「離せ! 俺たちを解放しろ!」≪すみませんマスター、油断してました≫「俺たちにこんなことをしてただで済むと思うなよ」「なのは、フェイト、とりあえず集まってくれ」「話し聞け!」≪ていうか君、拘束されてないよね≫せめて俺を拘束してくれよ!空気扱いするな!!第33話「おめでとう!猫は空気から使い魔に進化した!」俺たち(ナズナ)を拘束し、クロノは場所を移動しビルの上に集まった。そこには、なんだか複雑そうな表情のフェイトとアルフ。そして、ナズナと初めてゆっくり向かい合ったなのはとユーノがいた。かなり空気が重い…そして、当たり前のように俺のことは全員スルー。アルフだけが俺のことを見ている。惚れてしまいそうだ。「ナズナ…、どうしてここに」フェイトが意を決してナズナに話しかけるが、ナズナはうんともすんとも言わない。これに、腹が立ったのかクロノは眼光を鋭くさせ話しかけてきた。「君はなぜここにいた?どうやって結界に侵入してきた」「……」クロノの怒声にも全く反応しない。さすがナズナ。俺とは違うぜ。「答えろ!」ナズナはあさっての方向を向いて聞きもしない。フェイトとなのはは、そのナズナの態度にオロオロとし、クロノはイライラしていた。「待ってクロノ! この使い魔に聞いてみたらどうかな? 僕たちが初めて会ったときも、この子が喋ってたんだ。もしかしたら言語能力をサポートする使い魔なのかもしれない」「確かにこいつはお喋りだからね。ナズナより喋ると思うよ」っ!?ユーノ! お前たちは俺のことを認識してくれているのか!?お前らの主のなのはとフェイトなんて、ユーノが俺のこと指名したときこんなやついたっけ? って表情したのに!「…主を助けたいだろう? 君が代弁するのかい?」「…わかった」ラッキー! ナズナを喋らせなくて済んだ!ありがとうアルフ!ありがとうユーノ! もう淫獣なんて呼ばないよ!≪ナズナ、スカさん、出来るだけ長引かせるから何とかしてみてくれ≫≪ああ、わかった≫≪……≫ナズナから返事がないってことは、もう作業を始めてくれてるのか?さすがナズナさん! 手が早いッス!!「君の主は何故言葉を話さないんだ」「ナズナは本来会話は苦手だから、俺が喋るようにしているんだ」「なるほど…、戦闘をメインに作られた使い魔じゃなかったのか」今このときだけ、自分が使い魔って誤解されててよかったと思った。なんだか釈然としないけど…まあ構わないか。こうなったらナズナの使い魔でいいよ。某桃色アリサみたいに萌える主だからいいよ。「それで、君たちはなぜここにいたんだ」「強力な魔力の流れを感じたから、ここに来てみたんだ」「ジュエルシードの時と言い、君たちは強大な魔力を集めているんですか」惜しいな淫獣…じゃないユーノ。残念ながら強大な魔力は、もうクリアしたから必要ないんだよね。影が薄い気がする狼の代わりを演じに来ただけです。「まあ似たようなものかな」「どうやってここに来たんだ」この質問のやり取りは、おそらくアースラかマンションに居るリンディも見ているはず。めんどくさいことになった…「それは、協力者のおかげだ。その人に頼み込んでね」「その人物の名は」「あまり詳しく知らないんだ。確か…Jと名乗っていたな」スカリエッティですなんて言ったら、どうなっちまうかわかったもんじゃない。ここは無難に偽名を使っとくべきだろう。≪誰だい? そのダサい名前は≫≪悪かったな。あんただよ≫即席でいい名前なんて思いつかねえよ。エターナル・マッド・スカリジェイとかじゃないだけマシだろ。「…嘘をついてるわけじゃないんだろうな」「信じるか信じないかはお前たち次第だ」できれば信じて欲しいな。真実10%嘘90%だけど…「あの! ナズナはどうして私を助けてくれたの!?」フェイトさんそれ何回目だよ!あなたをうまく利用するためです! って言えねえ!「…さあな、主が勝手にしたことだ。俺にはわからねえ」助けてってお願いしたのは俺ですけどね。まあ、ナズナもそこまでフェイトのことは嫌ってないみたいだしそのかわり、なのはのことはかなり毛嫌いしてますが…≪スカさん、どうよ? 行けそう?≫≪うん? ああ、もう少しだよ≫≪ナズナは?≫≪……≫あれ? ナズナから全然返事が返ってこないそんなに集中しているのか?けど、スカさんは返事返してくれてるし…いや、スカさんが不真面目なだけって可能性も…「じゃあ、ジュエルシードは、どこにあるんだ」「ジュエルシード? 知らないな」「とぼけても無駄だ。お前たちが何個かジュエルシードを所持しているのは知っている」…やばいな。これ以上は誤魔化せない。かと言ってサラーブのことを話すわけにもいかない。「知らないな。そんなの」「これ以上話しても無駄みたいだな。あとは、アースラでじっくり聞こう」クロノは、そう言うとバインドで縛ったナズナを転移魔法で一緒に連れて行こうとした。俺は、正直ここまでかと半分諦め、目を閉じていた。だけど…「なっ!」クロノの叫び声が聞こえて目を開けてみると、クロノが蹴飛ばされユーノを巻き込みすっ飛んでた。そして、赤い彗星カラーの仮面の魔導師がいた。誰だこいつ!?このカラーは俺専用だったはず。リーゼロッテたちが化けているのか!?「ふっ!」ナズナが即座にバインドを弾き飛ばし、仮面に切りかかるが俺とは違って、滑らかな動きで攻撃をかわした。「お前! また来たのか!」クロノ、それ俺じゃない。「あんた! 今度は戦いに来たのかい!」アルフ、それ俺じゃないってば。そう思ったのもつかの間、俺はナズナの頭から飛ばされていた。いや、ナズナが飛んだ。気づくと仮面はナズナの前に現れ、ボディーブローを決めていたのだ。「ナズナ!」フェイトが名前を呼ぶが俺はそれを見た瞬間地面に着地し頭に血が上り、気づいたら仮面に飛び掛っていた。「てめえ!!」体を人間に戻し、拳を叩き込んでやろうと思ったが一瞬で俺の前に現れ、キツイ一撃をお見舞いされた。幸い、顔を見られる事態は防げたがその一撃を食らい、地面に叩きつけられた痛みと血の足らなさで俺の意識は途絶えた。sideフェイト・テスタロッサクロノがナズナを連れて行こうとしたとき、正直嬉しかった。ナズナだってきっと理由があってジュエルシードを集めていたと思うし、ここで捕まっても私と一緒で魔導師を続けれると思ったから。そう考えているとき、突然クロノが宙を舞い、ユーノに激突した。接近に全然気づけなかった。すぐにクロノの飛んだ逆の方向を見てみるとさっき見た仮面の魔導師がいた。その仮面の魔導師を認識した途端にまた一瞬で移動し、ナズナに一撃を決めていた。「ナズナ!」あのナズナが、こうも簡単にやられるなんて、信じられないけどそれだけこの魔導師が強いということだ。気づいたら、使い魔の猫もやられていた。「お前、何が狙いだ」クロノがS2Uを向けて問うが、相手はまるで気にしないかのようにナズナを担いだ。「その子をどこに連れて行く!」「…利用できるものは利用する」その言葉が頭で理解できた瞬間、バルディッシュを振り下ろした。「なっ!?」振り下ろしたバルディッシュは、片手で受け止められていた。「いくらフェイトが疲労しているとは言え、片手でなんて…」別に片手で受け止められるのは初めてではない。クロノに一回やられている。つまり、この仮面の魔導師はクロノレベルの魔導師ということだ。「邪魔だ」バルディッシュの柄を捕まれ、そのままビルに投げつけられる。「フェイトちゃん!」「だ、大丈夫」少し効いたけど、まだ戦える。だが、仮面の魔導師はビルとビルの間に逃げ込み、転移してしまった。「エイミィ!」『駄目だよクロノ君!あの人すごい速さで連続で転移していってて、追いきれないよ! ああっ! 反応消えた!』「ナズナ…」助けれなかった…sideout「ありが…う…います」「気…し…いで」意識が戻って目が覚めたとき、俺はベッドで寝かされていた。それもお俺のベッドだった。「俺の部屋の天井だ…」とりあえず体を起こすが、体も治療されている。どういう事だ?「スカさん? これは…」『おや? 目が覚めたのかい』枕元に置いてあるスカさんに今の状況を尋ねてみることにした。「スカさん、俺たちはどうなったんだ? 敵に捕まったんじゃないのか」『何を言ってるんだい』スカさんは大丈夫かこいつ的な声質で俺に答える。えっ? 何か今の状況理解できてないの俺だけなのか?ナズナは?「あっ! みんなー、嵐が起きてるよー」ドアが開いたと思うと、ねこじゃらしを持ったアリシアが俺の起きてる姿を見ると、突然廊下に向かって大声を出した。「マスター、起きられましたか」すぐに走っていたのがナズナだった。足音が俺にも聞こえてくるくらい響いてた。「あら、起きたの」次にやってきたのは、プレシアさん。めんどくさそうに欠伸をしながらやってきた。「えっと、どういう状況?」俺は正体不明の俺と同じカラーの仮面魔導師に捕まり人体実験でもされるのかと思ったいたんだが明らかにそういう雰囲気じゃない。風邪をひいたクラスメートのお見舞い的な雰囲気だ。「あなた、聞いてなかったの?」「えっ? 何をですか」「ドクターから聞いてると思ったんですが」『あれ? 話してなかったかな。いやー申し訳ない』何? 何なんだ。何を俺に話してくれてないんだ?「マスター、あの時私はずっとプレシアさんに救援を求めていたんです」ああ、あの返事を全くしてくれなかったときってそれかてっきり、バインドを解こうとしているのかと思った。「私がちょっと用事で外に出てたんだけど、用事が済んで家に帰っていたから、ナズナの連絡があってすぐに駆けつけたわ」「ありがとうございます」「構わないわよ」じゃあ、あの異常なくらいの戦闘力を持った仮面はプレシアさんだったわけかどうりであんなに強かったわけね。「じゃあナズナ。あの攻撃も演技だったのか」「はい。けど私は全力でいったつもりです」「すごい演技力だな」「ええ、おかげですぐに済んだわ」じゃあ俺を気絶させるくらい高威力で殴るのは止めて欲しかった…結構痛かったんだけど、割とマジで『しかし君も男だね』「えっ」『ナズナが敵にやられた時の君の怒りようは凄かったよ』「……」「マ、マスター…」『恥ずかしがることはない』「スカさん、その話はもういいだろう」わざわざ掘り出すなよ! 微妙に恥ずかしいだろ!『まあ、何とか管理局からうまく逃げれたんだから、全て水に流そうじゃないか』「元はといえばスカさんが俺に伝えてくれればよかったんだけど」「どのくらい寝てた?」俺たちは場所をサラーブの会議室に移していた。『丸一日さ。疲労も結構溜まっていたみたいだしね』「そんなに寝てたのか!?」てっきりま半日ぐらいかなと思っていたんだが知らないうちになれない戦闘のせいで体に疲れが溜まってたのかもな。『まあゆっくり休めてよかったじゃないか』「そりゃそうだけど」『大丈夫。敵の動きに進展は見られなかったよ』敵、というのはヴォルケンリッターのことを言っているんだろう。まだクリスマスには、だいぶ時間が残っている。その間にしなきゃいけないことは、闇の書のコピーの完成。Asが終わるまでに完成させなきゃ、難しい事態になってしまう。「スカさん、闇の書の完成状況は?」『あの守護獣はもういらないね。復元率89%くらいかな。クリスマスまでには絶対に完成する』「クリスマスまでか…」結構早く完成するみたいだな。「そう言えば猫姉妹のこと解決してなかったな…」あの時はうまく逃げれたが、今度会ったときは問答無用で倒されそうだし…管理局にちくるか?いや、それは最終手段だ。あの二人が管理局に今の時点で捕まると、はやての闇の書が発動しないで終わってしまいそうだ。「嵐」「はい?」猫姉妹の対策について考えていると、プレシアさんが話しかけてきた。「確か、あの仮面の魔導師と交渉する予定だったわよね?」「はい」プレシアさんには、あの猫姉妹のこととグレアムについて話し終えている。プレシアさんは話したときはたいして興味なさそうだったが一応記憶に残しといてくれたようだ。「私に秘策があるわ」「は?」<あとがき>見事KY執務官から逃走に成功しました。しかしそのおかげで余計に誤解が深まったような気がする…今、フェイトの頭の中では捕らわれのお姫様(ナズナ)を助ける王子様(フェイト)が浮んでるでしょう。嵐? 木の役でいいんじゃない?