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No.11205の一覧
[0] ハーレムを作ろう(ゼロ魔設定、15禁程度かな)[shin](2009/10/11 00:46)
[1] ハーレムを作ろう(物語をはじめようその1)[shin](2009/09/13 22:29)
[2] ハーレムを作ろう(物語をはじめようその2)[shin](2009/09/12 10:59)
[3] ハーレムを作ろう(家を探そう)[shin](2009/09/13 22:29)
[4] ハーレムを作ろう(メイドさんを作ろうその1)[shin](2009/09/24 23:21)
[5] ハーレムを作ろう(メイドさんを作ろうその2:15禁注意)[shin](2009/09/06 22:11)
[6] ハーレムを作ろう(メイドさんを作ろうその3)[shin](2009/09/06 22:26)
[7] ハーレムを作ろう(オムレツを作ろう)[shin](2009/08/26 00:17)
[8] ハーレムを作ろう(発電機を作ろう(おまけ))[shin](2009/08/23 21:44)
[9] ハーレムを作ろう(トイレに行こう:15禁かな)[shin](2009/09/24 23:22)
[10] ハーレムを作ろう(館を案内しよう)[shin](2009/08/26 21:44)
[11] ハーレムを作ろう(部屋に呼ぼう)[shin](2009/08/26 23:37)
[12] ハーレムを作ろう(歯磨きで仲良くなろう)[shin](2009/08/28 03:23)
[13] ハーレムを作ろう(話を聞こう)[shin](2009/10/21 00:49)
[14] ハーレムを作ろう(彼はいい人です(おまけ2))[shin](2009/08/31 16:38)
[15] ハーレムを作ろう(研修を始めよう)[shin](2009/08/31 16:55)
[16] ハーレムを作ろう(お昼ご飯を作ろう)[shin](2009/09/01 23:28)
[17] ハーレムを作ろう(アマンダの一日を語ろう)[shin](2009/09/04 02:21)
[18] ハーレムを作ろう(お留守番をしよう)[shin](2009/09/05 00:55)
[19] ハーレムを作ろう(お仕事をしよう(おまけその3))[shin](2009/10/21 00:51)
[20] ハーレムを作ろう(ご主人さまを起こそう)[shin](2009/09/12 12:07)
[21] ハーレムを作ろう(おかたづけをしよう)[shin](2009/09/12 12:14)
[22] ハーレムを作ろう(八王子さんはいい人です)[shin](2009/09/12 12:26)
[23] ハーレムを作ろう(観光案内をしよう)[shin](2009/09/13 22:27)
[24] ハーレムを作ろう(村に行こう)[shin](2009/09/24 23:24)
[25] ハーレムを作ろう(友に会おう)[shin](2009/09/15 00:11)
[26] ハーレムを作ろう(お買い物に行こう)[shin](2009/09/16 22:23)
[27] ハーレムを作ろう(お仕事をしよう(おまけその4))[shin](2009/09/16 22:15)
[28] ハーレムを作ろう(売り物を探そう(おまけその5))[shin](2009/09/17 22:25)
[29] ハーレムを作ろう(失敗しよう(おまけその6))[shin](2009/09/18 22:23)
[30] ハーレムを作ろう(虚無の曜日は休日です)[shin](2009/09/24 23:01)
[31] ハーレムを作ろう(料理人を選ぼう)[shin](2009/09/24 23:02)
[32] ハーレムを作ろう(水道を引こう)[shin](2009/09/22 00:08)
[33] ハーレムを作ろう(出張に行こう)[shin](2009/09/24 23:03)
[34] ハーレムを作ろう(監視をつけよう)[shin](2009/09/24 23:04)
[35] ハーレムを作ろう(計画を練ろう)[shin](2009/09/24 22:33)
[36] ハーレムを作ろう(躾は必要です)[shin](2009/09/26 00:44)
[37] ハーレムを作ろう(秘密をばらそう)[shin](2009/09/27 17:31)
[38] ハーレムを作ろう(呆れられよう)[shin](2009/09/28 08:47)
[39] ハーレムを作ろう(風呂に放り込もう)[shin](2009/09/29 00:55)
[40] ハーレムを作ろう(宴会を始めよう)[shin](2009/10/01 22:28)
[41] ハーレムを作ろう(小麦を売ろう)[shin](2009/10/01 22:28)
[42] ハーレムを作ろう(お風呂に入ろう(おしまい))[shin](2009/10/02 10:58)
[43] ハーレムを作ろう(外伝小ネタ)[shin](2009/10/03 01:19)
[44] ハーレム、作ってみたけれど(15禁)[shin](2009/10/04 03:52)
[45] ハーレム、作ってみたけれど(二話目)[shin](2009/10/06 10:40)
[46] ハーレム、作ってみたけれど(爺さん来襲!)[shin](2009/11/07 22:45)
[47] ハーレム、作ってみたけれど(記念すべき第一号)[shin](2009/10/10 05:02)
[48] ハーレム、作ってみたけれど(小ネタ)[shin](2009/10/14 23:29)
[49] ハーレム、作ってみたけれど(そうだボモージュへ行こう)[shin](2009/10/14 23:55)
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[11205] ハーレムを作ろう(八王子さんはいい人です)
Name: shin◆d2482f46 ID:993668df 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/09/12 12:26
なだらかな丘陵地帯、後方には深い森が広がっている。
更に遠方には万年雪が連なる山々がそびえ立っていた。


突然、その丘陵の一画に粒状の光の渦とでも言うべき物が現れた。

そして、瞬きする間もなくそこには二人の人間が立っていた。


「はわわ~」
男性の腰に両手をしっかりと巻き付け、足元が覚束なさげに立つ少女の口から何とも頼りなさ気な声が漏れる。

「おーい、もう着いてるぞ」
「あっ、ホントだ、あっ、わっ、わ~」
少女は抱きついている自分自身に気が付いたのか、真っ赤に顔を染めながら身体を離す。

「そこまで露骨にされると、悲しいぞ」
「えっ、いや、そうじゃないです。ご主人さまは優しいですし、美味しいものを、いえ、そうじゃ」
アマンダが、手をワタワタと振り回しながら必死になっている。
中々面白い。

「スマン、スマン冗談だ」
五人の中ではアマンダが一番からかいやすい。
まあ、一番年下のせいもあるのだろう。



「からかわれた!ご主人さまにからかわれた!」
まだブツブツ何か言ってるアマンダを放っておき、俺は周りを見回す。

丘から見下ろす草原には細い轍の後が走り抜けており、それはこの下辺りで二つに分岐していた。

先日訪れた時には、確か丘の反対側でファイト率いる傭兵団と八王子さんがドンパチやっていたんだよなあ。



「さあて、どっちかなあ」
確か村は二つあった筈だ。
あの時はさっさと引き上げてしまい、八王子さんの居場所がどちらの村か聞いてなかった。

ちゃんと八王子さんに聞いておけば良かった。


「えっ、こっちですよ?」
アマンダが左手を指差していた。

「こっちって?」
彼女の言ってる事の意味が判らず聞き返してしまう。

「アマンダの家ですけど?」

アマンダの家?
まて、どう言う事だ?


俺は八王子さんに会いにきた。
アマンダはここを自分の家のある所と言ってる。



うん、偶然だ。


広いゲルマニアの中で、たまたま八王子さんの住まいとアマンダの家が同じ土地にある。







ありえね!



俺は大きくため息を吐き、アマンダを見つめた。

多分八王子さんがなんかやったんだろうなあ。
まあ、アマンダが精霊を操れる理由が判ったから良いか。



「ほら、行くぞ!」
「ハイ!」
落ち込む俺を見て、何か間違ったかと不安そうだったアマンダだが、俺が促すと元気に歩き出すのだった。




村に着くまでアマンダに水を向けると、色々話てくれた。

父、母、弟、妹の五人家族である事。
家計が苦しくて、自分が働きに出る事になった事。
近所の街かと思ったら、なんと帝都まで行く事になってびっくりした事。
村を出る時、皆であの丘まで見送りに来てくれた事。


「あー、そう言えば、出掛ける時に、めったに顔を見ないキンヤさんも来て下さって、無事帰って来れるようにっておまじないしてくれたんです」
「お礼に行かなきゃ、こうやって顔を見せに戻れたんですから」
やっぱり、八王子欣也さんのおかげか。


きっと、守護の精霊契約みたいなものをアマンダに施したのだろう。
知らないままで、アマンダをてごめにしようものなら、俺も痛い目にあったんだろうな。


うん?


「アマンダ、キンヤさんがおまじないを掛けたのはお前だけか?」
「えっ、一緒に奉公に上がる事になった二人にも掛けて下さいましたけど?」
俺は顔から血の気が引く。


「そ、その二人は、どこに奉公に上がったのかな?」
「帝都まで一緒だったんですけど、そこで別れちゃったんです」



やばい。



もし、八王子さんが掛けた精霊契約が俺の考えるようなものなら。
彼女らに危害を加えようとすると、発動するようなものなら。


間違いなく大騒ぎになる。


最初は間違いなく血が出るのだ。
無理強いしようとそうでなくても、危害を加えようとしていると認識されるのは間違いない。
そうすると、精霊が護りに入る。
メイジが魔法を使っても敗れない障壁を形成できる娘が現れる事となる。
それも判っているだけで、二箇所で…
騒ぎにならない筈が無い。



「あっ、キンヤさーん!」
アマンダが軽く駆け出して行く。

その先には、八王子欣也さんがいつもの白いローブのようなものを纏い待ち受けていた。




「おお、アマンダ!無事戻ったか、良かった良かった」
八王子さんが、駆け寄ったアマンダの頭を撫でている。

まあ、この人(龍)は悪気はないんだよなあ。


「八王子さん」
「うん?どうした、アル?」
少し苛立った俺の声色に、怪訝そうに聞いて来る。
俺がここにいる事は不思議に思わないんですね、八王子さん。


「あー、この娘、アマンダに精霊の契約を施したのは八王子さんですよね」

「うむ、そうじゃ、村から出れば危険が一杯じゃからの」


やっぱり。


外は危険が多いので何か守りになるものをと、頼まれた八王子さんは、精霊達に彼女達の護衛をお願いしたとの事だった。

アマンダを含め、全部で五人に契約を施していた。

その内二人は近隣の街、オットブルンで奉公しており、頑張って働いているとの便りも届いていた。


だが、アマンダを含めた三人が遠くに働きに出たのか連絡がない。

両親が心配して、相談に来ており捜しに行こうかどうしようか悩んでいた。
精霊が働いた形跡もないので、危害を加えられている訳でもないだけに判断がつかなかった。


そう思っていると、アマンダを連れて俺がやって来たと言う訳だ。


「アマンダ、後で行くから実家に顔を出して来なさい」
「はい!判りました!」
アマンダはペコリと頭を下げ、掛け去っていった。


「八王子さん、その精霊の契約って襲われたりしたって働きますか」
「当たり前じゃろ、その為の契約だからな」

「じゃ、合意の上の処女喪失の場合はどうです。多分血がでますよ」
「あー、そうなると判断が難しいのお。精霊がどう判断するかは微妙じゃの」

俺は溜め息を吐き出し、アマンダの場合の事情を八王子さんに説明した。

彼女は、多分騙されてヴィンドボナまで連れて来られていた。
しかも、俺の処へ99年の雇用契約と言うふざけた契約で売られたのだ。

そして契約の中身には肉体奉仕も含まれていた。

他の二人が何処に行ったかは知らないが、同じような契約に差し替えられて売られている可能性は高い。


「むう、それはいかんの、直ぐにでも助けに行かねば」
八王子さんの周りで空気の渦が巻き起こる。

「あっ、ちょ、ちょっとまって下さい、八王子さん」
「なんじゃ、一刻も猶予はないぞ。乙女の危機じゃ、急がねばならん!」
やばい、八王子さんが龍に戻りヴィンドボナに現れたら末代までの語り草になってしまう。


「ああ、私が行ってきますので、精霊の見つけ方だけ教えてください!」
「なんと、アルが行ってくれるのか、それは助かる、感謝じゃ!」



結局、俺がヴィンドボナに戻り、二人の娘を救出せざるを得なくなってしまった。

ホンと、八王子さん本人(本龍?)は悪い龍じゃないんだけどなあ…









「う~ん、これは何かな~」
アンジェリカが、また何か知らない物を見つけてホールから出て行く。

厨房の分析機に聞きに行ったのだ。


まったく、いつまで経っても終わらないでしょ。
グロリアは目の前のパンを一つ一つ名前を確認し、指輪に収納して行きながらそう思う。

指輪に収納するのは簡単だった。
大体三メイル位の所にあるものなら、しまいたいとグロリアが強く思えば勝手に収納してくれる。

やっかいなのは、取り出す時だ。
具体的なイメージを持って思い浮かべないと出てこない。

その物の名前が判っているとイメージを思い浮かべやすくなる。
だから、名前の判らない物は確認作業が必要になる。



別にアンが遊んでいる訳じゃないのよね。
判ってはいるのだが、嬉々として走っていくアンジェリカを見ると、愚痴の一つも言いたくなる。


うううん、違うわね。

グロリアは、そっとため息を吐く。
気になる事が多すぎるのだ。

嫌な女だわ、私って…
ご主人さまを起こしに行ったゼルマの戻りが遅い事に、何だか不安を覚えた。


この指輪を使える理由に推測がついた時、アン以外四人が使える事に驚くと共に他の三人が疎ましく感じてしまった。

まあ、アマンダはご主人さまのあの驚き様からすると違うんだろうけど。

ゼルマは良い、いや良くはないけど、最初からライバルになると思ってた。
それに、私たちは元々そう言う事を望まれて雇われているのだから仕方ない。


だがヴィオラの場合は違う。
勿論ヴィオラがご主人さまとそういう関係になるのは、嫌だけど仕方ないと思う。

でも、何時の間にと考えると心が苛立つのだ。

初日の夜に、ご主人さまにしょ、あっ、ち、契りを交わして。
例え意味の無いプライドに過ぎないにしろ、自分が一番最初と思ってた。

だけど、ヴィオラの態度を見ていると、ご主人さまとの逢瀬は多分その前だ。
たったそれだけの事なのにグロリアは心がざわめく。


出掛けて行ったご主人さまとアマンダも気になる。
行き先がどこかと言うのはまあ、あまり気にならない。

それより、あの赤い上着。
外出用の上っ張りなんだろうが、鮮やかな色彩が目を引く。

私達にも支給されるのかしら?

グロリアは、自分があの赤い上っ張りを羽織りご主人さまについて行く姿を思い浮べる。
ピッタリと身体を密着させ、二人で消えて行く。


なんか、ロマンチックだわ…


グロリアは赤らむ頬を押え夢見るのだった。





まったく、グロリアは見てて飽きない。
菓子類を指輪に格納しながら、ゼルマはグロリアを見てそう思う。

普段はしっかりしていて、ゼルマ自身も含めて姉のような雰囲気を醸し出しているのに。
自分の考えに沈み込むと雰囲気がガラっと変わってしまう。

今も、さっきまでの強ばったような表情が変わり、イヤンイヤンと呟きながら身体をくねらせている。

多分、ご主人さまとの甘い逢瀬でも想像してるのだろう。
まあ、おかげで朝の遅延も有耶無耶になりそうでありがたい。



おっ、アンジェリカが戻って来た。


「アンジェリカ、今度はなんだった?」

「うーん、とっても便利そうな物?」
アンジェリカ自身が少し困惑したような表情で答えて来た。


「あのね、今ご主人さまから頂いた下着着けてるよね~」
突然何を言いだすのかと、ゼルマは疑問に思う。

グロリアとヴィオラも不思議そうに手を休めてこちらを見てる。

「あ、ああ、ブラジャーとパンティだな、着けてるが?」
中々履き心地も良いし、胸の納まりも良いから重宝している。
何と言っても乳首が服に擦れないのは、本当にありがたい。

「あー、そのパンティの方、月のモノが来たらどうするのかな~」
ふむ、確かに。

「布をあてがってベッドで寝てるしかないな」
あんな素敵なパンティを汚す訳にも行くまい。

「でね~、これを使うみたいなのよね~」
そう言ってアンジェリカが小箱を取り出した。


アンジェリカの説明に、全員が納得した。
アマンダが帰って来たら、教えるものがまた増えた。

大量の食料品に混じって、このような物が幾つか出て来るのだ。
化粧品が出て来た時は、さすがに全員の手が止まった。

パンティストッキングと言うのは多分靴下のようなものであろうが、あんなに薄くて役に立つのであろうか?


一応、ご主人さまに確認する為によけてあるが、アンジェリカは喜んでそんな物ばかり捜している。



しかし、アマンダをご主人さまは何処に連れて行ったのか?

あの様子だと、どうして指輪が使えるのかの確認である事は間違いないだろう。

四系統以外の魔法が含まれた特殊な魔道具。

ご主人さまと、ま、まぐ…
うん、考えるのも恥ずかしいものだ。
とにかく、そう言った関係になれば使えるのであろう。



しかし、ヴィオラだ。


そうではないかと思っていたが、彼女は否定していた。
嘘を付いている様にも思えないのだが?

「ヴィオラ」
やはり、本人に確認すべきだろう。

「なんですか?ゼルマさん」
野菜類をせっせと指輪に収納していたヴィオラが顔を上げる。

「ヴィオラはご主人さまに襲われてないんだよな」
「ハイ、そうですよ。ご主人さまから罰を受けてますから」
罰と言いながら、嬉しそうにヴィオラは答えてくる。


この辺りも良く判らない。
罰ならば、悲しくないのか。
私なら、襲って貰えないのは悲しいぞ。

うん、最初は痛かったが、アレは良いも…
違う、違う!
顔を赤らめながらゼルマは気を取り直す。
危ない、口に出てたら大変だった。


「では、何故ヴィオラが指輪を使えるのだ?」
改めて、ヴィオラに問い直す。

「えっ?ゼルマさんやグロリアさんも使ってますけど」
「そ、それは、ご主人さまと…」
しまった!
そんな事言える訳無い。






「ヴィオラさ~ん、ゼルマさんとグロリアさんは、ご主人さまとやっちゃったんですよ~」



時が止まる。
アンジェリカは、普通にそう言ってのけた。


「アンジェリカ!」
グロリアが真っ赤になって叫ぶ。

「なんて事を言うの!」

「え~、違うんですか~」
「そりゃ、間違・っ・て…」
ああ、グロリアが自爆だ。
本当に、プシューっと音が聞こえそうになる位真っ赤になって、その場にへたり込んだ。


こうなったらもう、自棄だ!

「ああ、まあ、そう言う事だ」
うん、開き直れば恥ずかしくなんて、無いったら、無い!
顔が真っ赤になっているのも、ほ、ホールが熱いからだ!

「ですよね~、でね~、ご主人さまと寝たら指輪が使えると思ったんですよ~」
アンジェリカも同じ結論に達していたか。

「ええっ?でも、私、やってません!」
イヤ、ヴィオラ、同性としても、その言い方はどうかと思うぞ。

「だよね~、だから三人に共通で、アンに無い事って何かあります~」
まあ、アンジェリカがいて良かった。

結局、グロリアと二人であたふたする中、アンジェリカが三人から状況を聞き出してくれたのだ。


そりゃ何度か真っ赤になって、絶句する事もあった。
何回なんてどんな関係あるのか?
アンジェリカ、そんなに目をキラキラさせて聞かないで欲しい。

グロリアが私の答えに唖然としたのに、勝ったと思ったのは秘密だ。



「水の秘薬ね~」
アンジェリカが得意げに皆に告げる。

「アンジェリカ…」
おお!
グロリアの後ろに青白い炎が見える!
本当に、今日は色々なグロリアが見れる!

「それって、かな~り最初に話さなかったかしら?」
うんうん、それはゼルマも聞きたい。

「ええ~、でも、他の可能性も検討しなきゃ~」
しかし、アンジェリカには通用しないようだ。
グロリアが諦めたように、ため息を吐いた。

「まあ、良いわ、ゼルマはどう思う?」


「水の秘薬だな、元々精霊の涙とも称されるものだ」

「そうよね、でも魔法にはこんな効果ってあるの?」
グロリアが聞いてくるのも無理はない。

「心を鎮める効果や、治療魔法の補助はきっとその役割の一部なのだろう」

ゼルマが習った魔法の知識は四系統魔法の範疇に入る使い方だけである。
だけどご主人さまは、その中に入らない魔法が使われていると言っていた。

「指輪の制御に水の秘薬の力が使われているとしたら、それがどのようなものかは、多分ご主人さま位しか知らないのではないか」
ゼルマはそうまとめる。
どの道、今の自分達の知識では、これ以上考えても判る物でもない・


「そうですよね~、全く凄い御方ですよね~、ご主人さまって」
アンジェリカの単純な賞賛に、全員が同意するのだった。








八王子さんがアマンダ達に契約させた精霊とは、なんと火の精霊だった。

「なんで、火の精霊なんかと契約させたんですか、八王子さん」
俺は頭を抱えたくなった。
水の精霊と違い、火の精霊は攻撃的な精霊である。
それ故その防御も水のように、相手を阻むと言うよりは、攻撃してくる相手を撃退するものである。
まあ簡単に言えば、水なら折れる、火なら燃やされると言う事だ。

どちらにしても碌な結果にならないが、破壊力は水よりも遥かに強いのは間違いない。

「そうは言ってもな、アル、水は主と契約しておるじゃろうが」
「ああ、そうですね、この世界の水の精霊は私との契約に縛られていますね」
この人(龍)の場合は、限度を知らないからなあ。
困った事に中間等と言う器用な事は考えていない。
八王子さんにすれば精霊は、それぞれの属性で一つしかないのだ。

まあ俺の例で判るように、精霊を呼び出しても、精霊王とか言うトップクラスしか呼び出せないのだ。

そうすると、水の精霊は俺と契約している為、八王子さん的には他の精霊にしようとなる。

結果、火の精霊に友達がいない(普通はいないが)俺には判別出来なかったとなる。


「判りました、それでどうすれば火の精霊を感知できますか」
「うむ、それならもう頼んだぞ、ほれ」

ああっ!


物凄くいやな予感がする。
特に、背中にいやな輻射熱を感じる。

俺は諦めて背中を向いた。


火がいました。

熱いです。
大きな大きな火の塊です。
ファイヤーボールとは違い丸くは無く、ただ燃えているだけでした。

「火の偉大なる精霊アータルよ、汝の力をこのものに分け与えよ」
八王子さんが朗々と、詠唱する。

「あっ、ち、ちょっと、ああっ」
火の塊の一片が、俺に向かって飛んで来てまとわり付く。

全身を炎に包まれるが、熱さは耐えうるレベルである。
いや、普通なら耐え切れない熱さかもしれないが、水の精霊との契約のせいで何とかなったのだろう。


全身を炎が駆け巡っているような感覚が暫く続く。

やがてつま先から、頭の上まで身体中を走り回っていた炎が鳩尾の少し奥辺りに納まりだすように感じられた。

そしてふっと言う感じで、それまでの感覚が消えさっていた。




「うむ、問題はなさそうじゃな」
「ち、ちょっと待ってくださいよ、八王子さん何するんですか?」
流石に俺も抗議の声を上げざるを得ない。

いや、実際に抗議して怒らせたら終わりだけどな。



「おめでとうじゃ、アル。これでお主は水と火の精霊を操る唯一のヒトじゃ」
「えっ、そんな…」
誰もそんな事望んでないんですが、八王子さん…

「普通はいないじゃろ、二つの精霊を操れるモノなぞ」
いや、それでなくても十分チートな魔法使いなんです。
これ以上、力を得ても使い道がありません。


「じゃが、気をつけるのじゃぞ、お主は世界を滅ぼせる。我のようにな」
あっ、あああっ、あーっ!
判ってしまった。
八王子さんの魂胆が。
単に、このおっさん、自分と同じような仲間を増やしたいだけだ!

ぜってーこの状況を楽しんでやがる。


「ほれ、これで娘御達の居場所は判るであろう。
 それどころか、娘御達と契約した精霊達も主の言う事をきくであろう」
そりゃ、聞くでしょうよ。

火の精霊に対するお願いと契約者としての俺の立場ならば、圧倒的に俺の方が強い。


「それじゃ、頼んだぞ、娘御達を宜しくじゃ、ほれ、行った行った」
ああもう、腹が立つ!
いつか絶対仕返ししてやる!

だけど、相手が龍だからなあ。
八王子さんみたいな化け物、俺がどんな力を手に入れても適う訳ない。
あっ、でも八王子さんも俺を倒せなくはなるか。

止め止め、考えるだけ無駄だ。

さっさと娘御を助けに行った方がよさそうだ。


俺は、ヴィンドボナの屋敷に向かって転移するのだった。


あっ、アマンダ置いてきてしまった。



まあ、後で迎えに来れば良いか。





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