今回はレイの日記形式で、一話にする程でも無い日常を記載していきます。
●●の月 ○○の曜日
ルイズが本格的に剣術を始める事となったので、母上への報告と、ルイズ用の小太刀と言うことで シャジャルさんから譲り受けた桐箱を開封する事にした。
母上への報告はすんなりとはいかなったが、魔法も練習させると言う事が効いたのか、最終的には快諾して貰う事が出来た。
桐箱の開封は母上の監視──と言えば良いだろうか?──の元に行う事にした。
万が一封印された小太刀が妖刀、あるいは魔剣の類の危険な品であった場合の事前策であるが……まぁ心配は無いだろう。
さて、桐箱の開封であるが……俺に封印を解除する技法など心得が無いので、勿体無いが、本当に勿体無いが桐箱を破壊する事にした。
華美過ぎず、品や作りの良い桐箱であったので、出来れば残しておきたかったが……話を戻そう。
桐箱を霊力で破壊し、中の物品を取り出し息を呑んだ。
間違い無く小太刀であったのだが……一級品と言って差し支えの無いで、柄糸は薄紅と金、鞘は黒塗りで所々に桜の文様が彫られている。
鍔の拵えも桜の小透かしで、刃は薄紅色の反りの浅い直刀と言う、全体的に桜をイメージさせる見事な小太刀だった。
『桜花』と言う銘である事も確認した。
あまりの美しさに妖刀かと一瞬考えたが、妖刀特有の禍々しさも感じられず、どちらかというと涼しげな清涼感、並びに神聖さを感じさせた。
問題のある品では無かったので母上に預け、ルイズにこの小太刀を渡すべきかどうかを一任することにした。
『桜花』を見つめる母上の目が少々心配であったが……ま、まぁ大丈夫だろう。
●●の月 ○☆の曜日
母上が先日預けた小太刀『桜花』をルイズに渡した。
渡す際に一悶着あったが……まぁ問題は無い。
それよりも、『桜花』を手渡されたルイズの様子がおかしかったのが心配だ。
『桜花』に魅入って、奇妙な笑みを浮かべてるし……あれ、本当は妖刀だったんじゃ?
とは言え 取り上げる訳にもいかない。
ま、まぁルイズなら大丈夫だろう……多分
●●の月 ★●の曜日
たまには読者も良いかと テラスにて本を読んでいると、何やら大量の荷物を携えた従者数人を引き連れて父上が現れた。
何の用かと訪ねて、耳を疑った。
み、見合いって、まだ俺には早いんじゃ?……ああ、貴族なら当たり前……なのか?
従者達の持ってきた肖像画──現代の見合い写真に当たると思われる──を何ともなしに眺めていると、あまりの衝撃的な人物の肖像画に、つい口に含んだ紅茶を吹き出してしまった。
モ、モンモンのまであるのか!?
他にも、ケティやベアトリスと思われる肖像画も……てか、同年代は手当たり次第のような……
兎に角、俺にはまだ早いと断る事にしたが、友人なら良いと言う事で会う事には承諾した。
ルイズに同年代の友人は必要だしな。
●☆の月 ●○の曜日
ルイズの暫定的な婚約者として、ワルド子爵を紹介された。
あまり原作を変えようとも考えていないので反対はしないが……少々脅すぐらいなら良いだろう。
ルイズを裏切ったら云々、ルイズを利用しようとしたら云々と少々感情的に殺気を当てると、ワルド子爵は気の毒な程に顔を青くしていた。はて?あの程度で青くなる程 気骨の感じられ無い人物とは思えなかったが……
●☆の月 ○☆の曜日
王城にてアンとお茶会。
珍しくアンに振り回される事の無い 穏やかな時間だった。
尤も、辞去の際のアンの眼差しに不穏な物を感じたりもしたが……気のせいと言う事にしておこう。
●☆の月 ◎●の曜日
最近カトレア姉さんの体調がかなり良いらしい。
意図した事とは言え、成果が見られるのはやはり良い事だ。
ルイズも自分の力『霊力』がカトレア姉さんの為になったのが嬉しいのだろうか、大層喜んでいた。
俺としても嬉しい事なのだが……予想外な事が一つ。
健康の為に教えた太極拳との相性が良かったのか、それなりの上達が見られた。
とは言え カトレア姉さんの性格的に防御法だけなのだが──
まぁちょっとした護身術と考えれば、問題は無さそうだ。
○○の月 ●○の曜日
モンモランシ伯爵家を訪れた。
ルイズを伴った来訪の為、先方は少々不満げであったが 俺の知る事では無い。
顔を赤らめてモジモジと自己紹介しあモンモンには好感が持てた。
ルイズも彼女を気に入ったようで、早速庭で遊びだしていた。
俺も混じって遊ぶと言うかお目付役をしていたのだが……俺達の様子を見るモンモランシ伯爵と伯爵夫人の眼差しが不穏に感じたりした。
……まぁ問題無かろう
○○の月 ☆☆の曜日
何故かグランドプレ伯爵家に訪れた。
挨拶もそこそこに、マリコルヌと遊んだのだが……ルイズをわざと怒らせ、罵倒させようとするのは健全な遊びなのだろか?
幼いながらも、変態と言う名の紳士の片鱗を感じさせるマルコリヌに戦慄した。
○○の月 ◎☆の曜日
クンデルホルフ大公家を訪れた。
続けざまに他家を訪れる事に疑問を感じたが、俺が前言を覆す可能性を考慮したと言われたので納得せざるをえなかった。
幼い容姿で居丈高に挨拶するベアトリスは可愛らしく感じられた。
俺が微笑んでみせると顔を真っ赤にして黙り込んでいた。
風邪でも引いていたのだろうか?
遊んでいると懐いてくれたのか、こちらに笑顔を良く向けてくれた。
ルイズとは少々相性が悪いのか、数度いざこざが見られたが……
霊剣『桜花』について
今回登場したルイズの愛刀になる『桜花』ですが、妖刀では無く霊剣です。
とは言え、芸術品としても超一流の品である『桜花』ですので、ルイズが魅入られるのも無理は無いかと……
ちなみに、ネタばれになりますが このせいでルイズにとある二つ名がつきますが……どんな名かは後ほどに
それでは、また縁があれば