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No.372の一覧
[0] フロントミッションゼロ File31~(FM3×ゼロの使い魔)■完結■[Shinji](2007/12/28 09:56)
[1] フロントミッションゼロ File32(FM3×ゼロの使い魔)[Shinji](2007/11/23 06:23)
[2] フロントミッションゼロ File33(FM3×ゼロの使い魔)[Shinji](2007/11/27 05:18)
[3] フロントミッションゼロ File34(FM3×ゼロの使い魔)[Shinji](2007/11/30 04:11)
[4] フロントミッションゼロ File35(FM3×ゼロの使い魔)[Shinji](2007/12/02 06:01)
[5] フロントミッションゼロ File36(FM3×ゼロの使い魔)[Shinji](2007/12/04 14:02)
[6] フロントミッションゼロ File37(FM3×ゼロの使い魔)[Shinji](2007/12/06 09:01)
[7] フロントミッションゼロ File38(FM3×ゼロの使い魔)[Shinji](2007/12/09 05:59)
[8] フロントミッションゼロ File39(FM3×ゼロの使い魔)[Shinji](2007/12/14 11:41)
[9] フロントミッションゼロ File40(FM3×ゼロの使い魔)[Shinji](2007/12/28 11:01)
[10] フロントミッションゼロ あとがき[Shinji](2007/12/28 10:04)
[11] フロントミッションゼロ 自己満足な補足(余裕がある方だけどうぞ)[Shinji](2007/12/28 09:58)
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[372] フロントミッションゼロ File37(FM3×ゼロの使い魔)
Name: Shinji◆9fccc648 ID:d3c81d75 前を表示する / 次を表示する
Date: 2007/12/06 09:01
Front mission Zero
File37:トリステインの反撃


≪うおおおおぉぉぉぉーーーーッ!!!!≫


西より更に現れたレコン・キスタの2000もの歩兵と1000の魔法騎士団。

魔法騎士団はトリステインと違って騎馬兵ではなく、
只の騎士隊なのはさておき、その増援と接触したトリステイン軍。

まずは歩兵同士のぶつかり合いであり2倍の戦力差はあるモノの、
此処一帯の制空権を確保している150騎の魔法衛士隊と、
新たに加わった100の竜騎士団の支援もあり、今のところは一進一退の戦いを維持しているようだ。


「これに耐え切れるかッ!?」

「火炎魔法、放てっ!!」


……だが互いに数が減ってゆくと、歩兵を挟んで互いの魔法騎士団の魔法が飛び交う。

そうなると500以上にもなるメイジの兵力差が、徐々に響きはじめてくる。

しかしながら、引く訳にはいかないトリステイン軍は、何とか戦線を維持し続けている。

レコン・キスタ側は増援で若干 余裕を感じているのか、
味方を巻き込むのを避ける為に、砲撃をしてこないのが救いかもしれない。

いや……"救い"でも何でもなく、所詮 全滅する時間を延ばして貰っているに過ぎない。


「右翼が突破されそうですッ、グリフォン隊! 援護しに行ってください!!」

「はいっ!!」

「姫様、このままじゃ……」

「わたくしは諦めませんっ、折角ウェールズ様と再会できたのですから!」

「はい……(こんな時に、何もできないなんてッ……)」


それは誰もが感じていることだが、アンリエッタは最後まで諦めない様子。

さっきはルイズと共に逝こうとも思っていた彼女だが、
ウェールズの登場により、今やルイズ以上の気力を保っていた。

今現在は数騎の魔法衛士を残し、彼女のグリフォン隊は戦線へと赴いていった。

そのお陰もあってか、未だに戦線は維持されており、戦いは険しさを増していっている。


……


…………


「ウェールズ皇太子ッ、お覚悟を!!」

「――――お命頂戴っ!!」


≪ズゴオオオオォォォォッ!!!!≫


「来るぞッ!? コールドブレス、一斉放射!!」

「皇太子をお守りしろーーーーっ!!!!」


≪ヒュボオオオオォォォォッ!!!!≫


……一方、200騎の竜騎士団と接触したウェールズの氷竜騎士団。

僅か50騎であるが、臆する事無く接触すると、ブレスを吐かせ合った。

火炎と氷結……それは互いに効果を打ち消し合うようで、
数少ない氷竜とは言っても、ブレスの威力は火竜と大きな差は無い様だが……


「そこだッ! ウィンディ・アイシクル!!」

「アイス・ストームッ!!」

「エア・カッターッ!!」


何とウェールズを含め、氷竜騎士団のメイジ達はドラゴンのブレスに加え、
本人も魔法を放つ事で、次々とブレスを吐き合った相手を撃ち落していた!

本来であれば竜騎士団は騎手にダケ専念し、ドラゴンのブレスのみを攻撃手段とする。

しかし、氷竜騎士団はドット・ライン・トライアングルに関わらず、
ブレスに加えて騎手をも魔法を駆使するエリート集団であり、
単純に並みの火竜騎士の、2倍のポテンシャルを持っているのである。

つまりトリステインで例えると、魔法騎士団が火竜騎士団・魔法衛士隊が氷竜騎士団と言って良い。

だが逆に氷のブレスの破壊 及び 殺傷力は火竜と違ってライン・メイジ並 程度なのだが、
たった今ファイア・ブレスと引き分けたのは、氷竜の方が属性の相性が優れていたからだ。

また、スピードも火竜よりも氷竜の方が若干 優れており、まさにエリートだからこそ扱える氷竜だ。


「くっ!? 流石 氷竜騎士団……こうも強いとは……」

「だが、数では勝っているんだ! 一気に畳み掛けろッ!!」


≪――――バササァッ!!!!≫


「ふぅ……流石にキツいか……」

「皇太子ッ、ここは我々に任せてお下がりくださいっ!」

「そう言う訳にはいかない、もう我々には戻る場所は無いのだ。」

「で、ですが……」


……かと言って、4倍の戦力差を覆すのは厳しい。

撃破数はウェールズ側が遥かに高いが、流石に味方も何騎か落とされている。

そうなるに連れて、負担は徐々に増していっており、
混戦の中ウェールズは額の汗を拭い、側近が彼を気遣って撤退を促す。

彼が落とされないのは常に5騎程の側近が付いているからなのはさておき、
下がる気配の無いウェールズに、王族 屈指でもある一人の側近が困っていると……


≪ズゥンッ、ズゥンッ、ズゥンッ、ズゥンッ!!!!≫


「グオオオオォォォォッ!!!!」

「トリステイン! これまでだっ!!」


≪――――バサッ、バサッ、バササァッ!!≫


大きな地響きと、幾数もの翼の羽ばたきの音が聞こえてくる。

その方向を見ると、こちらに近付いてくる40の亜人兵と、200騎近い竜騎士団。

これは白いゴーレム……シエスタの法春が"倒された"事を意味していた。


「……ッ!? シエスタッ、シエスタ!!」

「ど、どうしたのルイズ、落ちますよっ!?」

「そんな事よりも、法春……ゴーレムがッ!!」

「……そんなッ……」


それだけでなく、距離を詰めてくるレキシントン号を含む5隻もの戦艦。

増援を相手にしているだけでも辛いのに、このまま本隊と接触したら……?

ルイズは状況よりシエスタの生死が気になるようだが、アンリエッタは唇を噛み締めるしかなかった。

また、ウェールズも一度だけ唇を噛み締めると、決死の表情で部下たちに向き直る。


「味方のゴーレムとやらが倒されたのか……しかし、
 2隻もの護衛艦を落としただけでも、素晴らしい戦果だと言うべきだ。」

「こ、皇太子……」

「全騎上昇せよ。 レキシントン号に侵入し、クロムウェルを討つ。
 もはや、それしか我々が勝つ手段は残されてはいまい。」

「……お供いたしましょう。」


どうやら、ウェールズは死ぬ覚悟のようだ……しかしッ!!


≪ゴババババババババ……ッ!!!!≫


凄まじい"雄叫び"をあげて、空を駆けてくる黒い"竜の羽衣"。

ライフルの発射音と同じく類を見ない音に、墜落した戦艦の時と同じように、
一斉にそちらの方向を見ると、やはり敵味方問わず視線が釘付けになる。

また、横には珍しいウィンド・ドラゴン……更に地上には2体もの新たなゴーレムが接近してくる。

天の助け……トリステインの反撃が、今まさに始まろうとしていた。


……


…………


≪ギュイイイイィィィィンッ!!!!≫


『あれって……戦艦ッ? ねぇ、着いたんじゃないの!?』

『カズキさん、状況はどうなのですかッ?』

『戦艦が9隻……味方は、かなり押されている様だな。』

『あそこに法春。』

『……ッ!? 倒れてるぞ! まさか、シエスタが……』


キュルケは街道を駆ける中、視界に入ってきた戦艦を確認した直後、
"到着した"と直感し、インカム越しに和輝に話し掛ける。

対して空の和輝は既に状況を見定めている最中だったようで、
戦艦の数と、トリステイン軍の状況を早口に伝えた。

だが、法春は見落としていたようで、それを発見していたタバサが告げると、
和輝は"最悪の事態"を考えたのか、一瞬だが険しい表情になった。

そんな最中でも、ブースト移動と飛行は続いており、戦場は近くなってゆく。


『か、カズキ……それってどう言う事よッ?』

『やはりレコン・キスタと戦ってくれていたようですね……』

『そうらしいな……おいッ、シエスタ! 聞こえるか!? シエスタッ!!』

『返事は?』

『通信は生きているから、法春の機能には問題ない様だが、
 返事が無いって事は気絶してるか、或いは……とにかく蹴散らすぞッ!』

『状況が判んないわよ~ッ、指示を頂戴!』

『良し……キュルケは苦戦してる地上の部隊の援護をッ!
 ロングビルさんは"デカブツ"を倒して、法春の場所まで戦線を押し上げてくれ!
 タバサはシエスタをベイルアウトさせろ! 俺は制空権を確保するッ!!』

『――――了解ッ!!』


≪ゴババババババババ……ッ!!!!≫


――――I SAY YES ずっと 君の傍に居るよ――――


『こいつは、挨拶代わりだッ!』


≪ヒュルルルルルル~~……ドゴオオオオォォォォンッ!!!!≫


「うわああああぁぁぁぁっ!!!!」

「な、なんだ!? あんな竜、見たこと無いぞッ!?」


――――どんな未来が 僕らを 試したって きっと――――


『ナ~イスッ、カズキ! いっくわよぉ!?』


≪ズゴオオオオォォォォ~~~~ッ!!!!≫


和輝のヘリを見上げているレコン・キスタの歩兵たちに対し、
言葉通りの意味で、一発のミサイルを発射する和輝。

それは人の居ない箇所に打ち込まれたが、威嚇としては十分過ぎる程であり、
ある者は爆風でぶっ飛ばされ、ある者は尻餅をついて怯える。

それに追い討ちを掛けるように、突貫してきたキュルケの鉄騎が、
火炎放射器から吐き出した図太い炎を躍らせ、戦線を強引に押し上げる。

逆にトリステイン側は"白いゴーレム=味方"という価値観から、瞬く間に士気が回復した!


――――Ah ふたりの運命――――


≪ギュイイイイィィィィンッ!!!!≫


『はああああぁぁぁぁっ!!!!』


≪ドガァッ!!!!≫


――――めぐり逢えたのは――――


一方、ブーストの勢いを殺さずに、ナックルでトロール鬼に殴り掛かったロングビルのゼニス。

この一撃でトロール鬼は十数メイルぶっ飛ばされ、そのまま動かなくなる。

だが、恐れを知らない亜人兵達はゼニスを包囲すると武器を手に襲い掛かってくるが……


『……どきなさいっ!!』


――――君の声 聴こえたから――――


               [ タ ッ ク ル Ⅰ ]


右の敵はゼニスのナックル、左の敵はブースト噴射を利用したタックル等。

様々な格闘手段で亜人兵を倒すと、どんどん前にへと進んでゆくゼニスレヴ。

この驚異的な突破力に驚愕し、周囲の竜騎士団達は動けないでいる。


――――そう ピンチな出来事――――


≪……ずぅんっ≫


『周囲をお願いします。』

『判りました。』


≪プシュウウゥゥ~~ッ……≫


――――押し寄せてきても――――


『……傷は浅い。』

『!? と言う事はミス・タバサ、シエスタさんは……』

『命に別状は無い。』

『良かった……』

『シルフィード、彼女を。』

『きゅるっ!』


≪……ブワァッ!!!!≫


――――君といれば 乗り越えられる――――


亜人兵を倒して戦線を押し上げた事により、タバサの乗るシルフィードは、
無事 法春の傍に着地でき、タバサの手によってコックピットが開けられる。

すると予想通り気絶したシエスタが乗っていたが……傷は有るが命に別状は無いとの事。

よってタバサは安心も束の間、杖を振り魔法で彼女の体を浮かせると、
自分が着けていたインカムと一緒にシルフィードの背にへと乗せ、
そのまま指示を出しシエスタを安全な場所へと飛び立たせようとする。


――――ときめきと――――


「な、なんだ!? ゴーレムの中に"人間が"入ってたぞッ!?」

「にッ……逃がすなァ!!」


≪――――チャキッ≫


『行かせません!』


――――負けん気と――――


≪ズドオオォォンッ!!!!≫


「ぐああああぁぁぁぁっ!?」

「なッ、なんだ!? あの武器は!!」

「ど……どうやったんだよ!?」


――――裏腹でハラハラ するけど――――


只でさえ驚いているのに、ゴーレムの中に人間(シエスタ)が入っていた!

しかも、風竜に乗せられ飛び立とうとしているので追おうとするが、
追撃しようとした10騎近い竜騎士たちが、何故か地面へと落下する。

そう……ロングビルの放った、"ショットガン"による拡散攻撃の為であった。

距離が有ったので威力は落ちているが、飛行能力を奪うには十分であった。


――――STAY WITM ME ただ 君を守りたいよ――――


『……そこだッ!!』


≪ドパパパパパパパッ!!!!≫


「ぎゃああああぁぁぁぁッ!!!!」

「あ、あの"竜"……なんなんだッ!?」

「馬鹿なッ!? 全く歯が立たないなんて……!!」


――――遠い世界で 生まれた ふたりだけど――――


≪ウイイイイィィィィンッ……≫


『"法春"の調子は如何です?』

『損傷率10%、問題ない。』

『幸いでしたわね、それでは……』

『援護を。』

『はい、空はお任せしましたわ!』

『(……許さない。)』


――――I SAY YES ずっと 君の傍に居るよ――――


「……("竜"のあれはカズキ、来てくれたのか……)」

「つ、強い……」

「皇太子ッ、これは一体!?」

「詳しくは私にも判らん。 だが、勝機は見えた! "彼等"に遅れを取るな!」

「は、ははっ!!」


――――どんな未来も 希望に変えよう――――


「……あぁッ……神よっ……」

「……(シエスタも無事だったみたい……良かった、けど……)」

「ルイズッ、この戦……勝てるかもしれません!」

「……ッ……」


――――Forever――――


……


…………


唐突に現れた戦闘ヘリと、2機のヴァンツァー。

その活躍により瞬く間に戦況は一変し、トリステイン側の優勢となっている。

まずトリステインの本陣を攻めていた地上制圧部隊は、
キュルケの鉄騎一機により押し返され、歩兵に至っては恐怖で逃げ出してしまっている。

デカい図体だけでも太刀打ちできないのに、特大の炎までも放ってくるからだ。


「た、たかが相手はゴーレム一体だ!」

「撃てッ、撃てぇぇッ!!」


               [ 堅 守 後 攻 Ⅱ ]


≪ズゴオオオオォォォォンッ!!!!≫


『……ふふん、何よ そんなの。 "火炎"ってのは、こうやってやるのよ~!?』


魔法騎士団は歩系と違って退くワケにもいかず、恐れながらも一斉に火炎魔法を放ってくる。

勿論 火炎の魔法以外にも魔法のバリエーションは有るのだが、
戦争において"火炎"が最も殺傷力が高く、レコン・キスタもその価値観しかないのが命取りだった。

故に耐火炎の属性防御とスキルの効果もあってか、全く堪えておらず、
放った魔法に遥かに勝る"火炎放射"を浴びて、阿鼻叫喚しながら後退するしか無かった。

かなり無駄遣いをしているような気もするが、弾薬として火炎放射器で使うオイルに限っては、
錬金で楽に量産が可能なので、遠慮なく使えとの許可を彼女は貰っていたのだ。

当然 非情にも人間を焼き尽くすような扱いはしておらず、
圧倒的な火力を見せ付けて、主に相手を逃げ出させる事を優先させて戦っている。


『…………』


               [ A P コ ス ト 0 ]


≪ドパンッ! ドパンッ! ドパアアァァーーンッ!!≫


「翼をやられた!? う、うわああああぁぁぁぁッ!!!!」

「ど、何処だ!? 何処から撃って来てるんだ……ぐわッ!?」


一方、片膝を付いて完全な"狙撃モード"に入っているタバサの法春。

その場所から全く動いていないが、ロングビルが戦線を支えているので、
全く問題なく射撃ができ、ゼニスが亜人兵を倒す中、次々と火竜を撃ち落していた。

それはウェールズ達を襲う火竜をマシンガンで落としている、
和輝への援護も含まれており、最高の状態でタバサの射撃能力を発揮できていた。

何とか複数でロングビルを止めようとする火竜に対しては、
彼女のショットガンにより無力なので、もはやタバサが手を貸すまでも無いようだ。


「まさか、トリステインにあれ程の"兵器"があったとは……」

「わ、ワルド! "奴ら"は一体なんなのだ!?」

「……(それに……"奴"はガンダールヴ……)」

「このままではマズいぞ!? 何とかしろ、ワルドッ!!」

「畏まりました、私が"風竜"で出ます故……ご安心ください。」

「た、頼んだぞッ?」

「お任せを。 聞いたな……"グリフォン隊"、出るぞ? 用意を急げ。」

「――――ははっ!」


対して、レコン・キスタ側はたまったものではない。

火炎魔法が通用しないゴーレムに、更なる火力で戦線を押し上げられ。

風竜に匹敵するスピードの"見たことも無い竜"の"見えない攻撃"により、成す術無く火竜達は撃ち落され。

"倒した筈"のゴーレムに、次々と"見えない長距離からの攻撃"で火竜を落とされ。

更には、"異様に素早いゴーレム"が40もの亜人兵に対し、格闘のみで渡り合うだけでなく、
戦艦の砲撃をも掻い潜りながら、竜騎士団をも纏めて謎の武器で撃墜する。

これに驚かないハズは無く、このままでは全ての戦艦をも沈められてしまう。

其処まで考えるのは まだ早いかもしれないが、クロムウェルの動揺振りは尋常では無かった。

ワルドも信じられないトリステインの"切り札?"に驚きを隠せないが、
"戦闘ヘリ"で戦う和輝の姿を確認すると、彼も出撃を決め、その場を立ち去っていった。


……


…………


「……状況は、どうなのです?」

「はっ! ゴーレムの力もあり、我が軍のメイジは援軍含め250、歩兵は500を維持!
 対してレコン・キスタの歩兵部隊は壊滅! 魔法騎士団の壊滅も時間の問題と思われますッ!
 また、火竜の数は計200にまで減少! 抵抗は依然 激しいですが、このままゆけば……」

「そうですか……ですが、まだ9隻もの戦艦が残っています、気を抜かぬよう。」

「ははっ!」

「…………」

「ルイズ、さっきからどうしたの? 勝っているのよ?」

「…………」


グリフォン隊の側近から、状況の報告を受けているアンリエッタ。

トリステイン側は氷竜騎士団50・火竜100の援軍を加えていたとしても、
魔法衛士隊を100・魔法騎士団を100にまで、その数を減らしていた。

だが、レコン・キスタの戦力からの被害を考えれば少な過ぎる程であり、
このままゆけば勝利も疑わしくない事から、アンリエッタの表情にもはや負けん気は無かった。

一方ルイズ。 先程から彼女の表情は優れず、気にならない筈は無くアンリエッタは声を掛けた。

なのに反応は無く、どうやらルイズはこんな状況下でありながら、考え事をしているようだ。

それは言うまでも無く和輝の事であり、此処に来てくれた事は嬉しいが"複雑"であった。

確かに助けを期待していたが、勝手に戦地に赴いたダケでなく、まだ"虚無"に目覚めていない。

だから、和輝にどんな顔をして会えば良いか判らず、来てくれたというのにネガティブであった。

……もし、和輝が今日"帰れる"事を知っていれば、更に罪悪感を感じていただろう。


「ルイズ、ルイズ?」

「……ッ……姫様、お願いがあります。」

「な、なに? 今 わたくしに出来る事であれば……」

「あの"竜"の所まで、グリフォンを近づけてください!」

「えぇっ!?」

「あそこに、居るんです……わたくしの、"使い魔"が。」


しかし和輝は来てくれた、よって 優勢になり戦死する可能性は減ったとは言え、
このまま戦いを最後まで眺めているワケにはいかない。

怒っていようが再び和輝と顔を合わせ、何なら叱られたって構わない。

勝手に戦地に行って今更 会いたがるのは、自分でも変だとは思うが、
彼が此処に来てくれた事で自分を少しでも"大切"にしてくれているんだろうと感じ、
急にルイズの和輝と"会いたい"と言う気持ちが高まったのだろう。

そんなルイズの真剣な眼差しを受け、アンリエッタは無言で頷くと、
未だに氷竜騎士団を横に火竜達と空中戦をしている方向へと向かっていった。


≪ヒュオオオオォォォォ――――ッ≫


「あの"竜"は私が殺るッ、各員は友軍を援護しろ!!」

「ははっ!!」


――――そんな中 空は"暗く"なり、新たな増援がトリステイン軍に迫ってくる。


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