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No.6935の一覧
[0] 魔法少女リリカルなのは 現実回帰 (現実→リリカルなのは) チラ裏より移転[黒胃](2009/06/20 15:07)
[1] 第1話「それは衝撃的な出会い…なのか?」 [黒胃](2009/06/14 12:08)
[2] 第2話「妄想と夢は紙一重」[黒胃](2009/06/14 12:17)
[3] 第3話「デバスカ君と一緒!!」[黒胃](2009/06/14 18:58)
[4] 第4話「衰える体」[黒胃](2009/06/14 18:59)
[5] 第5話「コメテスアメテュス? 名前長くね?」[黒胃](2009/08/20 19:03)
[6] 第6話「2P白い悪魔」[黒胃](2009/06/14 12:46)
[7] 第7話「旅立ち」[黒胃](2009/06/14 12:55)
[8] 第8話「初戦は海の上で…なのか?」[黒胃](2009/06/14 13:22)
[9] 第9話「バーニングさん登場!?」[黒胃](2009/06/14 13:27)
[10] 第10話「街には樹がいっぱいだよ」[黒胃](2009/06/14 13:34)
[11] 第11話「桜+金=黒い魔法少女!?」[黒胃](2009/06/14 13:41)
[12] 第12話「思いの理由」[黒胃](2009/06/14 13:48)
[13] 第13話「未来のエースとの出会い」[黒胃](2009/06/14 13:55)
[14] 第14話「わかりあえないんじゃなくて話し聞いてないだけ」[黒胃](2009/06/14 14:01)
[15] 第15話「小さなことからコツコツと」[黒胃](2009/06/14 14:09)
[16] 第16話「勧誘? 大魔導師!」[黒胃](2009/06/14 14:17)
[17] 第17話「偽善者大作戦!?」[黒胃](2009/06/14 14:23)
[18] 第18話「魔砲幼女の意地」[黒胃](2009/06/14 14:30)
[19] 第19話「人形の意地と思い」[黒胃](2009/06/14 14:55)
[20] 第20話「マスコットキャラでは断じてない!! と思う」[黒胃](2009/06/14 15:04)
[21] 登場人物 無印編[黒胃](2009/06/20 13:50)
[22] 第21話「久々の休日?」[黒胃](2009/06/14 15:14)
[23] 第22話「アリシア大冒険! そして嵐の憂鬱」[黒胃](2009/06/14 15:20)
[24] 第23話「人間諦めが大事だよね、でも諦めたらそこで試合終了」[黒胃](2009/06/14 15:26)
[25] 第24話「恋に年の差って関係ない? いや あるだろ」[黒胃](2009/06/14 22:22)
[26] 第25話「戦いたくはない もう傷つけたくないから! ビビリ的な意味で」[黒胃](2009/06/14 22:21)
[27] 第26話「前夜祭だぜ! 回帰組集合!!」[黒胃](2009/06/14 16:40)
[28] 第27話「はじまりは突然に…なのか?」[黒胃](2009/06/14 17:13)
[29] 第28話「俺の拳が真っ赤に染まるゥ!?」[黒胃](2009/06/14 17:22)
[30] 第29話「ブラッティ仮面」[黒胃](2009/06/14 17:27)
[31] 第30話「当たらなければどうということはない(誰か助けて…)」[黒胃](2009/06/14 17:31)
[32] 第31話「それぞれの動き」[黒胃](2009/06/14 17:36)
[33] 第32話「仮面って結構息苦しい」[黒胃](2009/06/14 17:40)
[34] 第33話「おめでとう! 猫は空気から使い魔に進化した!」[黒胃](2009/06/14 17:47)
[35] 第34話「交渉人プレシア・テスタロッサ」[黒胃](2009/06/14 17:58)
[36] 第35話「完成! 夜天の栞」[黒胃](2009/06/14 18:04)
[37] 第36話「クリスマス・イヴは赤く染まる?」[黒胃](2009/06/14 18:10)
[38] 第37話「闇の書の戦闘力は正直、反則だろ」[黒胃](2009/06/14 18:15)
[39] 第38話「金色の姉妹」[黒胃](2009/06/14 19:10)
[40] 第39話「夜の終わり 作戦の崩壊?」[黒胃](2009/06/14 22:22)
[41] 第40話「スタンバイ…レディィィィ!! ゴオォォォォ!!!」[黒胃](2009/06/20 09:36)
[42] 登場人物 As編[黒胃](2009/06/20 13:51)
[43] 第41話「祝福の風、復活」[黒胃](2009/06/14 20:34)
[44] 第42話「風のいる生活」[黒胃](2009/06/14 20:43)
[45] 第43話「あなたと…合体したい…」[黒胃](2009/06/14 20:52)
[46] 第44話「一年が過ぎるのは本当に早い」[黒胃](2009/06/14 21:32)
[47] 第45話「悪の親玉? いえ、今日は従者です」[黒胃](2009/06/14 21:40)
[48] 第46話「笑顔を探れ」[黒胃](2009/06/14 21:47)
[49] 第47話「笑顔を求めて」[黒胃](2009/06/14 21:55)
[50] 第48話「笑顔のために」[黒胃](2009/06/14 22:01)
[51] 第49話「笑顔の答え」[黒胃](2009/06/14 22:07)
[52] 第50話「Puppet Prince」[黒胃](2009/06/14 22:13)
[53] 第51話「白と黒 表と裏 正義と悪?」[黒胃](2009/06/14 22:23)
[54] 第52話「ずれ始めた歯車」[黒胃](2009/06/14 22:29)
[55] 第53話「風邪を舐めると痛い目に遭う」[黒胃](2009/06/14 22:46)
[56] 第54話「柘榴色の世界」[黒胃](2009/06/14 22:51)
[57] 第55話「欠けたパーツ」[黒胃](2009/06/14 22:58)
[58] 第56話「血の遺跡の謎? 気分は考古学者」[黒胃](2009/06/14 23:05)
[59] 第57話「壊れていくパーツ」[黒胃](2009/06/14 23:12)
[60] 第58話「合体!? 自称 吸血鬼のデバイス?」[黒胃](2009/06/14 23:26)
[61] 第59話「吸血鬼の正体?」[黒胃](2009/06/14 23:52)
[62] 第60話「無限の欲望+無限の欲望=混沌」[黒胃](2009/06/14 23:58)
[63] 第61話「海だ! 水着だ! sts前だ!」[黒胃](2009/06/20 09:53)
[64] 第62話「歪んでいく物語」[黒胃](2009/06/20 10:10)
[65] 第63話「星と雷と…何故か血液」[黒胃](2009/06/20 10:28)
[66] 第64話「回帰組を正しく評価している人はいるんだろうか?」[黒胃](2009/06/20 11:02)
[67] 第65話「未確認勢力 薺の危機」[黒胃](2009/06/21 13:43)
[68] 第66話「人のよm 仲間に手を出してただで済むと思うな」[黒胃](2009/06/20 12:04)
[69] 第67話「潜入には 度胸が必要 ビビリには難しい」[黒胃](2009/06/20 12:22)
[70] 第68話「伝説の掃除人 その名は…」[黒胃](2009/06/20 12:39)
[71] 第69話「あれ? ティアナが凡人なら、俺って…」[黒胃](2009/06/20 12:56)
[72] 第70話「探すのをやめて夢の中に行く前に見つかった」[黒胃](2009/06/20 12:59)
[73] 第71話「猫って意外と凶暴?」[黒胃](2009/06/21 13:47)
[74] 第72話「ニャンニャン…ニャン!?」[黒胃](2009/06/20 13:11)
[75] 第73話「黒い薺と白い菜の花」[黒胃](2009/06/20 13:00)
[76] 第74話「小さな猫の大きな思い」[黒胃](2009/06/21 15:12)
[77] 第75話「人形王との交渉」[黒胃](2009/06/27 16:33)
[78] 第76話「決裂…の前に交渉なんかしていたか?」[黒胃](2009/06/28 17:05)
[79] 第77話「最近の女の子って何して遊んだら喜ぶんだ?」[黒胃](2009/08/03 15:45)
[80] 第78話「家族の形に決まりはない」[黒胃](2009/08/03 16:16)
[81] 第79話「初めても暗闇 再会も暗闇で」[黒胃](2009/08/20 19:04)
[82] 第80話「甘い蜜と欲望の蜜」[黒胃](2010/08/19 13:24)
[83] 第81話「綻び」[黒胃](2010/08/19 13:15)
[84] 外伝1話「悲しい痛み」[黒胃](2009/06/20 13:17)
[85] 外伝2話「遠い記憶」[黒胃](2009/05/30 13:13)
[86] マセラティ魔導師探偵の事件簿 FILE01.人を惑わす魅惑の音[黒胃](2009/06/20 13:33)
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[6935] 第81話「綻び」
Name: 黒胃◆4c5519d8 ID:de9169ef 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/08/19 13:15
「ナズナ~、スカリーから連絡が来てたよ~」

「ドクターから?」

「うん。母さんは大分前から自分の部屋に籠もりっきりで出てこないから私が連絡受けといたの」

「ドクターから連絡…作戦の変更でしょうか…」



第81話「綻び」



side--


「ん~…今日も疲れた~」

体を伸ばしながら、よたよたと歩くのは、ボサボサの髪を帽子で押さえつけ、眼鏡をつけている変装嵐であった。
既に素の姿は六課勢には見られているが、仕事中は未だにこの変装は崩していない。まだスパイ気取りのようだった。
だが、コーデリアの調査もスカリエッティからもうしなくていいとの話を聴き、早々にサラーブに帰ろうとも考えていた。

「なんか今日は騒がしかったな…明日なんかあんのか?」

しかし予定があるのか、スカリエッティはまだ待って欲しいと嵐に話し、嵐は一応六課に残ることにしたのだ。
そしていつも通りに掃除していた彼は、今日の六課がいつもよりも慌しい空気だったような気がしていた。

『明日か…そうだね。明日の朝、大事な話がある。君も早く寝なさい』

「うい」

そうと決まれば、うだうだ帰っていないでさっさと帰って寝るかと嵐は暗い夜道を走る。しかし走っている最中に何かを思い出したのか急激に止まった。

「…あれ? いつもなら、ここらでキッドが出てくるはずなのに…」

嵐の帰りを待ち構えているかのようにキッドは嵐の仕事帰りに飛びついていた。
それに慣れた嵐は飛びついてきたところを受け止めて、そのまま一緒に帰るのを繰り返していたのだが、今日に限ってそれがない

「…飯でも食ってるのか?」

仕方なく、彼はまた夜道を走り出した。


--


なのはたちが先に現場の警備に向かった後、フェイトとヴィヴィオは同じ部屋で仮眠をとっていた。
ベッドに寝転がったり、急がしそうに走り回ったかと思うと、ベッドの下に頭を入れていたりとヴィヴィオは楽しそうに駆け回っている。

「…ねえフェイトママ」

「ん? どうかしたの」

軽く明日に向けての準備をしているとヴィヴィオがフェイトの飾っている写真の一枚を手に取りキラキラと目を向けていた。
どうやら何かしていた作業を終えて、暇にしているところで見つけたようだ。写真に写っているのは幼い姿ではあるが、姉のアリシアであった。

「…マジニャン?」

「ん…そうだよ」

「わぁーーー!!!」

フェイトの肯定に更に目を輝かせてヴィヴィオは写真を見つめる。
どうやらヴィヴィオの中ではマジニャン…アリシアは少年で言う正義のヒーロー的なポジションなのだろう。
女の子がそれもどうかと思うが確かにアリシアの戦い方は魔法少女っぽくない。

「フェイトママはマジニャンと仲がいいの!?」

ヴィヴィオの頭の中では同じ格好の二人が大きな悪と戦い勝利している姿が見えた。

「そうだね。姉さんはいつも私のことを見てくれているんだよ」

「すごーい!!!」

「それに姉さんは私の何倍も強いよ。魔法だけじゃない。心も体も…」

「ふわぁぁ」

尊敬しているフェイトの倍強いと聞いたヴィヴィオは驚いて言葉に出来ないようだ。そんなヴィヴィオの頭をフェイトは優しく撫でる。

「姉さんは姉さんの形がある。けど私も私の形があるんだ。それはプレシア母さんにもある。リンディ母さんにだって。それにもちろんヴィヴィオにだってあるんだよ」

「むう…」

「ふふ、ごめんね。また難しいお話しちゃったね」



---にゃおん!



話を終わらせヴィヴィオに抱きついたフェイトの足元から飛び出てきたのは一匹の三毛猫だった。

「うわ!?」

「ああ! ダメだよ、隠れてなきゃ」

体をブルブルと振るわせる猫の体をヴィヴィオが抱き上げる。少々ヴィヴィオには重そうだ。

「ヴィ…ヴィヴィオ…その子は?」

「前にニャンにいと遊んでたらニャンにいの背中にいたの!」

正確に言うと、ヴィヴィオが遊んでいたらではなく、遊びに行った時である。
仕事の休憩時間に睡眠不足だったのか寝てしまった嵐の背中をベッドにしてキッドも寝ていたのだ。それをヴィヴィオが連れてきて、
今の今まで六課で一緒に遊んでいたようだ。そのせいかキッドは、若干疲れているように見えた。

「…ベルツリーさんが?」

「べる…つり? …ああ! ヴィヴィオのうささんとっちゃダメ~~!!」

ヴィヴィオが持っているウサギの人形が気になったのかキッドは耳の部分を噛んでヴィヴィオから奪い取る。
それに気づいたヴィヴィオがキッドを追う。部屋の中を一匹の猫と一人の少女が駆けまわった。賑やかな部屋にフェイトは真面目な表情崩し、笑顔になった。

それぞれの夜がゆっくりと過ぎていく。



―――破滅に向かって



sideout


「つまり今日ナズナが迎えに来てくれるわけか?」

俺は部屋を勝手に模様替えしてしまって、汚してしまった部屋を片付けながらスカさんと会話をしている。
この部屋に来て、しばらく。俺は大分自分好みに改造した部屋でくつろいでいると、スカさんからナズナたちから連絡があったとの知らせを聞いたのだ。

『ああ』

昨日の夜から六課の面々が騒がしいかと思っていたらどうやら公開意見陳述会の日だったらしい。
だったらそろそろ脱出せねば危ないと考えて朝にスカさんに相談してみようと思ったら、ナズナからの連絡の話し。どうやらもう策は練っているらしい。頼もしいね、本当。
それにしても…もうそんな時期になっているんだなぁ…この展開で六課って結構大打撃受けるから大変そうだったよなぁ。
まあ死者は出ていないはずだし、原作キャラが何とか頑張るだろう。頑張れよ、ヴァイス君! ルールーに負けるけど挫けるな。
それでナズナが迎えに来てくれるまで時間は余っているし、何して過ごすべきかと考えて。

「脱出するときまでに荷物でもまとめておくか」

『そうだね』

ということになったのだ。ここに来てそんなに重要なものを部屋に置いてあるわけじゃないけど一応確認しておくかな。
要らないものは捨てて、要るものはちゃんとまとめておこう。立つ鳥跡を濁さずってな。





「…うわ、懐かしい! たまごっちだ」

『……』

「おほー! デジモンまで!? カブテリモンで止まってやがる!? …バグか?」

『…………』





side--


公開意見陳述会の会場になった建物の外。ヴィータと他フォワードメンバーは襲撃に備えて警備しているところだった。
六課の面々の他にも、局員達が緊迫した空気で警備に当たっている。
そんな中ヴィータはフォワードメンバーに警戒を緩めないように注意を促しながら、なのはと念話を行っていた。
今回の襲撃の目的が読めない、謎の部分が多いとなのはと話している。
スカリエッティ一味だと推察して兵器の威力証明? しかし態々ここを狙うなどリスクが高すぎる、ここ以外の場所を狙えばいい話だ。
やはり明確な答えは出ず、どの答えも正しい答えには辿り着かなかった。

≪あんまり考えてもしょうがないよ、ヴィータちゃん≫

≪あのよ、なのは≫

≪ん?≫

このまま考えていても時間の無駄だと判断したなのははこの話を打ち切る。するとヴィータはオズオズとした態度で話しかけてきた。
何かいいにくいことでもあったのだろうか?

≪発想を変えてよ、これってあのスズキナズナって奴らの組織ってことも考えられねぇか?≫

≪――それは≫

スズキナズナ。ヴィータの前でそう名乗った彼女は昔から謎が多い、いや謎が多いと言うと語弊があるかもしれない。
謎しかない少女だった。幼い頃から事件の場に颯爽と現れて自分達の目的が済むと風のように去ってしまう。
昔から、そして今もクロノの頭を悩ませ続けている存在だった。さすがに提督の地位を貰ってからは個人的に調査することも少なくなったようだが。

≪ナズナちゃん…か≫

≪違うか?≫

なのはは、考える。
確かに彼女、ナズナが何か目的があったこの局員達が固める陳述会を襲わなくてはならないのであっては、迷いなく襲うだろう。
しかし、なのはは、騎士カリムの出した予言を聞いている。彼女たちが襲撃を仕掛けてくるのならば、もっと単純に言い方は失礼だが馬鹿っぽく出る気がした。
あんな複雑に予言に出ることは考えられない。もっと単純に、一言だけとか――

≪…一言?≫

≪なのは?≫

何かの欠片と欠片が一つになる感覚。なのはは、騎士カリムの予言に時折浮かんだ、謎の単語を思い出した。

――――“人形”

人形と騎士カリムは言った。しかしこんな事例はいままで見たこともなく。ただの魔法のミスかもしれないとの話もあった。
その時は対して気にしていなかったなのはだったが、今思うとあの言葉はナズナのことを示していたのでは?
いや、それはないとなのはは、考えを打ち切る。確かにナズナは自分のことを人形と言ったことがあるとフェイトから聞いたことがあったが、
今、この陳述会に介入してくる意図が読めない。ナズナたちの行動は謎が多く、未だに理解していない部分の方が多いが、
なのはは、この事件にナズナの組織が敵として関わってくる可能性は低いと見ていた。
しかし一度浮かんだ不安は拭えない。ナズナが何かしら関わってくるのでは―――との考えがなのはの頭をグルグル回る。その思考を打ち切ったのはヴィータの念話であった。

≪なのは?≫

≪…ごめん、何でもないよ。ナズナちゃんが襲撃してくる可能性は低いと思う≫

≪そっか≫

なのはは頭に浮かんだ考えを打ち消し、ヴィータに応答する。

≪やっぱり考えていても仕方ないよ、信頼できる上司が命令をくれる。私たちはその通りに動こう≫

≪そうだな≫

話を打ち切ったなのはであったが、胸に疼く嫌な予感は打ち切れなかった。





sideコーデリア


私が契約しているのはフェイトだけど機動六課に協力していないわけじゃない。
ティアナとの訓練は自分の腕の向上にも繋がり欠かせない。スバルたちも嫌いなわけじゃない。
けれど…何というか…

「こういう空気は苦手なのに…」

「わん…」

周りにいる人みんながピリピリしているみたいで何だか落ち着かないよ…
管理局員ってみんなこうなのかな…。私も管理局に入っていたらこんな感じになってしまうのかな?
フェイトに頼まれて警備に協力することになったのは別に構わない。この警備は何だかきな臭いし。
八神部隊長の話では、騎士カリムという人物のレアスキルの占い的な能力では、この陳述会が戦いの舞台になるとの意見が高いらしい。
だからこそこれほどの量の魔導師が集まっているのだろう。だけど、これほどの量の警備を抜けて、戦うなんてどれほどの戦力を保持しているのか…
ただの間抜けという線もないわけではない。

「わん」

「ポアロ? 気にしないで」

なのはさんたちは犯人の候補では私とフェイトが追っているスカリエッティの一味と、高町なのはのクローンを裏で操っているという謎の人物。
まあ、これは薄い。というかないです。だってあの組織にはシントラさんが組み込まれている。その組織がわざわざ本当に悪の組織みたいなことをするとは思えない。

「いやな予感…ですか」

「どうかしましたかコーデリアさん?」

「あ、ギンガ」

頭をうならせていると青い髪をしたスバル家の姉の方、ギンガが話しかけてきた。ギンガに久しぶりに会ったときは驚いた。昔助けた子がまさか局員になっているなんて。世界は狭いな。
フェイトたちは中の警備に行っている。本当は全員中の警備になるのかと思っていたけど、どうやら中に入っていいのは隊長格の三人だけのようだ。
だから私はフォワードメンバーと警備していた。そして開始から4時間くらい経過し、陳述会もそろそろ終わりだ。
私とギンガはティアナたちと別れて北エントランスに経過報告をしに行っていた。

「うん…なんだか鼻辺りがヒリヒリするんだ。きっと今日は何か起こる。まだ警戒しといたほうがいいよ」

「わう! わんわん」

「はい。わかっています」

私の勘が当たらなければいいんだけど…



そんな甘い考えは直後に響いた爆音に打ち消された。






sideナズナ


「それでは行ってきます」

「は~い。母さんには私から伝えておくから早めに帰ってきてね~」

「姉御! 気をつけてな!」

ドクターからの連絡の内容は単純だった。ただ迎えに来て欲しいという簡単な内容。
どうやら今日機動六課で戦闘が起こるので待機している場所まで私が迎えに行けばいい。それでマスターの任務は終わりだ。

「マスターを待たせては悪いですね。急ぎましょう」





――アリシアはこの時、母に連絡しておかなかったことをひどく後悔することになる。












「ここ…ですね。マスターがいる場所は」










---コンコン










「お? ナズナが来たのか」










「早くサラーブにマスターと戻りたいね」

『Of course. master(そうですね)』










---コンコン










「はいはい今開けますよ。…六課生活も終わりか~」

『…ああ。そうだね』










「な、なんと言えばいいでしょう…お、お帰りなさい? でしょうか」

『Let's go as usual.(普段のままでいきましょう)』










「はー…い?」










「お迎えに参りました。セカンドドクター」









数秒後、寮の一室は大きく爆発を起こし、それが火種のように襲撃が始まった。





--





「よく来たね」

「マスターとドクターは何処へ」

目の前に現れた予想外の人物に私はさっきまでのドキドキ感が嘘のように喪失しているのに気づいた。
というより、目の前の人物が現れたことにより、ドキドキがイライラに変換されている気さえしてきた。

「奥で待機してもらっているよ」

“マスター”が待機しているという話の場所にたどり着いた私を待っていたのはスカリエッティだった。腹が立つ、消えないかな。
私が指示を受けた場所は機動六課からそう遠くもないビルの一つだ。
何故ここと思ったけれど、ドクターの反応もこのビルからしていたから、ここにマスターもいると判断していた。だからこそスカリエッティのせいで腹が立つ。

「そうですか。お邪魔しました」

こんな変態と話している時間が勿体無い。早くマスターに会いたい。抱きしめたい。
見れば、後ろの変態の隣には紫の髪の女…ウーノだったかな? ウーノが忙しそうにキーボードと思われるものに何かを打ち込んだり、通信したりしている。
見るだけで忙しそうだ。私に話しかける暇があるなら手伝ってあげればいい。

「おっと少し待ってくれないか」

嵐の場所を聞いたナズナは情報源のスカリエッティに頭を下げずに部屋を出て行こうと扉に手をかける。
そのナズナを止めたのも他ならぬスカリエッティだった。ナズナはいかにも面倒くさそうな表情を浮ばせる。
それに対してスカリエッティはニコニコと人のよさそうな笑みを浮かべている。





「少し…私の話を聞いてくれないかな? 君の主の話だよ」










sideコーデリア


「ギンガ!!」

「ッすみません!!」

襲撃は突然だった。鳴り響いた爆音と同時に辺りに立ち込める慌しい空気。
もう! 私の嫌な予感に限って当たるんだから、こんなところはおじいちゃん譲りじゃなくてよかったのに!!

「いくよ!」

「はい!」

私とギンガは既にセットアップを済ませている。迅速に動いて被害を少なくし、出来ればこの事件の犯人及び協力者を捕まえたい。
幸いにも私とギンガが駆け抜けているスペースは爆発や攻撃による被害は少ないからスムーズに移動できた。
軽快に走り続ける私たちの動きを止めたのは相棒のポアロだった。何かを見つけたのか私たちに振り返り一吠えしてくる。

「どうかしたんですか?」

「ポアロが止まれって」

どうしたんだろう? こんな急いでいるときに…だけどポアロは私をいつも助けてくれている。
犬であるポアロは私たち人間の魔導師に比べると警戒心が強い。だからこそ私はポアロの注意は聞き逃さないようにしている。

「中々優秀な…犬を持っているな」

止まった私たちの目の前に現れる人影。それは局員ではなく、小さな少女。だからと言ってもフォワードメンバーでもない。
目の前の眼帯をした銀髪の少女はゆっくりと姿を現し、地面に突き刺さっているナイフと思われるものを抜き取った。

「今ので終わらせるつもりだったが…甘かったか」

「あなたはこの事件に何か関連していますね? 管理局です、武器を捨てて手をあげてください」

ギンガの口上に従うわけでもなく、少女は観察するように私…ではなく、ギンガを眺める。
どうやらギンガは目の前の敵の未知数の戦闘力に目を奪われて気づいていない。周りから何かで滑るような、
そう、ギンガやスバルたちの移動手段であるローラーブーツの音だ。

「タイプ・ゼロ…回収させてもらおう」

少女の声が聞こえると同時に私は隣のギンガを蹴り飛ばした。
急いでいたから結構威力込めて蹴っちゃってけど許してほしい。ギンガのいた位置を通り過ぎる青い砲弾。
それは止まるどころか私たちの後ろの壁を破壊して更に奥の壁まで破壊する。恐ろしい威力に速度。欠点は進行方向の変更不可ですね。

「今の攻撃をかわすか。腕利きの魔導師か。運のいいだけの魔導師か」

「経験と場数です」

「け、っほ、けほ、すみません、コーデリアさん」

「気にしないでくださいです。私もギンガがいなければ冷静でいられなかったと思う」

数は二人、二対二に持ち込める…いや、ポアロを入れて此方が多い。
大概の魔導師、または戦士はポアロを戦える人数には数えない。それは間違いでポアロは単体でも戦えるし、
寧ろ私よりも機動力は上だ。魔導犬の名前は伊達じゃない。

「多分、スバルやなのはが向かってくれてると思う。勝つんじゃなくて、持ちこたえよう」

「はい!」

さて、シントラさんとの戦いの前の準備運動です。




sideナズナ


目の前の男の顔を直視したくない。あまり長くこの場所に痛くない。早くマスターたちの元へ駆けつけたい。
だけど私はこの男から目が離せない。いや、頭では離せと体に伝達されている。だけど体が動かない。ひどく喉が渇く。
スカリエッティが言った言葉は私の動きを

「君に話したいことは君の愛しい主の変更のお知らせだ」

「なにを、言って、いる…」

目の前の男から粘着質のような粘ついた声が聞こえる。聞きたくない。聞くな。目の前の男の話に耳を傾けるな。
聞くな、聞くな聞くな聞くな聞くな。

「実はある“協力者”が私に出来てね」

目の前の男はゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。私は手ににぎるミーティアをより一層強く握り締める。
いつでも発動できるように。いつでも目の前の男を消せるように。

「協力者に協力してもらい、私はある計画を実行に移すことした」

一歩、また一歩と私に近づいてくる。
男の顔が歩みに比例するかのように歪んでいく。おぞましい、吐き気がする。だけど変態から目が離せない。

「人間というのは不思議でね。例え興味がなくても、人が欲しているとそれに魅力を感じてしまう」

ミーティアの起動を確認。いつでも迎撃可能。
奴が不審な動きをした途端に、一秒も掛からない内に首を落とせる。あとは奴の行動を一部も見逃さないようにするだけ。

「そのためにはいくつか準備が必要だったのだよそして今日その準備が整った」

奴の目の前にモニターが表示される。関係ない。私は奴から目を逸らさない。目…を…

「君の主がね」

モニターに映っているのは、倒れているのは

「死ね」



マスター。



コロス。こいつはこのまま放っておいてもマスターに害をなすだけ。いや、存在しているだけでマスターを汚す。だから、ここで殺しておく。
マスターはこいつを始末した後で探せばいい。それにマスターが黙って捕まるはずが無い。ドクターもついているのにありえない。
いや、そんな理屈はどうでもいい。物事を正当化する必要はない。純粋に、私は、こいつを、殺したい。一片のDNAも残さずに消し去りたい。
あそこに倒れているのは人形か複製かは知らない、知りたくもない。けどこいつはマスターを汚した。アスターの複製を生みだした。
それが中身もマスターであろうと、外見だけがマスターであろうと関係ない。マスターに関係するものに触れた。それだけで万死に値する。

ミーティアの形状はすでにブレードフォーム。奴の首を切り落とすには十分。あとはこのまま振り切るだけ。このままいけたら――――

「っ!?」

奴の首を切り落とすはずだった刃が止まった。奴の魔法で、技術で止められたのではない。奴が何かしたのではなく、私が止めてしまった。
違うとわかっているのに、これはあの人じゃないって頭では理解しているのに。それでも体は動いてくれない。

「…切らないのかい?」

ああ、声まで―――

「…れ」

「調子でも悪いのかい?」

そんな声で話しかけるな。私に触れるな。私の中に入ってくるな。

「黙れ…」

「大丈夫か、ナズナ? 体の調子が悪いのなら―――」

「その声で、その顔で、私に、話しかけるな!!!!!!」

目の前には愛しい人。


切れない
切りたい

殺せない
殺したい

消し去りたい。
消し去れない。


「違う。違う違う違う!! おまえは…おまえは…!?」

動け! 動いて! こいつはマスターじゃない。ただの覆面の変態。だから動け! あと一センチでいい!
そうすれば、悪夢は覚める。動いて、悪夢を見るのは私じゃない。私が、マスターに仇なす敵に悪夢を見せるんだ。

『すこし落ち着いたらどうだい? ナズナ』

え? この声は…

『冷静になったかい?』

マスターの顔をした変態の指から聞こえる声は変態の声。けどそれがどこから聞こえてくるのかが問題だ。
どうしてその声が変態の指から聞こえてくる? さっきまでいなかった。何故?

『すまないね。私は無限の欲望。彼の器では満足できなかった』

「-そだ」

『…ナズナ、君も来ないかい? キミも』

「嘘だ!!!!!」

目の前の光景は何だ!? 何故ドクターがそこにいる!? あそこにいたマスターは本物!?
どうして裏切ったんですか!! いや、これが変態の策か!? 私たちを内部分裂させて…けど--

「葛藤はいいけど、背後にも気を回しておくべきよ、お嬢様」

目の前のスカリエッティから聞こえる声は、とうとう私の頭がおかしくなったのか、大分高く聞こえた。

「な、に…を」

後ろを振り返り瞳に映るのはどこかで見た女。
女が私の体に触れた途端に魔力の収束がうまくいかない。体に魔力がうまく張り巡らせられない。体が重い。
まるで触れられている場所から何かが抜け落ちていくかのようだ。意識が…薄れ、る。

「デバイス、主の命が惜しいなら大人しくしなさい。可愛いお顔に傷がついちゃうわよ?」

鋭利な刃が装着されている手甲…形状的には爪型に見える。
それが私の目に突き付けられており、それがあと数センチ前に動かせば、私の目を抉るだろう。

「…もう会う事もないだろう」


どこかで聞いた声。ど、こかで…

この感覚も、どこか、で…


「あ、マす、たー…」










私が、迎えに、い----















<あとがき>
本当にすみません。凄く更新が遅れてしまいました。
これから更新していきます。未熟者ですが最後まで走りきるのでこれからもよろしくお願いします。
今回から嵐主人公ルートが始まります。ヒーローとヒロインの位置が完璧に入れ替わります。
活躍度的に今まで活躍していなかった分、存分に暴れるよみたいな。セイバールート士郎からHFルート士郎くらい変わる! …かな。
無印、As、そしてstsと舞台を重ね、主人公として羽ばたきます。ヒーローインですね! …あれ? 
では! また!!


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