「ナズナ~早くおいでよ~!」「いえ、こ、この格好は…」「大丈夫! 嵐も気に入ってくれるよ! ね! 嵐!」「鼻血でも出すんじゃねえの?」「シントラ、あまり言ってやるな」第61話「海だ! 水着だ! sts前だ!」「…なんでこんな場所に来ているのかね…」『気に入らなかったのかい?』「いや、もうstsが始まるまで一ヶ月もないじゃん。」この4年間くらいは、訓練の繰り返しだった。おかげで、アリシアも俺も大分戦えるようにはなったと思う。スカリエッティからの頼みも来るかと思ったが、案外連絡はなく。何事もない4年間を過ごせた。「stsまで、もう少しなのに…なのに…」俺は、顔を上げ、目の前を見た。「俺たちは海なんかに来てるんだ…」澄み切った青い空。美しい青い海。眩しい太陽!その空間に俺は、水着を着てパラソルの下、太陽の光に当たらないように座っていた。『プライベートビーチだよ?』「またなんか危なそうな…」『大丈夫だよ。クリーンな世界だからね。危険生物もいない…はず』「そこはすっぱりといないと言ってくれ」またデカイ恐竜なんか出てきたら俺泣くよ?『一年中こんな気温の世界なんて珍しいんだけどね。私も水辺の研究をするときに、よく利用したもんだよ』「研究じゃなくて遊びにしろよ…」俺のテンションは、太陽の光と反比例して下がりっぱなしだ。元々、海はあんまり好きじゃない。塩の味がする水って苦手なんだよな。『女性陣は、まだ来ないみたいだね』「女性は着替えに時間がかかるからな」男たちがすぐに終わらせる準備にも女性は時間がかかるものだと思う。それに、待つのは嫌いじゃない。…そうだ。今のうちに言っておこう。「スカさん。もう少しでstsが始めるけど」『何だね』「stsでもよろしく頼む。頼りにしてるから」スカさんがいたおかげでここまでこれたと言っても過言じゃない。アニメでは、スカリエッティってあまり好きなキャラじゃなかったけど、スカさんは別物みたいなものだ。『…なんだか照れるね』「…俺も」二人で海を見つめながら、時間が経つのをじっと待っていた。そして、元気いっぱいのあの声が聞こえてきた。「ら~~~~ん~~~!!」「おお、来たか」元気いっぱいに走ってきたのは、やはりアリシアだった。始めてあったときよりもかなり成長して、今じゃ幼児体系とはいえないスタイルになった。フェイトより、胸は小さい印象を受けるが「お待たせ!」砂浜の上に華麗に着地するアリシア。水着は、蒼いワンピース。昔ならあんまり反応しなかっただろうが、今のアリシアの身長は150cmくらいだ。胸が控えめじゃなかったら危なかった。「お~これが海か! 太陽が気持ちいな!」似非吸血デバイスことカーミラが俺の頭の上に着地してどこから取り出したか…というより準備したのか小さな自分サイズのコップに飲み物を入れて飲んでいる。水着まで真っ赤なのか…、やっぱ赤が好きなんだな。「あ、鼻血出さなかったみたいだ」「シントラ…」遅れてシントラとアインスがやってくる。…え?「シントラ。お前…それなんだ?」「水着」「…まあ、俺たち以外にいないから別に構わないけど…」アインスは、白色の一般的な水着を着ていたが、問題はシントラだった。シントラは、確かに水着を着ている。ロリの特殊装備、スクール水着と言う伝家の宝刀を。「水着って誰が用意したんだっけ?」『アリシアだよ』「……」アリシア…、変な世界に毒されたのか…「待たしたわね」「あ、プレシアさん。プレシアさんも着替えてたんですか」「私は泳がないけどね」プレシアさんは、露出が少ない全身を覆っている水着を着ている。どこか、大人の魅力を感じる。というか、はっきり言ってエロイ雰囲気が出ている。年上好きではないはずなんだけど、水着姿のプレシアさんを見て、一瞬ドキッとしたのは俺だけの秘密だ。「多分、こんなゆったりした時間は、もうあまりとれなくなるでしょうね」「…そうですね。どこかに遊びに行くなんて、出来るかどうか」後ろから、リニスも顔を出した。今回だけは許されているのか、猫フォームじゃなくてちゃんとした、人間の姿で水着を着ている。プレシアさんとは違ったエロさがあり、やはりちょっとドキッとしてしまった。「のんびり…か」stsが始まってしまうと、そこからは、帰るか、帰れないかがかかっている。機動六課には、あまり関係がないが、管理局にコメテスアメテュスを取りに行かなければ行けない。「…まあいいわ。今日は、しっかりと遊んで、休んで、事に備えましょう」「はい」プレシアさんはパラソルの影に入り、本とノートを出して、読み始めてしまった。俺がいると気が散るかもしれない。俺は、アリシアたちがいる場所に向かった。「あれ? アリシア、ナズナも一緒に着替えに言ったよな?」「あれ? ナズナも連れてきたはずだけど…」周りを見渡しても、どこにも見当たらない。「んっ」「えっ?」シントラが指差して方向には、木があるだけだった。しかし、隠れきれていないのかチョロンと黒い髪の毛と体が見えている。「あ! いたいた。ナズナ、隠れてちゃ駄目だよ!」「ああ! アリシア、離して下さい! 自分で出ますから!」「ほら!」木から出てきたナズナは、黒いビキニを着ていた。ナズナの白い肌が、黒に良く映えている。『似合ってるじゃないか』「ス、スカさんの言うとおりだと思うぞ」視線が胸に行きそうになるのを青い空を見ることで阻止する。ナズナの胸は、顔はなのは似のはずなのに、どっちかと言うとフェイト寄りだ。俺も健康な20歳前の肉体。ようやく、元の体になった。最近のナズナの体に欲情しそうになっているのは秘密だ。「ふふん、嵐ってば私たちの水着見てドキドキしてるでしょ~」「シテナイヨ」『バレバレな演技だね…』「マスター…」色んな種類の視線が俺に突き刺さってくる。「ド、ドキドキなんてしてない! してないぃいぃぃーーー!!!」ダッシュで二人の間を駆け抜け、海に飛び込んで、クロールで逃走を図った。俺の顔は、恥ずかしさで真っ赤なはずだ。それを見られないようにするためと顔に篭った熱を海の水で冷やすために。だが--「待て待て~! 顔見せて~」「あたしにも見せろ!」二体の(二人の)体育系に追跡されていた。「じゅ、準備運動を怠るなんて、駄目だ!」「あ、そうだね。じゃあシントラに頼むよ」「任せろ!」どうやらシントラは、俺とアリシアが会話をしている間に準備運動は終わらしていたようだ。俺は、クロールを激しくし、気持ち的に速度を上げるが、差は縮まっていく。「もう顔は赤くねえよ! 諦めろ!」「顔はどうでもいい! お前を捕まえたいだけだ!」「な、何故!?」「海に来たんだから、とりあえず泳ぎたいだろ!」「ちくしょおぉーーー!!」俺とシントラは、体力がなくなるまで泳いだ。まあ、俺がシントラに敵うはずもなく最終的には、俺がシントラに捕まってしまったのだが。「いち・に・さん…、ナズナは泳がないの?」「わ、私は、ここで休んでおきます」「恥ずかしがらなくてもいいと思うのにな~」「さあさあ、おばちゃん張り切っちゃったからね! どんどん食べて!」「わ~い!」「うめえ!」シントラとの、デス・スイミングが終わった後、アリシアと泳いだり、ナズナの水着がずれそうになって、顔を真っ赤にして全力で海を泳いだりといろいろと肉体的にも精神的にもしんどい時間を終えて、宿(スカさんの基地)に戻ってくると何故か焼肉を焼いているおばちゃんがいた。「…スカさん」『なんだい?』「いいの?」『問題ないよ。おばちゃんは、ここをどこかの別荘だと思っているはずだからね』「……」『正確に言うとプレシア…じゃないね。セリアの別荘だと思っているはずだ。飛行機での記憶は、適当に作っておいたよ』「…おばちゃんって今年でいくつだっけ」『五十は…データでは、16歳と出るよ』「……そう」あまり深く考えないでおこう。「ほら! 鈴木くんも座って座って」「あ、すみません」とりあえず、シントラの幼女サイズになっているカーミラの横に座り、焼いてある肉を食う。うむ、うまい。「マスター、口に汚れが」「あ、ごめん」ナズナから、ティッシュを手渡され、口元を拭いていると、何故かおばちゃんがニマニマしている。若干、眼が輝いているように見えて、怖い。「お、おいしいですね。おばちゃん」「そうだろ? あたしにかかればこんなものだよ」視線から悪寒を感じてので、話を誤魔化すためにおばちゃんに話を振る。どうやら乗ってくれたみたいで、一安心…。喉の渇きを癒すために水を一口…「ところで、ナズナちゃんと鈴木くんは、やっちゃたのかい」「「ブゥウぅうううううぅうううう!!」」飲めませんでした。「な、なななな、何を言ってるんですか!?」「え? おばちゃんてっきりそんな関係だと」「あらあら、本田さん。嵐とナズナは、まだそんな関係じゃないわ。“まだ”ね」「あらら、おばちゃん早とちりしちゃったよ」「だから何を!!」俺と同様に、水を口から噴出した、ナズナが、首まで真っ赤にしておばちゃんに講義している。そんな、ナズナの講義は最強の力を持つおばちゃんコンビに歯が立つはずもなく、受け流され続けている。「だって…ねえ?」「ええ…ねえ?」おばちゃんとプレシアさんは、互いの視線を合わせニッコリと笑い俺とナズナの方を見て、再びニッコリと笑う。俺は、恥ずかしさがマックスになり、キョロキョロと視線を変えているとナズナが突然立ち上がった。「ご、ご馳走様でした」いそいそとナズナは、自分の部屋に戻っていってしまった。おばちゃんコンビはそのナズナが行った方向を見た後、俺の方を見てニヤニヤしだした。「…ご馳走様です」ほとんど焼肉は食えなかった。「…綺麗だな」『夜中に何をするのかと思ったら星かい?』腹が減って寝付けなかったので、気分転換に外に出てみると空には、星が輝いていた。日本では、こんな景色は見れないかもしれない。「よっと」砂浜に寝転び、空を見上げる。「は~」すこし風が吹いて、俺の髪を揺らす。その風が吹いたとき、左から誰かの気配を感じた。「…誰かいるのか?」「っ! よくわかりましたね」その人物は、ナズナだった。「ナズナ!? 何でここに?」「少し、眠れなくて…」俺と同じ理由だったらしい。ナズナは俺の隣に腰を下ろし、空を見上げる。「「……」」俺と同じで焼肉のときのことがまだ気になっているのか、ナズナは口を開かない。「あ、あのさ」「はい」このままの状態が続くのは苦しいと思い、話を振る。「ナ、ナズナは、この回収が終わったら、どうするんだ」「…どう、ですか」ナズナは、俺の問いに少し悩んでいるように見えた。そこで俺は、ナズナがこの世界に予定がないのなら、言いたいことがあるのを思い出した。だが緊張のせいで汗が止まらない。「ナ、ナズナに、もし、よ、予定がないならさ」「え?」俺の心臓が破れそうなぐらい激しく動いている。汗も呼応するように吹き出てきている。「お、お、俺の世界にしゃ、こ、こないか?」言えた。噛んだけど。「マスターの、世界?」「いや、予定があるなら無理にとは言わないけどさ、予定がないならついて来てくれたらうれしいかなあ~って、あの、俺の世界でお礼とかもいろいろしたいしさ。親とかにも紹介したいし。無理にとは言わないけどさ! 何ていうのかな? スカさんが言うには、俺の思いをかなえると、コメテスアメテュスから転移魔法的なものが発生するんだって。だから、近くにいたら俺の世界に来れると思うんだって。それで、俺が装着しているスカさんは、俺の世界に来るらしいんだけど、それで、ナズナもどうかな~って。嫌なら構わないけど。アリシアは、どうするかは、わからないけど、とりあえず、一番初めにナズナに話しておこうかな~って思ったんだ」緊張のせいで超早口になってしまった。ナズナがポカンとしている。ていうか恥っ! かなり恥ずかしいんだけど…「マスターが…」「ん?」「マスターが、迷惑じゃなければ…」ナズナの顔も俺の顔も真っ赤。多分この状況で正常なのは、スカさんぐらいじゃないだろうか。…スカさんは、外してこればよかったな。「め、迷惑じゃない! 全然! 全く! じゃ、じゃあ、今日はもう遅いから、帰って寝よう」服についた砂を掃い、戻ろうと思った時、ナズナに服を掴まれた。「ナズナ?」ナズナは、俺の顔を見ないで、俯きながら耳を真っ赤にして俺に言った。「きょ、今日は、一緒に寝てくれませんか?」……え゛黒き従者と血の主の夜は長い。おまけ何故か断ることが出来ず、ナズナと寝ることになってしまった俺は、とりあえずスカさんを自分のベットに置きナズナの部屋にお邪魔することにした。「お、落ち着け。寝るだけだ。ナズナと一緒に寝るだけだ。深く考えるな。寝るだけだ」大丈夫。寝るだけ。寝るだけ。よし、準備はOKだ。「ナズナ。来た…ぞ」「…くぅ」緊張してゆっくりとドアを開き、ベットに向かってみるとそこには眠りの姫様……寝ていますな。はい。あんだけ海で泳ぎまくったんじゃ、そりゃ疲れるよな。「…まあ、そうだよね」ナズナから少し離れてベットに寝転がり、寝てしまおうと思った。が…「う~ん…」「っ!!??」ナズナがゴロゴロと転がり、俺の体に抱きついてきた。しかも強烈で少し苦しい。「ナズ、ナ、離せ、くる、しい」苦しい以前に俺の理性が苦しい。柔らかい何かを押し付けてくるな。「うぅん」「……無理か。なら、寝るしかない。心頭滅却すれば、火もまた涼しい。煩悩退散!」疲れているのに無理矢理起こすのは忍びない。離してくれないならこのまま寝るしかない。俺は、自分の鉄の理性を信じて眼を閉じる。「むにゅ…」「……」鉄の理性はティッシュになるのも時間の問題かもしれない…次の日は、寝不足になりスカさんからは『昨日はお楽しみできませんでしたね』と言われた。床に叩きつけたが、罅一つ入らなかった。「マス、ター、大好きです…むにゃ…」<あとがき>更新できた。けど、また忙しいので遅れます。ちょっとずつ更新していきたいと思います。次回からstsに突入します。多分。では!また次回!!