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No.33392の一覧
[0] 【ネタ】ゼロ魔日記(チラ裏から)【完結】[ニョニュム](2013/06/15 16:36)
[1] 【ネタ】ゼロ魔日記①[ニョニュム](2013/06/09 14:39)
[2] 【ネタ】ゼロ魔日記②[ニョニュム](2012/06/13 20:47)
[3] 【ネタ】ゼロ魔日記③[ニョニュム](2012/06/13 20:55)
[4] 【ネタ】ゼロ魔日記④[ニョニュム](2012/06/16 22:22)
[5] 【ネタ】ゼロ魔日記4.5[ニョニュム](2012/06/19 20:46)
[6] 【ネタ】ゼロ魔日記⑤[ニョニュム](2012/06/24 15:52)
[7] 【ネタ】ゼロ魔日記⑥[ニョニュム](2012/07/11 21:20)
[8] 【ネタ】ゼロ魔日記⑦[ニョニュム](2012/07/11 21:33)
[9] 【ネタ】ゼロ魔日記⑧[ニョニュム](2012/07/16 23:43)
[10] 【ネタ】ゼロ魔日記⑨[ニョニュム](2012/08/02 20:59)
[11] 【ネタ】ゼロ魔日記⑩[ニョニュム](2012/08/13 15:45)
[12] 【ネタ】ゼロ魔日記⑪[ニョニュム](2012/08/22 22:44)
[13] 【ネタ】ゼロ魔日記⑫[ニョニュム](2012/09/01 21:32)
[14] 【ネタ】ゼロ魔日記⑬[ニョニュム](2012/09/02 01:08)
[15] 【ネタ】ゼロ魔日記⑭[ニョニュム](2012/09/02 13:52)
[16] Q&Aコーナー[ニョニュム](2012/09/03 12:10)
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[33392] 【ネタ】ゼロ魔日記⑨
Name: ニョニュム◆89bba7f2 ID:f5996ad4 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/08/02 20:59
○月×日◇曜日
満身創痍という言葉が相応しいボロボロの格好をした弓兵(アーチャー)が溜息を吐いて疲れた身体に鞭を打って手渡してきたモノはクラスカード。しかも、クラスカードに描かれていたのはもっとも警戒するべき狂戦士(バーサーカー)のイラスト。弓兵(アーチャー)一人で最強の一角である狂戦士(バーサーカー)を討ち滅ぼした事に内心で驚きながら、弓兵(アーチャー)の格好がボロボロである事に納得がいく。そんな時、弓兵(アーチャー)から諌める様な視線が飛んできて少しだけ首を傾げた後、顔を青くしているイリヤと美遊が視線に入って納得すると羽織っていた貴族の証であるマントを脱いで、おそらく狂戦士(バーサーカー)に殺されたであろう凄惨な死に様の男性にマントを被せてイリヤ達の視界に入らない様に立ち位置を変える。この世界はイリヤ達が過ごした日本に比べて死の感覚がとても身近にある。そんな世界で過ごした自分でも少し怯んでしまった死に様だ。イリヤ達にとってソレはとても衝撃的なモノだったに違いない。アンリエッタ様の指示で詳しい説明は後日となり、ぶっ倒れたままのルイズやボロボロの弓兵(アーチャー)を気遣いながら地下水路を後にした。

地下水路で別れた隻腕の美男子とアンリエッタ様が凄く良い雰囲気を出していたのは勘違いという事にしておいた。隻腕の美男子が『何者』なのか、予想だけならいくらでも出来るがそれを確信に変える一歩を踏み込む覚悟は無かった。アニエスと名乗る銃士隊に所属するらしい女性に耳元で余計な検索はするなと囁かれた時は正直、心臓が飛び跳ねた。

クラスカードの件で感覚が可笑しくなっていたが元々、ただの学生である俺が一国の王たるアンリエッタ様と個人的な面識がある事自体が異常な状況なのだ。


○月×日◇曜日
詳しい説明は後日という事で解散となった昨日、何処に宿泊するか悩んでいたらアンリエッタ様が気を使ってくれて王宮に泊めてくれた。朝食を済ませた後、メイドの方が部屋を訪ねてきて、アンリエッタ様が呼んでいると案内されたのは一度来た事のある応接間だった。そこにはアンリエッタ様とマザリーニ枢機卿、少しは回復したのか顔色が戻っている弓兵(アーチャー)の三人とイリヤ達だった。昨日ぶっ倒れていたルイズがいない事に気付いた俺が怪訝な表情を浮かべると弓兵(アーチャー)から身体に別状は無いが膨大な魔力を放出した影響でぐっすり寝ていると教えてもらった。なるほどとなんとなく納得しかけた俺だったが言い表せない違和感に首を傾げた。

膨大な魔力を放出すれば誰だって疲弊する。『魔法』を使うには負担が掛かるのだ。それはこの世界に住むメイジなら避けられない。たとえそれが魔法が使えない『ゼロ』のルイズでも。

そこまで考えてその違和感の正体に気が付いた。

――――魔法が使えないルイズがぶっ倒れるくらい強力な魔法を使う。

違和感の正体に気付いた俺が事情を知るアンリエッタ様から受けた説明は驚愕のモノだった。

俺が珍しいな程度に思っていた弓兵(アーチャー)の左手に刻まれたルーンはハルケギニアに伝わる伝説の使い魔『ガンダールヴ』と同様の物であるらしく、弓兵に『ガンダールヴ』のルーンを刻んだルイズは火・水・風・土の四系統に属さない伝説の系統『虚無』の担い手だったらしい。込み入った事情までは教えてくれなかったがあの地下水路を訪れていた弓兵(アーチャー)達の前に狂戦士(バーサーカー)が姿を現して、弓兵(アーチャー)と交戦を開始、亡くなっていた男性はその戦闘に巻き込まれたらしく、押され始めた弓兵(アーチャー)が『無限の剣製』を展開、塗り替えられた『セカイ』の中で弓兵(アーチャー)を助ける為にルイズが唱えた魔法がルイズを『虚無』として覚醒させて放たれた魔法が複数の命を残した狂戦士(バーサーカー)を殺し尽くした。狂戦士(バーサーカー)を殺し尽くして呆然となっている時に俺達が地下水路を訪れたとか。

そんな世界を揺るがせかねない秘密を俺に説明した理由はただ一つ。俺もルイズほどでは無いが系統魔法は苦手な部類で、春の使い魔の儀式でルイズと同じ『人間』を呼び出したのは俺だけである。

使い魔のルーンを見れば一番早いと言われてアンリエッタ様がイリヤ達の方を見ていたけどルビー達を構えて戦闘態勢になっている二人に溜息を吐いていた。いや、別に今更契約をどうこうするつもりは無いけどそんなに俺とするのが嫌なのか? ちょっと悲しくなったけど女の子の初めてのキスが大切な物である事は理解しているつもりなので別にいいんだけど。

アンリエッタ様から宝石の付いた指輪とボロボロの本を手渡されて中身が読めるかと尋ねられたがパラパラと目を通したが何も書かれていない白紙にしか見えなかった。その事を伝えるとアンリエッタ様は少しだけ残念そうな表情を浮かべた後、ここで見聞きした事は口外しない様に言って説明が終了した。まだ、寝ているルイズを置いていく訳にもいかず、弓兵(アーチャー)と別れて新学期が始まろうとしている魔法学院に帰る事にした。


○月×日◇曜日
夏休みが終わり、魔法学院が通常通り授業が始まって日常生活が戻ってきた頃、世界を揺るがす大事件が起きた。既に殺されたと噂が流れているアルビオン王国のウェールズ様が反神聖アルビオン共和国の軍隊を設立してアルビオン国内で武装蜂起を始めたらしい。魔法学院という土地柄、政治的な詳しい話が入ってくる事は無いがウェールズ皇太子が率いる『反乱軍』にはタルブ戦でトリステインが捕らえた筈の軍人が紛れているとかいないとか。色々な憶測が学院を飛び交う中、俺は地下水路で会った隻腕の男性を思い出しながら、ウェールズ皇太子が指揮する軍隊が『反乱軍』として扱われている事に少しだけ寂しさを覚えた。ここまで生き延びたウェールズ皇太子はきっとかなりの苦労と挫折を味わった筈だ。それでも再び立ち上がったその闘志と不屈の信念に感嘆した。なれるモノならウェールズ皇太子の様な男性になってみたい。


○月×日◇曜日
夏休みが終わってからも朝練は続けているのだが、夏休み前に比べてギーシュの指揮能力が拍車を掛けて向上していた。夏休み中に特訓した事は簡単に予想が出来たがなんとなく理由を尋ねたら想像の斜め上を往く答えが返ってきた。

訓練はしていた。ただし、戦上手と有名なグラモン元帥が行う兵の調練に参加して『本物』の軍隊を指揮して何度も模擬戦を行ったとか。全てギーシュの思い通りに動くゴーレムとは違い、指揮するのは意志の有る人間、それも軍隊同士のぶつかり合いだ。ゴーレムを操るのに比べれば必要とされる指揮能力は雲泥の差であり、現役軍人である家族相手に一蹴されてボコボコになったらしいがその経験は何物にも変えられないものだと嬉しそうに語っていた。

俺だってスクウェアクラスのメイジである父さん相手に何度も挑んでボコボコにされたと自慢した。うん、隣の芝生は青く見えるってのは本当なんだな。お互いに実家の自慢話をした後、笑いあって杯を交わした。次の日に酔いつぶれた俺とギーシュが朝練に遅刻して弓兵(アーチャー)にこってり絞られたのはここだけの秘密である。


○月×日◇曜日
ウェールズ皇太子が神聖アルビオン共和国討伐に立ってから既に一ヶ月。最初は不利な状況から開かれた戦局は日が経つ事に均衡を保つようになっているらしい。最大の原因は神聖アルビオン共和国から続々と個人単位で離反者が現れているらしい。『レコン・キスタ』に敗れて成りを潜めていたアルビオン王国の誇りと魂は着実に受け継がれていた訳だ。これはウェールズ皇太子という圧倒的な求心力とカリスマを持つ人物を前回の戦争で殺せなかった『レコン・キスタ』の失態である。サウスゴータ地方から始まった戦争は戦火を広げながら、それでも着実にウェールズ皇太子に状況が傾いていた。


○月×日◇曜日
均衡する戦火を打破する為にウェールズ皇太子が『正式』にトリステインに対して同盟を結ぶ条約を持ちかけてきた。既にタルブ戦で神聖アルビオン共和国とは決定的な亀裂があるトリステインは昔から友好関係にあるアルビオン王国の要請に応えて、同盟は成立、勝ち馬に乗るべく多くの男子学生が王軍募集に参加する中、俺は迷っていた。確かにこの戦力差なら勝利を得る事が出来るだろう。ただ、俺が軍に参加するという事はイリヤ達を戦場へ連れて行く事と同義である。

考えた末に王軍に参加しない事を決めた俺は周囲から影で臆病者と罵られている事を知りながら戦火の拡大によりウェールズ皇太子の依頼で戦争難民を受け入れ始めた学院の仕事を手伝っていた。食料の配布や仮設住居の設置、戦況が段々と有利になっていく報告を聞きながら暇を持て余す子供達の世話をしていた時、俺は深い帽子をかぶった『彼女』と出会った。




ウェールズ・テューダーの記憶
「ようやくここまで来たね」

「いえ、まだまだですよ、ウェールズ様。奴等を殲滅し、このアルビオンを以前より良き国へ変える。皆、ウェールズ様の言葉を信じてここにいるのです。その言葉はアルビオン王国を再建し、トリステインに避難している難民がこの国で笑顔で過ごせるようになってからにしてください」

「……それもそうだね」

僕の横に立つ『レコン・キスタ』を抜けてこちらについてくれた軍人、サー・ヘンリ・ボーウッドの言葉に苦笑を浮かべる。僕の仕事は奪われてしまったアルビオン王国を取り戻す事では無い。アルビオン王国の再建は僕が成さなければならない事の通過点に過ぎない。この国に住む全ての人が笑顔を浮かべて笑い合える日、その時まで僕は止まる事も諦める事も許されない。いや、僕自身がそれを許さない。僕の為に傷付いた人が沢山いる。僕が無理すれば心配してくれる人がいる。けど、僕は僕を大切に思ってくれる人達に報いる為、無理をしてでも強い『ウェールズ・テューダー』でなければならない。

「なぜ、そこまでお急ぎなのですか?」

アルビオン軍人とトリステインから来た援軍が仲良く杯を交わす様子を見ながら尋ねてくるボーウッドの言葉に頬を掻く。

「僕には好きな女性がいる。失ってから初めて気付いたんだ、僕は彼女をどんな事をしても欲しかったんだと。だけど、彼女は今の僕では手が届かない存在だ。だから、僕はこの国を取り戻す。不謹慎かな?」

異性の為に国を奪還する。呆れられる事は承知の上だ。それでも僕を信じて付いてきてくれた人に嘘を付きたくなかった。

そんな僕の言葉にボーウッドは目を丸くした後、愉快そうに大声で笑った。その様子に他の兵士達もこちらを見ていた。

「不謹慎? 大いに結構! 誇りの為、民の為、綺麗事ならいくらでも並べる事が出来ます。好きな女性の為? これほど身勝手な国取りなど聞いた事ありません」

「っ」

言葉が胸に突き刺さる。

「……ですが、『好きな女性を手に入れる為』。これほど分かりやすく簡潔で完結、男が男に協力する言葉は無いんじゃないんですかね」

喉を鳴らして笑うボーウッドはシニカルな笑みを浮かべると大声で全軍にその事を伝えた。

良い酒の肴として使われた僕の恋心は後に引けなくなった状況にほんの少し高揚していた。

――――そんな時、僕は瀕死の重傷を負った僕を助けてくれた彼女を思い出す。大きめの帽子をいつも被っていた彼女の正体はなんとなく分かっている。けど、それをどうこうするつもりは無い。彼女には彼女の想い人がいる。周りの子供達に聞いてみるとそれは二人の幼いメイドを連れたトリステインの貴族らしい。そして僕は丁度そんな条件に当てはまるトリステインの学生と地下水路で出会っている。

今頃、彼女と彼は出会えたんだろうか。

そんな事を思いながら僕はわいわいと騒いでいる仲間の中に紛れていった。



後書き
ルイズの虚無でバーサーカーを殺し切った所は少し強引だった気もしましたがルイズ覚醒フラグの回収完了です。今更だけどアサシン戦を起こして覚醒の方が良かった気もしますがそれはそれで。
記憶はウェールズ皇太子です。ひたすら王道主人公として頑張ってもらっています。
次回、ついに主人公が恋をする!? 主人公が出会った『彼女』の正体とは!


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