「アリシア、忘れ物ないわね?」「大丈夫だよ母さん」「プレシア、アリシアは、私が守ります。安心してください」「そ、そうね。頼んだわリニス」「はい。アリシア。頑張りましょう」「うん! 嵐のためにも頑張るぞ~!!」第71話「猫って意外と凶暴?」「コーデリアさんは、フェイトさんの知り合いだったんですね~」「昔、ちょっとだけ一緒に仕事したことがあるんだ。初めて会ったのはそれじゃないんだけどね」「そ、そうなんですか!」「ティア…」…え? 何この状況? 何時の間に俺は、普通にスバルたちの飯の時間に付き合う関係になってんの?え? この前の、フリード事件から、ずっとこの状態だよね? 何で? 違和感とかないのか? 俺は普通にレギュラー化してるのか?いや、今日は、コーデリアも一緒に飯を食べるみたいだから好都合だったけど、さすがに女性率が高いよ…。男2で女4って…あ、もしかしなくてもフリードって雄だよな? じゃあ男3だな。「わん!」「キュクル~」「フリードもすっかり仲良くなったね」「キュル?」俺たちの食べている机の下で、ザッフィー的なポジションにいるのが、コーデリアの使い魔…、コーデリアが言うには相棒、スカさんの話では使い魔ではないらしいがまあ、相棒のポアロだ。ザッフィーと違って、人間率0%だから、俺の言葉が分かっているのかもあやしい。「そういえば、今日はみんな午後からの訓練はお休みなのかな」そうだな。今日も午後から、またなのは隊長による訓練が始まるはずなんだがスバルたちは、どことなく余裕そうに見える。「実は今日は、なのはさんたちにお休み貰っちゃたんで、午後からは自由行動なんです」「そうなんだ」お休み? スバルたちがお休みってことは、もしかしてヴィヴィオの日なのか? 後でスカさんに聞いておこう。「さて、それじゃあティア! そろそろ行く準備しなきゃね!」「分かってるわよ。そんなに焦らないの」スバルが、食べ終わった食器を片付けながらティアナに話しかけている。恐らく準備とは、ヴァイスに借りるバイクのことか、それか服を着替えることだろう。ティアナは、はしゃいでいる相棒を見て、やれやれと頭の米神を抑えながら自分の食器を片付け、スバルの後ろについて行った。「あ、待ってください!」「フリード! 行くよ!」「キュルル」そして、その青橙コンビを追いかけるように、仲良しコンビも走っていった。「ふう、元気だな…」その姿を見つめながら、コーデリアは、コーヒーを一口啜る。「コーデリアさんは、訓練に参加しないんですか?」一応こっちの方が格下の階級なんで、さん付け。「え? あ、私は今日は参加しません。今日で訓練の確認をした後、明日から参加するつもりです」俺の疑問にコーデリアは、簡単に答えてくれた。今日のこの後の訓練に参加するんだったら、出来れば見ておきたかったんだけどな。まあ、愚痴を言っていても仕方がない。今日は、ここまでにしておこう。「それじゃあ、俺も帰ります。じゃあまた」「うん」「わぅん!」一人と一匹から見送られ、とりあえずそこら辺をうろうろして、自分の部屋に戻ろうと考えていた。今日の俺の仕事は、休みだ。ゴリさんにゆっくりと休めといわれている。なら、久しぶりに街の方にでも行ってみるのもいいかもしれない。ヴィヴィオのこともあるし、ナズナを呼んで遊ぶのも楽しいかもと今日の予定を考えながら歩いていたら「じゃあ、今日の訓練のことを確かめるてことで」「おう! …っておいなのは! 前見ろ!」「え? きゃ!?」「ぬお!?」結構な勢いで高町なのはとぶつかってしまった。結構痛かった。「痛たた…。すみません、前ちゃんと見てませんでした…ってベルツリーさん?」「痛い。おはようございます高町隊長」俺だと分かると、すぐに起き上がり、俺が起き上がるのを手伝ってくれた。「なのは、こいつ誰?」シントラに似ているせいで、思わず頭をもふもふと撫でてしまいたい。シントラは顔を真っ赤にして、エッケザックスを起動さしてまで俺のこと追いかけてくるからな。あれは、命懸だった…「この人は、ベルツリーさん。私が落ち込んでるときに慰めてもらっちゃった」「な、慰め…てめえ!! なのはに何しやがった!?」なのは様の言葉を、何か変な方向に解釈したヴィータが、俺のことを凄い形相で睨みつけられている。「何もしていない。ギブギブギブ…」「本当か? なのは」「本当だってさっきから言ってたじゃんか…」全く。中身も微妙にシントラにそっくりだな。そこで、俺は、不意に自分の胸元を触るといつもある感覚がなくなっていた。「あ、あれ? た、高町隊長。ここらへんに何か落ちてませんでしたか?」そう。ナズナとおそろいの赤い十字架がなくなっていたのだ。おそらくさっきぶつかった拍子に首から墜ちたんだろう。「落ちていた? もしかしてこれかな?」なのはは、地面に屈むと何かを拾った。赤い十字架の首飾り。「それです!! ありがとうございます!!」「え!? あ、はい」なのはから受け取り、首にかけなおす。その必死な姿をなのはは、じっと見ていた。「大事な物なんですね」「あ~、まあ、小さい頃に買った大事な物なんで。まあ、ダサいかもしれませんが」「いや、そんなことない。オシャレだとあたしは思う」何故かヴィータが思いっきり褒めてきた。少し汗をかいているようにも見える。「そうですか? そういってもらえるとうれしいです」「ヴィータちゃんがそんなこと言うなんて珍しいね」「…そうだな。何でだろ」「あ、ベルツリーさん」「あれ? 今からお出かけ?」寮に戻ろうと、ふらふらしているとスバルが話しかけてきた。服装は、いつもの仕事着ではなく、プライベート用の服装になっている。服のことなんて、あんまり覚えていないが、多分ヴィヴィオの話じゃないかと思う。「ベルツリーさんもお休みなんですよね? どこかにお出かけするんですか?」「いや、俺は家で大人しくゲームでもしておくよ」外に出てて、お前達に見つかったら面倒な事態になるからな。「そうですかー。なら、お土産買ってきますね!!」「いや、気にしないでくれ」その後、ティアナがくるまで少し談笑して、ティアナがきたのでスバルと別れ、寮に戻って早速スカさんに今回のことを聞いてみることにした。『今日が聖王が見つかる日? 知らなかったのかい?』「え? 気づいてたのか」『君なら分かってると思ってんだけどね』仕方ないだろう。もうかなり昔のことだし、それに細かい日程なんて覚えてないんだから。「まあ、今回は特に動かなくても構わないか。ヴィヴィオは、無事に回収されるだろう」『今回は動くよ。いや、もう動いてるよ』「は?」『ちょっと調べたいことがあってね。レリックが欲しいんだ。それに、おそらくだけど人形も動く。だから、君も準備しといてくれ』「? 珍しく本気だな?」一体何が起こるんだ?side--「よっと! うぅ…暗いし、なんか臭~い」≪仕方ないですよ。私と同化しているんですから、鼻が敏感になってるんです≫暗い空間の中、そんな空間には場違いな一つの声が響く。名は、アリシア・テスタロッサ。先日、D-スカリエッティと母のプレシア・テスタロッサに頼まれ、レリックの回収に向かっていた。何故、プレシアたちがこの回収にアリシアを選んだかには、理由があった。「むむ! あっちから音が!」金色の髪からひょっこりと出ている金色のような茶色いような猫の耳をピクピクと動かし、目を鋭くさせる。リニスと同化したアリシアの特性は、猫のリニスの特性を100%活かすことが出来る。つまり、人間よりも目や耳の感覚が鋭くなるということ。それ故に今回の任務には、アリシアたちが選ばれた。「暗いけど、猫の目なら大丈夫~♪」≪真面目にしないと、プレシアが怒りますよ≫暗い場所でも猫の目を活かし、音のする方向に難なく進んでいくアリシア。歌まで歌っている。リニスは、少し心配になったが、本人が楽しそうなので注意に留めておいた。アリシアが聞きつけた音は、進むに連れてどんどん大きくなったいく。ズルズルと何かを引きずるような音。「…昨日の映画…」≪どうかしました?≫アリシアは、その何かを引きずるような音を聞いて、昨日見た映画の内容を思い出していた。昨日見た映画では、警備員が何かを引きずる音に気づいて確認しに行くと、自分の腐って零れている腕を引きずりながら歩いているゾンビがおり、そのゾンビに逃げる暇もなく喰われてしまうという内容だった。怖くて久しぶりに母の布団で一緒に寝たくらいだ。それを今この状況で思い出してしまい、段々と歩くペースがゆっくりになっていく。「も、もしかしてゾンビとかじゃないよね?」≪テレビの見すぎです≫アリシアの言葉に、そういえば今日の朝、主の機嫌が怖いくらいよかったなとリニスは思い出していた。アリシアは怖がりながら音の出所に近づいていき、とうとう音を出している物の正体を見た。「…子供?」そこにはゾンビ…ではなく、ただの小さな少女しかいなかった。しかしその少女を見てただの少女と判断することは出来なかった。少女の服装は、まるでそこら辺にあった布を纏っただけだ。それに音の正体でもあるケースを鎖で体に結び付けて歩いている。「大丈夫?」そのまま見ているわけにもいかず、アリシアは、倒れそうになった少女の体を支える。しかし、少女の意識はないに等しく、自分を救った誰かの方を見るが、眼が霞んで鮮やかな金色とルビーのような紅しか見えない。「だ、だれ…」かすれる様な声で、尋ねることしか出来なかった。「え、あ、そうだな…。マジニャンとでも呼んで!」…恐らく、マジシャンと猫をかけたんだろう。どことなく名前の付け方が黒き従者の主に似ているが、家族とは似ていくものなんだろう。アリシアは、本名を名乗るわけにもいかないと考えたのか、咄嗟に出た偽名でやり過ごした。「マジ…ニャン」その名前を聞くと同時に糸が切れたかのように気絶してしまった少女。「…え~と…これってレリックだよね?」アリシアは、気絶してしまった少女を壁に寝かせ、少女が引きずっていたケースに目を向ける。≪これが回収しなきゃいけない物ですね。アリシア。さっさと回収してしまいましょう≫「そだね」少女に巻きついている鎖を片方の手で持ち、もう片方の手に薄い魔力を張り巡らせていく。「ニャン断ち!!!」適当につけた技名を叫び、鎖を両断する。魔力の操作はリニスが行っているので、失敗することなんてほとんどない。振り下ろされた手は、見事に鎖を両断し、一つのケースを少女と分離させる。「よし! もう一つやって、その後は、この子を一応地上に出してあげて…」管理局がどうにかしてくれるだろうと思い、少女を地上に連れて行ってあげようと背に背負った時アリシアと同化しているリニス、猫の感が危険だとこの場所にいると危険だと知らせる。自分の相棒の感に従い、その場所からケースと少女を持って、大きく跳躍した。――メキッアリシアがその場から離れた途端、青い髪を持つ、女性が地面を抉った。「あ、危なかった…」顔から一筋の汗を垂らしながら、自分がさっきまでいた場所を眺める。青い髪の女性は、よっぽど勢いよく殴りつけたのか、拳が地面にめり込み、抜けなくなっている。「あ! あなた、前に嵐たちの邪魔した人でしょ! 何で私たちの邪魔するの!!」ビシッ!! っと自分に殴りかかってきた女性を指差すが、女性はまるで聞いていないかのように拳を抜くのに夢中になっている。アリシアもアリシアで、別に聞いていないのを気にしないで話し続ける。「全く! 嵐の邪魔をするなんて駄目だよ! やっと嵐が、帰れるのに! だからもう邪魔しないで! わかった?」親が子供に叱るかのように女性に話しかける。相変わらず女性は無視しているようだが。「言うこと聞かない子には…」少女とケースを地面に置き、青い髪の女性に向かって走る。「お仕置きだよ!」女性との距離が縮まり、目の前くらいまで走った後、高く跳躍し、女性に向かって、飛び蹴りをお見舞いした。無論、魔力によって強化されている飛び蹴りだ。「猫跳脚!」猫の部分は、ニャンと呼んでも猫と呼んでも構わないらしい。拳が埋まっていた女性にクリーンヒットしたと思われたアリシアの一撃は…「う、嘘!?」両手で防がれていた。女性はアリシアが跳躍したのを見ると、もう片方の拳で更に地面を砕き、拳を脱出させた。そして、アリシアの攻撃の飛び蹴りを両腕でガードした。アリシアは、女性の両腕を蹴り、一回転し、ケースと少女の下に戻った。「この一撃で眠ってくれたらよかったのに…」「……」青い髪の女性は、仮面のせいで何を考えてるのかさっぱりだが、この時だけはアリシアにも行動がわかった。「さすがに荷物と女の子を持ったまま戦うのは、ちょっと無理なんだけど…、見逃して?」あはは、と渇いた笑いをしながら、女性に頼んでみる。女性は口元をニコリとも笑わせないで「やっぱり来るんだ!?」ローラーブーツを加速させ、アリシアに攻撃を仕掛けてきた。「うわわわ!?」女性による連撃をかわしながら、なるべく女性から距離をとる。アリシアの手には、回収目的のレリックがあり、そして弱っている少女がいる。そんなハンデを持ちながら戦えるほど、アリシアは強くない。だからと言ってこのままだとジリ貧だ。「リニス!」≪脚力強化≫女性の大振りな攻撃をかわし、そのかわした勢いを保ったまま、女性の腕を蹴り上げる。女性は、蹴り上げられたことにより、一瞬の隙が出来た。それを見逃す術はなく、アリシアは全力でその場を離脱した。「ふう…。まだついてきてる…」全力で離れたが、曲がり道などが存在せず、真っ直ぐの道をただかけるだけになっていしまい、女性も恐らくついて来ている。「とりあえず…」アリシアは少女を柱の陰に隠し、鎖を両断した方のケースを持つ。「大人しくしてるんだぞ~」疲れて寝ている少女の頭を笑みを浮かべながら、撫で、ゆっくりと立ち上がる。「どっちが狙いかわかんないけど、レリックが狙いならこっちに来るよね」女性は、もう見えるところまで接近してきている。このまま少女を背負っていても負けるだけだと考えたアリシアは少女を物陰に隠し、レリックを自分が所持することで、意識をこっちにむけることにした。こっちに来て戦いになった場合、レリックを置いて戦えばいいし、最悪レリックを盾にしたって構わないと考えていた。「鬼さんこちら~! 猫のいる方へ~」手を鳴らしながら、目立つように女性から逃げていく。すると女性も、その音と声を頼りに追いかけてくる。アリシアの作戦はとりあえず成功した。「エリオ君、どうかしたの?」「いや、下から、何か物音がした気がして…。ちょっと確認してみよう」そのすぐ上で、自分の妹の子供たちがいることには、気づかなかったが。「(…まさか、フェイトさんがあんなこと言うはずないよね?)」<あとがき>忙しくて嫌になる今日この頃。ビビリの黒胃ですが、明日、とらハ板に引越ししたいと思います。追加・修正と共に。では!また次回!!