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No.6935の一覧
[0] 魔法少女リリカルなのは 現実回帰 (現実→リリカルなのは) チラ裏より移転[黒胃](2009/06/20 15:07)
[1] 第1話「それは衝撃的な出会い…なのか?」 [黒胃](2009/06/14 12:08)
[2] 第2話「妄想と夢は紙一重」[黒胃](2009/06/14 12:17)
[3] 第3話「デバスカ君と一緒!!」[黒胃](2009/06/14 18:58)
[4] 第4話「衰える体」[黒胃](2009/06/14 18:59)
[5] 第5話「コメテスアメテュス? 名前長くね?」[黒胃](2009/08/20 19:03)
[6] 第6話「2P白い悪魔」[黒胃](2009/06/14 12:46)
[7] 第7話「旅立ち」[黒胃](2009/06/14 12:55)
[8] 第8話「初戦は海の上で…なのか?」[黒胃](2009/06/14 13:22)
[9] 第9話「バーニングさん登場!?」[黒胃](2009/06/14 13:27)
[10] 第10話「街には樹がいっぱいだよ」[黒胃](2009/06/14 13:34)
[11] 第11話「桜+金=黒い魔法少女!?」[黒胃](2009/06/14 13:41)
[12] 第12話「思いの理由」[黒胃](2009/06/14 13:48)
[13] 第13話「未来のエースとの出会い」[黒胃](2009/06/14 13:55)
[14] 第14話「わかりあえないんじゃなくて話し聞いてないだけ」[黒胃](2009/06/14 14:01)
[15] 第15話「小さなことからコツコツと」[黒胃](2009/06/14 14:09)
[16] 第16話「勧誘? 大魔導師!」[黒胃](2009/06/14 14:17)
[17] 第17話「偽善者大作戦!?」[黒胃](2009/06/14 14:23)
[18] 第18話「魔砲幼女の意地」[黒胃](2009/06/14 14:30)
[19] 第19話「人形の意地と思い」[黒胃](2009/06/14 14:55)
[20] 第20話「マスコットキャラでは断じてない!! と思う」[黒胃](2009/06/14 15:04)
[21] 登場人物 無印編[黒胃](2009/06/20 13:50)
[22] 第21話「久々の休日?」[黒胃](2009/06/14 15:14)
[23] 第22話「アリシア大冒険! そして嵐の憂鬱」[黒胃](2009/06/14 15:20)
[24] 第23話「人間諦めが大事だよね、でも諦めたらそこで試合終了」[黒胃](2009/06/14 15:26)
[25] 第24話「恋に年の差って関係ない? いや あるだろ」[黒胃](2009/06/14 22:22)
[26] 第25話「戦いたくはない もう傷つけたくないから! ビビリ的な意味で」[黒胃](2009/06/14 22:21)
[27] 第26話「前夜祭だぜ! 回帰組集合!!」[黒胃](2009/06/14 16:40)
[28] 第27話「はじまりは突然に…なのか?」[黒胃](2009/06/14 17:13)
[29] 第28話「俺の拳が真っ赤に染まるゥ!?」[黒胃](2009/06/14 17:22)
[30] 第29話「ブラッティ仮面」[黒胃](2009/06/14 17:27)
[31] 第30話「当たらなければどうということはない(誰か助けて…)」[黒胃](2009/06/14 17:31)
[32] 第31話「それぞれの動き」[黒胃](2009/06/14 17:36)
[33] 第32話「仮面って結構息苦しい」[黒胃](2009/06/14 17:40)
[34] 第33話「おめでとう! 猫は空気から使い魔に進化した!」[黒胃](2009/06/14 17:47)
[35] 第34話「交渉人プレシア・テスタロッサ」[黒胃](2009/06/14 17:58)
[36] 第35話「完成! 夜天の栞」[黒胃](2009/06/14 18:04)
[37] 第36話「クリスマス・イヴは赤く染まる?」[黒胃](2009/06/14 18:10)
[38] 第37話「闇の書の戦闘力は正直、反則だろ」[黒胃](2009/06/14 18:15)
[39] 第38話「金色の姉妹」[黒胃](2009/06/14 19:10)
[40] 第39話「夜の終わり 作戦の崩壊?」[黒胃](2009/06/14 22:22)
[41] 第40話「スタンバイ…レディィィィ!! ゴオォォォォ!!!」[黒胃](2009/06/20 09:36)
[42] 登場人物 As編[黒胃](2009/06/20 13:51)
[43] 第41話「祝福の風、復活」[黒胃](2009/06/14 20:34)
[44] 第42話「風のいる生活」[黒胃](2009/06/14 20:43)
[45] 第43話「あなたと…合体したい…」[黒胃](2009/06/14 20:52)
[46] 第44話「一年が過ぎるのは本当に早い」[黒胃](2009/06/14 21:32)
[47] 第45話「悪の親玉? いえ、今日は従者です」[黒胃](2009/06/14 21:40)
[48] 第46話「笑顔を探れ」[黒胃](2009/06/14 21:47)
[49] 第47話「笑顔を求めて」[黒胃](2009/06/14 21:55)
[50] 第48話「笑顔のために」[黒胃](2009/06/14 22:01)
[51] 第49話「笑顔の答え」[黒胃](2009/06/14 22:07)
[52] 第50話「Puppet Prince」[黒胃](2009/06/14 22:13)
[53] 第51話「白と黒 表と裏 正義と悪?」[黒胃](2009/06/14 22:23)
[54] 第52話「ずれ始めた歯車」[黒胃](2009/06/14 22:29)
[55] 第53話「風邪を舐めると痛い目に遭う」[黒胃](2009/06/14 22:46)
[56] 第54話「柘榴色の世界」[黒胃](2009/06/14 22:51)
[57] 第55話「欠けたパーツ」[黒胃](2009/06/14 22:58)
[58] 第56話「血の遺跡の謎? 気分は考古学者」[黒胃](2009/06/14 23:05)
[59] 第57話「壊れていくパーツ」[黒胃](2009/06/14 23:12)
[60] 第58話「合体!? 自称 吸血鬼のデバイス?」[黒胃](2009/06/14 23:26)
[61] 第59話「吸血鬼の正体?」[黒胃](2009/06/14 23:52)
[62] 第60話「無限の欲望+無限の欲望=混沌」[黒胃](2009/06/14 23:58)
[63] 第61話「海だ! 水着だ! sts前だ!」[黒胃](2009/06/20 09:53)
[64] 第62話「歪んでいく物語」[黒胃](2009/06/20 10:10)
[65] 第63話「星と雷と…何故か血液」[黒胃](2009/06/20 10:28)
[66] 第64話「回帰組を正しく評価している人はいるんだろうか?」[黒胃](2009/06/20 11:02)
[67] 第65話「未確認勢力 薺の危機」[黒胃](2009/06/21 13:43)
[68] 第66話「人のよm 仲間に手を出してただで済むと思うな」[黒胃](2009/06/20 12:04)
[69] 第67話「潜入には 度胸が必要 ビビリには難しい」[黒胃](2009/06/20 12:22)
[70] 第68話「伝説の掃除人 その名は…」[黒胃](2009/06/20 12:39)
[71] 第69話「あれ? ティアナが凡人なら、俺って…」[黒胃](2009/06/20 12:56)
[72] 第70話「探すのをやめて夢の中に行く前に見つかった」[黒胃](2009/06/20 12:59)
[73] 第71話「猫って意外と凶暴?」[黒胃](2009/06/21 13:47)
[74] 第72話「ニャンニャン…ニャン!?」[黒胃](2009/06/20 13:11)
[75] 第73話「黒い薺と白い菜の花」[黒胃](2009/06/20 13:00)
[76] 第74話「小さな猫の大きな思い」[黒胃](2009/06/21 15:12)
[77] 第75話「人形王との交渉」[黒胃](2009/06/27 16:33)
[78] 第76話「決裂…の前に交渉なんかしていたか?」[黒胃](2009/06/28 17:05)
[79] 第77話「最近の女の子って何して遊んだら喜ぶんだ?」[黒胃](2009/08/03 15:45)
[80] 第78話「家族の形に決まりはない」[黒胃](2009/08/03 16:16)
[81] 第79話「初めても暗闇 再会も暗闇で」[黒胃](2009/08/20 19:04)
[82] 第80話「甘い蜜と欲望の蜜」[黒胃](2010/08/19 13:24)
[83] 第81話「綻び」[黒胃](2010/08/19 13:15)
[84] 外伝1話「悲しい痛み」[黒胃](2009/06/20 13:17)
[85] 外伝2話「遠い記憶」[黒胃](2009/05/30 13:13)
[86] マセラティ魔導師探偵の事件簿 FILE01.人を惑わす魅惑の音[黒胃](2009/06/20 13:33)
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[6935] 第72話「ニャンニャン…ニャン!?」
Name: 黒胃◆bfbb7c41 ID:fd9652be 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/06/20 13:11
「行ってきます!!!!!」

「姉御~あんまり張り切らないでくれ~」

「多分、聞いてないな。獲物を前にした狼のようだ」

「あたしも嵐に呼ばれたから行ってくる」

「ああ、気をつけていけよ」

「アリシアは大丈夫かしら…」



第72話「ニャンニャン…ニャン!?」



side--


少女、ヴィヴィオがアリシアに連れられ、物陰に隠された後すぐにヴィヴィオは目を覚ました。
何だか暖かい手が自分の頭に乗った気がして目を開けてみると、そこには誰もいない。
寂しくなってうろついている内に上から少しだけ明かりが漏れている場所を見つけ、そこを最後の力を振り絞り、上がったところで力尽きて再び気を失ってしまった。
しかし、そこを運よくキャロとエリオに発見されて無事保護された。
そして、六課の新人たちは、ヴィヴィオをシャマルに預けた後、ヴィヴィオの持っていたケースの鎖が断ち切られている跡を発見し
もしかするとまだレリックの入ったケースがあるのかもしれないと考えていた矢先に地下からガジェットの反応が発見された。

そして、現在スバルたちは地下を走ってレリックのケースを探している。

「ケースの鎖を見てみると、明らかに切られたような跡だったから、魔導師が関わってると思うからみんな油断しちゃ駄目よ」

ティアナがケースを見て気になったとこは、ずばり切られた断面だった。千切れたのだったら千切れた感じに鎖はなっている。
しかし、あのレリックのケースについてあった鎖は明らかに切られたような跡だった。
実際にアリシアとリニスによる魔法なのだが、リニスの細かすぎる魔力制御によってアリシアの手が名刀程の切れ味を持ってしまった故だが。

「魔導師…もしかしてなのはさんの…」

スバルは、以前自分たちの前に立ち塞がった敵。自分の尊敬する人を圧倒した人物、ナズナを思い浮かべた。
あんな人物がこの先に待っているというなら、果たして自分たちで太刀打ちできるかと不安になっていくが、その考えはティアナに否定された。

「その可能性もあると思って、なのはさんに相談してみたんだけど“これ”は絶対に違うらしい」

「へ? どうして?」

「なのはさんが言うには、“なんとなく”らしいわ」

宿敵と書いて友と読むのかもしれない…。本人たちは絶対に嫌がるだろうが…










「とうりゃ!!」

倒された拍子に地面に手をつき、そのまま女性を蹴り付けるアリシア。
敵はアリシアの足を掴み、攻撃を受け止める。しかし、それを見てアリシアは笑みを浮かべる。

「食らえ!」

≪脚部点火≫

アリシアがリニスと同化しているときに使う地上での超加速。それは足に魔力を溜めて爆発させ、速度をつける。
アリシアはそれを利用し、自分の足を掴んだ敵に向けて魔力を爆発させる。
敵も危機を感じたのか、すぐにアリシアを投げ飛ばし、爆発から回避しようとする、ワンテンポ遅かった。

「……!?」

掴んでいる足の先が爆発し、敵を壁に吹き飛ばした後、アリシアはその爆破を利用して距離をとる。
この作戦をナズナに見せれば少し考えが足らないと注意され、嵐に話せばそれ戴きと言われるんだろうなとアリシアはボンヤリと頭で考えながら、次の手も考えていた。
この攻撃で相手が倒れるとは考えられない。恐らくすぐに起き上がってくるだろう。

「……」

「やっぱり~」

≪文句言ってる場合じゃないでしょう≫

敵は、まるで痛覚がないのかゆっくりと起き上がり、すぐにアリシアの方を睨んでくる。
いくらバリアジャケットを纏っているとはいえ、壁に激突してすぐに顔色一つ変えないなんて普通では考えられなかった。
さっきの爆発で、少し仮面が割れて顔の見える部分が増えたが、眼の部分は無事なので人物の特定は出来ないだろう。

「レリックのケースも落としちゃうし…」

≪だからちゃんと持っていなさいと言ったでしょう≫

戦いの最中、いや、少女、ヴィヴィオを敵の意識から逸らすために逃げているときに攻撃を受けてしまい
気づいたらレリックのケースを落としてしまっていた。
すぐに拾いに行こうと考えたアリシアだが、敵はケースなどお構いなしに攻撃を仕掛けてきているため断念した。

≪来ました!≫

「一端引き返した方がいいね!」

敵の攻撃をかわし、進んでいた方向の逆に走り始めるアリシア。もちろん黙って見ているはずもなく襲い掛かってくる青い髪の女性。
ただアリシアにとって救いなのが、敵は飛行魔法が使えないのか飛んで自分に攻撃を仕掛けてくることはない。
アリシア自身も飛行魔法が使えないが飛べないわけではない。しかし狭い空間では使いにくい飛行方法なので、これだけは助かったと思っていた。

≪アリシア≫

「遠距離攻撃は嫌いなんだけど…猫の爪!!」

後ろから追跡してきている敵に向かって文字通り腕を振るう。
するとアリシアの爪先からフェイト同じ色の魔力光が現れ、爪のような形の魔力が敵に向かい五つ飛んだ。
アリシアの少ない遠距離魔法の一つ。猫の爪。簡単に言うと魔力刃を飛ばしているようなもの。魔力刃よりも些か威力は低い。

敵はアリシアの未知の攻撃に一端動きを止めるが、すぐに動きを再開し、猫の爪をかわす。

「爪爪! 爪!!」

≪本当に遠距離攻撃は苦手ですね…≫

連続で3回。爪の数は15発。だが綺麗に決まったのは0だった。全て掠ったり、撃墜されたりだ。

「苦手なんだから仕方ないじゃんか~」

このまま遠距離攻撃を仕掛けていても自分の魔力が尽きるだけだと判断したアリシアは、再び逃走。
リニスの魔力はプレシア経由で繋がっているので、プレシアの魔力を持った使い魔と言っても過言ではない。
魔力量に難ありだったアリシアもリニスと同化することによって解決されているが、それでも無駄撃ちは勿体無いということ。

「嵐にかけっこだったら勝てるのに~」

≪それが今の状況に役に立つ要素ですか≫

「ううぅ~」

愚痴を零しながらも、しっかりと敵との距離を離そうと走っているが、敵もローラーブーツを使用しているので遅いわけではない。
しっかりとアリシアについてきているし、隙さえあれば追い抜かれるほどだ。

「“あれ”は最終手段だし…」

≪今は逃げることに専念してください。追いつかれますよ≫










アリシアと青い髪の女性が戦闘をしている中、スバルたちはスバルの姉、ギンガと合流していた。
合流した後もガジェットの攻撃は収まらず、激しい攻防を繰り広げながら奥に進んでいた。
そして、ガジェットのⅢ型を破壊し、しばらく進んだところで大きな広場に出た。そこでキャロは、目的の物を見つけた。

「あ! ありました!!」

キャロの掛け声を聞き、全員がキャロに近づいていく。しかし、ティアナが何か音がしていることに気づいた。

「何この音…」

何かが壁を蹴って近づいてきているような音。突然のことで反応出来なかったが、次の瞬間キャロが何者かの攻撃によって弾き飛ばされた。

「きゃあ!?」

「キャロ!!」

すぐにエリオが攻撃を仕掛けた人物に反撃するが、見えない何かに切り裂かれ肩を負傷する。

「ぐっ」

「エリオ君!!」

だが、すぐにキャロの前に立って何者かから庇うように立ち塞がる。
自分を攻撃した何者か。それは体型で人間と判断していたが、姿を見てみると自分の考えが間違っていたことに気づかされる。
確かに肉体の形は人間に近いだろう。しかし、その体は明らかに人間ではなく、どちらかと言うと虫にちかい見た目を持っていた。
キャロはそんな、エリオを見つめた後、自分が落としたケースを誰かに拾われるのを目撃し、急いで駆け寄る。

「邪魔」

「っ!?」

駆け寄ると同時にケースを拾った人物に高出力の砲撃を放たれた。
咄嗟にプロテクションを展開し、紫の髪を持った少女、ルーテシアの攻撃をガードするが

「きゃああ!!」

「キャロ!? ぐぁ!?」

呆気なくプロテクションは砕け散り、壁に叩きつけられそうになるが、エリオに衝撃を緩和してもらって事なきを得た。
ルーテシアの攻撃に応えるかのように、虫の体を持つ生物、ガリューも攻撃を再開する。

「うおおおおおおおお!!!!」

スバルがガリューに蹴りかかるが簡単にかわされる。そのかわした隙をつき、ギンガが追い討ちをかけた。
さすがにこれをかわすのは不可能と判断したガリューは、自らの腕をクロスさせてギンガの一撃を防ぐ。

「てええええ!! はあっ!!」

ダメージを殺すことには成功したが、威力を殺すことは出来ず、そのまま吹き飛ばされるガリュー。
その間にスバルはルーテシアに近づき、それを返すように注意を促そうとした。

「こらぁー! そこの女の子! それ危険な物なんだよ! 触っちゃ駄目! こっちに渡して!」

スバルの注意も空しく、ルーテシアはその場を離れて行ってしまう。だが

「ごめんね、乱暴で。でもね、これ本当に危ない物なのよ」

次の瞬間、空間がぼやけたかと思うと、ティアナがデバイスをルーテシアに突きつけている状態だった。
幻影魔法を駆使し、ルーテシアとガリューに気づかれないように接近したんだろう。
ルーテシアの顔に少し焦りの表情が浮かんだが、少しするとそれは収まりさっきまでの無表情に戻った。
ティアナは、それに少し違和感があったが、気にしなかった。このままルーテシアを六課まで連れて行こうかと考えた途端――



「スターレンゲホイル!!」

轟音と閃光がティアナたちを襲った。



「うにゃああああああああああああああ!!!!!!」



…情けない叫び声も










「ふっ! はっ!」

敵に攻撃・防御・逃走などを繰り返しながら走っているせいで全然進んでいないアリシア。
このままだとレリックを落とした場所に行くまでにかなり時間を食ってしまう。

「こうなったら一気に行くよ!」

≪初めから使えばよかったのに…≫

「細かいこと気にしないの! 嵐の邪魔するんなら、倒しとく方がいいと思ったの!」

アリシアと揉めながら、リニスは敵を捉える準備を整える。

≪準備完了ですよアリシア≫

「なら、私が指示したら思いっきりお願い!」

敵の攻撃を捌きながら、アリシアは敵の隙を見逃さないように紅い眼を鋭くさせる。
リニスと同化しているせいなのか、若干いつもよりも鋭さが増している。

「てえい!!」

敵の攻撃が止むと同時に、自分の蹴りを相手の肺の部分に向けて放つ。さすがに肺に攻撃を食らえば
ただでは済まないのか、肋骨の部分を腕でガードする。

「今だ!」

≪脚部点火≫

「……!?」

相手の体を蹴った反動を利用し、更にそれにブーストをかけ、その場から離脱に成功する。
魔力の爆発に再び巻き込まれ、敵はしばらく動けない状態になった。
それを知ってか知らずかアリシアは、敵から離れれたことを喜んでいた。己の出せる全速でレリックのケースを落とした場所に向かった。
しかし、全力で走ったにも関わらず、アリシアを迎えたのは祝福ではなく、轟音と閃光だった。
リニスと同化しているアリシアにとってこれほど熱烈な歓迎はなかった。



「うにゃああああああああああああああ!!!!!!」



恐ろしく早く目的の場所に到着したが、後一分遅かったほうがよかったかもしれない。










「う、うにゃ…ほ、星が見える…」

体をピクピクと痙攣させ、地面に倒れ伏すアリシア。ご丁寧にネコミミまでピクピクと動いている。
そんなアリシアを見て、驚いているのはルーテシアたちもそうだが、スバルたちも一緒だった。

「ふぇ、フェイトさん! どうしてここに!?」

「フェイト隊長! 大丈夫ですか!」

「そ、それと…どうしてネコミミ?」

エリオ・ティアナ・スバルが倒れているアリシアに勘違いしながら駆け寄る。
キャロは、さっきの壁に叩きつけられた衝撃で気を失っているのでエリオに運んでもらっていた。

「…あれ?」

フェイトに駆け寄った時、最初に違和感を発見したのはエリオだった。ネコミミもそうだが、フェイトよりも少し背が小さく感じた。
それにバリアジャケットも黒を基調としているのではなく、どちらかと言うと白を基調としている気がする。
エリオは知らないが、フェイトが見たら尋ねるだろう、何故リニスの服を着ているのかと。

「こらぁ! お前らあたしを無視するな!」

派手に登場したはずなのに、何者か分からない謎のネコミミ女に邪魔されたアギトは少し不機嫌だった。

「あたしは、烈火の剣精のアギト様だぞ!!」

怒りながら台詞を喋り、大声を出すたびに、彼女、アギトの背中に綺麗な花火が咲く。
緊迫した空間に花火にネコミミ。一体さっきまでの緊迫した空気はどこに旅に出てしまったのか。

「ああ、もういい! ネコミミもお前等も…まとめてかかって来やがれ!!」










スバルたちがまだレリックのケースを見つけていないとき
なのはとフェイトは、さっきまでは空でガジェットと戦っていたが、はやての指示ではやての攻撃が当たらない安全空域まで避難していた。
そして、なのはたちの避難が確認された途端、空を八神はやての魔法が覆った。

「さすがはやてちゃん…」

「うん。ここははやてに任して、私たちは急いで戻ろう」

友人の相変わらずの魔法の切れに感心しながらフェイトは、すぐヘリに戻ろうとするが
一緒に避難したなのはは、一向に動こうとしない。

「なのは?」

「フェイトちゃんはヘリに向かってくれるかな」

「え?」

さっきまでのなのはの温かい感じと違って、どこか冷たい印象を受ける。どことなく声質も冷たい。

「私にお客さんが来たみたい」

「お客?」

フェイトは、周りを見渡してみると、空から黒い羽が落ちてくるのに気づいた。
黒い羽といえば、はやてを想像したフェイトだが、はやてには空の殲滅をお願いしている。こんな場所にくる筈はない。

「やっぱり来たんだね」

「ええ、来ました」

黒に染まった魔導師がなのはとフェイトの前に舞い降りた。

「またナズナちゃんか~。本当に一匹見つけたらたくさんいるんだね」

「ええ、あなたと同じでしつこいんです」

「私ってしつこいかな?」

「気づいてなかったんですか? これは滑稽ですね」

会うたびに会話と会話のドッチボールを開始するなのはとナズナ。フェイトは、軽く冷や汗を流しながら二人の様子を伺っていた。

「フェイトちゃん。ヘリ」

「な、なのは。けれど…」

「大丈夫。だからお願い」

「うぅ…わかった。ナズナもなのはもあんまり喧嘩ばっかしてちゃ駄目だよ」

ここは、なのはに任せ、自分はヘリに急ごうとしたとき、目の前にモニターが表示された。

『フェイト』

「コーデリアさん」

フェイトと個人的に契約しているコーデリアだった。

『私もヘリに駆けつけます』

「本当!? ありがとう」

コーデリアは、一応六課で待機していたのだが、雲行きが怪しくなってきたのを感じ、シャーリーに細かい話を聞き
狙われる可能性の高いヘリの援護に向かうことにしたのだ。

「それじゃあなのは、あまり無茶しないでね」

「うん」

フェイトは最後にナズナを見た後、今出せる最速でヘリに向かっていった。

「お別れは済みましたか」

「待っててくれたんだ。優しいね。あれ? ナズナちゃんの首飾りってベルツリーさんのとお揃いなんだね」

「ベルツリー…(ベルツリー→ベルとツリー→鈴と木→鈴木!→マスター!!→高町なのはが知っている→にゃんにゃん→KILL)」

嵐成分が足りないせいなのか、嵐に関係あることを瞬時に頭で計算する。若干想像(妄想)も混ざっているが。

「この前以上にボロ雑巾にしてあげましょう。覚悟してください」

「へえ、出来るのかな?」

この前戦ったときに完膚なきまでに倒されたなのはは、負けたはずなのにどこか余裕を感じさせる笑みを浮かべている。

「ミーティア」

『Let's live always.(いつも通りにいきましょう)』

ナズナがミーティアを構え、なのはに突きつける。

「対シェファーズ パース 限定解除」

なのはの体に本来の魔力が戻った。










<あとがき>
先に72話を投稿。今から修正を開始して終わったら引越しします。
ヴィヴィオ編では、嵐も動くから、もう少し長くなりそうです。


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