SIDE リーゼ姉妹「私と同類だと? …………貴様に親友をこの手にかけた私の何が分かる?」ソル=バッドガイと対面して数時間経過した。皆の前や仕事中は何時もの優しい笑顔だったけれど、私達だけになると父様は忌々しそうに口を開いた。精神リンクで父様の感情が伝わってくる。その感情の名は、憎悪。「気に入らん。スクライア一族を勝手に登用し、闇の書について調べさせていることも、私と同類だという発言も」こんなに愚痴を吐く父様を見るのは初めてかもしれない。「何よりあの眼が一番気に入らん。私を見透かし、見下しているというのに、哀れむような紅い眼」拳を握り締め、歯軋りをする父様の気持ちが痛い程よく分かる。だから、使い魔である私達は主の怒りを鎮める為に進言した。「父様。そこまで気に入らないと仰るのでしたら、私達がソル=バッドガイの眼を潰してご覧に入れましょう」「オーバーSランクが何だってのさ。魔導師ランクが全てじゃないってことを身を以って思い知らせてやる」父様が気に入らないように、私達だって気に入らない。そもそもクロ助やリンディ提督の話を聞いた時点で「なんて理不尽で傍若無人な奴」と思っていた。そしてさっきの父様に対する態度。礼儀知らずだと聞いていたが、いくらなんでも初対面でアレとは予想すらしてなかった。万死に値する。父様の敵は私達の敵だ。「………そうだな。戦闘能力だけ評価すれば守護騎士達を圧倒する実力者。ソル=バッドガイがクロノとリンディ提督に協力する以上、闇の書の完成に、我々の計画には邪魔だ。早々に退場してもらうことにしよう」その言葉を聞いて、私達はすぐに行動を開始した。まずは情報収集。クロ助とリンディ提督を食事に誘い、ソル=バッドガイがどういう人間なのか詳しい話を聞くことに成功した。しかし、残念なことに公式なデータ(戦闘や使用する魔法)や報告書は、全て元が何か想像出来ない程改竄されたか抹消されたかのどちらかで、眼で見て分かるようなものは一切残っていないらしい。PT事件の際、そういう条件でソル=バッドガイとその仲間達がアースラに協力していたからだ。二人が言うには、「あり得ない」「理不尽」「異常」「強引」「容赦が無い」「面倒臭がり屋」「傍若無人」「唯我独尊」「傲岸不遜」「管理局を見下してる」「管理局を信用してない」「身内に甘い」「特に妹に甘い」「その家族に向ける甘さと優しさの1%でいいからこちらに向けて欲しい」といった感じにかなり抽象的で、ソル=バッドガイの情報というよりは愚痴に近かった。事前に聞いていたものとあまり内容が変わらない。魔法技術や戦闘能力に関してはただ一言、「噴火した火山」「攻撃的な太陽」とだけ言って二人共口を噤んでしまい、それ以上は聞くことが出来なかった。その後、無限書庫で働くスクライア一族に内心帰って欲しいと思いながら一応話を聞いてみると、「漢気溢れる人」「子ども達の良いお兄さん」「律儀」「義理堅い」「太っ腹」「子ども達に甘い」「特に妹に甘い」とう風に、やはり人柄の面しか分からない。丸一日掛けて手に入ったのは、ソル=バッドガイがクロ助に誤認逮捕された時に押収したデバイスデータと、デバイス内に記録された守護騎士との戦闘データのみ。それですらあまり重要そうなものではない。デバイスは補助をメインにしたブーストデバイスで特筆すべき部分が無くて拍子抜けしたし、戦闘データは二人から散々「理不尽な強さだ」と言われていたので、守護騎士を倒す光景は簡単に予想出来た。結局、碌にソル=バッドガイについて分からないまま私達は出撃することになる。だから、(こんなの、クロ助から聞いてない!!!)狙いを寸分違わず射止めたロッテの攻撃を受け、片眼を潰したというのに戦意を衰えさせない姿に、自分の腕を何の躊躇も無く斬り落とす覚悟に、斬り落とした腕を即座にくっつけ癒着させる魔法技術に、私達は絶句した。そして、ついさっきまで闇の書に魔力を蒐集され、おまけに右腕を侵食されていたから魔力が残っていない筈の状況で、「ドラゴンインストーォォォォォォォォルッ!!!」人間の範疇を遥かに超える魔力が発生し、異常なまでに膨張し、禍々しさを感じさせる程濃密になる過程に戦慄する。ソル=バッドガイの足元から、砂の大地からマグマが噴出したように火柱が生まれ、それが天を貫き高く昇る様はまるで太陽を目指す尖塔のようだ。ゾクッ。尋常ではない殺気が向けられ、冷水を頭から浴びたような錯覚に陥った。炎に全身を覆い尽くされて姿が見えなくなるが、あの紅い瞳が私達を捉えているというのがはっきり分かる。やがて炎が何の脈絡も無く消えると、そこには二十台前半から中盤くらいまでの見知らぬ男性が立っていた。「逃がさねぇ、クソアマ」男性はそう言うと、親指を立てた右手で自身の首を掻っ切る仕草をしたのだった。SIDE OUT背徳の炎と魔法少女A`s vol.13 都合の悪い事実SIDE シグナム私は敵を前にしながら思わず動きを止めてしまっていた。ヴォルケンリッターの将でありながら何を迂闊な、そう自省する気にもなれないくらい私は目の前の事実に呆然としている。強大な魔力を感じた瞬間、ソルが炎に包まれ、その炎が止むと人間形態のザフィーラと同じくらいの外見年齢の男性が立っていた。敵から離れるようにその男性に近付く。「ソル………なのか?」身体そのもの赤く光らせながら莫大な魔力を発している男性に問い掛ける。「他に誰が居る? ったく、この姿を見た奴はだいたい同じリアクションを取るな」やれやれと溜息を吐きそう答える男性、ソル。その声は変声期前の少年のものではなく、年を重ねた渋さを感じさせながらも若さも兼ね揃えた成人男性のもの。「本当に、ソルか?」「しつけぇぞ」「………」ジロリと私を片方―――右眼が―――瞑られた眼で睨むそれはソルそのものである。視線には構わず、私はソルの全身を上から下まで不躾にジロジロと観察してしまう。見た目は二十歳過ぎから中盤で、身長はザフィーラより少し高い。頭部と眼窩の出血した後も無ければ血痕も無いし傷跡も無い。どうやらちゃんと治療したらしい。眼つきの悪さは相変わらず。大人びていた顔つきが完全に大人のそれになり、精悍でより野生的に、より気性が荒々しく感じる。髪型はそのままに、額の赤いヘッドギア、赤いブーツ、白いズボンと腰のバッグルは大人用にサイズが変更されているがあまり変化は無い。グローブは色が白から黒へと変更し、指先部分が露出する造りになっている。首から鎖で掛けられた歯車の形をしたデバイスも変化無し。大きく変更点があるのは、腰部分をベルトで留め膝辺りまで覆うように羽織っていた白い上着が無く、二の腕が肩口から手首まで晒されていること。黒いタンクトップに赤い襟がついただけのような上着のみで、それは胸元が大きく開いていて鍛え抜かれた大胸筋が露出し、生地が薄く肌に密着しているのか上半身の凹凸をこれでもかと見せ付けている。動き易さを追求した結果そうなったのか分からないが、これでは防護服としてちゃんと機能を果たしているのか怪しい。上半身は筋骨隆々でありながら無駄な肉が一切存在せず、腹筋も綺麗に割れ、見事に均整の取れた逆三角形。その肉体はボディビルダー顔負けであり、どんなに素晴らしい彫刻家にも再現出来ない美しさがあった。腕の筋肉も肩から手首まで偏りの無いバランス良い盛り上がりをしている。ソルの後ろに回り込んで背中の筋肉も確認。やはりこちらも広背筋が鍛えられており、よこぞ此処まで鍛え上げたと褒め称えたくなる程美しい。その広い背中は実に頼り甲斐がある。左手に持つ封炎剣は鍔の部分が展開、変形し複雑なギミックを晒し、刀身には炎を纏わせている。私は元の位置に戻って正面からもう一度しっかり見据えると、満足して頷いた。「完璧だ」「何言ってんだお前?」私の態度に、半眼になって可哀想な人を見る眼をするソル。む、失礼な。戦士として良い身体をしていると総評を述べただけではないか。「………ソル、シグナムのことは放っておいて構わん。それよりも右眼と右腕は無事か? 見たところ腕はしっかり繋がっているように見えるが」ザフィーラがこちらに近付きながらソルのことを心配する。というか、お前はソルの姿の変化とか全身から発する赤い魔力光とかに突っ込まないのか。変身魔法の類だと言われてしまえばそれでお終いだが。「眼はまだ少し時間が掛かるが、片方見えれゃ剣は握れる。腕は全快時の五割くらいだが、拳を作れりゃ敵は殴れる。この程度、戦闘に支障は無ぇ」そう答えながら右の手の平を閉じたり開いたりして見せ、無事なことを示す。「殺してやりたいところだが、そうすると後々面倒だ。死なない程度に適当に流す」呟くと、極端に体勢を低くし、「グランド―――」全身に炎を纏い、さながらロケットブースターを使ったような爆発的な速度で砂の大地を這うように滑走した。通り過ぎた後に火柱を生みながら砂埃を舞い上がらせ仮面の男に一直線、下段から襲い掛かる。「っ!!」一瞬のことに反応が遅れた仮面の男は為す術無く、ソルが懐に入るのを許してしまった。ソルは低い体勢から流れる動作で上体を起こし、封炎剣を持ったまま左ボディブローを放つ。「―――ヴァイパァァァーッ!!」空気が破裂するような鋭い打撃音。腹を殴られた仮面の男は火達磨になりながら打ち上げ花火のように空へ舞う。跳躍してそれを追うソルはもう次の準備に入っていた。「吹き飛べ」空中という不安定な体勢で放たれた、それでいて強力無比、渾身の右ストレート。今度は遠巻きに見ている私の腹に響く程の、ズドンッ、という重低音。炎を纏った拳は仮面の男の仮面部分を粉々に粉砕し、その身体を言葉通り吹き飛ばし、しばらくの間火の玉となって地面と平行に飛び続け、豆粒程度の大きさになるとようやく墜落した。「まずは一匹」着地し、右手首を確かめるようにプラプラと振りながらもう一人の仮面の男に向き直る。「な、なな何だその”力”はっ!? 何だその姿はっ!? 貴様は先程闇の書に魔力を食われていた筈っ!! どうして魔法が使える!!」今更な疑問を動転した心情で喚く仮面の男。その動揺っぷりは敵ながら哀れだ。下手を打って我らがあのようになっていたかと思うとゾッした。「その口ぶり………どうやらクロノとリンディは越えちゃいけないラインってのはよく分かってたらしいな」ソルは酷薄な笑みを浮かべ、口元を歪めて歩み寄る。「どういうことだっ!?」「後で本人達に聞け。牢屋でな」面倒臭そうに封炎剣に纏う炎を延長させ長大な炎の剣にし、それを右手で順手に持ち直す。身体を半身にし、剣を持った右腕を真っ直ぐ仮面の男に向け地面と平行にし、手にした封炎剣を地面と垂直に、そして残った左手を右の肩に当て狙いを定める。あの構え、テレビで見たことあるような………何だったか?「貴様さえ、貴様さえ居なければ―――」「能書きは存分に垂れたか? じゃ、クタバレッ」怨嗟の声を上げるのに対して、無慈悲な死刑宣告。それから野球のバッターと全く同じ構えを取るのを見て、ソルの先の構えが何だったのか思い出す。確かメジャーリーグで大活躍中の日本人選手がバッターボックスに入った時にする仕草だ。―――ブオオオオンッ!!!プロ野球選手ですら惚れ惚れしそうなスウィングが、大気を食らう音を立て熱風を生み周囲の空間を抉るように放たれた。回避も防御もままならず、常軌を逸した長さと威力を誇る炎の剣は仮面の男の真芯を捉えたのかホームランボールのように空高くかっ飛ばし、先の男と同様に火達磨になりながら大きく飛距離を伸ばし、やがて墜落して小さな砂埃を立てた。この光景をもしヴィータが見ていたら「人間ホームラン」とか「た~まや~」とか言ったかもしれない。「なかなか飛んだな」封炎剣を元の剣に戻し、右手で日除けを作り仮面の男達が倒れている場所をやけにすっきりした表情で眺めるソル。「殺したのか?」「まだレアだ、死んでねぇ。それに非殺傷だ」俺個人としてはウェルダンにしたかったが、とソルはザフィーラの問いに振り向きもせず憮然として答えた。「さて、馬鹿を回収して戻るぜ。ついて来い」伝えられた内容は完璧に我らに対する命令で、有無を言わせぬ口調というよりこれが当然だといった風。ソルは返事も待たずに飛行魔法を発動させてこの場から離れていく。私はザフィーラと一度顔を見合わせると一つ溜息を吐き、この男は絶対に敵に回さないと心に誓うと、その大きな後姿について行くのだった。SIDE OUT意識を失ったことにより変身魔法が解け、本当の姿を晒すことになった猫姉妹。チェーンバインドで簀巻きにしてから、念の為バインドブレイクされても大丈夫なように簀巻き状態を法力で固定しておく。「この者達が闇の書の完成を望んでいるのか? 管理局の人間なのだろう?」何故管理局の人間がそんなことを? とシグナムが聞いてくる。「さっきも言ったが、正確には管理局の人間の使い魔だ。黒幕はこいつらの主だろ。闇の書を完成させて何企んでんのかまでは知らんが」「闇の書の力を悪用しようとしているのか?」「そいつが無理なのはお前らが一番分かってんだろ。闇の書にアクセスするには管理者権限が必要だ。それ以外の外部からの干渉は一切受けない。そうだろ?」その管理者権限ってのが一番厄介なんだがな。展開していた法力場と結界を解除すると、ザフィーラに猫姉妹を担ぐように指示を出す。それに素直に従うザフィーラ。転送魔法を発動させようとすると、シグナムが神妙な顔つきで聞いてきた。「ソルはどうして我らに、いや、主はやての為に此処までしてくれるんだ?」「さっきからお前は質問ばっかだな」「………すまん」「まあいい。答えは簡単だ。お前らが少し俺に似てるから同情してやってるだけだ」「我らとお前が?」俺は首肯した。「今の俺の姿を見て、管理局の連中は俺を生体型ロストロギアだと断定したことがあってな。これが俺の本来の姿なんだが、どうも奴らは自分達の常識の外にあるものを何でもかんでも危険なロストロギアにしたいらしい」本当は境遇が少しギアに似ているだけなのだが、この時俺は半分嘘を吐いた。「確かにその”力”………遥かに人間を超越している」「生体型ロストロギアと言われれば、誰もが納得してしまうだろうな」ぶっちゃけた話、ギアは生体型ロストロギアではないかと問われれば否定する材料が見当たらない。戦う為に生み出され、法力をほぼ無制限に行使し続ける生体兵器で、半永久的な不老不死の癖に繁殖もする。改めて考えてみると質悪ぃな。「はやてに関しては友人だから、それだけだ」これ以上説明するのは面倒なので、とっとと転送魔法を発動させ地球へと帰還した。「今戻った」「無事だった!?」真っ先に出迎えたのは意外にも慌てた様子のエイミィで、我が家のガキ共はその後ろから順番にやって来た。どいつもこいつも俺の姿を見て安心している。その更に後ろでヴィータが居心地悪そうにハンマーを肩に担いで立っていたので、念話を繋ぎ『後でシグナムとザフィーラが来る』と伝えると、不承不承な口調で『分かった、大人しく待ってる。つーか、お前ってそんなでかかったか?』と返事がした。「何かあったのか?」「ソルくんの後になのはちゃんとフェイトちゃんも出動したんだけど、しばらくして駐屯所の管制システムが粗方ダウンしちゃってたからそっちの状況が分からなくて」「システムダウン?」「なんか、クラッキングされたみたいなんだ………防壁も警報も、全部素通りで、いきなりシステムをダウンさせられて。システムを復帰した時にはもうソルくん転送魔法発動させてたし」ちょっとあり得ない、とエイミィが思案顔になる。クラッキングか。十中八九グレアムの仕業だろう。大方猫姉妹のフォローのつもりだったんだろうが、無駄に終わったな。「ユニットの組み換えはしてるけど、もっと強力なブロックを考えなきゃ………」ブツブツと何か独り言を始めたエイミィ。「クラッキングの犯人もその目的もだいたい分かってるからそう深く考えるな。そんなことより、こっちはこっちで収穫あったぜ」「あ、そうだね。でも、どうして大人の姿なの? やっぱり何かあったんじゃ―――」俺は質問に答えず指を弾くと後ろで赤い円環魔方陣が浮かび上がり、シグナムとザフィーラ、そして気絶して簀巻きにされた猫姉妹が現れる。「リーゼッ!? どうしてリーゼがこんな………ソルくん、これは一体どういうことっ!!!」「落ち着け」俺を掴み掛からん勢いで詰め寄ってくるエイミィを黙らせると、クイーンを手渡し、デバイス内の戦闘データを基に一から説明することにした。「そんな………リーゼが、グレアム提督が私達の妨害? なんで? 殺傷設定の魔法まで使って、ソルくんに大怪我までさせて」クイーンが記録した映像と、俺とシグナムとザフィーラの証言を受け、エイミィは信じられない、信じたくないと頭を抱えて俯いてしまった。「信じる信じないはお前の自由だが事実だ。ちゃんとこのことをクロノとリンディに報告しておけよ」クロノとリンディもエイミィと似たような反応するんだろうな。その上でどんな行動に出るか少し楽しみだ。そんな風に邪なことを考えていると、「お兄ちゃんっ!!!」「ソルッ!!!」「うおっ!?」いきなりなのはとフェイトが俺に飛び掛ってきた。「馬鹿っ!! 馬鹿っ!! お兄ちゃんの馬鹿っ!! いっつも私達には怪我しないように気を付けろって言う癖にっ!!!」「眼は、腕は大丈夫なの!? とにかく今すぐ病院行こうっ!!! ちゃんと治療しないとダメだよ!!!」涙をポロポロ零し、うえぇ~んと泣き喚きながら俺の腰にすがりつく妹二人。「………あ」俺は内心冷や汗を垂らしながら、なのはとフェイトに見せてしまった映像を思い出す。闇の書に侵食され、右眼が潰され頭部を血塗れにし、右腕を自ら切断した俺の姿。はっきり言ってトラウマ間違い無しのグロ画像だ。周りを見渡せば、厳しい表情をしているユーノとアルフの二人と、その後ろで「当然だな」と言わんばかりにうんうん頷くシグナムとザフィーラとヴィータ、それどころではないエイミィ。「どおりでさっきから右眼瞑りっぱなしな訳だ。右腕は見た感じ大丈夫そうだけど、フェイトの言う通りとりあえず病院行こうか」珍しい。ユーノが深く静かに怒ってる。「いや、これは」「これ以上心配させんじゃないよ!!!」アルフが吼えた。その時、<右の眼球の再生完了を確認。ドラゴンインストールを解除します>クイーンに任せていた治癒が完了し、その為にタイマー設定していたドラゴンインストールが解除され、大人から子どもへと姿が戻り、ついでにバリアジャケットも解除され服装も戻る。瞑られていた瞼がパチリと開かれ、そこから真新しい眼球が覗き、可視光線を捉え、平面だった視覚情報に距離感が加わり網膜に立体を映し出す。アフターリスクの頭痛が少ししたが、耐えられない程のものでもないし、何時ものことなので気にしない。そんな俺の過程を眼の前にし、泣いていたなのはとフェイトは泣き止むが事実の認識が出来てないのかポカンとし、ユーノとアルフは口をあんぐりと開け、守護騎士の三人は固まっていた。誰もが黙り、同時に「どういうことか説明を要求する」と視線で訴えてくる。映像の中ではしっかり潰れていたものが、時間を巻き戻したように元通りになっていたら本物の”魔法”だ。疑問に思わない方がおかしい。逃げ場は無い。どうしたもんかと思いながら、信憑性と説得力がある上手い言い訳を捻り出す為に頭を高速回転させたのだった。一言後書きバッティングセンター行くと気分がスカッとしますよね!!!