SIDE アルフ眼の前にはアタシを警戒して身構える守護騎士とか言う奴? 以前喧嘩売ってきた四人の内の三人。手には首の後ろの襟部分を猫みたいに摘まれて戸惑いの表情のクロノ。「とりあえずヒーローっぽく格好良い感じに出しゃばったけど、どういう状況?」「ちょ、アルフ!?」アタシが口を開くと、クロノが何を言い出すんだコイツは!? って感じに非難するよう眼を向けてくる。対峙する三人も同様だった。冗談が通じない連中だね。「テメー、そいつの仲間じゃねーのか? だからアタシらに割って入ったんだろ」「アタシがクロノの仲間? はっ、冗談はよしてくれよ。管理局とは敵対してないけど仲間って訳でも無い。仕事の帰り道に知人が襲われてるのを偶々見かけたから助けただけだよ」赤い服のハンマーみたいなデバイス持った、ヴィータだっけ? そいつの問いに笑いながら答えてやる。「そもそもウチの大将は管理局があまり好きじゃない。前に管理局に協力した時は、この世界が消滅する危機に陥った時にタイミング良く管理局から協力要請されたから、それなりの報酬を対価に手伝っただけ………だったっけ?」クロノから手を離してやり聞いてみる。すると、クロノは急に憤慨した。「何がそれなりの対価だ!! あんな無茶な要求を無理やり押し通そうとするのは、次元世界を探し回ってもあいつしか居ないぞ!!」「そうかね?」「そうだ!! 僕達に自分の戦闘能力を誇示した後に半ば強制させた形じゃないか!!! あれが脅迫じゃないって言うなら何だって言うんだ!? 犯罪者の方がまだ可愛げあるぞ!!!」「でも、そのおかげでフェイトとアタシは今幸せだからどうでもいいんだけど」「それがPT事件に置けるあの男にとって最も価値ある報酬なんだろうさ!!! でなければ、あの局面で犯人側だったキミ達二人の身柄を報酬として要求するもんか!!!」「そんな、フェイトの幸せがソルにとって最も価値があるだなんて。もっと言っておくれよ、出来ればアタシじゃなくてフェイトに。きっと狂喜乱舞するから」「………キミと会話してると徒労感が湧き上がってくる」頭を抱え始めて頭痛を堪えるように唸るクロノ。仕事のし過ぎかね? 人間って適度にガス抜きしないと色んな面で支障が出てくるから、そういうことはちゃんとした方が良いのに。無尽蔵の魔力と体力を持つあのソルすら一週間に一日は休養日、っていうのを決めてる。まあ、大抵日曜日に家でごろごろしてるだけなんだけど。「アルフと言ったな。ウチの大将とはソルのことか」アタシとクロノの話に興味を引かれたのか、桃色髪の剣士、前にソルが抱えてた片割れだ、そいつが聞いてくる。「まあね」「そのソルは今何処に?」「今頃家族サービスの真っ最中じゃない?」「家族サービス?」「おっと、そこから先は言えないね、ソルの名誉の為にも。ソルの困ってる姿や本人にとって不名誉な瞬間を映像や画像に記録して友人にばら撒くのが趣味のアタシでも、赤の他人にそこまで教えてやる義理は無いね」この場に居る全員が「こいつ最低だ。言ってることとやってることが百八十度全く違う」というような視線を送ってきた。咎められても止める気無いから気にしないけど。といった感じに場の空気を弛緩させながら、アタシは守護騎士の三人を観察した。こいつら、前よりずっと強くなってる。一目見て分かった。狼として本能と、これまで培ってきた経験と、訓練で鍛えた感覚が言ってる。見た目は同じだけど、戦闘能力は別物だって。サシならまだ何とかなる………かもしれないかな? いや、結構ヤバイかも。それに三人相手じゃ逆立ちしたって勝てない。戦力を引っ繰り返す何かでも無い限り、逃げるくらいしか思いつかない。「じゃ、アタシはお邪魔みたいだったからもう帰るね? クロノはたまに休暇でも取ってしっかり休養することを勧めるよ。アンタらも、喧嘩がしたいなら地球じゃなくて他所の世界でやりな、迷惑だから」無関係な第三者を装うようなことを言って、特殊な魔力の編み方をした球体を一つ生成する。「じゃあね」誰もがアタシの態度を不審に思った瞬間、耳を塞いで眼を瞑り、魔力球を炸裂させた。背徳の炎と魔法少女A`s vol.7 事態は当事者を置いて進んでいく―――ドパァァァァァァァァァァァァン。眼を瞑っていたのに、瞼の裏に強烈な光が刺さる。耳を塞いでいたのに、鼓膜を劈くような爆音で耳の奥がツーンとする。アタシが今やったことは、閃光手榴弾と同じ効果を持つ魔法を使っただけ。一時的に視覚と聴覚を奪うことが可能で、物理的な攻撃力を持たないこれは敵を怯ませたり、隙を作ったりする時に打ってつけ。何処の世界でも、どんな国でも軍とか警察とかなら使ってる無傷で敵を無力化するのに役立つ代物。元々、過保護なソルからアタシ達に自衛の手段の一つとして半ば強制的に覚えさせられたものだけど、今回みたいな不利な局面で重宝する。ちなみに効果はかなり期待出来る。面白そうだからって実験に立候補したなのはが自分で、よりにもよって顔の前で発動させてそのまま気絶するくらいの威力だからね。『逃げるよクロノッ!!』肉声は聞こえていないだろうから念話を繋ぎ、手で顔を覆いつくすようにして苦しんでいるクロノの腕を掴んでその場を離れる。暴れると思ってたんだけど、状況把握はすぐに出来たみたいで意外に大人しく追従してくる。移動しながら振り返ると、三人はまだ眼も耳も回復していないようで追ってこない。『助かったわアルフさん!! 今から貴方とクロノをこちらに転送させます。いいですか?』頭に響くリンディさんの声。アタシは勿論オーケーした。回復した守護騎士の三人がこちらに気付く頃には、既に逃げる準備が整っていた。「貴様っ!! 待てっ!!」シグナムが怒りを滲ませた声で突っ込んできたけど、その斬撃が間に合うことはなかった。転移した先は、立派なマンションの一室だった。アースラではない。なんでも、アースラは整備中だとか。守護騎士が地球とその周囲の世界を中心に活動していることから、拠点を、駐屯地を海鳴市にしたとのこと。「さっきは本当にありがとう。アルフさんがあの場を通りかかってくれて良かったわ」時空管理局の制服ではない、普通のカジュアルな服を着たリンディさんが頭を下げる。「まあ、情けは人の為ならずってね」アタシは掴んでいたクロノの手を離して、ヒラヒラと振った。「でも、本当に助かったよ。アルフが居なかったら、今頃クロノくんの魔力が蒐集されてたかもしれなかったんだから」「………」エイミィのその言葉に、クロノが二人には気付かれないように手を強く握り締めてるのが視界の端に映った。「それより………あいつらの強さ、どういうことだい? 以前と比べて段違いに強くなってる。こんな短期間であそこまで強くなるなんて異常だよ」話を無理やり守護騎士に切り変え、クロノに振る。「………それが、僕にもよく分からないんだ。ヴィータとザフィーラを追い詰めていたと思ったら、急に二人の魔力が高まって………」「で、何が何だか分からない内に立場が逆転されてたってとこかい」「そうだ」冷静な声に聞こえるけど、その実、敗北感を内包して搾り出すように紡がれた言葉だというのが分かった。それにしても一体全体どうしたってんだい、あいつらは? 前回は手抜きしてたってのかい? だったらなんでそんなことをする必要がある? それこそ意味が無い。モニタリングしていたエイミィとリンディさんの意見を聞くと、対峙していたクロノが感じたのと同様に、前触れも無く急に魔力値が跳ね上がったらしい。ますます訳が分からない。「ああ~もう~、こういった小難しいこと考えるのはアタシに合ってないよ。頭脳労働担当はソルかユーノの仕事だってのに」頭をガリガリ掻くと、アタシは考えることを放棄した。「もういいや。アタシは帰るよ。いい加減腹減ったし」翠屋が閉店する前から腹の虫が鳴きっぱなしで、そろそろ何かを胃に叩き込んでやらないと可哀想だ。あー、そういえばウチのちびっ子共は今晩すずかの家で鍋だったんだよな~。くっそー、アタシも鍋が食べたかったなー。肉が~、肉が~。守護騎士の謎の強さに頭を捻っている三人を尻目に、アタシは玄関へと向かった。「アルフさん、ちょっと待ってください」「ん? なんだい?」その時、リンディさんの声が背中に掛かるので立ち止まって首だけ振り向く。「………今回の事件、貴方達に協力してもらえないかしら?」投げ掛けられたのは意外というか、やっぱりというか協力要請の言葉。まあ、相手があれだけ強いんだもんね。慢性的な人手不足の管理局が管理外世界で起こった事件に対して、現状を打破出来るだけの戦力を応援として投入してくる頃には闇の書が完成してそうだもんね。ただでさえ高ランク魔導師ってのは数が少ないし、組織ってのは大きければ大きい程腰を上げるまで時間が掛かる。「母さん!?」「勿論、これは時空管理局所属のリンディ・ハラオウン提督からの正式な協力要請です。報酬も用意します。どうか、ソルくんに一言伝えておいてくれないかしら?」「何を言ってるんですかっ!? あの男にそんなことを頼んだら、どれだけ法外な金額を請求されるか!! それに、また以前のように身柄を寄越せと言われたらどうするつもりですか!!」クロノが危惧していることは尤もだ。ソルは半年前の事件で、無茶苦茶な契約内容を無理やり履行させてフェイトとアタシの身柄を管理局から引き取った。普通に考えて、そんな人間を相手にまた交渉しようというのだから、また同じことになるのではないかと心配されるのは当然に思う。「だったらクロノは、あの守護騎士達を相手に現状の戦力で何とか出来ると本気で思っているの?」けれど、リンディさんはクロノの焦りの声に怯まず、逆に冷徹な組織人としての意見をクロノに向ける。「………それは」言い淀むクロノ。現実を認めたくない。認めてしまえば今の自分を否定することになる。自分の力不足を認めることになる。けれど、執務官である自分は現実を無感情に捉えなければいけない、って感じの複雑そうな表情になるクロノ。「現段階で、アースラには守護騎士を相手に戦える人材は………居ません」唇を噛みながら、悔しげに答える。「しかし、彼らに頼らずとも本局に問い合わせて応援を頼めば―――」「応援が来る頃には、闇の書は完成しているわ」どうやらアタシの考えは当たっていたらしく、リンディさんはクロノの意見を一蹴した。「聞きなさいクロノ。現段階で、すぐに動けることが出来て、闇の書の守護騎士達を相手に真正面から戦いを挑んで勝つ可能性があるのはソルくん達だけよ。事実、彼らは一度守護騎士達に襲われていながら見事に迎撃しているわ。ソルくんなんて内二人を捕まえたのよ? 戦力として申し分無いのは分かっているでしょう?」「………」「確かに私だって彼に頼るのは嫌よ。口も態度も眼つきも悪いし、私達のことなんてこれっぽっちも信用してないのが丸分かりだし、管理局のこと見下してるし、命令なんて聞く耳持ってくれないし、ぶっちゃけた話私って彼から嫌われてるし………よりによって女狐よ女狐っ!!! 今まで生きてきてそんなことを面と向かって言われたのは初めてだわ!!! 喧嘩売ってるのっっ!!!」段々愚痴っぽくなってきたなと思って聞いていると、キシャーッ、と途中からリンディさんが吼えた。こめかみに青筋を浮かべながら更に続く。「何が『テメェらのやろうとしていることは正しい、だが気に入らねぇ』よ! 格好つけて!! 私だって好きであんなやり方した訳じゃ無いわよ!! そんな台詞は絶大な力を持ってる人にしか言えない言葉だってことが分かって言っているのかしら!? 皆が皆貴方みたいな力を持っていれば誰も困らないわよ!!」まるでこの場にソルが居るように腹の底で思っていたことをアタシ達に叩きつけるリンディさん。興奮しているのか、眼の前に居るアタシ達のことを見ていない。「あの、リンディさん?」「母さん………」「………艦長」「そもそも、どうやったら成人男性が子どもに若返るのよ!? ロストロギア? それとも法力の”力”なの!? 私にも教えなさいよ!! だいたい―――」それからたっぷり三十分は、リンディさんのソルに対する不満が続いた。その間、嗚呼この人ソルの所為で精神的に辛かったんだな~、と思いながらアタシは冷蔵庫の中身を物色していた。とりあえずソルに言うだけ言ってみる、とだけ伝えて帰路に着く。ちょっと遅めの夕飯を楽しんでいると、程なくして何故かソルとユーノが帰ってきた。「あれ? アンタら、すずかの家に泊まったんじゃないの?」疑問に思って問い掛けると、ソルは疲れたように溜息を吐くだけだった。「ユーノ?」「逃げてきたんだよ。皆がお風呂入った隙に」「何も言わずに?」「当然」何故かそこで胸を張るユーノ。別に立派なことじゃないでしょうが。「………うわぁ~、アタシ知~らない」とばっちりを食うのは勘弁願いたいので、この件にこれ以上首を突っ込むのは止める。男ってのは面子とかプライドとかにやけに拘りたがる。女の子に囲まれるのは居心地悪いとか言って、よく二人でフラっと居なくなる時がある。ソルもユーノも今更だと思うけどなぁ。明日はきっと、ユーノがフェイトとなのはにタコ殴りにされて、ソルは二人の気が済むまで引きずり回されるんだろう。ゲッソリとしたソルとユーノの姿を簡単に思い浮かべることが出来る。ソルは妹二人を兄離れさせようとして最近はあまり甘えさせないようにしてるけど、そもそもそれが無駄な努力ということに気が付いてない。あの二人は良い意味でも悪い意味でもソルに依存してる。二人が胸の内に抱えているのは家族愛や兄妹愛、男女愛は勿論として、それとは全く別に生きる支えとして、生きる理由としてソルという存在を必要としている。なのはの依存の理由は本人から随分前に惚気話として聞かせてもらった。昔、士郎さんが大怪我した所為で高町家の誰もが精神的に不安定な状態に陥ったことがあった。当然なのはも例外じゃなかった。一家の大黒柱を失った高町家の面子は(ソルは除く)まだ小さかった頃のなのはに碌に構ってやれなかったらしい。なのはは心の中で『無力で何も出来ない自分だけど必要とされたい』と思っていたが、誰にも迷惑を掛けたくない一心でそれを押し殺し、”いいこ”を演じていたらしい。だけど、そんななのはの態度に業を煮やしたソルが『”いいこ”でいる必要は無い。俺がなのはの全てを受け入れてやる』って感じの内容を言って抱き締めたとか。傍から聞いたらプロポーズにも聞こえなくもないこの言葉。当時のなのはにはあまりにも衝撃的だった。実際、なのははプロポーズとして受け取ったみたいだし。それ以来、親鳥にくっ付いていくヒヨコ程度の懐き具合が、ベタベタに貼りつくブラコンにまで発展することになる。フェイトの場合は、当然プレシアと生い立ち絡みだ。ファーストコンタクトの時点で、ソルは既にフェイトの中では窮地に現れ命を救ってくれた白馬の王子様。その後も何かと世話を焼いてくれたし、ジュエルシードが暴走してフェイトが怪我した時には本気で叱ってくれた程。愛情に飢えていたフェイトにとって他者から本気で心配してもらう経験なんて無かったから、ソルの態度はまさに純然たる愛情として捉えられた。それからお互いの想いが擦れ違って勘違いを起こしたりしたけど、結果は雨降って地固まる。やがてプレシアの口から真実が語られ捨てられることになるけど、ソルの励ましによってフェイトは立ち直る。また、プレシアが虚数空間に落ちる前後の会話によって、今までフェイトがプレシアに向けていた想いがソルへと向けられる。フェイトにとってソルは、『自分の存在を決して否定せず、全てを認めた上で受け入れてくれた人』だとか。言ってることは若干違うけど内容はなのはと一緒だ。それに二人共思い込みが激しいというか、『こうだ』と思うと一直線に突き進む傾向がある。そんな二人が、今更ソル離れ出来るとアタシは思わない。ソルには悪いけど、桃子さんを筆頭にアタシを含めた周りの人間はむしろ”行けるところまで行ってしまえ”と考えているくらいだ。「ねぇ、ソル」「ああ?」新聞を読みながら、何の用だ? って感じに声が返ってくる。「明日覚えておきな」「はあ?」訳が分からんといった風に肩を竦めると、再び新聞に意識を集中させる。一応、アタシ警告っぽいことは言ったからね。その時、時空管理局から協力要請があったのを思い出した。「忘れるところだった。ねぇソル」「………今度は何だ?」呆れたように新聞から視線を外し、首を回してアタシに向き直る。「実はね、厄介事なんだけど」こんな風に話を切り出した。SIDE OUTSIDE フェイトお風呂に入ってさっぱりしたというのに、私となのはは微妙に不機嫌だった。皆でお風呂に入っている間に、ソルがユーノに連れられて家に帰ってしまったから。「その時のお二人の動きはまるで忍者でした」とノエルさんとファリンさんが賞賛していた。最近ソルの態度が厳しい、冷たい、甘えさせてくれない。「いい加減兄離れしろ。これからどんどんお前らも成長して大人になっていくんだから、何時までも俺にくっ付いてたら周りに笑われるぜ?」以前、深々と溜息を吐きながら紡がれた言葉。ソルは私達のことを考えてくれた上で諭してくれたんだろうけど、ソルから離れるのは嫌だった。周りに兄離れ出来てないって笑われてもいい、ソルの傍に居たい。それこそ一生。なのにソルは何時もユーノと一緒に居る。男同士だから気安い関係なんだろうけど、それにしたって最近はユーノを贔屓しているように感じる。甘えられなくなったから尚更そう思ってしまう。これがユーノにとってはお門違いな嫉妬だというのは分かってるんだけど。なのはと二人で最近のソルとユーノについてブツブツ愚痴っていると、お布団の準備が出来たとのことなので、一旦止めてすずかの部屋に移動する。五人で向かい合いながら雑魚寝するような形になる。お布団に潜り込みながら皆と顔を突き合わせるようにして愚痴を再開する。だけど、ソルのことになると私もなのはも熱が入ってきて、愚痴から一転して自慢話になっていく。アリサとすずかはこれでもかと聞かされていた話だから終始苦笑いしていたけど、今まで接点の無かったはやてはソルの話を興味津々に聞いている。そして、話が一区切り付いた頃。はやてがぽつりと独り言のように呟いた。「なのはちゃんとフェイトちゃんはええなぁ~。私もソルくんみたいなお兄ちゃん欲しかったわ」「「ええええっ!?」」私となのはは驚愕の声を上げる。「何驚いてるん。眼の前でそんな自慢話されたら、誰でもお兄ちゃん欲しいって思うようになるんは不思議やないやろ?」「で、でも、ソルだよ? 眼つき悪いし怒ると凄く怖いよ?」「そうだよ!! それにとっても厳しいし、面倒臭がり屋なんだよ!?」アリサが隣で、「さっきまで自慢してたのは何処のどいつよ」って呆れたように言ってたけど聞こえない。「かと言ってそれだけやないやろ? 確かに見た目はちょっと怖いって初めて会った時は私も思っとった。せやけど、話してみると悪い人やないってのはすぐに分かったし、今日の私の発作の時の態度で心根が優しい人やって確信したんよ」はやての指摘に黙ってしまう。言う通りだからだ。ソルは物事に対して興味無さそうに我関せずって態度取ってるけど、実際は全体をよく見てるし、常に私達のことに気を配ってる。面倒臭いって口癖みたいに言うけど、なんだかんだ言って面倒見がいい。口調も態度もぶっきらぼうに見えて、本当は凄く優しいのを私は知ってる。「そんなソルくんが二人は大好きなんやろ?」私となのはは顔を真っ赤にさせながら頷くことしか出来ない。「ええなぁ~。二人が少し羨ましいわ」でも、両の腕を頬杖にして微笑むはやてを見て少し危機感を覚える。(はやてはソルのこと………どう思ってるのかな?)ソル本人は否定するけど、基本的にソルが取る行動は相手に好意的に映る傾向がある。必要だから、その時はそれが最善だったから、俺が勝手にやっただけだって言うけど、それ自体が善意として捉えられるということにソル自身が気が付いていない。私の時もそうだったし、今日のはやてのことだってそうだ。普段の生活でもそういう場面は多々ある。だから、本人が知らぬ内に周囲からは尊敬の眼差しを向けられ、好意を寄せられる。一言で言えばカリスマ性に近い。私もなのはも、ユーノもアルフもそれに惹かれているからこそ、一緒に居る。その観点からすれば、はやてがソルに対して好意を持つのはおかしいことではない。むしろ当然の結果だ。ソルの評価が私達以外の人から見て高いのは誇らしいし、純粋に嬉しい。仲間意識も芽生えてくる。でも、この危機感はそれとこれとは別だった。『なのは、はやてがソルのこと………』『うん。可能性はあると思う』なのはと念話で相談。『だとしたらどうしよう? 同盟入り? それともライバル?』『それは早計だと思うの。今後の展開ではお友達で踏み止まってくれるかもしれないから、結論は急がず、もう少し様子を見てからでも遅くはないよ』『そうだね。今は様子見ということで』『でも、もしはやてちゃんの気持ちが本気だったらその時は………』『その時は?』『その時になったら考えよう』『………うん、そうだね』そうと決まった訳じゃないけど仲間が増えて嬉しいような、新たなライバルが登場して負けたくないような、私の心中は複雑だった。後書き話あんまり進んでないorzアルフの趣味を全面的に支援しているのは高町家の女性陣ですwwwイース7予約してねぇや。特典欲しいから早めに予約しよう。追記うpして五分でタイトル変更しましたwwwなんかイマイチだったので