『クロノの結婚式』「クロノの結婚を祝して、乾杯!!」ユーノが取った音頭と共に皆がグラスを掲げてぶつけ合った。「「「「乾杯」」」」一気に酒を飲み干しグラスを空けると、皆は一斉に親父臭い溜息を吐く。今日の飲み会はユーノが言った通りクロノとエイミィの二人の結婚を祝してのもの。とは言え場所はソルの部屋で、面子はソルとクロノとユーノとザフィーラの四人という野郎だけ。酒の肴はスーパーで閉店前に安売りしていた惣菜とかつまみとかそんなもんである。管理局内でも”海の英雄”と謳われる人物の結婚祝いとしてはあまりにも侘しい、というか安上がりな酒宴だ。せめて何処かの店にでもと思ったのだが、ソルの部屋の方が余計な金と気を使わなくて良いってユーノが主張したからこうなった訳だが。クロノも特に文句を言わないのでこうなった。「ついこの前まで青臭いガキだったクロノが結婚か……時間が経つのは早ぇな」「お前から見たら誰だってガキじゃないか、この二百越えジジイ。僕はまだお前の十分の一くらいしか生きてないんだぞ」ソルの独り言を聞いてクロノが半眼になった。この程度の軽口の叩き合いは何時ものことである。「とりあえず、結婚おめでとうと言っておいてやる。俗に言う人生の墓場へようこそ」「人生の墓場だと? それは嫁候補が六人居るソルにとってだろう? とりあえず、ありがとうと返そうか」「…………」「いや、そこで沈痛な表情になって黙るなよ。本当に人生の墓場っぽいじゃないか」見事なカウンターをもらい何やら急に暗い雰囲気を纏い始めたソルを見て、クロノは悪いことを言った気分になってきた。そんな二人をほったらかしにして、ユーノとザフィーラは買ってきたつまみの焼豚に箸を伸ばしながら話す。「それにしても、結婚するって聞いてから実際に結婚式挙げるまで随分時間掛かるもんだよね。恭也さんと忍さんの時は準備期間三ヶ月くらいで挙式だったのに」「普通は一年近く掛かるものらしいから、おかしくはないぞ。仕事の合間を縫って式場の下見をしたり、打ち合わせをしたり、予約を取ったり、招待状を送ったり、その他諸々の手配をしたりなどがあると聞く」「そう考えるとクロノは早い方なのかな。恭也さんと忍さんの結婚式って結局身内だけでひっそりと済ませちゃったもんね」「式場は聖王教会だから簡単に押さえられたと聞く。身内贔屓のおかげで式場の費用に関してはそれ程掛からんとも聞いたな」「だってさ、ソル。参考になった?」「うるせぇ黙れ焼くぞ」ユーノが話をソルに振ると、彼は不機嫌な声を出し箸で焼豚をズドッと突き刺してそのまま口に放り込んだ。「本来なら去年中には式を挙げる予定だったんだが、他の契約者の方々とギルド組織について動いていたら何だかんだで年内には無理、という風になってしまったんだ」「オイ、それは俺に対する当て付けか?」「へー、エイミィさん、よく怒んなかったね。結婚式って女性にとって人生の一大イベントでしょうに」「家庭を持つのならこれまでのような仕事一筋も程々にしておいた方が良い。ソルでさえ仕事よりも家族を優先しているからな」「その所為で俺の休みはガキ共とあいつらに全部費やされてるがな」ダラダラ酒を飲み続ける野郎四人。「ていうか、結婚式の前夜に新郎がこんなとこで酒なんか飲んでていいの?」「僕だってパアーッと飲んで気晴らししたいと思う時くらいあるさ。今日まで漕ぎ着けるのに大変な苦労を強いられて、トドメの明日は疲労困憊になるのが眼に見えてるんだ。酒でストレス解消して何が悪い」最早今更としか言えないユーノの問いに、クロノは不敵な笑みで答える。「まあ、明日に備えて英気を養うよりも、ストレス無く結婚式に臨んだ方が良いかもしれんな」言いながらザフィーラは素手でビール瓶の栓を抜く。「気晴らしは別に構わねぇが、飲み過ぎて潰れんなよ。明日は朝早ぇし、新郎が二日酔いとか洒落になんねぇからな……一応薬は用意しておいてやったが……シャ丸印の怪しい奴を」言葉尻に不穏なことを付け加えるソル。そんな得体の知れない薬品の世話にだけは絶対にならないようにしよう、誰もがそう思いながら飲むペースを自重し酒宴は続いた。翌日。シャ丸印薬品の存在のおかげで誰も酔い潰れることはなく、無事に朝を迎えることが出来た。新郎控え室。「鬱陶しいから落ち着け」正装に身を包み長い髪をオールバックで纏めたソルが、室内を落ち着き無くウロウロしていたクロノに軽い蹴りを放つ。「だ、だ、大丈夫、僕は冷静だ、まだ慌てるような時間じゃない」全然そうは見えないクロノに、三人は呆れてそれ以上何も言えない。座っては貧乏揺すり、立ち上がっては室内をウロウロするクロノにいい加減腹を括れと何度も言ったのだが、どうも緊張してしまって上手くリラックス出来ないらしい。「仕方が無い。此処は僕が小噺をしてクロノの緊張を解してあげよう」ユーノが小さく挙手をする。緊張を解してくれるのなら何でもいい、藁に縋る思いでクロノはユーノの話に耳を傾けた。「最近、ソルは不眠症なんだって」「オイ」「子ども達が居ないと不安で眠れないんだ」「待て、ユーノ」「何故なら、子ども達バリアーが無いと朝起きたら事後でしたなんてことが――」「ユーゥゥゥゥノォォォォォ!!!」左飛び膝蹴りからの右踵落とし――バンディットリヴォルバー――が決まり、ユーノは床に叩き付けられる。「……僕的にはこの話を聞いて笑ってもらえればリラックス出来るんじゃないかなと思った所存です」「俺が笑えねぇよ」「遠くない未来の話でもあるからね。キミが我慢しなければ何時でも誰とでも実現実行可能だし」「喧しい!! たまに眼が覚めた時にツヴァイの銀髪とキャロの桃色の髪見て、寝ぼけた状態で『アインとシグナムを犯っちまったのか!?』って戦慄してからエリオの赤髪を見て安心してる俺の気持ちを察しろ!!」「だったらエリオとだけ一緒に寝ればいいのに。むしろ犯っちゃえばいいのに」「そういう訳にもいかねぇだろ、特に後者は……マジであり得るから余計に」そんな二人のやり取りにクロノは思わず吹き出す。「く、く、ははははははっ、ありがとう。おかげでリラックス出来たよ」「こんな方法でリラックスされても不本意なんだが……」ソルが嫌そうに呻くと、更に声を上げてクロノは笑い、つられてユーノとザフィーラも笑い出す。漸く新郎の緊張が解れたことに、ソルは肩を竦めてやれやれと溜息を吐いた。聖王教会流の式は、それ自体は粛々と行われ特にトラブルも無く――あったら普通に困る――終わる。ウェディングドレスに身を包んだエイミィの姿に、集まった女性招待客は誰もが羨ましそうに見ていた。ちなみに、期待の眼差しがいくつも突き刺さったがソルは断固としてこれらを無視。視線を合わせたら負けだと思い、誤魔化すように祝福の拍手を送る。着実に外堀は埋まってきてるし、たまにではあるが頑なになっている自分が間違っているような錯覚を覚えてしまう時が存在するのだ。最近では周囲はおろか自分自身ですら油断ならないソルだった。で、結婚披露宴となるのだが、この日の為にリンディがカリムの伝手でベルカ自治領に存在するホテルを丸々貸し切って行われるらしい。会場の受付には、何故かクロノの直属の部下達――つまり現在のアースラクルー――の姿がある。日本だったら両家の親族の代表が受付を勤める場合が多いのだが、ミッドではそういう訳では無いのかもしれない。自分達から進んでやりたがったのか、もしくはリンディに雇われたのか、別にどちらでも構わないので聞きはしないが。「ご苦労だな」「あ、ソルさん。本日はお忙しい中、ありがとうございます」顔馴染みであるルキノと挨拶を交わし、同時に受付を済ませて会場入りを果たす。席次表に従って着席しようとし、テーブルの上に『背徳の炎ご一行様』と思いっ切り書かれた札を発見して慌てて引っぺがした。クロノがただの一般人であれば「あの馬鹿」の一言で済ませられるが、生憎管理局の中ではお互いに良い意味でも悪い意味でも有名人だ。ただの披露宴という枠組みを越えてある種の社交場と化している以上、余計な騒ぎを呼び込みたくはない。しかし、そんな願いは見事に外れて、周囲からは興味やら何やらの様々な視線が飛んでくる。おまけに――「ソルが披露宴にまで出席するなんて意外!! 面倒臭ぇとか言って絶対に帰ると思ってたのに」「よう」「お久しぶりです」さっきの式では碌に挨拶が出来なかったからって、ナカジマ親子(スバルは訓練校が寮生活である為来れないらしい)がやって来たのを皮切りに、クロノとソルに縁がある連中がわらわら集まって来たのだ。カリム、シャッハ、ヴェロッサの教会関係者。レティ、グリフィスのロウラン親子。なんでお前が此処に居るんだ準備はどうしたと問い詰めたくなるリンディ。まあ、そうそうたる面子が揃った訳だ。披露宴に出席している連中の九割が管理局の関係者である故に、注目度は更に跳ね上がってしまい……披露宴がまだ始まってすらいないのに、ソルは既に帰りたくなっていた。何時の間にかドンチャン騒ぎと化していた披露宴は、夜の十時を以って終了となる。最後に、疲労によって真っ白に燃え尽きている新郎新婦に挨拶を済ませ、ソル達は会場を後にした。流石に疲れたのか子ども達三人は途中で寝てしまったので、ツヴァイはソルが、エリオはユーノが、キャロはザフィーラがそれぞれおんぶしたまま高町家へ。地下室に子ども達を寝かしつけると、野郎共はそのままソルの部屋に向かう。三人で飲み直していると、ユーノが不意に真剣な表情なり、こう言った。「そう言えば、『背徳の炎には子どもが三人も居るのか!!』って噂になってたね」「……」それを聞いてソルは黙ったまま胡乱げな眼つきになる。「やはり頭髪の関係上、『アインとシグナムはソルの妻なのではないか』とも噂されていたな」ザフィーラが苦笑しつつ酒を煽る。「でもさ、エリオの存在のおかげでシャマルも負けてなかったよね」「うむ。あの喧騒の中でも大きな声ではっきりと『父さん』『母さん』と呼んでいたからな」あーだこーだ言い合う二人を尻目に、披露宴の終盤から今まで頭の上に乗っかっていたフリードを胸に抱えると、ソルはこっそり、実にさり気無くその場を抜け出して寝室に向かう。「キュク~?」「逃げてねぇ、逃げてねぇよ」「キュ、キュクルー」「うるせぇ、逃げ場なんざハナッから何処にも無いのは分かってる」「キュクル~」「お前までそんなこと言うな……畜生、四面楚歌だ」ぐだぐだ文句を言いながら、ソルはフリードを抱えたままベッドに潜り込んで眼を瞑る。意識を手放すまで考えていたことは、やはり今日のクロノとエイミィについてだ。”普通”に結婚した、ごく”普通”の夫婦。過去の自分が掴むことの出来なかった幸せを、クロノは至極当然のように掴み取った。あの二人の間にはいずれ子どもが生まれ、普通の家庭を築くだろうことは容易に想像出来た。羨ましい、という感情が全く無いと言えば嘘になる。同時に、その幸せを”今の自分”が望めば容易く手に入ることには気が付いていた。しかし――(これ以上幸せになっちまったら、俺は……間違いなく溺れちまうよ)今でも十分過ぎる程幸せなのに。自分は罪人で、本当なら幸せになってはいけない存在なのに。――『もう自分を責めるような生き方はしないで』――『次! 私と彼の分まで必ず幸せになって』――『最後に、フレデリックを大切に想ってくれてる人達を幸せにしてあげて』そもそも現在の状況が出来過ぎている。大切な仲間が出来て、愛する家族に囲まれて、信頼出来る友人が居る。これ以上の何を望む?これ以上の何を求める?これ以上の幸せを望んでしまっていいのだろうか?そんなことが罪深い自分に許されるのであろうか?そういった思いを振り捨て、つまらない意地など張らずに、いっそのこと開き直ることが出来ればどんなに楽だろう。(全く……我ながら贅沢な悩み抱えてるぜ)とりあえず、クロノとエイミィが末永く幸せで居られることを祈りつつ、ソルは眠りに就いた。背徳の炎と魔法少女 空白期θ Simple Life『訓練生の二人』陸士訓練校。ほとんどの戦闘魔導師のスタート地点で、現在でも最も数が多い空を飛ばずに戦う魔導師達が学ぶ場所。その中でもミッドチルダの北部に存在する第四陸士訓練校にスバルが入学して、早一ヶ月が経過した。「~♪」スバルは上機嫌に鼻歌を唄いながら、家から持ってきた写真を眺めている。と。「何見てるのよ?」「うわあああああ!?」背後から突然聞こえた声にスバルは慌てて振り返ると、「驚き過ぎよ」と呆れたような表情をするルームメイト兼仮コンビのティアナ・ランスターが居た。「ラ、ランスターさん、驚かせないでよ」「アンタが勝手に驚いたんでしょ。それより随分楽しそうだけど、アルバムか何か?」ティアナの興味が写真に向いてることを理解すると、スバルはニヘラと頬を緩ませ写真を手渡す。「誰この人?」「私の憧れの人」「だから誰よ」写真には一人の女性が写っていた。自分達よりもいくつか年上で、長い茶色い髪をサイドポニーで纏めている女性。柔和な笑みを浮かべている優しそうな印象ながら、意思の強い真っ直ぐな視線がただの美人ではないと思わせる。「高町なのはさん。まだ四回しか会ったことないんだけど、とっても優しい人なんだ」「名前だけじゃ分からないっての。アンタが憧れるっていうくらいなんだからこの人も魔導師なんでしょ? 管理局の人?」うんざりするように言うティアナの反応に、スバルはそれもそうかと思い直す。私達みたいな、まだ正式な管理局員ではない訓練生があの人達のことを詳しく知る訳が無い、ソル本人ではないのなら尚更だ、と。ソルとはかれこれ五年以上の付き合いになり、スバルの中ではたまに遊びに来る親戚のお兄さんくらいの感覚しかないのだが、そう感じること自体が稀有であるのを改めて自覚する。たぶんティアナは知らないだろう、だがいずれ知ることになる筈だ。だったら、今の内にちょっとくらい自慢してもいいかもしれない。まあ、もし自慢などしてもティアナは訳が分からないだろうが。「なのはさんについて説明する前に、ランスターさんに聞いておきたいことがあるんだけど、いいかな?」「何よ?」「ランスターさん、”背徳の炎”って知ってる?」刹那、ティアナの眼が大きく見開かれた。「え? あれ? もしかして知ってるの? だとしたら話は早いんだけど」「……まあ、ね……結構有名じゃない、知る人ぞ知るって奴でしょ? あたし達の同期にも名前くらいなら聞いたことある人居るかもね。で、その”背徳の炎”がどうしたってのよ?」重苦しい口調。此処には居ない誰かに向かって敵愾心を向けているような気がしたが、テンションが上がって自分のことのように嬉々として話し始めるスバルは気にしなかった。「えっとね、なのはさんは”背徳の炎”の構成メンバーの一人で、リーダーであるソル=バッドガイさんの義理の妹なんだって。ソルさん曰く『自慢の妹だがどうしてこうなった?』とか言ってたよ」「ふーん。やけに詳しいじゃない」「うん。だってソルさん、よくウチに遊びに来るから」「は?」聞かされた事実に眼を点にするティアナ。「今、何て言ったの?」「ソルさんがウチによく遊びに来るって――」「んなことあり得る訳無いでしょ!!」信じられるか!! と言外に大声を出し、そのままスバルに詰め寄った。「相手は次元世界を股にかける賞金稼ぎ集団”背徳の炎”よ!? そんな連中のリーダーが、あのチンピラみたいな男がアンタの家に遊びに来る? 冗談も休み休み言ってよね」ハンッ、と馬鹿にしたように笑うティアナの姿に呆気に取られていたスバルだったが、本当のことを言っただけでそれを頭から否定されたことに、ちょっとだけムッとなる。「嘘じゃないよ。だって私、ソルさんが賞金稼ぎとして働く前から知ってるもん。私の家族、ソルさんともう五年以上の付き合いになるんだよ」「そこまで自信満々に言うなら証拠見せなさいよ」意地の悪い笑みを浮かべて、ホラ早く、と急かすティアナであったが――「いいよ!! ランスターさんにギャフンと言わせてあげるんだから」臆するどころか胸を張ってそう言うと、スバルは荷物を漁り始めた。「嘘……でしょ」暫く待ってから見せられた写真の中には、まだ少年と呼んでも差し支え無い若かりし頃のソルの姿があった。まだ幼いスバルと姉のギンガ、二人の両親であるクイントやゲンヤも一緒だ。順繰りに見ていくと、少しずつ時間が経過しているのが分かる。特に成長期に入ったソルは顕著にそれが現れていた。写真を一枚めくるごとに周りの時間を置いていくようにグングン身長が伸びていく。やがてティアナがあの時初めて見た姿と何一つ変わらない姿になって、ようやく止まる。「見て見てランスターさん!! これがソルさんの家族とナカジマ家の合同集合写真。十七人も居るからフレームに収めるの大変だったんだ」一緒にバーベキューした時に撮ったんだよ、と付け加えるスバルの言葉などティアナの耳には入っていない。ただ、何処か複雑そうな表情で戸惑ったように写真を眺めるだけだった。よくよく考えてみれば、ソル=バッドガイは兄の命の恩人である。感謝こそすれ、恨むなど以ての外だ。だというのに、ティアナにはあの時の言葉を忘れることが出来ない。――『んなこと俺が知るか』つまらなそうに、興味など全く無さそうに、呆れたように言われたその内容は、兄の存在を真っ向から全て否定されたように感じた。だからこそ当時は許せなかったし、悔しかったし、見返してやりたかった。(だけど)その感情は子どもの一方的な八つ当たりに似た、否、完全無欠な八つ当たりであることは自覚している。先程スバルに見せてもらった写真を思い出す。そこには、家族に囲まれて優しく微笑むソル=バッドガイの姿が写っていた。噂で聞く、冷徹で狡猾な凄腕の賞金稼ぎなど何処にも居ない。とても信じることなど出来なかったが、スバルがこんな手の込んだ悪戯をするような人間ではないことをこの一ヶ月で知ったので疑う余地は無い。兄のことを救いながらも『知るか』と冷たく言い切ったソルと、スバル達と仲良く写真に写っているソル。どっちが本当のソル=バッドガイなんだろう?疑問に思ってから、止め止めと首を振って瞼を閉じる。明日も早い。訓練中はスバルがポカしないように余計な気を使わなくてはいけないのに、こんなことを考えている場合ではない。今自分がするべきことは、明日の為にしっかりと身体を休めること、それだけだ。もうすぐ訓練成果が発表されるんだし、と意気込むとティアナはそのまま眠ることにした。『十秒チャージ』なのは、フェイト、はやての三人は地下室で机に向かい、カリカリと勉強している。中学は無事卒業した。三人はそのまま中卒でソルの仕事を本格的に手伝いたかったのだが、当の本人であるソルが「高校は卒業する、そういう約束だったよな?」と言うので、渋々従うことに。ちなみにソルとユーノは中卒。これ以上学校に通うのは金の無駄だと言い張る二人は、学力において何気に天才だったのだ。ソルは分かるけど何故ユーノが中卒で許される!? という抗議の声はいとも容易く返されてしまう。「だって僕、ミッドとかじゃ結構有名な考古学者だよ。知ってるでしょ? 僕が何度か論文発表してたの」「悔しかったら俺やユーノみてぇに学位の一つや二つ取ってみろ」世の中理不尽だ、と嘆いたが現実が変わること無く、いいもんこうなったら花の女子高生になってやるよ畜生これで満足でしょ!! と三人は捨て台詞を吐き捨て高校に進学した。三人共、ソル(素粒子物理学の学位持ちの元科学者)に普段から勉強を教えてもらっている(実はかなりの英才教育、でもスパルタ)ので成績は優秀。加えて高校はエスカレーター式なので労せず入学出来たのだが、それがイコール予習復習をしなくていいという訳では無い。試験前ならば尚更だ。高校生初の期末試験に向けて、黙々とシャーペンを動かすのだが……「アカン」唐突にはやてが呟くと、シャーペンを放り捨て立ち上がる。「はやて?」「はやてちゃん?」訝しげな態度に疑問の声を上げる二人に対してはやては「なんでもない、少し外の空気吸ってくる」と手をパタパタ振って地下室を後にした。「んんんぅぅぅ~」パタンッ、と地下室の出入り口を後ろ手で閉め、大きく伸びをする。次に全身の筋肉をほぐすように腰を捻り、肩を回し首を動かして疲れを取ろうと試みる。「期末とはいえ普段からしっかりやっとるから、そこまで本腰入れんでも大丈夫な気がするんやけど、もしテストで悪い点取ったら仕事取り上げられるからなぁ」おまけにソルは出席日数にもうるさい。出来る限り出席しろと口を酸っぱくしている。此処数日は勉強ばかりやから気疲れするわ、と溜息を吐いて母屋へ。なんか軽く夜食でも作ろうか、そんなことに考えを巡らせながら冷蔵庫を覗くと、ある物が眼に止まった。『十秒で元気を取り戻せます』ラベルにそう書かれた栄養ドリンクが数本並んでいる。どうやら誰かが試供品をもらってきたらしい。「……これや!!」頭の上に電球が点ると、はやては転送魔法を用いて高町家を後にした。シャワーを終え、そろそろ寝るかと思っていたらインターホンが連打される。こんな時間に何処の馬鹿だ、知るかボケ、と無視を決め込んだが気の短いソルは六回目のチャイムで我慢が出来なくなり、舌打ちしてから受話器を取った。「誰だ?」『私、はやてや』不機嫌極まりないドスの利いた声に応対したのは、はやてである。何か用事だろうか? だったら何故電話か念話を使わない? というか、部屋に来る時はなるべく事前に連絡するように言ってある筈なのに、直接来るとはどういうことだ?夜の訪問者に対して抱いていた不機嫌は、はやてに対する疑問へと変わったが、まあ本人に聞いてみればいいか、と思い直してドアを開けた。「ソルくん!!」「ッ!?」姿を見せた瞬間、胸に飛び込んでくるはやての意図が分からず、ソルは眼を白黒させる。「何も言わずに私を抱いて」「はあ!?」お互い寝巻き姿でしかも季節は初夏。薄着越しに密着した柔らかい女の感触と体温は、唐突な発言も加わってなかなか破壊力があった。壊れ物を扱うように出来るだけ優しく、彼女の背と後頭部に手を回し、抱き締める。「はやて?」「……」訳が分からず声を掛けても、はやては黙して語らずただ甘えるように胸に顔を埋めていた。「誰かと喧嘩でもしたのか?」そうじゃない、という風に首が左右に振られる。「勉強、分かんねぇのか?」ふるふる。「じゃあ何だ? 言ってみろ。ちゃんと聞いてやっから」「ええねん」「何がだ?」「もうええねん。堪能したから」「は?」顔を上げたはやては満足そうな表情のままソルの首に手を回すと、背伸びをして頬に触れる程度にキスをした。そして、すぐさま離れる。「よっしゃ、十秒チャージ完了!! おかげでモチベーションMAX!! 気合入ってきたで、これでテスト満点や!!!」若干顔が赤くなった状態で高々と宣言すると、転送魔法を発動させ、はやては来た時と同じ唐突さで居なくなってしまう。一人取り残され、何がどうなっているのかさっぱり理解出来ないソルは――「……何だったんだ、一体?」呆然としたまま、虚空に向かって問い掛けるしか出来なかった。余談だが、これを機に十秒チャージが皆の間で広まった。更に余談だが、十秒チャージのおかげで三人娘の期末テストの結果は、学年総合上位十名に食い込んだのである。『我が家の守り神』夕食後、シャマルは一人自室に篭ってある作業に没頭していた。とても真剣な表情で、手馴れた手つきで一生懸命に。一週間程前から暇な時に時間を充てていたこの作業は、いよいよ佳境に突入。やがて、作業を開始してから一時間が経過し、”ソレ”はついに完成する。「出来た……!!」充実感と達成感が込められた歓喜の声を上げ、角度を変えて出来上がった”ソレ”を何度も眺め、変な所が無いか、失敗している部分が無いか確認した。それらしい所は見当たらない。完璧な出来である。「ふふ」人知れず満足気な笑みを零し、シャマルは”ソレ”を抱き締めながら、どうせなら皆に自慢しようと思い付く。ルンルン♪と鼻歌を唄いながら転送魔法を発動させ、八神家の自室から高町家の地下室へと移動。「じゃじゃん!! これを見てください、可愛いでしょう!?」転移してきて開口一番にこう言うシャマルに対して、皆は「いきなり何言い出すんだコイツ?」みたいな視線を向けるのだが、その手にしたものを眼にして呆然となった。その後のリアクションはまちまち。ユーノ、ザフィーラ、アルフ、ヴィータの四人は苦笑。ツヴァイ、エリオ、キャロのお子様三人は「わー」と感嘆の声を上げる。他の連中はというと――「シャマルさん、これどうしたの?」即座に食いつくなのは。「か、可愛い」おもむろに手を伸ばそうとするフェイト。「もしかして自分で作ったん?」感心するはやて。「……」無言だが、決して視線を”ソレ”から離そうとしないシグナム。「シャマル、千円、いや、二千円出そう。譲ってくれ」財布を取り出すアイン。ちなみにソルは別居してるのでこの場には居ない。「えっへへ。良いでしょう? 本とか見ながら頑張って作ったんですよ~」”ソレ”を愛おしそうに頬ずりするシャマルに対して、「私も欲しい」「譲って」「せめて自分で作るから作り方教えて」などなど口々に言う。「しょうがないですね~。そこまで言うなら教えてあげてもいいですよ」こうしてシャマル指導による”ソレ”の作り方が始まり、この日から一週間程度は時間がある時に皆でくっちゃべりながら制作作業を楽しむのであった。此処最近、仕事やその他諸々が忙しかったのでなかなか翠屋に顔を出せなかったのだが、今日一日は丸々時間があるので久しぶりに士郎のコーヒーを飲めると期待しつつ店内に踏み込む。士郎と桃子の二人に挨拶を済ませ、カウンターの自分の特等席に着く。注文は「何時もの」で。アインとアルフの姿は見えないが、確か今日は二人共仕事があった筈なので気にしない。お冷を桃子から受け取り、それを一口飲んでからある物に気付く。「何だ、コレ?」何年も見慣れたカウンター席に、見知らぬ物体があったので思わず手を伸ばす。それは一言で表せば、人の頭くらいの大きさのぬいぐるみだった。全体的に赤い、なんとも変なぬいぐるみである。二等親で、顔に位置する部分には大きさが異なる楕円状の黄色いフェルトが五つくっ付けてあって、頭部には二本の角があり、背中に一対の翼が生えていて、尻尾も一本ある。左手には赤いフェルトで作られた棒を持っている。上半身は裸なのにズボンはちゃんと穿いているのが妙にちぐはぐに映った。そんなヘンテコぬいぐるみがカウンターの端にちょこんと座っていたのだ。これが翠屋ではなく初めて入った飲食店なら「この店のマスターの趣味だろ」で済ませるのだが、勝手知ったる我が家同然の翠屋ならばそうもいかない。「おい親父、この可愛げの欠片も無い不細工なぬいぐるみは何だ?」ぬいぐるみの首根っこを掴んでコーヒーの準備をしている士郎に問い掛け、ハッとなる。もう一度じっくりとぬいぐるみを観察した。全体的に赤い身体、五つの黄色い眼、頭部の二本の角、背中の一対の翼、一本の尻尾、左手に握った赤い棒状の何か……これってまさか……(俺、か?)ドラゴンインストールを完全解放した時の俺をデフォルメ――所謂ちびキャラ化――したようにしか見えない。「ああ、そいつの名前は『ソ竜』だ」「は? ソ、ソ、何だって?」「だから『ソ竜』。ウチの守り神、シャマルさん渾身の作だぞ。言わなくても分かると思うが、モデルはお前だ」HA☆HA☆HA☆と笑いながらコーヒーを手渡してくる士郎。俺は無言でコーヒーを受け取り、改めてまじまじと『ソ竜』を見つめた。シャマルの奴、何時の間にこんなもん作りやがった?確かにギア化した俺の特徴をよく捉えていると思う。左手に持っている棒は燃え盛る封炎剣か。が、なんだってこんなもんを作ろうと思ったのか謎だ。「ちなみに、これ一体だけじゃないからな」「マジか?」「ああ。家に帰れば何体もあるぞ。なのは達六人はそれぞれマイ『ソ竜』を持ってるからな」「……マジか」六人、と聞いて急に恥ずかしくなってくる。「皆寝る時はそいつと一緒って話だ。フェイトなんてそれが無いと寝た気がしないとまで言ってたな」ということはあれか? その話が本当だとすると、俺をモデルとしたぬいぐるみをあいつらは毎晩抱き締めて寝てるってことか?ほんの少しだけその光景を想像してみて、羞恥心でいっぱいになり俺はカウンターに突っ伏した。これは流石に……恥ずかしいにも程がある。ただでさえ自分をモデルにしたぬいぐるみがこの世に存在するだけで恥ずかしいのに、よりにもよってあいつら全員が自分専用のを持っていて、挙句の果てにそれが無いと眠れないだと!?「あまりの恥ずかしさに死にそうだ」「安心しろ、羞恥心で人は死なない。というか、コーヒーが冷めるぞ」言われて思い出し、顔を上げてカップを手に取りコーヒーを啜る。「マスコット化するなら俺じゃなくてフリードだろ、常識的に考えて」「我が家の常識は世間一般とは随分かけ離れているからなぁ……誰かさんのおかげで」「……」感慨深い感じで返してきた士郎の言葉に俺は二の句を継げることが出来なくなり、結局そのままコーヒーを啜ることに意識を集中することにした。『遅効性の甘い毒』それから翠屋で士郎と雑談しながらダラダラしていると、カウベルの音と共に聞き慣れた声が店内に響く。「こんにちわー」「「「こんにちわ!!」」」振り返るとそこには、ガキんちょ三人にプラスしてぬいぐるみの真似をしているフリードを従えたシャマルの姿が。俺はなんとなく気恥ずかしくなって視線を逸らす。しかし、何を思ったのかシャマルは座っている俺に後ろから抱きついてきた。「うお!! 何だ急に!?」「こんにちわ」「お、おう」シャマルの挨拶にどもった反応を返す俺。「どうしました? 元気無いですよ」「そうでもねぇよ」手元にあった『ソ竜』をさり気無く元の位置に戻すのだが、シャマルは目敏いことにしっかりとそれを見つめていた。「……ふーん」意味あり気な声に俺は内心で焦る。……いかん。シャマルのペースに嵌ってしまった。「う~ん。ぬいぐるみも良いですけど、やっぱり本物が一番です」彼女は俺の首筋に顔を埋めると、そのままくんくんと鼻を鳴らす。「はあ、ソルくんの匂い」こっちの理性を溶かすような甘い声、肌をくすぐってくる柔らかな髪、熱く蕩けた吐息、鼻腔を刺激する柑橘系の香水の香り、密着したことによって伝わってくる彼女の体温、服越しに俺の胸元からヘソにかけて蛇のように這い回る手の平の感触。「んふ」耳元から聞こえてきたのは吐息混じりの笑い声。それはとても妖艶な響きを孕んでいて、明らかに俺を誘っていた。――ゾクリ。首筋に突然走った感触に俺は一瞬だけ身体を強張らせる。(今、唇が――)「お二人さん、続きをやるんだったら帰ってくれ。一応まだ日は高いし、他にもお客さん居るし」士郎の呆れた声に冷静さを取り戻し、慌てて店内を見渡すと全ての客の視線が集まっているではないか。「若いっていいわ~」とか「……あの野郎、前は店員や他の女といちゃついてた癖しやがって……女何人囲ってんだよ」とか生暖かい視線や憎悪の視線が俺達を貫いている。「ちぇ、続きはまた今度にします」小さく舌打ちして、実にあっさりとシャマルは俺から離れた。惜しかったような、これで良かったような、どちらともつかない溜息を俺は吐くと、今の出来事を無かったことのように咳払いを一つして、声を掛ける。「仕事はもう終わったのか?」「はい。ある程度は終わったので、後はスクライアの人達に引き継ぎました」今日のシャマルの仕事は本局の無限書庫で検索作業の手伝いだ。んで、危険が無い仕事なのでガキ共が連れてってくれとせがんだのだろう。俺達の仕事を戦闘ばかりだと勘違いしている連中が多い。それは決して間違いではないが、それだけじゃない。戦闘以外の仕事もちゃんと請け負っている。例えば今日のシャマルのようなものだったり、魔導師や騎士のランク試験の試験官だったり、スクライア一族との合同発掘作業だったりと、武装隊のデバイスを延々とメンテナンスするだけの仕事だったり、直接的な戦闘能力を必要としない場合のもの。無節操と思われるかもしれないが、俺達は賞金稼ぎであると同時に何でも屋みたいな側面もある為、たまにこういう仕事が舞い込んでくるのだ。危険が少なく報酬もそれなりの仕事は、ぶっちゃけると良い小遣い稼ぎになるので率先して受けることにしている。派遣のアルバイトみたいだ、と皆は口を揃えて言うが、”みたい”じゃなくてその通りだ。「で、なんで此処に?」「ソルくんの匂いがしたから」「……誰でもいい、嘘だと言ってくれ」えへへっ、と可愛く微笑むシャマルから視線を外すと頭を抱える。「冗談ですよ、冗談。もう、私はザフィーラじゃありませんってば。此処に寄ったのは事前に桃子さんから買い出し頼まれたからですよ」「あ、そうだ、忘れてた。はい、シャマルさん、これが買い出しリスト」手をパタパタ振って笑うシャマルに士郎が一枚のメモ用紙を渡す。少し前から桃子の姿が見えないことに今更気付く。何処をほっつき歩いているんだろうか。「確かに受け取りました。じゃあ私達はこれで失礼しますね」「父様、士郎さん、またねですぅ」「父さん、士郎さん、お忙しいところ失礼しました」「お父さん、士郎さん、失礼しました~」「キュク」四人は挨拶の言葉を残してぞろぞろと翠屋を出て行った。ついでに、今さり気無くフリードが鳴いてた。人前で鳴くなっつったのに……まあ、他の客には聞こえていなかったようなので別に構わないか。「はあぁぁぁぁ」瘴気のような溜息を吐くと、俺は背もたれ体重を掛けられるだけ掛け、だれる。「最近思うんだけどな」「何がだ?」カップを磨きながら続きを促す士郎を視界の端に収めつつ、俺は言葉を重ねた。「あいつら、あからさまになってねぇか?」「お前への求愛行動がか?」「……求愛……いや、まあそうなんだけどよ」発情期を迎えた野生動物のような表現に俺は顔を顰めたが、人間なんて年がら年中発情期な生き物なので、士郎の表現はそれはそれで言い得て妙だと感じる。「あからさまになってきたか……それは違うぞ、ソル」「あ?」ニヤリと笑う士郎の横顔に嫌な予感を覚えたので、俺は居住まいを正す。「お前のガードが下がってきただけだ」「なん……だと……」ある意味衝撃的な言葉だった。「やっぱり自分のことなのに気付いていなかったか。ソル、お前はなのは達に仕事を手伝わせるようになってから、随分無防備になってきてるぞ」「そうか?」三人娘に仕事を手伝わせるようになってから、か。そういえばもう既に一年と半年を過ぎた頃だ。「今だってシャマルさんに抱きつかれてたし」「あれは何時ものこと――」「それだ。それが気付いていないってことなんだよ」言葉を途中でピシャリと遮られてしまった。「?」訳が分からず頭に疑問符を浮かべていると、これ見よがしに呆れたように溜息を吐いた士郎が耳を貸せとジェスチャーをするので耳を傾ける。「お前、初めてシャマルさんに会った時から、抱きつかれる度に首筋にキスされてたのか?」「……」無言でぶるぶると首を振る。「皆のスキンシップがじわじわじわじわエスカレートしていることに気付かない、と言うより『何時ものことか』って容認しつつあることを俺は『ガードが下がってきた』と言ったんだ」「……」これまでのことを鑑みると、思い当たる節は、多々ある。一人暮らしするようになってからは、なのは、フェイト、はやての三人は変な威圧感を出さなくなった。その代わり、皆甘えるのが上手くなったというかなんというか、以前よりも遥かに自然な感じでスキンシップを求めてくるような……今のシャマルだってそうだ。俺は『何時ものことだ』と認識して、全く抵抗せず、されるがままだった。十中八九、他の誰かが同じようなことをしてきても、俺は同じリアクションを取るだろう。つーか、さっきのが二人っきりで、もし俺にアルコールが入ってたら普通に押し倒してる可能性が高い。「……本当に自覚無かったのか?」ゆっくりと、静かに、首を僅かに動かして肯定した。「これは……撃墜されるのは時間の問題だな。さて、誰が一番最初にソルを撃墜するかな?」フフフと邪悪な笑みを浮かべる士郎に、俺は返す言葉を見つけることが出来なかった。もしかしたら心の何処かで、そうなることを望んでいるのかもしれないのだから。後書き連載開始して、もう既に一年経ちました。一年前の丁度この頃はフリーターだったのに、今は社会人です。なんか、色々と感慨深いです。つーか、よく今まで続いたなと自分に対して感動してます。これも皆様の応援があったからです。本当に感謝しております!!!闇の書事件からだいたい此処まで七年弱経過してます。今まで稼いできた好感度に加えて、一人暮らしになってから始めた”通い妻”効果が眼に見える形で表れつつあります。つまり、”これまでとは逆にソルが皆に依存している”、”ソフトキスなら嫌がらない”、”異性として強く意識させる”という形で。以前感想版で、マテリアルチームは登場しないのですか? と質問にありましたが、残念ながらその予定はありません。PSP版ゲームを遊んだ時に「ちょっと面白そうかも」と思いましたが、結局プロットの段階で頓挫しました。私が書こうとすると、下手したら滅茶苦茶長くなるよこれ、ということで……そもそも闇の書の闇はナパームデスで吹っ飛ばされた後、ソル直々に念入りに一欠けらも残さず「汚物は消毒だ」されたので(言い訳)ツヴァイ、エリオ、キャロの三人は何処に住んでいるんですか? という質問もありました。基本的に寝床は高町家の地下室 or 八神家ですが、遊びに行ってそのまま食事を済ませてお父さんと一緒に寝るという頻度の方が圧倒的に多いです。だいたい週の半分近くはソルの部屋で過ごします。フリードも一緒で。スカさん、アギトやゼスト側の話は書きたいのですが、上手く構想が練れないので悩んでいる最中です。ナンバーズなら(特にトーレとか)ならちょっとくらい書けそうなんですが、難しい。スバル、ギンガの出番を増やして欲しいとの要望もありましたので、ティアナ込みで訓練校の話と合わせてもっと書いていけたらなと思ってる所存です。次回は、感想版でリクエストがあった「アインとツヴァイの三人で親子デート」だ!!気合入れて書きますよ!!!そして本編がなかなか進まない罠orzではまた次回!!P,Sギルド組織の名前が思い浮かばない。誰か、良い名前を……「アウターヘブン」はMGSの親子関係を見ているとエリオがソルに叛旗(反抗期)を翻しそうだからダメねwwww