いわよ、本気出して奪ってあげるから。
せいぜい枕を濡らして泣く事ね。
………それにサイトとそういう事するの、ちょっと楽しみかも。
【キュルケ】>>1がハルケギニアで…あれ?何しに来たんだっけ?【涙目】
「いや、別にいいや」
しかしキュルケの狙いがうまくいく筈が無い。
だってこの男を1マイクログラムも理解していないのだから。
バッサリと断られたのは今は懐かし"だっちゅーの"ポーズで固まっているのは自称・恋に生きる女キュルケだ。
もうダメである。ダメダメである。
0点だ。落第。ボッシュート。山田君、全部持ってきなさい。
よりにもよって「ねぇ、私の体に興味は無い?」と来たもんだ。
サイトの中でキュルケへの興味はゼロではなかった。
100かゼロかで言えば大分ゼロ寄りだったのだが、それでもゼロでは無かった。
理由はサイトにとって褐色肌が萌えポイントの一つであったに過ぎないのだが。
それがその一言とポーズで完全にゼロになってしまったのだ。
サイトは和の心、ワビサビを重要視する男であった。
その心意気の真髄こそ
"恥じらい"
この一言に尽きる。
ツンデレも有る意味恥じらいと考えれば、成る程日本人に対し絶大な効果があるわけである。
ルイズのツンデレ等恥じらいの極みであるし、いろいろこう行為に及んだ時も最初は嫌がっているが段々と目に力が入らなくなっていく過程など最高にアレなのだ。
その対極、つまりまったく心の琴線に触れないのがいわゆるオープンエロなのだった。
こういうのは事に及んだ時の反応もパッと想像できてしまう。
ベッドの上で四つん這いになってシーツを握り喘ぐ様は見る人間に取っては確かに興奮するシーンなのだが、それで満足するこのHENNTAIではない。
先ほど述べたシーンをキュルケで脳内再生して欲しい。
できただろうか?
では次の問題だ。
ルイズを仰向けで寝かせて見よう。勿論全裸では無く着崩れた制服で。
着崩れた、では無く正確には俺が半分脱がせたのだがそこは気にするな。
ボタンは全部外せ。スカートのもだ。
そして両手は耳から15cm横にそれぞれ置くんだ。
よし、出来たな?
そしてまず右手。
そうだ、想像力の乏しい貴様らに解り易いように片手づつ説明してやるんだ、黙って聞け。
まず手の配置だが、手の甲がベッド側、手の平が上だ。
これは絶対に譲れない。
そしてシーツを巻き込むように掴む。
この時ルイズの指には力が入らず、小指はシーツを掴み損ねてしまう。
よってシーツを巻き込んだ人差し指から薬指はシーツに隠れてしまうが、かわいらしいルイズの小指だけは見える事になる。
そして左手、そうだ左手だ。
左右で違うだと?当たり前だバカ者、貴様一体何を考えている。
いいか、今度は右手の状態からシーツを一度離し、180度内側に手首を反転させろ。
そうだ、できるじゃないか。
その常態で軽くシーツを掴む。うむ。
解ってるだろうがまだ完成じゃない。
左手の方をやや顔に近付け、右手は少し頭から離して上に移動しろ。
ほんの少しだぞ?
そう、その常態で顔をほんのちょっと右手側に倒す!
ほんのちょっとだと言っているだろうがバカ者!!そんな事で戦場で生き残れるか!!
そう、その常態で頬を赤くして目をうるませろ!!そしてこうだ!!
「やぁっ……は、恥ずかしい……やっドコ触ってんのよ、そんな、ダメなんだから…やっ……ん……」
こうだ!解ったかカス共!!これがルイズの正しい夜の魅力だ!!
まぁキュルケなんぞに色気を感じる貴様らボンクラ共に解り易いように今のは本当に初期の初期、魔法で言えばフライのフの字を読めるようになった程度の初級だがな。
気付けばサイトは男子生徒を前に如何にルイズが可愛いかを大演説をしていた。
キュルケ?いや知らないけど。
おいそこのデヴ。キュルケ見たか?
何?そこに居る?
あぁホントだ、部屋の隅で体育座りしてら。
彼女も萌えってモンが理解できてきたじゃないか。
まぁ諸君らはまだ出会っていないが彼女がティファニアのようなタイプだったら俺も危なかったかもしれない。
恥ずかしがり屋な彼女は胸が大きくて男から変な視線で見られる事を気にしていて、いつも厚着だ。
そんなキュルケが上目遣いで、「ねぇ、私の胸ってヘンじゃないかな?触って確かめて見て?」とか言って見ろ?!!
すごいだろうが!!
もう…なんというか……滾るだろう?!
そうか!貴様達も解ってくれたか!!
何?そうなった場合のキュルケとルイズが居たらどっちを取るんだ?
ルイズに決まっているだろうがバカ者!!
貴様何も理解していないな!!出て行け!!不愉快だ!!!!
あー、ゴホン。すまない。
いいか、まず最大の論点は胸だ。
でかいほうがいい?死ね。百回くらい死ね。
もしくはコルベールの頭に落書きをするかオスマンのメガネを割って来い。
いいか、デカい乳はな、眺めるのが一番いいんだよ!!
触っても楽しいのは最初だけだ!!!
どうだお前!!どうせ触りたいとか思ったあとは何も考えて無いんだろう?!
接し方に困るんだよヴォケ!!
良いか、小さい胸はな!!揉んでよし!!撫でてよし!!吸ってよし!!舐めてよし!!愛でてよし!!だ覚えとけゴミクズ共!!!!
そして最大のポイントはここでも"ワビサビ"だ!!
基本だと言っただろうバカ共め!!
いいか、胸を触っている時にだ!!
胸が小さい事を気にしてる女がだ!!
"ねぇ、私の胸って小さいでしょ?触ってて楽しいの?"
とか聞いて見ろ!!
そして全力で肯定した瞬間……
"ばか…"
とか言いながらちょっと嬉しそうにしてたら…………
ギーシュわかるか!!!この熱い思いが!!!流石だな。
キュルケには目もくれずモンモランシーに熱を上げる貴様なら理解できると思っていた。
今日から俺達は戦友と書いて友だ。
貴様らも同様だ!!よく着いてきてくれた!!!
貴様らはもはやウジムシでは無い!!!戦士だ!!!!
鬨を上げろ!!
勝鬨の蛮声を上げろ!!!
うおおおおおおおぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!
サイトはギーシュと友達になった!!
キュルケは欝キャラにジョブチェンジした!!
この日からルイズはやたら男からちやほやされるようになった!!!
しかしルイズは気持ち悪がってますますサイトに入れ込んだ!!!!
あとがき。
本来のストーリー?なにそれ?おいしいの?
アン派の俺がルイズを書いてしまったのだが今更アンに浮気もできず……どうしよう。