聖戦。法力によって生み出された生体兵器『ギア』が、主である人類に反旗を翻し宣戦布告を行い、日本列島消滅を皮切りに人類とギアとの間で勃発した全面戦争。およそ百年続いた戦争は辛くも『ギアの司令塔である“ジャスティス”の封印』という形で人類の勝利によって収まったが、百年という戦乱の時間は人類からありとあらゆるものを失わせた。激減した人口は当然として、戦争前の既存の技術や知識、伝統的文化など。終戦後、生き残った人々は口を揃えて言う。『地獄のような時代だった』と。ギアの襲来に怯えながら過ごす日々。一度ギアが現れれば一方的に虐殺される現実。街や村は瞬く間に蹂躙され廃墟と化し、老若男女問わず人間は皆殺しにされる。聖戦時におけるギアは人類の天敵であり、悪魔の象徴であり、恐怖そのものであり、生きた災害であり、世界の不条理と理不尽を詰め合わせた存在だった。しかしそんな絶望的な状況であっても、一握の希望がなかった訳では無い。聖騎士団。人でありながら常人を遥かに凌駕する戦闘能力を保持し、万軍を率いても倒せぬギアを、たった一人で群れごと駆逐する法力使いの戦闘集団。彼らは対ギア戦闘のエキスパート。人類に唯一残された最後の希望。これはそんな過酷な世界の中で、とある一人の少年が聖騎士を目指す切っ掛けとなった昔の話。GUILTY GEAR SIDE STORYHoly OrdersA.D.2074年に全てのギアを己の支配化に置いたジャスティスの宣戦布告により聖戦が勃発し、世界中に戦火が上がってから十数年が経過した。が、この十数年の間で世界情勢は劇的に変化して尚、人類は開戦から相変わらず劣勢に立たされており、ギアの猛攻をなんとか凌いでいるに過ぎない。聖騎士団が結成されても、それは変わらなかった。それも当然と言える。これまで兵器として扱っていた『便利な道具』全てが一斉に手の平を返して人類に牙を剥いたのだ。反撃も碌に許されず殲滅された国や軍は――むしろ『便利な道具』を切り札としていた国や軍だったからこそ――枚挙に暇が無い。時はA.D.2099年。今年で六歳となる“少年”にとって聖戦やギアという存在は、何処か遠い世界で起きている大変な出来事でしかなく、実感の沸かない話でしかなかった。悪く言えば対岸の火事だ。“少年”が暮らす地はスイスのド田舎。街と言うには規模としては小さく、観光に見合う特別なものも名産品も無い。山々に囲まれ物理的に人や物の流通が難しい地域で、農業や牧畜で日々の糧を得る慎ましい生活を送る住民達。非常に幸いなことに、戦争勃発から十数年経過したというのに未だに一度もギアの襲来がない。逆に都市部のような人口密集地及び国の首都、軍事施設や産業施設などはギアにとって最優先で攻撃対象とすべき場所であるからだろう。世界が何処も彼処も地獄絵図の阿鼻叫喚、と聞いても分からない。自分達には関係の無いことで。昔から連綿と続く文化と伝統。悪く言えば保守的で閉鎖的かつ排他的であるものの、A.D.2010年に法力が理論化された当時の町長がいち早く最新の技術である法力を受け入れるべきだと強く主張したことにより、今となっては関連する設備や人材は人口もそう多くない小さな街だがそれなりだ。法力はその超自然的制御法により無限のエネルギーを生産出来る。人間が生活する場ではかつてない程優秀で、一度手にしてしまうと二度と手放せない代物だ。しかも旧時代の機械文明と違い法力は環境汚染することはない、という自然を愛する人々にとって優しい――人間にとって環境問題的に非常に都合が良かった――技術だからこそ古い慣習が残る田舎でも受け入れられたのだろう。同時期に同じ理由で機械文明が世界的に全面禁止となったこともそれに拍車が掛かった。高い金を払って優秀な法力使いを一時的に外部から招き入れ、その便利で使い勝手のいい技術を教授してもらう。街の住民の生活は豊かになっていき、そして学んだ技術を次世代に繋げていく。だが新しい技術を手にしても長年続いた排他的な思想自体は根強く残り、半世紀以上の紆余曲折を経て最終的には法力による結界が街の『外』と『内』を作り上げ、ある種の隔絶された空間を展開していた。結界が張られてから数十年が経過し、住人は誰もが死の危険と隣り合わせで暮らす必要は無い、ある意味この世界で最も幸福な“箱庭”で生まれ育てば前述のような見解も仕方が無いだろう。この“少年”だけではない。街の住人は誰もが聖戦に関して『自分は関係ない』と思っていた。この街は、この土地は、此処で暮らす自分達はギアと何の関わりを持っていない。だから大丈夫、と。しかし、それでもギアの脅威は徐々に忍び寄っていた。戦火は世界中に広がり、全てのギアが抹殺対象としているのは全ての人類である。『自分は関係ない』という言い逃れを聞く耳をギア達は持ち得ていない。彼らが耳を傾けるのはジャスティスが放つ『人類完殺』という命令のみ。他に優先すべき攻略対象が存在していたが為に今日まで攻撃されなかっただけの話である。所詮、辺鄙な田舎の小さな街である。殺すべき人間は少ない。他にもっとたくさん殺せる場所はあるし、わざわざそんな所まで足を運ぶのは時間が掛かる。そんな労力を使うのなら近隣の街や施設を襲うなり一人でも多くの聖騎士団を減らした方がギア全体の為になるからだ。そうして楽観視していた日常は、唐突に終わりを告げるものだ。あの日はいつもと同じ何の変哲もない、平穏で退屈な一日になる筈だった。いつものように朝が訪れ、昼を過ぎ、日が暮れて闇夜が降りてくる。誰もがそれを疑わなかった。襲来は、本当に突然だった。何の前触れも無く、空から巨大なギアが降ってきた。鶏を絞め殺した時に聞く断末魔のような警報は、街を囲んでいる結界が壊された音。本来ならあり得ない、あってはならない音である。時刻は昼を少し過ぎた午後一時半。昼食を終えて眠くなってくる時間帯で、皆が皆気を抜いている瞬間でもあった。天気も快晴でとても気持ち良く、軒先で昼寝をしている猫を羨ましがる気分になってしまう――そんなタイミングで、だ。誰もが響く警報の音に呆然としている中、街のど真ん中に位置する住宅街に巨大な異形が突如落下し、十数件の家屋をその巨体で下敷きにする。自分の身体が落ちたことによって潰された人間が何人存在するかなど一切考えもせず、異形がゆっくりと身を起こす。とても大きな蛇。正確には蛇の姿に四肢と翼を足したようなドラゴン型ギアだ。全長は家を十数件纏めて潰してしまったことで分かる通り、百メートルは下らない。濁った血のような赤黒い鱗に全身を覆われ、四肢はとても筋肉質かつ鋭利な爪を持ち、顎には口の中に収まりきらない程大きな牙が上下合わせて四本生えている。背には空を覆い尽くさんばかりに広げた漆黒の翼が三対。何より特徴的なのが、二列に並んだ合計八つの眼。まるで蜘蛛のような配列であり、一つひとつがギョロギョロと獲物を探しているのか動く。大地に伏すように四つん這いとなっていたギアが、さながら蛇がとぐろを巻くような動作で頭の位置を上に移動させる。その行為によって住宅街が更に廃墟と化していくがお構いなしだ。そして、「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!」咆哮と言うには破壊力があり過ぎる音の衝撃波を発生させる。ギアを中心に爆発しかたのような暴風が荒れ狂い、不可視の衝撃波が無慈悲に範囲内の全てを薙ぎ払う。たった一声で住宅街は完全に更地と化し、瓦礫しか残っていない惨状はたった数分前の光景など見る影も無い。勿論、この時住宅街に居た人間は全員死亡。子どもも大人も老人も区別なく、ただの肉塊となり瓦礫に埋もれた。ギアとしてのサイズは大型から超大型に分類されるが、強さのランクは中級程度。それでも小さな街を潰すのには十分な、絶望的な悪夢の具現でしかなかった。そこに居るだけで見る者全てに死を感じさせる破壊の権化。被捕食者が捕食者を恐れるのと同じように、街の住民は誰もが根源的な恐怖を覚え、本能的に悟る。生まれて初めて眼にした存在ではあるが、アレこそがギアなのだ、と。人類が自ら生み出してしまった最凶にして最悪の敵。法力によって生み出され、法力を無限に行使し、人類を一人残らず抹殺する為に死と破壊を振り撒く邪悪の化身。――法力生体兵器 GEAR死の予感に恐怖し、最初に悲鳴を上げたのは自分の近くに居た男性だったと“少年”は記憶している。「ぎ、ぎ、ギアだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」ギアの進行により結界が破られた。街の住人が誰も予想していなかった最悪の事態。住宅街からかなり離れた繁華街からでも視認出来る巨体はまるで悪い冗談のようで現実感を喪失させていたが、これは紛れもない現実だ。男性の叫びによって恐慌状態に陥る街の住人達。法力使いを呼べと喚く中年の男性、逃げて逃げてと悲鳴を上げて走り出す若い女性、何が起こったのか理解出来ずただ立ち尽くす老人、逃げ惑う人波に弾かれ転び泣き出してしまう子ども。そんな周囲の人々の混乱など気にも留めず、ギアはその巨躯を折り曲げると口を閉じた状態で頬を大きく膨らませる。空気を入れた風船のようにどんどん大きくなっていく。その姿はネズミを丸呑みした瞬間の蛇そのものだったが、全くの逆だ。ギアは何かを呑み込んだのではなく、吐き出した。卵。てっきり火炎か毒液でも吐くと思えばさにあらず。やはり規格外の大きさを誇る、一個の卵が転がっている。吐き出したのではなく産んだと言うのが正しいか。そして産んだのが唐突なら孵化するのも唐突らしい。ギアの唾液か何かでテラテラと表面が濡れているのだが、それが乾く前にヒビが入り、割れる。中から一斉に飛び出したのは、姿形は巨大ギアをそのまま小型にしたギアの赤ん坊。しかし卵が一個でしかないのに何故か二十体近く存在しており、赤ん坊と言っても親が全長百メートルを超えているのでその子もまた牛より大きい。赤ん坊達は手当たり次第に襲い掛かってきた。腹が減っているのか、目に付いた動くものを片っ端から食らいつく。絶叫と恐怖が街を支配した。逃げ遅れた子どもが頭から丸呑みされる。錯乱し無謀にも立ち向かった若い青年が噛み付かれて下半身と大量の血痕だけをこの世に残す。数体に囲まれた老婆が次の瞬間には肉片となった。人が次々と殺されていく、食われていく。そこに区別や差別という概念は無い。たった一つ「人間だから殺す」という殺戮に向けた衝動が在るだけ。いつものそれなりに賑やかで平穏な繁華街は、地獄と化していた。「何してるの!? 早く逃げるわよ!!」知らない女性――若いお姉さんが“少年”の腕を掴んで無理やり走らせる。呆然としていた“少年”は我に返り、女性に引っ張られるように足を動かし、ギアの群れから逃亡を図る。「き、きっと、きっと街の自警団が退治してくれるわ……だって法力使いがたくさん居るんだもの、あんな化け物、法力で一撃よ……」荒い呼吸で、恐怖に押し潰されないよう“少年”に対してではなく自分に言い聞かせるように言葉を紡ぐ女性。“少年”の腕を掴むその手はブルブルと震えていた。街の自警団に所属している者の大半は、この街にある学校で法術科という学科を優秀な成績で収めたエリート達だ。ただでさえ法力使いは街の中で何かと優遇され、憧憬を集める存在。女性の言葉を聞き、“少年”も漠然と法力使いがなんとかしてくれると思った。やがて騒ぎを聞きつけた自警団が現れ、ギアの群れと戦闘を開始する。それを眼にした者達は誰もが助かったと安堵の吐息を吐くが――血飛沫が舞う。自警団が、法力使いが、一人、また一人と食い殺される。そんな眼を疑うような光景が繰り広げられていく。火炎に焼かれても、雷に貫かれても、風に切り裂かれても、水に押し潰されてもギア達は意に介さない。雨霰と降り注ぐ法力の嵐をその身に受けながら、傷ついた瞬間再生しつつ猛然と迫り、お返しとばかりに貪り食う。ギアは擬似的な不老不死。彼らには老いも病も無く、怪我を負ってもたちどころに傷を治す再生能力を有している。全身を構成しているギア細胞が無限に増殖し、細胞一つひとつが無尽蔵にエネルギーを生産するからだ。元より彼らはそういう『生き物』であり、補給やメンテナンスを必要としない『兵器』として生み出された。生物としての枠組みで見るなら、遥かに人類を超越したカテゴリーの生命体。所詮片田舎に住む実戦経験の乏しい法力使い達では、たとえ相手が一体であろうと勝つのは不可能だ。それぞれの経験値がせいぜい家畜や農作物を荒らす害獣退治程度。ギアと害獣を比べることすらおこがましい。子猫をイジメて粋がっている小僧に虎と戦えと言っているようなものだ。敵わない、勝てっこないとやはり街の住人と同じように恐怖に屈した自警団が逃走を試みるが、そう判断する頃には既に囲まれていた。そこからは一方的な虐殺劇。丸呑みにされる者、バラバラにされる者、死に様はそれぞれだったが、全てが無残に散っていくのは同じ。「あ、ああ、あ」呻き声を零しつつ“少年”の腕を掴んでいた女性がその手を放し、がっくりと膝を着く。無情な現実、先には餌になる未来しか見えない絶望。死は回避出来ず、今逃げたところでほんの少し死ぬまでが延びただけと判断したのだろう。諦観に染まったその瞳には光を映していない。この時“少年”はなんとかしなければと思った。だが何をすればいいのか、自分には何が出来るのか、まだ六歳の幼児と呼ばれても反論出来ない“少年”には分からなかった。大の大人でも恐慌するような最悪の状況下で、驚くべきことに“少年”の心は恐怖に屈していなかった。恐怖を感じなかった訳では当然無い。ただ、何かしなければいけないという強い義務感が先に立って、恐怖を強引に押さえつけていたのだ。やがて街の自警団――法力使い達が一人残らず食い尽くされ、ギアの群れの一体がこちらを向き、次の獲物として狙いを定める。俊敏な動きで瞬く間に間合いを詰めたその内の一体が、大きく口を開け“少年”と女性を呑み込もうとする。口腔の中に生え揃ったナイフよりも鋭い牙が引き裂かんと迫り、「てぇぇやああああっ!!」裂帛の気合と共に横合いから飛び出した何かがギアを突き飛ばす。「え?」“少年”と女性を食おうとしていたギアは紅蓮の炎に包まれ、暫しの間苦しみ悶えるように路面をのた打ち回っていたが、やがて事切れたのか仰向けのまま動かなくなり、最後には完全に焼き尽くされ黒い燃えカスとなっていた。目の前に知らない男性の後姿がある、自分達をギアから庇う形で存在している。この男性が自分と女性を助けてくれたのだ、と“少年”はすぐに理解した。後姿なので顔は見えないが、背格好からして二十代前半か中盤だろう。かなりの長身で、大きな体躯だ。長い黒茶の髪を後頭部で結わえポニーテールにしている。上は赤いジャケットを羽織り、下は黒いデニム生地のズボン。上下共に『RIOT』と小さくプリントされているのでジャケットもズボンも同じメーカーだ、とまで分かる程“少年”にそんな余裕は無い。だが特に眼を惹くのが、左手に持っている岩の塊だ。武器としてはあまりにも無骨で、まるでそこら辺に転がっていた岩を削って無理やり武器として使っているかのような出で立ち。一応、剣か鎚として扱っているらしく柄のようなものが申し訳程度に拵えてあり、そこの部分を逆手で握っている。同胞を一撃で屠られたことに動揺したのか、ギア達の動きが一瞬止まり、その僅かな隙を男性は見逃さない。鋭く踏み込み、一気に間合いを詰めると近くに居たギアに向けて岩の塊を力任せに振り下ろす。見た目通り、切れ味のいい刃物で斬る、ではなく超重量で叩き潰す鈍器を使うような戦い方だった。グシャ、と潰す音を立ててギアが一体粉砕される。再生が不可能な程にぺしゃんこだ。素人目でも絶命したのが判別出来た。ジャアアアッ!! と耳障りな咆哮を上げ怒り狂った他のギア達が一斉に男性に飛び掛かる。危ない、そう叫ぼうとした刹那、「黙ってろ、雑魚が」忌々しいとばかりに呟いて、鉄の塊を一薙ぎ。ただそれだけの動きで男性とその周囲には爆炎が発生し、そこに飛び込んだギア達が纏めて蒸発するかのように消し飛んだ。肉が焦げる嫌な悪臭が漂う中、“少年”は男性の一挙手一投足から眼を離せなくなっていた。今の今まで街の人々を餌として食らっていたギアの群れが、一瞬で殲滅された。自警団が手も足も出なかった相手を圧倒する強さ。その背中が、ギアに屈さぬ後姿がとてつもなく大きく感じる。「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!」その時、遠くから巨大ギアが吼える。これまで産卵の疲労により休んでいたのか、自分の子ども達の様子を窺っていたのか知らないが、どうやら今度はあれが直接動くらしい。身体も大きければ移動する時の音も大きく、轟音を鳴らしながら行く手を阻む建築物を踏み潰しながらこちらに近付いてきた。「……どいつもこいつもギャアギャアと鬱陶しい」恐れ慄くどころかイライラしたような口調で男性は吐き捨てると、左手に携えた岩の塊に炎を纏わせ、巨大ギアに真正面から突っ込んでいく。臆することなく、怯むことなく。その後姿は子守唄代わりに聞かせてもらった御伽噺に登場する勇者みたいだと“少年”には映った。そして、「消し炭になれっ!!!」死傷者と行方不明の合計が街の住民の約二割に達し、住宅街を失い繁華街は血の海に沈んでしまったが、あの炎を操る男性が現れなければ街は廃墟と化し住民は皆殺しにされていただろう。“少年”は男性が巨大ギアを倒した後、緊張の糸が切れて気絶してしまい、そのまま丸一日眠っていた。次の日に眼を覚まし、男性に一言助けてくれたお礼を直接言おうと思ったが、残念ながら男性は早々に街を後にしたと聞く。なんでもギアを狩る旅をしているらしく、近隣にギアの気配が無い以上、街に長居するつもりはないとのこと。せめて名前だけでも知りたかったが、男性は一切名乗ろうとせずたった一言だけ「ただの賞金稼ぎだ」と言い残して去ってしまったという。お礼が言えなかったことは確かに心残りだが、どうしようもなかったので諦めることにする。……それにしても――昨日の出来事を改めて思い出す。絶体絶命の危機に颯爽と現れ、ギアを倒し自分達を助けてくれた命の恩人である法力使いの男性。あの後姿が、脳裏から離れない。眼を瞑れば男性の勇姿が鮮明に描き出された。やがて“少年”は、あの男性のように自分も人を助けられる存在になりたいと真剣に考えるようになる。男性が救ってくれたこの命を使って、今度は自分がギアに苦しめられている人々を助けるようにならなければ、と。“少年”の名は、クリフ=アンダーソン。この時の年齢は六歳。後に人類の精鋭『聖騎士団』に志願し、西洋人で初の『“気”の法力』を体得し、一撃で竜を屠る強さから一騎当千の『ドラゴンスレイヤー』と謳われ、騎士団の団長に就任し半世紀以上も最前線で戦い続け、その間にジャスティスと十七回も死闘を演じ、そして、A.D.2172年に七十三年の時を経て、互いに互いを気付かぬまま自分を助けてくれた男性その人に『神器“封炎剣”』を託す人物である。後書きいや、その、こんな外伝よりも本編の続きうPしろよって話なんですが。書いちゃったんだからしょうがないよね……?何故この話を書きたくなったかと言いますと、まあ、アニメやコミックの影響です。ん? なんかこれ、なんか若干設定がパチもんくさくね?∠(゚Д゚)/イェェェェェェェェェェェガァァァァァァァァァァ!!!!!とまあ、終わった話は置いといて。ぶっちゃけ執筆時間が取れません。ハンターライフが忙しいのです。武器防具作る為に狩りに出て剥ぎ取って宝玉出なくてorzになればごく稀にポロッと出てきて∠(゚Д゚)/イェェェェェェェェェェェガァァァァァァァァァァ!!!!!プレイ時間がいつの間にか200時間超えまで目前だしランクも100超えそうだしで、友人から「お前やり過ぎ!!」と言われる始末。次回は本編の続きを今月中、いや来月中にうPできたらいいな、と思います。ではまた次回!!