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No.31071の一覧
[0] ゲート ZERO(ゼロ魔16巻時点 × ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり)[フェイリーン](2012/01/07 14:08)
[1] ゲート ZERO 2話[フェイリーン](2012/01/07 17:23)
[2] ゲート ZERO 3話[フェイリーン](2012/01/11 07:21)
[3] ゲート ZERO 4話[フェイリーン](2012/01/16 00:33)
[4] ゲート ZERO 5話[フェイリーン](2012/01/27 23:15)
[5] ゲート ZERO 6話[フェイリーン](2012/06/09 19:10)
[6] ゲート ZERO 7話[フェイリーン](2012/05/29 00:39)
[7] ゲート ZERO 8話[フェイリーン](2012/06/11 21:48)
[8] ゲート ZERO 9話[フェイリーン](2012/07/01 20:20)
[9] ゲート ZERO 10話[フェイリーン](2012/08/15 15:36)
[10] ゲート ZERO 11話[フェイリーン](2012/10/28 22:50)
[11] ゲート ZERO 12話[フェイリーン](2012/12/10 22:44)
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[31071] ゲート ZERO 10話
Name: フェイリーン◆2a205fc8 ID:fd7d0262 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/08/15 15:36
10 故郷からの使者

「始めまして。平賀才人さんですね? 第二特地問題対策委員会の及川と申します。
お会いできて光栄です」

 一筋の皺も無い紺色のスーツをピシッと音が鳴りそうな程キッチリと着込なした年上の
男性から「日本語」でそう話しかけられた瞬間、才人は

(もしかして本当に日本からきた?)

と半ば呆然となっていた。
いや、あの「連絡求む」の幟を見た時には才人もこれは間違いなく日本からの救援だと
一度は歓喜し、確信していた。
だがその後フランシーヌ姉妹の処遇などで手間取っている間に熱も冷め、正午少し前に
都市オルニエールの屋敷入り口まで来た頃には

「さて今度はどーいうオチがつくのかね」

と斜に構えてさえいたのである。
 そう、ルイズによってハルケギニアに召喚されて以来、さんざんいらん苦労を重ねて
きたお陰で才人はあの「幟」のような上手すぎる話の類は徹底的に疑ってかかるように
なっていたのだ。
なにしろこのハルケギニアは魔法有り、いいかえれば何でもありな世界である。
(ルイズ達にいわせれば魔法にもそれなりに制約なり、厳格なルールなりがあるのだが
才人はその辺りの詳しい法則までは理解できていない)
なんらかの魔法、もしくはドラ○もん級の便利マジックアイテムで才人の故郷の知識を
集めた「誰か」が才人を引っかけるためにあの「幟」をつくった、あるいは才人自身にだけ
通用する幻覚魔法・マジックアイテムあたりが使用された、「幟」自体は確かに日本製だが
ブリミルが残した召喚魔法で「幟」だけがハルケギニアに呼び出されてそれを「誰か」が
加工した、いやいやいっそ夢オチとか、などと可能性はいくらでも思いつくのである。
(一応幻覚系の魔法を掛けられていないことはルイズや水精霊騎士隊のメンバーに確認を
とっていたが)
 だがそこまで捻くれてしまった才人でも、どこをどう見ても日本人であるスーツを着た
男性から、「日本語」で話しかけられ、最後に止めとばかりに
「日本国外務省一等書記官 及川啓介」と日本語で書かれた名刺を渡されると
流石に眼前の現実を受け入れないわけにはいかなくなった。
  
「はぁ、どうも。平賀才人です」

 名詞を眺めながら返したそのしまらない回答が、自分が久方ぶりに使用した
「日本語」であることに才人は気づかなかった。
続いてあっけにとられている才人に黒いスーツを見事に着こなした長身の白人男性が
堂々とした態度で一礼し、こちらはハルケギニアの言葉で自己紹介した。

「アメリカ合衆国より派遣されたネゴシエーターのロジェ・ブラックです。
サイト・シュバリエ・ド・ヒラガ・ド・オルニエール子爵殿、ようやくお目にかかる事が
できた幸運を「こちら」の神「ブリミル」に感謝させていただきます」

 そのひどく芝居がかった仕草に才人は一瞬ギーシュの同類かと思いかけた。
だがロジェの振る舞いにはギーシュと違い隙がほとんど感じられない。
むしろジュリオ、ロマリアにいる完全無欠の美貌と隙の無い言動を併せ持つ「知り合い」
(友人ではない)の美少年、に近いものを連想させ、才人に警戒心を抱かせた。
ハルケギニアに来て以来、才人はこの手の「完璧なまでに隙のない美形の同姓」からは
散々な目に遭わせられ続けているのである。
(ちなみに後でルイズたち貴族組にロジェに対する意見を聞いた所、実に「貴族らしい」
振る舞いの人物であるとの全員一致の感想が帰ってきた)
ただロジェからは今までに叩きのめしてた連中程冷たい印象も受けなかったし、初対面の
相手にあまり先入観をもつのも不味いだろうと思い才人は意識を切り替えた。



「世界扉がオルニエールの領内に開いているですって?」

 日米の外交官達が自己紹介を終えた後、情報交換が行われた。
お互い少しでも相手側の情報が欲しかったのだ。
そこで才人は自分が探し求めていた日本への帰還手段がオルニエール領内に存在している事を
知らされ絶句した。外交官達は「門」(ゲート)と呼んでいたが、才人の知識ではそれは
「世界扉」とよばれる特殊な魔法で生み出されたも異世界への扉としか思えなかった。
加えて才人を驚かせたのは「時間」の問題だった。才人はハルケギニアに来てからの時間を
正確に数えておらず、大体一年半程度だと考えていたのだが目の前の及川と名乗った役人によると
日本では既に六年が経過しているという。

「あくまで推論の域を得ませんが、平賀さんがハルケギニアに来た際に俗にタイムスリップと
呼ばれる現象に巻き込まれたか、あるいは現在地球と繋がっている「門」が時間軸を超えて
ハルケギニアに繋がっているか、このどちらかではないかと思われます。
正確な所は学者に調査してもらうしかないでしょう」

 呆然とする才人に及川は続けて才人の家族の現況を伝えた。
幸いにして才人の家族は全員が無事であるという。
ただ才人がハルケギニアにいるという情報は今現在まで詳細が確認ができなかったこともあり、
まだ連絡していないとの話だった。

「御家族への第一報はこの後無線で本部に連絡した後、本省(外務省)より行う事になるでしょう。
そして設営地の外交使節団本部には地球側と通話可能な電話が既に設置されておりますので、
これから本部に向かえば夕方には御自身で御家族とお話しすることができると思います」

及川がそう才人を誘いをかけるとそれまで神妙な面持ちで才人達の会話を見守っていたルイズが
及川に問いかけた。(最初の挨拶以降、会話は全てハルケギニアの言葉で行われている)

「貴方達、飛竜でも連れて来ているの? 
「世界扉」のある場所って「黒泥の死地」のちょうど真ん中あたりなんでしょう。
馬で行ってもここからなら一週間近く掛かるはずよ」

 才人達は元々「黒泥の死地」への訓練を兼ねた調査計画を立てていた。
そして都市オルニエールから「黒泥の死地」の目的地まではおよそ120リーグ(約120キロ)であり、
全員が馬を使い片道5日で到着する予定だった。
ハルケギニアの感覚では空を飛べる騎獣でも使わない限り120リーグ(約120キロ)という距離は
どう考えても半日で到着する距離ではないのだ。
ルイズの質問に少し及川は驚いたようだったが、この見るからにプライドの高そうな貴族の御令嬢の
機嫌を損ねないよう丁寧に説明した。

「いえ空の移動手段は準備しておりませんが、街の外に我々の世界の車を待機させています。
こちらの馬車よりかなり早い速度で長時間進めますので、安全を配慮した運転でも半日で
十分到着可能です」

 無論ルイズは地球の自動車を見たことはない。
しかしこれまでに数々の「場違いな工芸品」、地球からハルケギニアにやってきた物品の総称、を
見てきたこともあり、同種の車ならできるのだろうと納得した。

「120リーグを半日で走る車ね……流石は「場違いな工芸品」の本家本元ってところかしら」

 ルイズの賛辞に及川は、自動車に関しては歴史的に本家本元はむしろアメリカさんの方なんだが、
と考えたがあえて異論を唱える必要も無いので反論しなかった。
恐らくこの場で唯一反論する権利を持つ隣にいるロジェを見れば、こちらは隠しようもない苦笑を
浮かべている。恐らくかつての偉大な先達達とは程遠い状況にある現在の自国の自動車産業の
「ていたらく」を思うと異議を唱える気にもなれないのだろう。

「無論平賀さんにも御事情があるでしょうから、あくまでこれは提案です。ただ御家族への連絡に
関しましては御家族より捜索願が出されている以上、平賀さんの御意思に関係なく報告せざるを
得ませんので御了承願います」

 勿論才人にこの申し出を拒否する理由は無い。しかしそのまま自動車で調査隊設営地に
向かう事もしなかった。これは才人が調査隊設営地に向かうに当たり、ルイズや水精霊騎士隊の
メンバー、さらにムスカーまでもが同行を希望した為だった。
及川達が準備した自動車はあくまで才人と及川達、そして護衛部隊の分だけであり、単純に車両が
足りなかったのである。結局及川達が無線で本部に連絡し、同行者分の車両と人員をオルニエールに
追加派遣してもらった上で、翌朝に才人達は調査隊設営地にある外交使節団本部へ向かうこととなった。

「才人の凱旋帰郷を祝ってカンパーイ!」

 その晩、豪奢な飾り付けのされた館の大広間で、もはや恒例となりつつある水精霊騎士団
メンバーによる宴会が行われた。名目は才人の故国への凱旋祝いである。
無論いつものメンバー以外にも及川とロジェといった日米共同外交使節団先遣隊のメンバーも
宴会に招かれている。ただ水精霊隊騎士団のメンバー達は本音としては及川達から才人達の世界の
事を聞き出したそうな様子だったが、異世界の国交の無い異国からの外交使節団という
下手に関係を持つとややこしい事になりかねない相手に対する警戒感とようやく故国の人間に
再会できた才人への配慮から、及川達とは少し距離を置いていた。
そして才人は及川とロジェから自分が居ない間に地球、そして日本で発生した事件についての
大雑把な説明を受けていた。

「はぁ、そっちもそっちで随分と大変な事になってたんですね」

銀座に開いた「門」より発生した異世界の「帝国」からの侵略。
自衛隊による反撃と「帝国」への逆侵攻。
「帝国」との講和と国交樹立、その後の帝国内の講和反対派との戦闘
尖閣諸島で発生した事件による中国との対立
銀座騒乱事件と「門」の崩壊および再開通
「門」崩壊時に発生した地球規模の「大震災」とそのおよそ1年後に発生した「東日本大震災」
「東日本大震災」によって発生した原発のメルトダウン
2度にわたる日本の政権交代

6年という時間があるにしろ、ざっと並べるだけでもこれだけの事件が起きていたという。
ハルケギニアもたいがい物騒だったが、自分の居ない間の日本もまた負けず劣らず剣呑な
状況だったのだと才人は思わざるを得なかった。

「そうするとあのライオンみたいな髪型の人。そう、北条さんはもう総理大臣じゃないんですね」

 才人にとっての「総理大臣」のイメージはほぼイコールで「銀座事件」当時に内閣総理大臣を
務めていた北条重則だった。なにしろ日本において5年間という「超長期間」
(諸外国なら普通レベルなのだが)総理大臣の地位にあり続けた人物である。
才人にすれば小学生高学年というそれなりに知恵がついてきた時期からハルケギニアに
召喚されるまでずっと総理大臣だった政治家である上、北条自身があまり政治に興味のなかった
才人にさえいろいろな意味で強烈な印象を与えざるをえないほど強い個性、いいかえればカリスマと
いうべきものを有していた人物だったのだ。

「北条元首相は銀座事件の後、「帝国」への対処方針を定められた後に任期満了で退任されて
おられます。その後の衆院選挙にも立候補はされず、議員活動に関しては引退された状態ですが
政治活動自体は継続されておられます」

及川が説明した北条元首相の現況について、ロジェが隣から皮肉の入った声で論評した。

「我々の立場から言わせていただくと北条元首相は議員活動を隠退されるのが10年程
早すぎましたね。ずっと首相でいてくれればとまではいいませんが、民自党の中に
残っていただくだけでその後の状況は「いろいろな意味で」良い方向に「随分と」
変わっていたのではと思いますよ」

 ロジェが「いろいろな意味で」と「随分」の所にかなり力を入れてそう述べると及川は
自分の顔が引き攣るのを抑える為の努力を必死で行わざるを得なくなった。
北条の議員活動引退理由は明確ではないが、彼の引退後民自党は内部権力闘争と方針の迷走を
繰り返し、最終的に総選挙で大敗北、政権を失うに至る。

……「その後」の事は及川、いや普通の日本の官僚にとっては思い出したくも無い程の悪夢の
連続だった。まっとうな政治的・外交的な常識と配慮を一切有さず、自身の妄想的な思いつきを
自慢げにマスコミ相手にばら撒き続ける「キ○ガイ」、重大な情報を国民に隠蔽し外交問題から
発生した事実上の指揮権発動の責任を検察に押付ける「無責任」、大事故発生直後に
その指揮本部に押しかけ、危機的状況を益々混乱させた上に、責任を他人に押付けて
ヒステリックに怒鳴り散らす事しかできない「無能」、そういった面々がこの国の中心で
権力を握り続けていたのだ。
 その後の総選挙で民自党が政権党の座を取り戻し、状況はなんとか正常といいうる状態に
戻ったものの現在は民自党所属の政治家の過去の汚職に関する記事が連日TVと新聞各紙を
埋め尽くしている状況であり、次に解散総選挙が行われれば民自党が政権党の地位を
維持できるかは極めて微妙な状況にあると見られている。
そして今の野党第一党にして前与党である「主民党」が再び政権を握った場合、
日本の外交方針がどうなるかはわからない。本当にわからない。
中にはかろうじて「まとも」と評しえる人間もいるが、最低限の現状認識すら有さず思いつきで
何をいいだすか全く分からない連中が党内で多数を占めている状況なのだ。

 無論これらの思いを表に出す事は及川達官僚には許されない。
彼らにできるのは少しでも「まとも」な政権である内に、条約なり協定なり日本国の利益を
少しでも確実に保証する約束をトリステイン側と取り付け「最悪の事態」となった場合に
日本国自体へ悪影響がでる可能性を少しでも下げる事だけだった。

(そろそろ「仕掛ける」か)

一通りの情報交換が終わった後、及川はそろそろ「攻め」の手番が回ってきたと判断した。
彼はこれまでの優先目的を「行方不明の邦人の安否確認と保護」としていた。
だが得られた情報から判断するに「邦人平賀才人氏」には差し迫った危機も、周囲から脅迫を
受けている様子もないようである。
唯一ハルケギニアに来た理由については明らかに何か隠している様子ではあるが
(無論及川は気づいた様子は見せなかった。後で別ルートで徹底的な調査を行う予定である)
日本の家族への連絡、帰国についても積極的だ。
となるともう一つの(はっきりいえば本題ともいえる)目的である「日本国の権益確保」
に移っても差し支えはないだろう。
及川は第一特地で「帝国」の高官相手に猛威を振るった自分達の「武器」を持ってくるよう
従卒役の自衛隊員に依頼した。

(やれやれ本当に仕事熱心な御仁だな。その勤勉さは尊敬には値するが力みすぎているのは
上手くない。もう少しこのワインを楽しむぐらいで丁度いいだろうに)

そしてその及川の様子を横目で眺めていたロジェもまた自身に宛がわれた従卒役の自衛隊員に
メモを渡して「準備」を依頼する。自衛隊員はメモの内容に少し驚いたようだったが、
すぐに一礼を返し、準備の為に広間を出て行った。



その頃、館の庭に駐車した軽装甲機動車の中で栗林ら数名の自衛隊員が本部からの無線連絡を
受けていた。内容は先刻依頼した車両、人員の増派依頼についての回答である。
それによると依頼通りの台数、人員が早朝にオルニエールへ到着するという。

「さすがにあの人数を連れていくとなると結構な台数が必要になりますねぇ。
キャリア(73式中型トラック)やカーゴ(73式大型トラック)の後ろにまとめてぶち込むって
わけにも行きませんし」

栗林から連絡内容を教えられた勝本が護衛対象が増えた事をぼやくと、栗林もうんざりした様子で
それに応じる。

「向こうの面子みたでしょ? この国の近衛隊らしいけど見た感じノリは高校生の修学旅行って
感じよ。上も本音じゃ可能な限り少人数しか連れて行きたくないんでしょうけど、こっちは断れる
立場じゃないからしょうがないわ」

 第一特地における帝国側との初期接触の際、帝国皇女であるピニャが自衛隊の占領地である
アルヌスを訪れようとした事があった。その際自衛隊側はピニャに最小限の人数の同伴者しか
認めなかったのだがこれはあくまで当時の帝国と日本が戦争状態にあり、その日本側の占領地を
ピニャが訪れようとした為に可能だった拒否である。
現状ではトリステインと日本は戦争状態になく、いうなれば日本側が
「戦争状態でもない相手の領土に無許可で入っている」状態なのである。
はっきりいってトリステイン側から

「こっちは用は無い。さっさと帰れ、もう来るな」

と言われても拒否もできない状況なのだ。無論日本は現在トリステインいやハルケギニアの
いかなる国とも国交を結んでいない。いいかえれば国と認めていない状態であるので

「ハルケギニアに国家の存在を認めない。従ってハルケギニアは「無主地」(所有者のいない領土)
である」

と理論上は主張する事もできるが、無論現実的には到底行えるものではない。
(主民党には極少数ではあるがこの主張を大真面目に行い、中国と共同領有という形で第二特地を
開拓し、現地民を「援助・指導」しようと主張する派がありチャイナスクール以外の
外務省上層部を恐怖させている)

「政治家の中には、トリステインから日本に攻撃してきてくれないかなぁ、とか思っているのも
いるんじゃないの。そうすれば「帝国」の時みたいに大手をふって反撃できて、今度は思う存分
賠償分捕れるし」
「「第二特地」で起きる「第二の奉天事件」ですか。……起きた場合きっと最初に吹っ飛ばされる
のは俺達なんでしょうねぇ」
「ま、先のことは兎も角、明日の移動に関してだけは安心しときなさい。増援隊の指揮官は
「逃げる」事だけは陸自最強のオタクだそうだから」

栗林がそう賞賛だか罵倒だか分からない言葉で増援隊指揮官の事を告げると勝本は心底驚愕した。

「「あの面子」から第二特地まで逃げてきたんですか!
……流石だとは思いますけどこっちまで「追撃」に巻き込まれるのは御免蒙りたいですねぇ」
「安心なさい。今は直接の上官じゃないから見捨てた所で別に問題ないから」

栗林はそうあっさりとかつての上官を「見捨てる」宣言をした。
勝本は

(「あの面子」から助けた事あったのかよ!)

と心の中で全力で突っ込みを入れたが、栗林が怖いので口には出さなかった。

(続)



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