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No.8722の一覧
[0] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ (魔法少女リリカルなのは×コードギアス) 前書き 【完結】[一兵卒](2013/06/25 23:40)
[1] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第1話[一兵卒](2010/01/05 13:29)
[2] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第2話[一兵卒](2010/01/05 13:55)
[3] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第3話[一兵卒](2010/01/06 17:31)
[4] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第4話[一兵卒](2009/05/23 20:21)
[5] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第5話[一兵卒](2009/10/11 00:19)
[6] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第6話[一兵卒](2009/10/11 00:19)
[7] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第7話[一兵卒](2009/10/11 00:19)
[8] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第8話 (第一部完結)[一兵卒](2009/05/23 20:20)
[9] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第9話 (第二部)[一兵卒](2009/05/29 22:08)
[10] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第10話[一兵卒](2009/06/01 23:44)
[11] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第11話[一兵卒](2009/06/03 22:01)
[12] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第12話[一兵卒](2009/06/06 22:23)
[13] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第13話[一兵卒](2009/06/09 22:48)
[14] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第14話[一兵卒](2009/06/11 22:23)
[15] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第15話[一兵卒](2009/06/14 21:27)
[16] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第16話 (第二部完結)[一兵卒](2009/06/16 22:41)
[17] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第17話 (第三部)[一兵卒](2009/06/21 21:54)
[18] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第18話[一兵卒](2009/06/24 21:22)
[19] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第19話[一兵卒](2009/06/27 22:07)
[20] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第20話[一兵卒](2009/06/30 23:37)
[21] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第21話[一兵卒](2009/07/02 22:28)
[22] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第22話[一兵卒](2009/07/04 22:15)
[23] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 第23話[一兵卒](2009/07/06 22:23)
[24] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 最終話[一兵卒](2009/07/11 01:57)
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[8722] 魔法少女リリカルなのは ロストメモリーズ 最終話
Name: 一兵卒◆86bee364 ID:e2f64ede 前を表示する
Date: 2009/07/11 01:57








 天空要塞ダモクレスに光が走り…、絶対防壁がまるでガラスのように割れていく。


 ヴォルケンリッターであるシグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラたちは、壊れゆくダモクレスから、姿を見せた自分達の主を見つけ、助けにと向かっていた。
 ティアナ、スバル、ノーヴェは、その崩れ行くダモクレスを見ながら、自分達の戦いがいよいよ終わりなのだという気持ちと…いまだ帰らない、なのはと、フェイトたちを待っていた。



 瓦礫の中、壁を貫き、絶対防壁を貫いた2人の高町なのはの強力なスターライトブレイカー……、2人が先ほどまで戦っていた、ダモクレス要塞内の、様子は一変してしまっている。そして、そこに2人の姿はない。







 人は、様々な仮面を持っている。
 そして、その仮面は、時に人を怒らせ、悲しませる。
 だが、それは…マイナスだけには働かない。
 仮面を被ることで、様々な人間と協調し、そして…未来を作り出す事ができる。


 高町なのはは、別の高町なのはと出会うこととなった。


 それは、同じ者同士でありながら仮面が異なったが故…争うこととなった。
 根元は同じであっても、様々な少しの変化によって、そこに無数の仮面が存在することとなる。それは時に、傷つけあうことにもなるが、結果的には無数の可能性をそこに作り出すこともまた可能なのだ。





 ルルーシュは、揺れるダモクレスの庭園の中で…ナナリーを見つめていた。


「……未来は、誰かに決められるものではない、自分たちの中で作り出されるものだ。だから……」













最終話 ロストメモリーズ












「……お兄様は、自分が行なったことを、自分で否定なさる気ですか?」


 ナナリーは、ルルーシュに詰め寄る。

 自分がやろうとしていることは、ルルーシュ…お兄様がやられたことと同じだ。ならば、それを否定することは、自分の行いを否定することとなる。ナナリーは、そこまで考えて、お兄様に、逃げ道をなくした。


「覚悟を決めることだな、どちらにしろ……時間はない」


 ネモは、震動を感じ取りながら…このダモクレス自体がもう長くは持たないことを悟った。この難攻不落のダモクレスを、破壊してしまうとは……恐るべきは、高町なのはだといえる。


「ナナリー、お前がやろうとしていること、それはお前がやるべき役目じゃない」

「……お兄様がやるというのですか?また、そうして、私の前から……再び、姿を消すというのですか?」


 ナナリーは口調を強くして告げる。
 今までとは違う感情的なものだ。
 ルルーシュはナナリーを見つめる。


「……様々な世界、私は見つめてきました。お兄様とスザクさんが協力して世界を作り出す世界、私やお兄様が一昔前の侍のような姿をしていた世界もありました。ですが、それらの世界はすべて……最終的には、お兄様が私の前から姿を消してしまうものでした」


 ナナリーはうつむきながらつぶやく。
 彼女は車椅子に座ったまま、スカートを強く握り締めるた。


「ナナリーという存在は、いかなる世界においても、お兄様を失い、孤独を強いられていました……私は、お兄様を英雄などには求めません。ただ……いつものように傍にいて欲しかった」

「……ナナリー」


 涙を流すナナリーの前…ルルーシュは思わず言葉が漏れてしまう。


「お兄様がどうして、こうなってしまったのか、お兄様が自分の目の前からいなくなってしまう理由は何か。私は考えました。そして、それはすべての世界に統一された答えでした。そう、私……ナナリーが原因なんです」


 ルルーシュがブリタニアに反旗を翻したかった理由。

 それは確かに、最愛のナナリーの居場所を取り戻すためであった。
 そのために、ブリタニアに反旗を翻し、仮面を被り…戦いを起こした。
 そのことに嘘、偽りはない……。


「私が、弱く…何も出来ないからこそ、お兄様に迷惑をかけ、結果的に私は大切なものを失ってしまう。私が無力だからこそ……これは私に架せられた十字架のようなもの……。たった一つの世界、お兄様がいる世界が欲しかったんです。ただの兄と妹というだけで十分でした」

「……それが、お前の本心か、ナナリー」


 C.C.はナナリーを見つめながらつぶやく。

 彼女がこうなってしまったのは紛れもないネモの存在が故だろう。ネモが彼女に様々な世界を見せなければこうはならなかったはずだ。彼女にその意識があろうがなかろうが、ナナリーがこう動いてしまった原因は彼女にある。


「ネモ、お前にも責任があるのはわかっているんだろうな?」

「……だとしたらなんだ?魔王C.C.、今更時計は止められない。私はナナリーの魔女として、彼女の願望をかなえていったに過ぎない」

「…それが結果的にこうなることがわかっていたとしてもか」

「……ならば、お前もルルーシュがこうなることを止めることもできたはずだ。ようは、私達は力を与えるものに過ぎない。それを行使するのは、その人間の意志に委ねられる」


 ネモは、ナナリーを見つめながら告げた。
 ネモはナナリーの影響を強く受けている。
 彼女の意志を純粋に具現化することとなるだろう。


「フ、フハハハハハハハハ」


 ルルーシュは、そんな会話を聞きながら高々に笑う。

 ネモはそんなルルーシュを見て気でもふれたかという哀れみの視線を送るが、ナナリーとC.C.はルルーシュが何か考え付いたのだろうと踏み、見定めようとしている。

「ナナリー……世界は、お前のような少女で騙すことができるほど頭は悪くはない。そして、お前のことを知るものも限られている。別世界の八神はやてや、高町なのはぐらいだろう」

「それは、私達が作り出した映像を流すことで……」

「ナナリー、お前は優しすぎる。それでは、とてもじゃないが多くの人間の恐怖、そして排除の対象にはなりえないだろう」

「……そうやって、またお兄様は自分が犠牲となり、世界を導こうというのですか」


 ナナリーの目が赤く輝く。

 それは、ナナリーのギアスである未来線を読むギアス。千里眼に近いものである。ネモは、それを微笑みながら見つめ、ルルーシュを睨む。C.C.はネモのやっていることが、ナナリーとルルーシュを追い詰めていることに繋がっていることに、腹が立つ。


「それが、結果的にナナリー…お前の行いを起こさせたというのなら……」


 ルルーシュはネモから渡された剣を握り締めて、ナナリーにと向ける。

 ナナリーは、未来線のギアスを用いて、ルルーシュの行動の先を知ると、握っていたスカートから手を離した。










「……はぁ、はぁ、はぁ……」


 別世界のなのはは、自分に覆いかぶさっていた瓦礫をどかして、体から流れていく血と汗を感じながら、飛びそうな意識で、なんとか立ち上がる。なんとも無様な姿だ。膝がいうことを聞かない、壁にもたれるようにして立っているが精一杯だ。


「わ、私は勝ったの……勝った、そう、私は、あの子を打ち倒した!」


 別世界の高町なのはは、周りを見渡しながら、大きく声を上げた。自分は生きている。あの弱く優しいだけの偽善者を打ち倒した。そんなものは倒されてしかるべきなのだ。そう、必要なのは、自分のような悪を倒すために徹底的に戦い、邪魔なものは排除する心。


「……勝手に、……殺さないでよね」

「!?」


 その声のほうを見る別世界のなのは。
 自分の全力全開のスターライトブレイカーを受けて……立っている。
 そんなこと今までどんな奴だっていなかったのに…フェイトちゃんだってそうだった。どうして…。


「言ったでしょ?全部受け止めるって……」

「……どうして、どうして、あなたは立っていられるの!!」


 なのははボロボロになりながら、レイジングハートを杖代わりにしながら歩いてくる。彼女は足を引きずり、傷ついた腕でレイジングハートを掴んで近づいてくる。別世界のなのはは、怯えた。あの子は…あの自分は、自分が捨てたものを持っている、それを再び見せられ、そしてその力を知ってしまったら……また自分は弱くなってしまう。また失う恐怖と戦わなくてはいけなくなる。


「こないで!こないで!!」


 怯える別世界のなのはは、逃げようにも体が動けない。
 なのはは、そんなもう1人の自分に近寄り、レイジングハートの杖を離すと、そのまま別世界の高町なのはに倒れるようにして抱きついた。


「あなたの憎しみは全部吐き出せた?」


 なのはは、体の痛みを感じながら両手で優しく、もう1人の自分自身の背中に手を回す。肩に頭を乗せて、小さな声で訴えかける。


「失う恐怖は誰にでもある。でも、だからこそ……大切にできるんじゃないかな?それは人も、そして心だって同じ。自分の今の気持ちは、記憶は未来永劫あるわけじゃない。霞んでやがて消えてしまう不確かなもの。だから、この記憶や気持ちは…大切なんだよ」

「……うぅ、う……う……うわぁああああああああ」


 別世界の高町なのはは、大声で叫んだ。
 それは…自分がヴィヴィオを失ったときに流しきれなかった哀しみであった。

 なのはは、そんな彼女を包みながら、自分もまた涙を流す。


「なのは……」

「……」


 二人を探しにきたフェイトたちは、そこでなのはたちを見つけた。

 そこで、二人が抱き合っている姿を見て、ようやく戦いが終わりを告げたことをフェイトたちは感じた。後はルルーシュたちが、はやてにギアスを与えたものを取り押さえれば、戦争は終わる。





『戦場に集う、すべてのものたちよ!』




 ダモクレスから聞こえた声…それはゼロのものであった。

 ヴォルケンリッターたちに助け出されたはやてたちは、そこから聞こえてくる声に、目を向ける。確か…あの場所には、ナナリーがいたはずである。それが、この声であるということは……。


「……ナナリーを倒した」


 フェイトたちに抱えられながら、ダモクレスから離脱するなのはたち。
 ダモクレスから離れいく中で、なのはたちは、そこにいるであろうルルーシュの身を案じる。


『すべての元凶であり、戦いを駆り立てたナナリー・ヴィ・ブリタニアは私が倒した』


「なのはさん、フェイトさん……」

 待っていたスバルやティアナたちは、無事に戻ってきた二人と再び出会えた喜びとともに、敵として追撃をしてしまったことに対する、後ろめたさもあった。だが、そんなティアナに対して、なのはは、ティアナの頭を撫でながら

「……私がいない間、ありがとう」

「なのは…さん」

 ティアナは思わず涙ぐむ、フェイトは、そんなティアナの背後にいるスバルと視線を合わせて、彼女やノーヴェたちにも感謝の気持ちを示す。ティアナひとりだけでは到底ここまではこれなかっただろう。スバルやノーヴェの力もあったからここまでこれたのだ。


『これで様々な世界に介入し、混乱に招きいれた聖エデンバイタル帝国は崩壊したこととなる。我々は、ここで新たな段階にとはいっていかなくてはいけない』


 ダモクレスから聞こえるゼロの言葉が続く中…。はやては、ヴォルケンリッターと久し振りの対面を果たしていた。

「主、よくご無事で…」
「ごめんな……ちょっといろいろあってな」

 はやては、それを見つめる別世界のはやてを見て彼女の手を引いて自分の隣にと連れてくる。


「……こいつは、私や。彼女は、取り返しのつかないことをしてきた。だから、その業は八神はやてが受けないといけない。私はその半分の罪を受けようと思う」

「はやて、それは出来ない……うちの罪はうちの罪。あんたには関係のないこと。それに……私の手はもう血で汚れている。今更」

「あなたが……はやてであるならば、間違いを犯したとき、それに対して、修正し、やり直そうとするはずですし、それが可能である方だとおもっています」


 罪の重さ、そして庇おうとするものは必要ないという気持ちでいた別世界のはやてに対して、ザフィーラが話す。はやては、その言葉に笑顔で別世界のはやてを見つめる。


「……人間は間違いを犯すものや。あんたの行なったことは決して許されへんことやけど、でも、諦めたらそこで終わりやし、私たちに会いたくなったらいつでも言ってくれればいい。約束は必ず守るからな」

「……自分に言うのも、変やけど……ありがとな」


 別世界のはやては、少し声を震わせながらそこにいる自分とヴォルケンリッターたちに告げる。ヴォルケンリッターたちは、別世界のはやてに対して、冷たくは決してあたらず、優しく受け入れていた。




『それは、この世界を新たに創りかえること!!』




 ゼロの言葉に、あんまり聞いていなかったティアナたちが振り返る。
 ダモクレスから聞こえてくる声はその口調を強めた。


『このような戦いが二度と起きないためにも、新たな組織編制が必要だ。それは強力的な軍事力を持ち、さらには、強力な指導者が必要……、それにはこの私、ゼロが適任であろうと考える』


「る、ルルーシュ……」

 フェイトは、その突然のルルーシュの言葉に頭がついていけない。何を喋っているのだろうか。折角戦いが終えたというのに、再び…世界を混乱に陥れるつもりだというのか。


『今、私の下には、フレイアがまだ数十発残っている。たとえ絶対防壁が破れたとしても、この一帯を、この星を破滅させることぐらいは容易く行なえる。フフ…ゼロが命じる、私に従え!』


「……やっぱり、あの男は最初から私達を利用して」


 ティアナは、苛立ちながら言葉を荒げる。

 フェイトには信じられなかった、ここまでやってきて…それがすべて演技だとは到底思えない。これは何かの間違いであると…。そんなフェイトの前にと出る、高町なのは。


 傷だらけの中、彼女はレイジングハートをダモクレスに向けて構える。


「なのは!」

「……私は、約束をした、もし、ゼロが私達を裏切るような真似をしたときは捕まえるって……」

「でも、なのはちゃん…その身体じゃ!ここは私が」


 はやてが、攻撃をしようとするが、なのはは振り返り厳しい表情ではやてを見る。はやては、そんななのはを見つめ、呪文の詠唱を止める。なのはは、約束をしたのだ。そして、彼を止められなかった自分の責任でもある。


「……だから、私が終わらせる」


 なのはの下、魔法陣が浮かび上がる中……その目標をダモクレスにと定める。
 片手が使えない中では、照準がぶれる。
 意識が遠のきそうになり、視界が霞む
 それでもやらなくてはいけない……。


「……なのはは、魔力を高めることだけ集中して」

「そやな、私達がフォローするで」


 なのはの握るレイジングハートを掴み、しっかりと標準を定めるようにするフェイト。

 そして、はやてもまた魔力を高めながら、レイジングハートに魔力を送り込む。
 なのはは、2人の大切な仲間の存在に、心強く感じながら、ダモクレスにいるであろうルルーシュを、目を赤く輝かし…ギアスで心を感じ取る。









 なのははギアスを集中し…ダモクレスにと向ける。

 なのはのギアスがダモクレスの庭園にて、立っているルルーシュを捕らえる。

 崩れ落ちる瓦礫の中、ゼロの仮面を被ったまま…その手にはナナリーが握っていたダモクレスの発射装置が握られている。



「……逆らうか、高町なのは。お前にはこの世界だけではない、この混乱によりもたらされたすべての人間を救うことができるのか?」


 ルルーシュの言葉になのはは、頷く。


「……ならば止めてみるが良い。この俺を倒し、世の人々に英知を授けてみせろ!」

「それは私だけでできることじゃない、みんなで作り出していくことで始めてできることだから。私はそれを知っている」


 ルルーシュの心にと告げるなのはの握るレイジングハートに十分な魔力が集まる。

 体が振り回されそうになりながらも、フェイトがなのはの身体をしっかりと後からカバーをしているので、なんとか立っていられる。


「なのは、今だよ!撃って!」


 フェイトの言葉……だが、なのはは撃てないでいた。

 なのはには時空管理局時代の元の記憶がある一方で、記憶を失っていたときの記憶も併せ持っている。だから、ルルーシュと供に過ごしたときに記憶もなのはは持っていた。ルルーシュが、こんなことを本当にするのか……。あのカレーを振る舞い、自分に優しくしてくれた彼が……。


「なのは!」

「なのはちゃん!!」


 フェイトとはやてが声をかける中、なのはは迷っていた。
 踏ん切りがつかない……。


「……ふ、それではこの世界を守ることなど出来ないな、高町なのは……。俺は魔王だぞ、お前の友人を利用し、戦いに巻き込んだ存在、それをまだ信じるというのか?」


 ダモクレスから射出される弾頭。

 それは、フレイアである。

 それはまっすぐこちらにと向ってくる。なのはは、それを見つめ、レイジングハートを握る手に力が篭る。


「……撃て、なのは!」


 ルルーシュの声が聞こえた。
 なのはは、それと同時に大きく口を開ける。




「ディバイン、バスタァーーーーーーーーー!!!」




 なのはは、周りから聞こえる声を感じ取り、その巨大な光を放つ。
 それは、フレイアの弾頭を貫通し、そしてダモクレスにと命中する。

 爆音とともに、ダモクレスは空中にて爆発を起こし、空中から地上にと落下していく。轟音とともに、崩れていく天空の城……それはすべての憎悪の対象が消えていくことを意味していた。












「やったね、なのは……」

「あぁ、終わりや、これで……全部な」

「……ルルーシュ」


 なのはは、そのまま前のめりに倒れる、それをフェイトとはやてが支える。なのはにはもう何の力も残っていない。激戦を繰り広げてきたなのはは、もう限界を超えていた。そんななのはたちにと近づく影。


「なのはママ?フェイトママ?」

「…ヴィヴィオ!?」


 フェイトとなのはが視線を向ける中、その愛らしい表情をしたヴィヴィオが二人の下にと駆け寄る。死んだと思っていたものが目の前にこうしている。それは、この戦いの中で最後に取り戻すことができたかけがえのないものなのかもしれない。

ヴィヴィオを連れてきたのは、C.C.と紅月カレンであった。2人を見つめる、八神はやて。

「……そうか、そういうことか」

 はやては、2人を見て何かを悟ったのか、大きく溜息をつく。

「これからはお前達の出番だ、破壊することは簡単だが、作り出していくことは難しい。お前達が、しっかりしなければ…やがて魔王ゼロは蘇り、この世界を破壊するだろう」

 C.C.ははやてだけではなく、周りのものたちを見ながら、告げる。

 警鐘…。

 魔王ゼロは、今後も様々な世界の悪魔として言い伝えられるだろう。だが、それでかまわない。それこそが…世界がひとつとなり、平和にと導かれるための必要な犠牲であるのだから。


「…カレン!」


 ティアナが前にと出て、カレンの下にと立つ。

 カレンは、ティアナに対して、寂しげに笑う。ティアナは、そんなカレンに対して、強く抱きついた。突然のことに驚いたカレンだが、すぐに、安堵した表情で、ティアナを優しく抱く。ティアナにとって、酷い事を言ってしまった謝意の気持ちがそこにはあった。


「ごめんね……私」

「いいの。あなたはよくやった……。フェイト、あなたもね」


 カレンがティアナを包みながら、意識を失ったなのはを介抱するフェイトを見つめてつぶやく。フェイトもまた、カレンのほうを見てにっこりと笑顔でカレンを見つめる。

「ヴィヴィオ、何持ってるんだ?」

 ヴィータが意識を失ったなのはを心配そうに見つめているヴィヴィオに対して、彼女が握っているものを不思議に思い問いかける。ヴィヴィオは持っていたものを、なのはの手にと乗せる。

「折鶴。願い事が…かなうんだって!」

 ヴィヴィオは、そういうと、再びなのはを見つめて心配そうな表情で眺めている。フェイトは、彼女が自分の身体を削りここまできたことを強く感じていた。だから、今はゆっくり休ませてあげよう。それが…今の彼女には必要なことだから。



 青空もまた、夕日の光に照らされ始めていた。

 この空だけを見ていると、まるで何事もなかったように思うことができる。















 一ヵ月後……。




 時空管理局は改めて正式に復活を果たすこととなった。その色は、いまだ軍隊面と警察機構というどっちつかずの構造ではあるものの、今は被害にあったさまざまな世界に対しての復旧活動を行なうことに終止している。様々な世界を恐怖にと陥れた魔王ゼロは、行方不明として、その行方は捜索中となっている。

 ティアナ・ランスターは時空管理局の管理官にと推薦されたが、彼女はそれを断り、スバルやノーヴェとともに、再び、このようなことが起きないように独立した機動部隊の設立を行なうこととなる。

 紅月カレンとC.C.はティアナたちにお礼を告げると、そのまま彼女達の本来の世界にと戻っていった。ティアナとフェイトはカレンと再び会えることを約束することとなる。カレンはとてもうれしそうにしながら、その2人の言葉を聞いていた。

 八神はやては、ヴォルケンリッターとともに、事件の責任をとるとして、特別捜査官として、逮捕された別世界の八神はやてや、高町なのは・フェイトとともに、彼女たちがいた別世界の調査と、そして彼女たちの保護を買って出ることとなる。ティアナは、自分の権限(時空管理局の再興を果たした権力)を用いて、それを認めさせた。

 フェイト・T・ハラオウンは、管理局に休職願いをだすこととなる。その理由は、なのはの看病である。別世界の高町なのはとの戦いにより、酷使して来た身体が、強くダメージを受けてしまい、暫くの間は入院することが決まり、フェイトは彼女が勝手に動かないよう、そして…彼女に束の間の休息をとってもらうためにも、一緒にいるためだ。



「……ヴィヴィオは?」

「キャロたちと遊んでるよ」


 なのはは、フェイトをみて苦笑いを浮かべながら
 

「私も、ヴィヴィオにこんなかっこ悪いところをいつまでも見せてられないな」

「…今は、ヴィヴィオはいないよ?」

「え?」

「今は……ヴィヴィオの母親ではなく、私の大切な友人として、何も考えずに休んでいて?」

「……ありがとう、フェイトちゃん」


 2人はお互いを見つめて微笑みあう。

 今回の戦いは様々なものを生み出し、そして壊していった。

 幾多の世界がこの世界にはあることを存在を知ったことで、それは様々な世界に影響を与えることになるだろう。それは何を生み出すのか?やはり破壊なのだろうか…いや、そんなことはない。それは必ずしも不幸ではないはずだ。自分たちはそれを見つけていかなくてはいけない……多くの犠牲の中にようやく手に入れた平和のために……











「それ!」

 太陽の日差しが強い中、病院の庭園にて、ボール遊びをしていたヴィヴィオたち…。
エリオの投げたボールはヴィヴィオの頭の上を飛んでいく。

「あ~~!!」

「ダメだよ、きちんとヴィヴィオの身長考えて投げないと…」

 エリオにキャロは、注意をしてヴィヴィオがボールをとりに行くのを見つめる。ヴィヴィオはボールが転がっていくのを追いながら、そのボールが車椅子にあたり止って顔をあげる。

 車椅子を掴んでいた青年が、ボールを拾い、ヴィヴィオにと手渡す。

 ヴィヴィオは、笑顔で車椅子の少女と、そして青年に笑顔でお礼を言うと、再びエリオたちのほうにと走っていく。それを眺める青年と少女は、微笑みながら…病院の建物の間を車椅子を押して歩きだす。



 青空が見える中、2人は全てを忘れ、そして、1番最初の姿にと戻る。
 それは、ただの……。
















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