第七話・決着、そしてさらば(予定)主要メンバーよ!気分は特撮。怪獣相手に効くはずもないミサイルとか撃つ戦闘機。平穏が恋しいなー。逃げる気ゼロのルイズ。こんなところまで“ゼロ”とは…いやはや恐れ入りますよ(呆)。でもまぁ、これくらいの意志がないと主役なんてやってられないだろうし。仕方がないので私もない知恵絞りますか。(ココア、上空に退避)心の中で命じると、ココアは一気に上昇してゴーレムから距離を取る。ちょっとの間、タバサチームに頑張って貰いましょう。「ちょっ!!何で逃げるのよ!?」喚くルイズの手を握った。そしてにっこり微笑んでみる。「ノンノン、逃げたわけじゃ~ないのですよ、ルイズ。あの戦法じゃ無理だから、作戦変更しよ~かなって。貴族たるもの冷静に戦術を考えないと。突っ込んでくだけだったら命令のまま動く一般兵と変わらないしね」「じゃ、じゃあラリカは何かいい作戦、思い付いたの!?」「“破壊の杖”ならもしかしてゴーレムだって“破壊”できるかもと。そんな大仰な名前なんだし、きっと凄い破壊力だよ。多分」「駄目よ、さっき使おうとしたんだけど…ウンともスンとも言わないわ」そりゃそ~だ。ロケットランチャーは杖じゃないし。私はルイズの手から“破壊の杖”を取り、ふむ、と呟いてみる。「何か平民が使う銃に見えなくもないような気が…。才人君、どう思う?」「え?あ…いや、それってやっぱ“ロケットランチャー”だよな・・・」「サイト!?あんたこれが何か知ってるの!?何であんたみたいな平民が、」「どうどう。今重要なのはコレが“何か?”じゃなくてコレで“何が出来るか”だよ、ルイズ。才人君、単刀直入に訊くけど、コレ使えばゴーレムを破壊できそう?」ルイズうるさいからちょっと黙っててね~。ゴーレムはシルフィードをあしらいつつ、石つぶてみたいなのを飛ばし始めてきた。ココアが避けてくれているが、あんまりゆっくりもしていられない。「分からねえ。でも、もしかしたら何とかなるかも…」「じゃあ賭けてみようそうしよう!使い方は分かる?」才人は、何故だか分かるんだよな、とか言ってロケットランチャーをカチャカチャいじくる。多分、安全装置とかそういうのをどうにかしたのだろう。よく分からないけど。さすがガンダールヴのチート能力。「…よし、後はこの引き金を引けばいい。ただ、1発しか撃てないから外せないぞ」「じゃあ絶対当たる距離で撃てばいいだけの話だよ。簡単簡単、問題解決。ルイズ、お願いね」ロケットランチャーを才人の手からルイズに戻す。「え!?わ、私は使い方なんて、」「ココをくいっと引けばオケーイ。才人君は飛んでくる石つぶてからルイズを守ってあげてね。私は別件。でわでわ、ご武運を~」そう言ってココアから飛び降りる。いくらガンダールヴが守ってくれても、ゴーレムに近付くなんてもう御免だし。私は安全な位置から見守ってますよー。再びゴーレムに向かっていくココアonルイズ&才人。飛んでくる石つぶてを華麗な剣技で弾いていく。石川ゴエモンみたい。ルパンルパ~ン。私は“フライ”で上空に待機しながら高見の見物だ。ゴーレムも私の事はアウトオブ眼中みたいで、特に何もしてこない。魔法は一度に複数は無理っていうルールがあるので、“フライ”中の私に攻撃手段なんてないと踏んでるのか。単純にザコは放っておいてくれてるのか。どちらにせよ、平和って素晴らしいねー。てか早くロケットランチャーぶっ放してよルイズ。…ああ、ゴーレムが予想外に動くんで狙いが定まらないのか。大変ですな~。まあ、外れたら外れたで、今度こそ諦めもつくだろうからいいけど。…待てよ。このまま高見の見物してて、本当にいいのか?下で一生懸命戦ってらっしゃる4人と2匹。今回、私のした事って何かあるか?ルイズへロケットランチャー渡した事?コレって功績になるか?そんな事しなくても、きっと最終的にはロケットランチャーでゴーレムふっ飛ばしただろう。マズイ。私、全く役に立ってない。初めから期待はされてなかったけど、この流れでいくと、褒章を受け取る時にかなり気まずい。もし誰かが辞退しても私は受け取る気でいたけど、この状態じゃ無理だ。何より、戦いが終わった後、彼らにどう思われるか。やはり無駄は無駄としても、何か分かる形で印象付けとかないと。背中に括りつけておいた弓を取り出す。矢は“錬金”で作っておいたモノが10本程度。100%くらいの確率で何の意味もなさないだろうけど、ゴーレムに刺さった矢を見れば、皆さん私がそれなりに頑張ったと思ってくれるだろう。要は、参戦したって証拠を残せばいいのだ。「それじゃ、スパーンっとな」放たれた矢がゴーレムに刺さる。うん、意味なし。「2本目、いっきま~す」よし命中。狙った場所より僅かにズレたか。遠すぎるもんね、でもまあ及第点。「よーし、この調子で3本目れっつらご~」ストライクぅ!ゴーレムシューティング楽しい。「でわでわ、速射やってみよう☆」4本目、5本目、6本目、7本目、素早く番えて射る。正確さはなくなるが、的がデカいので全部命中。ふはははは、見たかフーケ、あんたのゴーレムは私のオモチャなのだ。…あ、調子に乗りすぎた。ゴーレムが上空の私に顔(?)を向ける。まさか、石つぶて攻撃!?やめて、“フライ”の速度じゃ避けられ、大・爆・発。………え?倒したの?わーい。何だか知らないけど、イィィヤッホゥッ!!※※※※※※※※戦いは終わった。荷台にてぐるぐる巻き(ココアによって)にされて気絶しているロングビルことフーケを一瞥し、私は改めて安堵の溜息をこぼす。ゴーレム破壊の後、原作よろしく例の茶番があり、才人がフーケを気絶させてミッションコンプリート。皆、大きな怪我もなく解決する事が出来た。「あ~あ、結局美味しい所はルイズに持ってかれちゃったわね」そう言いながらも楽しそうなキュルケ。何だかんだ言いながらも、ルイズの活躍を喜んでいるのだ。「でも、あれは私の活躍って言うより“破壊の杖”が凄いだけで…」おお、いつになくルイズが謙虚に。いや、謙虚にしてるんじゃなく、本気で自分の実力じゃないと思ってヘコんでるのか。確かにルイズ自身の魔法はゴーレムに決定打を与えられなかったし。でもそれは皆さん同じこと。私なんて動きを止めることすらできてねーですよ。「な~にを言ってるのルイズ。あれは紛れもなーく正真正銘、ルイズの活躍だよ?」ちょっと俯きがちなルイズの肩を抱いてやった。今の私は実に気分がいい。これで褒章は誰の目を憚ることなくGETできる。そして、これから先はもうこのトンデモ主要メンバーに関わる必要もない。適当に友情っぽいのは育まれたはずだから、将来的なコネもバッチリだろう。つまり、我が人生の目的が5割がた達成されたのだ。ここ最近のささくれ立った精神は見事に快晴、冷静な淑女ラリカ再誕ですわ。「貴族は魔法が使えてこそ貴族よ!あんなの、私の力じゃ、」「魔法が使えてこそ貴族?強力な魔法を使えれば偉いの?違うでしょう?魔法を“正しく”使えるのが貴族。それに魔法が貴族の全てじゃないよ。ルイズなら分かってるはず」おーよしよし、普段なら放っとくけど今日は慰めてあげましょー。適当に名言っぽいこと吐いとけば納得してくれるはず。「…でも、」「でも、じゃない。才人君が石つぶてから守り、キュルケとタバサと私でゴーレムの注意を引き付ける。そして絶妙なタイミングでルイズが“破壊の杖”を使った。この勝利、誰が欠けても為し得なかったんだよ?ルイズはルイズの役割を立派に果たした。例えルイズ本人が違うと言っても、その事実は譲ってあげないよ」ルイズの頭を撫でながら、微笑む。さりげなーく私もゴーレムの注意を引き付けていたってコトにしといた。実際は何の役にも立ってなかったが。「………」あれ~?ルイズ?俯いちゃってどうした?何かマズったか!?「そ、そうよね!魔法じゃなかったけど、私がやらなかったら勝てなかったし!!うん、そうよ!何も気に病む必要なんてないわ!!」パッと顔を上げ、笑うルイズ。あーよかった。ここまで来て嫌われたらオシマイだし。「まあ、ラリカの言う通りだな。何だかんだで誰がいなくても勝てなかっただろうし」「そうね。最終的にはルイズだったけど、ダーリンや皆も充分活躍したし!」「…何が何でも勝つ事。手段なんて、関係ない」うんうん、勝利の余韻は清清しいものでないといけませんからな~。友情、すんばらしいッ!!みんな、早く偉くなって友達の私を優遇してネ☆空は綺麗な夕焼け。実に美しい。まさに私の輝かしい未来を暗示しているようだ。いやー、良かった。ホントに良かった…。ちなみに。デルフリンガーは、ロケットランチャーおでれえたって煩かったからキッチリ鞘に収められていた。鞘の中、存分におでれえて下さい。オマケ<Side タバサ>「でも、じゃない。才人君が石つぶてから守り、キュルケとタバサと私でゴーレムの注意を引き付ける。そして絶妙なタイミングでルイズが“破壊の杖”を使った。この勝利、誰が欠けても為し得なかったんだよ?ルイズはルイズの役割を立派に果たした。例えルイズ本人が違うと言っても、その事実は譲ってあげないよ」ラリカは言った。確かに、フーケは同じトライアングルだが、自分1人では勝てなかった。4人の力が合わさったからこそ生まれた勝利。…信頼できる仲間がいたからこその、勝利?1人では無理な事でも、もしかしたら。「…何が何でも勝つ事。手段なんて、関係ない」そして信頼できる仲間が傍にいたら…もしかするかも………しれない?