<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

TYPE-MOONSS投稿掲示板


[広告]


No.730の一覧
[0] Fate stay night 無限に至る一[藤丸の飼い主](2004/08/16 19:23)
[1] Re:Fate stay night 無限に至る一[藤丸の飼い主](2004/08/16 19:35)
[2] Re[2]:Fate stay night 無限に至る一[藤丸の飼い主](2004/08/16 19:37)
[3] Re[3]:Fate stay night 無限に至る一[藤丸の飼い主](2004/08/16 19:40)
[4] Re[4]:Fate stay night 無限に至る一[藤丸の飼い主](2004/08/16 19:43)
[5] Re[5]:Fate stay night 無限に至る一[藤丸の飼い主](2004/08/16 19:46)
[6] Re[6]:Fate stay night 無限に至る一[藤丸の飼い主](2004/08/16 19:59)
[7] Re:Fate stay night 無限に至る一[藤丸の飼い主](2004/09/05 05:38)
[8] Re[2]:Fate stay night 無限に至る一[藤丸の飼い主](2004/09/16 03:34)
[9] Re[3]:Fate stay night 無限に至る一[藤丸の飼い主](2004/09/25 03:33)
[10] Re[4]:Fate stay night 無限に至る一[藤丸の飼い主](2004/09/25 03:35)
[11] Re[5]:Fate stay night 無限に至る一[藤丸の飼い主](2004/09/25 03:40)
[12] Re[6]:Fate stay night 無限に至る一[藤丸の飼い主](2004/09/29 07:06)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[730] Fate stay night 無限に至る一
Name: 藤丸の飼い主 次を表示する
Date: 2004/08/16 19:23
プロローグ

「あなたの真名と、聖杯戦争について知っていることを話しなさい!!」
最初の令呪がきえる。完全な不意打ちに気が付けば言えない事も、思い出せなかった事も洗いざらい話していた。

「つまり、あなたはあの衛宮士郎がセイバーと共にこの聖杯戦争を勝ち残り、死後英霊化した存在。しかし、守護者としての自己のあり方と自分の理想との乖離に存在の抹消を望んでいるわけね?」

プライバシーだけは守ったが、すべてを知られてしまっては開き直るしかない。
「その通りだ。凛の令呪ですべての記憶が戻った。衛宮士郎は凛にとっても倒すべきマスターであり、利害は一致する。あの未熟者と同盟しなければ、私にとっては一度参加した聖杯戦争、過去と現状を凛と共に検証すれば勝ち抜くことは容易いはずだ。」

「未熟者って自分の事でしょう。………
 そうね。………いや………
 やっぱり同盟しましょう。衛宮くんがセイバーを召喚してからね。」
「なぜだ?聖杯を壊すのか?汚染されていても、魔術師である凛ならば使いようあるはず?」

「あなたと私だけではバーサーカーに勝つ事は難しい。綺礼と同盟すれば勝てるけど、向こうに利が無い、事情を知って同盟する気は私にも無い。ライダーとでは勝てるかどうか解らない。バーサーカーがヘラクレスなら狂化していてもあまたの幻想種を退治した英雄、勝てないと見たほうが良いでしょう。何より慎二と同盟する気は無い。キャスターのマスターは不明。衛宮くんと同盟するしかないのよ。
でもあなたの望みはかなえる。衛宮くんを殺さずに。
もっと良い手があるわ。成功すれば私が勝ち残る。
後は内緒、居間を片付けておいてね。」
あかいあくまの恐ろしい笑顔には、令呪が無くても刃向かえなかった。

第一章 セイバー召喚

懐かしさと苦い思い出の残る衛宮の屋敷からサーバント召喚の魔力を確認、セイバーだろう。さて行くか。

「セイバーはいきなり切りかかってくるはずだ。私が足止めする。衛宮士郎が出てきたらマスターが交渉に持ち込んでくれ。」

ランサーと思しき魔力が遠ざかっていく。十分離れてから家に近づくといきなりセイバーが飛び出してきた。解っていたが一撃で交差した干将と莫耶を砕かれる。

「まて、当方はそちらのマスターとの同盟を望んでいる。」
しかし、セイバーは止まらない。背後から凛が飛び出してくる。まずい、巻き込んでしまう。

「と、遠坂?
やめろ、その人たちは敵じゃない。」
衛宮士郎が出てきたか。

「何故とめるマスター、これは敵だ。あなたは敵を殺すなというのか。そんな指示には従えない。」
セイバーは私から一端離れるが構えを解かず、敵意も隠さない。

第二章 同盟交渉

「衛宮くん今晩は。すこし話がしたいのいいかしら?」
凛は笑みを浮かべつつ切り出した。

「こちらから敵対するつもりは無いの。現に一度、あなたのマスター、衛宮士郎の命を私は救っている。聞いてみなさい。今日の夕方、致命傷を負ったはずなのに何故か直っていたはずよ。けれどもそれには理由がある。それを聞いてもらいたいの。」
まずは下手に出たか。凛はセイバーに執着していたからな。実際ランサーとの戦い以上に見せ場は無かった。

家の中に入る。凛はガラスも直した。こんな未熟者にそこまで下手に出ることは無いのに、なにを考えている。
凛はマスターとサーバントについて説明し、続けて聖杯戦争について、私が綺礼に聞いた以上に詳しい説明をした。
「ここまでは理解できたわね。聖杯は一つ、最終的には奪い合うのだから同盟は無意味。セイバーがそう考えているのは解るわ。でも今回は特別なの。
なぜなら貴方達は勝ち残るにもかかわらず聖杯を手に入れることは出来ないのだから。」

「なっ。」
セイバーが驚きの声をあげる。凛はどこまでばらすつもりだろうか。

「貴方達は勝ち残る、けれども、前回のセイバーのマスター、衛宮切嗣が命じたように聖杯を破壊しなければならなくなるの。この町の聖杯は呪いに汚染されているから。もし過去の改竄などを願えばより良い選択などは行われず。最悪の結果をもたらすでしょう。十年前に聖杯から溢れた呪いが大火となって冬木の町を焼いたように。私は遠坂の、この地の管理者にして聖杯をこの地に据えた三家の一の当主として聖杯がそうなった原因を突き止め、汚染を浄化し聖杯が正しく機能するようにする。それが出来なければ再開も出来ないように破壊する。前のやり方では十年で再開され汚染も残ったわ。」

「あの火事は聖杯戦争のせいだったのか。でも何故、遠坂がそんなことを知っているんだ。」
「私も聞きたい。あなたの言っていることは私の知っている事実と符合する。しかし、何故そんなことを知り得たのか言っていない。まだ隠している事がある以上、全面的な信用は出来ない。」

「私のサーバント、アーチャーは衛宮くんが死後、英霊化した存在なの。」

「「「なっ!」」」

セイバーや衛宮士郎も驚愕の声をあげたが、私も驚いた。凛、何を考えている。
それから私は自分しか知らない昔話などで衛宮士郎の死後の姿である事を証明させられた。セイバーが過去、もしくは人の心を読む能力か宝具ではないかと疑った為、私の宝具(切り札)投影魔術まで明かさねばならなくなった。

「こいつが俺の未来かもしれない事は解った。あの火事の様な災害を起こさない為にも
遠坂に協力する。聖杯が直ったならセイバーの願いも叶えてやって欲しい。」
知らないとはいえ何を言う。この時、今まで抑えていた殺意が再燃した。

「ありがとう。私にも現在聖杯で叶えたい望みは無い。聖杯を勝ち得たと言う事実と聖杯について知識を深め、管理権を拡大できれば十分な成果になる。
ところで、もう一つ重要な提案があるの。
マスターもサーバントも願いがあるから聖杯を求める。でも聖杯を使うまでもなく叶う望みなら叶えてしまえば戦う必然は減るわ。あなたの望みとアーチャーの望みは叶う。だから叶えてあげたいの。」

「何をいう凛、すでに私の望みは、この衛宮士郎の望みとは違う。一緒にするな。」
思わず怒鳴っていた。凛はチィシャ猫の笑みを深くする。しまったこの為に内緒にしていたな。

「そう、アーチャーの望みは英霊としての自己存在の抹消、衛宮くんの望みは正義の味方に成る事。これは全く違う、むしろ相反する願いに見える。けれどもこれはアーチャーにとっては過去、衛宮くんにとっては未来に力が不足する事によって起こることなの。
今、衛宮くんがアーチャーを凌ぐ力を手に入れれば衛宮くんは正義の味方になり、英霊の契約を交わさなくても良くなる。」

「「そんな方法が………」」
呆然とした声を上げる私と衛宮士郎。しかも凛は「聖杯を使わず」にと言った。いったい?

第三章 自己召喚

「自己召喚って聞いたことがある?」

私は知っていた。衛宮士郎は知らなかったようだ。しかし、あれは召喚術でも高等技のはず……
「そうか、そういうことか。」

「そう、自己召喚、または神格自己召喚と呼ばれる技が高等技とされるのは、呼び出して得する過去世ある事が珍しいこと、呼び出す対象の特定が難しいこと、呼び出した対象によっては現在の人格が乗っ取られるあるいは、破壊されることの三つ。衛宮くんの場合は三つとも問題ない。まさに自分自身と言う同調のしやすく、英霊と呼ばれるほどの力を持った霊が目の前にいて、利害を等しくしている。後はきちんとリンクすれば技術、知識、経験は勝手に流れ込み、同調を深くすれば身体能力も引きあがるはず。さらこれは限定的ながら未来視であり過去視、時の流れにも目を向けることが出来ればアーチャーと衛宮士郎の力以上の物が手に入るはずよ。」

「美味すぎる話です。その提案のどこに貴方の利益があるのです?」
「アーチャーの知る聖杯戦争ではバーサーカーの足止めの為にアーチャーが途中退場するの。セイバーと衛宮くんの力が万全と言い難いから。そうなれば私の価値が下がりすぎる。これは取引、衛宮くんあなたも魔術師なら等価交換は知っているでしょう。
どうする、衛宮くんがアーチャーに匹敵する力を持てば私たちに敵はいないわ。」

「受けようみんなを護る力ならほしい。」

「しかたない。こいつとリンクするなど願い下げだが、私のやり方より可能性が高そうだ。」
そういったがこれは私のやり方にとってもチャンスだ。誰にも邪魔されず。一対一になれる。

「これはマスターの問題だ。マスターの判断に従おう。」

凛から宝石を一つづつ渡され飲まされる。そして目を閉じる。だがすぐヤツが見える。ヤツが私を見ているのが解る。なぜ私はああだったのだろう。あの時、あれ以外の選択はなかったのか。今ならが出来るのに。手段、それに対する価値観が変わり果てていた。自己嫌悪が凄まじい苦痛となって襲う。
気が付けば剣の丘に立っていた。確かにここは俺達の心の中だ。
「理想を抱いて溺死しろ。」
自己召喚など関係ない。自己嫌悪のおもむくままヤツに切りかかる。
衛宮士郎の敵は常に自分自身だ。いまのヤツの力など私に比べれば無いに等しい。そんな理想では何も救えない。そんな力ではだれも救えない。私の現実、私の力は千の剣と化して、ヤツを幾度と無く貫き、切り裂く。
どの位そうしていただろうか。ヤツが叫んだ。

「正義の味方になる為に!」

その手に剣の鞘が現れる。それと同時に私たちの間に一本の剣が現れる。

あの鞘、あの剣はなんだ。思い出せない。
馬鹿な。衛宮士郎が知っていて私が知らない剣など無い。
私は剣に手を伸ばす。届かない。そんな。
私は剣を投影しようとする。解析出来ない(わからない)。何故だ。

俺達は剣の丘に立っていた。
俺という可能性が行き着いた果て、一つの理想、アイツはまさしくそうだった。アイツの振るう力、アイツの振りかざす現実が、千の剣となって俺を貫き切り裂く。
しかし、俺は下がらない。これが俺たちの心の中なら自分を保ち続ける限り、負けたと思わない限り、負けないはずだ。アイツの立つ丘の頂上に登っていく。俺があいつの前に立った時その間には一本の剣が突き立っていた。この剣こそ、この丘の主にとって最も貴い剣。しかし、アイツはこの剣だけは取ろうとしない。俺は剣をみた。
足りない?剣としては完成している。でもこのままにしていてはいけない。
俺はそれを探した。
剣の丘には無かった。
アイツの中には無かった。そうか、だからアイツには見えていない。
その時、俺の中に黄金の光が見えた。
ああ切嗣から貰った物(理想)だ。

「正義の味方になる為に!」

俺の中から剣の鞘(理想郷)が現れる。それと同時にアイツも剣に気づく。いや思い出しかかった。

「勝利すべき黄金の剣(カリバーン)」

喚ばれし剣は俺の手に飛び込み、次の瞬間、アイツの胸を貫いた。

ああ思い出した。
私は彼女に剣の鞘(全て遠き理想郷)返した。
それ故に私は抜き身の剣となり多くの物を切り捨てつつ不敗であり続けた。
そして、自分の死によって理想を見失った。
何故気づかなかったのか。死んだ者には未来は無く、届かぬ理想に向かって跳び続けるなど叶わない。
「衛宮士郎、わが剣(理想)をとれ、剣(理想)の為に生きる、おまえ(鞘)は無敵だ。」

アーチャーと衛宮士郎は一つになった。

そして未来の予兆(アーチャー)と過去の可能性(衛宮士郎)は剣と鞘として失われていた物を一つにし、勝利と救いの方法を千里眼と心眼を使い幻視した。

第四章 鷹目に見えた可能性

「どういう事よ!!説明しなさい!」目を開けるなり遠坂は俺を締め上げてきた。
「マスター、私も聞きたい。あの剣と鞘を何故、あなたが持っていたのです。剣は砕け、鞘は盗まれた。たとえアーチャーがあなただとしても、今私が持っていないものを目にする機会は無いはず。」

「俺たちの戦いは見えたのか?」

「マスターとサーバントの繋がりの為でしょう。あなたがアーチャーを勝利すべき黄金の剣(カリバーン)で貫く所は見えました。」
「わたしも!
本当にアーチャーを殺しちゃったの?
令呪は無くなったのにラインは消えてない。まさか、私の聖杯戦争これで終わり?」

「俺の能力が上がるだけじゃなくて、俺がアーチャーを取り込んだんだ。」

「そんなこと、認められないわ!!
アーチャーを取ったんだった代わりにセイバーを寄越しなさい!!」

「遠坂、落ち着いてくれ。俺とアーチャーは同化しただけじゃない。自分でも言ってただろう。未来の予兆であるアーチャーを、今はまだ可能性を残した俺が取り込むことで多くの事がわかったんだ。」
今見たことを全てを伝えるのは難しい。見たことが全てでもない。そんな中、一つの剣が思い浮かんだ。

「遠坂にとって聖杯よりも価値のある物を渡すから勘弁してくれ。」
「なにいってるのよ、アンタ、そんな物あるはず無い。」

話を聞かず投影を開始する。アレは今の俺にとっても最も難しい投影だ。
投影完了。汗だくになりながらも何とか完了する。

「宝石剣ゼルレッチ???
アンタなんてことするの。我が家の、我が門派の悲願をこんなにあっさりと!!!」

「遠坂、話は後だこれを使って今見たことを確認する。平行世界といっても遠くない。見るだけだ。あと、マスターとサーバントの繋がりで見えたと言ったな。」

永遠の理想郷(アヴァロン)とそれに納められた勝利すべき黄金の剣(カリバーン)、そして遠坂のペンダントを取り出す。
「セイバーは王者の剣を握ってくれ俺が永遠の理想郷を右手で持つ。遠坂は左手の宝石剣とペンダントをいっしょに握ってくれ。マスターとサーバントの絆を証の品で強化して情報を共有する。」

そして俺たちはこの聖杯戦争の五つの結末を見た。

「わかった協力しましょう。」
「今こそシロウの剣となり、シロウの盾となって戦う事を誓う。」

俺たちは状況の整理と戦略を練ることにした。

「アンリマユを何とかするまではサーバントを倒すわけにいかないわね。まず桜を助けて間桐臓硯を殺す。これで良い?」
「ああ臓硯が桜にしたことは許せない。それだけじゃなく不死への執着の為、多くの人を食らう蟲と化している。逃がすわけにはいかない。」

「今、一番強いのはギルガメッシュ、ランサーを抱える言峰綺礼ですね。放って置いて大丈夫でしょうか?」
「綺礼はすぐには動かないでしょう。イリヤを説得する為にもバーサーカーを打倒し得るギルガメッシュは後回しにしておくべきね。
でも父さんの仇は必ず取るわ。師匠殺しは大罪なのよ。聖杯戦争中でも赦されないわ。」
「ああ俺にとってもオヤジ(切嗣)の仇だ。俺と同じ被災者を救う為にもやつは殺す。」

「………   」

第五章 多重契約

「もう遅いわ。後は打ち合わせ通りに。最後に戦力再編してアーチャーが居なくなった分を補わないと。士郎もアーチャー並みかそれ以上の能力を得たみたいだけど頭数が減った事に変わりはないわ。」
「凛、もうシロウには私を聖杯抜きで維持できる魔力がある。きちんと再契約していただければ戦力に不足は無い。」

やばい妙な方向に話が向いている。

「なにもセイバーを欲しいとは言ってないでしょ。宝石剣の投影で消費した魔力を補ってあげたいの。もちろんセイバーがそのつもりならいつでもいらっしゃい。二人とも私のサーバントにしてあげる。」
「私は今回こそシロウだけのものだ。凛、あなたのものにも、桜のものにも、もちろんキャスターや英雄王のものにもならない。」

「士郎は私のものになるのが一番幸せなのよ。」

「凛、あなたはアーチャーの代わりとしてシロウを望んだ。今先ほどもアーチャーの代わりとして私を望んだ。私にシロウの代わりは無い。剣にかけて、譲るわけにはいかない。」

「そこまで言うなら私も言うわ。確かに私は欲が深い。アーチャーも士郎もあなたも桜もそして魔術も大切よ。国の為すべてを投げ打ったあなたの真似は出来ない。あなたにとって士郎は全てをなくした上で得たonly one(唯一つ)、一にして全て。けれども、あなたは士郎をもって先に行ってしまう。士郎はあなたに追いつく為にアーチャーになったの。
士郎を救う為ならたとえあなたでも殺して見せる。」

「まて、今救わなけばならないのは俺じゃない。」

「ふう、シロウはこう言う人でした。」
「そう、全てを救おうとする士郎だから、そばで士郎を救う人が必要なの。」

「その意見には同感です。シロウ、王者の剣をください。確認したい事が在ります。」
セイバーが王者の剣を両手でかざした。
その時、王者の剣は一瞬だけ光を放ち全ての魔力を失った。

「セイバー、一体何があったんだ。」
「アーチャーいや英霊エミヤというべきか。この王者の剣は彼に果たしてもらった私の誓いそのものです。彼とあのセイバーによって王たらんとした私の誓いは果たされ、誓いの達成を告げる事でその役目を終えました。」

「過去改変なのか?それとも並行世界の出来事なのか?遠坂どういうことか解るか?」

「そうね。そもそもアーチャー=士郎は未来、セイバーは過去から、つまり時間軸から解き放たれた英霊の召喚。士郎がアーチャーを取り込むことで彼の聖杯戦争の結果を受け継ぎ、セイバーもその剣によって結果を受け継いだ。それによって、有り得る可能性が顕在化したということでしょう。つまり改変されたのではなく割り込みが入ったの。有り得ない事を引き起こそうとすれば抑止力が働くはずだけど、アーサー王が誇り高き死を迎えるというのは、多くの人が認めた史実よ。むしろアーサー王の後悔を修正する為にこそ、アーチャー=士郎と、セイバーの別れは有ったのかも知れない。」
遠坂はそう言った後、宝石剣を見つめて、ぶつぶつ言いながら、考え込んでしまった。

「セイバー、なら誓いは果たされたんだな?」

「ええシロウ、今こそ、この剣にかけて誓いたい。あなたの為に生きることを許して欲しい。」

「だめだよセイバー。」
セイバーの顔が恐怖に歪む。
「俺の為に生きるのではなく、俺と共に生きて欲しい。」

セイバーの顔が、喜びに輝いた。
「シロウ、私はアルトリア=ペンドラゴン。シロウにはアルトリアと呼んで欲しい。」

俺たちは王者の剣に手を置いて誓う。
「私、衛宮士郎は鞘として、 アルトリア=ペンドラゴンを守り、共に生きる事を誓う」
「私、アルトリア=ペンドラゴンは剣として衛宮士郎の為に戦い、共に生きる事を誓う」
その時二人の手から魔力の渦が吹き上がった。

光が薄れたとき二人の手の中には鞘に収まった、一振りの聖剣があった。王者の剣に似ているが随所に赤のラインが入っている。

「士郎これは。」
質問のようだがセイバーにも確信があるようだ。

「ああ、今の誓いで勝利すべき黄金の剣(カリバーン)は再誕した。創り手として初めて名を与えよう。剣の名は『共に生きる誓いの剣』(エクスキャリバーン)鞘の名は『約束の理想卿』(アバロン)と名づける。
そして、剣を『全て遠き理想卿』(アヴァロン)に収めて俺が持つ。鞘は『約束されし勝利の剣』(エクスカリバー)を収めてアルトリアが持っていてくれ。」

「ああ、それは良い考えです。私はまさに抜き身の剣でした。約束されしまま勝ち続けましたが、多くの味方を傷つけ、切り捨て、ついには自分自身といえる息子を切り、滅びました。しかし、最後に、鞘を得たことで自分自身と私に忠誠を誓ってくれた騎士を救い得たのです。剣と鞘の誓いのまま、決して失くさない。」

しまった。いくら我が家の悲願、第二魔法の宝石剣が手に有るからって、こんな大事な時に考え込むなんて。
私は我が家の血を呪いつつ、恋敵の先制点に追いつくべく声をかけた。
「二人とも、そろそろ良いかしら?」

「「凛!!」」
私を忘れて二人の世界を作っていた士郎とセイバーが振り返る。

「ちょっとアーチャーに遠慮しちゃったわね。セイバー、独占しないなら初戦敗退を認めてあげる。」
「凛、それでは?」

「ええ、先に契約しなさい。いま一番魔力が必要なのはあなたよ。私も今日はいろいろあったからお風呂に入って準備したいし。着替えは用意しておくからあなたも終わったら入りなさい。でも、油断は禁物よ。私、逆転ホームランは得意なんだから。」

「士郎、結婚できるようになったら、はっきりして貰うわよ。でも次の遠坂の当主は士郎の子供に決まったからね。」
遠坂はいきなり宣言して出て行った。

戸が閉まるなりセイバーが抱きついてきた。鎧が消えてる。
え、いきなり裸?
「シロウ、わたしに恥をかかさないで下さい。」

私は熱くしたお風呂に浸かっていた。
風呂の熱以上の嫉妬が身を焦がす。
「でも我慢しなきゃ。」
桜、あの子があんな目にあっているなんて
あの子があんなに成るなんて
私には桜は救えない。だから、士郎に私とセイバーを預ける。
「アーチャーの馬鹿。あなたのやろうとした事は自分がやった事を無駄にすることよ。見てなさい。私はあなたごと士郎を愛して上げる。自分の幸せも捨てない。独り占めもしない。皆で全てを手に入れて、幸せになるんだから。」
今度はアーチャーも一人にしない。英霊の座に行くときも私も一緒。セイバーにも桜にも協力させてやる。私はそう決意した。


次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.022719860076904