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No.4177の一覧
[0] 醜い蒼髪の姫君(ゼロの使い魔)[ヤッタラン](2008/09/14 22:42)
[1] 醜い蒼髪の姫君 第二話[ヤッタラン](2008/09/22 07:46)
[2] 醜い蒼髪の姫君 第三話[ヤッタラン](2008/09/22 07:47)
[3] 醜い蒼髪の姫君 第四話[ヤッタラン](2008/09/22 07:49)
[4] 醜い蒼髪の姫君 第五話[ヤッタラン](2008/09/22 07:50)
[5] 醜い蒼髪の姫君 第六話[ヤッタラン](2008/09/18 20:14)
[6] 醜い蒼髪の姫君 第七話[ヤッタラン](2008/09/23 19:48)
[7] 醜い蒼髪の姫君 第八話[ヤッタラン](2008/09/22 08:08)
[8] 醜い蒼髪の姫君 第九話[ヤッタラン](2008/09/22 08:10)
[9] 醜い蒼髪の姫君 第十話(改訂)[ヤッタラン](2008/09/22 19:32)
[10] 醜い蒼髪の姫君 第十一話[ヤッタラン](2008/09/23 19:52)
[11] 醜い蒼髪の姫君 第十二話[ヤッタラン](2008/09/24 19:56)
[12] 醜い蒼髪の姫君 第十三話[ヤッタラン](2008/09/30 00:42)
[13] 醜い蒼髪の姫君 第十四話[ヤッタラン](2008/09/28 21:09)
[14] 醜い蒼髪の姫君 第十五話[ヤッタラン](2008/09/30 00:37)
[15] 醜い蒼髪の姫君 第十六話[ヤッタラン](2008/09/30 01:07)
[16] 醜い蒼髪の姫君 第十七話[ヤッタラン](2008/10/04 05:25)
[17] 醜い蒼髪の姫君 第十八話[ヤッタラン](2008/10/06 23:21)
[18] 醜い蒼髪の姫君 第十九話 改訂[ヤッタラン](2008/10/07 09:02)
[19] 醜い蒼髪の姫君 第二十話[ヤッタラン](2008/10/10 23:20)
[20] 醜い蒼髪の姫君 第二十一話[ヤッタラン](2008/10/16 09:35)
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[4177] 醜い蒼髪の姫君(ゼロの使い魔)
Name: ヤッタラン◆a583f4f3 ID:9e06a1ef 次を表示する
Date: 2008/09/14 22:42
その日、ガリア王国の王宮たるヴェルサルテイル宮殿は普段の壮麗さを失い、喪に服す空気に包まれていた。


本来ならば現国王にとって初孫にあたる王女の誕生を祝うべきであったが、
それを最も喜ぶべき人物達の訃報となれば致し方なかったであろう。




全ては一週間前、生まれた王女の父親に当たるガリア第一王子のジョゼフが宴の席に毒を盛られたことに始まる。


それより昏睡状態の続いていた王子であったが、治療の甲斐も、愛娘の誕生を看取ることもなく死亡したのが三日前。

さらに第一王子妃も出産による衰弱と夫の訃報による絶望の末に先程、昨日生まれたばかりの赤子を残しこの世を去ってしまった。




程なく行われた葬儀は、ガリア中の貴族と周辺国の王族が集まっての大規模なものであったが、
それとは裏腹に王子夫妻を悼む声は……





 「………王位の継承はシャルル王子に絞られたことは安堵すべきであろう。少なくともそれに反発する者もおるまい………」

 「………あのジョゼフ王子が継ぐことを考えればそれは当然………」

 「………声が大きゅうございます。」
 



才覚溢れた弟と違い、魔法の才は皆無。暗愚の極みとすら噂されてた第一王子を哀れこそ思えども、悼む声は少なかった。





唯一の兄弟を失ったシャルルにもその声が聞こえていた。

できるものならこの場でそやつらを打ち首にでもしてやりたかったが王のいる手前、まして葬儀中に狼藉を働くわけにはいかなかった。

何より兄と義姉の棺を前にそのような真似はけしてできなかった。


 (そしてこの子の前でもな…………)


シャルルが目を向けた横、愛しい身重の妻の両手に抱かれている赤子は眠っていた。

思わずその頭を撫でると軽く身じろぎする姿に思わず目を細める。



既にこの子を娘として養育することを宣言し、王からも了承を得ている。

兄上達の喪も明ければ、その時こそは盛大に祝ってやりたい。



 「兄上、義姉上……。この子は……、イザベラは私がきっちりと育ててみせます………。
始祖ブリミルに誓って………。どうかご安心下さい………。」



兄夫婦の棺にそう誓うシャルル。






 果たしてそれが如何なる結末となるか………。

 誓われたほうの始祖ブリミルにも定かではなかった………















それから十二年の後…………

 











ガリア王国王都リュティスにほど近い王宮ヴェルサルテイル。

ハルケギニア一の大国を治める王の居城はそれにふさわしい偉容を誇り、現在も拡大を続けているとすら言われる。



その王宮にはここ数年、新たな名物が生まれつつあった。

但し、これを名物と言うには語弊が多く、ましてそれを公然と口にする者は誰もいない。





突如宮殿を爆音が轟き、土煙がたなびく中、尻を叩かれたように森を一斉に飛び立つ鳥の群れ。

王宮内にいる者達はそんな中慌てる様子もなく、皆煙の方向を向き同じ感想に至っていた。








曰く、「またイザベラ様のアレか」と………














 ガリア王国第一王女イザベラ・ド・ガリア。


 

宮廷社会では「ガリアの無能姫」と蔑称される姫君である。


曰く、彼女のケチのつけ始めは誕生の前後に両親を相次いで失うことに遡る。

両親の死後、彼女は叔父である第二王子のシャルルの養子となり、
その二年後に誕生したシャルロットと共に育てられることとなった。 
 


しかし彼女の不運はさらに続く。



 
生前の実父ジョゼフは魔法の才が皆無であり、半ば公然と無能と蔑まれていた。


そしてその忘れ形見であるイザベラも亡父同様魔法の才に恵まれなかった。

四大系統はおろか、初歩のコモン・マジックのどれを試してみても、起きるのは魔力の暴走と思われる爆発のみ。

大地に大穴をあける程の力であるから魔力そのものの存在は確認出来はしたが、
魔法として一度も成功できない以上、無能呼ばわりされても仕方がなかった。




その一方で妹(正確には従姉妹)がこちらも親に似て、魔法の才が溢れんばかりとなれば、周囲の反応は火を見るよりも明らかである。


ましてハルケギニアの中でも魔法国家として名高いガリアの王女ともなれば。





 曰く「出来損ない」

   「無能者の子は所詮無能」

   「ガリア王家の面汚し」等々。






曲がりなりにも王族直系の手前と箝口令によりハルケギニア中に広まるとまではいかなかったものの、
ヴェルサルテイル宮殿内では公然と囁かれる始末であった。

 
彼女の知る者の中で無能呼ばわりしないのは家族と呼べる王と養父母、妹だけであった。



僅かでも庇ってくれる家族に報いるため、イザベラは努力した。


ひたすら切磋琢磨し、座学に打ち込み、ひたすら励んだ。

発生する爆発の詳細を記録し、あらゆる書物を読み漁り、研究に勤しんだ。


辛うじて発生する爆発のコントロールこそ可能にはなったものの、
それ以上の進展はまるで見られなかった。



そして今日もイザベラ・ド・ガリアは既に穴だらけとなった宮殿北部の元森林、現練習場で派手な爆発を引き起こしていた。





 

side:イザベラ






   
立て続けに起きていた爆発音が鳴りやみ、漸く宮殿に静けさが戻る頃、出来たばかりの大穴の側で私は大の字で倒れていた。

胸を大きく上下して呼吸を整え、そろそろ起き上がろうとした時、目の前に濡らした布が差し出された。


「練習おつかれ様です、姉様。どうぞ……」

太陽を遮るように二つ年下の妹シャルロットの顔があった。いつも練習が終わるタイミングを計ってこうして持ってきてくれる。

「ありがと………」

まだ荒い息を整えつつ布を受け取り顔をぬぐう。程良く冷えた布の爽快感に一息つき、顔の汚れをぬぐい去る。

上半身だけを起こしたところ、腰まで延ばした髪についた埃をシャルロットが払い落とし、取り出した櫛ですくってくれる。


思わず目を細めてしまう気持ちよさに任せること暫し、

「きれいになりましたよ姉様」

「ん………、ありがとシャルロット」

お礼とばかりにシャルロットの頭を撫でる私。

それに子犬のように撫でるがままにされるシャルロット。


一部では「人形のように冷たい」等と影で言われることもある妹だが、
目の前の姿はそれを微塵も感じさせない。

幼い時からの甘えん坊がそのまま大きくなったとしか感じない。





「さて、そろそろ王宮に戻らないと、ンーーーーッ」

立ち上がりスカートの埃を落とす。ついでに軽く伸びをすると思わず声が出てしまう。

「姉様、はしたない」


横から妹の注意が飛ぶが頭をもうひと撫でしてさり気なく誤魔化す。

半目ながらも僅かに朱のさした妹の表情が結果を物語っていた。












夕食を済ませた後はいつも通り王宮内の図書院で読書と座学。勿論シャルロットも一緒だ。


普段から私達しかこの時間帯を利用していないだけあって他の気配など一つも感じない。

ここの蔵書はガリア建国以来六千年かけて王家が収集したもので、
始祖の時代のもの等、宝物殿に保管される一部を除きありとあらゆる書が保管されている。

勿論王家や貴族等限られた人物しか立ち入ることも許されぬが、私達姉妹は日頃から自由に閲覧している。






ふとシャルロットの手元を見る。

読んでいるのは妹お気に入りのイーヴァルディの物語。

昔お父様がよく読み聞かせてくれたものだ。



妹の、そのイメージの割にロマンチストであることはあまり知られない事実だが、私は羨ましくもそうあるべきだと思う。

少なくとも非情な現実(主に魔法関連で)を思い知らされているいるつもりの私には縁のない話だ。



第一私ではとても似合わない。





それに対し私の周囲には経済と政治に関する書物やらが塔を築いてる。

因みに手元にはある大成したゲルマニア商人の回顧録だ。




魔法の才のない私がここ最近座学で力を入れているのがこういった政務と運営に関するものだ。


いずれ嫁に出すという名目で王家から追い出される予定であろうが、魔法の才無しのという駄馬扱いされるつもりはないし、
出来ることなら国政や王立学院などで働いてみたいという希望もある。




実をいうといい加減魔法には見切りをつけるべきだと常々思ってはいる。


爆発のコントロール以外まるで成果も見られない魔法よりこちらの方がよっぽど向いているのは確かであるし、
事実お父様達もそれに賛成してくれている。


それなのに、今度こそ成功するはず、もう一度とあきらめきれずに未だに魔法の練習を続けているのが現状だ。



我ながら往生際の悪い限りだと思わず苦笑する。







ふと再びシャルロットを見るとうつらうつらと舟をこいでいる。

窓から見える月の高さと季節から考えると結構な時間だ。


「シャルロット、寝てるよ、シャルロット……」

軽く肩を揺らして起こす。

「………ぅーーん。…あ……姉様………」

「風邪をひくから寝なさい。あたしはもう少ししてから寝るし、一人で戻れるね?」

とたん寝ぼけ眼のシャルロットの顔がふくれっ面になる。

「………もう子供じゃありません……………」

「はいはい………」

軽く頭を撫でた後図書院の入口まで付きそう。

ふらついていたシャルロットも夜風で少しは目が覚めたらしい。




「お休みなさい、姉様」

「うん、おやすみシャルロット。あたしも適当に切り上げて寝るよ」


コク、と頷き寝室の方へ向かう妹を見届け再び本の元へ戻り、
先に読み切れなかった本を片づけてから読書と座学を再開する。

以前片づけを怠り父上にこっぴどく叱られて以来習慣となっているものだ。








 あくびをこらえつつ自室に戻る。

うっかり寝入っていたところ当直の司書に起こされて図書院を後にしたところだ。

シャルロットには見せられないな、と思いながら人気のない回廊を進むと向こうからメイドが一人近づいてきた。



「姫様、まだ起きておられましたか」



道を譲り、深々と礼をしてくるメイドに適当な相づちを打ちながら立ち去ろうとするその時だった。






「お休みなさいませ……、永遠に………っ!」








 突風の如くメイドが私めがけて襲いかかってきた。




















――――――――――――

はじめまして、初投稿のヤッタランです。

ごらんの通りゼロ魔再構成です。まさかのイザベラ主人公。

イザベラやシャルロットの名前、性格など改変、捏造、妄想、ご都合主義等々何でもありですが
今のところクロス、憑依などの予定はありません。

あと説明過剰っぽいなのは仕様です。生暖かい目で見てやって下さい。

誤字脱字、ご感想、ご意見などございましたらどうぞ宜しくお願いいたします。


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