『助かったよプレシア』「本当にあなたたちはあの執務官によく捕まるわね」「いやー面目ない」「お帰りー」「ただいま」第41話「祝福の風、復活」サラーブに帰り、プレシアさんにお礼を言っているときふと疑問に思ったことを聞いてみた「あの、プレシアさん」「何かしら?」「助けてくれたのは助かりましたけど、どうして直接迎えに?」「ああ、そのことね」プレシアさんのおかげで脱出が楽になったのは確かだがそのせいでプレシアさんの正体までバレてしまった。プレシアさんほどの魔導師なら、別に直接迎えに来なくても何か他に方法があっただろう。「理由は幾つかあるわ」「それは?」「まず一つ、さっき聞いたんだけどナズナの体が調べられたらしいわね」「はい」時間が夜遅くだったんで、俺は後回しにされ、先に謎が多いナズナの体を検査することにしたそうだ。「それよ」「…?」「ナズナの体が調べられたってことは、遅かれ早かれナズナの正体は知られるわ」「はい」「そうなると、誰がナズナを作ったかということになるわね」ナズナの体が主人公二人の融合体だとクロノが気づけば誰かがナズナを作り出したかということになるだろう。『君は除外されるだろうね。見た目はナズナと変わらないからね』「そうなると、あなたたちの裏に誰かがいると考えるでしょうね。だから私が出たの」「えっ?」「フェイトを生み出した私がバックにいると考えれば、きっとナズナは私が生み出したと考えるでしょう」なるほど…、大魔導師プレシア・テスタロッサがバックについているとわかればそう考えるのが妥当だろう。「二つ、執務官たちを混乱させるためよ」「混乱ですか」「ええ、自分で言うのもなんだけど、あの時に比べると、私は大分若くなっているわ。そして、あっちの情報ではプレシア・テスタロッサは虚数空間に飲まれて行方不明となっているはず。だけど私があなたたちを助けに来た。これはどういうことでしょうね」「…矛盾が生じますね」行方がわからなくなっていたプレシアさんが再び管理局の前に立ち塞がった。それも、かなり若くなって「執務官は悩むでしょうね。アルハザードの有無? 私のクローン? それとも全く別人? どれが答えなのかを」『答えは出ないだろうがね』あの神経質のクロノのことだから、すっげえ真面目に考えるんだろうな…なんだか凄く悪い子とした気分だ…「三つ、一刻も早く嵐、あなたを回収するためよ」「俺ですか?」「正確に言うとあなたが付けているデバイスよ」ああ、スカさんのことね。「私たちの正体がバレても構わないけど、あなたのデバイスの正体だけはバレては駄目。スカリエッティのAIを持ったデバイスなんてバレたら、取り返しのつかないことになるわよ」スカさんの正体がバレるのってそんなにやばい事なのか?「それだけで、かなりの情報を管理局に知られてしまうわ。私たちの狙い、基地の場所、能力、全てといっても過言じゃないわね」それはヤバイ。「まあ、このぐらいね。それじゃあ私は作業に移るから、スカリエッティ借りていくわよ」俺の手からスカさんを受け取り、プレシアさんは研究室に戻っていった。『…で、四つ目は』「…………ちょっとフェイトに謝ろうと思っただけよ」『クククククク……』「今日こそAI破壊プログラムを完成させるわ」sideフェイトテスタロッサ「すみません、逃げられてしまいました…」『しかたないわ。まさか、そんな人物が出てくるなんて、誰も予測つかないもの』闇の書の破壊が終わった後に起きた、脱走。それは、全部が終わったのにもかかわらず、不穏な空気を漂わせていた。「…フェイト、何故あそこで庇ったんだ」「…ごめんない」あの時、突然現れたナズナに驚いのもあるけどもう一人現れた人物…母さんの登場が私の思考を停止させた。「…プレシア・テスタロッサは本物かどうかは定かではなかった。偽者かもしれなかったんだ」「うん…」あの時、クロノが母さんを攻撃したとき停止していた思考に咄嗟に言葉が浮かんできた。―――フェイトは自分のしたいように頑張ればいいよその言葉が頭に思い浮かぶと自然に体が動き、クロノの攻撃を弾き落としていた。今もあの時も自分が何をしたのか理解できなかった。「…今日はなのはたちとクリスマス会をやるんだろう? そこで少し休むといい」クロノと話している今も、何故母さんたちを庇ってしまったのかはうまく表現できない。母さんかもしれない人を助けたかったから?ナズナを逃がしてあげたかったから?わからないことばかりだけど、母さんからの言葉を聞いたときは、心が穏やかになった。まるで、闇の書に飲み込まれた刹那に見た夢の続きを見ているようで。「ごめんクロノ…じゃあ、行って来る」アリシアの言葉と、母さんの再会。それは、私の心に強い芯を残した気がした。sideout『…認識完了。夜天の栞、管制人格インプット終了』「既に完成されてあるプログラムのバグを修正して読み込ませるだけあって、かなり楽ね」『闇の部分は極力取り除いた。けれど、元闇の書の管制人格がいるなら、幻覚魔法の精度も上がる』「しばらくは小まめに点検しないといけないわね。大丈夫だとは思うけど…」『ここで暴走されては適わんからね』「…終った?」ナズナがシントラと模擬戦という名の拷問を始めてしまったので暇になった俺は、スカさんたちの研究風景を観察しに来てみたんだけど欠片も理解できなかった。さっきの会話はなんとなくわかるけど、やってることはチンプンカンプンだ。「あら? いたのね」『すまないね。ほったらかしで』「プレシアさん…さっきお茶入れてきたの俺なんだけど…」喉が渇いたって言ったからお茶入れてきて、それ飲んだのに…俺のことを認識してくれてなかったのか…「ごめんなさいね。研究しているとどうも他に目がいかないの」『まあ、そのおかげで早く済んだんだ』「済んだ?」「ええ、夜天の栞に管制プログラムを登録できたわ。今から起こすの」『見てもらったほうが早いね。ポチっとな』スカさんの人形がスイッチを押した途端、雪のような光が集って女性の形になった。ていうかポチっとなってあんた未来のデバイスのくせになんか古いな…『こ、…ここ、は』『ノイズが酷いな…修正修正…』『お前達は…主は…』周りをキョロキョロと確認し、その後俺たちを見るリインⅠ「初めまして…じゃないな。こんにちはリインフォース」『お前は…あの時の…』「あの時がどの時かわからないけど、今の状況理解できてる?」なんだか、寝起きみたいな印象受けるんだけど…『私は…主と別れ…消滅したはず…』「その後のこと覚えてる?」『暗い…暗い空間を彷徨っていた。その間に私の体が浄化されるのを感じた…』浄化…というのは、恐らくスカさんたちの闇を取り除いたとこだろう。汚い水を綺麗にする感覚なんだろうか?『君が消えるのは惜しいと思ってね。助けてみたんだ』『そんなことが可能なのか…』「管理局でも出来たと思うけど、時間が足らなかったのね。私たちは事前に入れ物を用意していたから可能だっただけ」As開始する前にこの作戦開始してたからな事前準備は怠らないのがビビリのいいとこだと俺は思うんだ。『お前達は…管理局じゃないのか』『残念だが、管理局ではないね。どっちかと言うと敵かな』『敵?』「いろいろと事情があって、管理局との仲はあまり良好ではないのよ」クロ助からやばい位敵視されていますからね俺らそんなにクロノが怒りそうなことをしてだろうか?覚えがないんだが…『その管理局の敵が何故私を助けた』管理局の敵=悪というわけではないとわかっているのかあまり警戒した様子が見られない。まあ、初めからバリバリに警戒されていたら、交渉も何もなくなっちゃうから都合がいいけどな。『人を助けるのに理由は要らないよ』「スカさんそれ、鳥肌立つからやめてくんない?」いい人スカリエッティってどう考えても裏があるに決まってんだろ…助けてくれたけど、右腕がサイコガンになってるとか。『私を助けたのなら、私に何かして欲しいと考えるのが普通だろう』スカさんの意見をスルーし、純粋に俺のことを睨んでくるリインⅠ考えてみれば、初対面の相手が俺自身に質問されるのって初めてじゃないだろうか?「…実は俺たちに協力してほしい」『何をだ』「俺が…自分の世界に帰るのを」『…詳しく話してくれ』『なるほど、ロストロギアによって飛ばされてきた異世界の住人か』「…それでどうなんだ」話し終えた俺は、緊張した顔でリインⅠに返事を求めた。ここで断られえるとスカさんに説得してもらわないといけなくなってしまう。『助けてもらったことは確かだ。それに私はお前達の助けがなければ消滅していたのも確かだろう』リインⅠは一つ一つゆっくりと話していく。俺の顔から一筋の汗が垂れる。『…いいだろう。協力しよう』「…え? マジ?」意外なほどあっさりと協力してくれることを言った。『…何だその顔は』「いや、こんなあっさりでいいのか? もしかしたら主と戦うかもしれないんだぞ?」『主と直接戦う場合は私は外さしてもらおう。それは許可してくれ』さすがに主と戦うのは駄目らしい。まあそれくらいなら構わないが『こんなにあっさりと許可してくれるなんて思わなかったね』そうだね。いざという時は私が説得(洗脳)しようと言っていたスカさん。「それより嵐と話し合う人ってのも珍しいわね」「それは言える…」俺って初めて話す人とかだと周りにスカさんとかプレシアさんとかナズナがいるからみんなそっちに話しかけるんだよね。『どういう事だ?』「いや、プレシアさんとかに話しかけないで俺に話しかけてきたのは珍しいから」『…お前は闇の書の暴走のときに唯一他から呼ばれた人物だ』「あれ呼んだのリインフォースだったのか?」『いや、私ではない。しかしお前を呼んだ者は無垢な心を持っていた。そのような者が心から信じて思うのがお前なんだ。これが協力してもいいと思った理由だ』「えと…どうも…」顔が赤くなっているのが自分でもわかる。馬鹿にされたりするのは慣れてるんだが、褒められたりするのは耐性がない俺には効果抜群だ。「じゃあ…よろしくお願いします」新たに一人回帰組に加わった一日だった。おまけ「これは…どういうことだ」『気に入らなかったのかい?』「そうでも…なくはない!」「何か懐かしい…このぐらいの大きさのキャラ…好きだったな…」話し合いが終わり、いざリインⅠを実体化すると、事態は混乱を招いた。「何故体が縮んでいる!?」目の前のリインⅠはstsのリインⅡぐらいの大きさになっていた。今は裸になるといろいろとやばいのでバリアジャケットを纏っている。羽が小さく二枚、赤い模様が消えて、枷も消えている…が小さい「ロリクール…だと…!? …いかん、鼻血が…」『まあこのくらいの大きさが一番活動にも容量にも適しているんだ。我慢してくれ』「…複雑だ…」この後、ホクホク顔でリインⅠを頭に乗せてナズナに見せに行くと頬を抓られました。痛かった。<あとがき>完璧にAs編終了! この後空白期がしばらく続きます。平穏に成長に伏線に…修行ぐらいですかね。他にも外伝とかも入れていきたいとおもっています。IFの世界とかでは!また次回!!