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No.5505の一覧
[0] おまたせ18話更新 ゼロの使い魔 -KING OF VAMPIRE- (ゼロの使い魔×仮面ライダーキバ)[ORATORIO](2010/08/11 14:01)
[1] 序章/夢の中の王[ORATORIO](2010/01/12 10:21)
[2] 第1話/竜の城[ORATORIO](2008/12/26 19:53)
[3] 第2話/契約[ORATORIO](2009/06/29 10:52)
[4] 外伝 第1話/迷い込んだメイド[ORATORIO](2008/12/26 19:56)
[5] 第3話/人は誰でも心に音楽を…[ORATORIO](2009/06/29 10:59)
[6] 第4話/Break the Chain -魔皇の紋章-[ORATORIO](2009/06/29 11:00)
[7] 第5話/三魔騎士との出会い[ORATORIO](2010/01/12 10:37)
[8] 第6話/火の誘い、街への出発[ORATORIO](2009/06/29 11:03)
[9] 第7話/剣との出会い、風のデットスピード[ORATORIO](2009/06/29 11:05)
[10] 外伝 第2話/三魔騎士、大暴れ[ORATORIO](2010/01/12 10:46)
[11] 閑話/闇のゲーム[ORATORIO](2010/01/12 10:51)
[12] 第8話/Shout in the Moonlight ‐ 第一楽章=キュルケの奮闘と見つめる男 ‐[ORATORIO](2010/04/27 18:17)
[13] 第9話/Innocent Trap -第一楽章=タバサの復讐-[ORATORIO](2009/06/29 11:08)
[14] 第10話/Silent Shout -第一楽章=それぞれの『音楽』、『土くれのフーケ』の襲撃-[ORATORIO](2009/06/29 11:09)
[15] 第11話/Break the Chain -Quartetto!魔のスクウェア!-[ORATORIO](2009/06/29 11:11)
[16] 第12話/舞踏会 ~王の来訪~[ORATORIO](2009/06/29 11:13)
[17] 第13話/ステンドグラスの破壊者[ORATORIO](2009/07/11 11:35)
[18] 第14話/王女の心、ルイズの願い[ORATORIO](2009/07/12 01:18)
[19] 第15話/空の港での騒動[ORATORIO](2009/07/24 12:10)
[20] 第16話/優しい魔皇は闇に堕ちる。[ORATORIO](2009/10/11 02:54)
[21] 閑話/力を求めるメイドと封印されしモノ[ORATORIO](2010/04/23 16:58)
[22] 第17話/ヒカリ 前編 ~闇の中でも響く声は~[ORATORIO](2010/01/17 14:08)
[23] 第18話/ヒカリ 後編 ~光満ち溢れる時~[ORATORIO](2010/08/11 13:57)
[24] 第EX話/スピンオフ(っていうか外伝)予告[ORATORIO](2009/03/15 19:08)
[25] EX-000/ゼロの使い魔 ‐Roots of the King‐ 000[ORATORIO](2009/05/29 14:59)
[26] EX-001/ゼロの使い魔 ‐Roots of the King‐ 001[ORATORIO](2009/05/29 21:54)
[27] 第EX話/スピンオフ(っていうか外伝)予告2[ORATORIO](2009/05/29 13:43)
[28] 第EX話/スピンオフ(っていうか外伝)予告3[ORATORIO](2009/06/10 23:25)
[29] 第EX話/スピンオフ(っていうか外伝)予告4[ORATORIO](2009/06/10 23:32)
[30] ゼロの使い魔 -Root of the King- 主題歌/Fate of the king[ORATORIO](2009/07/13 10:47)
[31] キャラクター紹介[ORATORIO](2009/06/11 00:13)
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[5505] 第7話/剣との出会い、風のデットスピード
Name: ORATORIO◆64b313bb ID:357d39a9 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/06/29 11:05
第7話/剣との出会い、風のデットスピード

渡がキャッスルドランにマシンキバーを取りにいき、ルイズが待ち合わせ場所で待っている時、キュルケはルイズの部屋に立っていた。

「…きちゃった」

昨日の夜は結局眠れなかった。あの渡の笑った顔を忘れられなかったのだ。

朝になってようやく『これは滅多に無い笑顔を見たからちょっとうろたえている』という事でなんとか落ち着かせたが、



コンコン

「はい、誰…」

「あっ、ツェルプストーさん?僕です、ワタル・クレナイです」

「えぇ!は、はははははい!?」

突然の訪問者にキュルケは驚く。

「入ってもいいかな?」

「ど、どどどどどうぞ!」

完全にどもりながら渡を部屋に入れる。

「どう、昨日は眠れた?」

「え、ええ」

嘘だ。実は一睡もしていない。

(ダメ、なんでドキドキするのよ。そうよ!こんな男にドキドキする必要ないのよ)

「で、何しにいらしたのかしら?」

落ち着いた口調(何とか出せた)でキュルケは渡に問う。

「えっ、昨日言わなかったっけ。様子見に来るって?迷惑だった?」

「そ、そんなこと無いわ!」

「そう、じゃあ…」

ピト…

「!!!!!!!??????」

昨日のようにおでこをくっ付けて熱を測る渡。

「うん、少し熱いけど、熱は無いみたいだ」

「ちょ、ちょちょちょ…」

「うん、もうあんなカッコで寝ちゃダメだよ。でも、」

ここで再び昨日と同じ笑顔。

「すぐに治って良かった」

ぼしゅぅっ!

「じゃっ、僕はいくね。ぶり返さないように気をつけて」

と渡はキュルケの部屋を出て行った。



「こ、こんな時どうしたらいいのかしら」

もう認めるしかない。自分はあの男に『恋』をしている。

なんてことだろう。今までいろんな男との『恋』がちっぽけに見えてきた。

これが真実の『恋』なのか、ただの大恋愛の『恋』なのかはしらない。

でも、『恋』がここまで凄いものだとは知らなかった。

「ああっ、どうすればいいの…」

いつもなら扉を開けた瞬間、ワタルだったら、抱きついてキスとでも考えていただろう。

でも、そんなことできない。というか、今までどうやってしていたのだ。

ただ、今思うのは

「会いたい…」

そう、『ただ会いたいだけ』だ。それがコレほどまで難しいとは…!

キュルケは思考を働かせ、結局『昨日の看病のお礼をしにきた』という当たり障りの無いものを選んだ。

コンコンコンッ…

勇気を出して、ノックを三回…いつまで経っても中から返事が来なかった。

キュルケは、躊躇いなくキュルケは、躊躇いなくドアに『アンロック』の魔法をかけた。軽く音がして、鍵が開く。

「…なんだ、出かけてるんだ」

溜息を吐きながら、今の自分の状態に気付く。

「わ、私ただ会えなかっただけなのに、どうしてこんな溜息吐くの!?」

あまりにも自分らしくいない行動にその場で頭を抱える。

ブロロロロロ~!

「ん?」

キュルケは窓を覗く。

「にゃっ!?」

すると渡が妙な鉄の塊に乗って、楽しそうに(キュルケにはそう見える)話し、自分の持っていた兜をルイズに被せ、信じられないスピードで学園を出て行った。

「…ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエェェルゥゥ…ハッ!?」

キュルケは今自分がありえない事を感じた。

自分がルイズに『嫉妬の炎』を燃やしていた事に…

「ふ、ふん。この私があのお子様に嫉妬なんてありえないわ。そうよ、この私でもダメだったのに、彼がルイズなんかになびくはずはないわ。そういえばアッチは城下町の方ね」

誰もいないのに余裕を見せて、キュルケはルイズの部屋から出た。




タバサは一人、部屋で読書に勤しんでいた。静かに本を読みながら、日がな一日静寂に包まれているのが、彼女の至高の休日の過ごし方だ。

ドンドンドンドンッ!!!

突然に激しくノックに、その休日が破られる。

「………」

彼女は無言で、脇に立てかけておいた杖を取り、消音の魔法『サイレント』の呪文を唱える。すると室内の音が消え、静寂が戻る。彼女は満足して、本に目を戻した。

しかし、ドアが勢い良く(無音)開き、一人の女性が飛び込んでくる。タバサの数少ない友人のキュルケだ。

キュルケはタバサに何かを必死に訴えているが、『サイレント』の効果がある為、全く聞こえない…が、いつもと様子の違うキュルケを見て、タバサは『サイレント』を解く。

「タバサっ!今から出かけるわよ!すぐに支度をして!」

「虚無の曜日」

表情をまったく変えずにそういうタバサに、キュルケは口を尖らせる。

「わかってる。あなたにとって虚無の曜日がどんな日だか、あたしは痛いほどよく知ってるわよ。でも、今はそんなこと言ってられないの。恋なのよ! 恋! あたしね、恋をしたの! でもいつものちっぽっけな恋…いや、もうあんなもの『恋』なんて呼べないわ!私ね、生まれて初めて!『恋』をしたの!」

タバサは首を少しかしげる。いつもあんなに恋を語っていたのに、それを全部否定するなんて、キュルケの言葉とは思えなかった。

「でも、その人が今日、あのにっくいヴァリエールと出かけたの!城下町の方に!あたしはそれを追って、何しに行くのか突き止めなくちゃいけないの!わかるでしょ?」

物凄い形相のキュルケに対して、タバサは首を横に振る。

「そうね。あなたは説明しないと動かないのよね。出かけたのよ!多分彼のだと思うんだけど、妙な鉄の馬に乗って!しかもありえない速度で!あなたの使い魔じゃないと追いつかないのよ!ねえ助けて!」

キュルケはタバサに泣きつく。タバサは、そこまで説明されて、読んでいた本を閉じる。

「その人って、あの『竜の王』?」

あのギーシュとの戦いの後、生徒達は渡の事を『竜の王』と呼んでいる。

あのキャッスルドランを従える彼の姿を見て、誰もが『王』を意識し、噂が一人歩きし始めている。

「そう!あの『竜の王』!」

「わかった…」

「ホント!ありがとう!じゃ、追いかけてくれるのね!」

タバサは窓を開け、口笛を吹く。すると、青空の向こうから、翼を羽ばたかせて彼女の使い魔、風竜のシルフィードが飛んできた。

シルフィードの背に乗り、キュルケとタバサは魔法学院の外に出た。

「いつ見ても、あなたのシルフィードは惚れ惚れするわね」

キュルケはシルフィードの背に乗りながら、感嘆の声を上げる。シルフィードは、二人を乗せると上空に抜ける上昇気流を器用に捕らえ、あっという間に二百メイルの上空に駆け上った。

「城下町の方?」

タバサに方向を尋ねられ、キュルケは一番肝心なことを失念していたことを思い出し、引きつった笑みを浮かべる。

「そう、妙な鉄の馬に二人で乗って!」

 タバサは別に文句を言うこともなく、自分の使い魔に命じる。

「鉄の馬。二人乗ってる」

 シルフィードは「きゅい?」と短く鳴いて了解の意を示す。そして、その優れた視力で周囲を見渡し、城下町に進路を向けた。

(『竜の王』…)

タバサは彼の事で口を少し強めた。



トリステインの城下町…マシンキバーを町の外れに止めて、渡達は並んで歩いていた。

ここは『ブルドンネ街』と呼ばれるトリステインで最も大きな通りである。

白石造りの街の通りは大勢の人で賑わっていた。

果実や肉、籠などを売る商人達の姿があり、露店などで溢れている。

渡は現代日本の街並みしかしらないので、新鮮な気分で街を見ていた。

そして、時折ルイズが目に付いた店に入り、彼女の買い物に付き合っていた。

「渡。次行くわよ」

「あっ、待ってよ」

渡はルイズを追いかける。

「財布、大丈夫でしょうね? スリが多いから気をつけてよ?」

「ちゃんと持っている。でも、僕に財布を持たせなくても」

「だって重いもん」

「ルイズ!さっきから俺と渡に荷物持たせといて自分はそれか!第一こんな重い財布がそうそう簡単にスられるか!」

「魔法を使われたら、一発よ」

「え?貴族が泥棒するの?」

「貴族は全員がメイジだけど、メイジの全てが貴族ってわけじゃないわ。いろんな事情で、勘当されたり家を捨てたりした貴族の次男坊や三男坊なんかが、身をやつして傭兵になったり犯罪者になったりすることもあるのよ」

「……没落貴族、って奴だな」

「ふ~ん。ところでルイズちゃん。買い物はまだあるの?」

「うーんと…次で終わりよ」

「……」


「ここって?」

「ん?武器屋よ」

渡は元いた世界には無い店『武器屋』に中をキョロキョロ見回す。

「何で武器屋に?」

「だって、せっかくあんな姿になれるんだから剣を持った方がもっと強くなれるでしょ」

「僕、剣持って…」

「まあ、いいじゃねえか。こっちの世界の剣も見ておきたいし。まあ、『あの剣』よりいいのはないだろうが…」

「何か言った?」

『いえいえ』

渡とキバットは同時に首を振る。

渡達が武器屋に入ると、店主が話しかけてくる。

「旦那。貴族の旦那。うちはまっとうな商売してまさあ。お上に目をちけられるようなことなんか、これっぽっちもありませんや」

「客よ」

ルイズは腕を組んで言った。

「こりゃおったまげた。貴族が剣を!おったまげた!」

「どうして?」

「いえ、若奥様方。坊主は聖具をふる、兵隊は剣をふる、貴族は杖をふる、そして陛下はバルコニーからお手をおふりになる。と相場はきまっておりますんで」

「使うのは私じゃないわ。使い魔よ」

「忘れておりました。昨今は貴族の使い魔も剣をふるようで」

主人は、商売っ気たっぷりにお愛想を言った。

それから、渡に視線を向けて、じろじろと眺めた。

「剣をお使いになるのは、この方で?」

主人は、剣を使う人物を言い当てた。

「私は、剣のことなんかわからないから。適当に選んで頂戴」

主人はいそいそと奥の倉庫に消えた。彼は聞こえないように呟いた。

「…こりゃ、鴨がネギしょってやってきたわい。せいぜい、高く売りつけるとしよう」

店主は1メイルほどの長さの、細身の剣を持って現れた。

「そういや、昨今は宮廷の貴族の方々の間で下僕に剣を持たすのがはやっておりましてね。その際にお選びになるのが、このようなレイピアでさあ」

「貴族の間で、下僕に剣を持たすのがはやってる?」

ルイズが尋ね、主人はもっともらしく頷いた。

「へえ、なんでも、最近このトリステインの城下町を、盗賊が荒らしておりまして…」

「盗賊?」

「そうでさ。なんでも、『土くれ』のフーケとかいう、メイジの盗賊が、貴族のお宝を散々盗みまくってるって噂で。貴族の方々は恐れて、下僕にまで剣を持たせる始末で。へえ」

ルイズは盗賊には興味がなかったので、じろじろと剣を眺めた。

しかし、すぐに折れてしまいそうなほどに細い。

変身した渡はギーシュのワルキューレを素手で砕いていた。渡の力で振るったらすぐに折れてしまいそうだ。

「もっと大きくて太いのがいいわ」

「お言葉ですが、剣と人には相性ってもんがございます。男と女のように。見たところ、若奥様の使い魔とやらには、この程度が無難なようで」

「渡…変身しなさい」

「ええ!?こんなことで…」

流石に渡は呆れた声を出す。

「ええい!ご主人様のいう事が聞けないの!?」

「ま、待って!それなら…」

渡は近くにあった、大きなウォーアックスを手に持ち、

「ほら、これでどう?」

ビュンビュン

『………』

ルイズと店主は口をあんぐりとあける。

渡は確かに細腕だが、度重なる戦いのお陰で、生身でも最強種族であった者達とそこそこ戦える。

力も見た目より遥かについていた。

「み、見たでしょ。ほら、持ってきなさい!」

「へ、へい!」

今度は立派な剣を油布で拭きながら、主人は現れた。

「これなんかいかがです?」

見た目は見事な剣だった。1.5メイルはあろうかという大剣だった。

柄は両手で扱えるように長く、立派な拵えである。

ところどころに宝石が散りばめられ、鏡のように諸刃の剣が光っている。

見るからに切れそうな、頑丈そうな剣であった。

「店一番の業物でさ。貴族のお供をさせるなら、このぐらいは腰から下げて欲しいものですな。と言っても、こいつを腰から下げるのはよほどの大男でないと無理ですが、旦那なら大丈夫でしょう」

渡も近寄って、その剣を見つめた。

「キンキラのピカピカだね」

「すばらしい剣だわ」

ルイズも満足しているみたいだ。だが、

「ダメだ!こんなものダメ!」

キバットが猛烈に反対した。

「え?」

「なんでよ!いいじゃないこの剣」

店主も誇るように話し出す。

「コイツを鍛えたのは、かの高名なゲルマニアの錬金魔術師シュペー卿で。魔法がかかってるから鉄だって一刀両断でさ。ごらんなさい、ここにその名が刻まれているでしょう?」

「どこのドイツが造った剣だかしらねーが鈍じゃねぇか!見てみろこんなにゴテゴテ彩色しやがって!これじゃあ戦いに邪魔なだけだ!」

「な、この蝙蝠!いちゃもんつけ…」

「渡ちょっと手に持って感じてみろ!」

「う、うん」

渡は剣を手に持ってみる。

「?」

そしてルイズ達から少し離れて、二、三度振ってみた…

「…うん、なんかダメだ。よくわからないけど、ダメだよコレ」

「わ、渡まで!?」

『おでれーた、おでれーた。小僧と蝙蝠!おめーら、見る目あるな』

いきなり男の低い声がして、店主は頭を抱えた。

渡達は声がした方に顔を向けるが、そこには乱雑に剣が積み上げられているだけだ。

『ここだ、ここ』

その声は剣の中から聞こえた。

渡は一本の剣を取り出した。

「剣が喋ってる?」

「それって、インテリジェンスソード?」

そう言ったのはルイズ。

持ち上げてみると、ちょっと重い。

「やいデル公!商売の邪魔すんじゃねえ!」

店主が剣に向かって怒鳴る。

『けけけ…商売の邪魔って、この小僧と蝙蝠はそのなまくらを見破ってたじゃねえか…ほ~う。小僧、おめ、何度も修羅場を潜って来たみてえだな。感じるぜ』

「渡、ちょっとそいつ振ってみろ」

「うん」

渡はその『剣』を振るう。『魔剣』を振る要領で振ってみると、コレが結構しっくりきた。

「…ルイズちゃん。僕、その剣よりこっちの方がいい」

「え~~?! そんなのを買うの? 買うならもっと綺麗でしゃべらないのにしなさいよ」

「いいじゃねぇか。使いのは渡なんだし」

渡達が話していると、

『おい、蝙蝠。おめぇ、どっかで会った事ネーか?』

「うん?会った事無いけど?」

『…そうか』

「しょうがないわね…あれ、おいくら?」

渋々ながら、ルイズは店主に値段を聞く。

「へ、へえ…まあ、あれなら、エキュー金貨で六十、新金貨なら九十で結構でさ」

「随分安いじゃない」

「こっちとしてみりゃ、厄介払いみたいなもんでさ」

ルイズは渡から財布を受け取ると、中身をカウンターの上にぶちまけた。店主は慎重に金貨の枚数を確かめ、頷く。

そして、剣を鞘に収めると渡に手渡した。

「毎度。どうしても煩いと思ったら、こうやって鞘に入れれば大人しくなりまさあ」

「ありがとうございます」

渡は頷いて、剣を受け取る。すると、早速剣が喋り出した。

『よろしくな、相棒。俺は『デルフリンガー』だ』

「僕はワタル、ワタル・クレナイ。よろしく、デルフリンガー」

「俺はキバットバット三世!気軽に『センパイ』でいいぜ!」

こうして、渡は正確ではないかもしれないが自身にしては『三本目の剣』を手に入れ、二人は店を出た。


武器屋から出てきた二人を、二つの影が隠れて見ていた。

それは、後を追ってきたキュルケとタバサの二人であった。

路地の陰で、タバサはちらっと渡の姿を見た後、警戒の目を強める。

キュルケはというと、渡が腰にさげていた剣を見て唇をギリギリと噛んでいる。

「ゼロのルイズったら…剣なんか買ってあの人の気を引こうとしちゃって…!あたしが狙ってるってわかったら、早速プレゼント攻撃?なんなのよ~~~ッ!」

キュルケは地団駄を踏んだ。ハッキリ言って勘違いだが、ルイズがワタルに贈り物をしたと思った様だ。

そして、二人の姿が見えなくなると、自分も負けじと武器屋に足を踏み入れた。

「おや! 今日はどうかしてる! また貴族だ!」

「ねえご主人?今の貴族が、何を買っていったかご存知?」

「へ、へえ。剣でさ」

だらしのない顔で店主が答える。

「どんな剣を買っていったの?」

「へえ、ボロボロの大剣を一振り」

店主の言葉に、キュルケは怪訝な表情を浮かべる。

「ボロボロ?どうして?」

「さあ?お供の旦那が、何故かえらく気に入ったようで。へえ」

店主も訳が分からないという表情を浮かべて説明する。普通、見栄えなどを気にする貴族や騎士が、ボロボロの剣を気に入るなど、まずあり得ないことだ。

それは、トリステインもゲルマニアも大差ない。キュルケも同様の表情で考え込んだが、渡がルイズに遠慮したんだろうと考えた。

(ああ、なんて奥ゆかしい人なの。優しいだけじゃないのね。はっ!これはチャンス!)

「若奥様も、剣をお買い求めで?」

キュルケはニヤリと笑った。

…数分後、ご機嫌な顔で先程の渡達が見た剣を持ってキュルケは武器屋から出てきた。

「さぁ、追いかけるわよタバサ!」

「わかった」



「ねぇ、ホントにその剣でよかったの?」

「うん、結構使いやすいし、喋る剣なんて僕の世界じゃなかったか新鮮で結構いいよ」

「ふぅん。でもスゴイわねこの鉄の馬。『ばいく』っていうんだっけ?」

『おれっちも初めて乗るぜ』

「うん、本当はガソリンで動くんだ」

「がそりん?なにそれ?」

「ゴホン、ガソリンってのは石油製品のひとつである。沸点が摂氏30度から220度の範囲にある石油製品の総称であり、この名称は、gas(ガス)とアルコールやフェノール類の接尾辞であるolと不飽和炭化水素の接尾辞であるineに由来する。米国では、ガス(gas)と呼ばれることが多く、ガス欠という用語はこれに由来する。日本語では揮発油(きはつゆ)という」

「ふ~ん、つまり油?」

「まあ、ちょっと違うけどそうかな」

「油入れると動くの?」

「無理無理。油は油でも、それを精製するのはこの世界じゃ無理だ」

そんな事を喋りながら渡達が帰路についていると、空からなにか妙な音がした。

「ん?アレって…」

「んあ?教室にいた竜じゃないのか?」

「…タバサの使い魔、風竜のシルフィードね。今回呼び出された使い魔の中でもぶっちぎりトップの使い魔よ」

「すごいんだ」

「おいおい、今回のトップはどう考えても渡だろ」

「タバサも街で買い物していたのかし…」

「ルイズちゃん!捕まって!」

「へっ…ひゃおぁっ!」

ガクン!ドガンッ!

「な、なななななんなの!」

「多分」

ドガンッ!

「あの竜からの」

ドガンッ!

「攻撃だとおもう」

ドガンッ!

渡は空から飛来する攻撃を直感で感じ、かわしていく。

「ありゃあ風を固まりにして撃ちだしてんな。おいルイズ、お前タバサちゃんに何かした?」

「何もしてないわよ!ってなんであんたタバサのこと知ってんのよ!」

「ふふん、俺のチェックは完璧だぜ。あれほどの美少女見逃すわけ無いだろ」

「原因はあんたじゃないのっ!?」

「失礼な!まだ食事にも誘ってない!」

ドガンッ!

そして更なる一撃もマシンキバーはかわした。



「ちょっとタバサ!なんであの人を攻撃するのよ」

「………」

「タバサ!」

「あれは…危険」

「え?」

タバサは普段ださない雰囲気を出して

「あれは…危険」

そして何度目かの『エア・ハンマー』を打ち出した。


「ど、どうするのよ!?」

「どうしようか?」

「何とかしなさいよ!」

渡は再びタバサの『エア・ハンマー』をかわす。

「おい、渡。学園に着いちまえば、タバサちゃんも攻撃できないんじゃないのか?学園で騒ぐのはまずいだろうし」

「でも、タバサのシルフィードの方が速いわよ!何回か追い抜かれたじゃない」

そう、シルフィードは何度かマシンキバーを追い抜かし、旋回している。

「それなら、追いつけないくらいのスピードを出して学園へ帰ろう。そのタバサちゃんって子が、なんで攻撃してきたのかは学園できけばいいしね」

「どうやって風竜以上のスピード出すのよ!風竜は軍でも使われるほどなのよ!」

「大丈夫、キバット!」

「おう!キバッていくぜ!」

ガブッ!

渡の全身から魔皇力が迸り、腰にカテナが巻きつきキバットベルトが出現する!

「変身ッ!」

渡がキバットをキバットベルトに吊るすと、渡はキバに変身した。ルイズは変身に驚いたが、バランスは崩していない。

キバはキバットベルトの右側のフエッスロットからフエッスルを一つ取り出し、キバットに咥えさせる。

「見てなルイズ。スゴイのが来るぜ!『BUROON BOOSTER』!」

依然とは別の音色が辺りに木霊した。



~キャッスルドラン内~

「シエスタの持ってきたクッキー、おいしい~」

「うま、い」

「まだありますからね。力様、そんなにがっつかれては服についちゃいますよ。ラモン様、ほっぺについてます」

今の三人はコーヒーブレイク&ティータイムの途中である。

ラモンと力はシエスタの持ってきたクッキーにご満悦だ。

「今日も満点だ。うまいぞ」

「ありがとうございます」

次狼もシエスタの珈琲にご満悦の様子だ。


…ゴオン…ゴオン…ゴオン…


「…何の音でしょう?」

「ああ、ブロンだ」

「ぶろん、ですか?」

「後で見てみる?黄金のゴーレムだよ」

「お、黄金でゴーレムを!?渡様って本当にお金持ちなんですね」

「シエスタ」

「あっ、はい。おかわりですね。お待ちください」

今日のキャッスルドランは平和だった。




「…ん?タバサ、あれ何?」

「え…!?」

なんと何かが超高速で突進してくる!

「シルフィード!回避!」

「きゅい!」

その物体は凄まじいスピードだったが難なくかわした。どうやら攻撃が目的ではなかったみたいだ。その物体は…

「お、黄金の…ゴーレム…」

「…!?」



「な、何よコレ…ゴーレム…?」

『なんって豪勢なんだ。こりゃあ黄金だぜ』

ルイズが呆気に取られていると、黄金のゴーレム…魔像ブロンは二つに割れ…


ドガァァァァァァンッ!


マシンキバーと合体した。

「く、くっついた…?へっ?きゃっ!」

突然、ブロンの形態が変わり、まるでルイズを保護するかの用に包み込む。本来、『クイーン』を守るための装置だ。内部は見た目に比べて快適に造られている。

「いくよ!」

「おう!」

『フルスロットル!』

ブォンッ!

キバは思いっきりアクセルを廻す。

先程とは比べ物にならないくらいにスピードが加速していく。

「タバサちゃん、また後でね~」

定置最高速度1550kmを誇るスピードにシルフィードはあっという間に追いつけなくなる。信じられないスピードで走り、途中の岩などを砕くキバ達を、タバサとキュルケは呆然と見ていた。



「おかえり、二人とも」

「ちょっと!なんでさっき攻撃してきたのよ!?」

キュルケとタバサが学園の上空に到着すると、下に渡とルイズが見えた。

キュルケの言葉もあって、タバサはシルフィードを下降させて、地面に降りた。

「キュルケ!もしかして昨日振られた腹いせなの!?」

「そ、そんなわけ、そんなわけないじゃない!あれはタバサが…」

「タバサちゃん」

「………」

渡は少し屈んで、タバサに話しかける?

「どうして僕を攻撃したの?」

「…あなたが、危険だから」

「僕が?」

「そう…」

「ちょっと人の使い魔に何言ってるのよ!それに今日のあんたの行動の方が…」

「まあまあ、ルイズちゃん」

渡はルイズを宥めて、再びタバサと向き合う。

「ねぇ、今度からルイズが離れている時に攻撃してきてくれないかな」

『え?』

その言葉に三人は驚く。

「ルイズちゃんが怪我するといけないから、お願い」

「…私、あなたを攻撃した」

「僕が危険だと思ったのは仕方ないよ。でも、ルイズちゃんは大丈夫。全然危険じゃないから」

「危険だろ渡」

それを聞いて渡は苦笑いをし、ルイズが怒り狂う。

「それと…もっと自分を大切にして」

「な、なにを…」

「そんな悲しい『音楽』を奏で続けないで。ココロまで悲しくしちゃダメだ」

「!?」

(この男、やっぱり…!)

その言葉を聞いた瞬間、タバサは意味を解したらしく、渡にあからさまな敵意を向けて、その場を去っていった。

「ちょ、ちょっとタバサ」

「ツェルプストーさん」

「あ、は、はい」

「タバサちゃんを怒らないであげてね」

「え?」

「ちょっと怒ってるみたいだったから。僕は大丈夫だからね」

「わ、わかったわ」

とキュルケはタバサを追いかけていった。

「ちょっと、勝手に帰さないでよ!」

「まあ、渡が良いって言ったんだしいいじゃないか。ルイズもそうカッカすんなって」

「う~!」

「さっ、部屋に戻って買ったモノを片付けよう。終ったら丁度ご飯時だよ」

と、渡は荷物を持って、部屋に向かう。それをルイズは『ご主人様を置いて行くな~!』といいながら渡を追いかけた。


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