「…あれ? なんか予定と違うんじゃない?」『…予定より張り切ってしまったんだろう』「…なんだか、殺意を感じたんだけど…気のせいかしら」「ご褒美パワーだよ!絶対!」第28話「俺の拳が真っ赤に染まるゥ!?」「ナズナ! 大丈夫か!?」「マスター…大、丈夫で、す…」地面に今にも倒れそうなナズナに駆け寄り体を支えてやる。本人は大丈夫だと言っているが、俺から見ると全然大丈夫に見えない。いくらナズナが強いといえ、なのはの戦いしか出来ないのではきつかったんだろう。「それにしても手ごわかったな…」「はい…、遠距離型しか使わないとは言え、手ごわい相手でした…。万全の状態でも同じように行くかどうか」「ロリでも守護騎士ってことか」目の前に倒れている紅いバリアジャケットを俺のブラッティ・マインによって更に紅くなって、倒れているヴィータ。赤ハリネズミだな。「この子、私と同じくらい?」『見た目はそう見えるが、実際は何年生きているかわかったもんじゃないよ。見た目は子供でも中身はおばあちゃんかもしれないよ』「外側がロリで、中身が熟女…」なんていう甘美な響き、一粒で二度おいしいということなのかいや、今はそんなことを話している場合じゃないよな、うん。「なんにせよ、よくやってくれたナズナ。どんなご褒美がいいんだ?」「えと、…その」「まー、まー、それは帰ってからでいいじゃん! ねっ! ナズナ!」「そ、そうですね」「…? ナズナがそう言うなら別に構わないが」まあ冷静に考えてみたらこんなとこでしてほしいこと言われても何も出来んか。とっても豪華なディナーが食べたいって今言われても絶対に用意できないしだったら帰ってから、ゆっくりしたときにでも聞いてやったほうがナズナにとってはいいかもな。「それにしてもこれが守護騎士…、意外と幼いのね…。昔のベルカの人々は何を思ってこの子を守護騎士にしたのかしら?」プレシアさんが倒れているヴィータの様子を慎重に調べている。確かになんでこんな幼い少女が守護騎士に選ばれたんだ?ベルカとか、昔のやつらってみんなロリコンだったのだろうか?それとも、ヴィータが他の騎士よりも魔力で優れていたんだろうか? …真相はわからないな。『この時代でもそうだが、やはり年齢に関係なく高い魔力を持った者が、選ばれるんじゃないかい』「そうね、考えてみれば、今の管理局とあまり変わらないわね」プレシアさんはヴィータを調べるのに飽きたのか、すぐに視線をアリシアに戻した。『ミーティア、調子が変なところはなかったかい?』『There was not a problem.(問題ありませんでした)』確かにミーティア・Nは凄い脅威だったと思う。正直、並みの魔導師には扱えない代物だ。『さてと、それじゃ…おや? 来たようだね』スカさんがヴィータの体を調べようとしているとき遠くから狼の遠吠えが聞こえてきた。「貴様らーーー!!」喋る狼は、俺たちの姿を確認し、足元に転がっているヴィータを見た瞬間、血相を変えてこちらに向かってくる。まるでフェイトを傷つけられたアルフのようだ。周りに気を配ってないし。「アウト!」ザフィーラがこちらにたどり着く前にザフィーラに足元に魔法陣が展開される。さっきプレシアさんたちが、仕掛けていてくれた罠。「これはっ!? っぐお゛お゛お゛お゛お゛!!!」ザフィーラの体を電気を帯びた剣・鎌・槍・斧などの魔力で構成された武器が一斉に貫き、さらにその体を電気により感電させた。「お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ!!!」うわ、かなり痛そう…。正直この魔法は今回以外絶対使わないと思う。プレシアさんが言ったとおり威力が強すぎて非殺傷に出来ず、普通の人では死んでしまうし本来はこんなにまとめてくるような魔法じゃなく、捕虜など捕らえた魔導師に情報を吐かせるために使う拷問系の魔法なのだ。「ぐっ…」『さすが盾の守護獣だね。あれで死なないとは恐れ入る』「当たる寸前に障壁を張ったのが見えたわ。それで威力を弱めたんでしょう。」始めはヴィータにする予定だったんだけど、ザフィーラに変更してよかった…一応盾の守護獣とか言ってたし、大丈夫かなと思ったんだけど大丈夫でよかった~。死んだらどうしようかと思った。『まあ、これで守護騎士を今度こそゲットだね』「他の守護騎士が来ることは?」『とりあえず、あと20分は大丈夫だよ。この空間に結界が張ってある。こっちの情報があっちには伝わってないはずだよ』「なら安心か」ここでシグナムとか来たら困るんだが、この次元で一緒に行動してたのはザフィーラだけだったらしいな。「じゃあ、このワンちゃんを持って帰りますかね」『プレシア、頼んだよ』「ええ。アリシア、帰るわよ」「はーい!」プレシアさんたちは、ザフィーラを魔法で浮かし、転移してそのままサラーブへと帰っていった。その場に残っているのは俺とスカさん、そしてナズナだけだった。「じゃああれやるか…」『ああ、ズブっとやってしまおう』俺のテンションに反比例してスカさんのテンションが上っている。「あれ、俺がやらなきゃだめか?」『何言ってるんだい!か弱いナズナに自分がいやだからってやらせるのかい?』「マスターがいやなら私がやります」「…俺がやります」ナズナは俺よりもか弱くないのは確実だけどさ…確かにこんなことを女の子にやらすのもどうかと思うしなぁ「やるしかないか。ナズナ守護騎士持ってきて…っておい!?」ナズナに守護騎士を引きずってきてもらおうと思ったらナズナはあろうことか、ヴィータの髪の毛を鷲摑みにし、引きずろうとしていた。「それ乱暴すぎ!もっとこう…やさしく!」「…ちっ…」ナズナは俺の言葉に従い、ちゃんと体を引きずってこっちに持ってきてくれた。置くときに叩きつけたような気がするけど…ていうか、なんでそんなに機嫌悪いんだよ。勝負には勝っただろ?もしかして、ヴィータがナズナの癇に障るようなこと言ったんじゃないだろな。…あり得る。『じゃあ早くやってしまおう』「はいはい」片方の腕にブラッティ・クロウを発動。今日は結構な量の血を使いしんどい。貧血で倒れるほどではないが、だるいものはだるい。『絶対に死なないから、思いっきりやりたまえ』「ナズナ」ナズナにバインドで宙に浮かしてもらい、固定してもらう。「それじゃ…南無三!!」非殺傷設定を解除したブラッティ・クロウでヴィータの体を俺の真っ赤な腕が貫いた。「う…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」気絶していたが急に体に強烈な痛みが入り目が覚めたのかそれとも半覚醒なのかはわからないが、ヴィータは叫び声をあげた。いくらプログラムとは言え痛みを感じないわけじゃないし、自分の体が何者かに解析されてるんだ。体に響くのは仕方ないだろう。「っぐあ゛あ゛あ゛!うああああ!!」『データ確認開始…魔法術式確認…魔力値確認…血液タイプ…』「あ゛あ゛あ゛あ゛っ!が゛あ゛あ゛゛あ゛あ゛あ゛!!」…これは、本当に悪役だな。何処からどう見ても悪役だろこれちいさい幼女の体を貫いている謎の少年少女。どこの悪の組織だよ。これはやてとか他の守護騎士に見られたら、殺人沙汰だよ。『…戦闘行動確認…闇の書のデータ確認…プログラム完全把握完了…』「゛あ゛あ゛あ゛…゛あ゛…あ………」だんだんと叫び声が小さくなってくヴィータ、そして冷静に情報をコピーしていくスカさん。できればそろそろ終わって欲しい。『いいよ、全部完了したよ』「お疲れ」スカさんの言葉を聞くと同時に、体から腕を引き抜いた。音が生々しい。ヴィータは、バインドが解かれ地面に再び転がる。「じゃあ次も頼む」『ああ。私を外して、この守護騎士の体に乗せて』「こうか?」スカさんの指示の言うとおりデバイスを解除し、そして指からスカさんを外し、ヴィータの体の上にちょこんと置く。すると、ヴィータを中心に魔法陣が展開され、ヴィータの体が徐々に修復されていく。体に開いていた穴も塞がっていっている。「すごいな。これなら怪我してもすぐに治せるんじゃないか?」『残念。この魔法は、コンピュータのワクチンみたいなものだ。プログラムを改ざんしてるにすぎない』「つまり?」『普通の人間にやっても全く効果がないということさ』つまり闇の書の守護騎士とかの体じゃないと無理ってことか体が生身の人が無理ってことは、stsのヴィータたちも無理な確率高いな。「ぐっ…」『まあそれでも、無理やり治している。つまり荒療治だから、かなり治している間は苦痛だけどね。フフフ…』「相変わらずドSだな…」そこでテンション上るとこが、スカさんのいいとこだよね。きっと…『記憶も少々弄っといて、これで完璧だね』「そう言えばこいつ闇の書はどこにやったんだ?」蒐集しに来たんだったら、絶対に持っているはずだろ?なのにこいつナズナと対戦始めたときは、持っていなかったよな『この次元にはないね。おそらくここに来る前に一旦家に戻したんだと思うよ』「そりゃ残念だな」まあ、闇の書は後回しでもいいか、最低いらないし「マスター、そろそろ引きましょう」「そうだな」地面に、一応きれいになったヴィータを放置して、俺とナズナはそのまま帰っていった。sideヴィータ「…タ! …い! ヴィ…タ!!」目の前が暗い…、それに誰かがあたしを呼んでる…「ヴィー…ちゃん! 起…て!」あたし一体どうしたんだっけ?なんでここにいるんだ?ていうかここってどこなんだ…、ここは…「ヴィータ!!!」「っわ!? シ、シグナム!?」意識が覚醒して目の前に飛び込んできたのは、シグナムだった。いつもの冷静さがない。「よかった! 本当によかったわ!」あたしに泣きながら抱きついてくるシャマル。何だか様子が変だ。「ど、どうしたんだよ。そんな顔して…」「ヴィータちゃん!? 覚えがないの!?」「何が?」あたしの肩を持ちぐらぐらと揺さぶってくる。気持ち悪い…「よせシャマル、私が話す」そしてシグナムから聞いたのは、とんでもない事実だった。「あたしとザフィーラが…やられた!?」「ああ、我らがここに赴いたとき、もはや戦いは終わっていた」「そっそんなはずねえだろ! あたしは負けて…負けて…」言い返そうにもあたしがここで倒れていたのも事実だ。一緒に行動していたザフィーラがいなくなっているのに、ここであたしがお眠りなんて普通に考えてありえないはずだ。「ヴィータ、お前は何か覚えてないのか?ここで何があったかを」「全然…覚えてねえ…リンカーコアを持った奴らがいる集落を襲ったまでは覚えてるけど…そこから記憶が」「途切れてるか…」「すまねえ…」「ヴィータちゃんが気にすることじゃないわよ」シャマルはそう言って慰めてくれるけど、これはあたしの責任だ。一緒に行動していたはずなのに、何があったかを覚えてないなんて…、あの白い魔導s…「あれ…」今、頭の中に何かが写った。ハッキリじゃないけど確かに人が桃色の光、…あれ? 黒? いや、桃色…の白い魔導師が「こんなやつ見たこともねえはず…」もしかしてこいつがあたしの記憶が途切れている原因なんだろうか?「くそっ、わけわかんねえよ…」あと少し、あと少しで闇の書の完成ではやてと幸せに暮らせるのにこんなとこで躓くなんて…「主はやてに何と言えばいいか…」「はやてちゃん、心配するでしょうね…」「ああ、何としてもザフィーラを救出せねばな」シグナムたちが何か話しているが、頭の中がぐちゃぐちゃで全く入ってこない。頭の中に変なものでも入っている感じだ。「くそっ…」あたしは知らず知らずのうちに、胸に手を当てていた。まるでそこが痛むかのようにおまけ「マスター」サラーブに戻りようやく休憩の時間が取れたと思うとナズナが話しかけてきた。「んっ? 何か用か」「いえ、その…」ナズナは俺が、話しかけると言いにくいことなのか指と指を合わしてなにやら言うかどうか悩んでいる様子だった。「なんだ?」「だから、あの…」俺がさらに追求すると、余計に顔を赤くし答える様子がない。その状況に飛び込んできたのは、アリシアだった。「もう! 嵐は鈍いな! ご褒美だよ! ごーほーうーび!!」「ああ、それか」アリシアの言葉でようやく合点がいった。つまりナズナは恥ずかしかったわけだ。俺にご褒美をこんなすぐに求めることが恥ずかしかったわけだな!「そうとわかればナズナ、何が欲しいんだ?」「えっ!? そ、そうですね…」ナズナは俺の問いにまたしても顔を赤く染める。そんなに恥ずかしいことなのか?魔法少女のステッキとか?いや、もう魔法少女だし…最高級の超豪華ディナーとかか?でも、それは恥ずかしくないし…「じゃ、じゃあっ!」ようやく決まったのか意を決して俺に伝えようとするナズナそんなに一生懸命にならなくても…「マスター! キs「ハグーー-!」ふぇ!?」ナズナの言葉は途中で割り込んできたアリシアに遮られてしまう。アリシアの声のボリュームのせいでナズナの言葉が全く耳に入らなかった。「こらアリシア、お前が決めてどうする」「前にナズナには、イチゴメロンパンあげたからそのお礼!」「勝手に決められたら、ナズナも迷惑だろ? なあナズナ」そう思いナズナの方を向くとナズナは腕を広げスタンバってた。ご丁寧に目まで閉じてある。「まっ、マスター! 私は構いません!」「…え?」「あっ! アリシアがせっかく考えてくれたんです! さあ!」ずいっと俺の前に迫ってくるナズナ。少し、というかかなり怖い。それより、いくら子供といえど、今の俺の体型だって子供なわけで、いくらなんでもまずいし何より俺もかなり恥ずかしい。今も顔が真っ赤だと思う。助けを求めようとプレシアさんを見ると、ニヤニヤしながらこっちを見ていた。「アリシア!?」「がんばれーナズナ! がんばれー嵐!」次の希望のアリシアヲ見てみたが、どこから持ってきたのかいろんな国の旗を、まるで応援旗のように振り回している。アリシア! お前は何を俺たちにがんばれというんだ! ハグをがんばれってか! おかしいだろ!?「スカさん!?」『この連絡相手はただいま居留守を使っています。要件のある方は、自分の用事を済ましてから話しかけてください』最初から期待してなかったけど、ここまで無視されると腹立つな!せめてこの窮地を脱出できるような策のヒントくれよ!「マスター…」「……」その日、俺は人生初めて女性とハグした。やわらかかった…いや、どこがって…<あとがき>はい、ザフィーラさん一丁!!手に入れましたね闇の書の守護騎士。ヴィータさんを捕らえてしまうといろいろと不都合な点が出るのを鈴木は恐れました。なのでヴィータを餌にしてザッフィーを釣りました。スカさんはヴィータに微妙になのは?のことを記憶に残しておきました。フェイトの時といい、ヴィータといい、ここのなのはは誤解したり誤解されたり大変だな…(他人事)次回から少し更新が遅れるかもしれませんでは!また次回!!おまけ2魔法紹介トゥーチャー・マテリアル(Torture Material)使用者:プレシア・テスタロッサ一応、罠型に分類される魔法だが、プレシア本人の使い方としては、拷問用が正しいらしい。普通は、口を割らない捕虜などに一つづつ武器を増やしていき、刺していくのが本来の使い方。電気を帯びているので、傷口が焼け治りにくい。今回のような無茶な使い方は、魔力も無駄に使うし、一回発動してしまえば終わるまで発動し続ける。