爺の口車に乗ってしまい、急遽俺の故郷に行くことになった一行。日本の秋の京都をイメージしたかのようなイズナの”黄泉平坂”とは違い、爺が用意した”ゲート”はハロウィンパーティーで浮かれるヨーロッパの田舎町の一角を具現化したようだ。すれ違う異形の仮装に扮した連中は一体残らず異種か、それに準ずる人外だろう。イズナの時、奴は「おいの友達だで」と言っていたので、こいつら全員爺の知り合いと見て間違い無い。物珍しがってチョロチョロ動き回ろうとするガキ共を引きずりながら俺は先頭を進む。やがて、あからさまに出口らしき光が見えてくる。一旦立ち止まり、全員がちゃんと居るか確認してから踏み込んだ。此処まで来て今更躊躇などしない。眩い光に包まれて思わず瞼を閉じ、次に眼を開けるとそこは森の中だった。むせ返る程の濃い緑の匂いによって脳裏に浮かび上がらせた記憶は、一体のハーフギアの少女との邂逅。「此処は、悪魔の棲む地? ……野郎、よりによってこんな所に飛ばしやがって……!!」懐かしさよりも先に怒りが湧き上がってくる。これまで胸の中で悶々としていた帰郷への念とかが一瞬にして台無しになる。偶然か故意か。十中八九後者だと思われるので、今度面を見たらあの爺はとりあえず一発殴っておくと心に誓う。「「何怒ってんのよアンタ」」アルフとアリサが見事にハモった。「そうだよ。折角帰ってきたんだからもっと喜ばないの?」なのはを筆頭に皆が俺の顔を覗き込んでくる。俺同様にしかめっ面をしているアインを除いて。「帰ってきたはいいが場所がな……厄介なんだよ、此処は」「ああ、此処は奴が来る前に一刻も早く立ち去った方が良い。奴がソルと顔を合わせでもしたら面倒なこと極まりない」俺の記憶を持っているだけあって、アインは俺の心情と訳をよく理解している。だが、他の面子は何のことか知らないので頭に?を浮かべるしかない。シグナムが一歩前に進み出て疑問を口にした。「奴? 奴とは誰だ? その者がソルと顔を合わせると面倒になるとはどういうことだ?」「話すと長い。とにかく此処を出てから説明――」「立ち去るがいい、薄汚い人間共。此処は貴様らが穢していい場所ではない」「……ちっ、もう来やがった」俺の言葉を遮った奴の声に舌打ちをして、背後を振り返った。空間に縦一文字に亀裂が入り、その亀裂から黒衣を纏った一人の長身の男が現れる。年齢はだいたい二十歳前後。黒い長い髪。森の侵入者には敵意しか映さない真紅の眼。テスタメント。俺と同じ人型ギアであり、何度も殺し合った仲。誰よりも俺を嫌い、憎み、心の底から殺したいと思っている人物。爺のような神出鬼没ぶりを発揮したことに対しては誰も驚かなかったが、いきなり向けられた敵意に皆は戸惑っている様子だ。一番面を拝みたくなかった奴の面を帰ってきて早々見ることになってしまったことにうんざりしつつ、俺は顔の向きを微妙に奴から外して真正面から見ないように、見られないような位置取りをさり気無く行う。「えっと、その、僕達は――」「人間の言葉など聞く耳持たん。早々に失せるがいい」ユーノの声を一蹴し、冷たい視線で俺達を睥睨するテスタメント。(まだバレてない、か?)今の俺はヘッドギアもしていなければ、バリアジャケットも展開していない。ヘッドギアをしていないおかげで髪型は勿論、格好もこの世界に居た時とは全く別物だ。上手くいけばこのままやり過ごせるかもしれない。「野郎の言う通りだ。此処に用は無ぇ、行くぜ」まだ状況の把握がイマイチ出来ていない皆を促し、直接「失せろ」と言われて微妙に不機嫌な表情をしているユーノを肩を叩く。奴に背を向け、一歩踏み出したその時。「待て、貴様のその声、聞いたことがある……忘れもしない。思い出す度に心の奥底で燻っていた憎悪が捌け口を求めて荒れ狂うこの感覚を何度体験したことか……」(……そう上手くはいかねぇか)内心で溜息を吐いていると、敵意に加えて殺意と嫌悪が奴から滲み出てくる。最早誤魔化しは効かんと判断し、俺は皆の前に出て正面から視線を合わせた。「ソル……やはり貴様か、背徳の炎」「……」「空間操作系の法力を感じたと思って駆けつけてみれば貴様の仕業とはな……どういうつもりで此処に来た? ことと次第によっては生かして帰さんぞ」「テメェに教える義理は無ぇ」俺の後ろではアインが皆に事情説明を行っているらしく、皆が円陣を作ってコソコソと話しているのが聞こえる。それを一瞥してから再びテスタメントに向き直った俺に対して、奴は意外そうな顔をする。純粋に疑問に思ったらしい。「ほう……一匹狼の貴様が人間を、しかも女子どもを引き連れているなど初めて見る光景だ。ギアとその生みの親を殺すことにしか興味が無かった貴様が、一体どういう心境の変化だ?」「しつけぇ野郎だ、教える義理は無ぇっつってんだよ……それとも灰になりてぇか」クイーンを起動させ、炎を足元から発生させながら聖騎士団の制服を模したバリアジャケットを纏い、左手に封炎剣を召喚し握った。「殺るというのか? ……私は貴様を屠ることをようやく諦めたというのに……まあいい、今度こそ貴様を血の海に沈めてくれる」暗い残虐な笑みを張り付かせると、手の平から血を吹き出させ、赤い液体が瞬く間に形を成し巨大な鎌となる。お互いに全身から殺意と魔力を迸らせながら戦闘態勢に入る。濃厚な殺気が空気を飽和し場を緊張が支配した。「貴様を思うと心が渇く……消えて無くなれ!!」「マンネリな野郎だな、テメェもっ!?」身構えたテスタメントに向かって突撃しようとした足に何かが絡まり、俺は盛大に前のめりにすっ転びそうになって慌てて両手を地面に着ける。「帰郷した途端に殺し合いを始めようとはどういう了見だ、ソル」四つん這いの状態で首だけ巡らせると、何時の間にかアインがバリアジャケットを展開し、翼と尻尾を顕現させた状態で腰に手を当て俺の背後に仁王立ちしていた。足首に絡まっているのはこいつの尻尾だと判明する。「何しやがる、離せ!!」「誰が離すかこのアンポンタン。私達だけならともかく、今はツヴァイとエリオ、アリサにすずかが居るんだぞ? 四人の眼の前でギア同士の血みどろの戦いをするつもりか?」「……」指摘されて四人のことを思い出しそちらに眼を向けると、俺とテスタメントから放たれた殺気に当てられて普通に怯えていた。む、少し大人気無かったかもしれん。「それに奴もすっかり毒気を抜かれてしまったようだしな」「あ?」顎でアインがテスタメントを見るように示すので奴に向き直ると、構えた鎌をそのままに口を半開きにして鳩が豆鉄砲食らったみたいな表情で呆けている。「同胞殺しの貴様が”仲間”を引き連れ、おまけにその女に尻に敷かれているだと……? 背徳の炎ともあろう男が?」「おいテメェ、誰が尻に敷かれてるって?」「お、こんな所に良い座布団が」声と共に腰に人一人分の重さが圧し掛かった。これでは文字通り尻に敷かれてしまっているではないか。「アイン、テメェ降り――」「今だ、皆載れ」抗議の声を上げようとして、次々と身体に圧し掛かる重量が増えていく。全身に掛かる六人分の体重。はやてなんて俺の頭の上に座りやがった。そんな俺の無様な姿を見て、テスタメントは鎌を放り捨て目尻に涙を浮かべ腹を抱えて笑い出す。「クハハハハッ!! 滑稽だな、背徳の炎。数多のギアを屠ってきた貴様が女子どもに手も足も出ないとは、傑作ではないか!!」すっかり闘争の空気ではなくなってしまった。背徳の炎と魔法少女 超特別番外編 帰郷編 Assault「私は気分が良い。今回は貴様の無様な姿に免じて見逃してやる、早々に失せろ……次は殺す」そう言い残して奴が森の奥へと姿を消してから、俺達は飛行魔法を駆使して悪魔の棲む地を後にした。ちなみに、アリサとエリオは狼形態のアルフの背に、すずかとツヴァイは同じく狼形態のザフィーラの上に乗ってである。「しかし、”こちら”に来ていきなり殺し合いが始まりそうになるとは思っていなかったぞ」「そうねぇ、びっくりしたわ」シグナムとシャマルが呆れ気味に視線を向けてきたが無視した。「ソルとテスタメントにとっては挨拶のようなものだ」「殺し合いが挨拶って、それどんな関係なんだよ?」アインの言葉を受けてヴィータが半眼で口にした疑問は皆が思っていたらしく、どういうことか問い詰める視線を感じたがこれも無視する。「互いの命を狙う敵対関係だ。ソルにとってテスタメントは殺すべきギア、テスタメントにとってソルは同じギアでありながら同胞を殺す裏切り者。二人にとってはそれ以上でも以下でもない」「……随分血生臭い人間関係ね」「同じギアなのに」背後のアリサとすずかの悲痛な声。「仕方の無いことだ。聖戦時代、プロトタイプであるソルを除いた全てのギアはジャスティスの支配下にあった。二人が敵対関係になるのは必然だった。ジャスティスが死んで十年以上経つが、半世紀以上殺し合い続けた因縁が消える訳では無い」説明が終わると、一同を重くて暗い沈黙が包み込んでしまう。(……連れてくるべきじゃなかったか?)俺の故郷はこいつらにとってはかなりヘヴィな場所だというのは初めから分かっていたが、来て早々テスタメントと対面するとまで予想だにしていなかった。これは大きな誤算だ。この世界に居る限り、どうしてもギアや聖戦の話が出てきてしまう。知らなくてもいい惨い話を聞く破目になる。そういったものに直面した時、否が応でもこういう空気になることが分かってはいたのに、俺は馬鹿か。「イリュリアに向かうぞ」空気を切り替えるように声を出し空中で静止して、俺は転送魔法を発動させながら振り返る。「イリュリアって確か、お兄ちゃんの友達が王様やってる国だっけ?」「ああ、こうやって当ても無く飛んでるよりはいい。それにイリュリアならさっきみてぇな物騒なことにはならねぇだろ……たぶん」首を傾げるなのはに首肯して、俺達はイリュリア連王国に飛んだ。「さて、あの雷バカ親子はどうしてる?」赤い光と円環魔法陣が皆を包み込む中、あいつらの顔を脳裏に過ぎらせると今更になって懐かしさが込み上げてきて、口は自然に独り言を呟いていた。イリュリア連王国。総面積は世界第二位。世界で最も豊かで治安が良く、文句無しに人類が一番繁栄している国。聖戦に終止符を打った”英雄”が治める国でもある。国の騎士団――王属騎士団――のほとんどが聖戦時代に聖騎士団に所属していた猛者の集まりであり、それを束ねる連王もまた聖騎士団に所属しその団長を務めていた。「元聖騎士団団長、元国際警察機構長官、そして現在はこのイリュリア連王国を治める国王、その男の名はカイ=キスク。聖戦時代のソルの戦友、と言うと語弊があるな。当時のソル曰く『役立たずの小僧』『足手纏いの坊や』か」アインの説明を聞いている面子は、「ほう……?」とか「おお……ん?」とか感嘆と疑問符を上げている。王宮から少し離れた城下町の一角に転移してきた俺達は、ゆっくりと街の風景を眺めながら歩いていた。「容姿端麗、品行方正。仕事、対人関係、モラル、その全てにおいて実直で真面目一辺倒な性格で、正義をこよなく愛し、弱きを助ける姿勢はまさに人間の模範を絵に描いたような人物だ」皆にカイの人物像を説明するアイン。「傍若無人、傲岸不遜、唯我独尊を地で行くソルとは全く逆だね」とユーノ。「ふふ、お兄ちゃんの口癖って『面倒臭ぇ』だもんね」「だから仲悪かったの?」なのはが小さく笑い、フェイトが問い掛けてくるが俺は肩を竦めるだけで特にそれ以外に反応するつもりはない。「全ての属性の法力を使いこなし剣の腕前も幼少の頃から天才的で、弱冠十六歳にして国連から正式に”神器・封雷剣”を授かり、聖騎士団の団長として就任した」「……ほう」シグナムの眼が獲物を捉えた獣の眼つきなる。同じ剣士として、騎士として刺激されるものがあったらしい。「人望も実力も備えている完璧超人ではあったのだが、自分勝手な性格で命令無視を平気な顔でするソルとは折り合いが非常に、非常に悪く、よくカイからソルに喧嘩を売っては返り討ちにされていた」「あー、なんか分かる。PT事件の時にクロノといがみ合ってたのと似たようなものだね」「クロノくん、毎日ボコボコにされてたよ」ユーノが上げた例になのはが同意を示し、他の皆もなんとなくその光景が想像出来たようで納得顔になって頷いた。「ちなみに、カイと違ってソルは聖騎士団を脱退する際に封炎剣を持ち逃げした」背中に非難するような視線がいくつも突き刺さる。「更に言えば、その時に封炎剣を持ち去られまいと止めに入ったカイをタコ殴りにしている。普通に強盗だな」「よくお尋ね者にならなかったな、オメー」ヴィータが呆れ返る。「その後も再会する度にカイと衝突を繰り返すが、ソル自身はカイのことを鬱陶しいとしか思っていない。圧倒的な実力差を見せつけて叩き潰すか、適当に相手してわざと負けて逃げるかのどちらかで碌に会話らしい会話もしようとしない」「……ソルくん、いくらなんでも盗人猛々しい、というかカイって人のこと馬鹿にし過ぎやろ」ジト眼のはやてに俺は反論する。「別にいいんだよ。神器の元になった”対ギア兵器・アウトレイジ”を作ったのは俺なんだから」「父様、それ屁理屈ですぅ」「ツヴァイの言う通りですよ。それって父さんが材料を作って提供したから完成品を寄越せって言ってるようなもんじゃないですか」ツヴァイとエリオの突っ込みが地味に耳に痛い。「しかもカイさんに対する態度の釈明じゃないよ」「アンタただのチンピラじゃない」「そう言えばPT事件の時もリンディさん達のこと脅迫してたね、アンタ……」すずかとアリサと人間形態に戻ったアルフがうるさい。「そう言うな。この男は確かにチンピラまがい賞金稼ぎだが、人知れず世界を数回は救っている」「なんかそういう風に聞くと、チンピラへの見方が変わるわ」俺への見方はどうなるのか些か気になるところだが、藪蛇になるのも嫌なので気にしないことにする。「まあ、形は違うけどアタシら皆ソルに救われてるからね。チンピラも悪くないんじゃない? ソルがチンピラみたいなのって今に始まったことじゃないし」纏めるようにアルフが言うが、全然纏まってない。その時、後ろから肩を優しく叩かれたので振り返ると、今までザフィーラと共に黙っていたシャマルが聖母のような笑みを浮かべているではないか。「安心してください。ソルくんがどんなにヤクザなチンピラでも私は貴方を絶対に見捨てないですから」なんかムカついた。王宮の門の前にまで辿り着いて、あることに気付く。門番が俺を覚えていればすんなり入れるだろうが、あれから五年以上経過している。元聖騎士団員であれば俺が誰か分かるかもしれないが、そうではない場合は強引に押し通すしかないか。つーか、基本的に元聖騎士団員はどいつもこいつもカイの側近だ。門番なんてやってる訳が無いか。「面倒臭ぇな」少し離れた場所で皆に此処で待つように言うと、門の前に立つ。俺の接近に気付いた二人の門番は当然のように手にした槍を交差させ、行く手を阻むと威嚇するように聞いてきた。「何者だ? 此処から先はイリュリア連王国国王が住まう王宮であるぞ。用が無いのならば立ち去れ」「カイを出せ」「なっ!? 無礼であるぞ!! 陛下を呼び捨てにするとは――」「あんな坊やなんざ呼び捨てで十分だ」「ぼ、ぼ、ぼ、坊やだと!! 無礼にも程があるぞ貴様ぁぁぁぁぁ!!!」「テメェら下っ端じゃ話にならねぇ、さっさと王宮に引っ込んでカイの坊やを呼んで来い」「貴様のような得体の知れない輩の前に国王陛下をお出しする訳があるか!! 身の程を弁えろ!!!」「身の程を弁えるのはテメェらの方だ。とっとと言われた通り野郎を呼んで来りゃぁいいんだよ」「……おのれ、陛下の命を狙う賊が!!」「応援を呼べ!!! この賊を必ず引っ捕らえろ!!!」門番がプンスカ怒り出すと、門の奥の方からワラワラワラワラ王属騎士達が集まってきた。「やっぱりこうなったか」どうやら新兵らしい。集まってきた連中も俺の顔を見て特にこれと言って変わったリアクションを示さない辺り、俺を知る者は居ないと見て間違い無い。『……何をしているんだお前は』信じられないという口調のアインの念話が頭の中で響く。『交渉に失敗した』『あれの何処が交渉だ。ネゴシエーターが見たら酷過ぎて発狂するぞ』『お兄ちゃんのバカ……あからさまに喧嘩を売ってるようにしか見えなかったよ』『オメーわざとだろ。何がさっきみたいな物騒なことにはならないだ、思いっきりなってんじゃねーか!!』アインとなのはとヴィータの非難の声。『私はこうなるんじゃないかなって薄々感じてたんだ』『フェイトちゃんも? 私もやで』『まあ、ソル一人を行かせたこと自体が間違いなんじゃない?』『右に同じ』すっかり達観しているフェイトとはやて、分かっていたと言わんばかりのユーノとアルフ。念話を聞きながら、襲い掛かってきた騎士の内の一人に喧嘩キックをかまして吹っ飛ばす。『む、どんどん騎士達の数が増えていくぞ。加勢しよう』一人楽しそうなシグナムは念話の後に走ってくると俺の後ろを守るように位置取りする。「加減しろ、怪我させないようにな。勿論魔法は使うなよ」「ああ」背中合わせで拳を作るシグナムに一応分かっていると思うが忠告しておく。『もう、シグナムったら』それに苦笑するシャマル。チラッと見ると、アリサが暴れようとしているのをすずかが必死に羽交い絞めにして押さえ込んでいた。俺に向かって何か喚いているようだったが、生憎聞こえない。とりあえずアリサとすずかは気にしないことにし、剣を振りかざしてきた騎士を殴り倒す。『お前は行く先々でトラブルを起こさないと気が済まないのか?』『そんなつもりは一切無ぇ。面倒事はご免だぜ』『本気でそう思っているからお前は本当に質が悪い。その面倒事を嫌う性格が面倒事を生み出す原因に……言っても無駄か』うんざりするような溜息と共にザフィーラが念話を送ってくる。『父様の世界って殺伐としてるですぅ』『世界が殺伐としてると言うよりも、父さんの人間関係が殺伐としてるだけのような気が……』割と核心を突いているツヴァイとエリオの声を聞き流しながら、眼の前の騎士に飛び膝蹴りをお見舞いした。ま、こうして騒ぎを起こせば自然と偉い奴が出張ってくるだろう。それまでの間、坊やの部下達で遊んでやるか。「ん? 何やら正門の方が騒がしいようですが、何かあったのでしょうか?」「聞いて驚け連王。平和なこのご時勢にテロリストだとの報告だ。なんでも連王の命を狙っているらしい。実に愚かなことだ」「テロリスト? それは放って置けませんね、私の命を狙っているというのなら尚更。行きましょう、ドクター」「こんな真昼間にわざわざ正門から突っ込んでくるような阿呆だ。すぐに鎮圧されると思うが、執務仕事の息抜きにその阿呆の顔を見てみるのもまた一興だな」数分後、彼らは思わぬ人物と再会することになる。後書きギッ○ルの生息数が多くて盛大に吹いた作者です。皆さんアンケートにお答えいただきありがとうございます!!予定ではアインVSテスタメントになる筈だったのですが、登場人物の性格をよく見直した上で吟味してみると無理に戦闘に移行しなくてもいいような気がしたので、戦闘は無しの方向で。ソルはチンピラです。GG世界の住人って著しく常識とかモラルとか欠如してる連中が八割以上を占めているので、即戦闘に移行するような危険極まりない世界です。暇潰しに戦う、挨拶代わりに戦う、そんな世界なのでリリなの世界と比べると遥かに物騒wwwちなみに、イリュリア連王国の王属騎士団をその目で確かめたい人は、ニコニコ動画で「サーヴァント紹介」と検索してみましょう。カイとシンのサーヴァントが王属騎士団です。次回はアホの子が出るよ!!!