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No.372の一覧
[0] フロントミッションゼロ File31~(FM3×ゼロの使い魔)■完結■[Shinji](2007/12/28 09:56)
[1] フロントミッションゼロ File32(FM3×ゼロの使い魔)[Shinji](2007/11/23 06:23)
[2] フロントミッションゼロ File33(FM3×ゼロの使い魔)[Shinji](2007/11/27 05:18)
[3] フロントミッションゼロ File34(FM3×ゼロの使い魔)[Shinji](2007/11/30 04:11)
[4] フロントミッションゼロ File35(FM3×ゼロの使い魔)[Shinji](2007/12/02 06:01)
[5] フロントミッションゼロ File36(FM3×ゼロの使い魔)[Shinji](2007/12/04 14:02)
[6] フロントミッションゼロ File37(FM3×ゼロの使い魔)[Shinji](2007/12/06 09:01)
[7] フロントミッションゼロ File38(FM3×ゼロの使い魔)[Shinji](2007/12/09 05:59)
[8] フロントミッションゼロ File39(FM3×ゼロの使い魔)[Shinji](2007/12/14 11:41)
[9] フロントミッションゼロ File40(FM3×ゼロの使い魔)[Shinji](2007/12/28 11:01)
[10] フロントミッションゼロ あとがき[Shinji](2007/12/28 10:04)
[11] フロントミッションゼロ 自己満足な補足(余裕がある方だけどうぞ)[Shinji](2007/12/28 09:58)
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[372] フロントミッションゼロ File38(FM3×ゼロの使い魔)
Name: Shinji◆9fccc648 ID:d3c81d75 前を表示する / 次を表示する
Date: 2007/12/09 05:59
Front mission Zero
File38:ゼロの覚醒


和輝達の登場で一気に優勢となったトリステイン側。

現在、地上の敵部隊はキュルケの鉄騎を先頭に、魔法騎士団の追撃を行っている。

ロングビルは未だに10匹前後の亜人兵を相手にしているが、
未だに砲撃が止んでいないとは言え、全滅させるのは時間の問題だろう。

そして空で竜騎士を相手にしている和輝とウェールズだったが、
戦闘ヘリのスピード&パワーとタバサの狙撃により、こちらも圧倒的に優勢。

地上制圧部隊が壊滅している事から、生き残りの魔法衛士隊と、
こちらに寝返ってくれた火竜騎士団も加わっており、数においても負けていない。

ロングビルを狙っていた竜騎士団が、ゼニスの撃破を諦め、
和輝達の方へと向かってくる事もあったが、それも些細な抵抗にしか過ぎなかった。


『あらかた、片付いたな。』

「……あぁ。 もはや敵の竜騎士達は、我々が相手にする必要は無いかもしれない。」

『そうなると、後は戦艦か……』

「うむ……"レキシントン号"を落とさなければ、トリステインの勝利はありえまい。」


向かってくる火竜を手当たり次第に落としてしまった和輝。

今は少し余裕ができているようで、氷竜に乗るウェールズを横に会話をしている。

その内容の通り、レコン・キスタの旗艦を落とすのが最も重要だ。

故に逃げ腰の残りの火竜達は魔法衛士隊に任せ、攻撃目標を戦艦へと移そうとした時だった。


≪――――バササッ≫


「……カズキッ!!」

『!? ルイズかッ。』

「アンリエッタ!? どうしたんだ、危ないじゃないかっ。」

「ウェールズ様。 それも、お互い様でしょう?」


もはや聞き慣れた声がして振り返ると、近付いてくるグリフォン。

よく見るとアンリエッタが手綱を握っており、後ろには案の定ルイズが乗っていた。

和輝は攻撃を仕掛けるとき、ちゃっかりルイズが無事なのを確認していたのだが、
まさか彼女から"こっち"に来るとは思わず、言葉を選んでいると……


「わ、私も……そっちに乗せてッ!」

『……ッ!?』

「姫様っ。」

「え、えぇ……」


ルイズにとって、和輝に聞きたい事は幾つかある。

何で来てくれたのとか、怒ってないのとか、"あちら"に戻る事はどうなったのとか……

それに、"謎の竜(戦闘ヘリ)"に対する興味も大きく、恐らくこれが"竜の羽衣"なのだろう。

しかし今は説明をして貰う暇などないし、それはウェールズとアンリエッタも同じ心境。

よってルイズは、今はとにかく和輝と一緒に居たいが為に、
アンリエッタにグリフォンを戦闘ヘリの斜め下にまで寄せて貰うと……


≪――――ばっ!!≫


「レビテーションッ!!」

『ば、馬鹿野郎ッ! 危ないだろ!?』

「ウェールズ様ッ。」

「わ、判ったっ!」


グリフォンの背中でアンリエッタの肩に手を添えながら立ち上がると、"ジャンプ"した。

当然ながら彼女の手は届かないが、先程"言われていた"通りに、
アンリエッタが杖を振るって"レビテーション"を唱えると、カラダが浮かび上がり、
ルイズの両手が、ウェールズとの会話の為に開いていた横の窓の淵に引っ掛かった。

そんな中、アンリエッタに声を掛けられると、ウェールズは直感で意味を理解し、
彼も杖を振るうと"レビテーション"を掛け、ルイズの身体を更に浮かび上がらせる!


≪――――どさっ≫


その反動を利用してルイズの小さな身体は、窓から内部に侵入でき、
機内は狭いモノの、彼女は和輝の膝の上に納まった。

これでは常識的に考えればマトモな操縦など出切るモノでは無いが、
和輝の体格の良さとガンダールヴ 及び 元からの操縦力が幸いであった。

だが和輝にとって問題はそこでは無く、今の"無茶"の方が重要だ。


『全く、落ちたらどうするつもりだったんだッ?』

「転落死なんて不名誉な死に方、する訳ないでしょ?」

『そういう問題じゃなくてだな!』

「……無茶したのは判ってる。 でも、遠くで皆が戦うのを見てるダケなのは、嫌だったの。」

『だからって、こんな近くじゃなくっても良いだろ。』

「ち、近くだから……良いのッ。」

『……はぁ?』

「も、文句なら後で聞くわ。 だから、今はトリステインを守って!」

『判ってる。』

「(あれ? 思ったよりも、言われてない……)」

『(まぁ……デルフの言ってた事が本当なら、"見てるだけ"じゃダメなんだろうしな。)』


ルイズにとって彼との再会で、出会い頭に叩かれたり、もっと色々と文句を言われると思っていた。

だが、この段階では今の状況も有ってか五月蝿く言われず、少し安心したルイズ。

理由としては、和輝が過ぎた事をグダグダ言わない性格なのもあるが、
ルイズが虚無に"覚醒"するのは、レコン・キスタが絡んでいる状況という事から、
こうして和輝の元に来なければ"条件"さえ整っていなかった事を思い出したからだ。


「も、申し上げます! 旗艦より、更に敵の増援が出現ッ!」

「数50! ですが突破力が高く……と、止まりませんっ!!」

「あれはグリフォン隊だと? ……と言う事は……」

『――――ワルドか!?』


……そんな中、空が日食の接近により徐々に暗くなり始めた時。

風竜に乗るワルドが纏める"グリフォン隊"が現れ、友軍を蹴散らしながら突撃してくる。

その突破力はアンリエッタが編成したグリフォン隊の比ではなく、
ワルドに心酔した上位クラスの魔法衛士隊による部隊であり、非常に強力なものとなっていた。

故に敵グリフォン隊は、動揺する魔法衛士隊や味方竜騎士を撃ち落しながら、
敵軍を援護しつつどんどん距離を詰めて来ており……狙いは恐らくウェールズとアンリエッタ。

だが……隊長であるワルドの目には、ガンダールヴが操る"竜の羽衣"しか映っていなかった。


……


…………


『はぁあっ!!』

「グギャアアアアァァァァッ!!!!」


≪ずううううぅぅぅぅんっ!!!!≫


『これで最後ね……ミス・ツェルプストー、そちらは如何です?』

『敗走してる部隊の追撃中……ってトコロですね~。』

『そうですか。 それでは、わたくしは退いてミス・タバサの護衛に移ります。』

『りょ~か~い。』

『それにしても……鳥肌が止まりませんわ。』

『あたしも~。 ゾクゾクしちゃってクセになりそう♪』


一方、ロングビルとキュルケ。

ロングビルは最後の亜人兵を殴り倒し、キュルケはほぼ 役割を果たし終えた。

ゼニスはショットガンがあるのでまだ役に立ちそうだが、
攻撃範囲が広すぎるので、空中での乱戦では誤射率が高い故に、
火竜達が今やゼニスを恐れて向かってこなくなった今、タバサの護衛に戻るようだ。

鉄騎に関しては火炎放射の射程の短さ故に地上戦のみの活躍であるが、
初の実戦であれど驚異的な戦果に、2人とも既に満足している様子だ。


『…………』


≪ドパアアアアァァァァーーーーンッ!!!!≫


「だ、第4番艦が撃沈されましたッ!」

「5番艦も損傷拡大! このままでは危険です!!」

「ど……どう言う事だッ? 一体のゴーレムは倒せたのでは無かったのか!?」

「そ、それが再び動き始めた模様です!」

「中には人間が入っていたという報告も……」

「えぇい! わ、ワルドは何をやっているのだッ!?」

「現在、ウェールズとアンリエッタの本陣を強襲しているとの事ですッ!」

「ワルド様は"竜の羽衣"と交戦中との事!!」

「今や奴だけが頼りだ……と、トリステインの"白い悪魔"どもめッ……!」


ロングビルは法春の護衛の為に、陽動による砲撃の回避。

キュルケはもはや戦線を離れる事となったが、タバサは未だに活躍中である。

和輝達への援護は優勢により止め、今は戦艦の撃沈を行っていた。

たった今は戦艦は残り8隻となり、4隻目に著しいダメージを与えている。

レコン・キスタ側にとっては涙目と言った所であり、
クロムウェルは今や、ワルドの活躍による大将の撃破を期待するしかなかった。


――――しかし。


「ガンダールヴッ! 勝負だ!!」

『やっぱりお前か、ワルドッ!』

「ゆくぞ!(もはや、レコン・キスタの事など二の次よ……)」

『このっ!!』


≪ズダダダダダダダダッ!!!!≫


「よ、避けたわ!」

『速い!?』

「フッ、この風竜……火竜や氷竜とは速さのケタが違うッ!
 生憎 攻撃力は皆無だが……我が魔法こそ最大の武器よ!!」

『――――ちぃっ!!』

「加勢するぞ、カズキッ!!」

『皇太子さんっ、あんたは味方を! これ以上 被害を出すのはマズいだろ!?』

「そうだったな……奴を頼んだぞッ! アンリエッタ、君は下がってくれ!!」

「は、はいっ!!」


一直線に突貫し、ガンダールヴこと和輝の"竜の羽衣"と接触したワルド。

負傷した腕を既に完治させた彼の操る風竜は、
百発百中だった戦闘ヘリのマシンガンを全て回避し、後ろに回り込む。

直後 "エア・スピアー"を放ってくるが、和輝はヘリをその位置から急浮上させて回避すると、
ウェールズに指示後、エンジンを全開にして操縦桿(かん)を強く握る。

そのまま目を疑うスピードで空中戦を初め、マシンガンと魔法での牽制が続く。

そんな中で、ワルドは狙おうと思えばウェールズやアンリエッタを落とそうとする事もできるのだが、
和輝がそれをさせるつもりが無いのは勿論、彼は何故か"その気"が無かった。

これはスクウェア・メイジとして、魔法衛士隊の隊長としてのプライドから成るモノであり、
一度負けた相手に手を抜く気など無く、放置するが敵の大将であっても構わなかった。

初めて敗北を味あわせてくれた和輝だけは、何としてでも倒さなくてはならない相手なのだ。


「それでこそガンダールヴ! 我が好敵手よッ!」

『やっぱり、奴の実力は本物か……』

「か、カズキ……」

『心配しなくても大丈夫だ……んッ?』


≪――――カチッ、カチッ≫


「どうしたの?」

『しまった、弾が切れたッ!』

「貰ったぁ!!」

『相棒ッ、抜け!!』

『!? ルイズ、操縦桿を頼む!』

「う、うん!」


そんなワルドの執着も有ってか、和輝は無駄弾を使わされ、何時の間にか弾切れに陥る。

この焦りを突かれ、背後からワルドの魔法が直撃するかと思われたが……デルフリンガーの叫び。

故に和輝は咄嗟に立ち上がってデルフリンガーを抜くと、戦闘ヘリを守るバリアのようなモノが展開し、
魔法は丸みを帯びたそれに弾かれると、デルフリンガーにへと吸い込まれてゆく。

どうやらデルフリンガーを構えていればヘリは無事で済むようだが、
このままでは、何時まで経ってもワルドを倒す事は出来ない。

今はルイズに操縦桿(+インカム貸与)を握らせているので、ミサイルを撃つ事もままならない。

いや、ミサイルと言っても……この近い間合いであれば、命中させるのも困難だろう。


≪――――ヒュボッ!! ヒュボォォッ!!≫


「そらそらッ! どうした!?」

「くっ、マズいか……」

『……ッ……』

『おい、娘っ子。』

『な、何よ? こんな時に……』

『今 目覚めねぇで、何時 目覚めるっつ~んだよ?』

『……っ!?』


……


…………


和輝が劣勢を強いられている時、WAP内のパイロット達も気が気ではなかった。

キュルケはメインカメラのズームでそわそわしながら様子を眺めており、
ロングビルは砲撃を避けながらも、やはり和輝が気になって集中できない。

戦艦を撃沈させなくてはいけないタバサに至っては、
ライフルの銃口を"ワルド~戦艦"へと何度も行ったり来たりさせていた。

法春の基本性能を理解し、風竜(実際違うが)の速さも把握しているタバサにとって、
戦艦の砲撃が来ないこの長距離で、乱戦の中ワルドの風竜に弾丸を命中させる事が、
どれだけ困難か知っているが、それでも援護しようと銃口を向け何度も誤射を考えを思い止まっている。

そんな彼女達は和輝のインカム越しの会話により、ルイズが彼の傍に居る事を知っており、
一番最初に痺れを切らしたキュルケが、先程 和輝のインカムを渡されたルイズに向かって叫ぶ!


『ルイズ~ッ! アンタがカズキを助けてあげなくてどうすんのよ!?』

『……!?』

『鉄騎の攻撃はアイツには届かないの! でも、アンタが何とかできるじゃないッ!
 魔法が失敗するなんて理由になんないわよッ? なんなら今直ぐアタシと場所変えなさい!!』

『キュルケ……』

『わたくしからもお願いします。 このゼニスでもカズキさんの援護は出来ません。
 ですから……今カズキさんを助けてあげられるのは、ミス・ヴァリエールだけなのです。』

『ミス・ロングビル……』

『私が撃っても、風竜には当たらない。 手が届くのは、貴女だけ。』

『タバサ……』


あぁ……そうなんだ、ルイズは初めて理解した。

自分が虚無に目覚めるのは、自分のプライドの為じゃない、ゼロと言われバカにされ無い為でもない。

ましてや魔法の名門であるヴァリエール家の3娘だからこそ、目覚める必要が有るワケでも無い。

全ては親友のトリステインを守る為……仲間の故郷のタルブの村を守る為……

そして、自分にとってダケでなく、仲間にとっても"大切な存在"を守る為の覚醒……

それらを悟った時……突然 和輝の左手のルーンが、今までとは違う輝きを放った!!


≪キイイイイィィィィンッ!!!!≫


「な、なんだこれはっ?」

『よ~やく来たぜ! 目覚めやがったな、娘っ子!!』

「ガンダールヴッ、その伝説と共に葬り去ってやろう!!」

「――――くっ!?」

『……な、なに……これ……?』


これは和輝のガンダールヴのルーンと、ルイズの心が完全に繋がった事を意味していた。

同時にルイズの頭の中に、虚無の魔法に関するありとあらゆる知識が入り込んでくる。

その膨大な情報量に、ルイズは操縦桿を握り締めたまま、目の焦点が合わなくなる。

一方 和輝はそれどころでは無く、またもや歯を食いしばってワルドの風魔法を吸収したところだった。


「ルイズッ、どうしたんだ?」

『驚け相棒、"目覚めた"んだよ!』

「ほ、本当かっ?」

『…………』


≪――――ガタッ≫


「!? 急に立つな、危ないだろッ!」

『いや、詠唱に入ったダケだ! 虚無の魔法を唱えるのは時間が掛かる。
 時間を稼げ相棒ッ、その為のガンダールヴだ!!』

『…………』

「良し……判った。」

「死ねぇぇッ!!」


≪――――ドゴオオォォンッ!!!!≫


覚醒したルイズは、突然立ち上がり、何やらブツブツと呟き始めた。

目の焦点が合っていないのは変わらないが、どうやら詠唱中のようだ。

その時間を稼ぐのが和輝の役割であり、彼はルイズのインカムを取り外して、
再び自分で装着すると、操縦桿を握って回避に専念する事にした。

だがタイムラグの所為で一発ワルドの魔法を食らってしまったが、
牽制のうちの一撃だったのでダメージは少なく、飛行の継続は問題無い様だ。


≪ゴババババババババッ!!!!≫


『カズキ! どうなってるのぉ~?』

『大丈夫なのですかッ?』

『どうやら何とかなりそうだ。 お前たちのお陰だよ。』

『頑張って。』

「…………」

「観念するが良いッ!!」


虚無の初歩中の初歩の魔法、エクスプロージョン。

初歩と言えど驚異的な破壊力を持つが、大きな力を出しすぎると再び唱えるのは不可能。

他の系統と違い、虚無の魔法とは生きた年月で蓄積された魔力から、"年単位"で消費する。

それ故に魔力を抑える必要が有るが、抑えたとしても威力は並みの魔法の比では無い……


「(凄い……これが虚無の知識……?)」


……などと、詠唱中のルイズの頭の中に、どんどんと追加されてゆく情報。

数十にも及ぶ魔法のうち、初歩であるエクスプロージョンを唱えようとしたルイズだったが、
虚無について右も左も判らないはずの彼女の、魔力の使い方まで補足してくれていた。

最大限の力を発揮させれば艦隊をまるごと消滅させる事もできそうなのだが、
一瞬そうしようと考えていたルイズを、追加された知識が魔力の消費を押し止めたのだ。

そもそも威力次第では友軍をも巻き込む事になるので、ルイズは後から浅墓さを反省した。

さておき、和輝が決死の回避をする中……突っ込んでくるワルドを捉えると、
ルイズは杖を静かに彼に向け、ボソりと呟くように魔法を唱えた。


「……エクスプロージョン。」


≪――――――――カッ!!!!≫


直後、彼女の"一年分"の大きな"光"が風竜ごとワルドを飲み込む!!

エクスプロージョンとしての魔法としては規模の小さなモノであったが、
誰がどう見ても"大きな光"が風竜を包み込んだようにしか見えなかった。

対して、その直撃を受けたワルドは、瞬時に自分の最期を悟っていた。


「これが、虚無の力……だが……」


――――ガンダールヴ、"勝負"は私の勝ちだ。


「わ……ワルド様がやられたぞッ!?」

「そ、そんな馬鹿な……!」


ワルドは和輝を追い詰めたが、彼は最後にルイズの虚無の魔法に頼った。

つまり勝負に勝って試合に負けたようなモノであり、
消え去り行くワルドの表情は、どこかしら誇らしげなものであった。

だが隊長を失ったグリフォン隊は勿論、レコン・キスタ全軍の士気は急低下し、
洗脳されている者で無ければ、地上の部隊と同じく降伏する者が続出していた。


『……やったのか……』

「か、カズキ……私……」

『遂にやったな、凄かったじゃないか。』

「あ、ありがとう。」

『これで、残るは戦艦だけだッ!』

「…………」


逆にトリステイン側の士気は最高潮であり、それだけワルドの撃破は大きいようだ。

よって残存部隊は残り8隻の戦艦を落とすべく、突撃を開始してゆく。

当然 和輝もミサイルで戦艦を撃破するべく向かってゆくが、ルイズは何故か元気が無かった。

この時点で和輝は、日食も間も無くなので急いでおり、あまり気にしなかったが……


「(これが、本当なら……)」


……数十種類にも及ぶ、新しく覚えた虚無の魔法。

それぞれの果たす効果は様々であり、当然"あの魔法"も存在した。

和輝がハルケギニアに召喚されてから、最も求めていた魔法も……

故に虚無に目覚めたと言うのに複雑であり、日食が帰還に繋がる事を知らないルイズは、
まるで戦争の真っ只中とは思えない覇気の無さで、和輝の膝の中で小さくなっていた。


『カズキ。』

『どうした、タバサ? 4隻目はどうなってるッ?』

『弾が切れた。』

『なにぃ~っ?』


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