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No.31354の一覧
[0] 【ギャグ】逞しい桜さん (15禁) [みさりつ](2012/02/01 23:27)
[1] 2話上 姉と妹の関係 蛇足追加[みさりつ](2012/01/28 18:28)
[2] 2話下 兄と妹の関係[みさりつ](2012/01/28 18:30)
[3] 閑話 桜さんの趣味ていうかSAKURA[みさりつ](2012/01/29 20:38)
[4] 3話 幸も不幸も人それぞれなお話 しんじくんの日記[みさりつ](2012/01/29 20:57)
[5] 4話 ある聖夜の奇跡 上編[みさりつ](2012/01/30 00:10)
[6] 5話 ある聖夜の奇跡 下編[みさりつ](2012/01/31 00:13)
[7] 閑話2 運命がちょっと動きだす日 上[みさりつ](2012/02/01 00:09)
[9] 閑話2 運命がちょっと動きだす日 下[みさりつ](2012/02/01 00:28)
[10] 6話 ハイパーSAKURAさんタイム 上[みさりつ](2012/02/01 23:21)
[11] 6話番外 逆レイパーしんじくんジュゲム[みさりつ](2012/02/02 19:05)
[12] 6話 ハイパーSAKURAさんタイム 中[みさりつ](2012/02/03 21:31)
[13] 6話 ハイパーSAKURAさんタイム 下 [みさりつ](2012/02/03 21:36)
[14] 閑話3 あとかたづけ 桜さんの日記[みさりつ](2012/02/04 11:20)
[15] 7話 レーシック姉妹喧嘩 【第一部終了】[みさりつ](2012/02/05 20:14)
[16] 閑話 ダイジェスト旅行記 2月から4月の間[みさりつ](2012/02/05 20:10)
[17] 閑話 ダイジェスト旅行記 5月から帰国まで[みさりつ](2012/02/08 00:36)
[18] 聖杯戦争編 予告[みさりつ](2012/03/05 23:46)
[19] 第二部 プロローグ ピンクい魔女、帰郷[みさりつ](2012/03/05 23:42)
[20] 第二部 一話 彼女が出来ました。[みさりつ](2012/03/09 14:12)
[21] IF外伝 マセておしゃまで孕んだ幼女 上 悟[みさりつ](2012/03/09 21:23)
[22] IF外伝 マセておしゃまで孕んだ幼女 下 り[みさりつ](2012/03/09 22:17)
[23] IF外伝 天より他知るものなく[みさりつ](2012/03/13 22:25)
[24] IF外伝 桜さん家[みさりつ](2012/03/11 00:33)
[25] 二部 2話 上 桜さん準備中 SINJI覚醒(仮) IF 追加[みさりつ](2012/08/22 01:47)
[26] 二部 2話 下 なぁなぁな感じの桜さん準備中 [みさりつ](2012/09/22 00:50)
[27] しょうもない外伝3 ネタ注意 最低系桜さん[みさりつ](2012/09/23 02:09)
[28] 超短編 逞しいKARIYAさん 蛇足追加 若干diesクロス[みさりつ](2012/12/03 16:52)
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[31354] 超短編 逞しいKARIYAさん 蛇足追加 若干diesクロス
Name: みさりつ◆2781aa24 ID:36037864 前を表示する
Date: 2012/12/03 16:52
超短編 KARIYA



1948年のイスラエル建国から半世紀近く続くパレスチナ紛争はまだ現在も続いている。
難民が多く、情勢は不安定、いつ争いの火が燃え上がり、地獄が生まれるか分からない場所。

だが案外、見たかぎり今は平和なんだよなぁと思いながら。
そのパレスチナの小さな街の中で今日の昼食を食べつつ



「日本にかえって生卵と醤油でご飯がくいてえ」






雁夜は胸もとにずっしりとかかる、商売道具を見てため息を付きながら日本語を呟いた。



イスラム原理主義組織によって成り立つ組織の動き次第ではイスラエル軍の攻勢により、今現在いるパレスチナの小さな街が一瞬にして廃墟になる可能性もある。
そしてそんな目に見えた平和の瓦解がありふれた世界の住民たちは貧しかった。
1日約2ドル以下での生活強いられる貧困率は全体の中でも9割近いらしく、やせ細った人々が多い。
こんな文句、日本語以外で言えば、まぁ罰があたりそうだ、と雁夜は思った。
今日のお昼ご飯はパレスチナでは本来生産されないお米の料理で、地中海性気候ならではのズッキーニの中身をくりぬいて米を入れ焼いたもの。
正直口に合わない。
なにせ、ダシがない食事だ。
クミンやらカルダモンの舌がピリピリとするようなスパイスが風味や味を決める食文化地方だ。
どうあっても、純正日本人の雁夜にとってお米の使い方に文句を言いたくなるような味付けだ。
いまなら俺、一生ご飯と味のりと味噌汁で生きていける、とか考えてしまう毎日の食生活である。
せめて魚でも…とか考えるが、ここらではイスラエルの関係で漁業制限がかけられており、魚は高級品。
こんな廃墟のような街では目にすることも出来ない。
そもそも、新鮮に保存する機器もないのだここらの貧しさは。



「どうしたカリヤ」


「ああ、腹いっぱいだ、ほらお前も食え食え」

ピリリとしたスパイスの舌触りにため息が出てくるので、半分を残し、横に立つ少年に皿を向ける。


「ダメだ、俺はアンタの護衛だ、仕事はしっかりする、お金一杯もらった。」

「いやいい、ほれ、銃をかせ、俺がお前と交代するからよ」

雁夜がテーブルから立ち上がり、少年が肩にかけている、突撃銃を奪うと少年にほれほれと席に座らせる。
この少年は雁夜がこの土地に来たときに雇った少年兵だった。
彼は、ある少年兵を育てるキャンプで銃の打ち方を学んだ、ありふれたここいらなら何処にでもいる少年。
なんでも、自分の居場所が皆殺しにあって逃げてきて、それからずっとふらふらとしている、とのこと。。
顔つきからすると生粋のアラブ系住民で彫りが深く、ヘタをすると、雁夜よりも、顔つきだけなら、年をとっているように見える。

最初この土地に来たとき、真っ先に身ぐるみを剥がしにきた勇敢な少年だったので、雇った。

「う、まだ口を動かすと、痛い、カリヤ……どこにそんな細いのにそんな腕力があるんだよ」

「お前が俺のカメラを分捕ろうとするから悪い、つうかひょろひょろ言うな」

雇うまでの話は長くなるので省略するが、とりあえず返り討ちにぼこぼこにした。
慣れたものである、人をぼこぼこにする経験で彩られた人生を生きているのだ。
ちなみに甘酸っぱい思い出を彩る顔とスタイルが好みの女の子の幼馴染の葵には「雁夜くんはワイルド過ぎて厭、というか近づかないで、妊娠する」とか言われてフラレた。
他の子との噂とかで俺の悪行を知っていて冷たい視線で。



だってしょうがないじゃん、育ち悪いし。

あの妖怪爺が実の父親だし。

グレて当然だろうと思う。
もう一人の家族である兄貴も欝が入ったように怯えて鬱陶しいし、陰気な家だった。
湿ってて、なんかグロイし、猟奇的で汚い感じの実家。
ある程度物心がついてからは何時もその狭い世界にイライラしてた。
つうか20世紀の世の中で未だにああいうのってどうだろうか。
魔術。

「古臭いよなぁ、どうせなら世紀末も近いし、北斗神拳みたいなの教えてくれる実家がよかった、いやそれも嫌か」

気づいたら今はこうして色んな広い世界を一人歩いている。

胸に抱くこのカメラと一緒に。

日本ではフリーの戦場カメラマン扱いらしい。
この前、写真集を自費出版した。

題名は世界の国々とかありふれた感じの。

世界中を実家の資産を食いつぶしながら旅をして撮りだめた写真をまとめたやつだが、なんか自分は荒んでいる場所が好きならしく
写真集の中には銃とか、戦争とか貧困とかそういうものをイメージさせるものが多く、帯を作ってくれた雑誌社の知り合いは

背表紙に戦場カメラマン間桐雁夜の世界観とか書きやがったし。


だが


まぁしょうがないか、と思いながら、街を眺める、そこには人々の生の息吹が混沌とし渦巻いている。
生きるために食べるために必死に毎日を生きる人々。
日本ではすぐには目にできない、懸命さ。
明日の為に、明日の為に、とただ生きるひとの強さを感じて胸にくるものがある。
そういう生き方ってものをしないヤツのところで育った俺にとって、この光景は好きだ。
綺麗なものじゃない、埃にまみれた世界だ。
血とか、暴力とか溢れているし、それを美とは思わない。
でも好きで、気がつくとよくカメラを手にしそれを記憶として残す作業をする。

なんかそれだけをするのが俺の人生のような気がする。

太陽と青空の真下、通りすぎるように。

こういう風になったのは確か、ええと突撃銃の重さに身を預けながら思い出す。


「確かキャンプファイヤーだな、あれは愉快だったな」



自分が十代の頃やった、妖怪退治の記憶を呼び覚ます。










間桐雁夜の声優はルネ山だったそうです。





ある日、間桐の屋敷が盛大に燃えた。
火事である。


「火事だ家が大火事だー凄い大変だ、どうしよう、父親がまだ家にいるのにー」

「なんでそんな棒読みなの!?雁夜くん!?」

冬木の街でも記録に残るぐらいの火事である。
それはある家だけの大火事、その家は庭が広く隣家に燃え移ることがなく被害は一件で済むものだが。
特筆するのは、その火事の炎の火力である。
まるで、火事というよりも爆発。
間桐の屋敷は圧倒的な紅蓮の炎に燃えていた。

12時過ぎの真昼間、太陽がさんさんと輝く夏の日。
その日一杯炎は燃え続いたと新聞に載った家一軒のみの大火災。

野次馬やら、マスコミやら、沢山駆けつけその家を取り囲むように炎を眺めて。

それはさながら

「キャンプファイヤーみたいだな」

ぼうぼう、とぱちぱちと、燃えている、ずっと眺めていたら、なんか眠くなってくるな、と雁夜は思った。

「だから、どうしてそんなに冷静なのよ!?」

幼馴染の家が盛大に火事なので駆けつけた葵は幼馴染の冷静さに混乱する。

「そりゃ、家族は全員逃げてるし、大丈夫だから、どうせ中にいるのは怪物だけだしさ―――まるで映画のクライマックスだよなぁ、葵ちゃん」


兄貴は外のスナックで酒でも飲んで酔いつぶれてるだろうし。
とさも当然かのように言う男はまるで―――はっ、と葵は思った。

「貴方なの……この火事……」

葵は震えながら雁夜に問いかける。

「おれじゃない」

「いいえ、顔凄いニヤついてるでしょ、なんか凄い悪そうな顔だし」

口元が水を含んだように膨らんでいるし、絶対爆笑一歩手前である。

そして「ふぃー」と口元の膨らみをなくし、スッキリとした表情で炎を眺める幼馴染に葵は絶対このひとがやったと確信した。
実父の愚痴やらお兄さんの文句をよく漏らしていたが、ああ、ついに此処まで来たのか。
なんて恐ろしいのだろうか、引き合わされた時から知っていたが、間桐雁夜という男の子は生まれながらにして首輪やら鎖に繋がられるのが大嫌いな生粋の狼少年だった。
いつか何かやるのだろうな、と心の底で府に着くものがあったのだった。


「偶然ガソリンスタンドに補給する油積んでるタンク車が事故ってウチに突っ込んで起きた火事だし、しかもあとで、盗難車両ってことがわかるから誰も悪くないんだ」


いや、そんな楽しそうに言われても。

「いやそれはおかしいわ」

「しかも家には今年の冬に向けて、灯油をいっぱい保存してあったから、燃えまくるのもしょうがないんだよ」


ああ、内部からも途中から吹き出すように燃えたのはそのせいか。
今も水を必死にかけている消防士さんの活動をめいいっぱい邪魔するような行為。
火に油を最初から設置しているとは。


「いやぁうまく連鎖したわ、地下まで燃えたなこれ」

「……警察いったほうがいいんじゃないの雁夜くん?」

出頭の意味で、問いかけると

「さっき真っ先に今イギリスにいるトッキーには電話で話を付けてある、このあと警察や消防の捜査は入らない、仮にも魔術の家なんだ。あれだ、魔術秘匿だ、適当な火災理由を並べて新聞に載るさな」

「トッキーって……貴方、あれだけ嫌がられてるのにその渾名で呼ぶのね」

彼に始めて雁夜が出会った時に名づけた渾名だが、そう呼ばれると、あの彼の口元がヒクつくのが目に付いた。

馴れ馴れしいと雁夜はよく文句を言われるが、一向に変えない。
彼の実年齢を知ってからどことなく彼をおじさん扱いするし。

そんな彼を容赦なく電話一つでこき使うなんて、あいかわず最悪の男の子だ
彼は焦って飛行機で明日にも来日させられるだろう。

ああ、可哀想と葵は思った。

力関係を思えば、遠坂にとって間桐雁夜は取るに足らない若造だが、手には余る、根っからのチンピラだ。
魔術の家の次期当主としてそれなりに対等として雁夜を見ないといけない彼はチンピラ扱い出来ずにいつも困っている。

うん、と言いながら突然雁夜は煙草をズボンのポケットから取り出し、ライターで火をつけ、吸う。
野次馬のひとりが、何か嫌そうに彼をみる。

不謹慎すぎる。


「葵ちゃん、そろそろ帰ったら?」

そして突然言うのだ。


「え?」

「どうせ予測だとあと6時間は燃えるし、このまま明日の朝になるぜ?」

「そうね、なんかバカらしくなってきたわ」

この幼馴染のやることに目くじらをたててもしょうがない。

「そろそろ眠いだろ?」

「ええ、眠いわ、ところで雁夜くんは今日どうするの?」

これからどうするのか、家、燃えてるし。

「今日は知り合いの女の子のとこに泊まるわ、ていうか葵ちゃんち」

「私の家!?」

「―――今夜は寝かせねぇぜ?」

「厭よ」

この幼馴染を泊めるのは嫌だ。
不良とかチンピラとかそういうのが名前の前につく男の子だ。
葵の友達もこういう軽さに被害を合っていると言うし、危険だ。



「駄目か?」

人の肩に手をかけ、自分を抱き寄せ耳元に囁く雁夜。
ぞわり、とする。

「い、や!」

最初の頃は凄い怯えさせられたり混乱させられたがいつの間にか文句を言えるまで成長したのだ。
この男は気に入った女の子にちょっかいを掛けるのが大好きなのだ。

いい加減、なれる。

「そっ、ならしょうがないか、別の子んとこに泊まるか、あ、野次馬の中にいたわ、丁度良いわ、慰めてもらおっと」

「いい加減にしなさいよ雁夜くん!人のむむむむむむ胸!」

抱き寄せて自然に人の胸に手をやり、なんと大胆に人の胸を揉む馬鹿野郎。
思わず悲鳴をあげる。

野次馬の視線が「不謹慎」と訴えてくる。

「ごめん、つい揉んでた」

ほら、普通揉むだろ?と軽口。

じゃあ、バイバイサヨナラと

そう言って私から離れると野次馬の中に消えていく。



それを見て私は、はぁとため息をつく。

そしてああいう男の子はホント駄目だわ、などと思う。






その後、雁夜というまだ16の少年は名ばかりの間桐次期当主となった。
元当主は地下ごと燃えてしまったので、もう間桐は大部分の魔術を失った。
そして名ばかりの当主は兄と共に残された資産で毎日遊んでくらすことになる。

それに思うところがある、遠坂は魔術回路がある彼に魔術の道を用意することになった。
御三家の一つが潰えるのを防ぐために、できる限りのことをしたのだ。

それから時計塔で雁夜は学ぶことになったという。

折角、情けで2年間、魔術を教えてから入学までさせたのに、その少年は結局途中で時計塔を中退し、今では世界中をふらふらとし、写真などを撮っているそうである。

遠坂家当主の頭を抱え続けなければいけない問題となった。
それなりに才覚を出していたのに彼の期待は見事に裏切られた。

兄の方は間桐から開放されたおかげでアルコール依存症から抜け出し、真面目に働いているそうである。













おわり。







筆の回復超短編


妖怪は見事に燃えて死にました。
火葬場の火力以上の大火事で。


間桐雁夜、きーやんとかルネ山系ボイス。
第4次頃には最低限魔術の技術があるということなので、桜ちゃんを引き取らされる。

いい加減落ち着け、という意味での養子。


トッキーは出来の悪い息子を持った真面目な父親のような感じである。

聖杯戦争に参加せず、押し付けられた女の子と遊んで暮らす。
それでも街の平和を守るために、面白そうだと聖杯戦争参加者の邪魔を行うこととなる。
サーヴァントなしで。

よくわからないデザートイーグル捌きで、マスター陣狙い。



「貴様、よくも!」



「だからぁ、どうしたよ?器物損壊はいけねぇよ、迷惑なんだよ。
いい加減お前ら年食ってんだから、妄想はやめとけよ。

魔術とかああいう自慰行為。


ほらあれだ、ハイアットホテルの一階のケーキ屋のケーキとかウチの娘が結構好きだったんだ。
とかいう事情も無視だろ、ならお前らの事情も知らねえよ。

俺が思うに正義ってのは大多数の迷惑か少数の迷惑なんだよ。
俺は勿論少数派なんだ、ということで、お前ら凄い迷惑ちゅうことで、それをぶん殴る少数派迷惑の俺は正義じゃね?
それに――――手前らのオナニー見せ付けられるのはキモイんだよ。」

「主を離せ!」

「黙れよ幽霊、俺はこいつと話してんだ―――お、間違った」


「ぎゃああああああああああああああああああああ」


「すまんすまん、この銃引き金軽くてよ、つい引いちまった、で、誰がこんなアホなことしてるか俺に教えてくんね?」

「誰が貴様など―――ぎゃあああああ」


「主!?貴様あああああああああああああああああああ!」

「いや、動くなって、引き金もっと軽くなるぜ?で、其処にいる赤毛のねぇちゃん、こいつの代わりに教えてくれよ」




ケイネスさんは貧血で一時退場。





「私の存在そのものが生まれていきてはいけないと言うのか」


「真面目に生きていない奴のことを、オレは絶対認めねぇ、ほんと生まれて来なければ良かったんだよお前、でもまだ生きてる。なら、ここいらで死ねよ、そこのやつも」


「君可笑しいね、ほんと殺意が沸く、ここまで人を殺したいと思ったのは始めてだ」


「ああ、手前ら目が死んでる同士、手を組んでもいいぜ、ほらまとめてかかってこいよ」


神父&切嗣の共同戦線VS雁夜。




とかどうだろうか。


とは大体こんな感じ。




蛇足



休日の昼下がり。


「雁夜くん一週間ぶりね、うまくいってる?」

「やっぱ子供のせいか、デカイ肉の塊とか飲み下すの苦手なんだな。
この前、豚丼作ってやった時、ダメだしされた。
ちゅうか、お前んとこ普段、何食してんの?」

お前が作ってる料理のレシピ寄越せ、と最初に言う幼馴染に葵は微笑む。
あら結構良いお父さん、いや、良い婚約者をやっている。

間桐の魔術の延命の為に娘の桜は養子として出された。
最初にその決定には思わず、「無理!絶対桜、将来ぐれるわ」と叫びたくなったが、魔術の家の掟だ。
葵は逆らえる筈もない、だけれど、よくよく考えると、彼以上に桜を大事にしてくれる養子先もなかった。

でも、彼の血筋を残す為に送るといった、夫の決定に、少し疑問を覚える。
こんな男を桜の将来のお嫁さんにするとは……。


「お母さんのご飯がいい」

「だとさ、お姫様はやっぱり母ちゃんが恋しいんだよ、どうせ、間桐なんてのはあってないようなもんだし。
子供らしいイベントで今度お泊り会とかどうよ、菓子やら映画のビデオやら用意してやっからさ、それぐらいいんじゃね?」

「それは……」

「はっ、そういやもうすぐか、あの乱痴気騒ぎは……俺には関係ないけどな、そもそも参加する切符は俺には絶対現れないし」

雁夜は確信しているかのようにそう、言う。
この男は魔術師あらず、と夫に言われているように本当に魔術師の名誉など意に返さないだろう。

だけれど、彼には才能があった。
圧倒的な精神力、肉体の強さ、そして血と肉と暴力の耐性。
彼には期待はしていない、諦めたといっていい。
間桐の水ではなく、反対の炎の属性を持つこの男は古き血を重ねた間桐の最後でありながら、最も新しい間桐の才能を持つ。
夫曰く「100年に一人の才能」と嫉妬さえも込められた言葉を葵は覚えている。
炎の魔術の技術ならば夫の先を遥かに超えた才能。

たかだか二年でこの男は魔術を会得し、時計塔入学先で入学者内ですぐさま上位に食い込んだ、天才肌。

それでも雁夜らしく、結局「飽きた」といって中退。

夫はまるで、出来の悪い息子を持つかのように苦渋を感じざるおえないのだ。
異例と言っても良い、今回の養子。
名ばかりの間桐の当主。
それでも特殊な才能と特異な才能を持つ、桜と雁夜。
夫は結局魔術師らしく、二人の次代に大きな期待を寄せているのだ。

でも、無理でしょうね、葵は思う。
この男は結局のところ、一つのところで収まらないのだ。
魔術の家の子供らしくない、自由な気風、どこにでも飛んでいけるかのような、葵にとって憧れさえも抱かせた。

「お前んちも火事になるか?」

と問いかけられたとき、ちょっとは考えたりしたし。



男として興味は抱きたくない人物
抱けば

「誘ってんの?」

とその日の晩に貞操を食われかねないし。

でも桜にとって彼は良い父親になるだろう、結局もう一人の娘の凛の可能性は魔術師のみ。
桜はきっとこの男の下でのびのびと普通の少女として育てられるだろう。

それはなんて、不安のない夢なのだろうか。


ほれ、と背中に担いでいた桜を下ろし、母のところへ桜を向かわせる。

「お母さん」


「あら桜、元気でやってた?」

「おじさんのごはん、美味しくない」

「あらあら、しっかり食べないとダメよ?」



渡された桜は相変わらず変わっていない。
あら、でも、ちょっと髪を切ったみたいね。
髪の長さは変わらずともボリュームが減っている。
まるで凛のように髪が二つに結ばれている。

「貴方が切ったの?」

「ああ、髪か?ま、お客さんはおねえちゃんと同じ髪型をご所望でね、オマエの髪質じゃ無理じゃん、と言っても聞かねえ。
結構我が儘だぜ」


魔術師の娘の髪を容赦なく切るとは、相変わらず、適当ね、と思うが。

「我が儘を聞いて上げるくらいは良いお父さんをやっているのね、ああ、なんだか安心したわ、あなたって一生ふらふらしてそうだし」

「よせよ、それに俺に父親なんか向かないさ、精々出来て、友人だ、こっちは年食ってるからな、我が儘ぐらい聞いてあげてるだけだ。
なにせ、俺、イイ男だし、ふらふらしないと世の中のお姉様方が嫉妬するのさ」


「そう………ふふ」

「ま、まだこいつホントガキだし、暫くデカくなるまでは精々面倒見てやるさ」

そういって雁夜は桜の頭をわしゃわしゃと撫でる。
酷く強引ななで方に桜は不快だったのか嫌そうにその手を振り払おうとする。

「嫌い、おじさん嫌い」

「うっせ、そろそろ行くぜ、桜、今日はクリスマスの玩具買いに行くんだろ、今日はお兄さんがサンタさんだ」

「おじさんは本当に嫌い」

「未だに根に持ってんのか、サンタさんはいないって泣かしたの、ほれ、ごめんなさいしただろ、お詫びに好きなもん買ってやっから。
ケーキも好きなの選べ、ちゃんと年齢分ロウソク立ててやっからよ」

「雁夜くんそれ誕生日よ」

「あ、そうだっけ?じゃあな、凛ちゃんとトッキーによろしく」

「雁夜くん」

「何?」

「これから先こうやって桜を私や凛を合わせるのは無理になりそうよ」

「ああ、マジか、ホント、めんどいねそりゃ、お姫さんが夜泣きするだろ」

ホントそういう時期か、と雁夜は嫌そうに顔を歪める。
彼にとって魔術とは古臭い、と一言で断ち切るものにしか過ぎない。
じゃあなんで魔術を覚えたのか、と問うたことがあったが。

知らないより知っておいた方が有利なんだよこういうの。

と答えた男。

「泣いていないです」

「じゃあ、元気でね桜も、雁夜くんも……」

「あったかくなったらまた会えるだろ、じゃあ、そういことで、凛ちゃんにお年玉来年も送るから、楽しみにしとけ、っていって置いてくれ」

「毎年ありがとうね、雁夜くん、桜、じゃあ良いお年を」

「良いお年を、お母さん」

「ほらいい加減街行くぞ」


そう言って彼は桜にヘルメットをかぶせ、バイク、ツェンダップKS750型のサイドカーに桜をのせバイクにまたがる。

「相変わらす、それ乗ってるのね、バイクにしては燃費が悪いとかいってなかったけ?」

「ああ、燃費悪いけど、なんかこれ強そうだろ、てっことでこれ、俺はエコとかしらんし。
それにもう一台の方サイドカー取り付けられねえし、このエコとはほぼ遠いエゴバイクでしばらくは桜とお出かけだ、今度こそじゃあな」

そういって二人はバイクに乗って去っていく。
その途中二人の会話が聞こえる。

昼飯どうするよ。

そばがいい。

麺類かー、ん、寿司は?

そば

はいはい、寿司な。回らないやつ、お母さんに会うためのおめかししてんだし、派手にいこうぜ

そ ば!

金払うの俺だしぃ、決定権俺だよ、俺。てっことで寿司な、ああ、今日なんかマグロ食いたかったんだよな、俺根っからのクジラだし。
生もの嫌いでも、お前は卵とイクラとウニでも好きなだけ食べればいいじゃん、つうか寿司屋なら蕎麦あるぞ、普通。

ほんと?

お兄さん嘘つかないー。

嘘を信じる子供にサンタさんいないって教えてあげたし。

とか聞こえてきて、葵はくすりとする。


なんだ、案外お似合いかもしれない。

「でも教育に悪いわね……雁夜くん」


でも、ああ、本当に彼でよかった。







end










「お兄さん、超COOL………だ、ね、やっと見つかったオレの探してたもの」

「当たり前だ、で、チンカスみたいな手前はさっさと死ねよ、何自分のモツ弄って悦に入ってんのよ、マジきめぇ」

「はは、キメェ、の」

「ああ、きめぇ、てことで死ね」

パン、と間桐雁夜は龍之介の脳髄に弾丸をぶつける、デザートイーグルは容赦なく龍之介の頭を粉々にする。
空気を歪めるほどのデザートイーグルの発射、ハンドキャノンと呼ばれるそれは当たり前の威力を発揮していた。

間桐雁夜は単独で、キャスター陣を打倒した。
マスターとなる殺人鬼が食事を手に入れに行く僅かな隙。
常に傍にいるといっても、所詮は人と幽霊、人の生命維持活動を行わない幽霊とのコンビは結局のところ必ず隙がある。
キャスターの方はこの瞬間にもこちらに向かい、消滅する間まで、暴れるだろう。
雁夜は死んだ男を人気のない港まで死体をバイクで運んで海に放り投げる。

「あとは知らない、これじゃ、殺せねぇし」

ただの銃弾じゃ、キャスターといえども殺せないだろう。

俺一般人だしー参加者じゃないしーと言いながら煙草を吸いながら、哂う。
吐き出した煙は冬の夜空に溶けるように消えていった。


雁夜はバイクにまたがり姿を消す。
まるでこれから起こることから逃げるように、しかし、悪いと思わず堂々と。

「あとはウェイバーちゃんに期待するか」


雁夜はあの弄りがいのある少年を思い浮かべる。
此度の聖杯戦争で最も期待している少年。

勝つなら、アイツが一番マシな結果を出すだろう。

トッキー?

ああ、あれ、絶対負けるし。

なにせ

「どいつもこいつも目が死んだやつばっかりだしな、ぜってぇ録でもないな、ありゃあ、つうか二人も俺にポイント取られているヤツ等なんかどうせ無理だしな」

協会から呼び寄せられたバーサーカーのマスター

キャスターのマスター

その二つとも間桐雁夜が屠った。
何話は簡単だ。

サーヴァントの維持に魂食いを行なっていたカスと殺人鬼。

街に住まう市民としてのボランティアだ。
勿論ゴミはゴミ箱に、という庶民発想。
魔術を使わない、ただの市民としての警察行為。

証拠も残らないようにしている。

ウェイバーはそのことについて知っているが、あれはならしょうがないで済ませる、庶民らしさがある。
知り合いが死んだ、その復讐だ、とか言えば、その気持ちを思いやってくれる。
イスカンダルというヤマト世代の雁夜にとって何か微妙になる名前のサーヴァントもむしろ

「なんと豪気な、勇者よのう、雁夜よ、我が配下に加わんか」

とか雁夜の行為を褒めちぎるぐらいだ。

雁夜は聖杯戦争をやっていない、ただ、正当防衛での殺人を行っている。

「夜あぶねえよなホントこの街」

なら拳銃のひとつやふたつ、自衛で持つのならしょうがないだろう。
全部偶然出会ったキ○ガイをぶっ殺してるだけなのだ。


「ということで、精々頑張りな、めんどくせえキチ○イども」



港から離れた、ところでは大きな騒音が鳴り響く。

大怪獣決戦といったところか。




「ま知らん、かえって、ラーメンでも食うかな」

具もあるし。

と龍之介から奪った食料品が入ったスーパーの袋に入ったもので冬の夜に合う温まるラーメンでも作ることにする。

桜が起きていると私も私もと言うだろう。
一人食べたら、朝にはずるい、と膨れるだろう。

なら、もう寝ているだろう、桜をたたき起こして、二人で深夜の夜食とすることにする。


「んーとネギ、インスタントラーメン、あ、ウィンナーとツナある、これで煮込み風だな、ああ、腹減った」


聖杯戦争参加者に対する救済なく終わる。
勿論冬木は炎上するし、人は沢山死ぬ。

それでも桜は幸せになる。


将来腹グロにグレるけど。





ウェイバー協力ルートによる冬木市民救済ルート





ブロードウェイ・ブリッジでのアーチャーとライダーの最後の戦い、ブケファラスが刃に倒れた瞬間。


「ひゃほうっっと」

「何!?」

「加勢にきたぜ、イスカンダルとウェイバーちゃんよぉ!――――文句はねぇよなこの瞬間俺は手前らの最後のレギオンの一人ってことで」


「雁夜!?」

「カリヤ!?なんと無謀なことを!」



イスカンダルとウェイバーの最後の死闘に横槍を入れた男
イスカンダルが無謀にもアーチャーに突撃を繰り返そうとする瞬間、二人を攫うようにバイクに載せ一気に加速する。
そのバイクはセイバーが載っていたバイクよりも遥かに大きいモンスター・マシン。


「これ、3ケツだよな、事故るな、これ。ってことで、お前が運転しろライダーなんだろ?つうかお前、デカくてバランス崩れる」

「そりゃいいが………」

器用に運転をライダーに任せ、ちゃきり、と音を立てるデザート・イーグルを構え後部方向に向け発砲する。
ウェイバーはその弾丸に炎の魔術が宿っていることを見て、驚く。
こいつ、魔術師だったのか、と今の今まで気づかなかったと。


「はっお前らがなんかしんみりしてたからイラついただけだ、何諦めてんだよ、お前ら。
現実見ろよ、たかだがこの程度で単身突撃敢行とか、普通一時撤退するだろ?
お前、元々軍勢率いてた王様だろ、で、最後まで勝ち続けるんだろ?勝機を読もうぜ」

「なるほどなぁ、ま、そうだわな」

「何、納得してるんだライダー!?」



「雑種が、逃げられると思っているのか?」

突然の横槍に一時混乱させられ、顔に手榴弾をぶつけられ、宝具の発射を停止させられたギルガメッシュは冷静に、いや冷えた怒りを向ける。
その背後には

「おうおう、こりゃやべえな、一発でも喰らえばお釈迦だな、ま、食らってやる必要はねぇけど」

イスカンダルに発射した以上の宝具の山。


「何処に逃げるんだ、カリヤよ、あやつ逃す気ないぞ」

イスカンダルとしては突然の乱入に思うところがなかった訳ではないが。
最後の味方を名乗る男が現れたのだ。
突撃しても勝算はなかった、ここで諦めるのも勿体無いか、と思いこの敗走をしょうがないので受け入れる。

「簡単だ、アイツが追いかける気のなくす場所に逃げる」

「どこだよっそれ!?」

「ん、ココ」

そうして指を指すのブリッジの下。
そして遠目に見えるのは下水の穴。

泳げというのか、コイツ、この真冬に―――。


「あいつは、超必殺技使ったばっかりだ。ならMPも減ってんだろ?なら無駄な広範囲攻撃も何度もできねぇだろうよ」

そして


「おい、イスカンダル!飛べ!」

後ろから横に指を向ける雁夜。

「おいおい、大丈夫であろうな」

「知らん、運が良かったら、助かるだろ、つうか俺がこんなリスクおかしてまで助けに来たんだ、お前らも多少のリスクを受け入れろよ」

「カリヤ、何故ここまで」

「簡単だ、俺はいつだって最後に勝ちを狙う、お前ら以外の勝利は冬木の一市民として嫌な予感がするんだよ、だから助けるだけだ」

「世のため人のために、か、ならばこの征服王、最初に征服し、何れ我が民となる冬木の民の為―――最後まで戦い抜こうぞ!」

ライダーがバイクを曲げ一気に橋のガードレールに突っ込んでいく。
そのガードレールを魔力が篭った弾丸で破壊され、障害物を失い一気に空へと飛び出す。

「うわあああああああああああ!」

「ははっ面白いぞ!此度の戦は!」

ライダーはウェイバーを抱きかかえたまま落下していく。
雁夜は最後までアーチャーに向け発砲したまま落下する。

「真冬の川にダイビングだ、精々風邪ひくなよ?取り敢えず、隠れながら下水溝に入れ、なんとかなんだろ」

「なんとかなるのか―――いやカリヤおぬしがなんとかするのか!?」

落下中の三人に対する宝具の掃射をこの間桐雁夜はなんと、魔術による銃の弾丸で、逸らすなどいう、魔技を当たり前かのように行っている。
音速の弾丸と音速の宝具がぶつかる。

こやつ、ほんと人間なのか、と思わせる神業の連発にイスカンダルさえ驚愕する。


「なんでそんなことできんだよおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

「できるからやってんだろ?ありゃ矢なんだから何かに当てれば、止まったりするだろ、物理的な話だ、ちょっとはくるもんくるし、痛えけど」

余波により、体から血を流しながら、笑いながら、それでも死なない程度に彼等は傷を負っていく。
聖杯の奇跡よりも奇跡のような男だ、とイスカンダルは思いながら、これから先のことを考える。


宝具も全て破壊され、ほぼ死に体の現状。

なんとなく、この男の手を借りればなんとかなる気さえもした。

そして、三人は冬の川に落下した。



「やっぱ3ケツは事故るな」


「無様だな雑種」

「いっとけ―――あとでわかるさ」

どっちが無様か、な。







最終戦








「このままだといかんぞ!聖杯から泥が吹き出る!止まらん」

「折角セイバーもアーチャーも共倒れさせたのにこれか、やっべぇな――――まぁなんとかするか、サーヴァントは無理だけどコレならなんとかなるか―――」







アセトアミノフェン アルガトロバン アレビアチン エビリファイ クラビット クラリシッド グルコバイ
ザイロリック ジェイゾロフト セフゾン テオドール テガフール テグレトール
デパス デパケン トレドミン ニューロタン ノルバスク
レンドルミン リピトール リウマトレック エリテマトーデス
ファルマナント ヘパタイティス パルマナリー ファイブロシス オートイミューン ディズィーズ
アクワイアド インミューノー デフィシエンスィー シンドローム



固有結界【悪性腫瘍・自滅因子】

「固有結界!?」

「ま、そういうこと、俺の炎ってのは結局、自滅、身を滅ぼす意味での燃焼なんだよなぁ――おらよっ燃え尽きろ!」


泥がただ、燃えていく、身を食い合うように、ただ、ただ燃える。
それはまるで泥が引きこもるように、周囲に一切の余波を残さず。

その固有結界の効果は本人でさえよくわかっていない。

使えると知っていたから使った。

そもそも、この泥に有効かどうかも知らない。

ただ、己の魔術回路が消えていくのが分かる。

一生これから先、魔術は使えなくなるだろう、と確信するが

雁夜は気にしない。

どうせ、普段使わないし。

なら、別になくてもいいだろ、こんなもん、と哂う。

これで少しの気休めになるんなら全部持っていけ。


「まとめて、レスト・イン・ピースだ」



「そうは――させんぞ!間桐!」

「聖杯は……渡さない!」



「ちぃ―――お前らまだ生きてたのかよ、いい加減死ねよ!?ウェイバー!しょうがねぇ、お前が泥をなんとかしろ!」

「なんとかしろって!?」

「簡単な話だ、ありゃ破滅しかないんだろ、なら願え―――穏便にぶっ潰れろってな、俺はこいつらをなんとかする」


「カリヤ…余はどうする?」

「王様は勿論後ろでずっしりと構えるフルバックだ―――ウェイバーを守れ、大丈夫だ、俺も、ウェイバーも運が最高にイイんだ、お互い死にはしねぇ結果に落ち着くさ」


「ああ構わんが、間桐雁夜、死ぬなよ、余は是非ともお前と肩を並べ酒宴を饗したいのだ、そもそも何故おぬしほどの豪傑が聖杯に選ばれなかったのか不思議だ」

「そりゃあ、あんなクソ溜めなんか願い下げだからな―――良い男の俺にあんなモノ必要ねぇんだよな、これが」

「ふむ、そうか、ならば彼奴等には負けんだろうな、おぬしならば」

「ああ、俺は負けない」







結末。

冬木は守られた、泥は泥のみお互いを焼き尽くし、まるで泥の量の重油が燃える程度の被害で収まった。



「間桐雁夜……」

「……」

「お前ら仲いいのな、二人共生き残るとか、で、どうするよ、もう聖杯はねぇぜ、まだやるか?」



「聖杯は…いや、いい……アイリは死んだ…無駄死にさせてしまった。僕は―――」

「いい年してポエミィすんなよ――うぜぇよ、自分語りとかマジうぜぇ、俺はオマエのことなんか最後まで知らねぇよ」

そう言って切嗣を殴り飛ばす。
弱っていた切嗣は気絶する。
聖鞘の加護で死んではいない。

「我々にとってこの結末は予想外だ、このような――――「しぶといんだよボケ」がはぁっ」

言峰の方も雁夜に蹴り飛ばされ、気絶する。


「ああ、すっきりした、で、まぁ、なぁなぁで終わって良かったなホント、俺のおかげだな、ウェイバー。アレ下手したら冬木なくなったりするやつだったろ?」

「ああ、そうだけど――――なんかライダーが真っ黒になってるんだけど」

ウェイバーを守り泥を浴びたライダー。
それを見て。

「泥浴びたのか―――で?」

「受肉はしたがいいが、まるで二日酔いだ……気持ち悪いぞこれは…ぐぐぐぐ」

まるで信号機のようにイスカンダルは黒くなったり元に戻ったりを繰り返している。

「何か大丈夫じゃね、アレ浴びてそれなら、大丈夫だろ、慣れれば―――さて帰るか、取り敢えず、牛丼屋にでも行って、腹膨らませるぞ」

「あのさ雁夜、あの固有結界で、泥が燃え尽きたけれど、あれはなんだったんだ」

「知らん、つうか始めて使ったし、そして一生使えないしな、いいだろなんとかなったし、それはそれだよ」

「一生?」

「魔術が使えなくなった、しかしなぁ、なんで折角ハリウッド張りに活躍したのに。
ヒロインのひとりもいないんだ、ああつまんねぇ。
冬木のお姉様全員からキスの嵐とかあってもいいだろ、なぁ、おいウェイバー。」


「いや別にいらないけど……そういえば、そもそも雁夜は何がしたかったんだ?」


魔術が一生使えなくなった、と軽く言い放つ男に呆れながら、そもそも
自分たちに手を貸した理由を聞く。


「そりゃ、あれだよ――――今回は俺が主人公っしょ?
なら戦いがあるなら俺が勝たねぇとダメだろ
いつだってヒーローやんねえとな、男なら。」

それは正義の味方という意味ではなく。


最後まで間桐雁夜らしく、かっこよく決めるという意味だ。

彼的には人間として、ただ災害に立ち向かっただけに過ぎない。
彼ができる一番マシに収まる結果を作っただけ、

その過程で

ケイネス、ソラウのランサー組は結局、裏切られながら死んだ。

アイリスフィールは消えた。

衛宮切嗣の願いは叶わなかった、これから先はイリヤを助けようとするが出来ずに終わり。
災害も起きなかったので衛宮士郎を引き取らず、結局一人孤独に救いを求め続け、死ぬ。

言峰綺礼は数日後、あえなく、泥を浴びなかったので数日後負傷が元に亡くなる。

遠坂のトッキーはちなみに後ろから刺されてとっくに死んでいる。


最初から生き残る運命にあったウェイバーだけが生き残る。

多少のオマケで葵は助かり、イスカンダルが残った程度の展開だ。




やなことが起きるなら、そりゃ防ぐだろ、平和な市民生活の為に、といった軽いノリ。

そんなノリで聖杯戦争参加者の願いを彼は踏みにじった。


彼は結局いつだって大多数の「人間」なのだ。
「魔術師」という少数を容赦なく切り捨てた、というよりも関知しなかった。




「なんだよそれ――」

「ぐぎぎぎ、それよりもおぬしら余を心配しろっ……」

「取り敢えず、やっぱ桜が心配してるから、牛丼買って俺んちで食おうぜ」







フィナーレ。









「何処をほっつき歩いてたの、おじさん、馬鹿なの?私を一人置いて出かけるとか、誰がご飯作ると思ってるの?――カップ麺、飽きた」

「ああメシ作るの俺だな―――すまんちょっくら、世界平和活動してた」

「ああ、テロですね―――後ろの人たちは何?おじさんの恋人?ガチムチ系とスリム系のダブルコンボ?」

「んなわけねぇだろ、ほら牛丼、たべるか?」

「また夜食―――。雁夜さんのせいで私、将来牛になります、責任とってください」

「それは十年経ってからだな。あと、オマエの育ち具合だ」

「えっち―――じゃあいっぱい食べます」


「精々くえよ沢山、待ってやるからさ」

「ねぇ」

「ん?」



「おかえりなさい、雁夜さん」


「おう、ただいま、桜」





どっとはらい



超やっつけ仕事ですんません、これ以上は無理。






















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