「じゃあ頼みましたよ」「はい。捕らえてこなくてもよろしいんですね?」「彼の返事を聞くまでは別に構いません。それに彼が来るとも限りませんからね」「わかりました」「あの二人の戦いに巻き込まれないように気をつけてくださいね。ナズナだけを狙ってくれれば構いません」第74話「小さな猫の大きな思い」side--ナズナとなのはが地上で戦っている中、そのはるか下にある地下でも戦いは始まっていた。追い詰めたと思っていたルーテシアへの援軍。そしてフェイト・T・ハラオウンの乱入? によって更に事態を混乱した。実際はアリシアなのだが。「はっ!!」アギトの放った火炎が地面に着弾すると同時に燃え上がり、周りの物を燃やし尽くす。スバルたちは高くと跳ぶことによって全員攻撃を回避する。キャロは、気絶しているためエリオに抱きかかえられながら、そしてアリシアもフェイトと勘違いされているためスバルが抱いて回避した。「…っ!?」その火炎によって巻き上げられた爆煙に身を隠し、突撃してきたのはガリューだった。その奇襲にいち早く気づいたギンガは、ブリッツキャリバーを構えガリューに突撃していく。「はあっ!!」ガリューの剣のような形を持った爪とギンガの拳がぶつかり合い、爆発を巻き起こし、二人を離す。「っく」その攻防に目を取られていたスバルは自分に敵が迫っていることに気づけなかった。それに気づいたのはエリオだったが、気づいたときには既に新たに現れた女性はスバルに攻撃を加えようとしている時だった。「スバルさん!!」「えっ!?」スバルに女性の攻撃が当たると思われた瞬間、スバルが抱えていたアリシアが目を見開き、抱きかかえられたまま脚で攻撃を受け止める。「痛~~!!」強化してるとは言え、リボルバーナックルと打ち合うのはきつかっただろう。スバルから飛び降り、その場をグルグルと走り回る。ようやく痛みが治まったのか敵を見据える。「また追ってきたの!? しつこい!!」ビシっと敵の事を指差し、高らかに声を上げる。周りにいるものはいきなりの発言に訳がわからなくなっていた。何故こんなに明るい雰囲気なんだ? フェイト隊長はこんなに明るい人だったろうか? 一体あいつは誰なんだ? それぞれの疑問は尽きない。そんな中、エリオただ一人がアリシアに声を掛けた。「あ、あの、フェイトさん?」「え? 人違いだよ?」つい「フェイトは私の妹! 異論は認めない!」と言いそうになったが抑える。その発言を聞いたエリオは、この人はまさかフェイトさんのクローン。人造魔導師じゃないかと考えた。そのことを聞く前にスバルの動揺した声に遮られた。「え、あ、か、かあ、さん?」いつものような元気のあるスバルの声じゃない。風が吹けば折れてしまいそうな弱い声。エリオは初めに聞いたときは、別人かと思った。アリシアも彼女の母親なのかと、戦闘態勢を一時止めて、成り行きを見守る。「母さん?」変化はスバルだけじゃなかった。姉のギンガにも同様の変化が起こっている。だが、ギンガの場合、スバルと違って相手から視線を外すようなことはしなかった。「油断してんじゃねえ!!」その空気を破ったのは、アギトだった。再び火炎を発動し、スバルたちに向けて攻撃してくる。ギンガはすぐに離脱し、呆然としていたスバルは、ティアナに引っ張られ攻撃を回避し、柱の陰に隠れる。その火炎が放たれた途端、青い髪の女性は、アリシアに攻撃を再開する。「あっぶないな! もう!!」バリアジャケットを戦闘型に、フェイトのバリアジャケットについている籠手のような装備で敵の拳を受け止める。スバルたちに攻撃を仕掛けたアギトだったがアリシアたちには攻撃を仕掛けてくる気配はない。アギトは、アリシアと戦っている女性を見て、表情を歪めている。「(…旦那が気にしてるもう一人の…)」「スバル! ぼーっとしない!!」「ご、ごめんティア。だけど」壁に退避したティアナは、まずスバルを叱った。あのままティアナが助けなければスバルは火炎の餌食になっていただろう。それが分かっているからこそ、スバルも謝罪の言葉を述べる。「今のあたしたちは任務中。ケースの確保が第一よ! あの人があんたのお母さんに似てても関係ない!」「ごめん…」顔を俯かせ謝るスバル。自分の中でも整理出来ていないんだろう。死んだと思われていた母によく似た姿、武器を使う魔導師が現れていきなり襲い掛かってきた。仮面をしているおかげで顔が見れないせいで母と断定できないのが救いなのか救いじゃないのか。ティアナも自分の兄が生きていて、いきなり攻撃を仕掛けられれば同じ状態に陥るだろう。「…撤退しながら引き付けるわ」「…こっちに向かってるヴィータ副隊長とリイン曹長に合流できれば…」「そっ。あの子達も止めれるかもしれないし、あんたの気になる人だって止めれるかもしれないわ」その親友の言葉にスバルは目頭が熱くなるのを感じた。さっきまで怒っていたのに自分のことを考えてくれる親友に。「それに、エリオはあのフェイト隊長に似ている人が気になるんでしょう?」「…はい」全員のすることが決まった。任務を続行しようと動いたとき、話の要から念話がきた。≪よし! 中々いいぞ。スバルにティアナ≫≪≪ヴィータ副隊長!!≫≫「はあ!!」高く跳躍して、重力を利用して女性を蹴りつけるが、うまく受け止められて攻撃が決まらない。脚を掴まれ続けて、投げ飛ばされては適わないと、すぐにその場から離れる。≪そろそろきつくなってきましたね≫「う、うん。大技は、あん、まり使って、ないのに」アリシアは戦闘を続けながらも周りに気を配っていた。このままこの空間で戦闘を続けるのは無理がある。なら、どこからか脱出するしかない。どこかに出口がないかを戦いながら探していた。しかし、道はあろうとも上に繋がる道は、どれかはわからない。その状況を繰り返していた。「いっそ転移魔法で逃げちゃいたいよ…」≪そうもいかないでしょう≫アリシアもまたスバルたちと同じくレリック確保が目的だ。だが、どうやらレリックを手に入れるためには、この女性を倒さなくてはどうにもならないようだ。「どうすれば…」女性は、アリシアを嘗めているかのようゆっくりと近づいてくる。実際は女性も小さなダメージの蓄積で徐々に疲労が溜まってきているだけだ。そうとも気づかず、アリシアはキッと女性を睨む。その時だった。アギトが声を上げたのは。「ルールー! なんか近づいてきてる! 魔力反応は…でけえ!」アギトの声が聞こえたアリシアは感覚を研ぎ澄ましてみると、確かにシントラに似た魔力が近づいてきているのを察知した。そして、この近づいてきている者が地上から来たことも。「…(これは…チャンス?)」気配を限りなく薄くして、近づいてくる者の襲撃に備えた。そんな自分の行動に気づいて不振に思ったのか、女性も何かを探るように周りを見る。―――ドォオオォン!!!「……っ!?」アリシアの援軍が来たと勘違いしたのか、音の発生した方向に構えなおすがその襲撃者、ヴィータの狙いは、アリシアの援護に来たのではない。どちらかと言えば、アリシアを逮捕しに来た者だ。そうとも知らず、女性はアリシアに背中を向けてしまい、アリシアから視線を外してしまう。「捕らえよ! 凍てつく足枷!」そして襲撃者たち、ヴィータとリインフォースⅡは、自分たちの目の前にいる犯罪者を捕らえようとしていた。リインが唱えた魔法が発動すると共にアギトとルーテシアを冷たい空気が包み始める。「フリーレンフェッセルン!!」呪文が唱え終わると同時にアギトとルーテシアは冷たい氷の牢獄に閉じ込められてしまった。そしてヴィータはギガントフォームにしたアイゼンをガリューに叩きつけようとしていた。「吹き飛べぇえぇえええ!!!!」ヴィータの渾身の力が込められた一撃を防いだガリューだったが、防ぎきれず、宣言どおりボールのように吹き飛ばされる。ガリューを吹き飛ばしたのを確認したヴィータはアイゼンを元に戻し、戦闘態勢を解除しようとした。「ヴィータ副隊長! まだです!!」ティアナの言葉と同時に金色の閃光が後ろを駆け抜けて行った。同時にスバルの十八番、ウイングロードも。「な、何だ!?」「ウイングロードまで…」いきなり自分の後ろを駆け抜けていった存在を眼にすることは適わず、自分たちが通ってきた穴にウイングロードは続いている。追いかけたいところだが、まだ敵の状態を確認していない状況で新人たちを置いていくのは危険だと判断したヴィータは、いち早くアギトたちの状態の確認を行った。そしてスバルは、自分のウイングロードよりも少し濃く、姉よりも少し薄い青いウイングロードを悲しそうに見つめていた。「ついてきてる!?」≪魔力で作った道のようなもので追いかけてきています≫ヴィータのおかげで外に出る手段を見つけたアリシアの行動は、迅速だった。ヴィータが突き破ってきた穴に飛びいることであの場からの脱出に成功した。レリックは後でナズナと合流して回収しにこればいい。そう考えたアリシアは、ヴィータが降りてきた通路を上に飛んで地上を目指している。アリシアの飛行魔法、C(キャット)ウオークスタンド。空中で足場に魔法陣を展開して、空中に留まる技術を利用した魔法。足場に小さな跳躍力を高める魔法陣を展開して、それを利用し空を翔る。スタイル的にはなのはではなく、やはりスバル寄りの飛行魔法。猫の柔軟性を活かして空中で体を動かし、360度全ての方向に跳躍することも可能。「光だ!! 出口だよ!!」光が見えた途端、アリシアは足元の魔法陣を力いっぱい踏み、速度を上げて跳躍した。後ろの女性も負けじとローラーブーツを加速させ、アリシアを追う。「とうっ!!」空中に躍り出たアリシアは魔法陣を展開し、空中に着地する。女性は、ローラーブーツについてある宝石のようなものがチカチカ光ったかと思うと、ウイングロードの展開を止めて、アリシアと同じように空中で止まってしまった。「ここで一気に決めるよ!」アリシアが走る構えを取ると、女性の周りを囲むように小さな魔法陣が複数展開される。その魔法陣は女性を円形に囲むと攻撃する素振りは見せず、ただそこにジッとあるだけだった。「スタート!!」アリシアの掛け声をあげると、女性に向かって行くのではなく。見当違いの方向に跳んで行った。見当違いの方向に跳んで行ったアリシアは、そのまま跳んでいくかと思われたが、すぐに跳ね返るように女性に突撃していった。「ええい!」「…!?」いきなり方向転換してくるとは思っていなかったのか、ガードが遅れてしまい、攻撃を加えられてしまう。アリシアはその攻撃の反動を利用して、攻撃後その場から離脱した。そしてまた、女性に向かって突撃していく。まるで狭い部屋でスーパーボールで遊んでるかのように、跳ね続ける。「……!!」度重なる連撃にこのまま攻撃され続けると不味いと判断した女性は、アリシアを捕らえようとするが女性の周りを跳ね回っているアリシアを捕らえるのは至難の業だった。しかし、捕らえない限り攻撃を食らい続けてしまう。遠距離攻撃、高町なのはのように狙撃できれば何とかなっただろうが今、この状態で使える魔法を女性は所持していなかった。攻撃を食らい仮面が半分割れ、顔の半分が姿を現す。「これで…」「……」「トドメ!!」アリシアは更に速度を上げ、相手の腹目掛けて蹴りを食らせた。しかし—「う、うそぉ!!」直撃を食らったにも関わらず女性はまるで痛みを感じないかのように無表情だった。体が痛みを感じていないだけか先ほどの動きから見ると、疲労は確かに感じている節があった。アリシアは、この驚きによって隙が出来てしまい。腹に叩き込んでいた脚を掴まれ、近くのビルに投げつけられてしまう。「うわっと」着地したアリシアは、敵を見逃してはならないと考えてすぐに上の方向をみる。すると女性はその場から動かずに体を屈めている。ただ体を屈めているだけなら気にならなかったが女性の目の前には、ウイングロードと同じ色、つまり女性が発動した魔法らしきものがあった。環状魔法陣、加速や増幅に使われる。「砲撃魔法?」≪だとしたら、ここでジッとしていたらいい的です。かわしてください≫「わかった」すぐにC・ウオークスタンドを発動させてその場から離脱するアリシア。環状魔法陣は、そこから砲撃が放たれるわけでもなく、ただゆっくりと動き、アリシアの逃げた方向に矛先を向ける。「なんか不気味だね」≪砲撃を放つ気配はありませんが…≫しばらく動き続けたアリシアだったが、いつまで経っても攻撃してこない敵に苛立ちながら動き続ける。少し距離を置き、立ち止まって相手の様子を探るがさっきからどこも変化は見られない。「もしかしてハッタリ?」≪…わかりません≫時間稼ぎをしているだけだったのかもしれない。そう考えたアリシアは、女性に蹴りかかろうと脚に力を込めたとき、リニスが違和感に気づいた。女性が少しだけ、ほんの少し体を動かした。≪っ!? アリシア!!≫「えっ」リニスが叫んだときには遅く、女性はアリシアの目の前まで迫ってきていた。攻撃を食らったアリシアは、そのままビルに叩きつけられてしまった。さっきと違い、着地も間々ならなかった。≪痛い…≫「すみません。気づくのが遅れてしまって」ビルの崩れた瓦礫から聞こえる声は、アリシアの声ではなかった。アリシアよりも少し大人の雰囲気を漂わせる声。プレシアを主に持つ使い魔、リニスの声だった。ビルに叩きつけられたアリシアの姿はなく、いるのはリニスただ一人だ。「まさか、自分を砲弾にするとは思いもしませんでした。下手すれば大怪我じゃ済みませんよ」≪おかげでこっちは大ダメージだよ~≫「まだ声に余裕があります。大丈夫ですね」あの瞬間にリニスがしたことは二つ。アリシアとリニスの融合のときにプレシアが緊急時のために仕組んでおいたシステムオペレーション・チェンジ(Operation Change) 体の操作をアリシアからリニスに変化させるシステム。これでアリシアと操作を変化さした後、すぐに全力でプロテクションを展開。些か間に合わなかったが、ギリギリ致命傷は避けられた。「ここからは、私が戦闘に≪リニス、チェンジ≫…何故ですか」アリシアの体力は尽きかけている。ならば、ここからは自分が戦闘に出るのが筋だと思ったリニスだったがアリシアに否定されてしまう。≪私がやる≫「アリシア…」アリシアの声にはどこか意地があった。こんなにもボロボロになってまで何故頑張るのだろうとリニスは疑問に思った。ここで自分が戦っても別に問題ないはずなのに。「私は…」≪っ!?≫そしてリニスが気づいたときには、体を操作しているのはアリシアにチェンジされていた。アリシアは、ふらつく体を無理にでも動かして、敵の元へ向かおうとしている。≪アリシア、あまり無茶は…≫「母さんやナズナ、それにスカリーにシントラもアインスもカーミラもリニスもフェイトだって…それに嵐も大好きなんだ!!」≪アリシア?≫「だけどみんな戦っていたのに自分だけ見てるなんて嫌だった。嵐は家で大人しくしてるだけでいいって言ってるけど、みんな頑張ってるのに…嵐の手伝いしてるのに、私だけずっと見てるだけってのは嫌だった。どうして私には魔法の才能がないんだって思ってた」小さい頃からアリシアは戦闘に参加なんてしたことはなかった。それはアリシアは自分に才能がないため仕方ないと諦めていた。だが、あの事件、嵐が一人で次元世界に飛ばされ、大怪我をして帰ってきた時からアリシアは考えていた。いくら異能があるとは言え、嵐も才能が溢れてはいない。だったら自分も母に頼めば嵐と一緒に戦えるのではないかと、手伝いが出来るんじゃないかと。「母さんにリニスのことを話されたとき、嬉しかった! 私も嵐やナズナと戦えるって思ったから」プレシアは大事な娘のアリシアが戦うのには反対だったが、娘の強い意志に折れ、戦う武器を与えた。「だから、こんなところでリニスに頼ってちゃ駄目なんだ! ナズナやシントラだったらこんなの簡単に乗り越えちゃうはずだから!」アリシアの意思。その強い意志にリニスは返す言葉がなかった。ここで何を言ってもアリシアは折れないだろう。ならアリシアの戦う武器として蘇らされた自分がすることは一つだとリニスは考え行動した。「…! 体が楽に…」≪少し疲労を引き受けただけです。戦闘が終わったら覚悟しときなさい≫「…ありがと! リニス!!」≪いくらプレシアの魔力が膨大だといっても、そろそろ限界です。次で決めますよ≫「わかった。“あれ”でいくよ!!」自分が突っ込んで出来た穴を通り、アリシアを殴り飛ばした位置から動いていない女性を睨む。よく見れば、女性のローラーブーツからは、煙が立ち上がっている。≪あの魔法は、術者にも相当のダメージがあるようですね≫「それはこっちも同じだけどね!!」野球のピッチャーをするかのように振りかぶり、黄色の猫の頭の形をした魔力弾を投げつける。女性は何かの攻撃かと思い、防御の姿勢に移るが、魔力弾は女性に向かっていくほど速度が緩やかになっていった。不審に思った女性は、防御の姿勢を解いて回避行動をとろうとした。その時―――――ニャン♪間の抜けた猫の声が聞こえたかと思うと、魔力弾が破裂し、眩い光が辺り一面を照らした。強い光を直に見てしまった女性は手で眼を覆ってしまう。痛覚は消えているように見えるが他の感覚は残っているようだ。「レクレス・サンダー!!」光で見えないので女性にはアリシアの声しか聞こえない。そしてアリシアは、魔法、猫騙しを発動してから攻撃の準備を整えていた。アリシアの体を電気が纏っていく。アリシアは、プレシアの魔力変換資質の電気を受け継いでいる。だが、フェイトやプレシアと違って上手く操作出来ない。訓練のときは暴走して嵐に電気が当たったり、発動しなかったりと苦労が多かった。うまく発動できて相手にちゃんと攻撃が通るのは、稀だった。「し、痺れる…」≪だからこの技は最終手段なんですよ≫リニスと融合しても上手く発動できたことはなかった。リニスが変換資質を持っていなかったのが原因だが。だけどアリシアはちゃんと発動できる方法を知っていた。魔力の暴走。それが発動の鍵だった。しかし暴走で発動してしまうと十中八九暴走で終わってしまう。そこでアリシアは遠距離の電気攻撃を諦め、近距離の電気攻撃を思いついた。自分に暴走した電気を通すことで、無理矢理に電気を纏い攻撃する。まさにごり押しの魔法だった。バリアジャケットを纏っているとは言え、痺れるのは痺れる。だからこの技は本当に追い込まれたときにしか使わない予定だった。発動すれば自分にもダメージを負わす技なんて、戦闘中に連続して使えないからだ。「行くよ! 最後の攻撃!!!」≪肉体強化・脚部強化≫女性に最初に出会ったときと同じ動きで女性に向かうアリシア。速度は最初のそれとは比べ物にならない。バチバチとアリシアが纏っている暴走した電気が音を上げる。「雷招! 猫跳脚!!!」雷が落ちたような轟音が空に響いた。そして遠くで何かの爆発音が同時に響いていた。おまけ魔法紹介レクレス・サンダー(Reckless Thunder)使用者:猫アリシアリニスと同化したアリシアが使用する技。技と言うにはあまりにもお粗末。ただ魔力変換資質を暴走させ自分に纏わせるだけ。ただ、何故か嵐には好評であった。キャット・サプライズ(Cat Surprise)使用者:猫アリシア通称、猫騙し。強烈な光を敵に浴びさせることによって敵の視界を封じる。初撃にしか使えない技だが、効果は絶大。魔力弾が猫の形をしているのはアリシアの趣味。ハイスピード・サークル(High speed Circle)使用者:人形(クイント?)謎の女性が使う魔法。環状魔法陣を発動する魔法で、普通は砲撃などの補助に発動する魔法陣。自分を砲撃の代わりにして撃つ魔法。一瞬で相手に詰め寄り、強烈な一撃を加える技。発動にカートリッジを使用する必要がある。ただ、あまりにもスピードが出るために連続しようは出来ないし、どうやら術者の体にも負担があるらしいが…デバイス紹介ケレタリス キャリバー(Celeritas Calibur)使用者:人形(クイント?)マッハキャリバー、ブリッツキャリバーによく似たローラーブーツ型デバイス。クリスタルの色は黄色。実はさりげなくインテリジェントデバイス。<あとがき>ナズナの決着とアリシアの決着は次回で。実はヒロインこと嵐も、もう現場に来ています。