子ネタです。
PON様の感想から、アイデアを思いつき、書いてみました。
続きません。
では、宜しく
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この世界は、ゼロの使い魔の世界そのものである。
トリステイン魔法学院のコック長のマルトーがいた。
調べてみると、トリステイン魔法学院長は、やはりあのオスマンだった。
帝政ゲルマニアに、ツェルブストー家がちゃんとあった。
皇帝は、アルブレヒト3世であり、ガリア王国には、ジョゼフとシャルルと言う二人の王子がいた。
ここまで共通点があれば、疑う理由も無い。
まだ、ヴァリエール家の三女が生まれていないのか、既に生まれているのかは確認まではしていないが、間違いなく三女は魔法が使えないだろう。
それは、別に良い。
トリステイン王国がどうなっても、俺には痛くも痒くも無い。
原作が開始されればその影響を受けたくないばかりに、わざわざガリア王国から帝政ゲルマニアに移って来た程だ。
ただ、一つだけ困った事がある。
アルの記憶だ。
アルバート・デュランは、生粋のガリア生まれ、ガリア育ちなのだ。
その記憶の中には当然祖国愛らしきものもある。
そして、俺はゼロの使い魔のストーリーをわざわざ全巻集めてきて読み通してしまったのだ。
最初は良かった。
特に何も思わず、大変になるんだなあ程度の感慨だった。
だが、15巻辺りになると、もういけない。
読んでいて、何故か気分が悪くなるのだ。
しかも、ジョゼフが自殺すると、怒りは益々強くなる。
最悪は、17巻だ!
吾が偉大なるガリア王国が、くそったれロマリア如きの言いなりになって、エルフとの聖戦に同意する!!!
もう駄目だ、こんな馬鹿な歴史なんて、絶対この通りにしてはいけない。
何とかしなければ…
何とかしなければ…
そこで、ハッと気が付いた。
これは、俺の感情ではない。
アルバート・デュランの記憶の成せる技だと言う事に。
彼の記憶では、確かに宮廷争いは醜いの一言だった。
だが、それでもガリアは故国だ。
内部で争っている内は目を逸らしていられるが、外からの影響を受けるなんて、断じて許せん!
いや、落ち着こう、俺…
それは、アルの感情だって。
ヤバイ…
このままだと、いつ何時アルの感情で動き出すか判らない。
まあ、少なくともジョセフが変な事するまでは大丈夫だろう。
少なくともその辺りを読んでいる時は影響は無かった。
国王の自殺、シャルロット女王も少し憤慨を覚えたが、問題は無かった。
となると、問題はやはり他国の干渉だ。
ジョセフがアルビオンにちょっかい出すのは問題ないのに、ガリアに他国からちょっかい出されるのは憤慨する。
なんと素晴らしい故国愛。
だが、この感情が俺の行動に影響を及ぼすとなると、問題だ。
何とか、しなければ…
それは、ある日の昼下がり。
虚無の曜日と言う事で、みーんなのんびり過ごしていたのです。
すると、突然ご主人さまが、転移して参られました。
「ヴィオラ、オムツとミルクの用意を頼む!」
突然のご主人さまの声に、皆パニックです。
特に、ご主人さまが抱えている上等そうな着物の中から、泣き声が響いて来るので、それが混乱に拍車を賭けます。
赤ん坊です。
ご主人さまが、赤ん坊を連れてお戻りです。
だ、誰が相手なんでしょう。
一体、ご主人さまの過去にどのような女性関係があったのでしょう。
あっ、グロリアが行きます。
私は、とっととミルクとオムツを捜しに行きましょう。
「ご、ご主人さま…」
冷たさでは、比べようの無い冷え切った声に、ビクッと身体が震える。
うーむ、グロリアは勘違いしているな。
いや、全員そうか。
「そ、そそその…あ、ああああか…」
うわあ、声が震えて言葉にならないよ。
「赤ちゃんが何者かって言いたいんだろう」
コクコクと頭が動く。
全員が俺を見つめている。
「えーっと、グロリアの姪っ子? もしくは妹かな?」
「えっ、わ、わわわわ…」
「ハイハイ、私の姪っ子って言いたいんだろう」
再びグロリアの頭がコクコク動く。
そう、それが俺の結論だった。
ジョゼットの存在は、ジョゼフの死後明らかにされる。
タバサやイザベラすら気づいていない。
じゃ逆に、皆が知る前にこちらに連れてきてしまえば良いんじゃね。
幸い、こちらにはグロリアと言う親族、もしくは姉がいるし。
と言う事で、タバサが生まれるタイミングを計り、預けられた孤児院から速攻引っさらって来ました。
うん、これって完璧。
これで、アルも煩く言うまい。
「ご、ご主人さま…」
うん、今度はゼルマか。
「どうした?」
「あ、貴方はなんて事を!」
あれっ?
どうして、ゼルマが怒るのだ?
「判っているのですか? こんな幼子を浚ってくるなんて!」
ヤバイ、完全に人攫いだと思われている。
いや、間違いじゃないか。
どう説明すべきだろう。
結局、全員に納得してもらうのに、一晩掛かりましたとさ。
ちなみに、グロリアはジョゼットを抱いて、それはもう幸せそうな顔をしてました。
あっ、でもグロリア、母乳は出ないとおもうぞ…