平凡な現実世界の人間だったはずの、俺に訪れた突然の事態。渡されたのは、無限の欲望。手にしたのはチートの従者。出会いが導く偶然が、今、闇を纏って動き出していく。断ち切る想いと、始まる物語。それは、現実へ帰るための鍵を手にする日々のスタート。魔法少女リリカルなのは 現実回帰、始まってしまいます。「がぼっ! あぼぼ!! あぼはぁ!!!」「マスターーー!?」『やれやれ…』幸先わりぃ…第8話「初戦は海の上で…なのか?」「はあ…はあ…たっ…助かった…」目の前がゆっくり暗くなり、体がどこかに飛ばされるような感覚が終わり、気づいたら海に落ちていた。咄嗟に判断出来ず、呆気なく海に落ちてしまった俺。泳げないわけではないが、突然のことで体が反応できない。ナズナがすぐに引っ張りあげてくれたから助かったが…「スカさんは、助けてくれないんだなー」一応は主というかデバイスとマスターの関係のはずなのに、全く助けてくれなかったな…『ふむ、どうやら無事に過去に辿り着いたようだね。ここは…海のようだね』俺の恨み言を華麗にスルーして場所の解析を始める我が優秀なデバイス。お前のような優秀なデバイスを持てて俺はうれしいよ。「マスター、お気を確かに」「ありがとうナズナ…」ナズナ…君は女神だ。『ちなみに君は何を考えていたんだい?』「何をってこの時代のことだけど」この時代というより、1期のことを考えていたんだが…なのは達を思い浮かべて、デバイスのこと考えて無印のときの登場人物は全員覚えてたし、闇の書からこんにちはを避けるためにできるだけはやてのことは、考えてないし…とらハのことはあんまり知らないから考えてもいなかったはずだ。最後に…海上決戦のことを思い浮かべて…あ、もしかして最後に考えた海上決戦が原因で海の上から落ちてきたのか?『まあいい。とりあえずここを離れようか。まず基地…住む場所を確保しなくてはね』「スカさんから聞いてきたのに…」せっかく思い出してたっていうのにこのデバイスは相変わらず…というか主の言うことを聞かないで、自分で行動するデバイスってデバイスとしてどうなんだ?『くだらないことを言ってないで行くよ』「へいへい」これ以上スカさんと話しても無駄だな…そう思い歩き出そうとしたんだが…『master. here is magical power reaction backward.(マスター、後方に魔力反応あります)』ナズナのデバイスが止めた。「魔力反応? スカさん、管理局にいきなりばれた?」『君が海に落ちた時に広域魔力遮断結界を張ったはずだから管理局には嗅ぎ付けられないはずだが…』「俺の魔力でそんなことできるの?」話し聞いた限りでは、俺の魔力ってそんなに高くないって話だったよな?『君の魔力じゃ無理だよ。アルハザードで暇つぶしに作った結界プログラムさ。今は一個しかないから一回きりだけどね』「じゃあ一体何が…」後ろを振り向いて海を見回してみると、海から何かが出てきた。「…魚にしてはでかいな…って」目の前の巨大な生物? は大きな牙を持ち。鋭利な人を切り裂けそうなヒレ。鋼のように硬そうな灰色な鱗を持ち。こちらを獲物を見るような目で見ていた。「ギャラ○スだーーーーーーーーーーー!!!」俺の叫びにギャ○ドスは反応したのか、呼応するように雄たけびをあげた。----オォオオオォオオォオ!!!!「マスター!下がって!」「おぶす!!」ナズナが俺を押す…というより殴って後ろに下がらせてくれた。「マスターに手を出すのなら、お前はここで倒す!」side--竜はナズナの殺気を感じ、矛先をビビっている男よりナズナに向けた。ビビッている男よりも数倍こちらの少女の方が厄介だと判断したのだ。己の命を脅かす者だと。そんな竜の考えなど知らないかのようにナズナは足に黒い翼を展開し空に上った。「ミーティア、Blade Form」『All'right』魔量消費を抑えるため時間移動のときに消していた魔力刃を形成する。ナズナは遠距離で仕留めようか考えたが、離れすぎると己のマスターに危害が及ぶかもしれないことを考え近距離戦でいくことにした。『master, the reckless driving body that took the jewel seed apparently. (マスター、どうやらジュエルシードを取り込んだ暴走体のようです)』「…魚の願いを叶えたんでしょうか?」竜は闇雲に体を振り回しナズナに攻撃を当てようとしているが空中にいるナズナには、かすりさえしない。ナズナはデバイスと余裕に会話しながら、どうやってこの竜を始末してやろうか考えていた。「行動範囲が海だけなのは長所であり、短所ですね」自分に当たらないのに必死に動いてる竜が滑稽なのか、ナズナの口の端がつりあがっている。年相応の笑顔に見えるが、この状況で笑っている時点で全く年相応でないことは確かだった。そんな態度に頭にきたのか、竜が大きな口をナズナに向ける。「…? なにをして『I feel settling magic. Mastering. Please e …(魔力の収束を感じます!マスター!回避し…)』ミーティアが言い終える前に閃光は発射された。巨大な閃光がナズナを飲み込み、空に消えていく。竜は、相手が自分を馬鹿にしていることを理解し、同時に油断していることも見抜いた。そこで、自分の一番攻撃力がある攻撃を放ち、相手が油断しているうちに倒してしまおうと考え、見事成功した。「ナズナさーーーん!!!」竜はナズナを始末したと思い、矛先を再び少年に向けた。あの邪魔な少女は片付けた。しかし、その少女との戦闘で少し腹が空いたので、この男を食らおうと考えていた。「きっききっきたーーー!!!スッ…スカさん!どうすんの?!ナズナさんやられっちゃったよ!?」『少し落ち着きたまえ』だが、食らおうと思った少年は、些かうるさい。面倒くさくなってきた竜は閃光をもう一度放とうと口に力を込める。――が----オオッ!! オオォオッ!!!「意外と頑丈ですね。その鱗」背後に現れたナズナにその身を切り裂かれた。竜はすぐさま後ろを向きナズナに威嚇をし始めた。頭の中では、何故先ほど吹き飛ばした少女が自分の背中を切り裂いているのか? という考えがグルグル回っている。「何故? という顔をしてますね。少々油断して危なかったですが、回避できる距離でしたので回避しました」マントの端にかすったけど…と小さな声で付け加えた。確かにナズナのマントの端が少し焦げている。「じゃあそろそろトドメさしときましょう」ミーティアの魔力刃が研ぎ澄まされ、更に鋭くなる。竜は口を大きく開け、もう一度ナズナを消し飛ばそうとするが、ナズナは同じ攻撃を再び放たせる気はなかった。「さよなら」懐に一瞬で詰め寄られ、その身に刃が振り下ろされた。----オオォォォォ…竜は海に沈んでいった。終わった、とナズナは思ったが、不意に後ろに気配があることに気づいた。----オォオオオォオオォオ!!!!「二体目?!」さっきの竜と同じ姿を持つ竜が現れた。竜は飛び跳ねナズナを食らおうとするが間一髪のところでかわされる。二匹いたのは予想外だったが、倒すのがもう一匹増えるだけと考えた時にナズナは竜の尾を見た。「…なるほど」海から顔を出すのは二体。ナズナの顔に焦りが浮かんだ。竜はナズナの表情を見て喜んだように低い唸りを上げ、ナズナに食らいついていった。sideout「スカさん、あれなんで二体なの? ジュエルシード二個あるの?」『いや…ジュエルシードは一個だよ。奴らの尾に細い線が見えた。あれで繋がってるんだろう。伸縮自在だから二体いるのと同じだね。二体で食われそうなときに、二体とも同じことを考えたんじゃないかな?「食われたくない」ってね。だから身が硬くなった。相手を逆に食らうほどの力を得た、といったとこだね』「ナズナ負けそう?」『いや、時間をかければ勝てるだろう。どうやら二体同時に倒さなければ、もう一体は復活するみたいだね。だがこの結界がそんなに長くもたない。余りもたもたしていると管理局が来てしまう。ナズナはそれがわかってるから焦っているんだ』「何か手がないのか…」『あるよ。君が手を貸せばすぐに終わるよ』「…それしか手段ないのか? というか俺にできるのか?」俺、あんまり痛いの嫌なんです。『ないこともないが、君にも魔法の練習は必要だ。だからこれはいい機会だよ』「…よろしくお願いしまーす…」確かにこの世界にいる限りは魔法の技能は必要だ。いきなりぶっつけ本番というのが、怖いがやるしかない。もしかしたら、最強であんな竜なんて一発で倒せるかもしれないし。エターナルブリザードみたいな。『指先に力を込める感じにして』「こうか?」人差し指に力を込める感じに力んでみたら、先っぽにビー球より少し大きい赤い玉が出た。足元に赤く輝くミッド式の魔方陣も展開されていた。「おわっ!? なんか出た!?」『その要領で全ての指先にやってくれ』スカ先生に言われたとうり全ての指にやって、全ての指先に玉が出来た。「ここから先はどうするんだ?」『赤いトマトがはじけるのを想像して』なんで赤いトマト?頭の片隅でそんな反論を考えながら、目を瞑りトマトがはじけ飛ぶのを想像する。うへぇ…汚い。野菜とかを叩きつけたりすると、掃除のとき嫌なんだよね…『よし。何とかできたね』何かが体から抜けていく感じがして、目を開けてみると、赤い指先が血色になっていた。「なんか脱力感があるような…」『体から血が抜けたからね。このくらいなら大丈夫だよ』「このくらいってあんた…」いつか俺はスカさんに殺されるんじゃないだろうか?だんだんとそんな気がしてきた。『君の血で出来たそれはかなり頑丈だ。それを伸びるイメージを頭に浮かべて』伸びる…? …紐なしバンジー…紐…?海ではナズナが二対のギャラド○を相手に戦っているが、奴らはナズナを挟むように攻撃をしている。やられることはないようだが、なかなかうっとおしい様子だ。『今だ! 手を前に出して!』「いきなりかよ!」スカさんのいきなりの合図で手を前に出した瞬間----オオッオ! オォオッ!! オオオォ!!!俺の指先の玉が勢いよく伸びて紐のような形になり、奴ら二体を絡め捕った。同時に俺の体も海に引きずられる。当たり前だけど、俺にあんあ竜を二体も引っ張る力なんてない。平凡舐めるな!!「ちょっ! スカさん!! 引っ張られる! 海に、また海に落ちる!!」 『大丈夫だよ』海に落ちる瞬間に肩の部分から赤い羽が生えた。「おおっ!! さすがスカさんすげぇ」このままじっとしてたら海に引きずりこまれるのは変わらないのでとりあえず上に行こうとするが。「おっ重い…こいつら…重すぎだろ…」紐は切れないし、奴らは暴れるし、紐より先に俺がだめになりそうだった。『あと少しだよ。がんばりたまえ』「あと少しって…」『ナズナだよ』捻じれそうな体でナズナの方を向くと、ナズナが魔力を集束していた。…ここだと、当たりそうじゃない? えっマジ?「うおおぉおぉおおぉお!!! 竜の一本釣りじゃああぁああぁあ!!」千切れそうな腕に力を込めて出来るだけ上に行く。当たる! 早く上に行かないとマジ当たる。頭冷やされる!!「今度こそさよなら、ディバイン」『Buster』黒い閃光が竜を飲み込みその衝撃で津波が起きる。竜は二体とも黒い閃光に耐え切れずその身を消していく。竜が消えた後、小さな魚が二匹、海に帰っていった。その海の上に浮かぶ宝石。シリアルナンバー9のジュエルシード「ジュエルシード、シリアル9、封印」『sealing. receipt number Ⅸ』ミーティアにジェエルシードが格納される。「マスター! ご無事ですか!」ナズナは海面ギリギリを飛んでる主に駆け寄った。「な…なんとか」ナズナは主の手を握り足のつく所まで誘導する。主は血が抜けたせいなのか、顔が少し青い。『結界が消える前に片付けれたね。さあ時間を食ってしまった。当初の目的どうり住む場所を確保しにいこうか』「あ…悪魔め…」2人の魔導師は、陸についた後、そのまま夜の街に消えていった。おまけ俺たちは海から出て、住宅街を歩いていた。「…今日は野宿だな」『夜だからしかたないね』「先ほどの公園に戻りましょう」過去に来たのはいいが、時間が夜だったみたいで、家探しというわけにもいかなくなった。『それよりさっきから魔力反応がしているんだ。近くに魔導師がいるみたいだね』近くに魔導師…? なのはかフェイトか?「まあ今日はいいや。公園に引き返そう」「そうですね。じゃ「ごめんなさーーい!!」…なんです?」奥の道から思いっきり聞き覚えのある…というより、現在進行形で聞こえてる声が聞こえてきた。ついでにパトカーの音も。「深夜に大きな声を出すなんて、近所の迷惑を考えて欲しいですね」「…そうだね…」『フフフ…』<あとがき>無印編突入と同時にジュエルシード一つ入手しました。戦闘描写は難しいです…というより主人公の名前どうしようここまで出てないと逆に出しにくい…普通の名前なのに…