夕食は豪華なものだった。山の幸と海の幸をふんだんに取り揃えた料理。どれもこれも文句のつけようが無いものだった。ある程度食い終わった頃、此処で大人陣営に酒が投入された。それからは宴会、いや、宴会というよりはただの乱痴気騒ぎとなってしまった。自重しない桃子と忍の二人が筆頭になって、恭也に無理やり酒を飲ませた。士郎はそれを横目にしつつも止める気配が無い。美由希は顔を真っ赤にしながらパッカパッカと酒を空け、その隣でファリンが空いたグラスに酒を注ぐ。アルハラによって早々にダウンする恭也。何の脈絡も無くいきなり倒れる美由希。部屋の隅で黙々と飲み続ける士郎。桃子と忍も、恭也を潰している間に自身も相当飲んでいたようでほんのり顔が赤い。そんな二人に酒瓶をこれでもかと渡すノエル。未成年者の三人娘は暴走する桃子と忍にドン引き。既に酔っ払いと化した桃子と忍はついに俺達に絡み始めてきた。俺はトイレに行く振りをしてその場を早々に離脱。その間に三人娘が絡まれる。やれ歌え、一発芸をしろ、好きな男子の名前を叫べ、とかなんとかギャーギャー騒いでいる。迷惑極まりないな。反応に困った三人娘はどうしたかというと、生贄としてユーノを二人に献上するという意味不明な結果に至るが、当の二人はそれで満足したらしく、哀れな生贄を揉みくちゃにしている。その光景は、乱暴な幼児に玩具にされるぬいぐるみを連想させた。誰かあいつら止めろ。やれやれと溜息を吐きながら俺は士郎の隣に座ると、士郎は傍にあったつまみを皿ごと渡してくれる。それに礼を言ってから、眼の前で繰り広げられるカオス空間にもう一度盛大に溜息を吐いた。こうして夜が更けていった。乱痴気騒ぎが終了し、誰もが寝静まった深夜。既に日付が変わったにもかかわらず、布団の中の俺は眠らないで天井をじっと見ていた。(そろそろか)布団から抜け出すと、立ち上がって首を回す。「お兄ちゃん?」「あ? 起きてたのか」「うん。眠れなくて」なのはが自分の布団から出てきて立ち上がる。とりあえず俺となのはは、ボロ雑巾みたいになって動かないユーノを引き摺りながら部屋を出る。薄暗い廊下をなのはと二人で歩き、そのまま玄関へ向かう。旅館の外へ出て、昼間にフェイトと歩いた散歩道コースを進む。その時、ジュエルシードの気配。「どうする?」「………この先に、フェイトちゃんが居るんだよね」「俺は危険があるか無いか確かめに行くだけだが、お前は?」「………」なのはは答えない。まだ自分がどうすべきか悩んでいるようだ。繁華街での暴走以来、ジュエルシードは思っていたよりもかなり危険な物だと分かった以上、回収しない訳にはいかない。だが、フェイトが―――具体的にはその後ろに居る人物が―――そんな危険物を求めている。目的は不明。俺やなのはは勿論知る訳無ぇし、もしかしたらフェイトも知らないかもしれない。真実は分からんがあんなもんを幾つも必要としている時点で、俺の予想じゃ十中八九碌なことじゃねぇ。しばらく黙っていたなのはが口を開く。「………お兄ちゃん、私行くよ。行って、フェイトちゃんに直接聞くんだ。どうしてジュエルシードが欲しいのか」「俺から聞いたんじゃねーかって言われるだけだと思うぜ?」「そうかもしれないけど、でも直接聞くことによって、フェイトちゃんがどれだけ本気なのか見極めたいんだ」なのはの眼は本気だ。これだけは俺に何と言われようと成し遂げる、そんな気概が感じられる覚悟の眼だ。こいつは物分りが良いように見えて、実はかなりの頑固者だ。一度自分から言い出したことは途中で投げ出したりしない。「………好きにしろ」「うん!!」俺はやれやれと溜息を吐き、なのはを連れて歩き出した。フェイトとアルフが居たのは丁度池に掛かる橋の真ん中辺り。俺達に気付いて、二人が振り返る。「レイジングハート、セットアップ」<了解しました。set up>デバイスを起動して一瞬でバリアジャケットを纏うなのは。そんななのはを警戒したアルフが四つん這いになり、同時に肉体を人間の女性から狼へと変化させる。「あいつ、使い魔だ」「使い魔?」「生きてたのか、ユーノ」急に存在を主張するように発言したユーノに、聞き慣れぬ単語に疑問を持つなのは、すっかりユーノの存在を忘れていた俺。「生き返ったよ、今ね!! ていうか、尻尾掴んで逆さ吊りは酷くない!? さっきから何度か顔に地面がぶつかってたんだけど!!」「あ、スマン。持ち易くて、つい」「謝罪を述べる前にまず放してくれ!!」俺は手を放してユーノを自由にしてやる。「………何か揉めてるみたいだけど、そうさ。アタシはフェイトの使い魔。この子に作ってもらった魔法生命。製作者の魔力で生きる代わりに、命と力の全てを懸けて守ってあげるんだ」ほえ~、となのはが感心している。「封印はもう終わったか?」「うん、もう終わったよ」俺はそんなアルフとなのはを放置してフェイトに話しかけると、柔らかな笑みが返ってくる。「そうか、じゃあ俺はもう用は無ぇ」言って一歩下がると、橋の欄干に背を預け腕を組んで傍観に徹する。なのはが一歩進み出る。「私がジュエルシードを集めるのは、それがユーノくんの探し物だから。最初はただ面白そうなことをお手伝い感覚でやってただけなんだけど、前にジュエルシードが暴走した時に街に被害が出ちゃってね。不幸中の幸い死者は出なかったんだけど、傷ついた街を見て私は思ったの」これはなのはのフェイトに対する決意表明。「もう、二度とこんなことが起きないように全力全開でジュエルシードを回収する。魔法に関係無い人達を魔法のことで巻き込まれないようにするって。それが私のジュエルシードを集める理由」レイジングハートを握る手に力が篭る。「フェイトちゃんは?」問われたフェイトは、俺をチラッと見てからなのはに視線を戻す。「ソルから聞いてる筈」「私はフェイトちゃんの口から直接聞きたいの」「………ある人が、ジュエルシードを欲しがってる。その人にジュエルシードを集めろって言われたから。理由は知らない。でも、その人の為なら何でもするって決めたから」バルディッシュをなのはに向けて、「戦う」自分の意志を告げる。「………」「………」数秒の沈黙。睨む合う二人の少女。ユーノとアルフも緊張したように相手を警戒する。「お互いが持ってるジュエルシード一個を賭けて勝負しよう」なのはが口火を切る。「わかった」フェイトが了承する。二人は同時に飛行魔法を発動してふわりと浮き上がり、デバイスを構えて対峙する。「私の名前は高町なのは」「………フェイト・テスタロッサ」賭けるものはジュエルシード。ぶつかり合うのは魔法と意志。HEVEN or HELL ―――勝てば天国 負ければ地獄<Lancer mode><Scythe Form>DUEL「「いきます!!!」」背徳の炎と魔法少女 6話 Let`s Rock桜色と金色の光が真夜中の暗闇を彩るかのようにぶつかり、弾け飛び、またぶつかり合う。スピードを武器に接近戦に持ち込むフェイト。何合かの打ち合いの末、接近戦では速度の面で不利と悟ったなのはが大きく後退して距離を取る。それを自慢の高速機動で追うフェイト。「ディバインシューター!!」簡単に距離を潰されてはたまるかと、誘導性のある魔力弾で牽制するなのは。よく見ればレイジングハートが何時の間にかシューティングモードになっている。迫り来る桜色の魔力弾をフェイトは避けるが、追尾してくる所為で思うようになのはに近寄れない。幾つもの魔力弾が執拗に付き纏う。「このっ!!」近付けないことに痺れを切らしたフェイトが、手に持つ鎌で魔力弾を斬り裂き無効化する。その時、一瞬動きが止まった隙をなのはは見逃さなかった。「ディバインバスター!!」極太の砲撃魔法が放たれる。以前、繁華街での戦いで初めて使った遠距離魔法。桜色をした暴力的なまでの魔力がフェイトに襲い掛かる。<Blitz Action>しかし、なのはの砲撃はフェイトの超高速移動魔法で避けられる。瞬きする間も無くなのはの斜め上空を位置取ったフェイトは、その手をなのはに向け、「フォトンランサー」<Multishot>「ファイア!!」生成したスフィアから金色の雨をお返しとばかりに降り注ぐ。<Protection>「くっ」あまりの弾幕の多さに逃げ場が無い。その場で防御魔法を展開させて耐え忍ぶ。だが、そんななのはに、自らも弾丸として飛び込んできたフェイトが鎌を振りかぶって肉薄する。それに気付くと、プロテクションを解除。ランサーモードに切り替え迎撃。「はあぁぁぁぁぁぁっ!!」「やあぁぁぁぁぁぁっ!!」上段からの鎌の振り下ろし、下段からの掬い上げるような槍の逆袈裟。―――ガギィィィッ!!耳を劈くような金属音と弾ける火花。―――ギンッ!!両者が同時にデバイスを振り払う。フェイトがこのまま接近戦に持ち込もうとするが、「フンッ!!」なのはが槍を振り払った動きから流れるように蹴りを放つ。「ちっ」舌打ちしながらなんとかバルディッシュで蹴りを受け止める。しかし、蹴った反動を利用してなのはが距離を取る。また最初に対峙していた時と同じくらいの距離が空く。自慢のスピードと得意の接近戦で活路を見出したいフェイト。中、遠距離攻撃による牽制と砲撃で押し切りたいなのは。まさに一進一退。距離を稼ぎたいなのはと、距離を潰して戦いたいフェイト。戦いは、今のところイーブンだった。俺は二人の空中戦を観察していると、「なのは!! 今サポートを!!」「おっと、アンタの相手はアタシだよ」「っ!? ぐっ!!」すぐ傍で、即座に防御魔法を展開したユーノにアルフが飛び掛っていた。バリアブレイクでも仕込んであるのか、硬い防御を誇るユーノの魔法に罅が入る。しかし、それでもバリアが破れないと理解したのか、アルフがその場をすぐに飛び退く。「ソル、フェイトから聞いたけどアンタは見てるだけなんだろ?」「ああ、なのはにもフェイトにもそう言った筈だ」「な!? そうなのかソル!? 僕は聞いてないぞ!!」「ああ? なのはから聞いてないのか?」「………聞いてない」しょんぼりと項垂れるユーノ。「何度も言うようだが、ジュエルシードの封印なら手伝ってやるが、その後の所有権なんぞ俺にはどうでもいい。欲しかったら勝手にしろ。俺は知らねぇ」「そ、そんな………」「ユーノには悪いが、ジュエルシードが海鳴市から消えてくれりゃ万々歳だ」「アハハハハハ、残念だったね。ソルは加勢してくれないってさ」「それはそっちも同じだろ!!」笑うアルフと叫ぶユーノ。狼がフェレットを馬鹿にして、そんな狼にフェレットが憤慨する。冷静に見てみるとなかなかシュールな光景だ。こっちもこっちで見てて面白いかもしれない。「ま、アタシはフェイトが信じるソルを信じるよ。ってことで、フェイトの邪魔しそうなアンタはアタシが相手してやるから感謝しな!!」俺からユーノに向き直ると、牙を剥き出し、再びユーノに襲い掛かる。これをユーノは先程と同じように防御魔法で受け止めて、「こうなったら仕方が無い、こっちはこっちで勝負だ!!」勇ましい声を上げて緑色の円環魔法陣を浮かべると、転移魔法を発動、アルフを連れて何処かへ消える。俺はそんな二匹(片方は一人だが)を見送ると、再び視線を上空へと向けた。なのは視点牽制のディバインシューターを操りつつフェイトちゃんの動きをしっかり見極める。初めて会った時から分かっていたけど、フェイトちゃんは私ではとても追いつけない程速い。戦い始めてすぐに何合か打ち合ったことで改めて認識させられた。速さでは勝てない。特にデバイス同士のぶつかり合いでの至近距離だと、まず勝ち目が無い。これまでは接近されても何とか離脱出来てはいるけど、それが何時まで持つかも分からない。体力も魔力も集中力もそろそろ限界に近いし。それは相手も同じだとは思うけど。(此処まで持ってるのは、ディバインシューターと槍の稽古に付き合ってくれた恭也お兄ちゃんとお姉ちゃん、牽制の仕方を教えてくれたお兄ちゃんのおかげだね)フェイトちゃんと初めて会ったあの日、私はお兄ちゃんに戦い方を教えてもらおうと思っていたけど、お兄ちゃんは自分よりも恭也お兄ちゃんを推薦しました。お兄ちゃん曰く『仮想敵をフェイトとして訓練するんだったら、俺よりも兄貴を相手にしないと逆効果だぜ』とのこと。理由を聞くと、根本的な戦い方の違い、戦闘スタイルがフェイトちゃんの場合はお兄ちゃんより恭也お兄ちゃんに近いそうです。お兄ちゃんの戦闘スタイルは基本的に、一撃必殺を軸としたパワーと火力で押し切るタイプ。一方、恭也お兄ちゃんとフェイトちゃんは持ち前のスピードと手数の速さと多さ、そして攻撃したらすぐに離脱するヒット&アウェイを軸とするタイプ。どちらを相手に訓練した方がいいのかは明白だった。でも、お兄ちゃんは自分より速度が上回る相手と戦う場合はどうすればいいのか、そのことだけはしっかり教えてくれた。まず一つ目、『相手の距離に付き合うな』何も相手の得意とする距離でわざわざ戦ってやる必要は無い。自分が得意な距離で勝負しろ、と。次に、『スピードに撹乱されないように思いっきり距離を取れ』至近距離で高速機動された場合、ほとんど眼で追いつくことは不可能だからその速度に翻弄される。ならば相手の全身像が見えるぐらいに離れれば惑わされることはまず無い、と。三つ目に、『無駄な動きをしないでどっしり構えろ』こちらの無駄な動き一つが相手にとって最大のチャンスになる可能性がある。だから隙を見せるな。必要最小限の動きのみで対処し、何時でも動けるように構えていろ、と。最後に、『もし接近されそうになったら何が何でも距離を稼げ』相手の距離になってしまったら敗北は必至。そうなる前に迎撃して即離脱しろ、と。それから牽制攻撃についても色々教えてくれた。どうやって牽制し、それからどうするのか。牽制が上手くいけば相手をコントロールすることも可能だと。牽制攻撃で隙を作り、そこに本命を叩き込む。これは実践込みで教えてくれたけど難しかった。(でも………フェイトちゃんも凄い)これでもかと牽制攻撃と本命の砲撃を打ち込んでいるのに、一発も当たらない。潰されたディバインシューターは数知れず、ギリギリのところで避けられたディバインバスターは十発を越える。『<マスター、戦闘開始から十五分が経過しました>』『うん、フェイトちゃんもかなり焦れてきたよね?』『<楽観は出来ませんが、恐らく>』レイジングハートと念話でやり取りしながら、お兄ちゃんの言葉を思い出します。―――牽制攻撃の所為で自分の距離で戦えないとしたら、相手はどうすると思う?―――絶対とは言えないが答えはだいたい三つ。相手より優れた牽制をするか、現状を打破する為に牽制攻撃を被弾覚悟で吶喊してくるか、一か八かの賭けとして大技を放り込んでくるかだ。『<自分の方が相手より優れた牽制攻撃を持っているのなら、今までに一度も使ってこない筈がありません>』『つまりフェイトちゃんは、特攻を仕掛けてくるか、大きい魔法を使ってくるかのどちらかになるよね』『<ソル様が仰っていたように必ずしもそうとは限りませんが、そろそろ勝負をかけてくると思われます>』フェイトちゃんがそれを仕掛けてきた時が、私達にとって最初で最後、最大のチャンス。『<呪文の先行詠唱をお願いします>』『うん、分かった』疲れが焦りを生み、焦りが勝負を急かすその瞬間を、私達は待ちます。SIDE OUTフェイト視点(………近付けない)分かっていたことだけど、なのはは凄く強い。以前、間合いを一瞬で詰めたところを見せてしまった所為で、私がスピード主体で戦う近接戦闘タイプだと見破られてしまった。あの追尾性能を持つ魔力弾、明らかに牽制目的の攻撃だけど、当たれば動きを簡単に止められてしまうくらいの威力が込められてる。一発でも当たる訳にはいかない。それに加えて砲撃魔法。牽制の魔力弾とは比べ物にならないくらいの破壊力を秘めている筈。牽制攻撃を潰した一瞬の隙を突かれた時、何とかギリギリ避けれたけどヒヤリとした。あんなもの、絶対に当たっちゃいけない。撃つまでに若干のチャージが必要だからかあまり連発もしてこないけど、逆に連射してくれた方が付け入る隙があるのに。なかなか私の距離で戦わせてくれないけど、よく此処まで一発も被弾せずに戦えてると自分でも思う。接近出来たとしても、上手く往なされて距離を空けられてしまう。牽制の仕方、こちらの隙の突き方、距離の取り方、接近された時の往なし方、どれも上手い。きっと、ソルから戦い方を教わってるんだろう。それが少し、ううん、かなり、いや、凄~~~~~~く羨ましい。『<Master>』『大丈夫、私は冷静だよ』私を心配するバルディッシュに返事をすると、高速で動き回って魔力弾を避けながら考える。中、遠距離では話にならない。かと言って近付けない。ならば、近付くにはどうしたらいいか?それに警戒すべきは魔力弾と砲撃だけじゃない。接近出来た時だけにデバイスを変形させてこちらを迎撃するあの槍。あれも絶対に何かある筈。隙があるとすればデバイスを変形している瞬間。だけどそれも一秒に満たない刹那の間だ。(でも、やるしかない)このままではジリ貧。戦い始めて二十分ぐらいは経過してる。そろそろ勝負に出ないと、高速機動と相手の攻撃の所為で、肉体的も精神的にも限界が近い。『バルディッシュ』『<Yes,sir>』覚悟を決める。今までのように魔力弾を掻い潜って近付く動きを止め、逆に距離を空けるように動く。後退する際、隙がなるべく出来ないように注意しながら全ての追尾してくる魔力弾を斬り払う。距離が、空く。此処が勝負時!!すかさず私は今まで使わなかった砲撃魔法を放つ。「サンダースマッシャー!!」「ディバインバスター!!」ほぼ同時に放たれた砲撃魔法がぶつかり合い、相手を押し潰そうと鬩ぎ合うけど、(押し負けるっ!!)純粋な砲撃としてはなのはが使う魔法の方が上。少し悔しいけど今はそれでいい。(もう少し、もう少し!!)身体から魔力がどんどん出て行く。その感覚に唇を噛んで耐えながら力を搾り出す。突然全身に掛かる重圧が増大する。なのはの砲撃魔法が威力を増したからだ。このまま押し切るつもりだ。それを待っていた!!(今っ!!)<Blitz Action>即、離脱。そのままなのはの視界の外、ブリッツアクションを連続使用しながら彼女の真上へと一気に上昇、接近する。目標ポイントに到達すると、バルディッシュを構えてなのはに向かって急降下。(捕らえたっ!!)そう思った瞬間だった。砲撃を止めたなのはがこちらを向く。デバイスは既に槍へと変形している。まさか、読まれていた!?「バルディッシュ!!」<Sir!!>もう今更急制動をかけたって遅い。でも、とてつもなく危険な予感だけはする!!「―――ゲイ」<刺し穿つ―――>槍の魔力刃が桜色の輝きと濃密な魔力を放つ。<Defensor>「ボルク!!!」<死棘の槍!!!>ディフェンサーが展開され私が身体を無理やり捻って避けようとするのと、なのはの槍の刺突が繰り出されたのは同時だった。一言後書きなのはの視点での書き方、ちょっとだけ変えました。