「暑いな…」「暑いです…」「暑いよぉ…」『私はデバイスだから感じないけどね』「「「……」」」第45話「悪の親玉? いえ、今日は従者です」「それにしても暑いな…」「はい…」時が経つのは早く、季節は夏真っ盛りだ。ニュースでは、今年の夏は例年に比べて猛暑だというが生憎例年の気温を知らないので何ともいえない。「こんな暑いときはなんもする気起きないよなぁ…」「ですが訓練はしましたよ?」「そりゃ怠るわけにはいかないし…」『体に染み付いてるね』会話するだけで汗が流れ出てくる。こんな暑いときはクーラーが効いた冷えている部屋で寝ていたいものだ。そういえば子供の頃はクーラーの効いている部屋で寝るとお腹をよく冷やしていたな…「サラーブの方がまだ涼しいんじゃないか~」『サラーブの温度は実質この世界と同じにしてある。冷房が効いた部屋じゃないと変わらないよ』「だよな~」なら、どこにいたって大して変わりないんだよな…そういえば、さっきまでここにいたアリシアはどこに行ったんだ?アリシアは目の届くところにいないと何するかわからないから不安になるんだが…「うきゃ~~!!」「…今の叫び声は」『アリシアだね』また、あのお転婆姫さんは…今度は一体何をやらかしてしまったんだ…「お~も~い~」「プレシアさんは…」「買い物に行っています」昼ごはん食い終わった後に何か布と糸がなくなったって言ってたな。だったら俺たちが助けに行くしかないか「ちょっと待ってろよアリシア」「なるべく早く~」「…どうしたんだこれ?」「散らかってます」『プレシアが見たら怒りそうだね』プレシアさんの部屋に駆けつけ、目に入ったのもはサラーブ入り口の押入れの上のほうから、詰め込んであった荷物が床に散らかっている光景だった。「ここ~」「…あれか」その荷物の下から小さな手がこっちに手を振っていた。手を振れるということは、まだ大分余裕があるということだろう。「大丈夫か?」「ちょうど荷物の隙間になってるから大丈夫」「なら慎重に退けてくぞ」「うん。お願い」俺とナズナは荷物を崩さないように伸張に上から退かしていった。作業をすること10分。ようやくアリシアの顔が見えた。「ありがと~」「後は引っ張るからな」アリシアが両手を掲げ、それを引っ張りようやく脱出できた。「ふ~」「一体何してたんだ?」「えとね、これ出そうと思ったの」『なんだいそれは?』アリシアが退かした荷物の中から取り出したのはアリシアが目覚めて、しばらく経ったとき、デパートに行って買った物だった。「そういえばそれ去年買ったけど、全然しなかったな」アリシアが取り出したのは膨らまして泳ぐ、ゴムプールだった。「今日暑いでしょ! だから、これで遊ぼうと思って!」「なるほどね…」アリシアなりにこの暑さをどうにかする方法を考えていたわけかだけどそのゴムプール…「準備の仕方知ってるのか?」「馬鹿にしないでよ! 空気入れたらいいんでしょ!」そうだな。空気を入れれば遊べるようになるんだろうな。「誰が入れるんだ?」「……」アリシアは俺の言葉に黙ってしまった。多分、というか絶対に考えてなかった表情だ。「…ジャンケン?」苦し紛れに笑顔を浮かべながらアリシアは言うが確かにそれしか方法はないだろう。こんなことで魔法を使うのもばかばかしい。「いいだろう! だが、ただのジャンケンじゃおもしろくない! 最後まで負けた者は勝者の言うことを今日一日聞かなくてはならない! これでどうだ!」「おお! おもしろそう! やるやる」「じゃあナズナも」「はい、わかりました」「じゃあいくよ! ジャ~ンケ~ン」「「「っほい!」」」魔力だけが全てじゃないんだよ!sideクロノ・ハラオウン「こんな時期に集まってもらってすまない」管理局の一室。そこに闇の書事件に関わった魔導師が集まっている。今日はちょうど全員が仕事が休みだから、集まってもらった。「気にせんでええよクロノ君。私も暇やったし」「にゃはは、実は私も…」「クロノ、気にしないで」最近になってなのはたちも時空管理局で働きだした後輩になった。それぞれが自分のことで忙しい中、よくこんなに集まれたものだ。「それでクロノ、このメンバーを集めて何がしたかったんだい?」アルフは僕を睨むように見つめてくる。こんなメンバーを集めたせいで何か大きな事件があったと勘違いされているみたいだ。残念ながら、いや、事件じゃないことは残念じゃないんだけど、今回はそういうことではない。「それは今から話すよユーノ。エイミィ」「はいは~い!お任せあれ!」エイミィに指示して、闇の書の事件に関わったもう一人の魔導師の映像が表示された。「こいつらは…」「確か暴走のときにいた者だな」「ナズナたちじゃないか。何かあったのかい?」ナズナの映像が表示されると皆の表情が引き締まった。それはそうだろう。彼女たちの素性はいまだにわかってない。だが、最近になってとんでもないことが発見された。「彼女たちについて、わかったことを報告しようと思ってね」「クロノ!? 何かわかったの!?」「ああ」彼女たちの映像や魔法、それにナズナの身体検査の結果。それをさらに細かく調べていくことで、彼女たちの姿が見えてきた。「まずこの子だね」「シントラちゃん…」闇の書の暴走が始まった時からいた少女。蒼い騎士甲冑に身を包み、白い髪の毛をなびかしている。「彼女のことを調べている内にわかったことがある。彼女は守護騎士システムで生まれた存在だ」「何っ!?」シグナムたちの方から驚いた声が聞こえるが、しかたないだろう。自分たちと同じ存在が他にいるのだから。「この映像、彼女は闇の書から攻撃を受けて負傷しているが、このときにはもう治癒し始めている。魔法を使った痕跡も見当たらない」彼女が闇の書の戦いが終わり、アースラに連行したとき彼女の傷は少しづつ治癒し始めていた。「なるほど…確かに闇の書のプログラムなら、それも可能だろう」「我らは闇の書が破壊されない限り、何度でも蘇るからな」「…けど、この子はシグナムたちと初めて会った時にはおらんかったで?」「そこは仮説になるんだけど、おそらく彼女たちは闇の書とどこかで接触をしたことがあるんだと思う。それで闇の書から、その守護騎士プログラムをコピーした…と思う。まああくまで仮説だから、外れてると思っておいてくれ」闇の書のプログラムか…。並大抵の魔導師では歯が立たないだろう。――シントラの部屋「…よし」―――ニヤッ「…う~ん」―――ニィヤ「これも違う…」「シントラ。ナズナたちが呼んでたぞ」「うわぁああぁあああ!!! いきなり入ってくんじゃねえよアインス!!」「む、すまないな。次からは気をつけよう」「あ、こっちも怒鳴ってごめん。……あのさ…見た?」「何のことだ?」「ああ、別に見てないならいいんだ! うん!」「そうか。それと、あんまり鏡を見て一人でニヤニヤするのは止めた方がいい。少し怖いぞ」「やっぱ見てたんじゃねえか!!」――管理局「次に彼女…プレシア・テスタロッサだが…」プレシアの名が出た途端、フェイトの顔が曇る。あまりこの話題をフェイトの前で話したくないけど、フェイトに話さないわけにはいかない。「彼女については、そこまでわかってないんだ。本物か否か、情報が少なすぎてね」「そ、そうなんだ」フェイトの顔が安心したようになる。フェイトは一体どっちの方がよかったんだろうか?「プレシア・テスタロッサについてわかったことは、彼女が仮面の魔導師の一人だということ」「何だって!? あのいけ好かない仮面野郎は、あのクソババアだったのかい!?」「アルフ…」「グレアム提督の話を聞いてみると、仮面の魔導師と接触したとき、仮面の魔導師の一人が強力な電気の魔法を使用したらしい」アリアの話によると、凄まじい電気の魔法だったらしい。拷問器具を通して、自分の魔力を相手にぶつける魔法。並みの術者では操作も難しいと言っていた。「プレシア・テスタロッサ…大魔導師か…厄介だな」――とある母の帰り道「お菓子買いすぎちゃったかしら。まあこれでアリシアも大喜びね」―――クゥン「あら…こんなところに子犬が…捨てられたのかしら? 哀れね」―――クゥ…「こんな場所で待っていてもご主人様は帰ってこないわよ?あなたも生きたいなら、醜くても生き続けなさい」―――クウゥ「…何よその目は? 私に縋ってもどうしようもならないわ。自分でどうにかしなさい」―――ウゥ…「そ、そんな泣きそうな目をしたって、だ、騙されないわよ!」―――クォン…「……」その後、この子犬は新しい飼い主を見つけることが出来た。その影に一人の女性が奮闘したのは誰も知らない…――管理局「そして最後の一人…ナズナだ。エイミィ、あれを」「ほい来た!」エイミィの操作で画面が変わり、ナズナの仮面を付けている写真から仮面を外したナズナの写真が写った。「…えっ」「クロ、ノ…これは…」「ナズナの素顔だ」全員が仮面に釘付けになっている。そこには、仮面を外し、なのはそっくりの顔をさらけ出しているナズナが写っている。「ど、どういうことなの?」「これは、僕がナズナたちをアースラに連行して、バリアジャケットを解除させたときに撮ったものだ」「そうじゃないだろクロノ!!」「落ち着けユーノ。今から説明する」「ヴィータ? どうした? 体が震えているぞ」「…なんでもねえ」しばらく全員がパニックに陥って会話が出来なかったがだんだんと落ち着いてきて、ようやく話が出来る状態になった。「それじゃあわかったことを話そう。なのは、大丈夫か」「う、うん」「専門の機関などでナズナの身体検査の結果を細かく調べてみてわかったことがある」「わかったこと?」「ナズナはおそらく、プロジェクトFで作られた存在だ」「「「「っ!!」」」」なのはとフェイト、そしてユーノにアルフが驚いた表情になるがはやてはよくわかっていない様子だ。「すまないフェイト、フェイトがいるのにこんな話を」「いいよクロノ。私もナズナのことは知りたかった」「そう言ってもらうと助かる」「や、やっぱり…私の…かな」「それは、今後の調査で明らかになっていくと思う。もう少し待ってくれ」「けど、もしそうだとしたら、なんでなのはを…」「それも仮説なんだが…」僕なりに考えてみたんだけど…「まず一つ、彼らの中に未来を予言できるものがいる。これによってなのはがPT事件のときに活躍するのを予言して、なのはの細胞を入手し、それからクローンを作り出した」これが出来る人物を一人知っているからこそ、この仮説が浮かんだ。「二つ、彼女たちが全くの別次元から来た存在。そっちの世界での魔導師の中になのはとよく似た人物がいたのかもしれない」だが、この仮説だとこちらの世界に干渉してくる理由がわからない。「どちらにしても、彼女たちの後ろには何かがいるように僕は感じる。それを覚えといてくれ」シントラやプレシア、そしてナズナの後ろに強大な何かが見える。そんな気がした。sideout「嵐~、お水足して~」「はいはい只今!」「あの…いいのですかマスター」「今の俺はただの敗者…存分に命令するがいい」「えと…じゃあお茶を…」「かしこまりました~」…ジャンケンって運だから。しゃあないじゃん? いや、本気じゃないし、本当だし『負け犬…ププっ』「…うるs「嵐~」只今参ります!」<あとがき>クロノの仮説が惜しいとこ突いてるんですがね。けどクロノってstsで出番ほとんどないからなぁ…では!また次回!!