『完成した! 完成したぞ!』「ええ! とうとう完成さしたわ!」『ああ、闇の…いや、“夜天の栞”が!』「さすがに今日は疲れたわ。寝ましょうか」『もう朝だけどね。…おや?』「どうかしたの? …あれ?」朝日が眩しい時間帯、サラーブを爆発による揺れが襲った。第35話「完成! 夜天の栞」「あらから二日…か」プレシアさんの鬼の交渉から二日。グレアムさんのデータを入手してことにより、研究は急ピッチで進んだらしい。この二日間、俺とナズナが交代交代でプレシアさんにご飯を持って行っている。ご飯は、一緒に食べて欲しいんだが、スカさん曰く、今が正念場らしい。「だからって、二日間ぶっ続けはよくないって、前にも言ったのに…」「母さんがいなくてつまんないよね…」「アリシア、元気を出してください」「ありがとうナズナ」「まあ今は俺が遊んでるし、退屈じゃないだろ…って時間か」今日も朝ごはんを三人で食べ終わり、そろそろプレシアさんにご飯を持っていく時間だ。俺は、アリシアと猫フォームで遊んでいたが、朝ごはんは俺が持っていかなきゃいけないので人間形態に戻って朝ごはんをお盆に置いて持って行こうとしたときそれは起こった。―――ボンッ! ボボンッ! ドンッ!「爆発!?」「これはっ!?」「揺れてる~~!」突然に爆発音に揺れ、そこまで驚くほどの揺れではなかった。しかし爆発と揺れが起こったということは、何かが起こったということ。俺とナズナは顔を見合し、頷きあうと研究室に急いだ。「あっ! 待って! 私も行く!」「これは…」研究所はそこまで傷ついてなかった。爆発のせいで煙が充満しているだけですんでいるそれはスカさんの研究室が丈夫なのかそれとも、思ったより爆発の威力が小さかったのかはわからないがとりあえず倒れているプレシアさんの介抱に向かった。「プレシアさん、大丈夫ですか?」「痛た…大丈夫よ、目立った外傷はないわ」「母さんが無事でよかった~」「水を汲んできます」「プレシアさん、スカさんは?」「スカリエッティなら…そこよ」プレシアさんの指差して場所を見てみると、そこには人形が転がっている。そして外れた腕の指先に指輪がある。「スカさん」『いやいや、爆発するとは予想外だ』「何があったんだ?」『夜天の書のコピー、夜天の栞が完成したんだが…完成した瞬間“あの子”が飛び出してきてね』「“あの子”?」「嵐! あれ!」スカさんの話に集中していると後ろからアリシアに呼ばれ振り向いてみると、そこには知らない女の子がいた。「……えっ」ナズナとは対象的に褐色の肌にこれまたナズナと対象の白い髪の毛髪型はヴィータに似ているが三つ編みが一つだけだ。服は黒いインナーだった。ていうか目つき悪いよ。かなり俺のこと睨んできてるよ。睨まないでいーですよ。「お前等誰だ?」≪スカさん! この子誰よ!≫≪…おそらくだが、夜天の書の守護騎士システムが働いたんじゃないかと思う。結構完璧にコピーしたからね≫≪それだったら、何で一体? それに出てくるとしたら、ヴィータとかそこら辺の奴じゃないか? なんだこのザヴィータ≫体がヴィータでカラーザッフィー、その名はザヴィータ!失敗したフュージョンみたいな名前だな…デバイスとかどうなるんだよ…≪いや、守護騎士が全体的に混ざってるはずだ。この子なら守護騎士たちとも互角に渡り合えるだろう。とりあえず混乱してるようだし、会話を試みてみたらどうかな?≫≪わかった≫「初めまして! 俺の名前は」「ここどこだ?」「俺の名前は」「なんであたしこんなとこいんだ?」「…俺の名前は」「うるさい!!」「みぎゃあああああ!! 目が! 目が!」懸命に話しかけている俺に向かってうるさいって、傷つくぜ! そして実際に傷つけられたぜ!冗談言ってる場合じゃないんだけどね! ナズナにいてもらえばよかったと後悔しているよ。それにしても、どうやら混乱の極みになっているっぽいな。興奮状態だ。「わけわかんねえ! くそっ!」首からかけていた剣の形の首飾り? を腕に持った。「エッケザックス!!」名前らしきものを叫んだ途端、光に包まれ使い手よりもデカイ剣となった。ていうかデカイよ。具体的にいうならフェイトのザンバーぐらい見た目はシグナムのレヴァンティンによく似ているが、こっちの方がカートリッジはたくさん入りそうだ。「ぶった切れーー!!」ザヴィータは片手で大剣を振るい、俺に向かってくる。このままではミンチになり切刻まれてしまう。俺は急ぎスカさんを装備しその一撃をかわした。「のわっ!? 床が抉れてる!?」「よけんじゃねー!!」「無茶を! 言う、な!」地面にいると大剣が地面を擦るのか、少し体を浮かしながら俺に剣を振るってき続ける。「くそっ!」俺に攻撃するのに飽きたのか、研究室を飛び出して言った。「何だあいつ…、夜天の書の守護騎士なんだろ? なんでいきなり感情豊かなんだ?」『それは今の守護騎士を軸に作ったからだと思うよ』「なるほど…、あいつどこに行ったんだ?」『ここから脱出を図ろうとしているらしいね。さ迷い続けて、訓練用施設に逃げ込んだらしい』「そこに一旦閉じ込めるか…あれ? 訓練室からナズナの反応があるんだけど」『…さっきの騒ぎの時、水を汲みに行ってたね、そう言えば』sideナズナ「またあの野郎の仲間か!?」…何だこいつ?ここにいるのに私が知らないということは侵入者か?大きな剣型のデバイスを構えているけど、バリアジャケットを着ていない。速さを求めて、防御を捨てたんだろう。「食らえ!」訂正、速さを求めているわけではないらしい。今の攻撃は、そこまで脅威を感じるほどの速さではない。「侵入者なら、掃除しときましょう」ミーティアをセットアップし、相手に突きつける。「ここに何の用です」「そんなことはあたしが聞きたいんだよ!」『blasen』私の問いに返事の代わりとでも言うのか剣をその場で横薙ぎに振るう。「っ!?」白いもや状の魔力が迫ってくるのをかわしカートリッジをリロード相手は、こちらに向かい飛んでき、剣を振るってくる。『Blade Form』しかし間一髪、わたしのブレードフォームが間に合い、受け止めることに成功した。そのまま力比べが始まるが、彼女の力、普通じゃない。この小さな体のどこに詰まっているんだ。「ちっ!」このまま競り合っていたんじゃ部が悪い。一旦距離をとって、即座に懐に詰め寄る。あいての武器は大剣、懐に入られると使いにくいはず。だから私は数で攻めることにした。「うっとしいぞてめー!」大剣を壁のように前に突き出し、私の攻撃を防いでいるがそれも時間の問題だろう。このまま攻めきれる。「近寄るな!」体を回転させその勢いのまま剣を一緒に回転させてる。攻撃を直に食らってしまったらひとたまりもない。私は急いで離脱した。乱暴な方法だが、確かにこれでは近づきにくくなった。「ブラーゼン! でもってもう一丁ブラーゼン!」『blasen』再び剣を振るい、魔力の風で攻撃を仕掛けてくる。これは、そんなに攻撃力を感じさせないが、そのかわり速さがある。「ならば!」『Blade Shoot』ブレードショットで向かい撃つ。予想通り攻撃力は私のブレードショットの方が高かったが2回の攻撃により、威力が弱まり、簡単に彼女のデバイスで弾かれてしまった。「ちっ! お前あいつと違ってやるな…」あいつ? 彼女はどこかで他の相手と戦ってきたのか?「考え事している暇はないぜ!」彼女の宣言どおり、考え事などさせないかのごとく猛攻が始まった。自分より大きい武器をここまでうまく使うのは、尊敬する。しかし、彼女はバリアジャケットを着ていない。私の攻撃を一撃でも食らえば、勝負はついたも同然だろう。そう思ったとき、猛攻を仕掛けてきていた彼女が距離をとった。「おもしれえ! エッケザックス!」彼女のデバイスがジャコンと機械的な音を響かせカートリッジをリロードした途端デバイスの排気口から煙が噴出される。このまま変形させては不味いと感じ、ミーティアで攻撃を加えようとするが大剣を持っていないほうの拳でアッパーカットの要領で私の腹を殴りつけた。「かはっ!」この巨大なデバイスを扱うほどの力に殴られた私は胃の中のものを吐き出しそうになった。『Zwei Schwert』「ツヴァイ・シュヴェーアト!」「っく…」そこには、大剣を二つ持ち構えている彼女がいた。二本の剣は柄の下の部分からは、鎖で繋がっているがその鎖は彼女の邪魔にならないかのように彼女の体に触れてもすり抜けている。「手加減…といっている場合じゃないですね」手を抜いて勝てる相手じゃない。あの時戦った守護騎士と同等だろう。ならばこちらも本気で相手をしよう。「ミーティア…えっ?」「あ…、あっ…」本気でいこうと決意を固めた瞬間、彼女の様子が変わった。さっきまでは、手に汗握るほどの気迫を感じたが、今の彼女からは何も感じれない。「なん、だ…これ…」デバイスを落とし、膝をつき、自分の体の不調を調べようと行動したみたいだがその前に力尽き、瞼を閉じてしまった。「…これは、急激な魔力不足?」疲れている状態で急激に魔力を行使すると陥る症状だ。しかし、いったい彼女はどこから来たんだ…「後でマスターたちに聞くとして…この子は…」…ここで死なれたら寝覚め悪いですね。side???あれ…あたし…どうしたんだっけ?いきなり暗い世界から目が覚めたかと思うと、変な奴らがいっぱいいてそれで自分が誰かって考えたら、わけがわからないことが頭に浮んできて混乱して、ちょっとだけ怖くなって逃げたら、黒い魔導師にあって…その後…「あたし…」「起きましたか?」「へっ?」目を開けたとき一番初めに目に入ったのは、さっきまで考えていた魔導師だった。なんで、あたしは寝てるんだ?「何で…」「あまり動かないでください。マスターから詳しい事情は聞きました」「…うん」何でかはわからないけど、ここで寝ていると心が落ち着いた。「あたし…どうなったんだ」「ドクターの話では、誕生したてなのに、魔力を使い過ぎらしいです」「お前は、なんでここに…」「あなたが倒れて、誰があなたに魔力を分けたと思っているんですか」こいつが分けてくれたのか…「…ごめん」「気にしないでください。今はゆっくり休んで」そう言いながら、こいつはあたしの頭を優しく、本当に優しく撫でてきた。子ども扱いされてるみたいでちょっと恥ずかしい。だけど嫌じゃない。むしろうれしい気もする。「なあ、名前は…」「私ですか? ナズナと言います」いい名前でしょう、とナズナは満面の笑みであたしに言ってきた。あたしはそういう事はわからないけどナズナが言うならそうなんだろう。「あなたの名前も聞いてませんね」「あたしは…シントラ」頭の中では、名前を考えるとこれが出てくる。多分これがあたしの名前なんだろう。「そうですか。よろしく、シントラ」「うん…」ナズナは相変わらずあたしの頭を撫でている。なんだか胸がポカポカしてる感じであったかい気がする。「あの…」「何です?」「姉御って呼んでいい?」おまけシントラとナズナの会話の野次馬「いいなーナズナの膝枕…」「なら私がしてあげる!」「マジか!?」「嘘はつかないよ! さあ猫さんになって!」「ああ、実はちょっとわかってたわ。そのオチ」『なら私の女性型の人形貸そうか?』「そこまで飢えてない」<あとがき>新キャラ登場! その名はシントラちゃん他の守護騎士と並ぶ戦闘能力を持っています。本当はユニゾンデバイスも登場予定だったんですが、時期が早すぎると思い延期。デバイスの名前は北欧神話の剣でディートリヒという人物が使っていたらしいんですが、それで黒胃がディートリヒ?⇒ヴィータの必殺技は…⇒テートリヒ・シュラーク⇒シントラって見た目は…⇒これでいいかという単純な考えで出来た名前です。