序章/夢の中の王
私は、暗い回廊を歩いている。
そこがどこかはわからない。
ただ、壁に施された装飾や回廊の長さから、貴族の屋敷などではなく、もっと位の高い…そう、『城』だと思う。
どれだけ歩いただろう…やがて、大きな扉の前に私はたどり着いた。
大きな扉…しかし、その扉にも細やかな装飾が、隙なく施されている。
(ここが『城』だとしたら…これは『王の間』ね…)
私が扉の前に立つと、扉はひとりでに開いていく。
そして扉の向こうには玉座が…
「…!?」
私は『ごくりっ』と息を呑んだ。
『王の間』の玉座に座っていたのは、眩いばかりの輝きを持つ『黄金の王』だった。
そこで私は射し込む朝日によって目を覚ました。
そして、随分先にわかることなんだけど…
今日、私は悲しいくらい優しくて、
本当は闘う事も嫌いなクセに自分ばかりが傷つく、
泣き虫な『王様』を呼び出した。