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No.6058の一覧
[0] 悪役エミヤ ― ダンボールの魔術師【士郎崩壊モノ】[ネイチャー](2009/12/14 01:00)
[1] プロローグ二話 『覚醒する初代・変態エミヤ』[ネイチャー](2009/01/28 03:28)
[2] プロローグ三話『キャラとして軸がぶれている』[ネイチャー](2009/01/28 15:37)
[3] ゆめのはなし 『悪役の生まれた日』[ネイチャー](2009/03/12 01:21)
[4] 第1話 『我を知りえぬ』[ネイチャー](2009/08/19 06:13)
[5] 第2話 『弓道部は極めすぎでつまらなくなって引退しました』[ネイチャー](2009/08/16 20:26)
[6] 第3話 『紅き彗星』[ネイチャー](2009/08/18 16:00)
[7] 第4話 『隠なる蛇尾』[ネイチャー](2009/08/19 21:01)
[8] 第5話 『聞かぬは一生の』[ネイチャー](2009/12/15 05:34)
[9] 第6話 『話せばわかる』[ネイチャー](2009/09/05 06:14)
[10] 第7話 『二日目の朝』[ネイチャー](2009/12/14 01:05)
[11] 第8話 『ルラギッタンディスカー?』[ネイチャー](2009/12/13 23:53)
[12] 第9話 『The gray cherry blossom』[ネイチャー](2009/12/14 23:06)
[13] 第10話 『灼熱の解逅』[ネイチャー](2009/12/15 19:39)
[14] 第11話 『巨漢と城塞』[ネイチャー](2010/08/11 01:42)
[15] 第12話 『――斯くして、聖杯戦争は始まる』[ネイチャー](2013/04/06 06:53)
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[6058] 第10話 『灼熱の解逅』
Name: ネイチャー◆4594b8fb ID:fe7cf97b 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/12/15 19:39

丁度桜と凛が、学校に仕掛けた結界の基点を解除して回っている頃、衛宮士郎は既に帰宅していた。


「さて、早い所修繕かけるか」

桜や慎二は、たまにこのフォートレス衛宮邸に宿泊する。
たまにとはいえもう数年の付き合いなため、回数としてはなかなか凄まじいことになっている。そのため二人揃って離れに、自分専用の寝室などを用意していたりもするのだ。

そして、昨夜は庭にてランサーが暴れまわったりしていたせいで土は舞い上がり庭石は飛び、という大惨事となっている。


……ここで問題となるのは、庭石乱舞だ。

一度舞い上げられた庭石は無論、万有引力の法則に導かれ落下する。
その中でも砕かれずにそのまま舞い上がった庭石――岩の持つ破壊力は、日本家屋の屋根を破壊して余りある威力を持っている。


士郎ががちゃりと普段は滅多に立ち入ることの無い、離れのとある部屋の扉を開けると、そこにはまっぷたつに割れた床板と、その中央に鎮座する割合小振りな岩。周囲に散らばっているのは屋根瓦に、屋根を構成していた木材の群。極めつけに部屋中が泥だらけになっている。



―――そう、昨夜の遭遇戦。その結果が、桜の寝室の惨状だ。


いくらなんでもこのような状態をダークダンボール団幹部――つまりは身内、それも女子に使わせるなどと、正義の味方の切り捨てた1を救う悪役、それもラスボスクラスを自認し実行する所存である衛宮士郎に耐えられることではなかった。


「まずは庭石を外に出して、掃除だな」


こんなときこそ己の魔術が役に立つ。
そうして躊躇なく魔術回路を生成、筋力を強化する衛宮士郎は、あまり魔術の秘匿を念頭において行動する人間ではなかった。











   第10話 『灼熱の解逅』











一通り岩やらゴミやらを運び出し、泥や土や砂を掃き捨て、天井の穴をダンボールで塞ぎ、床の穴もダンボールで塞ぎ、しかし床をダンボールで塞いだだけでは一箇所だけ目立ってしまうので部屋の床板を剥がして全てダンボールに張替え、しかし桜の部屋だけダンボールの床となっては目立つので、これまた離れの床板すべてを剥がしてダンボールへと張り替える作業を、日がまだまだ沈まぬ内に済ませてしまう士郎の有能さは疑うべくもない。まさしく化物の領域である。
――ただし結果にその有能さが反映されているかどうかは別問題ではあるが。


太陽の日差しもまだまだ強く、張り替えたばかりの床ダンボール板が照らされて黄金色に輝く。
あまりに美しく床がダンボールだらけになったため、一息つくため士郎は床に寝転んだ。――このダンボールに入れていたものはスイカだろう。さわやかな香りが鼻腔をくすぐる。


ごろりと寝返りを打ちもう一度鼻を鳴らせると、今度はどこか暖かな芳香に包まれた。――半紙かなにかだろうか、紙のもつ、どこか人をリラックスさせるような香りだ。

柑橘、炭、塗料、プラスチック。ごろごろと士郎が転がる度に色とりどりの香りが出迎える。
そんな香りの花畑を士郎は、夢中になって探検し始めた。






そのような素晴らしい新・床板をごろごろと一心不乱に転げまわっていると、いつの間にか辺りは漆黒の帳に包まれていた。


「嗚呼くそ、少し夢中になりすぎたな……」

客観的に見ると、日が暮れるまでごろごろとダンボールの床を転がってはすんすんと鼻を鳴らし幸せに浸る男が一人。(この物語の登場人物は全員18歳以上です)極めつけに危険人物である。
こいつがこんなことをしている内に遠坂凛は腕を飛ばされ、その後右腕を持ったまま教会に駆け込み終わっているという現状。自分が苦労している間に士郎が何をしていたかを聞けば、きっと凛は怒り狂うに違いない。


―――しかし、このまま一人で飯を作るというのもつまらないな。


桜は用事があって今日は家に帰る。
大河は教師仲間との付き合い。

そう留守番電話に連絡が入っていた。必然、こいつは鳴る電話にも気付かず一心不乱にダンボールの香りをあじわっていたことになるわけだ。


そこを踏まえたところ、あっさりと外食するという結論へ至る衛宮士郎。

万札を一枚滑り込ませた財布を手に衛宮士郎は家を出る。


―――夜の街へと、家を出る。




















「よぉ、神父じゃねーか」

が、夜の街を歩こうと何事もなく泰山なる中華料理店まで辿り着くのが衛宮士郎だ。

「む、衛宮の小僧か」

扉を開けてまず目に入ったのが、真っ赤な豆腐料理を咀嚼する神父の姿。

聖杯戦争も一応形式上は未だ始まっていないとはいえ魔術師たちが最も活発に動き出す夜に外出、煮え滾る麻婆豆腐を掻き込むという職務怠慢振りに言及する資格を有する人物は居ない。

「あん? おい神父、俺はてめーに名乗った覚えなんて無いんだがな?」

「なに、昔、少しばかり貴様の父に縁があってな、最近貴様がその養子であると知っただけだ」

ほう、と衛宮士郎はひとまず納得した。なにせあの、初対面で魔法使いを自称した爺さんのことだ、このような神の僕と名乗りながら人の不幸を嬉々として求めるような変態神父と面識があったとしても、何ら不自然な要素は無い。

適当に麻婆豆腐と白飯を注文し、神父の目の前の席に座る。
滾る灼熱を平らげ、お代わりを頼むその神父の姿は何処か生き生きとしていて、その吹き出す油汗が違和感を生じさせていた。


「……おい、どうしたよ。えらく上機嫌じゃねえか」

しかしなんだかんだとそれなりに顔を合わせた仲、その日の神父の気分くらいは顔色から読める。

「いや、前に恩師の娘の話はしただろう?」

ああ、と士郎は相槌を打つ。

「その娘が今日、教会まで駆け込んできたのだが」

「なんだ? てめーの性格の悪さを知ってる人間が告解に来るとも思えねぇが」

神父は一応、厳かであろうととしているようだ。特にその声色に喜色は見えない。

「少しばかり要件があってな。その要件が済んだ後、相談事に絡んだ、師父の形見とも言えるものをその娘に渡してやっただけだ。…良いことをすると実に気分が良い。神に仕える身はかくあるべきだな」

それでも衛宮士郎がここに来店したときに見た神父の姿に、この時ほどに饒舌なものはなかった。

「はん、どうせてめーのことだ、そのオヤジの形見のトランクスでも渡したんだろーが」

「ふむ、貴様は何故、師父のトランクスを渡すと私が喜ぶと思ったのかね?」

「年頃の娘が男物のトランクス持っててもおかしいだろうし、かと言って親父の形見だ、捨てるに捨てられないだろうしな。その葛藤する姿なんてお前の大好物じゃねーのか?」


士郎の言に神父は感心したように頷きそのまま瞑目。

「師父のトランクス……? 面白い、実に面白そうだ。その発想はなかった。どこにやった、どこにしまった? 遺産管理は凛でなく私が行い、遺品は基本的に捨てない方針だったはずだ……。ならあるのは地下か? それとも……」

恩師の下着をどこにやったかという案件を、無意識に口から出るほどに深く思案する神父の姿は滑稽に過ぎた。

しばしの間、瞑目したままぶつぶつと何事か呟いていたようだったが、突如カッと目を開けると、そのまま席を立ち、


「今日という日は実に充実した一日だった、神に感謝する。小僧、私は急用を思い出したので帰る。お代わりした麻婆豆腐は貴様に進呈しよう、存分に食すがいい」

「いや待てありがたく食わせてもらうが手前は本当にそれでいいのか…?」


神父はそう、早口でまくし立て、士郎の返事も聞かずに悠々と急ぐという離れ業を見せつけて帰っていった。






結局衛宮士郎の前に残ったのは煮え滾るマグマのような二皿の麻婆豆腐とライスだけ。


その皿を前にして士郎のすべき事は、


「いただきます」


ただ食すことだけだった。
















   あとがき
―それは骸だった。
岡山の実家から送られてきた蜜柑、その骸でしかなかった。――否、そのはずだった。
しかし、その骸が私を掻き立て、血を滾らせた。
―――ダンボール
その後の行動に否はない。底に残っていたひとつ、ふたつの蜜柑をこたつの上に放り投げ、すぐさま逆さに持ち上げ、天へと掲げる。
―――ダンボォォル!
紙への祈りにも似た喜びの舞、そして、沈むように座り込み………!
―――絶望
そう、それはまさしく絶望であった。それ以外の形容など考えられぬほどの破滅的な挫折であった。
即ち―――体が大きすぎてダンボールに入らない
「絶望したッ!」
私に許されたことなど、焦げたような色をした板張りの床を転げまわる程度でしかなかった……。

こんな経緯と、これ以上ダンボールが無いとそろそろ作者も読者も禁断症状が出てくるようなので、もう9話裏とかやめて進めることに。
まだまだ遠坂は終わりはしません。


   返答
>くっ、やられた!!(某「新世紀の神」の顔を想像して下さい)
>おお、釣られた。うっかり遠坂だけでなく自分も釣られました。
ドッキリ大成功!(にっこり)

>限りなく真っ黒に近い、灰色桜だったか!
>黒桜カッコいい!
>灰色?いいえ黒です。
>この桜、確かにしたことのランクとしては原作ほどではないが、腹の中は間違いなく原作よりも黒だと思われる。
灰というには黒すぎ、黒桜というには原作黒桜に劣る上思い入れが強く、どうにも上手く形容できないんですよね。何か考えて下さいませんか?

>影の刃がでてきた時点である程度展開が読めた
バレ……た……?
一応、ワカメがセイバールートで士郎に放った(あっさり避けられて強化モップでやられましたが)ものをイメージしていたのですが、影といえば桜という印象が強かったようで……。

>黄金剣っていったい誰の武装なんでしょうか?
正直説明入れようと思って忘れていました。すみません。

>もう凛にはこの後見せ場が無さそうなんですが!こうなったらダンボール団に入団か!?
凛がサーヴァントを失っても復活できるのはUBWシナリオ通りです。無意味に。貴重な原作通りな常識人を失うわけにはいきません。

>家の壁などに吹き付けるだけで超強力(ガスバーナーで焦げ目程度)な耐火性を待たせる事が出来るスプレーってのがありますよ?
あっさり燃えた方が逆に悪役っぽくないですか?

>なぜか、頭の中で一昔前の悪の親玉の格好している士郎と露出度高い悪の女幹部
だいたいあってます

>ダンボール欠乏症の皆様
その結果がこれだよ!


ダンボールイズフォーエヴァー!


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