研修である。
これから、目の前で興味津々な顔で俺を見つめる美少女達に、あちらの世界の科学技術の粋を尽くした各種機器の使い方を教えねばならない。
昨日の経験に照らし合わせれば、魔道具と言うだけでかなりの部分まで納得してくれるのはありがたい。
簡単な使い方と、その用途を教えれば、すぐに使いこなしてくれる。
各部屋に設けられたインターフォンにしても、まあ一台は破壊されたが、少なくともアンジェリカは使えた。
洗濯機にしても、グロリアが朝から使っていた。
グロリアの場合は使わざるを得なかったのだが。
うん、可愛いよグロリア。
涙目になりながら、
『すみません、せ、洗濯機がどうしても、言う事を聞いてくれません』
と言われた日にゃ。
思わず、もう一戦、あっ、イヤイヤ、そうじゃない、そうじゃない。
あー、グロリア、思わず顔を見つめたからって、首を傾けてニコっと頬笑むんじゃない。
思わず、もう一戦、あっ、違う、違う。
俺は頭を振り、煩悩を払う。
んな事考えてたら、また昨日と同じだ。
彼女達を愛でるのは、いつでも出来る。
今は研修、研修。
そう、いくらヘタレって言ってても、一発出来れば吹っ切れる。
昨晩、ヴィオラの事が心配でやって来たグロリアちゃん。
お話が済んでから美味しく頂きました。
で、現金なモノで悩むの止め。
そんなに焦ってハーレム作る必要もなくなった。
おいおい落として行きゃあ良い。
そう思うと気が楽なモノで、とにかく、今は目の前にある器機の使い方を教えねば。
目の前にでーんと鎮座しているのは、大型掃除機である。
俺は、これを五台用意した。
館の左右のウィング、一階用と二階用それぞれに、予備のつもりで計五台だったのだが、丁度良い。
何だか、それぞれの専用になりそうだが、まあ掃除機だし。
「いいか、これがこの館を掃除するのに使う、・・・」
ご主人さまが、掃除機と言う魔道具の説明を始めた。
アンジェリカは、ワクワクしながら、その説明に耳を澄ます。
これを使えば、ゴミを吸い取ってくれるそうだ。
何か生きてるみたい~。
長い尻尾の端で、魔力供給口、コンセントと言うそうです、そこから力を得てゴミを吸い取るのだそうだ。
そうすると、何かあっても、あの尻尾の外に出れば安全ね~
あれ?
ここには、色んな魔道具があるけど、み~んなあのコンセントから、力を得てるのかな?
うん、そうに違いない。
ドライヤーやポット、お部屋にあった小さな冷蔵庫も、尻尾がコンセントに刺さってた。
これは、チョット面白いわね。
じゃあ、館のどこかで、魔力、ご主人さまがでんりょくって言ってた、その力を供給してるんだ~
アンジェリカは想像してみる。
風石のような電力石が、光を放っているのかな~
それとも、小人さんが燃え盛る炎の中に、風石のようなモノを放り込んでるのかな~
あれ?
そしたら、どうやって、一杯あるコンセントまで魔力を送るのかな?
うーむ、不思議だね~
「・・・ェリカ、アンジェリカ」
「あっ、は、ハイ」
いけない、いけない、つい考えに夢中になっていました~
「これから、使って貰うが大丈夫なのか?」
あれ?
ご主人さまだけじゃ無く、みんなアンジェリカを見てる。
何かおかしな事、したかしら。
きょとんとして、俺を見返すアンジェリカに、大丈夫か疑いたくなる。
何度呼んでも返事をしないのだ。
アンジェリカは、きょろきょろ辺りを見回し答えた。
「大丈夫ですよ~、いざとなったらコンセント抜いちゃいますから~」
これだから、この娘はあなどれない。
フワフワしてて、掴み所がない癖に、的確に本筋を掴んでくる。
俺の買いかぶりかも知れないが、今後が楽しみなのは間違い無さそうだ。
「よし、それじゃ、掃除に掛かってくれ。アンジェリカ、アマンダ、ヴィオラが一階、ゼルマ、グロリアが二階だ」
恐る恐ると言う感じで、それぞれが自分にあてがわれた掃除機に手を伸ばす。
ああ、アンジェリカだけは、嬉々としてホースや本体をいじくっている。
それが逆に不安の要因なんだがと思いながらも、助かっているのも事実だった。
その証拠に、他の娘達も彼女に触発されるように、掃除機を触り始めた。
取り敢えず、一階はアンジェリカがいれば何とかなるだろう。
まあ、壊されても怪我さえしなければ問題ない。
「よし、グロリアとゼルマ掃除機を、引っ張ってついて来い」
とにかく、二人にエレベーターの使い方を教えねば。
荷物を二階に運ぶために、左右のウィングそれぞれにエレベーターが備えてある。
俺は、彼女達がエレベーターにどう反応するのか、少し楽しみだった。
「いいか、掃除機のような重い魔道具や、大量の洗濯物等を二階に運び上げたり、下ろしたりするための匠の技がこの館には用意されている」
俺は二人に説明しながらエレベーターを指差す。
「それがエレベーターだ」
二人は、指し示した閉じたエレベーターの扉と俺の顔を交互に見つめ、怪訝そうな顔をしてる。
主は、どうしたのか。
何もない壁を指差して、えれべーたーと叫んでいる。
大丈夫か?
ゼルマは暗雲が立ち込めるようで不安を覚えた。
もともと、尋常で無い魔道具を多量に使いこなす、異様なメイジだ。
少し位、たがが外れている傾向は…
「おおっ!」
ゼルマが失礼な事を考えている間に、ご主人さまが何かしたのか、目の前の壁が左右に開いて行く。
「こ、これは…」
「まあ!」
隠し扉か!
古来宮殿や城館には、緊急時の脱出経路が備えられている。
この館にもそんな隠し扉があるのか!」
「やはり、この主はあなどれない!」
「あー、ゼルマ、ゼルマ、残念だがそんなもんじゃない」
ハッと気がつき、ゼルマはグロリアの顔を見た。
また、やってしまったのか!
コクリと頷かれ、ゼルマは頭を抱え込んでしまった。
「とにかく、これを使って上に上がるぞ。ほら、掃除機を乗せて」
ご主人さまに言われ、こわごわながら、掃除機を引っ張り寄せて、狭い部屋の中に入りました。
掃除機二台と三人ならまだ少し余裕があるのねと、グロリアは思った。
あっ、ゼルマさんはまだどんより落ち込んでいます。
「ほら、動かすぞ」
目の前で、扉が閉まると少し怖くなり、ご主人さまにさりげなく寄り添います。
「きゃっ!」
ガクンと言う感じで動き出したので、思わずご主人さまにすがり付いてしまいました。
おおっ、あの豊かな胸が腕にこすり付けられると、おおっ!
「きゃーあー」
一呼吸おいて、反対側からゼルマもしがみ付いてくる。
ゼルマ、まず如何にも、棒読みっぽいその言葉遣いから直さないと。
あっ、ゼルマ、腕にしがみ付くのは良いのだが、あっ、う腕が、お、折れる!
エレベータがたった二階までだったので、腕は折れなかった。
良かった三階立てでなくて。
なんのかんのあったが、どうやら掃除は出来そうだった。
まあ、グロリアがコードを一杯まで伸ばして、どうしても前に行けないのをひたすら不思議がったり。
ゼルマが、案外怖がりであり、コンセントを中々抜けない事実が明らかになったり。
下に降りてくると、アンジェリカが掃除もせずに、掃除機をバラバラにしていたり。
と言っても、ホースと本体、中のゴミ袋を表に出した程度だが。
ヴィオラが、もう伸びないコードを力ずくで引っ張り、差込口を曲げてしまったり。
アマンダが長いコードに足を引っ掛け、こけたりした以外は、大きな問題も無かった。
細かい事は、気にしない。
とにかく、彼女達で掃除が可能な事は納得できたので、昼にする事にした。
昼ご飯である。
今日は俺が作ると宣言してある。
今までの食事に関しても、結局俺が指示して彼女達に作らせているのだから、同じなのだが今回は特別である。
何故なら、これはこちらの世界にはない食い物だから。
六人もいると、みんなでワイワイ騒ぎながら食するのにもってこいだから。
初めての者でも、見よう見まねで作れるから。
材料もこちらの世界でも比較的簡単に手に入るものだから。
と言っても、結局使うのはあちらから持って来たものだけどな。
キャベツ、卵、豚肉、小麦粉、水、材料はこれだけ。
後、紅生姜と葱、揚げ玉や山芋もあれば尚可。
そう!、俺は何を隠そう、生粋の大阪人でおま。
粉がない食事を長く取ると、禁断症状がでるのですよ。
レッツメイクOKONOMIYAKI!
冷蔵庫からキャベツを取り出し、半分に切って細かく刻む事をヴィオラに指示する。
ハイと元気良く答えて小走りに走って行く姿は中々可愛い。
うん、元気になって良かった。
しかし、襲えないのはやっぱり惜しいかな…
「ご主人さま、私達は何を?」
うーむ、絶妙のタイミングで声を掛けて来ますね、グロリアさん。
ニコッと笑顔を浮かべてそう言われると、ワザとだとは思いたくないものだな。
「あー、大き目のボールを出してくれ」
ゼルマが調理台の下からボールを取り出し、目顔で聞いて来る。
今朝からゼルマの機嫌が悪い。
俺に対しては、昨日よりも積極的にアプローチしてくるが、グロリアやヴィオラを見る目つきが物騒だ。
まあ、どういう意味かは判るが、今はとにかく相手にしない事だ。
「ああ、それで良い。刻んだキャベツをそこに入れて軽く水洗いしてくれ」
ゼルマがボールを持って、ヴィオラの側に移る。
その間に、冷蔵庫から生姜と葱、それと袋入りの揚げ玉を取り出し、グロリアに渡す。
「こっちは生姜、でこれが葱だが、キャベツと同じように軽く水洗い後、細かく切ってゼルマの持っているボールに入れる」
頷いたグロリアにそれらを渡す。
「アマンダ、冷蔵庫から卵を、そうだな、五つほど出して、ボールに割りいれてくれ」
「ハイ!」
いそいそと、冷蔵庫を覗き込み、卵を取り出すアマンダ。
「アンジェリカはこっちだ」
最後に残ったアンジェリカを連れ、俺は奥の倉庫を目指す。
「うわー、色んなものがありますね」
倉庫の扉を開けて、中に入るとアンジェリカが目をキラキラさせる。
そりゃ、そうだ。
倉庫には、常温で保存する食材や各種調理器具が置いてあるのだ。
大人数でパーティーを開く事も出来るほど、様々な器具がある。
一応、ここの改装が済んだ時に、手当たり次第に買い込んで運び込ませたので、まだ梱包されたままのものもある程だ。
「無闇に触るなよ」
アンジェリカが手を伸ばし掛けているのに、声を掛けるとピクリと手を止め、何事もないように手を振ってくる。
「基本的には安全な魔道具ばかりだが、使い方によっては十分怪我する事もあるからな」
「ハーイ、判りました~」
本人は自覚は無いのだろうが、語尾を延ばすような話し方にはペースを崩される。
「色々ありますね~ ご主人さまは一体どこからいらしたんですか~」
「ウーン、遠い所からとしか言えないな」
突然、鋭い突っ込みが入るから、油断が出来ない。
「ハルキゲニアでは本当に見た事も聞いた事もないものばかりですね~」
アンジェリカは、話し方に騙されてしまうが、結構好奇心が強いのは間違いない。
そして、その好奇心から正解を導き出してしまうのだろう。
まあ、そんな大層なものじゃないかもしれないが。
「知りたいかい?」
俺は彼女が正解を導き出したのか、それとも単なる疑問に思っているだけなのか、カマを掛けてみる。
「別に~、私には関係ありません~」
ふむ、普通は知りたがるものだろうに。
アンジェリカの答えに、俺は疑問の表情を浮かべる。
「私は~、こんな面白いものが次々に見られる事だけで満足なんです~」
まあ、他人を気にしないとも言えるな、彼女は。
「それに~」
アンジェリカの足が止まり、真っ直ぐに俺を見つめて来る。
「ご主人さまは、悪い人じゃないですから」
しっかりと俺の顔を見つめ、そう言うと、抱き付きそうな勢いで、側まで近づいて来た。
そのまま爪先立ちで、俺の頬に口付ける。
俺は、突然の事にあっけに取られた。
「これからも、色々面白いモノを見せて下さいね」
悪びれる風も無く、小首を傾けニコッと笑みを浮べながらそう言うアンジェリカ。
フラグか、フラグなのか…
俺の頭の中で、訳の判らない言葉が渦巻いていた。
気を取り直して、倉庫からホットプレートを担ぎ出す。
アンジェリカは、奥に仕舞ってあった小麦粉の袋を抱えている。
ヴィオラ達四人は、刻んだキャベツ、生姜、葱を大きなボールに入れ待ち受けていた。
量は目分量なので、適当だがこんなもんだろう。
早速にアマンダに卵を割り入れさせる。
その間に小麦粉をカップで取り、ポールに注ぎ込む。
卵1に対して、半カップ程度だと思うので、取り合えずカップ三杯分放り込む。
更に、同量の水と、だしの元、塩をを少々入れる。
揚げ玉の袋を開けている間に、卵が割りいれられ、ネタの準備は完了。
「誰か、かき混ぜてくれ」
揚げ玉を入れ込みながら声を掛ける。
「ハイッ!私がやります!」
ヴィオラが元気そうに声を上げ、早速かき混ぜ始めた。
その間に、他の準備だ。
冷蔵庫からケチャップとソースそしてマヨネーズを取り出し、誰か、と振り返るとグロリアが待ち構えていた。
「これをそれぞれ一対一の割合で、容器に混ぜ入れてくれ。出来たらスプーンを付けて、あっちのテーブルに運んで」
ヴィオラの下に行き、十分に混ざりあった事を確認する。
少し、水が多かったので、小麦粉をもう一カップ掘り込み、も少しかき混ぜさせる。
「アンジェリカ、プレートを持ってあっちへ。残りは皿とカップの用意を」
飲み物は何にしようか?
やはりここは緑茶かな。
「あーゼルマ、そこのポットに水を入れあっちに運んでくれ」
しまった、先にやっておくんだった。
まあ、食後のお茶で良いか。
お茶の道具を取り出しながら、周りを見渡す。
みんな、言われた事をこなしている最中で、誰もいない。
仕方なく、自分で持って行く事にする。
「ああ、ヴィオラ、それで十分だ。お玉を持って向こうへ」
「えっ、ご主人さま、お玉って?」
ヴィオラが困惑したように聞いてくる。
そうか、呼び方が違うのかな。
取り合えず、調理台の引き出しを捜し、お玉を取り出し、ヴィオラに渡す。
「あっ、これの事ですか。向こうに持って行けば良いんですね」
ニコッと笑って、ヴィオラが嬉々として、ネタの入った大きなボールを担いで行く。
ホンと、昨日のあれはなんだったんだろう。
首を左右に振りながら、余計な考えを振り払い、自分も食堂に向かう。
食堂では、アンジェリカが箱から取り出したホットプレートと格闘していた。
出したは良いが、使い方が判らないらしい。
それでもコンセントを見つけて、そこに差し込んでいるのは凄い。
残念ながら、反対側を本体に差し込むまでは想像がつかなかったようだ。
「アンジェリカ、それはここに差し込むんだ」
「あっ、そうなるのですか~」
目がクルクル忙しく回るようで、アンジェリカは面白い。
ホットプレートを設置してスイッチを入れる。
暖まるまで暫く掛かるが、肝心の肉と油が無い。
「いいか、この部分が熱くなるから、絶対触るなよ!特にアンジェリカ!」
「はーい、触りませんよ~」
少し心配だが、仕方ない。
俺は再び厨房に忘れ物を取りに戻る。
今度はアマンダがついて来た。
「ご主人さま、ご主人さま」
「うん、何だ、アマンダ?」
足早に歩く俺にペースを合わせる為、小走りになりながらアマンダが聞いて来た。
貴族に向かって、こんな風に話し掛けるのは礼儀に反しているとか言うんだろう。
だけど、俺にはこうやって話しかけてくれる事が嬉しい。
「何が出来るんですか?」
「ああ、お好み焼きと言う、東方の方の料理だ」
「へえっ!それって、ご主人さまのお国の料理ですか?」
「あっ、ああ、そんなもんだ」
「きっとおいしいんでしょうね、私今からワクワクしてます」
嬉しそうに、瞳をキラキラさせて訴えかけてくる様子は、まるでご飯のお預けをくらっている子犬のように見えた。
冷蔵庫から薄切りの豚肉を取り、アマンダにも手伝わせ適当な大きさに切り分ける。
油も忘れずに持つ。
戻るとプレートは程よくあったまっていた。
油を軽くプレートに垂らすと、煙が上がる。
同時に、アマンダ以下全員の口から、歓声が漏れた。
そこに、一緒に持ってきた菜ばしで、豚肉を広げて焼いて行く。
肉がジュウジュウ焼ける匂いに、みんな釘付けになっている。
まあ、食事を食べるテーブルの上で料理をするなんて、多分こっちの世界ではまだないだろう。
用意した皿に、焼けた豚肉を移して行く。
ヴィオラからボールを受け取り、お玉に掬いプレートに二つの丸を作る。
ボールをヴィオラの返すと、今度は焼けた豚肉を乗せて行く。
最後にボールからネタの上澄みをボールで掬い、軽く振り掛け蓋のようにすれば、出来上がり。
後はひっくり返して焼き上げるだけ。
おおっと、フライ返しだ。
俺は慌てて台所に取って返す。
今度は、ゼルマがついて来た。
「ご主人さま、何か不都合でも?」
「いや、大丈夫だよ、フライ返しを忘れただけだ」
「それでしたら、言って下されば取って来ましたのに」
うん、中々主人思いの良い発言だな。
まあゼルマの場合、元が元だけに、貴族がこんなにホイホイ動く事自体気に入らないのかも知れない。
「ああ、今度からは頼むよ」
「ハイ、喜んで」
ウンウンと頷いているゼルマ。
ただ、ガッツポーズみたいに、手を握り締めるのは止めて欲しいなあ。
フライ返しを二つ取って戻ってみると、良い匂いが食堂の中に立ち込めていた。
「グロリア、アマンダ、窓を開けてくれ」
ヴィオラは、親の敵のように、焼けているお好み焼きから目を離さない。
アンジェリカは焼き上げているホットプレートに興味深々である。
フライ返しを下に差し入れ十分焼けているかどうかを確認する。
問題無さそうなので、二つののフライ返しで、ひっくり返して行く。
「「「「おおっ!」」」」」
全員がくるっと回したお好み焼きにびっくりしている。
一寸気持ち良い。
裏返して暫くすると、出来上がり。
アマンダに作って貰ったソースを塗り、少し焦がす。
細かく切って、それぞれの皿に盛り付ける。
「それじゃ、頂きます」
「頂きまーす」
元気な唱和が帰ってくる。
「熱いから気をつけてな」
全員が恐る恐ると言う感じで、食べ始める。
「おいしい…」
「これは、中々…」
「おいしい!」
「へ~こんな味なんだ。美味しいね~」
「美味しいです!ご主人さま凄いです!」
中々好評なようで嬉しい。
俺は、二回目を焼く為に、ボールを取ろうとした。
「ご主人さま、今度は私にさせてください」
ヴィオラがすかさず声を掛けて来た。
「うん、いいぞ、大丈夫か?」
「ハイ、やり方はご主人さまのをしっかり見てましたから大丈夫です」
本当に、どうしたんだヴィオラ、やる気満々じゃないか。
俺に襲われない事がそんなに嬉しいなんて、少し凹む。
「じゃ、気を付けてやってみろ」
その後は、幾つものお好み焼きを全員が焼いてみて終わった。
今度は、忘れずに鰹節を掛けねば。
青海苔は完全に忘れてた。
買ってこなきゃ。
あまったものは、冷ましてからラップに包んで冷蔵庫にしまう。
まだ彼女達には、あちらの世界最強の調理器具を教えていない。
下手に教えると、誰かがきっと生卵を爆発させたり、金属製の皿を放り込みそうで怖いのだ。
電子レンジ、厨房に置いてあるが、悩み所の魔道具である。
ゼルマが入れてくれた食後の暖かいお茶を飲みながら、何時教えるべきかと悩むのだった。
--------------------------つながらないネタです------------------------------------------------------------
以下は、思いつきで書いたのですが、広がらないので本編には含まれないエピソードになってしまいました。
でも、やっぱり大切なモノは乗せて置きたい。
お目汚しですが、きっとこんな展開もあった筈です。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------
俺は自分で言うのも何だか、結構ヘタレだ。
こんな美少女五人も侍らして、まだ全員を頂いていない。
まあ色々あり、焦らないでゆっくり行こうと決めたので、そんなには焦っていない。
だが、それでも今の目の前に広がる風景は、思わずヘタレを返上して、この場で押し倒したくなる。
でも、出来ないけどね。
とにかく、俺の目の前には、水着姿の美少女五人。
全員ワンピースタイプ。
別にハイレグとかじゃない。
大人し目の、濃紺の水着。
だけど、だけど、若い頃からの憧れ。
セーラ服、ブルマと並ぶ三大聖典の一つ。
そう!
私は声を大にして言いたい。
スクール水着である!
コレに勝る敵はいるのか、いやいない!
しかも、しかもだ。
約一名を除いて高校生と言うのは無理があるプロポーション。
約二名は、どう考えても、胸がきつすぎるんじゃないかと言う破壊力!
その胸元には、俺の手書きだが、「ぐろりあ」とか、「ぜるま」と書かれた白い布がついている。
俺の人生に悔いなし!
とまあ、再びハイテンションになりそうな位、素晴らしい眺めが広がっています。
ちなみに、俺は半ズボンタイプの水着姿です。
パンツタイプはあまりにも危険でした。
そう、研修も一通り終わりに近づき、今回はお風呂掃除がその課題です。
うん、風呂は裸で入るものだと言うのは事実です。
そりゃ、毎日ちゃんと入ってますよ、ハイ。
イイエ、マイニチハーレムヤッテンジャナイなんて、なんのことでせう。
すみません、また浮かれてます。
とにかく、風呂のお湯は循環式の最新の設備だが、それでも一週間に一度程度の掃除は必要となる。
掃除の時間はどの程度掛かるか判らない上に、お湯に浸かる訳でもない。
従って、濡れても良い動きやすい格好で実施する。
偶々、偶々手元にあった水着のリストはスクール水着だけだった。
ごめん、また嘘吐いてました。
水着なら、やっぱりスクール水着を着せてみたいのです。
風呂のお湯の抜き方を指示して、その間にちゃっちゃと洗い場等の掃除です。
薬剤は、結構きついものなので、身体に掛からないように、注意して使う必要がある。
とにかく、水アカがこびり付いた所は、念入りに擦り、最後はシャワーで流して終わり。
五人全員でやれば、それ程時間は掛からずに終わりました。
アマンダに期待したんだけど、石鹸で滑ってコケル等のイベントも無く、何だが拍子抜けで終わってしまいました。
まあ、今後一週間に一度、スクール水着姿の美少女が見られるから我慢しなきゃ。