---ふにゃ~「っ!? 同胞!?」『君ね…』---にゃう?「何故こんなところに…。ここは悪魔が巣くう魔窟だ。見つかる前にお逃げ」『いや、だから君ね…』---にゃんにゃにゃん♪「暇だから遊んで欲しい…。いいだろう全身全霊で遊んでやろう! 体力の貯蔵は十分か!!」『…今の言語が理解出来たのかい?』第78話「家族の形に決まりはない」---にゃ!「あぁ…和むわぁこの感じ…」仕事が速く済んだのでのんびりと外を散策していると見つけた我が同胞。…そうだなニャん・ザ・キッドとでも呼ぼうか。うむ。素晴らしいネーミングセンスだ。素晴らしすぎて体中から涙が出てきそうだ。ニャん・ザ・キッド…キッドを見つけた俺はキッドからの熱い視線にかつての俺がアリシアに向けていた視線と同じ光を持っていることに気づいた。暇だから遊んで欲しい、構って欲しいと!!---にゃうん♪「愛い奴よのう」本来猫は進んで人間に近づいてくるなんてことは滅多にないはずなのにキッドは何故か俺にゆっくりと近づいてきた。日本でよく見るタイプの毛並み。三毛猫のタイプだったからか何だか愛着も湧いた。スカさんが同じ匂いとか、人間としての尊厳がとか難しいこと言っていたけど気にしない。「お前は可愛いな」どっかのデバイスと違って。---にゃにゃ優しく頭を撫でてやると目を細め嬉しそうにしてくれているキッドを見て荒んだ心が潤っていく。アニマルテラピー恐るべし。キッドの頭を撫で続けながら青い空を眺めているとゆっくりと睡魔が俺を襲う。このまま寝てもいいかと考え目を閉じて…「はぁ…」「ふぅ…」開けた。「…で? お二人さんは何をそんなに悩んでいたわけ?」「い、いえ。大したことじゃ!? ね、ねえキャロ!?」「そ、そうですよ!?」---にゃ~?俺とキッドが座っていた場所の目の前を溜息を吐きながら通ろうとした二人。エリオとキャロのちびっ子コンビ。いつも明るく純粋な二人が溜息を連続で吐いているのを見たら気になるというものだ。俺の膝に丸くなって寝転がっているキッドもいきなり溜息を吐いて現れた人間を観察するように眺めている。「まあ、話したくないなら別に構わないけど? 話したら楽になるかもしれないよ?」「「……」」運のいいことに今日の俺は荒んだ心がキッドによって潤っている。砂漠のオアシス状態だ。今の俺ならアリシアの地獄の勉強だって手伝ってやれる。スカさんのどんな実験にだって笑顔で付き合っていられるだろう。ナズナにどんな暴言を吐かれたって…あ、それは無理だわ。死ぬ。マッハで死ぬ。「けど…」「俺が聞くのにはまずい話か?」もしかしてエリオとキャロの悩みはそれぞれ違う可能性だってあるしな。エリオはプロジェクトFのことかもしれない。キャロは…桃髪繋がりで使い魔としてフリードの態度がなってないとかか? こ、ここここのバカ竜ーーー!! か?「い、いえ! そんなことないです!」「はい!!」「なら話してみろって。こんなに優しい俺は珍しいよ?」≪滅多にないだろうね≫うるせーよ。「…そ、その…本当にただの愚痴になってしまうんですけど…」「はい…」「いいって。人間たまにはガス抜きしとかないと破裂するぜ? なあ?」---にゃん!膝元から華麗にジャンプして俺の頭に飛び乗るキッド。どーでもいいけど頭はちょっと重いよ。「え、えと…それじゃあ…」「…なるほど…」俺は話が長くなりそうなので話を聞く前に買って来たジュースを人飲みする。エリオとキャロの手にも俺が買って来たジュースがあるが二人は話に夢中で手をつける様子は見られない。キッドにも何か買ってきてやりたかったがさすがの六課とは言え猫の食べ物がおいてあるところはなかった。残念だ。「とりあえず飲め」「あ、はい、すみません」「いや怒ってるわけじゃない」俺の指摘に一瞬呆けた表情になった二人だったがすぐに手に持つ飲み物のことだと気づいたのか飲み始めた。買ったときは冷たかったはずなんだがすっかり話し込んでいるうちに温くなってしまっただろう。「…家族か…」---にゃぁ…エリオとキャロの悩みは実にシンプルだった。薄々感づいてはいたがやっぱりフェイトのことだ。何故に今更フェイトのことで悩んでいるのかというと最近俺のことを兄呼ばわりするようになった一人のお姫様が原因だった。どうやらこの世界のフェイトはヴィヴィオにママと呼ばれていない。フェイトさんかフェイトにゃんだ。ヴィヴィオと遊んでいるときにフェイトのことをフェイトにゃんと呼んだときは何も飲んでいないのに吹きそうになった。いや、吹いた。ママとは呼ばれていないが子供の扱いに慣れているフェイトがヴィヴィオと接する時間が長くなるのは自然のどうりだ。そしてそんな二人を遠くから眺めていると知らない人が見れば十中八九親子と間違えるだろう。髪の色もおそろいだしな。そこが原因だ。「お、美味しいですね! このジュース」「そ、そうだねエリオ君!」俺がジッと黙ってるのを見て何か勘違いしたのか俺のご機嫌を取るような態度を取る二人。いや、気にしないでくれよ。話は戻るがそのヴィヴィオとフェイトのやり取りをエリオとキャロが見ているときに二人は心の中で少し引っかかるものを感じたらしい。それは嫉妬の感情も少し混ざっていたと思うがその二人を見て自分たちの今の状況に疑問を抱いた。フェイトの屈託のない笑顔。もしかしたら自分もヴィヴィオのように魔導師ではなくてただのフェイトの家族としていた方がよかったのではないか?魔導師は年齢関係なく優秀な才能があれば出来る仕事だ。そして二人はフェイトの力になりたくて危険な魔導師としての道を選んだ。始めにフェイトにこの話をしたときはやんわりと反対されたらしいが、最終的に自分が選んだ道なら私は反対しないとフェイトが折れた。だけどその時に自分たちのほうが妥協してただの二人の子供としてフェイトの近くにいることをフェイトは望んだのではないかということだ。もちろんフェイトは自分の家族として危ない仕事をして欲しくなかったのも本音だろう。だけど二人の選んだ道を親だからと勝手に決めるのも嫌だったんだろう。サラーブにいる母、プレシア・テスタロッサと似ている点は子供の選んだ道を応援しているとこだろう。プレシアさんもアリシアが戦いを希望したときは物凄い悩んでいたのを知っている。夜な夜な部屋から呻き声が聞こえてくるくらいだ。「つまり自分たちはフェイトに心配ばかりかけていると…」「はい…」「魔導師になってからフェイトさんに心配ばかりかけている気がして…」だから普通の子供になったほうがよかったとね…「難しい問題だな」「それに僕…家族の…本当の家族ってあまり知らないんです」「…私もです…」二人は飲み終えたジュースを脇に置いて頭を地面に向けて俯いてしまった。確かにエリオは親から見捨てられ、キャロのは里から永久追放されるくらいだ。…この図って事情を知らない人が見れば苛めてるように見えない?「…全く…お前らは子供のクセにいろいろと難しいこと考えすぎなんんだよ」こいつら何でこの年齢でこんなに大人的な考えを持ってるんだよ。俺の子供時代が凄い馬鹿みたいに思えるじゃないか。このくらいの年齢の奴は友達と楽しく遊んで無茶して暴れて馬鹿みたいに笑って怒られたらいいんだよ。≪実際に馬鹿じゃなかったのかい?≫黙らっしゃい。「で、でも…」「いいからちょっとついてこい!」「え? あ、ちょ、わわわ!?」「え、エリオく、ふわっ!?」二人の子供を脇に抱え頭に猫を乗せた一人の清掃員が六課を翔ける! 気分はほんのり猫バ○!「はやて~!」「なんやヴィータ~いきなり」「一緒に飯食おう!」「リインも食べるです~!!」「では私も…」「ヴィータちゃん! あまりはやてちゃんを困らしちゃ駄目よ」「ええよシャマル。丁度仕事も一段落ついたし、一緒にご飯食べようか」賑やかな食堂で賑やかな団体が歩いている。最強戦力八神一家だ。「あの…」「何だ?」「どうしてこんなことするんですか?」「ばれない為だ」俺に抱えられているキャロがおずおずと俺の顔を見ながら質問してくる。「ばれないって…」「何か問題でもあるのか?」「い、いえ…」今の俺の状態ははやて御一行からギリギリ見えない壁に隠れながらはやてたちの行動を監視している。これのどこに不満があるんだというんだ全く…。『(…八神はやてたちからは見えないが他の職員たちには丸見えだがね…)』「ヴィータまたそれか? この前もそれやったやろ~」「だってこれが好きなんだ! はやての飯には全然及ばねえけどな!」「リインもはやてちゃんのご飯が食べたいです!」「だよなー」リインとヴィータが自分の飯を運びながら口々に文句を言っている。そこまで言うはやての飯を一度食ってみたいな。ナズナの飯も結構うまいが他の人の料理と比べたことはあんまりないからな…「あの…これは何ムグっ!?」「いいから黙って見とけ」再びエリオが俺に聞いてくるがばれたはまずいため口を塞ぐ。「あ~あ。たまにははやてのギガウマな飯食べてえな~」「全く。お前は堪え性がないな」「そう言うシグナムだってこの前はやての飯が食いたいって言ってたじゃねえか!!」「なっ!? それはお前の前では話していないはず!!」「シャマルから聞いた」「シャマルゥゥウゥゥウウゥ!!!!!」顔を真っ赤にしてシャマルに襲い掛かるシグナム。さすがは烈火の将。速さが段違いだ。呆気なくシャマルは捕まってしまい、首をがっくんがっくんと揺さぶられている。シグナムとは反対に顔が青くなっていく。「シ、シグ、落ち着、ナ、グフ」「シグナグフ? 私はそんな名ではないぞ」誰だよそのガンダムっぽい名前は。「全く…」「まーまーザフィーラ。それに二人とも落ち着いてえな」「主はやてがそう言われるのなら」「う、うぅ…何だか知らないお爺さんと川のほとりでお話している夢を見たわ」「それやべーんじゃねえか?」人はそれをS・A・N・Z・Uの川と言う。「そやな~。今度食堂借りて久々に作ってみようかな」「ほんとかはやて!! やった!」「やったです~」嬉しさを押さえられずに大声を出して喜ぶヴィータ。その周りを飛び回るリインフォース。全く…と言いながらもほんのり嬉しそうにしているシグナム。未だに青い顔のシャマル。黙って椅子の下にいるザッフィー。「よし。行くぞ」「え?」---にゃお~うキッドの鳴き声が響くと同時に翔け猫の閃光。「ほら!」「えい!」芝生の上で風船の飛ばしあいをしている二人。ヴィヴィオとなのはを俺とちびっ子コンビは眺めていた。午後の訓練までまだ時間があるんだろう。その間にヴィヴィオと仲良く遊んでいるみたいだった。こういう風景を眺めてると和むよね。「ふわ、あ、あぁ!」「ヴィヴィオまた落としちゃったね」風船がゆっくりと吹いた風に流されてヴィヴィオの予測していた地点とは別の場所に落ちてしまった。それに走って駆け寄り、風船を取りなのはを見てムッとした表情になる。「もう一回!」「ふふ、いいよ。ヴィヴィオは負けず嫌いだね」えい! と可愛らしい声をあげてなのはに向かって風船を飛ばす。風船はふわふわとなのはに向かって飛んでいく。「あの…」「…ん? 何だ」大人のなのはが簡単に風船を落とすはずもなく、難なくヴィヴィオに飛ばし返すとヴィヴィオはあたふたしながら構えを取る。今は風が吹いていないのでヴィヴィオも何とか風船をなのはに飛ばし返すことに成功していた。「その…これは?」「…さっきの部隊長とか高町隊長を見ててどう思うよ」「仲がいいな…と思います」「そうだな、仲がいいな。繋がりを言葉で表すなら何が当てはまる? 姉妹? 恋人? 友達? 違うな。家族だろ」「そう…ですね」キャロは仲良く風船を飛ばしあっているヴィヴィオとなのはを眺めながら呟く。「さっきまで見ていた二組の家族を見てて全く同じに見えたか?」「え? いえ同じには…」「そうだ。同じには見えない。それが家族ってもんじゃないか?」「「……」」「同じような雰囲気を持っているのはある。けど全く同じ形の家族ってのはない」仲がよくて暖かい家族。あんまり喋らないけど心でつながっている家族。悲しいけど親と子が信頼しあえていない家族。形は千差万別だ。同じように見えても知れば知るほど違いと言うのは見えてくる。「「……」」「俺から見たら…お前らは立派な家族に見えるよ」「けど…「エリオ! キャロ!!」ふぇ、フェイトさん?」未だに自信がないのか反論しようとしたエリオの声を遮り必死の形相でフェイトが翔けてくる。「ど、どうしたんですか!?」「ふぇ、フェイトさん!」「よかった無事で…」二人を抱きかかえ安堵の息を吐くフェイト。その顔はアリシアのことを思うプレシアと重なって見えた。それにしても一体全体どうしたんだ?「心配したんだよ…」「ど、どうしてですか」「食堂で聞いたんだよ。猫耳の変質者にエリオたちが攫われたって」「……」---にゃ…にゃん「無事でよかった…」「え、えと…」「あ、あの…」フェイトはギュ~っとエリオとキャロを抱きしめる。暖かい温もりに慣れていない二人の顔は真っ赤だ。ここで変質者がどうこう尋ねるのは野暮だろう。仕方ない。空気を読もう。「あ~ニャンにいだ!」ヴィヴィオがこっちに気づいたのか風船を持って近づいてくる。フェイトもヴィヴィオがいたことに気づいたのか抱きしめる力を緩めた。その隙に二人はフェイトから抜け出した。「遊んで~」「はいはい。今はこの二人と遊んでなさい」抱擁から解放されたちびっ子コンビをヴィヴィオに差し出すとヴィヴィオは二人の手を引いてなのはの元に戻った。この場に残されたのは俺とフェイトだけだ。咄嗟にぼろが出そうでちょっと緊張。「こんにちは」「あ、はい。こんにちは」無難に挨拶してみたけど、その後また無言。なんだああぁあぁあ!! この空気!!「あの」「はい?」この場にいても仕方ないと考えてヴィヴィオの元に向かおうと思ったときにフェイトから声をかけられた。「何か?」「その、ちょっと聞きたいことが…」フェイトが聞きたいこと? まさかフェイトも俺に悩みを?「何ですか?」「ベルツリーさん…昔会「ニャンにい~! 早く~」」「ああ。すぐ行く! すみません聞こえなかったのでもう一度お願いできますか」ヴィヴィオのせいで後半が聞こえなかった。「…すみません。やっぱりいいです。多分私の勘違いだと思います」「そうですか?」何だったんだ?おまけ夢の中へ嵐「…ここは?」嵐が目を開けたとき、そこは自分の知る部屋ではない場所だった。俗に言う知らない天井だ。一体自分がどうしてここにいるのかが理解出来なかった。自分は昨日はエリオたちと別れ部屋に戻った後にデ・トのデバイスを適当にいじくった後に寝たはずだ。何故こんな場所に? まさか拉致? と嵐が思考の中に入ろうとしたとき「起きたんですか」何故か裸のナズナがいた。思考は完全にフリーズした。「え、えと何故ここに? それに何故裸?」嵐はまさか超えてはいけない一線を越えてしまったのか? 超えたとしても覚えたないのが勿体無い! と考えた。些かというよりかなり思考がずれているが、本人はいたって本気だった。「覚えていないんですか?」「え、ええと、イエス…」ナズナの問いに答えることよりもナズナの体を見て鼻血を抑えることに集中している嵐は声が変に高くなっていた。その答えを聞くとナズナは自分の体を下の部分からゆっくりと撫でていく。その姿は男が見れば必ず腰を引いてしまうだろう。「あんなに激しかったのに…」自分の体を撫でていた指を口に含み、ぴちゃぴちゃっといやらしい水音を立てた。「くはっ!?」そこが限界だった。次の日、枕を真っ赤にしてしまい洗濯が大変になった嵐が確認された。ナズナ「すみませんティッシュ取ってください」「ナズナ~女の子が鼻血ってどうかと思うよ~」「すみません。夢の中くらい積極的に行動した結果が…」「…どんな夢見たの?」「は、激し…ノーコメントでお願いします」アリシア「ああ! 嵐が泉に!!」どういう状況でそうなったのかは謎だがいきなり嵐が足を滑らせ泉に落ちてしまった。アリシアは必死に手を伸ばしたがあと少し届かず嵐は深い泉に身を落としてしまい、浮んでくることはなかった。「そ、そんな…嵐…らーーんーーーー!!!」アリシアが涙を泉に一滴落とした瞬間、川が輝き出し一人の黒髪の女神が現れた。「え、と何してるのナズナ」「私はナズナではありません。泉の精霊です」どこから見てもナズナなのだが、どうやら違うらしい。どう突っ込めばいいかアリシアが考えたときナズナ…じゃなく、自称泉の精霊の手にいる人物が目には入った途端に大声をあげた。「嵐ーーーー!!?? しかも二人いるーーーー!!!」泉の精霊ナズナの手にいたのは嵐だった。その声に泉の精霊はニコリと笑い「あなたが落としたのはこの勇気があって頭がよくて魔力値SSSで暗い過去を持っていてナデポ持ちで主人公補正のついたマス…嵐ですか?」「俺は…世界を守りたい…」究極完全体パーフェクト嵐のようだ。「それともこっちのTSで何故か可愛くなっていて天然で女性の理想のスタイルでそれでいて強くてニコポ持ちでヒロイン補正のついた嵐ですか?」「こ、ここってどこなのかな?」T(とても)S(主人公とは思えない)嵐のようだ。「二人とも違うよ!!」明らかに別人の嵐を持って帰っても仕方がない。帰ったとしてもナズナに殺されるだろう。「あなたは正直者ですね。褒美にこのパーフェクト嵐とTS嵐を差し上げましょう」「どうやら神は戦いを止めるのを許してくれないらしい」「あ、あの…よろしくおねがいします!!」「それでは」二人の嵐をアリシアに渡すと泉の精霊は用は済んだとばかりに泉の中に戻っていく。「ちょっと待ったーーー!! 元の嵐を返してよ!!」「このマス…嵐は私が責任持ってけっこ…世話を見ます」「いいかげんにしろーーー!!! 私がナズナに殺されるーーー!!」夜中に大声をあげたせいでプレシアが心配して見に来られたアリシアだった。リインフォース「こ、ここはどこですか…?」リインフォースは混乱していた。主であるはやての傍で眠ったはずなのに目覚めてみたら自分は真っ暗な空間にいた。そして真っ暗な空間だけでなく、ゆっくりと地面が動いている感覚まである。自分はいったいどうなったのか?その疑問が晴れるのは暗い空間が一筋の明るい光によって全てが照らされたときだった。「こ、ここは…」「17番テーブルにどうぞ~」「か、回転すし?」回転すし屋だった。そして悟った。これは自分が見ている夢だと。何故なら自分は皿に乗って回っているから。「ふわっ!?」リインは何故自分がこんな夢を見ているのか考えているとリインの乗っている皿が誰かに取られたようだ。「むっ? お前は」「え? …えぇええぇえ!!!」皿を取ったのはリインフォース・ツヴァイの姉妹機リインフォース・アインスだった。さりげなく一人で10皿くらい平らげていた。大きさは通常状態から大人フォームに切り替えていた。「え、えと!? あ、あなたは!?」「…私はお前の…一応は同じ存在だが生まれた順で言うと姉に当たる存在だ」皿の上であわあわしているリインとは逆に冷静に自分の紹介をするアインス。「な、なんでここに!? えと、ゆ、夢ですか!?」「おそらくお前の中にあるほんの僅かな私の欠片と共鳴して同じものを見ているんだろう」「えと…」「場所は…お前が望んだ場所なんじゃないか? (私が昨日見た美味しい回転すしのせいだな)」「り、リインが望んだことですか!? そ、そういえば最近お寿司食べていなかったような…けど…」リインが悩んでいるうちに時間切れなのか世界はまた真っ暗な空間に包まれてしまったしかしその日からリインは夢の中でアインスによく遭遇するようになった。カーミラカーミラの手から赤い光線のようなものが山に向かう。そして着弾すると同時に山は木っ端微塵に砕け散った。「ハッハッハッハッハ!!! あたしの凄さがわかったか! カル! 嵐!」そしてその山を破壊したカーミラの後ろにはカル・ラントシュタイナと鈴木嵐が膝をついていた。どうやらカーミラは攻撃魔法の凄さを従者でもあり相棒でもある二人に見せつけていたようだった。「はい! カーミラ様は素晴らしいです!」「カーミラ様! 俺一生あんたについてくぜ!」山から飛んでくる破片をカーミラの周りにルビーのように美しいシールドが展開され三人を守る。「さすがカーミラ様だ! 俺たちのことをしっかり守ってくださる!」「カーミラ様になら命でも捧げられるぜ!」カーミラはゆっくりと二人が持っている神輿のような作りになっている椅子に腰掛け立派な牙を見せるかのようにニヤリと笑う。その姿はいつもと違い吸血鬼そのものだった。「ふふ。いいだろう! お前たちの心意気を認める! あたしが血を吸ってあたし専属の眷属にしてやる! ありがたく思え!」「「はい!」」「ふ、ふふふ…これでずっと一緒だ…」起きたときに二人がいなくてわんわん泣いたのはアインスと二人だけの秘密。シントラ「ナズナママ! 嵐パパ!」自分は何を言っているんだろう? シントラが一番初めに考えたことはそれだった。シントラの目の前には今より少しだけ綺麗なナズナと今より少しだけカッコいい嵐だった。そしてその二人とシントラは手を繋いで歩いている。「今日ね! テストで100点取ったんだ!」「ほ~そりゃ凄いな」「な、撫でられることじゃねえよ!」「ふふシントラ…照れてますね」「て、照れてなんかいないよ! ママは誤解してる!」違和感なく嵐とナズナをパパとママと呼んでいる。何故? と考えるのは全て言い終わった後。自分はナズナのことは姉御と呼んで嵐のことは呼び捨てにしていたはずだ。それに自分は二人の子供じゃない。「…そっか」「どうかしましたか?」「ん? なんかあったのかシントラ?」「何でもないよ」シントラは自分が夢を見ていることに気づいた。自分が二人の子供になれるなんてありえないから。けれど夢なら…「パパ! ママ! 一緒に遊ぼう!!」ちょっとだけ素直になるのもいいかもしれない。朝ごはんのときにナズナのことをママと呼んでしまうまで幸せな時を過ごしたシントラだった。プレシア リニス スカリエッティ 犬「寝る間を惜しんでまですることかしら?」≪すまないね。今回は何だか胸騒ぎがするんだ≫「全く…。犬! 次元航行艦の資料を持ってきて! …犬?」「zzz…」「…もういいわ。自分で持ってくるわ。 リニス、行くわよ」「あ、はい」「ぐふふ、アリシアちゃ~ん…」「…アルカス・クルタス・エイギアス。疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ…」「ぷ、プレシア!! 部屋を壊さないでってもう発動する!? 防御魔法を…」強力な雷がサラーブを揺らした。おまけ2名前:ニャん・ザ・キッド通称:キッド年齢:5才血液型:??出身:ミッドチルダ所属:フリーの傭兵(野良)階級:魂の友役職:嵐の癒し魔法術式:なし所持資格:なし三毛猫で♂というレアキャラ<あとがき>遅くなってすみません。 なんとかペースを戻していきたいと思います。では!次回!!