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No.2213の一覧
[0] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2007/11/06 00:43)
[1] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2009/01/02 19:21)
[2] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2005/05/05 19:34)
[3] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2005/05/08 10:32)
[4] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2005/05/14 19:42)
[5] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2005/05/22 21:47)
[6] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2005/06/18 01:31)
[7] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2005/07/06 18:23)
[8] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2005/07/04 03:09)
[9] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2006/01/26 01:10)
[10] アナザーストーリー・IF・全開・偽螺旋剣編。[愁雨](2005/07/06 20:36)
[11] アナザーストーリー・そうして魔剣は主と出会う。[愁雨](2005/07/17 22:52)
[12] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2005/07/24 18:43)
[13] アナザーストーリー・そして世界は歪む。[愁雨](2005/07/19 00:07)
[14] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2005/08/07 20:12)
[15] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2005/11/07 02:10)
[16] アナザーストーリー・雪風と微熱[愁雨](2005/11/11 23:51)
[17] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2005/11/20 13:40)
[18] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2005/12/02 00:34)
[19] アナザーストーリー・メイドさんと赤い外套・接触編[愁雨](2005/12/14 07:09)
[20] アナザーストーリー・メイドさんと赤い外套・接触編[愁雨](2005/12/22 01:37)
[21] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2006/01/15 16:20)
[22] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2006/01/28 23:06)
[23] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2006/02/14 23:06)
[24] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2006/04/16 17:32)
[25] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2006/04/05 22:25)
[26] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2006/06/19 01:24)
[27] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2007/01/10 01:32)
[28] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2007/01/23 18:30)
[29] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)[愁雨](2009/01/02 21:35)
[30] アナザーストーリー:胸革命と称された少女の出自[愁雨](2009/01/02 21:30)
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[2213] ゼロの最強の使い魔(Servant Of TheZERO)
Name: 愁雨 前を表示する / 次を表示する
Date: 2005/08/07 20:12

「…成る程。これは普通の手段では無理か」



場所は変わる。
ここに居るの一人の女だ。
学院の宝物庫の前に、何気なく立つその女の目は鋭く厳しい。
女の名は『土くれのフーケ』
稀代の大盗賊であり、怪盗でもあり。…強盗でもある。
女の目的は一つ。
この封印された宝物庫に眠ると言う【破壊の杖】の強奪である。


――――――――――――――――――――――――――――――――


雪風と赤い騎士




「となると、どうしたものかねぇ…『開錠』も効果無し、『変質』による突破も出来ないか」

女はその顔を歪める。
上等だ。このあたしの手に掛かって盗めなかったものは無い。
普通の手法が効かぬのであれば、搦め手だ。

土のスクウェアメイジ。
表向きはトライアングルとしたが、本来は四大元素同時行使者だ。
その力は伊達ではない。

貴族がメイジであるのは当然とされる。だが、メイジが貴族である必要などはない。
彼女は前者であり、後者でもある。
故に、彼女には貴族の余分が無い。無用な誇りなどに煩わされず使える手段を模索し現状を打破する。
それが、彼女を大盗賊と呼ばしめたものだった。

「…ふむ、この辺は、博識なあの男を誑し込んで聞き出すとしようかね…」

彼女はその面持ちに邪笑を浮かべると何事かを呟いた。
そして、その一瞬後にはその人影は土となり崩れて消えていた。

○●○●○



エミヤは明日の為の準備だと言って服飾屋に買い物に行き。
出て来た彼の手提げ袋には、服が買い込まれていた。

「…エミヤ、何それは」
「見てわからんのか? これは服というものだが」
「…そう言う意味じゃなくて」
「何。下手に受肉に近い身体なのでな。普段の装備で日常を過ごす訳にもいくまいよ」

そんな事を言って彼は、その顔を皮肉気に歪めた。
受肉? 前もそんな事を言っていたけど…それはどんな意味なのかしら?

「ねぇ? 受肉ってどういう事?」
「…む? 前も言っただろう? 英霊は本来、実体無き魂のみの存在だと」
「…? つまり、本当は体が無いってことなのかしら?」
「そう。故に本来は霊体化といって通常可視不可能な魔力のみの状態になれる。だが、此方の世界に引っ張られた時どんな理由かは伺い知れんが器が与えられてな」

エミヤはそんな事を言うと一度、嘆息をした。
そして次を続ける。

「これが実に厄介な事でな。武装は魔力で編めるが、それ以外の服装は別に用意する必要がでてくる。まぁ、創り出せない訳ではないが、戦闘に関わらん物を創るのは非常に疲れる。従って、こういった店で買う方が楽と言う訳だ」
「…良くわからないけど、大変なのね。エミヤも」

わたし達はそんな会話をしながら歩く。
エミヤは訊いた事にはしっかりと答えてくれる。
無駄な事を話す事は無いけど、話し相手にはなってくれる。
聞き上手とでも言うのだろうか。

「…さて、ルイズ。帰りはどうするかね? 馬車でも借りてゆくか?」
「…それも良く考えたら、借りた場合って返しに来なければならないのよね…」
「それは当然だな。で、どうする?」

うう…順当に考えれば、馬を借りて行きたいが…
エミヤはニヤニヤと笑っている。
…多分、私が次に言うだろう言葉を予想しているからだ。

「…これはね。仕方が無いからよ。いい? それはわかっているわよね?」
「ふむ。確かに仕方なかろうな。流石に歩くわけにもいくまい?」
「乗合馬車も学院までは直通便はないし。…正直、あれをまた味わうかと思うと、ぞっとしないけど…エミヤに任せるわ」

エミヤは皮肉気に笑って答える。
それを待っていたと言わんばかりに。

「では。任される事にしよう」

○●○●○



私はルイズを背中に背負った。
行きには両手が空いていたが、今は手に荷物がある為に抱きかかえる事が出来ない。
正直、言えば俗称お姫様抱っこの方がバランスが取りやすい。
背負う形のほうは後ろを気にする必要がでてくるからだ。
しかも、今回は手で支えてやる事も出来ない。

「行きと違って荷物があるから、速度は少しばかり遅くなるが…」
「…それの方が安全。かまわないから、早くしなさいよ…恥ずかしいんだから」
「了解だ。マスター」

私は苦笑を浮かべる。

足並みは緩やかに。されど淀みなく。
疾走ではなく、軽走で。
風を切るのではなく、風を流すように。

「…ふぅん…普通の速度でも十分速いじゃない」
「まぁ、意識して速度は落としているがね。君を背負った状態は不測の事態に対応し辛い」

私は走りながら、ルイズと会話する。
というか、話しかけられたら、それに答える程度ではあるが。

○●○●○



雪風のタバサ。
彼女はその名で呼ばれる。
この学園に在籍するメイジの中で唯一姓を名乗る事の無い少女。

誰も彼女の姓は知らない。
例外は彼女とそれを知りその上で彼女を迎え入れた学院長の二人のみだ。
だが、学院長は無償でこれを受け入れた訳ではない。
史上最年少での騎士勲章たる『シュヴァリエ』を持つ少女。
シュヴァリエは他の勲章と違い、その功績のみで受勲されるものだ。

彼女は本来ならば学院に在籍する必要はない。
それだけの実力は既にあるのだ。

特定技能特化タイプ。
彼女は戦闘に特化したメイジである。

彼女はその特性ゆえに他のメイジ達と馴染む事は少ない。
物静かな性格と無口な性質も手伝っているのだが。
彼女に進んで話しかけるのはキュルケだろうか。
話しかければ答えはするが一言、二言で会話が終わってしまう。

その彼女は今、学園の上空にいた。
学院長からの依頼。
曰く。ルイズ・フランソワーズ・ド・ラ・ヴァリエールとその使い魔の確保である。
ルイズが午後の授業に来ていない事を聞き入れた学院長が厳命を下したのだ。

タバサはその命を非常に疑問に思った。
その命を下された者は全て戦闘特化のメイジであったのだ。
何故、【ゼロ】のルイズとその使い魔を確保するのにそれほどの人材が必要なのか。

彼女は先の一件を見てはいなかった。
くだらない事だと思い、昼食が終わると自室で何時もの様に食後の読書を楽しんでいたのだ。

彼女には悪癖がある。
読書時には【静音・サイレント】の魔法を使い、完全に自己の世界に没頭してしまうのだ。
よって、あの時に感じられたであろう魔力等を感知すらしなかったのだ。

「…何か、いた?」

風竜の幼生、名をシルフィード。タバサの使い魔である。
竜種を使い魔に出来る事からも彼女の実力は推し量れる。
メイジを力量を知るには使い魔をもって知るべし。

竜種は、幼年期こそ御する事も可能だが、青年期、老年期と時間を重ねる事で強大な力を得る。
幼年期のうちに使い魔とすれば、メイジの成長と共に竜種も成長する。

飛竜や風竜といった翼有竜を乗騎とする騎団において、使用されているのはこの幼年期の竜種に過ぎない。
青年期の竜種を捕獲するのはメイジの一師団が必要になるのだ。
老年期の竜種を捕獲しようなどとはまさに天に唾棄する行為に他ならない。

幼年期こそは知能も動物的であるが非常に高く、青年期となれば契約無しに人語を解する。
老年期ともなれば、会話すら可能なのだ。
竜種はそれほどまでに優れた幻獣種である。

シルフィードの目は得物を狩るかのように地に向けられている。
そして、その目は赤い一つの姿を見た。その速さは加速状態の馬を超えるものだ。
タバサに与えられていた情報は、ルイズの使い魔は赤い外套を身に纏った存在との事。
思考連結された情報から、それを感じ取る。恐らくアレが目的に違いない。
主もそれを感じ取ったのか。小さく肯く。
シルフィードはその影に向けて急降下した。

●○●○●



瞬間、エミヤが急停止した。

「ちょっと!! 急に止まんないでよ!!」

当然、私は抗議をするのだが…

「…エミヤ?」

彼の目は上空を見やったまま、わたしの声にも反応しない。
私の問いかけにも答えず、エミヤはをその背からわたしを降ろす。

「ど、どうしたのよ。急に」
「…訊くが。君の知り合いに竜種の使役者はいるか?」
「へ? い、いるにはいるけど…」
「それに狙われる覚えは?」
「はぁ?」

何を言っているのだろうか?
何故、私が狙われなければならないのだろうか。意味がわからない。

「…ふむ。心当たり無しか。さりとて座する訳にもいかないか」
「ねぇ。どうしたのよ。訳わかんないんだけど」
「簡単な事だ。言ったとおり、今、上空から竜種が急降下して此方に突撃してくる」

エミヤは荷物を地面に降ろすと淀み無い仕種で上空を見やった。
空気が変わる。張り詰めたような空気。
これを味わうのは二度目だ。
背中しか見えないけど、彼は、きっとあの目をしている。
出会った時の鷹のような目を。

●○●○●



状況不明。視覚情報のみによる事態の把握。
竜種と思しき飛行物体の確認。
速度は加速度的に上昇。
急降下による突撃と推測。

…しかし、何が起きている?
竜種が通常に存在しているのは、あれ程の使い魔を見た後だから納得はできるが…
竜種に狙われる理由までは見当がつかん。
ともあれ、迎撃の必要はある…か。

心象世界に対し接続開始。
上空より飛来する対象への迎撃武装を検索。
…状況が不明である点を加味。殺意及び敵意の不検出。
対象がメッセンジャーである可能性も否定は出来ない。
初弾は牽制の一撃。反撃があれば以降は戦闘対象として認証。

まずは試しだ。
この一連の攻撃…どう捌く?

●○●○●



タバサは目を見張った。
シルフィードが加速してその場に急降下する最中。
あろう事か、その影は立ち止まり、振り返って此方を見やっているのだ。

ありえない。
此方は上空から、その後姿を確認したのだ。
つまり背後から見たに過ぎず、尚、その距離は相手が豆粒ほどにしか見えない上空。
竜種の優れた索敵視覚で始めて相手を確認できる位置関係の筈。

それが此方を見やっているのだ。
立ち止まってこちらを見ているのならば、それは明らかに気が付いている証拠。

この距離で有効なものなど、大規模攻撃魔法か、集束型突破魔法ぐらいだ。
ルイズは、その系統の魔法は習得していない筈だ。

そも、此方を見やったのは使い魔と思しき存在。
人型の使い魔が、それほど強力とは思えない。
そもそも、それが使い魔として有益なのかも不明なのに。
人を使い魔としたなんて聞いたこともない。

それがタバサの油断だった。

身体に悪寒が奔った。
それは正しい感覚だ。
彼女はシュヴァリエの勲章を手にする経緯で、この齢十五にして命の遣り取りを経験している。
それはつまり、この状況下において、命の危険を感じる何かが起きたという事だ。

風切り音。
僅かに聞こえるその音で、タバサは此方に何かが飛来している事を察した。
彼女は風の属性の使い手。
それがここに来てその特異性を発揮している。
意識を風に乗せる。
風を知覚感覚に同化させる。広域探査魔法・【センス・ウィンド】

…武器? 剣が此方に高速で飛来している?
この距離を?

「シルフィード!! 急旋回!! 左っ!」

事のあり得る、あり得ないの前に反応した。
起きているのならば受け入れなくてはならない。
この距離を速度も落とさずに飛来してくるのならば、その威力は推して知れよう。

自らの使い魔は、忠実に命に従う。
身体に横殴りの重力が掛かる。
風の魔法で身体を固定させていなければ、軽く振り落とされていた事だろう。

だが、相手はそれを予測していたのか。
弧を描く形で左右双方から飛来する物体が確認できる。
短剣だ。黒の短剣が左、白の短剣が右。
速度は先ほどよりも遅いが、全く同速で飛来する。
つまり、このタイミングの回避運動を見切っていた事。

急降下中の急激な旋回運動。
それの描く軌道を見切られていた。

「…っ!」

この状況で打てる手などは少ない。
彼女はそのうちの一つを選んだ。

「風よ! 我が手に宿れ。全てを払う風の鎚となれ!! 【エア・ハンマー】!」

単純な事。
飛来する攻撃を相殺するまで。
幸いにして空と言う空間は風の属性が最大限に力を発揮する。
自分のトライアングルの頂点もまた風だ。

合成式は【風と風と土】トライアングル・スペル。
この魔法は風の基本の魔法に過ぎない。
だが、魔法と言うものは、使用者の能力でその力をいくらでも跳ね上げる。

ロッドに風が収束していく感覚。感じるのは確かな重み。
風には本来質量を感じさせるものは存在しない。
俗に空気と呼ばれるものは物質としての固体を持つ訳ではない。
ドット・スペルでのエア・ハンマーは突風で吹き飛ばす。
ライン・スペルによるエア・ハンマー。この時点から正しくして風の鎚を形成させる事が出来る。
風に土の属性を組み込む事でありえざる質感を生み出す。
質量を伴った風は威力を倍化させるのだ。

見えない槌を。僅かなる一瞬で生成し。
飛来する双剣に対して、全力で叩きつける。
横から飛来するのであれば、その運動方向に相対する。
これは攻撃相殺の基本だ。
だが、ここで採るべき選択肢は他にもある。
幸いにして、ここは空中だ。
遮蔽物も無い。ならば!

叩き落す。上方向からの質量を伴う空気の鎚。
真横から相殺するよりよほど可能性は高かろう。

見極める。双方から飛来するのであれば同時に叩き落さねば意味が無い。
感覚を更に深く空気に同調させる。

瞬間、空間が揺れた。
空気の鎚が飛剣とぶつかり合う音。
轟音。
飛来する双剣は、その顎を閉じる前に少女の振り下ろした空気の鎚に叩き落された。

●○●○●



ふむ…成る程。
黒鍵の高速投射に続けての干将莫耶の投擲に反応しきったか。
全力投擲ではないとは言え、干将莫耶を見事に叩き落したか。

正直、侮っていた。
この世界のメイジは、本当に千差万別のようだな。
どうやら、相手はギーシュなどとは比肩出来ない程の使い手であるらしい。

「…エ、エミヤ? 何やったの? 何かすごい音したけど…?」
「いや、何。私の攻撃をもの見事に防がれただけの事だ」

さて、どうしたものかな?
敵意を持つ【追跡者・チェイサー】であるのならば反撃が来ても可笑しくないが…
どうやら、違うらしい。それともこの距離を反撃できる術を持たない?
いや、否。
まかりなりにも、宝具たる干将莫耶を叩き落すほどの魔法の使い手。
それが遠距離戦を不得手するはずも無い。楽観は禁物だ。

む?動きが目に見えて鈍ったが…速度を落としたようだな。
緩やかに下降してくる。
ふむ。今なら不意を撃つ形の高速投射を行えば、簡単に仕留められる気がするが。
どうしたものかな。

●○●○●



どうやら、あの攻撃で、一連の攻撃は終わりらしい。
タバサはまず安堵の溜め息を吐いた。
あの攻撃が、連続可能なものだとするのならば防ぐ術等は無かった。
どうも、察するに急ぐあまりの急降下に過敏に反応されたようだ。

どうやら、ルイズの使い魔は優秀らしい。
遠距離に対する鋭敏な感覚。そして従来の武器の観念を逸脱した武器の投擲。
メイジの実力を知るには使い魔を持って推し量るべきとも言う。
ならば、それほどの使い魔を使役する彼女はいったい何者だろうか。
タバサの知るかぎりではルイズは『ゼロのルイズ』でしかない。
その彼女の使役する使い魔は、恐らくは自分のシルフィードを苦無く一蹴する存在。

学院長が血相を変えて、ルイズとその使い魔の確保を命じたのも、ここに理由があるかもしれない。
どうにも、理解が及ばないが。

シルフィードを緩やかに下降させていく。
先程の例もある。普段の三倍近い密度で空気の鎧を編む。
警戒範囲は先程の倍以上に設定しなおす。
不意を撃たれては、今度は防ぐ自信が無い。

だが、それは杞憂に終わった。
魔法による視覚強化が必要でない距離に到達する。
その眼に移るのは、赤い外套に身を包む長身の騎士とその後ろに庇われるように立つ見知った姿…ルイズだ。
赤い外套の騎士は此方から目を外さない。
此方が敵対するような行動を見せれば即座に反応できるのだろう。
それはこの場に漂う殺気が物語っている。
曰く、『下手な手出しは死を持って相応とする』

ますます持って怪しい。
ルイズは、何故これ程の存在を使役している?
近くによって魔力を察知すれば、異常なまでの高密度。
それでいてその形態は人間と同じ。
精霊種も人に近しい形態をする事はあるが、ここまで確たる姿となる事はない。

胸には山積する疑問。

ルイズの目が見開かれた。
ようやく此方に気がついたのだろう。
言いたい事も訊きたい事も山ほどあるのだが。
まずは、当面の目的を果たさねば。

シルフィードを緩やかに着地させるとその背から飛び降りる。
赤い外套の騎士はいまだに此方を警戒している。
でもそれは関係ない。こちらも用事があるのだ。

赤い外套の騎士の影にいるルイズに差し向かうように立つとその一言を告げた。

「…ルイズ…学校。学院長が探してる」
「へっ? タバサ?」

まぁ、何にせよ。
雪風のタバサと言う少女と赤い外套の騎士のエミヤの最初の邂逅はこんなものだとだけ記しておこう。
彼女が彼の正体を知った時に一悶着があったのだが、それはまた別の話。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


後書き

どうも、久方ぶりの更新です。
後半がグダついていますが見逃してやってください。

タバサ登場の声が大きかったので彼女に登場してもらいました。
彼女はトライアングルなので簡単には負けません。
風の使い手なので風を十分に利用する実戦型に。

独自の魔法感が炸裂してます。既に原形は留めてねぇ(核爆

それでもよかったら次回以降もお楽しみを。

スパロボクリアするまでは、更新は遅くなります。


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