クソがぁぁ………事実を語っただけだってのに、何故濡れ鼠にされなきゃならん。内心で悪態を吐きながら、今俺は八神家の風呂を借り、湯船に肩まで浸かっていた。湯飲みの中身をぶち撒けられ、ずぶ濡れになった俺は我が家の家事を担うアルフに『服にシミが付いたらどうするんだい。洗ってあげるからその間に風呂入ってな』と有無を言わせぬ勢いで服を剥ぎ取られた。いきなり何しやがる、お前も中身入った湯飲み投げてきただろうが、と反論を試みたが『じゃあアンタが自分で洗濯する?』と聞かれたので大人しく降伏した。はやても謝ってくるとアルフの言う通りにした方がいい、洗濯機とお風呂なら好きに使ってくれと許可。皆の眼の前でいきなり上半身裸にされた俺は、渋々八神家の風呂を借りることにした。リビングを退室する時、誰かの生唾を飲む音が聞こえたような気がしたが、きっと空耳だ。そうだと信じたい。湯船に水を張り、法力で水を温め、髪と身体を洗い、全身を洗い流して現在に至る。ドア一枚隔てた向こうではアルフが洗濯機を回している音が聞こえてきた。「説明の続きはユーノに引き継がせておいたよ」「そうか」洗濯機が回る音をBGMにアルフの声。リビングの居る連中に話を進めておくように言ったらしい。「アタシはしばらく此処に居るよ。湿っぽい話は好きじゃないし、ただでさえフェイトと精神リンクしてるからどうも涙脆くてね」グレアムのことを話した時のはやての反応を想像したのだろう。泣くのが嫌なのか脱衣所から出て行こうとしない。俺は特に何も言わず、好きにすればいいと思った。やがて洗濯機が止まり、アルフが出て行く。それを見計らって風呂を出ると、濡れた身体と髪と服を法力で乾かす。風呂上りに髪を結うのは主義じゃないので、長くて鬱陶しいがそのままにしておく。パリッっと乾いた服を着て脱衣所を出てリビングに向かうと、皆に囲まれる形ではやてが涙を堪えていた。グレアムの部分を話し終えたようだ。無理もない。信じていた人間から裏切られるというのは、下手をすれば人間不信に陥る程にショッキングな出来事だ。俺も経験があるからはやての気持ちは痛い程理解出来る。アルフは結局泣いていた。ティッシュで顔を覆うように鼻をかんでいる。俺の存在に気付いた全員が一斉に視線を向けてきたので黙っている訳にもいかず、かと言って何を言えばいいのか分からなかったので、「あ………」困った俺は何時もなのはとフェイトにそうするように、はやての頭を無言で撫でることにした。はやてはそれを拒絶することなく、俺にされるがままの状態で声も無く泣いた。背徳の炎と魔法少女A`s vol.18 カウントダウン開始その後、落ち着きを取り戻したはやてに全てを話し終えた。「よう分かった。皆が私の為に頑張ってくれてるんやったら、私も夜天の魔導書の主として協力する。いや、しなアカン」これで管理者権限の問題はクリアーされた。ちなみに俺の手はまだはやての頭の上に置いてあった。魔力供給という名目もあるのだが、はやてがいたく気に入ってしまったらしく離そうにも離せない。俺の後ろで、いいな~いいな~後で私も~、というオーラを漂わせるなのはとフェイトの視線がさっきからずーっと突き刺さってる。「ところで問題の夜天の魔導書は何処にあるん?」疑問の声を上げるはやて。「そういえばあの後ソルは書をどうしたんだ?」当然の如くザフィーラが俺に聞いてきた。「………知らん」「「はあ!?」」現場に一緒に居たシグナムとザフィーラが非難の声に近いものを出す。書の侵食を無理やり止めて、遠くに蹴り飛ばした後は猫姉妹と戦闘。で、戦闘不能になった猫姉妹を簀巻きにしてすぐに地球に戻ってきたので、「砂の中に埋もれてると思う」あのまま放置してある。「大丈夫ですよ。書は呼べば飛んできますから」誰もが俺を呆れたようにジト眼で睨む中、シャマルがもうしょうがないですねとフォローした。「守護者シャマルが命じます。闇の書もとい夜天の魔導書よ、この手に」手を掲げ、シャマルが書を召喚―――「………」「………」「………」「………」「………」「………」「………」「………」「………」「………」………しようとして何も起きなかった。「あ、あれ? しゅ、守護者シャマルが命じます。闇の書もとい夜天の魔導書よ、この手に」もう一回トライ。………………………………………………………………………………………しかし何も起こらなかった。「………守護者シャマルが命じます。闇の書よ、この手に」若干内容を変更して三度目の正直。………………………………………………………………………………………依然として何も起こらなかった。「守護者シャマルが命じます! 夜天の魔導書よ、この手に!!」少し怒った風にテイク4。………………………………………………………………………………………だが効果は無いようだ。「う、ぐす、しゅ、しゅごしゃしゃまるが―――」「もういいからやめろって」眼に涙を溜め始めたシャマルが罰ゲームをひたすらやらされ続ける子どもに見えてきて、居た堪れなくなったので掲げられたその手を掴んで止める。うわ~ん来てくれません~、と胸に飛び込んできたシャマルを「オーヨシヨシ(棒読み)」と頭を撫でて背中をさすって慰める。「普段は呼んだら来るんだろ?」腕の中でシクシク泣いているシャマルに問うと、コクコク頷いた。………書に何かあったと考えるべきか。「今まで放置されてたから拗ねてんじゃね?」「おいおい、なのはとフェイトじゃねぇんだし勘弁してくれよ」「「それどういう意味!?」」ヴィータの言葉に呆れていると、なのはとフェイトが後ろから髪をぐいぐい引っ張ってくる。「でも、あの子にも感情とかあるんよ」「こいつらみたいにか?」「うん。本の形しとるから分かり辛いけど、私はなんとなくどう思っとるかとか分かるから。結構散歩好きで飛び回ったりするんよ」はやての言葉を信じると、つまりは書自体に意思があるってことか。ていうか本が一人でに飛ぶとか、傍から見たらポルターガイストだな。「それは管制人格のことです」シグナムがはやての言葉に応えるように口を開く。「元々書には、我々四人の他にもう一人。書を統括する管制人格が存在します」「そんなん初耳やで!?」驚くはやてにシグナムが頭を下げた。「申し訳ありません。もう一人の存在は我々四人と異なり、書の蒐集が四百ページを越えないと起動することが出来ない為、蒐集を望まない主がその者のことで気に病まないようにと今まで黙っていました」「………そうなんか」「それと、主の承認が要りますので」「けどよ、もう蒐集も五百ページ越えたしはやても事情知ってるんだからそいつの起動出来んじゃね?」口を挟んだヴィータの言葉に「おお、そうやね。冴えてるで、ヴィータ」とはやてが頷いた。「では、とにかく書を取りに行かねばなりませんので………ソルが」あ、やっぱり?「移動はしてねぇだろうな?」「………大丈夫です。さっきの砂漠の世界にまだあるみたいです」いつの間にか泣き止んでいたシャマルがクイーンを弄りながら言う。「ちっ、面倒臭ぇ。ユーノ、ザフィーラ、付いて来い」「え? 僕?」「………承知した」ユーノに転送魔法の準備をさせると、野郎三人は八神家から姿を消した。再びやってきた砂の大地。相変わらず強烈な太陽がジリジリと肌を焼く。ああ、折角さっき風呂入ったってのに。余計な汗をかく羽目になるとは。「こっちだ」狼形態のザフィーラに導かれるまま進む。しばらくしてザフィーラが止まり、その場を落ち着かない風に歩き回った後、前足で砂を掻き掘り始める。「あったぞ」一分も経たずに古ぼけたハードカバーが発掘された。「ユーノが持ってくれ」「どうして?」「本に噛み付かれるのはもう嫌だ」「あ、なるほど」レアスキルの所為で右腕切断なんてことになったんだ。一度蒐集した相手は二度も蒐集出来ないとはいえ、迂闊に触りたくない。「あれ?」その時、ユーノが書についた砂を払いながら訝しげな声を出した。「どうした?」「これさ、封印されてない?」「何?」「ああン?」俺とザフィーラはユーノの言葉を聞いて、頭に?を浮かべた。「確かにこれ、封印されてます。内側から」「内側から? 内側からってことは、管制人格とかいう奴が自分で自分を封印してんのか?」「………たぶん、そういうことになるんじゃないかなぁ。封印術式はベルカ式だし………でも、どうしてそんなことを」手にした書を不思議そうに眺めるシャマル。八神家に帰ってきてすぐさま書がおかしいことを皆に伝え、一番書に詳しそうなシャマルにどういうことか聞いてみたのだ。しかし、返ってきた答えは管制人格は自分を表に出てこれないように自身を封印しているらしいこと。この状態ではただの本も同然で、魔力の蒐集も出来なければヴォルケンリッターの声にも応えず、試しにはやてに「封印解除やぁぁぁっ!!!」ってやらせてみせたが管理者権限も意味が無いらしい。おまけにこの状態では解析すら出来ない。「何故急にこんな状態になってるんだ?」シグナムがこの場に居る全員の気持ちを代弁する。「今までにこういう状態になったことは無いのか?」ヴォルケンリッターは全員首を横に振った。「ちっ、仕方が無ぇ。とりあえずテーブルの上に置け」「えっと、どうするの?」「ディスペルする」封印自体はそれ程難しい術式を施されている訳では無い。この程度ならすぐに強制解除出来る。「ディスペルってなんや?」「お兄ちゃんの魔法の用語でキャンセルとか無効化、解除って意味だよ」「これを使えば、魔法の付加効果を打ち消せるんだ」魔法に関してあまり詳しくないはやての疑問になのはとフェイトが答えていた。それを視界に収めつつ、俺はディスペルしようとして、「待ってっ!!」急にはやてが大声を出したので、驚いて動きを止めた。「どうした?」「あ! いや」自分でも何故俺を止めたのか分かっていないのか、慌てたように首をブンブン振る。「その、私もよく分からんけど、封印してある理由があると思うんよ」「で?」「だから………うんと、なんていうか、その封印を解いたらアカン気がする」「かと言って、封印を解かない限り解析は出来んぞ」「………上手く言えんけど、嫌な予感がする」「じゃ、どうすんだよこれ?」ったく、嫌な予感って何だよ………現状での最優先事項は書の解析。そして改悪された部分の修正。それをしなければはやての病は治らない。足はずっとこのままだ。俺としてははやての意見を突っぱねてこのままディスペルしたいのだが、はやての言う通り封印されている理由があるのかもしれない。しばしの間黙考していると、ヴォルケンリッター四人と視線が絡んだので、どうする? と聞いてみた。すると、やはり俺と同様にどうすべきか悩んでいるようだが、はやての言うことは一理あるので最終的には主の意見を尊重するとのこと。「お前も自分で言っていただろう。詳しい情報が来るまで下手な手出しはしたくないと」「まあな」シグナムが腕を組みながら言うので、肯定する。この場合、逆に時間的な余裕が出来たと思っ方がいいのだろうか?何故書が自分自身を封印するような真似をしたのか理解出来ないので、イマイチ釈然としない。今更だと思うのは俺だけか?「ていうか、書が封印されてる状態なのにお前らは活動するのに何か支障とかは無いのか?」「ん? 特に無いぞ」俺の疑問に、シグナムは実にあっさりと答える。「………無いならいいが」元科学者としてなんか納得いかない。管制人格が自身に施した封印は、四人のヴォルケンリッターには関係が無い部分なのか、それとも全く異なった要素があるからシグナム達の活動に支障が無いのか分からない。やれやれと溜息を吐くと、書の解析は後回しにしてデバイスの修理と改造を優先することにした。そろそろ時間も遅くなってきたので帰ることにする。結局、封印を解かないと解析出来ない以上、書は何か変化があるまで八神家に安置することになった。ガキ共を引き連れて玄関へ。また明日な、と手を振り、八神家の面々に見送られて家路につこうとしたところ、ガシッと背後から両肩を掴まれた。とても面倒臭そうな予感がビシバシしたのだが、掴んでいる人物は余程強い力を込めているのか、なかなか前に進ませてくれない。うんざりしながら振り返る。遊園地を眼の前にした子どもが早くジェットコースターに乗りたいな、と心躍らせている表情を彷彿させるようなシグナムの笑顔だった。「何だよ?」「少し私に付き合え。十分でいい」「だが断る」「聞かん」「っておい!」羽交い絞めにされると、そのままズリズリ引き摺られる。「お兄ちゃんをどうするつもりですか!?」「しばらくソルを借りるぞ」「………もう好きにしろよ」「そんな!? ソルぅ~」ぎゃーぎゃー喚くなのはとフェイトに纏わり付かれながら、服越しに伝わる背中の柔らかな感触にシグナムってでかいなと下衆なことに考えを巡らせ連行されるのであった。で、着いた場所は八神家の庭。さっき別れたばかりなのにこいつらは何しに戻ってきたんだろう、というシグナムを除いた八神家の視線が痛い。「封炎剣の使い方を教えてくれ」ウキウキと嬉しそうな顔をして封炎剣を掲げるシグナムが凄くどうでもいいことを言ってきた。手っ取り早く終わらせる為に口を開く。「魔力を込めてみろ」「うむ」言われた通りに封炎剣に魔力を込め、剣全体に紫色の光―――シグナムの魔力光―――が宿り輝く。「次にその魔力をお前の魔力変換資質で炎に変えてみろ」「はっ!!」気合と共に魔力が炎に変換され、紫の炎が刀身に纏う。「終わり」「そうか、ありが………終わりだとっ!!」どういうことだ、と剣を持ってない方の手で襟首を掴まれ引き寄せられる。「いや、どうもこうも、お前法力使えねぇだろ」「しかしお前は今までと大して変わらないと言っただろ」どうでもいいが顔近いぞ。後ろで睨んでる二人の視線に気付いてくれ。「だから変わってねぇだろ。お前、戦闘中に剣に炎を纏わせる以外に何が出来るんだ? 俺が知ってるお前はそれだけだぜ」さっきの模擬戦で見た連結刃のシュランゲフォルムならともかく、まだ見せてもらってないボーゲンフォルムってのが一体どんなもんか分からない以上、俺の中でのシグナムの戦闘スタイルは『剣に炎を纏わせて戦う剣士』だ。何か認識の齟齬でもあったのだろうか?「あ、分かった。お前まさか、封炎剣があれば俺が使ってた法力が自分にも使えると思ったのか? 俺は一言もんなこと言ってないぜ」「………」「それに言ったよな? 封炎剣はデバイスじゃないから”今まで通りの魔法を使うことは出来ん”。”武器としてならそのまま使える”。”魔力を込める媒介としてなら優秀”って」「確かに………レヴァンティンよりも遥かに魔力の通りが良いな」「ぶっちゃけ今のお前にとってはそれだけだがな」「………」手が離される。「ソル、お前、説明が足りないと言われることはないか?」「なんでお前がそんなこと知って―――」「お兄ちゃんってたまに面倒臭くなると端折るよー」「こういうものだから深く考えずに納得しろって言われたことある」「僕は何度か無言で辞書を差し出された」「アタシなんか『ググれ』って言われたことあるよ」「そうか。お前達も苦労しているんだな」なんでこいつら急に意気投合してんだよ。少し離れた所から様子を窺ってた残りの八神家も『やっぱりそういう性格か』って顔してんじゃねぇ。激しく遺憾だった。家に帰ってくると俺はすぐに地下室に篭った。デバイス達の修理と改造を施してやらねばならん。まずパソコンを起動させ、デバイスの破損状況、クラールヴィントとレヴァンティンは初めて診るのでデータの吸出しも兼ねて念入りに調べ上げ、必要な部品を確認する。次に何をどう強化するのか、どのような部分をどのように改造するのかデバイス達に意見を求める。これをこうして欲しい、あれをああして欲しい、とか何とか矢継ぎ早に言われたことを箇条書きにメモを取り、リスクとリターン、効率と実用性と安全性、更に俺考案の『神器と同じ機能である”魔法の増幅”を取り入れたらどうなるか』を噛ませながらレポートとして纏める。その後レポートに基づいたデータをパソコンに打ち込み、制御の良し悪し、出力、必要な魔力量、術者とデバイスに掛かる負荷、その他諸々の計算を行う。デスクワーク的な入力作業が終了すると、その次は部品の交換や組み立ての作業となる。しかし、なんかもう無茶苦茶な注文をデバイス達に受けたので、新たに作り直さなければいけない部品がかなりの量として出てきた。俺はそれぞれのデバイスに愚痴を吐きながら法力を駆使して素材ブロックを加工・練成し部品を大量生産する。大量に生産した理由は、組み立ての後に行う実験用に使う為である。組み立てが終わると稼動実験に入る。小規模の封時結界を張り、その中で実際に俺がそれぞれのデバイスを使って稼動実験をする形になる。実験しながらレポートを作成し改善点を見つけ、改善させる為にはどうしたらいいのか頭を捻りながら実験を繰り返す。改善方法が見つかったら次のステップへ。そんなことを延々と続けていると、気が付けば朝になっていたようで、なのはとフェイトが『朝ご飯食べようー』と呼びに来たので作業を一時中断することにした。オマケ野郎三人が砂漠の無人世界へ書を取りに行っている間の八神家。「へ? ソルくんって本当は大人なん?」「そうだよ!! 背が高くて、手足が長くて」「大人の姿のソルは凄く格好良いんだから」はやての言葉に応じるように惚気るなのはとフェイト。「私もこの眼で確かに見ました」「アタシもー」「私まだ見てないです。話聞いただけで………」シャマルが一人悔しそうにする。「ソルくんの大人の姿かぁ~。ちょっと、いや、かなり見てみたいわ。でも、どないしてソルくんは今子どもの姿なん?」「どうやら本来の姿は強力過ぎるので、普段はその”力”を封印しているらしいのです」シグナムの説明にはやては更に興味をそそられたのか、見たい見たいと興奮し始めた。隣でシャマルも見たい見たいと言う。「じゃあ皆で見よう!! シャマルさん、クイーン貸して」「え? はい」なのははシャマルから受け取ったクイーンをテーブルの中央に置く。「はやて、電気消すね」「いいけど、何が始まるん?」「いいからいいから」フェイトが明かりを消し、部屋が暗くなる。「クイーン、まずはお兄ちゃんがバリアジャケットを展開した姿を出して」<了解>クイーンから発せられた光が真っ直ぐ上に昇り、天井をスクリーン代わりに映像を写す。『クイーン、セットアップ』『了解』映像の中では、ソルがクイーンに命じてバリアジャケットを展開している場面だった。ソルの全身が炎に包まれ、次の瞬間には白を基調とした襟が赤い服装に、聖騎士団の制服を模した姿になる。「おお!! 格好ええで!!」「この姿は聖騎士団っていう法力使いのエリート集団の制服なんだって」「写真見た時に私がこれにしてって言ったんだ」「そういえば初めて会った時も聖騎士団という言葉を耳にしたな。一体どのような組織だ?」「国連によって創設された戦闘のエキスパート集団、法力使いのエリートの中のエリートが集まった組織。世界の平和と治安を維持する為に何処の国にも所属してないってアクセルさんが言ってたよね」「うん。そこでソルは一、二を争う程の実力者で、団長さんよりずっと強いみたい」「アクセルって誰だー?」聞かない名前に疑問を口にするヴィータ。「お兄ちゃんのお友達」「何だっけ? 因果律干渉体とかいう体質で、たまにタイムスリップするんだって」「たまにって………」「どんな友達なんですか、それ?」「アイツ、変身するのに加えて変な友人が居るのな」「ほう、ソルの友人だと? 法力使いなのか?」一人危ない眼つきになるシグナム。「うん。お兄ちゃんに一本取れるくらい強いよ」「鎖鎌を使って戦うんだよ」「是非一度手合わせ願いたいものだな」「シグナムさんの願いは叶わないと思うなぁ。この時は本当に偶然、この時代のこの世界に来たみたいだし」「タイムスリップを上手く制御出来ないから、未だに自分が住んでた時代に帰れないんだって」「それは残念だが、随分と難儀な奴だな」姦しい空間の中、様々な―――と言ってもほとんどが模擬戦のシーンなのだが―――が再生される。『御託は、要らねぇっ!!』ver β『もらったぁ、消えろっ!!』ver α『くれてやるぅぅぅ!!』無印『御託は、要らねぇっ、消え失せろっ!!!』ver Ω「これって全部タイランレイブって技なんですね」「つーか、これさっきからお前らが火達磨にされまくってるシーンばっかじゃねぇか」「………ヴィータちゃん、それは言わないで」「ううぅ、ソルに勝てないよぅ」四対一だというのに未だに勝てないとう現状に二人が項垂れる。「そんなことより大人の姿は?」焦れたはやてがクイーンに問う。<該当件数は一件のみ>「それをよろしく頼むわ」<了解>『ドラゴンインストーォォォォォォォォルッ!!!』「ザフィーラみたいなマッチョや!!」「それは違うわはやてちゃん!!」「シャマル?」「ザフィーラは中肉中背の男性が身体を鍛え上げた姿。でもソルくんは長身痩躯の男性が身体を鍛え上げた姿。この二つは明確な線引きがあるのよ」「主はやて、シャマルの言う通りです。まずこの広背筋を見てください、筋肉の付き方が微妙にザフィーラと異なるのが分かりますか?」急に筋肉について熱く語り出す二人。なのはとフェイトとはやては頷きながら感心していたが、ヴィータは自分のリーダーと参謀が筋肉フェチだということを知り一人ドン引きしていた。オマケその二ソル達が帰った後。「ガンフレイムッ!!」逆手に持った燃え盛る封炎剣を庭の地面に突き立てたが何も起きなかった。「タイランレイブッ!!」両手に持ち直した封炎剣を正面に掲げ叫ぶも、やっぱり何も起きない。「シグナムの奴何やってんだー?」「ソルくんみたいに炎を飛ばしたいんじゃないの?」「俺達がベルカ式である以上、いくらやっても無駄だと思うが」「シグナムー、もうお風呂入ったらどうや?」「………そうします」シグナムは項垂れながら家の中へと戻ることにした。何時かガンフレイムくらいは修得してみせると心に誓いながら。一部訂正。感想返し追加しました。