桜さんの自由制作
夜遅くまで「世界最強虫王決定戦」のDVDを鑑賞をしていたくせに
夏休みであっても間桐桜の朝は早い。
そんな彼女の健康の秘訣はローヤルゼリー
得意の魔術で生育した蜂からとれる100%のローヤルゼリーを生で頂くところから始まる。
超純度のローヤルゼリーは精製された覚せい剤の末端価格に匹敵する高級品。
ローヤルゼリーは女王蜂を育成するためのものでありこれを授乳した蜂としてない蜂では体格に10倍の差がつくという。
別名、不老長寿の薬であり、今のところ桜はこいつを使ったエリキシルの作成を夢想している。
数年前からの彼女の密かな趣味は養蜂である。
柳洞寺に頼み込んで巣箱を柳洞寺の周辺にいくつか設置している。
この蜂達は柳洞寺にある霊脈から流れるエーテルを主食にした魔蟲であり、桜によって日々品種改良が行なわれすくすくと育ち極上の蜂蜜を作る金の卵だ。
リアル黄金の蜂蜜酒を作る気満々である。
自転車を朝早く走らせ柳洞寺に向かい巣箱を確認しにいくのが彼女の日課だ。
「おはようございます柳洞先輩」
「おはようございます間桐さん、今日も朝早く重畳です」
「はいどうぞ、お裾分けです」
朝早く読経を行い、柳洞寺周辺の掃除をしている柳洞一成に桜は養蜂で出来た蜂蜜でつくった飴の瓶詰めを渡す。
絶対にパン食はありえない柳洞寺の方々にはこうして採れた蜂蜜は保存が利く飴玉にして渡していた。
「いつもすまないな間桐さん、しかし凄いな、これを頂くようになってから、寺の修行僧の面々皆風邪を一切引かなくなった」
柳洞寺ではこれを万能薬として重宝しているとか。
最初のころ中学生の桜が養蜂をさせてくださいと寺に申し出た時は少し懐疑的だった。
しかし桜によって作り出されたミツバチたちは決して人は襲わぬ様に調整されており、文句の一つ出たためしがない。
「お褒めいただきありがとうございます、将来は養蜂家を目指しているので大変助かっています」
嘘八百だが、間桐桜は柳洞寺の人々からは今時珍しく将来をしっかりと見定めている子として見られていた。
一成の兄零観は桜を若年でありながら既に養蜂家として一流であると認めていた。
なにせ収穫の時でも一切防護服を着用せずにバンバンと巣箱から収穫作業を行なっている姿をみているのだ。
寺の人々も養蜂のことはわからないが何れ彼女は世界に羽ばたく養蜂家になるのではないか、と期待している。
巣箱を見終わった彼女はまた自転車を走らせ次の日課に向かう。
間桐の屋敷の地下室。
「ふふふふふふっ」
先ほどのおしとやかな笑顔をいつもの厭らしく妖しい笑い顔に変えると今日の成果を確認する。
地下室には数多の蟲の飼育箱が並んでおり、その一つずつを確認していく。
「サシバエちゃんはどうかな」
彼女が今もっとも期待しているのは、マキリの蟲の魔術で作成された蝿。
「このまえいい餌を沢山上げたからそろそろ成虫になったかな」
銘銘マジック・ナノ・ステイブル・フライ。
現在彼女が所有する最強最悪の魔蟲である。
体長1mm程度とチョウバエに似ているが魔術で改良したサシバエだ。
蚊とは違いオスメス共に哺乳類の血液を食料とするサシバエを小型化し、様々な毒や呪を媒介する魔蟲であり。
現在作られているのは一匹で80人殺せる毒を持つ世界最強の猛毒蜘蛛クロドクシボグモの毒を媒介し、人間がもし噛まれれば25分以内に死に至る魔蟲だ。
レンタルビデオ屋で「世界最強虫王決定戦」というキッズコーナーにあったDVDをみて思いついた、魔蟲である。
現在100万匹程飼育している。
餌は人間の死肉。
大変小さいので成人男性の肉一体分あれば数十年は持つという低燃費性。
そのほか神経毒や極度のアレルゲン物質搭載型とか色々作っている。
勿論桜本人には全く効かないという安全性。
本気を出せば都市一つ滅ぼせる。
本人も趣味に走りすぎたと作ってから後悔している。
一応セーフティとして虫の王を作成し王が死ぬか人一人殺害すれば自壊するように設定している。
次は次はと桜は飼育箱を開けていく。
失敗したら一つの飼育箱にまとめていれて蟲毒を作るので無駄が少ない。
最後の飼育箱を開けると
「ああっ!?成功してるわ!?」
桜は狂気乱舞した。
らららん、と一定のリズムを口走りながらそれをうっとりと眺める
「まさしくこれは王蟲だわ」
愛玩用に作成したジブリの風の谷のアレに出てくるアレである。
ナウシカどころか瘴気の原因となる土の化身のような桜だが、これは可愛いと思わざるおえない。
この前成功させたニホンオオムラサキの大量作成よりも喜ばしい。
「ああ、お爺様。あなたの薀蓄は大変役に立っております、こんどから貴方の皮の下はこの仔にします」
日々こうしてマキリ地下室王国は発展していくのである。
多分、これをみたら死徒だろうが魔法使いだろうがドン引きする光景だろう。
今回は桜さんの趣味のお話でした。
ゾォルケンもエロ蟲作ってないでこういうの作れば聖杯戦争余裕じゃね?
という発想によりお送りしました。
ちなみにSAKURAさんの性質はご老体と同じく「見て」「知る」ピーピング趣味が全てです。
NPCとしてはご老体と同じく町人Aあたりに配役しております。
真面目に原作に登場させたら収拾つきません。