「嵐~、新聞だよ~」「おお、ありがと。何々…この二人ってやっぱり別れたか~」「嵐、ナズナがご飯できたって」「わかった。今行く」「早くね!」第62話「歪んでいく物語」「ふむ…」『新部隊、機動六課発足』「始まるみたいだな」『そうみたいだね』とうとう始まるか。stsが。俺たちは、六課を無視して管理局に突っ込めばいいだけかもしれないが。「これでマセラティに会えば、終わりだな」ナズナが焼いたトーストを食いながら新聞に写っている人物を見る。そこには、原作のヒロイン三人が写っている。ふむ、アリシアを見ているせいでフェイトが物凄い大人に見えるな。この三人に更に新キャラのスバルたちが加わるわけか…そういえば…「俺って誰が好きだったけ?」まだ俺が現実にいたときは、誰が好きだったんだっけな?確か、ヒロインの三人組みじゃなかったはずなんだけど…。誰だったけな。『好き?』「ん? いや、何でもない」口に出ていたらしい。まあ、スカさんに話しても理解できないだろうしな。『(…ナズナが、凄い目つきで見ているんだが…)』ん~、誰が好きだったんだっけ?「…っ!」思い出した! リインフォースⅡだったかな。性的な意味じゃなくて、見た目的な意味で、小さい感じでかわいいからだったけ?断じてロリコンじゃない。「マスター、お茶です」「お、ありがと」ナズナがお茶を持ってきてくれたので、喉を潤す。というか、そんなに勢いよく机にお茶置いたからちょっと零れちゃってるじゃないか。「…マスター、何を考えていたんですか?」「え?」お茶を飲みながらナズナの方を見ると、顔は笑っているが、目が笑っていない。ていうか、目に光がない。ヤンデレヒロインがよくする眼になっている。「え、あ、む、昔の…」ナズナの視線が怖すぎて、うまく口が開かない。「……」≪ナズナ≫≪何ですか?≫どうしよう。昔の好きなキャラを思い出してましたなんて言うべきだろうか。≪実は、嵐と私は、さっきまで会話していたんだ≫≪会話ですか?≫≪ああ、ナズナは可愛くて好きだと言っていたかな≫≪っ!?≫正直に言うのは少し恥ずかしいが、ここで言わないと変な誤解をナズナに与えそうだ。なら、正直に言うべきだろう。≪君に直接言うのは恥ずかしいんだろう。ここは見逃してあげてくれないか≫≪か、かかっか、かわいいですか。し、ししっしし、仕方ありません≫よし、言うか!「ナズ…」「マ、マスター。食器を片付けてきます」「…えっ」俺が意を決して言おうとしたとき、ナズナはキッチンに行ってしまった。「…どしたんだ?」『貸し一つだ』「…何が?」『スカリエッティから連絡があったよ。後で会いたいらしいよ』「スカリエッティから?」まさか仕事の頼みだろうか?今までスカリエッティは俺たちには、仕事の頼みはしてこなかったんだが…「詳しくは、会ってみてからにするか」『ナズナも連れて行こう。一応の護衛だ』「わかった」さすがにスカリエッティにはナズナの戦闘情報は渡っていると思うがもしスカリエッティから攻撃があってもナズナなら抑えれるはずだろう。「ナズナ」「どうしましたマスター」「ちょっとスカリエッティに会いに行くから」ナズナは、スカリエッティと聞くと、俺のつけている指輪を見た。いや、これじゃないって。これも一応、というか、本物のスカリエッティだけどさ。「このスカじゃなくて、人間の方のスカ」「あ、そっちのスカでしたか」「うん。そっちのスカ」「すみません。スカ違いでした」「全く。気をつけろよ。スカを見間違うなんて」「すみません」『…もしかして、喧嘩売ってるかい?』「「いや、全然」」『…一応、二人の創造主のはずなんだけどね』スカさんに喧嘩を売るなんて、そんなこと俺たちに出来るはずないじゃないか。もしかして、スカさん疲れて疑心暗鬼になってるんじゃなか?『…助けなければよかったね』「ここか」相変わらず何かジメジメしてそうな場所だな。カビが生えてきそうだ。人の死体かもしれない物もあるっぽいし、嫌な空気だね本当。「マスター、気分が優れないんですか?」「いや、ここが空気悪いな~と思って」『慣れていない者には、キツイだろうね』スカリエッティの連絡には、場所の指定までしてあったので、難なく来れたのだがスカリエッティのいる所にはAMFが展開しているので、入り口に転移してきてわざわざ歩いている。「スカさん。ここはどっち?」『左の扉だよ』「了解」左の扉を抜けると、そこには、一人の女性が待っていた。「お待ちしておりました。ドクターがあちらでお待ちです」『お迎えご苦労だねウーノ』「いえ」ウーノの指した扉を抜けると、そこには無限の欲望がいた。「やあ、待っていたよ」『すまないね。待たしてしまったかい?』スカリエッティは、俺とナズナの姿を見てニヤニヤと笑っている。「おや、管理局のエースと会えるとは光栄だ」スカリエッティは、わかっていながらもニヤニヤして俺たちを見る。「このドクターは、指輪のドクターの4倍に腹が立ちますね」ナズナも顔を満開の笑顔にしてスカリエッティに笑いかける。「どうだい? 君が良ければ、こっちに来ても構わないよ」スカリエッティは、Fプロジェクトの究極の成功作のナズナが欲しいのかプライベートでも、よくナズナとか俺に訪ねてくる。「お断りします」「つれないな。こんなにも君を欲しているのに」「虫唾が走ります」「酷いね」「離せ。変態」ナズナの手を握り、撫でようとしたスカリエッティをナズナは、思いっきりはたいて、俺の後ろに隠れてくる。あれ? どっちが護衛だっけ?「怒らせてしまったかな」「わかって言ってるだろ」「それはどうかな?」このスカリエッティは断られるのがわかって聞いてくるのだがいい加減諦めて欲しい。俺のことは、4回くらい断ると諦めたくせにナズナは諦めない。「もしかしてMか?」「いや、誤解しないでくれ。そうだ。今日、君たちを呼んだのはこれだよ」スカリエッティが何かキーのような物を操作すると、空中にモニターが浮かんだ。これは…機動六課?「これが?」『私たちに関係あるのかい?』俺たちに六課の紹介されても困るんだけど。それに、俺たちもう知ってるし。今更メンバーなんか教えられても…「君たちは、私の手伝いをしてくれるんだろ? ならば、敵を知っていてもいいと思ってね」「なるほど…え? これ誰?」『…!?』六課のメンバーの中に、明らかに俺が知らないキャラがいる。オレンジ髪や、青い髪の奴は知っているが、こんな緑髪の大人キャラは知らない。マリエルか?いや。どう見てもマリエルじゃない。「彼女は、コーデリア・マセラティ。管理局には、勤めていないフリーの魔導師だ」「っ!?」こいつがマセラティ!? ええ!?だって、マセラティは管理局のデバイスとかを調整するとかそんな役じゃなかったか!?なのにこいつ、普通に戦闘してくるっぽいじゃん!?「フェイト・テスタロッサが一年契約して雇っている魔導師探偵らしいね」「フェ、フェイトが!?」なんて余計なことしてるんだ!? わざわざ雇わなくてもいいだろう!?いきなり原作から遠ざかってるんですけど!?テスタロッサの家系は、俺のことをとことん邪魔するのが得意みたいだな。姉と同じで!「詳しい情報は、どうでもいいから調べてないよ。彼女には、あまり興味はないんだ」スカリエッティは、研究体や、実験体には興味を持つが普通の人間には、かなり興味を持ちにくい。なのでマセラティも一緒だろう。≪歴史が変わってるね≫≪不味いな≫マセラティのいる場所を襲撃する予定だったのに、六課だとさすがにキツイ。あそこは、ある意味、怪物の魔窟だ。魔力的な意味で。≪しかも、もしかしたらこれ以上の歪みもあるかもしれないな≫≪…しかたない≫「スカリエッティ! こ、この六課のもっと詳しい情報を提供して欲しい」「…これかい?」これ以上歪んでいるかもしれないのを調べるために、最新の情報がいる。それに、このコーデリアという人物の情報。何故六課にいるのかも調べたい。悔しいがスカリエッティに情報の提供を求めないといけない。「…なら、手伝いをしてもらおうか」「最悪だ。まさかマセラティが六課にいるなんて…」『未来のデータとは、大分違うね』「マスター…」スカリエッティの基地のから帰りながら、俺とスカさんは、気分をかなりブルーにして帰り道を歩いていた。「未来はどうだったんだ?」『未来のデータだと、彼女は、デバイスを作成する仕事だったし、子供の頃に瀕死の重傷を負って魔導師なんてとてもじゃないが無理な体なはずだよ』「…一体どこでそれは変わってしまったんだ」おかげでスカリエッティの手伝いをしなきゃいけない。手伝いする気は、なかったのに…「ナズナ、頼めるか?」「マスター。言うまでもないです」『今回は、ナズナと君だけでいいだろう』スカリエッティの基地から出て、転移魔法を発動して、サラーブに戻る。「あ、お帰り!」「遅かったじゃねえか」「お帰り。無事か?」転移を終えて、待っていたのは、アリシアとシントラとアインスだった。「悪い。ちょっとややこしい事態になって」「ややこしい事態だと?」「とりあえず全員集めてくれ」「わかった。シントラ、行くぞ」「…まためんどくさい事態になってるわね」全員集まって、さっき気づいたことを話し終わると、一番初めに声を上げたのはプレシアさんだった。実際、本当に面倒くさいとおもっているんだろう。だけど忘れないで欲しい。あなたの娘の妹が雇っている存在だということを。「あなたたちの言っていたこととかなり変わり始めているわね。全く面倒ね」「そうみたいですね…」これ以上は歪まないことを祈るばかりだ。『派手に暴れすぎたね』派手に暴れすぎたのは認めるが、これは俺たちに関係ないんじゃないか?いや、俺たちというイレギュラーがいるからこんなことになったのかもしれないが。「…コーデリア?」「シントラ? どうしたの?」「いや、何でもねえ」「それで、スカリエッティに一回協力しなきゃいけなくなりました」「誰が行くのかしら」「とりあえず、俺とナズナが手伝うことにしました」さすがに全員で手伝うとかはしない。余計に事態が混乱しだしそうだし、わざわざ全戦力を出すまでもない。「スカリエッティにも、そう伝えたんで」「なら、救援の連絡がくるのを待つだけなわけね」レリック絡みの手伝いなのは確実だろうけどside高町なのは≪同じ空は久しぶりだね。フェイトちゃん≫≪うん。なのは≫はやてちゃんの夢の部隊。機動六課の初の任務。本当は新人たちに新型デバイスの練習をさせてからにしたかったんだけど、そうも言ってられなくなった。ガジェットの攻撃をかわしながら、攻撃する。ガジェットは、空中を飛ぶのに適している形のせいなのか、中々素早い。だけど…『Accel Shooter.』カートリッジをリロードし、アクセルシューターを放つ。操作したアクセルシューターは、3機のガジェットを攻撃し、破壊する。「よし、次…!?」次のガジェットを撃墜しようとしたとき、後ろから私の顔の横ギリギリを黒い魔力が通り過ぎていった。黒い魔力。それを持っている人物を私は一人しか知らない。私は振り向かずに言った。「こんにちは。久しぶりだねナズナちゃん」「ええ。久しぶりです高町なのは。元気そうで残念です」白い魔導師と黒い魔導師。表と裏。本当の物語では出会うはずのなかった二人。