「アマンダ、これはどう言う事だ?」
自然と声が冷たくなる。
「えっ、あっ、あの…」
アマンダが真っ青な顔で、震えている。
もう、涙目だ。
さすがに今日はもういい加減にして欲しい。
それでなくても、馬車で一時間半に堪えているのに。
こんな問題まで抱え込みたくない。
「あー、悪いが使用人の募集は口入れ屋を通してだ、現地雇用はやってない」
俺はなるべく冷たく言い放つ。
わざわざ、ヴェステマン商会に頼んで次のメイドの面接を一週間ずらしたと言うのに、こんな人数受け入れられる筈もない。
大体、屋敷のハーレムにはお手つきを入れるつもりはない?
うん?
俺は、殆ど意識もせずに彼女達をサーチしていた。
ぜ、全員未経験者!
どうみても、三十近い女性もいるぞ!
「あ、ご、ご主人…」
アマンダが涙目で何か言い掛けるのを手で制す。
杖を取出し、今度はディクトマジック、いやある程度アレンジが必要か。
術式を構築し展開する。
「と言う事じゃ、頼むぞ、アル」
真面目な顔でそう言ってくる八王子さん。
ハイ、全員火の精霊の守り付き、鋼鉄の処女軍団でした。
絶対! このボケ龍、わざとやってる!
「アマンダ、俺に言うように八王子さんに勧められたのか?」
コクコクとアマンダが頷く。
「八王子さん!どう言うことか説明お願いしますね。」
全く、この人(龍)は何を考えてるんだ。
彼女等は、今まで八王子さんが保護していた。
一応、彼女達の護衛を火の精霊にお願いしていた。
しかし、今回の騒動でそれが出来なくなった。
幸いアルは火の精霊と契約している。
丁度良い、アルにお願いしよう。
「と言う訳じゃ、感謝じゃ、アル」
どう言う訳なんだよ、それって!
大体俺の火の精霊との契約だって、八王子さんが無理矢理だろ。
「契約せんと、二人が見つからんからのう」
ああっ、もう、人の思考に突っ込まんで欲しいなあ!
「偶然じゃ」
どんな偶然なんだよ。
ダメだ、話が続かない。
「判りました、彼女達は俺が保護しますよ。」
俺は、諦めるように頭を振りながら答えた。
「但し、俺の領地でです」
俺は顔を上げ、真っ直ぐ八王子さんを見つめる。
しっかりと言うべき事は言わねば!
「何故かいのう? 彼女達なら、アルと寝ても良いそうじゃぞ」
何を言いだすんだ、この人(エロボケ龍)は!
「主の『はあれむ』と言うのか、その一員に加えれば良いのじゃ」
さすがに、これ以上はまずい。
「判った、判った、それはまた考える!」
とにかく、このタイミングで人数が倍以上増えるのは無理だ。
「そうか、仕方ないの」
「今直ぐと言うのは無理です。月末には迎えに来ますのでそれまでは待って貰いますよ」
とにかく、受け入れるにしても準備が必要だ。
ファイトのおっさんも着いたばかりの今はさすがに場所もない。
「皆もそれで良いか」
女性達も全員頷いてくれた、あ、あれっ?
一人だけ、ニコニコしながら俺を見てる。
うーん?
どこかで見た事あるような、無いような?
(あっ、気が付いた?)
その女性の声が聞こえたような気がした。
彼女は、私、私って手を振って喜んでる。
……………
それは、今まで表に出ることの無かった、アルの記憶。
それが、突然流れ込んでくる。
杖を持ったままだった事もあり、その記憶だけは突然頭の中に鮮明に展開された。
「アリサ……か?」
「いやー、やっと気が付いたねー、もう!アルのい・じ・わ・る!」
俺は今度こそ本当に頭を抱えるのだった。
俺はアマンダとアリサを連れて、屋敷に帰ってきた。
ホールに俺が現れると、メイド姿の子供が、「ヒッ!」と叫んで掛けて行った。
多分、リリーかクリスティーナだろう。
パタパタと足音が響き、全員が集まって来た。
それに気づき、アマンダがパッと手を離す。
アリサは平気な顔で手を抱え込んだままだ。
「こらっ、手を離せ」
「あん、連れないわねえ」
しぶしぶと言う様子で、アリサが手を離すのを全員が驚いた顔で見つめている。
「あー、今後コックを務めてくれるアリサだ」
「ハーイ、みんな宜しくね-」
軽い挨拶と共に、手を振ってくれやがるアリサに俺は苦虫を噛み潰したような顔を向ける。
アリサはそんな俺に、わざとらしくニコッと微笑んで来る。
そんな事やったら、ほら、グロリアとかゼルマとかの顔が引き攣っているじゃないか。
「先に言っとく、彼女はハーフエルフだ。先住魔法は使えるし、年齢はお前達より遥かに年上だ。
俺の師匠と俺自身の昔からの知り合いでもある」
「あら、女性の年齢は言うものじゃないわ、アル。 私はずーっと20歳なんだ・か・ら・」
一瞬怪訝そうな色を見せるが、すぐさま話題を逸らしてくれるのには助かる。
早く事情をちゃんと説明しとかなきゃな。
「明日から彼女が昼食と夕食の用意をする事になる。皆は彼女の指示で動いて欲しい」
「宜しくね-」
うん、全員あっけに取られている。
まあ、仕方ないわな。
「朝食は、今まで通り全員で用意してくれ」
「は、ハイ」、「ハア」、「判りました~」・・・
納得出来てる訳ないが、とりあえず生返事のようなものが帰ってくる。
「詳しくは、夕食の席で説明する。 今はこいつに事情を説明せねばならんので、夕食は一時間後」
俺は、アリサを促して二階に向かう。
「ああ、向こうで何があったかは、アマンダから聞いてくれ」
「アマンダ! 皆にちゃんと説明するんだぞ!」
「は、ハイ!」
直立不動でアマンダが返事をする。
まあ、皆に質問攻めにあうが良い。
ご主人さまが、二階の奥へと消え、扉が閉まる音が響いた。
「「アマンダ!」」
見事、ゼルマとグロリアの声がシンクロして聞こえた。
「あれは、あれは…」
グロリアは、口をパクパク動かして言葉にならない。
「グロリア、落ち着け」
ゼルマがそんなグロリアの肩を抱き宥める。
先にパニックになった人がいると、後の人は中々パニくれないものだ。
「で、アマンダ、説明してくれるんだろうな」
「は、ハイ! あの、八王子さんがご主人さまの知り合いで、その保護されていた女性の中にアリサさんが紛れ込んでいたんです」
一気にそこまで話して、アマンダが周りを見る。
うん、全員が疑問符だらけを顔に浮かべていた。
「落ち着け、順を追って聞いて行くから」
ゼルマは、とりあえず最初から質問を始めた。
------説明中-------
「そうか、八王子さんが村の賢者で、ご主人さまの古い知り合いだったと」
ゼルマの言葉にウンウンとアマンダが頷く。
「それで~、アマンダが~、賢者様に、八人を雇って欲しいって言うように言われたのよね~」
アンジェリカがその先を続ける。
「すると、ご主人さまが一旦断られたのよね」
グロリアが続けた。
ご主人さまは断られたのだ、これは重要よね。
「そしたら、八王子さんとご主人さまが精霊がどうのこうのと話されて、全員領地で引き受ける事となったと」
ヴィオラが纏める。
「「「「そしたら、あのアリサさんが正体を現して、ご主人さまについてきた!」」」」
全員の声が揃う。
パチパチパチと、横で話を聞いているだけだったお子様二人の拍手が響く。
あちらの世界ならば、全員でハイタッチなんか見れそうな光景である。
そこはハルケギニア、照れくさそうに全員が顔を逸らすだけだった。
「と、とにかくご主人さまの友人なのよね」
グロリアが気を取り直してそう言った。
そりゃ、遠くの国から突然こちらに呼ばれて、友達位出来るわよね。
でも、どうしてあんなに綺麗な人、しかも何だか馴れ馴れしいし。
ひょっとして、ご主人様の愛人?
いや、それどころかお、おお、奥様?
いや、それならば料理を作るなんて。
あっ、でもでも・・・
「しかし、ハーフエルフだと? 危険ではないか」
ブツブツ言い出したグロリアを無視してゼルマが危惧を表明する。
「あっ、でも耳尖ってませんよ」
ヴィオラが気づいた点を指摘する。
「わ、私、村にいた時見かけた事ありますけど、特に怖そうな人じゃなかったです」
アマンダが新たな材料を投下する。
「大丈夫ですよ~、ご主人さまですから~」
アンジェリカが根拠の無い信頼を示す。
「ご、ご主人さまは渡しません!」
そして、意味無き結論を宣言するグロリア。
「クリスティーナ」
「なあに、リリー?」
「私達も頑張りましょう!」
「うん、頑張る!」
お子様二人は、理由無き決意を固めるのだった。
俺はアリサを連れて、部屋に入ると取り合えず封鎖結界を展開する。
そのまま、二つのグラスに氷を精製し酒を入れ一つをアリサに渡した。
「取り合えず、再開を祝して」
「かんぱーい」
俺は一口飲んで、大きくため息を吐く。
「うわ、何これ、おいしー」
口にしたアルコールに、アリサが驚いた声を上げ俺を見つめている。
「バランタイン、21年ものだ、あっちでも相当する酒だぞ」
「へー、良いの飲んでんだー、あっち?」
アリサが伺うように俺を見る。
「そう、俺はアルであって、アルじゃない。別次元、異世界のアルの同位体、年齢だけは28歳のな」
そう言いながら、俺はアリサに事情を話し始めた。
アリサは八王子さんがアルの元に連れてきたのだ。
その時、八王子さんは機嫌よくサハラ上空五千メートルをお散歩中だった。
何せ龍の姿を晒すと、周りが煩くなる。
その点、人間とエルフの仲の悪いこの地、サハラにはあまり誰も寄り付かない。
だから、たまに龍として姿をさらけ出したいと思うと、ここに来ていた。
で、とおっても目の良い八王子さんは、砂漠の中で死に掛けている少女を見つけたのだ。
八王子さんが連れ戻り、アルも一緒に看病した娘がアリサだった。
アリサは、エルフの夫と人間の奥さんの間に生まれたハーフエルフだった。
エルフの里に住み、耳が尖ってないと苛められる事もあったが、一応平和に暮らしていたとの事だった。
それが変わったのが、何度目かの聖地奪還戦争。
何度やっても結果は人間側の敗退であるのは間違いないのだが、それでもエルフ側の被害が皆無と言う訳ではない。
アリサの父親であるエルフは不幸な事に、その戦乱の中で命を落とす。
その知らせを受け、母は狂ってしまった。
元々、自分よりも遥かな長命なエルフの中で暮らす短命種のストレスは相当なものだったのだろう。
そんな所に夫の戦死である。
彼女のストレスは更に高まる。
それは、夫を殺した人と言う種族に対する憎悪。
エルフの村には、耳が尖っていないのはアリサと母親だけと言う状況。
自分は年老いて行くのに、20歳前後まで成長した娘はそこから全く老けない現実。
それを毎日突きつけられ、アリサの母はおかしくなってしまったのだ。
ショックだった。
自分が居たから、母が狂った。
その事実はアリサを打ちのめすのには十分過ぎるものだった。
アリサが死のうと思うのも無理は無い状況だった。
サハラに何も持たずに突入する。
そして歩けるだけ歩き続け、気を失った所を八王子さんに助けられたのだった。
そんな全てを捨てたアリサが、全てを捨てて独り研究に打ち込むアルに興味を持つのも自然の流れだったのかも知れない。
アルは元気になれば追い出す積もりだったが、八王子さんがそれを止めた。
二人の世界を破壊しかけない壮絶な喧嘩の末、アリサは晴れてアルの居城での滞在を認められたのだった。
ちなみに、二人の喧嘩はお互い決定打が出ないまま、アルの魔力切れで終わった。
そして、三人の奇妙な同居の中、アリサはアルに近づいていった。
やがて、閨を共にするまでの関係を築くのだが、それには二十年と言う長い年月が掛かっていた。
八王子さんとアルの共同研究が終わると、八王子さんと同様にアリサも世界を見に飛び出していた。
ただ八王子さんと違い、頻繁に帰ってきてはアルに覚えた新しい料理を食べさし、しばらく生活を共にする。
そして、また別の世界を見に行き、新しい料理を覚えると帰ってくると言う緩やかな生活がしばらく続いた。
しかし、その生活にも破綻が来る。
アルの老化が顕著になって来たのだ。
元々、人よりも遥かに長命なエルフの血を引くアリサである。
百年や二百年では老いの欠片もありはしなかった。
それに対してアル自身、自分の老化を身を持って感じざるを得なかった。
それにつれ、アルはアリサと会うのを嫌がり出す。
アリサにしても、母と同じようにアルも自分を拒否するのではないか。
その思いは、恐怖以外何者でもなかった。
その結果、お互い相手を思いやりながらも段々合う事は無くなって行った。
そう、八王子さんとアルが五十年以上会ってないのと同様に、アリサもアルと会う事は無くなっていたのだった。
アルはアリサの記憶を大切な思い出として、慎重に封印して仕舞い込んでいた。
忘れてしまえば、アリサが悲しむのは判っている。
しかしながら、覚えたままだとアル自身が持たない。
結果として、杖の中に蓄えられた記憶の奥底、思い出すのはアリサとあった時だけと言う封印を施して蓄積されていたのだった。
俺は、自分が召喚されアルが死んだ事。
杖を通して流れ込んだアルの記憶の話、その後八王子さんに会うまでの経緯全てをアリサに語った。
そう、それが多分アルと最も近かったアリサに対する義務だと思ったから。
そして、同時にアルに対する最後の餞だと思ったから。
「で、ここの屋敷を買ってーーー」
「あっ、そっから先は知ってる」
アリサがそこで手を上げて話を止めた。
「知ってる?」
「うん、八王子さんに会った時に聞いたー」
どういう事だそれは?
今度は俺の疑問符にアリサが説明してくれる番だった。
八王子さんと俺が再会してから数日後、アリサはあの村を訪れたのだった。
それは八王子さんから話したい事があるとの連絡だった。
当時、東方と呼ばれる世界に遊びに来ていたアリサはそんな連絡に驚きながらも、村まで飛んで来た。
場所が良く判らなかったので、取り合えずゲルマニアの定点まで転移し、後は空から場所を探すしか無かったのだ。
ちなみに、俺と八王子さん、アリサの実力を比べれば、俺が一番弱い。
まあ、嵌め技等を上手く使えば、俺が勝つ可能性はあるが、それは他の二人も同じである。
要は、ガチで戦えば、絶対的な魔力量の差で俺が敗退する。
そんなアリサを、アルと八王子さんは弟子として鍛えたのだ。
俺としては、八王子さんとアリサの対決を見てみたいと思うのだが、この二人は絶対争わない。
残念だ…
話を戻すが、アリサは八王子さんから、アルが若返ったと言う事実を告げられる。
これだけならば、直ぐにでも俺に会いに行こうと思ったそうだが、同時にもう一つ告げられた事実がアリサを止めた。
すなわち、彼はアルであり、アルで無いと言う謎めいた言葉。
八王子さんも、どう言う事か説明出来なかった。
それじゃ様子を見ようと言う話になり、それ以来あの村に留まり俺の行動を見ていたとの事だった。
駄目だ、もう、立ち上がれない…
道理で、八王子さんが「ハーレム」の事、事細かに知ってる訳だ。
最初から盗み見してやがった。
「方法は判るでしょ」
「ああ、判る」
通常俺は水の精霊との契約に基づいて、先住魔法や他の独自魔法を展開している。
今回のどたばたで火の精霊とも契約したが、アリサはそれ以外の精霊とも友達付き合いなのだ。
アリサがお願いすれば大概の事を精霊が実施してくれる。
水の精霊に頼んだ場合は、俺が唯一の契約者であるだけに、俺に知られてしまう。
しかし、風の精霊、地の精霊、あるいはこの間までの火の精霊に頼む限りは、俺に知られる事無く観察するのは簡単であろう。
と言う訳で、俺がここの不動産を買取る所から、あちらからゼネコンを呼び込みリフォームする所。
領地で、色々作業を行っている所。
そして、新しい召使五人が来て、俺が右往左往する様まで全て知られていた。
「でね、結論出したのよ」
項垂れていた頭を上げて、俺はアリサを見る。
「面白そうじゃない!」
輝くばかりの満面の笑みを浮かべたアリサが、俺に飛びついて来た。
良い雰囲気になり、『これから!』って所で部屋の扉がノックされた。
「ご主人さま、グロリアです。 夕食の用意が出来ました」
封鎖結界をものともせずに、嫉妬の炎を燃やすグロリアさんには不可能は無かったようでした。
ちなみに後でアリサが教えてくれたが、五人を彼女達の意思を無視して襲い掛かっていたら俺の命は無かったようだ。
八王子さんに協力して貰い、二人で俺を消し去るつもりだったらしい。
それと、もっと後で聞いたが、やっぱり若くなったアルを味わってみたかったとの事である。
----------------------------だいじな、だいじな蛇足(15禁だと思う)--------------------------------
本当に、今日は長い一日だった。
八王子さんの村に行って(二回も!)、ヴィンドボナの口入屋にも顔を出し。
馬車にも揺られ、本当に疲れた。
俺はソファに腰を下ろし、オンザロックを口にしながらため息を吐く。
本当に、本当に一日で色々な事があり過ぎる。
全く、明日はのんびりしたいものだ…
……
……
……
誰も来ないか……
アリサは何処へいったんだ?
夕食前の雰囲気ならば、間違い無く来ると思ったのだがなあ…
初日にグロリア、二日目にゼルマ、昨日は無し。
アリサが来ないなら、雰囲気からしても今日位アンジェリカが来てもおかしくないかな。
ひょっとしてヴィオラが意見を変えてやって来る可能性もあるだろう。
それに、まあ来られては困るが、アマンダも。
いや、あれだけ怒られたら来れないか。
イヤイヤ、ごめんなさいって言って来る可能性も…
誰も来ない…
止めよ、むなしいだけだ。
俺はグラスを一気に飲み干すと、そのまま寝室に向かった。
あっ、ちなみにアリサは、フカフカのベッドに感激してしまい、そのまま深い眠りに落ちてしまったそうです。
夢を見ている。
それは俺自身理解できた。
グロリアがいる。
ゼルマもだ。
ヴィオラやアマンダもいる。
そして、俺の下半身に向かって顔を近づけているアンジェリカがいる。
うおっ、これぞハーレム。
当然、全員ネチョネチョ、グチャグチャである。
ああ、アマンダは駄目だろ、イヤイヤこれは夢だからいいか…
おおっ、これは!
下半身を強烈な快感が襲う。
てっ、まてっ!
こりゃ夢じゃない!
俺は、慌ててベッドで起き上がった。
被っていた高級羽根布団、足元辺りが異様に膨らんでいる。
それに、明らかにそこに誰かいるのは身体に掛かる重みで判る。
そして、それが女性であり、今とっても気持ち良い事を彼女にされているのも当然判る。
俺は布団を跳ね除けた。
「あっ、おはようございます。 ご主人さま~」
顔を上げ、ニコッと微笑みながらそう言うアンジェリカがそこにいた。
お前絶対、普通の十八歳じゃないだろ。
一体、そんな際どいテクニック、どこで覚えたんだ…
勿論、美味しく頂きました、まる。