■45(無印完結・後編)
モニターに映る士郎さんから一通りの自己紹介とこれまでの経緯を聞かされ、リンディさんたちはようやく納得がいった様子だった。
士郎さんは最後に「あんないきなり土下座されて頼まれれば、断りずらい」と告げて苦笑いした。
「……それでは士郎さん、後でなのはさんとフェイトさん達をそちらに連れて行きますので、よろしくお願いします」
『あぁ、こっちも二人を歓迎する準備を整えて待ってるよ、じゃあまた後で』
ブツン、とモニターの電源が切れて士郎さんが画面から消える。
振り返ると嬉しそうな表情のユーノ君やエイミィ、無表情なクロノ、そして微妙に顔を赤らめているリンディさんがいた。
……なんでこの人恥ずかしがってんだ? ま、まぁ、いいか。
「……さて、これで私の考えた方法は以上です、リンディさんどうしますか?」
「ここまで周到に準備していたなんて、くやしいけどお見事としか言い様がないわ、悪辣なほどにね、既にフェイトさんの死亡届は公文書として受理されているし、受け入れ先も確保してある、もしここで私があなたの妨害に出れば完全に悪役じゃない」
「……それでは」
「えぇ、今回だけは見逃します、ただし今回だけですよ、次はありません!」
「……肝に銘じておきます」
「それと公式ではありませんが一応罰として反省文を書いてもらいます、最低レポート用紙300枚がノルマですからね! あとフェイトさんの偽造書類も提出してください、私の方でも何か不備がないか確認します」
そのくらいなら安いものだ、一応こうなるように仕組んでいたわけだけど、これでようやく安心できた。
リンディさんに頭を下げながら人知れずホッと息がもれる、これでPT事件でやるべきことは全部終わったことになる。
いろいろあったけど、とりあえず無事に計画通りいって良かった。
実際、すべての裏工作を終えた上で事後説明のような形で説明したエンハンストの強引な手腕に呆れつつも、リンディは結果的にはこれでよかったのかもしれないと判断していた。
自分や息子では取れない手段で彼女を救ったエンハンスト、違法に手を染めたが誰にも迷惑をかけない手段でもある。
流石にこういった事を繰り返されるのは困るが、今回だけなら見逃しても良いんじゃないかと思えた。
リンディ提督からの追求も終わり、ようやく終わったかと思っていると、先ほどまで黙っていたクロノが静かに話し掛けてきた。
ユーノ君やエイミィはリンディさんと話していて気が付いていない。
「エンハンスト執務官、聞きたいことがあるんだ」
「……なんだ?」
「アナタは今回犯罪行為に手を染めてまで彼女を助けた、なぜそこまでして彼女を助けたんです?」
「………………」
……もうすぐ死ぬんでヤケクソだったから、とは言えないようなぁ。
死ぬ前に良いことしようという気持ちは変わらないけど、具体的にコレといった理由があって始めたわけじゃない。
ただ、なんとなく原作を見ていてこんな不幸な目にはあって欲しくないなと思っただけだった。
この気持ちをどう言い表したらよいものか、非常に難しい。
うーむ、いっそのことまたどこかの名言でもパクッて誤魔化しとくか。
どうせ僕の心境なんて言葉で言い表せられない程度のもの、それよりも説得力があるのは間違いないだろうし。
それにヘタなこと言ってガッカリさせるより何倍もマシだろう。
よし、そうしよう。
「……法を守るか、人を守るか、天秤にかけてどちらが重いかなど決まっているだろう? 人が法を守るのではない、法が人を守るのだ、人を守れぬ法に価値はない」
「!! なるほど、ようやく僕にもわかってきたよ、目指すべきモノが、ありがとう……エンハンスト執務官」
何を思ったか知らないがクロノは何か吹っ切れた様子で爽やかに応えた。
いや、テキトーなこと言っただけなんで、そういって畏まってお礼言われるとなんだか恥ずかしいね。
まぁ、少しでも役に立てたなら良かったよ。
さてと、クロノも向こうに行っちゃったし、僕もそろそろなのは様達の所にいこうかね。
早く高町家へ引き取られることを知らせて喜ばせてあげたいし。
喜んでくれるかな、いまさらながらちょっと不安だったりする。
まぁ、悩んでもしかたないか、もう決まったことだし、きっと喜んでくれると信じて行こう!
■
その後、二人+αを拘留中の部屋に戻り一連の事情を説明した。
高町家に引き取られることを話し、なのは様に妹が二人もできたねと告げると涙をながして喜んでくれた。
フェイト嬢は始め実感がなかったのか呆然としていたが、なのは様の泣いて喜ぶ姿を見てようやく実感したのか同様に泣きながら抱き合っていた。
二人は僕にお礼を告げて感謝してくれた、犯罪行為に手を染めたことや、高町家で土下座して頼み込んだことなどは話さなかったがこうして感謝されるとようやく確信が持てた。
嬉し涙を零しながら喜び合う二人の姿を見て、自分のしたことは決して無駄じゃないと思うことができたのだ。
二人の騒ぐ声を聞いて起きたプリシアがビックリして泣き出しても二人の抱擁はしばらく続いた。
仕方なくプリシアをあやしながら周囲を見渡すと視界の隅に小さな毛玉が映った。
アレ、アルフか? 何やってるんだ? というか何時の間に子犬形態をマスターしたんだろうか。
よく見ると毛玉はぐっしょりと濡れており、体全体がプルプルと震えていた。
かすかに聞こえる音からは「ぐす、ぐす、よかったねぇフェイトォ~」と涙声が聞こえてくる。
アルフも感動して泣いているのか、それにしても気持ち悪いな、まるでオレンジ色の海草の塊だ。
それから暫くしてようやく泣き止んだ連中と一緒に荷物をまとめ、さっそく高町家へと向かうことになった。
一応その道すがらも部外者との接触を警戒して結界を張りながら移動した。
事前にリンディさんやエイミィにもその旨を知らせてあるので通路を歩く人影は皆無、特に問題は起きなかった。
こうして最後の最後まで念入りにしているあたり、僕の小心者っぷりが伺える。
客観的に見ると滑稽で少し笑えた、でもその後自分自身のことだと思い出し激しく落ち込んだ。
転送ポートから直接高町家の庭へと転送。
フェイト嬢はやや緊張した面持ちだったが、なのは様が必死にリラックスさせようと話し掛けていたのでそれほど心配することではないだろう。
むしろ問題はアルフだ、こいつは人間モードになっても油断すると耳とか尻尾が生えるからな、うっかり人前で出した日には大騒ぎ確実だ。
……いや、海鳴りだし、とらハ世界だし案外平気かも、いざとなったらコスプレとかいって誤魔化せばなんとかなるか。
そんなことを考えながら待っていると転送完了の合図。
視界が開けたその先には高町家一同が全員笑顔で待ち構えていた。
「ただいま、お母さん、お父さん!」
「「おかえり、なのは」」
「ただいま、お兄ちゃん、お姉ちゃん!」
「おかえり」
「おかえりーなのはー!」
なのは様に抱きつく美由希嬢、うーむ微笑ましい光景だ。
高町家の面々も暖かい表情でそれを見守っている。
その一方で先ほどからずっと困っているのはフェイト嬢だった、高町家の人々にどう声をかけてよいものか悩んでいた。
そんな様子を見て桃子さんが優しく彼女に声をかけた。
「アナタがフェイトちゃんね?」
「は、ハィ! よろひくおねがいしまひゅっ!!」
……かみまくりである、緊張のし過ぎだ。
桃子さんはそんなフェイト嬢を優しくだきしめながらその豊満な胸に彼女の頭を抱いた。
ゆっくりと優しく頭を撫でながら囁くように語り掛ける。
「大丈夫よ、私が今日からアナタのお母さんになる、私が絶対に守ってあげるんだから、安心して」
「…………はい」
「今日からフェイトは高町フェイトよ、私のことはお母さんって呼んでね」
「……も、桃子お母さん」
「あーん可愛いぃ! もう好き好きー!!」
「うぷっ!?」
そっと桃子さんに抱きついたフェイト嬢が安らいだ表情を見せる。
強く抱きしめられて多少苦しそうな顔をしているが幸せそうなのは間違いない。
すげぇ、一瞬でフェイト嬢を落としちまった。
こ、これが母性パワーというやつか、フェイト嬢が母の愛に飢えているとはいえマジパネェ。
やっぱり子どもを安心させるに男は女性に遠く及ばない。
すぐに桃子さんの抱擁に応えたフェイト嬢の姿に、かすかに残っていた最後の不安も消し飛んだ。
既にアルフやプリシアも高町家の面々に可愛がられている、というか弄られている。
まぁ、互いに楽しんでいる様子だから構わないだろうけど。
ともかくこれならもう心配することは何もない、これにて僕の仕事は終わりだ。
ならば最後に残った責務を果たそう、なのは様との約束を守らねば。
「……なのはさん、フェイトさん、実は二人にプレゼントがあるんです」
笑顔で談笑する二人に歩み寄って一つの小箱を差し出す。
驚きつつもそれを受け取った二人が小箱のふたを開けると―――
「レイジングハート!」
「バルディッシュ!」
紅と金色、二つの宝石が結合したデバイスがそこにあった。
「……修理する過程でどうしても部品がたりなくてね、いっそのことお互いの足りない部分を補い合わせてみたらいい具合になってくれたよ、人格AIは融合してしまったけれど記憶はそれぞれ受け継いでいるから二人のことはちゃんと覚えている、さすがにデバイスとしての機能はもう果たせないけどこれからも話し相手にはなれるさ」
「よかった、レイジングハート……おかえりなさい」
「バルディッシュも、おかえり」
『『Yes sir My Master』』
二重音声のように聞こえてくるデバイスの声、まぁもともと無理な修理だったのでコレくらいは勘弁して欲しい。
個人的にはこっちの方がより機械っぽくて好きなんだけどね。
「あの、エンハンストさん、レイジングハートのこと、フェイトちゃんのこと、ありがとうございました!」
「その、私も、母さんのことやプリシアのこととか、たくさんお世話になってなんてお礼を言ったらよいのかわからないけど、ありがとうございます!」
「……うん、そう言ってもらえると頑張ってよかった、二人とも仲良くね」
「「ハイ!」」
その後、僕は高町家の歓迎パーティーにお呼ばれされ、美味しい料理をたくさん頂いた。
大人組みには酒類も出され、ギリギリ僕や恭也も飲むことを許された。
美味しい料理、美味しい酒、笑顔の人々、久しぶりの楽しい一時だった。
途中で恭也が「あの時は誤解とは言えいきなり襲い掛かってすまなかった」とか謝ってきたのでビックリしていると。
「か、勘違いするなよ、別にお前のことを気に入ったわけじゃないからな!」とか付け加えてきた。
ツンデレ乙と言わざるを得ない。
多少酔っていたとは言え原作(エロゲ)主人公のこんな醜態を見れるとは貴重な体験だ。
だがなぜ僕はクロノといい、恭也といい、男のツンデレにばかり縁があるのだろうか。
そっちの趣味はないというのに……。
あらかたパーティーを楽しんだ後は長居せずアースラへと帰ることにした。
後は家族の時間だ、これ以上僕がお邪魔する理由はない。
高町家の人々に丁寧に別れを告げ、なのは様やフェイト嬢ともお別れを済ます。
なぜか定期的にメールのやり取りをすることを約束させられてしまった、まぁカリムさんとので慣れてるから良いけど。
全員で玄関まで見送ってもらい、手を振って別れた。
……おそらく、もう僕がこの高町家を訪れることはないだろう。
ユーノ君がなのは様目当てに時々遊びに繰るかも知れないが、ここは管理外世界、基本的に時空管理局は不干渉となる。
今のところクロノやリンディさんに高町家を訪れる理由はないし。
リンディさんと共謀して報告書にもなのは様のことは過小評価で報告してあるし、フェイト嬢は死んだことになっている。
今後二人に時空管理局からの勧誘も無いはずだ。
この世界で一般人としてごく当たり前の幸せを謳歌することができるはず。
ユーノ君にもPT事件の真相は絶対に口外するなと念押してあるし、多分大丈夫。
これでようやくなのは様とフェイト嬢の魔法少女化も阻止できたのだろうか。
ついに無印が終わったか、今回の原作介入、僕は良いことをしたはずだ、と思う。
なのは様とフェイト嬢、表面上とはいえ二人の笑顔を見て多少なりともそう思えた。
たとえそれが嘘と偽善の上に成り立つハッピーエンドだとしても、こっちのほうがマシだと言えるのではないだろうか。
だが次もそう上手くいくとは限らない、油断は禁物だ。
闇の書事件、ヴォルケンリッターやグレアム提督の暗躍、失敗しない保証はない。
でも今は、今だけは少し休もう、アースラに戻ったらベッドに入って泥のように眠ろう。
気が抜けた所為だろうか、妙に身体が気だるい。
僕は気だるい達成感に包まれながらアースラへの転送魔法を発動させた。
転送魔法によって体中がまばゆい光の粒子に包まれながら、ふと思い出したことがあった。
そういえば、カリムさんにそろそろメール出さなきゃな、ここ(地球)のことでも書いておくか……
こうしてPT事件は終わり、皆それぞれあるべき場所へ戻っていった。
そしてアースラに戻った僕が疲労を理由に寝込み、自室で盛大に吐血したのはそれから三日後のことだった。
■
おまけ①
高町家に引き取られると知らされるまでの一週間、フェイトとアルフの会話。
ときどき母を思い出してどうしょうもなく寂しくなるフェイト、そんな彼女を使い魔のアルフは懸命に励ました。
『フェイト、元気を出して、大丈夫、私がついてるよ!』
「うん、ありがとうアルフ、私頑張るよ! お姉さんだもん、プリシアのためにもしっかりしなきゃ!」
『その通りだよフェイト!』
それからは自分から積極的に動くようになったフェイト、慣れない手つきでなのは家事も手伝った。
「見て見てアルフ、プリシアが私の手でミルクを飲んでくれたよ!」
『えらいよフェイト、さすが私のご主人様!』
「プリシアのオムツ取替えが上手くできたよ!」
『上手だよフェイト、お姉ちゃんだね!』
「なのはと一緒に料理してみたんだけど」
『すごく美味しいよ!』
そして数日後、いよいよフェイト達に高町家へと引き取られることが知らされると。
「え……なのはの家に?」
「あぁ、施設にいるよりずっとマシだと思う、向こうのご両親も養子縁組に積極的だし、なのはもそう思うだろう?」
「うん、もちろん賛成なの! フェイトちゃんと姉妹になれるなんて夢のようなの!!」
「い、いいの? なのは?」
「あたりまえなの、よろしくねフェイトちゃん!」
「うん、うん、ありがとう!」
そしてフェイトは使い魔であるアルフに向き直り、満面の笑顔で喜びをあらわした。
「家族がふえるよ!」
『やったね(※たえちゃん)フェイト!』
※副音声
■
おまけ②
この話はフェイトが高町家に引き取られる数日前の出来事である。
今回の事件、エンハンストの独断などで精神的に少しつかれたリンディはちょっとした休憩時間をとって地上に出て甘味を補給しようと翠屋へ向かった。
その手には無料お食事券、ストレスの元凶となったエンハンストがお詫び代わりにプレゼントしてくれたものだった。
彼の行動には業腹だが、謝罪は素直に受け取っておく、それが甘味のお食事券ならなおさらだ。
店の前に到着、なかなか趣のある店構えだ。
店の前は綺麗に掃除してあるし、壁に落書きもない、まずは合格点といったところと勝手に脳内チェック。
店内に入ると一人の男性が案内をしてくれた。
見覚えがある、以前エンハンストが無断で管理世界や魔法について教えた高町家の家長、高町士郎。
見た目三十台後半くらいか、ちょうど男盛りの良い男である。
自分の夫も生きていれば彼と同じくらいの年齢である、ふと懐かしい気分がした。
あいにくボックス席は学生や若い女性達ですでに埋まっていたのでカウンター席へ案内された。
席について再び脳内チェック、店内の客層から店員の態度、インテリアまで隅々までチェック。
その結果、翠屋は総合評価AAAクラスとなかなかの好成績を貰っていた。
店員に無料食事券を渡すとついでに幾つかのメニューも同時に頼んでおいた。
大食いするつもりはないが、それなりに種類は楽しみたい。
時間は効率的に使っていこう、既にリンディの脳内では幾つかのメニュープランが組み立てられていた。
それから一時間、たっぷりと甘味を堪能したリンディがようやく落ち着くと、周囲が静かになっていることに気が付く。
丁度ピーク時を過ぎて客が空く時間帯になっていた。
多くの店員もこの時間に休憩を取っているのだろう、店内に残っているのはリンディと士郎だけだった。
丁度最後のケーキも食べ終えたところだし、最後に珈琲を注文した。
士郎は笑顔で肯くとあせらずゆっくりと丁寧に珈琲をいれはじめた。
その姿をボーっと見ながらリンディは亡き夫の姿を士郎に重ねてしまった。
無意識にポロリと涙が流れてしまう、自分でもまったく気が付かないほど自然に流れた。
頬を伝う冷たさにようやく自分が泣いていたことに気が付いた。
慌てて拭おうとすると、目の前にスッとハンカチが差し出された。
士郎はそっと彼女の涙を拭い、きわめて優しい口調で「何かお悩み事ですか?」と尋ねた。
ちなみに、この時は丁度桃子は買出しで不在となっており、美女と二人っきりという美味しい空間で士郎がご機嫌だったのは言うまでもない。
妻は愛しているが、それとこれは別という男独特の価値観であった。
夫以外の男性にここまで優しく接されたのが久しぶりなリンディもついときめいてしまった、つい流されるままに悩み事を話してしまう。
良くも悪くも士郎は恭也(エロゲ主人公)の父親、そういったジゴロな方面の才能も十分備えていた。
亡き夫のこと、優秀すぎる同僚の独断行動、追従しようとする息子、上下関係の厳しい職場、ままならない現場、さまざまな愚痴がこぼれた。
士郎は嫌な顔もせずきちんとリンディの話を聞き真剣に彼女の相談に乗った、時にはリンディの手を握って励ました。
「美人に悲しい顔は似合わない、元気を出してください」といって手を取って笑顔で励ます、それは昔よく妻にも使っていた手段だった。
こうした態度は彼なりに誠意をもって接した結果であり決して他意はなかった、だがされた方は堪らない。
その笑顔にドキッとするリンディ、これはまさか恋? 夫の死以来ごぶさただった数年ぶりのトキメキであった。
手を握られたままポーと頬を染め、士郎を見つめるリンディ。
士郎は彼女を励ます言葉を考えるのに一生懸命でそれに気がついていない。
やがて再び客が入ってくる時間帯となり、自然と二人の手は離れた。
リンディは自分の気持ちに整理がつかず、とにかく今は早くこの店から出て落ち着こうと席を立った。
店から出ると背後から声をかけられた、士郎である。
その手には小柄ながら幾つかのケーキとシュークリームを入れた箱が握られており、そっとリンディに手渡した。
眩しい笑顔で「またいつでも来てください」と言われ、つい言われるがままホイホイとお土産を持たされてしまった。
その帰り道、初恋をした少女のようにドキドキする胸を押さえながら「絶対また来よう」と思う未亡人がそこにいた。
ちなみに士郎はこの後、妻の桃子に浮気未遂の罪でフルボッコにされた。
(※密かに見ていた美由希の密告)
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おしらせ
ひとまずこれで無印編は終わりです。
ですがここしばらくずっと迷走中のこのSS、感想板でも多数のご指摘を頂いたように自分でも煮詰まってどう改善すれば良いのかわからなくなってきました。
そこでこのままgdgd続けるよりも一度スパッと止めて、しばらくこのSSから離れて頭を冷やす方が良いのかなと思いました。
完結させる気持ちは変わりませんがしばらく更新停止して気分を入れ替えます。
2009/09/07
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