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No.6935の一覧
[0] 魔法少女リリカルなのは 現実回帰 (現実→リリカルなのは) チラ裏より移転[黒胃](2009/06/20 15:07)
[1] 第1話「それは衝撃的な出会い…なのか?」 [黒胃](2009/06/14 12:08)
[2] 第2話「妄想と夢は紙一重」[黒胃](2009/06/14 12:17)
[3] 第3話「デバスカ君と一緒!!」[黒胃](2009/06/14 18:58)
[4] 第4話「衰える体」[黒胃](2009/06/14 18:59)
[5] 第5話「コメテスアメテュス? 名前長くね?」[黒胃](2009/08/20 19:03)
[6] 第6話「2P白い悪魔」[黒胃](2009/06/14 12:46)
[7] 第7話「旅立ち」[黒胃](2009/06/14 12:55)
[8] 第8話「初戦は海の上で…なのか?」[黒胃](2009/06/14 13:22)
[9] 第9話「バーニングさん登場!?」[黒胃](2009/06/14 13:27)
[10] 第10話「街には樹がいっぱいだよ」[黒胃](2009/06/14 13:34)
[11] 第11話「桜+金=黒い魔法少女!?」[黒胃](2009/06/14 13:41)
[12] 第12話「思いの理由」[黒胃](2009/06/14 13:48)
[13] 第13話「未来のエースとの出会い」[黒胃](2009/06/14 13:55)
[14] 第14話「わかりあえないんじゃなくて話し聞いてないだけ」[黒胃](2009/06/14 14:01)
[15] 第15話「小さなことからコツコツと」[黒胃](2009/06/14 14:09)
[16] 第16話「勧誘? 大魔導師!」[黒胃](2009/06/14 14:17)
[17] 第17話「偽善者大作戦!?」[黒胃](2009/06/14 14:23)
[18] 第18話「魔砲幼女の意地」[黒胃](2009/06/14 14:30)
[19] 第19話「人形の意地と思い」[黒胃](2009/06/14 14:55)
[20] 第20話「マスコットキャラでは断じてない!! と思う」[黒胃](2009/06/14 15:04)
[21] 登場人物 無印編[黒胃](2009/06/20 13:50)
[22] 第21話「久々の休日?」[黒胃](2009/06/14 15:14)
[23] 第22話「アリシア大冒険! そして嵐の憂鬱」[黒胃](2009/06/14 15:20)
[24] 第23話「人間諦めが大事だよね、でも諦めたらそこで試合終了」[黒胃](2009/06/14 15:26)
[25] 第24話「恋に年の差って関係ない? いや あるだろ」[黒胃](2009/06/14 22:22)
[26] 第25話「戦いたくはない もう傷つけたくないから! ビビリ的な意味で」[黒胃](2009/06/14 22:21)
[27] 第26話「前夜祭だぜ! 回帰組集合!!」[黒胃](2009/06/14 16:40)
[28] 第27話「はじまりは突然に…なのか?」[黒胃](2009/06/14 17:13)
[29] 第28話「俺の拳が真っ赤に染まるゥ!?」[黒胃](2009/06/14 17:22)
[30] 第29話「ブラッティ仮面」[黒胃](2009/06/14 17:27)
[31] 第30話「当たらなければどうということはない(誰か助けて…)」[黒胃](2009/06/14 17:31)
[32] 第31話「それぞれの動き」[黒胃](2009/06/14 17:36)
[33] 第32話「仮面って結構息苦しい」[黒胃](2009/06/14 17:40)
[34] 第33話「おめでとう! 猫は空気から使い魔に進化した!」[黒胃](2009/06/14 17:47)
[35] 第34話「交渉人プレシア・テスタロッサ」[黒胃](2009/06/14 17:58)
[36] 第35話「完成! 夜天の栞」[黒胃](2009/06/14 18:04)
[37] 第36話「クリスマス・イヴは赤く染まる?」[黒胃](2009/06/14 18:10)
[38] 第37話「闇の書の戦闘力は正直、反則だろ」[黒胃](2009/06/14 18:15)
[39] 第38話「金色の姉妹」[黒胃](2009/06/14 19:10)
[40] 第39話「夜の終わり 作戦の崩壊?」[黒胃](2009/06/14 22:22)
[41] 第40話「スタンバイ…レディィィィ!! ゴオォォォォ!!!」[黒胃](2009/06/20 09:36)
[42] 登場人物 As編[黒胃](2009/06/20 13:51)
[43] 第41話「祝福の風、復活」[黒胃](2009/06/14 20:34)
[44] 第42話「風のいる生活」[黒胃](2009/06/14 20:43)
[45] 第43話「あなたと…合体したい…」[黒胃](2009/06/14 20:52)
[46] 第44話「一年が過ぎるのは本当に早い」[黒胃](2009/06/14 21:32)
[47] 第45話「悪の親玉? いえ、今日は従者です」[黒胃](2009/06/14 21:40)
[48] 第46話「笑顔を探れ」[黒胃](2009/06/14 21:47)
[49] 第47話「笑顔を求めて」[黒胃](2009/06/14 21:55)
[50] 第48話「笑顔のために」[黒胃](2009/06/14 22:01)
[51] 第49話「笑顔の答え」[黒胃](2009/06/14 22:07)
[52] 第50話「Puppet Prince」[黒胃](2009/06/14 22:13)
[53] 第51話「白と黒 表と裏 正義と悪?」[黒胃](2009/06/14 22:23)
[54] 第52話「ずれ始めた歯車」[黒胃](2009/06/14 22:29)
[55] 第53話「風邪を舐めると痛い目に遭う」[黒胃](2009/06/14 22:46)
[56] 第54話「柘榴色の世界」[黒胃](2009/06/14 22:51)
[57] 第55話「欠けたパーツ」[黒胃](2009/06/14 22:58)
[58] 第56話「血の遺跡の謎? 気分は考古学者」[黒胃](2009/06/14 23:05)
[59] 第57話「壊れていくパーツ」[黒胃](2009/06/14 23:12)
[60] 第58話「合体!? 自称 吸血鬼のデバイス?」[黒胃](2009/06/14 23:26)
[61] 第59話「吸血鬼の正体?」[黒胃](2009/06/14 23:52)
[62] 第60話「無限の欲望+無限の欲望=混沌」[黒胃](2009/06/14 23:58)
[63] 第61話「海だ! 水着だ! sts前だ!」[黒胃](2009/06/20 09:53)
[64] 第62話「歪んでいく物語」[黒胃](2009/06/20 10:10)
[65] 第63話「星と雷と…何故か血液」[黒胃](2009/06/20 10:28)
[66] 第64話「回帰組を正しく評価している人はいるんだろうか?」[黒胃](2009/06/20 11:02)
[67] 第65話「未確認勢力 薺の危機」[黒胃](2009/06/21 13:43)
[68] 第66話「人のよm 仲間に手を出してただで済むと思うな」[黒胃](2009/06/20 12:04)
[69] 第67話「潜入には 度胸が必要 ビビリには難しい」[黒胃](2009/06/20 12:22)
[70] 第68話「伝説の掃除人 その名は…」[黒胃](2009/06/20 12:39)
[71] 第69話「あれ? ティアナが凡人なら、俺って…」[黒胃](2009/06/20 12:56)
[72] 第70話「探すのをやめて夢の中に行く前に見つかった」[黒胃](2009/06/20 12:59)
[73] 第71話「猫って意外と凶暴?」[黒胃](2009/06/21 13:47)
[74] 第72話「ニャンニャン…ニャン!?」[黒胃](2009/06/20 13:11)
[75] 第73話「黒い薺と白い菜の花」[黒胃](2009/06/20 13:00)
[76] 第74話「小さな猫の大きな思い」[黒胃](2009/06/21 15:12)
[77] 第75話「人形王との交渉」[黒胃](2009/06/27 16:33)
[78] 第76話「決裂…の前に交渉なんかしていたか?」[黒胃](2009/06/28 17:05)
[79] 第77話「最近の女の子って何して遊んだら喜ぶんだ?」[黒胃](2009/08/03 15:45)
[80] 第78話「家族の形に決まりはない」[黒胃](2009/08/03 16:16)
[81] 第79話「初めても暗闇 再会も暗闇で」[黒胃](2009/08/20 19:04)
[82] 第80話「甘い蜜と欲望の蜜」[黒胃](2010/08/19 13:24)
[83] 第81話「綻び」[黒胃](2010/08/19 13:15)
[84] 外伝1話「悲しい痛み」[黒胃](2009/06/20 13:17)
[85] 外伝2話「遠い記憶」[黒胃](2009/05/30 13:13)
[86] マセラティ魔導師探偵の事件簿 FILE01.人を惑わす魅惑の音[黒胃](2009/06/20 13:33)
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[6935] 第42話「風のいる生活」
Name: 黒胃◆10a28c55 ID:6e1cf639 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/06/14 20:43
「さあ! どんと来いアリシア!」

「いくよ! 嵐! えい! やあっ! とおっ!」

「この程度で俺が飛び掛ると思うな! もっとスナップを効かせろ!」

「わかった! たあっ!」

「あのねこじゃらし見ると平和だって思うわね…」



第42話「風のいる生活」



sideリインフォースⅠ


私の名はリインフォース。主はやてから戴いた名前だ。
しかし、私はもう主はやての前にはいない。新しい私の妹か弟のような存在が
この名前を受け継いでいくはずだろう。
少し寂しい気もするが、自分から主はやてに頼んだことだ。仕方がない。
だったら私はなんと名乗ればいいのだろう。そう考えているときだった。

「アインスでいいんじゃないのか?」

「…アインス?」

「リインフォースの名前を捨てたくないんだろう?」

「それは…そうだが…」

『普段は私たちも君のことをアインスと呼べばいい』

「リインフォース・アインスだとかなり長いからな。アインスかアインでいいか?」

「…そうだな、私にも呼称がないと困る。これからはアインスと呼んでくれ」

「ああ、よろしくアインス」

『よろしく頼むよアインス』

「改めてよろしくだ。」

その日から、私はアインスと名乗っている。
何故嵐がこの名前を思いついたのかはわからないが
存外にこの名前は気に入っている。そんな風に名前も決まり、皆がのんびりしている時の話だ。





~~~嵐


「ふむ…なかなかおいしいな」

「…俺が摘もうとしてたのを何故平然とアインスが食べている…」

「…? 机の上に置いてあったのだが…嵐のだったか?」

太陽が美しく輝く夕方。いい匂いがすると思い、その場所を突き止めると
そこには、クッキーといわれるお菓子が3枚置いてあった。
最近、おばちゃんと言われる人物のご飯を食べて食に興味を持った私は1枚だけもらおうと思い
口にしていたのだが、ついつい2枚も食べてしまった。

「なん…だと…」

そこにやってきたのが牛乳を片手に持った嵐だった。



「夕飯出来るまで我慢しろよ!」

「しかし、お前もこれを食べようとしていたんだろう?」

「俺は…えと…」

「…?」

「まあ、1枚残ってるし、別にいいか…」

そう言うと嵐は私の隣に座り残ったクッキーを食べ始めた。

「そういえば大分馴染んできたな」

「なにがだ?」

「アインスだよ。」

「私がか?」

「初めてここに来たときは、お菓子なんて全然興味なさそうだったのに、数日でお菓子に興味出してるじゃん」

確かにここに初めてきたときは、全く食や他のことなど興味がなかった。
しかし、ここの連中と暮らしていると、何だかいろんなことに興味が出た。
魔道書だったとき、主はやてと守護騎士たちが楽しそうにご飯を食べているのが羨ましかった。
主はやてと一緒に笑っていられる守護騎士の中に入りたかった。

「…そうだな」

「そうだろ」

普通とは違うかもしれないが、これも一つの家族なんだろう。
その温かさが私にこんなにも早く、変化を与えたのかもしれない。
消えると思っていた間際に願ったことが叶うなんて思いもしなかったが、まさかかなってしまうとはな。

「これからは、いろんな事をやってみるのもいいかもしれないな」

「やりすぎはよくないと思うが」

「ふふ、そうだな、まずは軽く…だな」

「なら今日の夕飯は俺と二人で作ってみるか」

「…面白そうだ」

何事にも挑戦してみるとしようか。



―――その日、キッチンで謎の爆発が起きたが、犯人は捕まっていない。





~~~スカリエッティ


『フフフ…、今日の研究はどうしようか…』

研究室という名の部屋に私はやって来ていた。
ここは、薬品の匂いがきつくてあまり好きではないんだが
私の体調を調べるのがこの部屋なので仕方ない。

「スカリエッティ」

『…おや、どうしたんだい?

「どうしたもこうしたもないだろう。私の検査は終わったのか」

この男は私と同じような存在のはずなんだが
こいつと一緒にされると何というか…寒気がするというか…何というか…

『検査? それならもう終わったよ』

「なら起こしてくれてもいいだろう」

『起きないほうがいろいろと都合が…』

「今度からはナズナか嵐を同行させてもいいか?」

『冗談だよ』

食えない奴だ…
デバイスのはずなのにどこか人間くさい言動に行動。ある意味生きている人間よりも人間っぽいとこがあるな。
嵐が言うには、生きている人間と一緒にすることがおかしいらしいがな。

「お前はここにいるときはいつも楽しそうだな」

『ん?』

人形を操作して研究しているスカリエッティは
試験管を持ったまま、首だけをこっちに向けて回転してきた。

「…不気味だから止めろ」

『君も同じ事を言うんだね』

「同じこと?」

『この前アリシアが見ているテレビで言ってたんだよ。人の目を見て話さないと失礼だと』

こいつの言うことはいつも突拍子もない。
この前も、赤色と血の色、どっちが好きかと聞いてきたことがあった。
どちらも一緒じゃないのかと言うと、笑いながら、研究室に入っていった。

「それがどうかしたのか」

『いやぁ…当たり前のことに気づかされたと思ってね。研究のときはどうしても研究に意識がいって、人の話なんて研究しながら聞くだろう? もちろん顔も研究している方を向いたままだ。だが人形の体なら顔だけでも話している人物のほうを向けるだろう? これを嵐にやったんだが、思いっきり否定されてしまってね』

「…当たり前だと思うぞ」



―――嵐と二人でスカリエッティの狂いについて盛り上がった。





~~~アリシア&プレシア+猫?


「ほら!」

「甘い!」

「とりゃ!」

「まだまだ!」

「よく飽きないわね…」

目の前にはプレシアがソファに座りながら
嵐、いや、猫と戯れているアリシアを見ていた。

「プレシア、あれは楽しいのか?」

どう見ても人間が楽しむ遊びには見えないんだが…

「まあ、やっている人は和むわね」

「和む…なるほど、嵐はアリシアのためにあの姿に」

「せぇいっ!」

「何の!」

人間が猫になってあれをしても大しておもしろくもないだろう。
それなのに嵐が猫に変化してアリシアとあの遊びをしているということは
アリシアを退屈させないためだろう。いい兄ということか。

「いえ、彼も楽しんでいるわよ」

「…え?」

プレシアの一言が私の考えをフリーズさせた。
目の前の嵐は猫のクセに楽しそうに尻尾を振り続けている。

「楽しんで…いるのか…」

「私もずっとアリシアと遊んでもらっているのも悪いと思って、猫でも飼おうかと思ったんだけど」

「飼わなかったのか?」

「彼に思いっきり拒否されたのよ」

「……」

「彼、「俺のかわりを飼うなんて何てことを言うんだーー!」って叫んできてね」

それは、人間としてどうなんでしょう…

「それで、あんなものまで作らされて…」

アリシアが持っているねこじゃらしは光ったり伸び縮みしたりしている。
持つ部分にスイッチらしきものが見える。

「じゃらしー君・サイクロン。暗いとこでも光って見えるし伸縮も自在。防水性だし、高い場所から落としても壊れない優れものよ」

「それは、また…」

才能の無駄遣いなんじゃないだろうか?

「まあ、私はアリシアの笑顔が見れればそれでいいわ」

プレシアさんは鞄から大きなカメラを出し、アリシアを撮り始めた。

「あっ! アインス! 一緒に遊ぼう!」

「えっ、私はその」

「アインスが嵐の背中に乗って、嵐はいつも通りに動くの」

「話を…」

アリシアに捕まれ、嵐の背中に乗せられる。

「じゃあ始め!」



―――じゃらしーコースターは結構酔うことがわかった。





~~~シントラ


「マスターは…」

「いや、そうだけど…」

「しかし…」

「けど…」

晩御飯の片付けが手伝い終わり
適当にふらついていたとき、遠くから声が聞こえてきた。

「じゃあそれでいこう」

「そうですねマスター」

声の出所を探してみると、そこにはナズナと嵐が話していた。
会話は聞こえなかったが、一段落ついたようだ。二人とも笑っている。

「……」

「んっ? シントラ、何をしているんだ」

「うおっ!? ア、アインスか…ビックリした…」

二人から隠れるように壁に隠れている者がいると思ったら
それはシントラだった。私の声にビックリしたのか少し息が荒い。

「何をしているんだ?」

「う…」

私が疑問を口にすると、シントラは困った表情になり
口を閉ざしてしまった。…わけありか?

「黙っていたらわからない」

「うぅ…」

スカリエッティに聞いた話では、シントラは夜天の栞から生まれた守護騎士プログラムらしい。
よくそんなものを生み出せたものだと素直に感心する。

「誰にも言わないでくれるか?」

「約束しよう」

「…じゃあ聞いてくれ」

ここで話すと、ナズナたちに見つかると思い、場所を移動した。

「それで、どうした? 何故ナズナたちから隠れてたんだ」

「それは…」

シントラは顔を伏せて話し出した。

「あたしさ、姉御のことが好きなんだよ。姉御が笑ってくれてると嬉しい」

「ああ」

「姉御はあたしと一緒にいるときでも笑ってくれてるけど、…嵐の傍にいるとすっげー綺麗なんだ」

「そうだな…」

「あたしなんかと一緒にいるときより凄く綺麗でさ…、さっきも遠くから見てたけどやっぱり綺麗だった」

搾り出すようにシントラは声を出す。

「嵐のことは嫌いじゃない…ナズナと一緒にいる嵐の笑顔も…その…綺麗だった」

確かにあの二人は一緒にいるときは笑っているときが多い。
訓練していても、それが終われば二人は顔を見合わせて笑う。

「姉御と嵐が一緒に笑ってるのを見ると嬉しい、けどなんか悲しい。よくわかんないけど」

…難しい問題だな

「すまない…的確な答えは出せそうにない」

「いいよ。話してだけでも満足したから。ありがとな」

「すまないな。だが、お前はまだ若い。少しずつ前に進んでいけばいい」



―――その日は二人で一緒の布団で眠った。





~~~ナズナ


「この大きさだと、本を読むのも一苦労だな」

太陽の日差しが心地よい朝
そんな朝早くに私は本を読んでいた。

「スカリエッティに頼んでみるか?」

体が小さくなってしまった私には本を読むだけで重労働だ。
毎回魔法を使うわけにもいかないので、さすがに対策を考えないといけない。

「だが、スカリエッティに頼むととんでもない物が作られそうで怖いな…」

「…? アインスですか?」

声がしたほうを振り向いてみるとキッチンにナズナがいた。

「ナズナか、こんな朝早くにどうした」

「今日は私が当番なので朝ごはんの準備を」

この家のご飯はナズナとプレシアが交互に作っている。
夕飯はおばちゃんが作ってくれるときが多いが、朝は大体交代制だ。

「そうか」

「アインスは一体何を?」

「ちょっと本を読もうと思ってな」

「そうですか」

「「……」」

…何故だ? 会話が続かない。
それに何だか空気が淀んでいるように感じる。

「少し聞きたいことがあります」

「…何だ?」

とりあえず包丁は置いてくれ
野菜を刻もうとしているのはわかっているが少々恐怖を感じる。

「アインスは、マスターと昨日夕飯を作りましたね」

「ああ、かなり失敗しまったが」

「仲がいいんですね」

「…それなりにはいいと思うが」

空気が重い。重力が重くなる魔法を食らったようだ。

「アインスはマスターのことをどう思ってるんですか」

「いい友、家族と思っている」

「“友達・家族”ですか」

「ああ」

そう答えるとナズナはぶつぶつと何かを呟き始めた。
友達なら~、とか家族はちょっと危ない~、とか聞こえてくる。家族は危ないのか?

「考えていても仕方ありませんね。朝ごはん一緒に作りましょう」

「そ、そうだな」

昨日よりもキッチンに入るのが緊張した。



―――その日は、キッチンは爆発しなかった。




















今思い出すと濃い毎日を送っているな…

「アインスー! 遊ぼー!」

「アリシア。今日はコースターは勘弁してくれないか」

さてと、今日は何をしてみようか










おまけ


~~~おばちゃん


「zzz…」

「サラちゃん…って誰もいないのかい?無用心だねぇ…」

「zz…」

「おや? これ、サラちゃんの新しい人形? へぇ~最近のはよくできてるねぇ…本当に生きてるみたいだね」

「z……」

「せっかく来たんだし、ちょっとだけ…」





「ただいま~、あれ?おばちゃん?」

「あら、サラちゃん。この部屋開けっ放しだったわよ。気をつけるようにセリアさんに言っといてくれるかい」

「うん! ありがとうおばちゃん!」

「いいんだよ、気にしないで。それじゃ、あたしはお暇しますかね」

「ばいば~い」

「zzz…」

「あれ? アインス? 何でこんな場所に…って!?」

「zzz…」

「かわいい!! 前にテレビで見た和服ってお洋服だ!」

「…ぅん…」

「嵐たちに見せてあげよ!」



―――この騒動あと、アインスの服はおばちゃんに頼み大量に作ってもらった。










<あとがき>
アインスさんと回帰組の日常風景でした。
しかし書いてみるとアインスさんが回帰組で一番大人な感じになりますね。
まだ染まってないだけかもしれませんが…
では!また次回!!


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