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No.5505の一覧
[0] おまたせ18話更新 ゼロの使い魔 -KING OF VAMPIRE- (ゼロの使い魔×仮面ライダーキバ)[ORATORIO](2010/08/11 14:01)
[1] 序章/夢の中の王[ORATORIO](2010/01/12 10:21)
[2] 第1話/竜の城[ORATORIO](2008/12/26 19:53)
[3] 第2話/契約[ORATORIO](2009/06/29 10:52)
[4] 外伝 第1話/迷い込んだメイド[ORATORIO](2008/12/26 19:56)
[5] 第3話/人は誰でも心に音楽を…[ORATORIO](2009/06/29 10:59)
[6] 第4話/Break the Chain -魔皇の紋章-[ORATORIO](2009/06/29 11:00)
[7] 第5話/三魔騎士との出会い[ORATORIO](2010/01/12 10:37)
[8] 第6話/火の誘い、街への出発[ORATORIO](2009/06/29 11:03)
[9] 第7話/剣との出会い、風のデットスピード[ORATORIO](2009/06/29 11:05)
[10] 外伝 第2話/三魔騎士、大暴れ[ORATORIO](2010/01/12 10:46)
[11] 閑話/闇のゲーム[ORATORIO](2010/01/12 10:51)
[12] 第8話/Shout in the Moonlight ‐ 第一楽章=キュルケの奮闘と見つめる男 ‐[ORATORIO](2010/04/27 18:17)
[13] 第9話/Innocent Trap -第一楽章=タバサの復讐-[ORATORIO](2009/06/29 11:08)
[14] 第10話/Silent Shout -第一楽章=それぞれの『音楽』、『土くれのフーケ』の襲撃-[ORATORIO](2009/06/29 11:09)
[15] 第11話/Break the Chain -Quartetto!魔のスクウェア!-[ORATORIO](2009/06/29 11:11)
[16] 第12話/舞踏会 ~王の来訪~[ORATORIO](2009/06/29 11:13)
[17] 第13話/ステンドグラスの破壊者[ORATORIO](2009/07/11 11:35)
[18] 第14話/王女の心、ルイズの願い[ORATORIO](2009/07/12 01:18)
[19] 第15話/空の港での騒動[ORATORIO](2009/07/24 12:10)
[20] 第16話/優しい魔皇は闇に堕ちる。[ORATORIO](2009/10/11 02:54)
[21] 閑話/力を求めるメイドと封印されしモノ[ORATORIO](2010/04/23 16:58)
[22] 第17話/ヒカリ 前編 ~闇の中でも響く声は~[ORATORIO](2010/01/17 14:08)
[23] 第18話/ヒカリ 後編 ~光満ち溢れる時~[ORATORIO](2010/08/11 13:57)
[24] 第EX話/スピンオフ(っていうか外伝)予告[ORATORIO](2009/03/15 19:08)
[25] EX-000/ゼロの使い魔 ‐Roots of the King‐ 000[ORATORIO](2009/05/29 14:59)
[26] EX-001/ゼロの使い魔 ‐Roots of the King‐ 001[ORATORIO](2009/05/29 21:54)
[27] 第EX話/スピンオフ(っていうか外伝)予告2[ORATORIO](2009/05/29 13:43)
[28] 第EX話/スピンオフ(っていうか外伝)予告3[ORATORIO](2009/06/10 23:25)
[29] 第EX話/スピンオフ(っていうか外伝)予告4[ORATORIO](2009/06/10 23:32)
[30] ゼロの使い魔 -Root of the King- 主題歌/Fate of the king[ORATORIO](2009/07/13 10:47)
[31] キャラクター紹介[ORATORIO](2009/06/11 00:13)
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[5505] 第9話/Innocent Trap -第一楽章=タバサの復讐-
Name: ORATORIO◆64b313bb ID:357d39a9 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/06/29 11:08
第9話/Innocent Trap -第一楽章=タバサの復讐-


「まったく…あのバカは!なんでキュルケになれなれしいのよ!」

ルイズは怒りながら自分の部屋に戻る途中である。

怒っている理由は数分前の食堂での出来事だ。

授業を終えると、自分が注文していた荷物が届き、渡に運ばせようとして、食堂で渡を見つけた時、渡はキュルケと楽しそうに話をしていた。

(実際はキュルケが何かを話す度に真っ赤になって、それを渡が受け答えしていただけ)

それにルイズは怒り狂い、食堂を爆破させて部屋に戻っている途中だ。

「キュルケもキュルケよ!なんでワタルを誘惑すんのよ!ワタルのどこが良いわけ!?」

ルイズはもはや知っていた。キュルケが渡に近づこうとしているのはキュルケが本当に渡に『恋』をしているからだ。

あの姿はいくら自分でもわかる。

キュルケが時々スゴク可愛く見えるのが嫌で嫌で仕方ない。

「あんないつもニコニコ笑ってて!いつも的外れなこと思いつくあの泣き虫…」

そこでルイズは足を止める。

(なんで…私、ワタルの事泣き虫って思うんだろ)

ルイズは渡がキバに変身するのを3回見ている。

最初はギーシュとの決闘。

2度目はタバサのシルフィードに追いかけられた時。

3度目は突然変異のオーク鬼に襲われた時だ。

最初の時から段違い…いや桁違いの強さを見せ付けられた。

でも、次々にあいつに驚かされる。

2度目の時の黄金のゴーレム『ブロン』。

3度目の時のバカ狼との融合。

アレだけ強力な存在を従えさせている。

渡が本当に『王』であっても自分は簡単に受け入れるだろう。

もし、敬意を払えといわれたらそうしてしまうかもしれない。

でも…何故か時々見せる悲しい顔…それをルイズは忘れられなかった。

「いったい…ワタルに何があったんだろう…」

(ご主人様である私にも言えないことなの…そんなに…私は頼りないの…)

そう思った時、

「…動かないで」

「!?」

いきなり杖を向けられて、ルイズは驚き止る。

「タ、タバサ…!?」

自分に杖を向けているのは先日自分達を襲ったタバサだった。

「喋らないで、一緒に来てもらう…」

表情こそいつものように無表情だが、目には憎悪の光だけが見えていた。




ガチャッ

「ただいま。ルイズちゃん、まだ怒って…あれ?」

「なんだいねぇのか?」

渡とキバットは食堂での片付けを終えて部屋に戻ってきた。

「まだ怒ってるのかな?でも、なんで怒ったんだろ」

「さあな~」

キバットはルイズが起こった原因を理解しているがあえて言わない。

(できれば渡自身がルイズ達の事に気付かなきゃな。その時、渡の『呪縛』が解ければいいんだが…)

そう、思いながらキバットが部屋を飛んでいると

「渡、なんかベットに手紙があんぜ。ふむふむ、『ワタル・クレナイへ』って書いてる」

キバットはこっちの言語をすでに覚えている。

「なんて書いてあるの?」

「ちょっと待てよ…ふむふむ…って!?大変だぞ渡!」



学園から馬で一時間くらい離れた森の中にある広場に囚われたルイズとタバサはいた。

「ちょっとタバサ!こんな事をしてもいいと思ってんの!?」

「………」

先程からタバサはいつもの無表情でルイズを見ている。そしてルイズを見張るように、タバサの使い魔・シルフィードもルイズを見ている。

「私はヴァリエール家の者よ!留学生のあんたがこんな事をしたら戦争…」

「かまわない」

「えっ?」

「戦争になっても…かまわない。それより答えて」

(まただ…)

ルイズはタバサの目を見る。

(私を見る…怖い眼…なんでこんな眼をするの…)

「あなたはあの男と契約して何を得たの。何を代償としたの」

「え?」

「答えて。あの男をこの学園に呼び寄せて何をするきなの?」

「…そんなの決まってるじゃない。あいつは私がサモン・サーヴァントで呼び寄せた…」

「嘘」

明らかな拒絶。

「まあいい…あの男から聞き出す」



『あなたの母親は私の仲間の『毒』で狂わせております』

『あなたの母親はその者の意思で解くか、その者を殺さぬ限りあの狂った心は治りませぬ』

『何故教えるかですって?そうですね。戯れですよ。長き時を生きる我等、家畜のもがく姿を見て楽しむのも一興』

『覚えておきなさい。母親を治すにはある者を一人殺せばいい。ああ、その者は自分で見つけてください。私は手出ししませんので』

『ああ、ヒントは出しておきましょう。ヒントはこの『紋章』をどこかに模ってる事と…』



「きた…」

タバサは森の方へと向く。

すると森の方から

「ルイズちゃん!タバサちゃん!」

「おいおい、本当かよ…」

渡とキバットがやってきた。

「タバサちゃん!なんでこんな事を…」

ヒュバッ!

近づこうとする渡に一刃の鎌鼬が襲い、渡の頬を掠めた。掠めた頬から血が流れる。

「うっ!?」

「ワ、ワタル!?」

「動かないで。動いたら…」

タバサはルイズに杖を向ける。

「次はあなたの主人を斬る」

「…わかったよ」

渡はその場で立ち止まる。

「ねえ、なんでこんな事をするの。タバサちゃん」

「………」

渡はタバサの『音楽』を聴く。聞こえてくるメロディは

(なんて…なんて『悲しい音色』なんだ)

以前にも増して悲しく奏でる彼女の音色…何故彼女のような幼い少女がこんな音楽を奏でるのだろう。

「質問に答えて」

「その前にお願いだから教えて。なんでルイズちゃんを攫ったの?」

タバサは渡を睨んで

「あなたと契約しているから」

「僕が…何かしたの?」

「それはこれから聞きたい…あなたが…」

タバサはその無表情とは真逆とも言える憎悪で、

「あなたが、『ビショップ』なの」

最も憎い名前を言った。

「ビ、ビショップ…?」

(何故…)

渡の脳裏に眼鏡をかけた狂信者が映る。

「何故タバサちゃんがその名前を…」

「…!?」

ヒュパパパパッ!

「ぐぁっ…!?」

タバサが杖を振ると、今度は無数の鎌鼬が渡を襲い、体を切り裂いた。

血が強く流れ、渡はその場に膝を突く。

「渡!」

「ワ、ワタル!?タバサ!あんたなんてことするのよ!」

「うるさい。黙ってて。あなたは後…」

タバサの凍りつくような冷酷な声は異様に辺りに響いた。使い魔であるシルフィードも驚いている。

タバサは渡に近づいていく。

「あなたが『ビショップ』なの?」

「…ちがう。僕は『ビショップ』じゃない」

「じゃあ『ルーク』?」

「!?」

その名にまた渡は凍りつく。その反応を見たタバサは杖を振る。

ドガンッ!

「グガッ!」

渡に強烈な衝撃、『エア・ハンマー』が襲う。

「答えて。『ビショップ』はどこにいるの」

渡はタバサの問いに

「ぼ、僕が…僕が殺した…」

真実を答えた。

「嘘」

ドガンッ!

再び『エア・ハンマー』が渡を襲う。

「どこにいるの…」

ドガンッ!

再びタバサは『エア・ハンマー』を落とす。

「どこにいるの…」

ドガンッ!

「渡!?」

「キ、キバ…ット…来ちゃダメ…タ…バサちゃ…んを傷つけちゃ…」

ドガンッ!

「や、やめてタバサ!やめてよ!」

ドガンッ!

タバサは容赦なく渡を責める。

(やっと見つけた…やっと見つけた…ずっとずっと探していた…手掛かり…)

「『ビショップ』は…!どこにいるの!?」

一瞬だけ、タバサは感情を露わにし、再び渡に『エア・ハンマー』を叩きつけた。



『男』は今日も『皇帝』を見ていた。

いつも通り学園にいる『皇帝』を覗き見ていたのだが、顔色を変えて森に入っていくのを見て、つけてきたのだ。

そして、今、男は怒り狂っていた。

「あの人形…!人形の分際で…!麗しきあのお方に…!なんて事を…!なんたる無礼…!母親共々狂わしておけば…!…殺してやる…殺して、犯して、切り刻んで、ミンチにして…」

『男』は手から光を出す。地面に触れた光は、どんどん形を変え、そこに丸く黒い体に無数の触手。そして丸い体の中心に一つ目の大きな眼を持った化け物をだした。怒り狂っているとはいえ、自分や同士をまだ『皇帝』に謁見する事をよしとしない事を『男』は理解している。

「あの人形をつれて来い!お前の手で嬲りながら!泣き叫ばしてつれて来い!私直々の手で!!殺して!殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して!コ・ろ・シ・て・ヤ・る!」



「タ、タバサ…ちゃん」

何度目かの『エア・ハンマー』を受けても、渡はまだ意識を失っていなかった。

「どうして…『ビショップ』を探しているの…」

「………」

タバサは憎悪の眼を渡に向け続ける。

「僕の事は…殺してもいい」

「おい、渡!」

「ワタルッ!」

「それで、君の『音楽』が少しでも泣きやむのなら…」

「…『ビショップ』は、どこ?」

「僕の知っている…『ビショップ』は…確かに、僕の手で殺した…」

『!?』

渡はボロボロの体で立ち上がった。

「君が、なぜそこまで『ビショップ』を恨んでいるのか僕にはわからない。でも…僕でよければ…」

渡はタバサの瞳を真っ直ぐ見て、

「君を助ける事はできないかな」

渡の瞳と言葉を聞いてタバサは一瞬たじろいだ。

その時!

『キィィィィィィィィッ!』

バキャバキャバキャッ!

突如、鳴き声ともいえない金きり音が響いた。

木々をなぎ倒しながら黒い一つ目の化け物が現れた。

「なによ…あれ…」

「くっ…」

タバサはすぐに杖を構え、化け物に魔法を向けるが、

『キィィィィィィィィィッ!』

化け物から無数の触手が襲う。

「ん!?」

タバサは『エア・カッター』で触手を切り裂くが切った触手は一瞬で再生し、タバサに巻きつく。

『きゅいっ!』

シルフィードも化け物に向かうが、同じように触手がシルフィードの体を巻きつけ、締め付ける。

『きゅいぃぃぃぃぃっ!』

完全にシルフィードを捕らえると、化け物は主人の命令通り、タバサを嬲る為触手の力を強めようとしたが、

「タァッ!」

タバサを捕らえていた触手が全て斬り落とされる。

『相棒!相変わらず派手な敵相手にしてんな!』

斬り落としたのはデルフリンガーを持った渡だった。

「タバサちゃん!大丈夫!?」

渡はタバサにケガが無いか調べる。

「よかった…ゴメン。ルイズちゃんの縄を斬ってたから…」

「…なんで…」

「タバサちゃん!速く離れて!あそこにいるルイズちゃんの所に!キバット!」

「渡~、大丈夫なのか?」

「うん…簡単にやられない事くらい、知ってるよねキバット」

「…………」

「いくよ!」

「おう!」

ガブッ!

「変身!」

渡はキバに変身する。変身するとすぐにフエスロットルに手を伸ばし、緑色のフエッスルを取り出す。

「こういう変則的な動きをする奴にはこいつだ」

キバットは緑のフエッスルを咥え、

「『BASSHAA MAGNUM』!」



『♪~♪~♪~』

「ええ~!」

ラモンは笛の音を聞いて持っていたフォークとナイフをテーブルに置いて叫ぶ。

「呼び出しだな」

「そう、だな」

「なんでご飯の時に!」

「安心しろ」

「俺達が、食っといて、やる」

「そんな~!」

ラモンが嘆く。

「大丈夫ですよ。ちゃんと取っておきますから」

シェスタがラモンを優しく宥めた。

「ホント?ホントだよシェスタ」

「はい。ほら、ほっぺにソースがついてますよ」

シェスタはハンカチでラモンの頬についていたソースを拭いた。

「へへ、じゃあ行って来るね」

そこでシェスタの雰囲気が少し変わる。

「いってらっしゃいませバッシャー様。御夕食を温めてお待ちしておりますので、どうか御武運を」

ラモンはご機嫌に鼻歌を歌いながら緑の半漁人・バッシャーに姿を戻し、

ビカッ!

緑の彫像となり、『王』の元へ向かった。



「てや!」

『きゅいっ!』

キバはシルフィードに絡んでた触手を切り落とし、シルフィードを開放する。

そこにタイミングよく光の塊がやってきた。

ドガッ!

『キィィッ!?』

光は一度化け物を殴ってからキバに近づく。

光が解け、緑の彫像が姿を現す。

キバはそれを右手で掴むと、彫像は形を変え、魔海銃・バッシャーマグナムとなる。

バッシャーマグナムが変形を終えると、ガルルセイバーと同じように鎖(カテナ)が巻きついていく。

鎖が弾け飛ぶと、装甲板・バッシャースケイルで覆われた右腕が現れる。

強靱なバッシャーの鱗が変質した装甲は、通常武器では歯が立たぬほどに硬質へと化している。

胸に鎖が覆われていき、同じように弾け飛んだ時には同じように緑に変質していた。

キバットの目も緑色に変色し、最後に一瞬だけバッシャーのの幻影が現れ、キバに吸い込まれるように消えると、キバの目も緑に変色した。

キバの遠距離・水中戦形態バッシャーフォーム。

キバはバッシャーマグナムの引き金を弾いた。



「今度はオコチャマと…」

どうやらあの3人の悪魔はただ戦うだけじゃなく、全てがキバをサポートする『武器』のようだ。

しかし、今回のあのオコチャマが変形した武器はこの世界にないものだった。

銃のようだが、銃にあんな連射機能はないし、水を撃ち出すこともできない。

そもそも、あの水はどこから…

いや、今はそれよりも

バシッ!

「タバサ!あんたワタルになんてことしてくれたのよ!?」

「…………」

タバサは何もせずに黙っている。

「いい!貴方が一体何を勘違いしたのかは聞かない!でもコレだけは覚えておきなさい!」

ルイズはワタルを助けられなかった不甲斐無さも含めて言う。

「ワタルは決して誰かを不幸にしようとはしない!ワタルは誰も自分から傷つけようとしない!」

自分の使い魔は誰かを不幸にするくらいなら、自分が不幸になる。誰かを傷つけるくらいなら自分が傷つく。

あのお人よしは…

「あいつはバカみたいに『優しい』の!だから覚悟しなさい!ワタルを傷つけるなら…アンタがどれだけスゴイ魔法が仕えようと!私はアンタと戦うわ!」

(そう、私はあいつの『ご主人様』なんだから!)



ドンドンドンドンッ!

キバはバッシャーマグナムで不規則な動きの襲ってくる無数の触手を射ち落としていく。

この間、一度も水弾・アクアバレットを外していない。アクアバレットはアクアインテークから大気中に存在する水素酸素を強制吸入して精製される為、無尽蔵に撃てる。

なぜキバがこの遠距離・水中戦を得意とする形態になったのはバッシャーの『能力』が必要だったからだ。

キバは研ぎ澄まし、スペシャルな感覚を呼び覚ましている。

このバッシャーフォームの形態が得るのは何も水中戦の能力だけは無い。

この形態に変化する事でキバは恐ろしい程の超感覚と水のようにしなやかな知性を得る。

その能力を合わせればどうなるか?

キバは耳を澄まして聞き取っている。

一秒後に起きる未来を!

ドンッ!バシュッ!

『キィィィィィッ!』

目玉の中心にアクアバレットが撃ち込まれ、化け物がひるむ。

キバはバッシャーマグナムをキバットに近づける。

「いまだ!『BASSHAA BYTE』!」

ガルルセイバーの時のように、キバットが噛み、魔皇力を最高まで高める。

「ハァァァァァッ!」

周りの森の木々が揺れる。

キバがバッシャーマグナムを構えなおすと世界に夜が訪れる。

たった一つの半月の世界。

みるとキバの足元が湖のようになっていく。

湖は広がり、半月を怪しく反射させる。

これはバッシャーフォームの能力。水のない空間にも疑似水中環境・アクアフィールドを生成し、自身の能力を最大限にまで高める。

その気なら本当に湖を造ってしまい、水中戦をする事もできる。

湖の上に立ち、半月の光を浴びるキバの存在感は絶対だった。

キバの眼が一瞬光ると、トルネードフィンを高速回転させる。

周囲に生成したアクアフィールドに竜巻を起こる。

キバはその竜巻の中で化け物をロックオンすると、バッシャーマグナムの発射口から禍々しい銃弾が膨張する。

そしてキバは、

ドキュゥゥンッ!

引き金を引いた。

『キィィィィィィィィィッ!』

ドバンッ!

意思を持ったように追い詰める銃弾『BASSHAA AQUA TORNADO』が化け物に直撃する。

撃ち抜かれた直後、バッシャーの顔の輪郭が光った。

化け物の動きが止まる。

キバはそれに優々と近づいていき。

「ふん」

チョンッ…バキィィィィィンッ!

化け物が砕け散った。

戦闘が終わり、キバは渡へと戻る。

バッシャーマグナムも彫像に戻るが、彫像は光と共にラモンへとなる。

ラモンも以前次狼のように渡に対して頭を垂れたれた。

そして頭を上げると

「お兄ちゃんボロボロだね」

「はは、そうだね」

「もー気をつけてよね。お兄ちゃんが死んじゃうと多分僕達元の世界に戻れないんだから。それと…」

ラモンはタバサを見る。

「あの子もやっつける?」

「ううん。多分理由があると思う。それと…」

「なに?」

「僕ちょっと倒れるから、追撃が来ないかどうかの見張りと、タバサちゃんの質問に答えてあげて」

「仰せのままに」

ドサッ

渡は膝をついてそのまま倒れた。

「ワタル!」

「大丈夫。お兄ちゃんならすぐ直るから。とりあえず次狼達も呼んでお兄ちゃんを運ぼう」

ラモンはルイズにそういうと、タバサに近づく。

「お兄ちゃんの命令だから君の命は取らないで上げる」

ラモンの怪しい笑みにタバサは少しだけ身構える。

「それと、僕等の知ってる事ならなんでも話してあげるよ。それで誤解を解いてくれるとうれしいな」



その後、次狼と力が駆けつけ、渡はキャッスルドランの天守に運ばれた。

ルイズとキバットが看病についている。

タバサとシルフィードは広間に案内される。シルフィードが興味深そうにきょろきょろしている中、タバサは次狼達に説明を聞いた。

「これで俺達の説明は以上だ。渡が知っているビショップは向こうで戦った奴等だ。こっちの世界ではそんな奴等にはあっていない」

「そう…ごめんなさい」

「それは渡に言え。しかし、『ビショップ』に『ルーク』か…」

「まるで『チェックメイト・フォー』みたいだね」

「それ、誰から、聞いた?」

力の問いにタバサは俯き、

「『ナイト』…って男から」

「ナイト、か。まぁ気にはなるが、渡がどう動くかだな」

「渡様が、ですか?」

次狼は苦笑する。

「渡の奴はこの小娘を助ける気でいるみたいだがな…まあ、考えても仕方ない。飯の続きといくか」

「あ、シェスタ!ご飯は!?」

「はい、新しいのをご用意しております」

「さっきのは?」

「えっと、後で持っていこうと給仕室においてますが」

「勿体無いよ。お客さんも来たし食べちゃおう」

「おう」

「ねえタバサちゃん。何か食べたいものある?あっ、シルフィードちゃんって何食べるの」

ラモンはタバサにたずねる。

ラモンはシルフィードに興味津々らしい。

「シルフィードはお肉。私はいい。あの人を見てくる」

そういってタバサは天守に向かった。


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