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No.31071の一覧
[0] ゲート ZERO(ゼロ魔16巻時点 × ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり)[フェイリーン](2012/01/07 14:08)
[1] ゲート ZERO 2話[フェイリーン](2012/01/07 17:23)
[2] ゲート ZERO 3話[フェイリーン](2012/01/11 07:21)
[3] ゲート ZERO 4話[フェイリーン](2012/01/16 00:33)
[4] ゲート ZERO 5話[フェイリーン](2012/01/27 23:15)
[5] ゲート ZERO 6話[フェイリーン](2012/06/09 19:10)
[6] ゲート ZERO 7話[フェイリーン](2012/05/29 00:39)
[7] ゲート ZERO 8話[フェイリーン](2012/06/11 21:48)
[8] ゲート ZERO 9話[フェイリーン](2012/07/01 20:20)
[9] ゲート ZERO 10話[フェイリーン](2012/08/15 15:36)
[10] ゲート ZERO 11話[フェイリーン](2012/10/28 22:50)
[11] ゲート ZERO 12話[フェイリーン](2012/12/10 22:44)
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[31071] ゲート ZERO 8話
Name: フェイリーン◆2a205fc8 ID:fd7d0262 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/06/11 21:48
8 接触

「第二特地情勢分析更新連絡」

「……注意 本分析更新連絡はあくまで現時点で入手できた第二特地に関する情報を統合し、
推論を多数含む形で作成されたものであり、今後内容は大幅に変更されうる事に留意されたし。
  
気候
 地球における西部ヨーロッパ地域に近いか、やや温暖と呼びうる気候と推測される。
ただし現状では調査範囲、期間とも極めて限定された状況につき今後長期の調査が必要。
現時点の詳細な調査結果は添付の自然環境調査班第六次レポートを参照の事。

地理
 現時点では現地で三角測量などの実査に基づく詳細な地図等は確認されていない。
「門」(ゲート)の存在する現地文化圏(以後ハルケギニア地域と呼称)全体で地球における
西ヨーロッパ全土とほぼ同じ程度の面積と現時点では推定される。
第二特地側の「門」が存在する場所の地名はトリステイン王国オルニエール子爵領である。
なおハルケギニア地域の上空にはアルビオン浮遊大陸と呼称される
「空中に浮遊し続ける大陸」
が存在し、(現時点では原理不明)ハルケギニア側と交流をもっているとの情報を入手。

政治情勢 
 ハルケゲニア地域のみで少なくとも二十以上の国家と呼称しうる勢力が確認されている。
明確な単一の覇権国家は存在しないが、諸勢力の中で現在「ガリア王国」「帝政ゲルマニア」
「ロマリア連合皇国」「トリステイン王国」の四国が特に突出した国力、影響力を保有している。
諸国家間の会議や条約は普通になされており、状況は地球における17世紀ウェストファリア条約期以降の
それに近く、主権国家の概念はハルケギニア地域では既に成立しているものと推察される。
議員・マスコミより単純な全体像を求められた場合は
「封建制を維持した状態で新大陸等外部に進出する事無く、緩やかな発展を続けたヨーロッパ」
といった説明が適当かと思われる。
全体の詳細については添付の政治情勢分析班の第七次レポートを参照の事。

トリステイン王国
「門」の存在する地域を支配する王政国家。現時点でのハルケギニア地域最有力勢力の一つ。
元首はアンリエッタ・ド・トリステイン女王。
 ハルケギニア地域最古の国家の一つであり、行政、司法、議会などの官僚機構も確立されていたが
最近までは絶対的な王権が確立されたとはいいがたい状況だった。
ただし後述する二つの戦役の影響により、トリステイン国内の王権に対する求心力は
現在急速な拡大傾向にあり、地球における中世後期封建制から絶対主義への移行期に近い状況に
あると推測される。

アルビオン戦役
 アルビオン王国(アルビオン浮遊大陸支配勢力)において発生した革命より勃発した戦役。
アルビオン革命政権によるトリステイン王国への武力侵攻が直接の発端で、保有戦力の差より
当初トリステイン側が圧倒的不利との予測だったが、防衛戦でトリステイン側がアルビオン侵攻軍に完勝。
その後トリステインはゲルマニアと同盟を組んだ上でアルビオンへの逆侵攻を実施し、これに成功。
アルビオン革命政権を崩壊させ同国を占領した。
 なおアルビオン革命政権を裏面より支援し、実質的支配下に置いていたのは当時のガリア王ジョセフ
(前王、故人)であり、革命の発生よりトリステイン侵攻までの全てがジョセフ王の陰謀だった、というのが現在の
「ガリア王国」「帝政ゲルマニア」「ロマリア連合皇国」「トリステイン王国」の共通見解である。
(ただしアルビオン革命政権の敗北を決定付けたのは最終局面でトリステイン・ゲルマニア連合軍に味方する形で
参戦した当時のガリア王国軍であり、四勢力の見解が完全な事実であるかについては疑問の余地がある)

ガリア王後継戦役
 ガリア王国によるロマリア連合皇国への武力侵攻より発生した戦役。
当初はガリア側が優勢との観測だったがガリア侵攻軍は撃退されロマリア側に投降。
その後ロマリア側はトリステイン及びガリア王国内の反ジョセフ王勢力と連合を組んだ上で
ガリア王国に逆侵攻した。最終的に連合軍はジョセフ王を戦死させ、その姪であるシャルロット姫を
新たなガリア王位につけた。

両戦役の影響(トリステイン)
 両戦役以前、トリステイン王国はガリア王国の十分の一程度の国土面積であり、歴史こそ最古だったが
小国に分類される規模だった。
(建国当初はガリア、ゲルマニアに匹敵する領土面積があったとの事)
しかしアルビオン戦役の結果、旧アルビオン王国領の半分近くとアルビオン王国が大陸側に飛び領地として
保有していた領土の全てを賠償として割譲取得。
さらにガリア王後継戦役においても自国より一部隊のみを参戦させるという形式的参戦に近い形であったにも関わらず、
その部隊が戦役全体に決定的な影響を与えるほどの大戦果を挙げ、戦後ジョセフ王による一連の陰謀工作が
公表されたこともあり、戦勝国としてガリア側から大規模な領土割譲を受けている。
最終的にトリステイン王国は二つの戦役後、領土を以前の約四倍に拡大させ、ハルケギニア地域における
新たな大国としての地位を確立した。
加えて両戦役でトリステインが取得した領土は、ほとんどが中央政府の直轄領となっており、地方領主に対する
中央政府の決定的優位も確立されつつある。これはトリステイン内の地方領主の大部分が戦役に極めて非協力的で
会った上、戦役で功績のあった領主貴族もその多くが戦死した結果、戦勝後に報奨を与える必要のある領主貴族が
極めて少ない状況だったことが原因と思われる。
 また国力、兵力的に圧倒的優位にあった敵国に短期間で連勝した実績より、元首であるアンリエッタ女王の威信は
トリステイン国内において現在絶大なものとなっている。
なお現在中央政府で実質的な宰相として実務を統括しているのはマザリーニ枢機卿なる人物であるが、本人は
最近勇退の意思を示しているとの事。

衛生環境
 現時点では伝聞ではあるが天然痘、ペスト、チフス、コレラ等に該当すると思われる伝染病が確認されており、
第二特地側より地球側に移動する際は十分な検疫が必要である
ただし現地の技術では細菌の存在は認識されていないが、トリステイン王国内に限定すれば衛生観念は
既に確立されている。清浄な飲料水の必要性と蚤、虱などの伝染病媒介者の駆除、身体を清潔に保つ重要性は
広く認識されており、衛生環境は地球の近世ヨーロッパのそれより格段に良好な状況にあると推察される。
さらにトリステイン王国首都トリステインにおいては、既に緩速濾過法に該当する形式での浄水設備と
都市中枢地域への給水設備が設置されており、下水道も存在するとの事。
加えてトリステイン王国内に限定されるが、既に全自国民に対する種痘(牛痘法)の実施が制度として確立されている。
 なおこれらの衛生観念の確立と上下水道の設置及び種痘制度の整備を行ったのは、
先々代トリステイン国王フィリップ三世の宰相であったエスターシュ大公という人物である。
ただし彼は後にフィリップ三世に反逆を企てたとして失脚しており、その業績を公式に認めることは
現在のトリステイン国内ではタブー視されている。

食料事情
 化学肥料及び農薬は存在しないがトリステイン王国内では既にジャガイモ栽培と、地球における改良穀草式農法が
極めて大規模に実施されている。同時に初期の方式ではあるが作物や家畜の組織立った形での品種改良も進められている。
(あくまでトリステイン国内に限定された事情であり、それ以外の地域は三圃式農業が主流でジャガイモ栽培や
品種改良は一般的ではないとの事)
その為、トリステイン王国の農業生産性は地球の中世ヨーロッパや他のハルケギニア諸国のそれより遥かに高いものであり、
食糧事情は極めて良好で国外への大規模な食糧輸出が行われている。
なおジャガイモ栽培と改良穀草式農法の大規模導入を強力に推進したのも前述のエスターシュ大公であり、
やはりその業績を公式に認める事はトリステイン国内ではタブーとされる。

注 エスターシュ大公はこの他にも司法、行政、財政、貨幣制度、産業育成、芸術家の保護、
さらに原始的なものではあるが一般国民に対する無償教育制度(失脚後廃止)や医療保険制度(失脚後廃止)など
数多くの分野で極めて先進的な改革を実行した人物で、彼の改革でトリステイン王国は一時的に大国に近い地位を
取り戻している。ただし彼の失脚後、フィリップ三世は周辺の国家と頻繁に領土紛争を起こし
一時的に領土を倍近くまで拡大したもの、結果として周辺のほぼ全ての国家を同時に敵に回すことになる。
その後フィリップ三世は獲得した領土を全て放棄し、さらに一時的ではあるが自国領のほぼ全てを周辺諸国の連合軍に
占領されることになるが、最終的には痛み分けとしての講和と戦争前の自国領の維持に成功する。
 現在フィリップ三世は戦場で生涯ほぼ不敗であったことより、大部分の「トリステイン王国貴族階層」からは
極めて偉大な君主であったとの評価を与えられている。
ただし、それ以外の階層からは、(表立ってのものではないが)無意味な戦争で国内に絶大な惨禍をもたらした
最悪の君主という評価が一般的である。
逆にエスターシュ大公は大部分の「トリステイン王国貴族階層」からは最悪の反逆未遂犯として扱われているが、
それ以外の階層からは(やはり表立ってのものではないが)極めて有能かつ公正、なおかつ慈悲深い統治者だったとして
今なお絶大な声望を有している。(エスターシュ大公は現在も存命)
この両者が話題に出た場合は細心の注意を払った上での対応が望まれる。
追記(重要報告事項)
アメリカ外交団一部スタッフがエスターシュ大公への接触を計画している模様。

サイト・シュバリエ・ド・ヒラガ・ド・オルニエール子爵(平賀才人氏)
 六年前に日本国内より失踪した平賀才人氏本人であるとほぼ確実に推定されている人物。
第二特地に至った理由等については不明であるが、トリステイン王国では一年半程前よりその存在が確認されている。
前述した二つの戦役ではトリステイン側で参戦し、多大な功績を挙げたとしてアンリエッタ女王より子爵位と領地を
与えられている。アンリエッタ女王の近衛隊副隊長でもあり、アンリエッタ女王第一の寵臣との評価がトリステイン王国内
では一般的である。存在が確認された油田及びレアメタル鉱山の権利を保有すると見られる人物でもある。
邦人であり身柄の保護は無論重要な案件ではあるが、トリステイン王国中枢との仲介役や、資源開発及び領内通行の許可を
求める対象となる人物でもある為、対応には細心の注意が必要。
 なお彼のトリステイン王国内の地位については他国、特に特定アジア諸国より日本側に都合が良すぎる、
自衛隊の武力でトリステイン政府を脅迫し捏造したものではないかとの異論がでる可能性が極めて高い。
「門」が開かれる以前に彼が現在の地位を得ていた事を証明する証拠・情報を収集する必要性有り。
追記 1
 彼の功績に関するより詳細な情報収集が必要。
現状では
「七万の敵兵を一人で阻止した」
「竜騎兵(現地の航空戦力)を二十対一で全滅させた」
「一騎打ちで百人抜きした」
「前ガリア王と直接戦い、討ち取った」
などのプロパガンダ情報しか得られていない。
(追記 2 外務大臣、外務副大臣、外務大臣政務官より平賀氏との最初の直接接触の際に、自分が立ち合えないか
との問い合わせ有り。検疫の問題がある上、詳細な状況を本人に直接確認するまでは政治家との直接接触は避けた方が
適切である旨をご説明し納得いただいた。
 ただし可能であれば今後発生する平賀氏との直接接触は「存在しなかった」事とし、最初に直接接触したのは
日米両国の政治任用職者であった事にできないか平賀氏側と交渉するようにと外務大臣ご自身からの「依頼」あり。
可能であればその際の写真撮影の許可も得るように。なおこの追記事項が記されたページは確認次第処分し、
最終報告書でも該当部分を削除しておく事)


「及川さん。このワインはなかなかいけますよ。我々の世界の物と比べるとかなり渋みは強いですが、口当たりは
柔らかいですし酸味、苦味とのバランスも悪くない。貴方も一杯いかがですか?」

 手にした銀製のゴブレットを優雅に傾けながらロジェ・ブラックがそう語り掛けると及川啓介は苦笑して
目を通した書類をテーブルの上に置いた。いつもの事とはいえ政治家サイドからの余りに身勝手な「お願い」に
軽い頭痛を感じていたこともあり、及川もまた躊躇無く用意されていたゴブレットに手を伸ばした。

「確かに出されたものに手をつけないというのも不味いですからね。分かりました、一杯だけいただきます」

 及川が手にしたゴブレットにロジェは流れるような手つきでワイン、オルニエール産のそれの中でも最上品、を注いだ。

「これはすいません」
「いえ、一人で飲んでいるのも味気ないですからね。
とりあえず『サイト・シュバリエ・ド・ヒラガ・ド・オルニエール子爵』あるいは日本人平賀才人氏と間接的であれ
連絡が取れたことに乾杯しましょう」

 ロジェがそういってゴブレットを掲げると及川もまたようやく山を一つ越えつつあるとの実感に微笑して応じた。

「ええ、乾杯」
「……できれば一緒に飲む仲間がもう少し増えてくれて、なおかつその中に御婦人が居てくれれば、このワインも
もっと美味しくなると思うのですが」

ロジェはさらに同じ部屋の中に居る他の人間にそう水をむけた。すると

「我々は護衛任務中ですのでご遠慮させていただきます」

と緑の迷彩服を着込んだ自衛隊員、及川とロジェの護衛兼従卒役部隊の隊長である小暮二尉、が生真面目な声で応じた。
その小暮の後ろで栗林志乃一曹は、
(また始めたよ、このエセ紳士……)
と心の中で大きくため息をついた。

……及川達日米共同外交使節団先遣班が現在逗留しているのは都市オルニエールのオルニエール子爵邸である。
及川達はこれまで数日毎にこのオルニエール子爵邸を訪問しては執事に追い返されていたのだが、二日前に訪問した際に
相手側の対応が劇的に変化した。
 なんでも伝書鳩で子爵本人から指示があったとのことで、及川達は近日中に子爵本人が到着するまでの間、賓客待遇での
館への逗留を求められたのである。無論及川達に異論は無く、彼らは本部に報告を行った上でこの申し出を受け入れた。
そしてオルニエール子爵、ほぼ間違いなく日本人平賀才人、の到着をさらなる情報収集を行いながら待つこととなったので
ある。

「任務に極めて忠実であることが貴方達自衛隊の素晴らしい美徳である事は重々に承知しています。
ですが気を張り詰めすぎるのも良くない。交代で一杯ずつワインを味わう程度なら任務に支障はきたさないでしょう? 
どうです、とりあえずレディファーストで始めませんか?」

ロジェは小暮の控えめな拒絶にもまったく気分を害した様子はなく、さらに酒盃を隊員たち、というより栗林に薦めた。
半分遊びだろうがあからさまにモーションを掛けている。
小暮は半ば頭痛を感じながらこの申し出を受けるべきか判断に迷った。
このロジェ・ブラックという人物は小暮達の護衛対象ではあるが、彼らに対する命令権限は有していない。
しかし同時に小暮達は護衛任務に支障をきたさないのであればロジェの、アメリカ合衆国大統領直属の交渉人の、
希望や要望に可能な限り応ずる様にとの正式な命令を受けてもいたのである。
 無論この場合、飲酒を行う事でわずかでも護衛任務に影響が出ると突っぱねる事も十分可能なのだが、現状そこまで高度
な警戒が要求される状況とも小暮は考えてはいなかった。

結局、彼は部下を生贄にすることにした。
まあこの生贄は供物を食べにきた怪物を軽く返り討ちにしかねないある種の猛獣なのであるが。

「栗林一曹、現時点より休憩をとれ。ローテーションについては後で調整する」
「了解しました」
(売りやがったな、この野郎)
内心で毒を吐きながら栗林は自分の直属の上官はどうしてこうも「逃げる」のが上手い人間ばかりなのかとため息をついた。
そして彼女が準備されたゴブレットを手にとるとロジェが

「勇猛なる黒髪の戦女神に捧げます」

と真顔で述べてワインを注ぎ込む。その気取った仕草に栗林はこんなことならアルヌスに残った方が良かったかもと
内心でゲッソリとなった。
栗林の見たところ、このロジェ・ブラックという人物はいわゆる性悪と呼ばれる類の人間ではない。
むしろ好人物・熱血漢と呼ぶべき人間である。
その事はすぐに理解できた、できたのではあるがしかしその言動は一々芝居がかっており、どうにも彼女の波長に合わない。

(おまけに服装のセンス、最悪だし)

さらに本人は紳士・フェミニストを自負しているようなのであるが、案外頭に血が上りやすい部分もあり、
これは親しくなったら直ぐに本性を出すタイプだなと栗林は見ている。

「暑苦しい本性を黒スーツと芝居がかった振る舞いで隠している「エセ紳士」」

それがロジェ・ブラックに対して栗林が下した評価だった。
つまり悪い人間ではない。むしろかなりの善人。
……だからこそ対応に困るのである。
ついでにアメリカ合衆国大統領直属の交渉人という普通なら最低でも尉官級が対応しろといいたくなるような肩書きまで
もっているのである。ちなみに同じ隊の勝本二曹はロジェに対し

「なんか腕時計に仕込んだ無線つかって巨大ロボットをどこでも好きな時に呼び出せそうな感じがする人ですよね」

という評価を下している。そして何の話かと尋ねた栗林に

「いや、いいです。今のメモリーは忘れてください」

というさらに分からない回答を返している。結局以前所属していた隊の隊長の趣味に勝本が汚染されてきている事を
理解するのが栗林の限界だった。



「栗林さんは、第一特地での勤務が長かったと伺っています。
このオルニエールのワインと第一特地のワインの味の違いについての感想等をお聞かせ願えませんか?」

ソムリエやら外交官やらじゃあるまいし、ワインの味なんてわかるか!
と叫ぶ事もできず栗林は引き攣った笑顔を作りながらロジェの相手をせざるを得なかった。
正直、第一特地でドラゴン相手にドンパチやるほうがよほど楽だった。

(続)


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