「寒いな…」『もう11月だからね』「コタツって暖かいんだねぇ」「アリシア、ちょっとリモコンとって」第26話「前夜祭だぜ! 回帰組集合!!」「今日は、ちょっとみんなに話したいことがある」昼ごはんを食べ終わり、皆が自由にのんびりしている時間俺はコタツに入りながら、みんなに声をかけた。「何ですかマスター?」昼ごはんの洗い物を終えエプロンで手を拭きながらナズナもエプロンを取り、コタツの中に入ってくる。「らっ、嵐のとっていたチョコプリン食べたのはわたしゅじゃないよ!」レンタルビデオ屋で借りてきた、魔法少女戦隊“プリティジャー”を見ながら俺に顔を向けてこないアリシア。ていうか、お前だったのか。俺のお楽しみを食らったのは。後でお仕置き決定。しばらくねこじゃらしで遊んでやらないからな。…いや、それは俺がつまらんな。止めとこう。「アリシアを疑うのは許せないわね、それで私のコーヒープリンは誰が食べたのかしら」のそのそとコタツの中に入ってくるプレシアさん。そろそろコタツはいっぱいだ。それとあなたのコーヒープリンを食べたのは俺じゃありません。多分ですが、同一犯だと思います。「かっ、母しゃんのプリンも食べられてたんだっ! だっ誰だろう!?」そのプレシアさんの発言に寒いのに滝のように汗を流すアリシア。…お前、実は隠す気ないだろう。その態度は…『さて、ここに昨日の冷蔵庫の様子を撮影したビデオがある』「何を思ってそのビデオを撮ったかの理由が知りたい」『暇つぶし』「よく理解できた」相変わらずスカさんの奇行は、俺には、いや、常人には理解でない。自分が食べるものが入っているとかなら理解できるが、スカさんは食べない。ただの冷蔵庫を一日中撮影しとくのに意味なんてあるのか?『アリシア、これをビデオにセットしてくれ』「今は私が見てるの! レッドジョマコが活躍してるから駄目!」…人が困るとこを見て楽しんでいるだけだな、うん。「まあ、プリンの証拠ビデオは、あとで見るとして、今日の話はそのことじゃない」「そのことじゃないとしたら、嵐がネコ状態のときの耳に…あっ、なんでもない」「会議が終わったらお前ちょっと来い」どうやら俺の知らない間に、俺の体はアリシアにいろいろされてたみたいだ。…体にいろいろって何か卑猥な響すんな…「最近スカさんとプレシアさんの調査の結果、謎の魔導師襲撃が多々起きてるらしい」「それが何かあるの?それを私たちで解決するとか?」アリシアがきょとんとした顔で俺に尋ねてくる。まあ、アリシアが考えている通り、ここはそんな善良な組織じゃないから人助けになるようなことをするのかと疑問に思ったんだろう。「まあ事件の犯人たちに接触するのは確かだ」「接触…ですかマスター?」「うん。スカさんとプレシアさんのおかげであいつらのいる場所は大体特定できる。誰がそこにいるのかも」これは、前に鯛焼き屋で会ったので、そこら辺を散策しているとき偶然、なんだか厳つそうな蒼い犬と散歩する、料理の下手そうな緑なお姉さんや公園で爺たちとゲートボールをする紅い幼女やベンチで何故か眠っているニートな桃色な姉御を偶然…というか、余裕で発見し、リンカーコアを登録しておいたのだ。アリシアと無駄に探したあの日は、なんだったんだろう。「それを捕らえるのが今回の目的なの」「スカリーと母さんすご~い!」「ええ、私ががんばればこんなものなのよ、アリシア」『褒められて悪い気はしないね』「あれ? 守護騎士一緒に探しましょうって言ったとき、スカさんとプレシアさん面倒くさいとか言って、手伝ってくれなかったよね?」結局、俺一人で探しに行くようになったんだけど…俺の被害妄想だったかな?『話を戻そう。それで、そろそろ私たちも本格的に動き出そうと思うんだ』「まあ、だからといって、そんなにすることなんてないんだけどね」準備といっても、最早ほとんど準備は整っているみたいなものだ。今更、焦って準備しようというわけじゃない。『まあ、ナズナにはミーティアを貸してもらうけどね』「何故ですか?ドクター」『まだ、ミーティアにカードリッジシステムを搭載してなかったからね、嵐に言われて思い出したんだよ』そう、スカさんに話してみたんだが、ナズナのミーティアには明らかにカードリッジは搭載していない。場所が場所だけにしかたなかったがここはもうアルハザードではないし、ベルカ式が相手になってくると、こちらもカードリッジは必要不可欠だろう。「わかりました。ミーティアを頼みます」『Thanking you in advance.(よろしくお願いします)』「ナズナのデバイスは特殊だから、慎重にしないといけないわ」「ナズナのデバイスって特殊なんですか?」確かに特別製ではあると思うが「かなり特殊ね。まず形態が2種類あるとこよ。普通の魔導師は遠距離と近距離ってデバイスは大きく違うんだけど、彼女の場合二人分のスタイルを持っているから、デバイスもある意味二つの体があるみたいなものよ」「なるほど」つまりなのはの場合砲撃とか銃系の形状が多くありフェイトの場合近畿戦闘の剣系の形状が多くあるが、ナズナの場合、全く違うタイプの形状があるわけだ。大砲を持っていると思ったら、突然剣に変わっている、なんて改めて聞くと本当に魔導師殺しだな。『フフ、さてさてどんな風に仕上げようかな』『…Please don't be too hard.(…お手柔らかにお願いします)』…そういえば「スカさんあれ出来たの? 増血剤」『戦闘のときに使うって言ってるのかい?まだ出来てないよ』「そうか」さすがに戦闘中に血がなくなったじゃ洒落にならないので、俺専用のカートリッジを頼んでおいたんだが、まだ完成してないか…『ナズナもそうだが、君も特殊なんだ。君の血は存在する全ての血に当てはまる。そして全てに当てはまらない』「どういう意味?」『君の血を輸血しようと思うならAでもBでもOだってなんでもいいんだ。けれど輸血するなら2・3倍必要となる。体内に送ってもらった血を君の血が拒むからね』…それ、死にそうになったときかなり困らないか?『君が管理局に捕らわれたら、一生血を抜き取られ続ける生活だろうね。君の血は誰にでも輸血できるし、他の人に輸血する場合少量で済む。体外に出ると血が増幅するからね』管理局に行かなくてよかった…一生血抜き生活とか絶対にお断りだ。元の世界とかいってる場合じゃなくなるし。『まあ、次の日に訓練がない日だったら定期的に血は抜いているから、君の血のストックは結構たまってるよ』「……えっ?何そんなことしてたの?」そんなの全然感じてなかったんだけど、血が抜けたらだるいって感じるはずじゃていうか本人に了承なしでなんてことしてんだあんたは。『訓練に一回は血液魔法を使ってるんだ。このぐらいでフラフラするはずないだろう』「もういいよ…」『まあ、君の…なんだっけ?ブラッド・カードリッジ計画?だっけ…それは順調ということだよ』「じゃああのナズナの変装の件は?」これが今回の計画の要だ。これがあるかないかによって大きく計画が変わってしまう。『ああ、マジックカラーの魔法かい?』「名前知らないけど、多分それ」『それくらいは簡単に出来るよ、未来ではオシャレとして使われてたんだ』「ミーティアもお願いするわ」『了解したよ』どうやら、俺の計画は今回も順調に進みそうだ。あとはナズナの頑張り次第前回みたいに今回はいい人では、貫き通せないだろう。まあ、もともとなのはたちを混乱させるためにしていただけだし、構わないけどな。「じゃあ難しい話はここで終わりにします」「私には話さなくてよかったんじゃないかー」いや、アリシアがここにいただけだし、そもそもアリシアが戦いに加わることになったら下手するとプレシアさんまで参戦してくるから「じゃあ、今日は鍋でもしようか」「賛成ー!」安らぎの日々もそろそろ終わってしまい、また戦いの時間が来る。それまで短い平穏を楽しんでおきたい。「じゃあプレシアさんたちは買い物をお願いします」「アリシア、暖かくして行きましょうね」「はーい」プレシアさんたちは、コタツから出て自分の部屋に戻っていった。あれ? 魔法少女戦隊のビデオ置きっぱなしなんだけど。「じゃあ私は、部屋の掃除でもします」ナズナもコタツから出て、掃除用具を取りに行ってしまった。その場には、俺と魔法少女戦隊のビデオが残された。「することはないよな」『リンゴキャンディーブレイク!』アニメの音声が空しく響いてた。「おばちゃんも呼んでくれるなんて、サラちゃんは優しいねぇ」「前にあやとり教えてくれたお礼! また教えてね」「じゃあ、おばちゃんも、自分のとこから食材持って来るわ」アリシアの声で目を覚まし周りを見渡してみると、全員が戻ってきていた。外を見るともう真っ暗になっている。「寝すぎたな…」『そうだね、彼女たちはもう鍋の準備は終えたよ』「あちゃ~、片付けは俺がやるよ」『そうしたほうがいいだろうね』コタツの暖かさでついのんびり眠ってしまったようだ。手伝いをしようと思っていたのに、寧ろ邪魔になってしまった。「嵐、寝すぎだよ~」「起きたんですねマスター」俺が起きたのに気づいた二人が話しかけてきた。その手には鍋の用意が持たれている。アリシアさえ、食材を持ってきていた。「ごめん、長く眠りすぎた」「いえ、構いませんよ。訓練で疲れているのでしょう」「ナズナはよかったよね!嵐の寝てるあいdムグっ!?」「アリシア、プレシアを手伝いに行きますよ」アリシアが何か言おうとした瞬間、目にも止まらぬ速さでアリシアの口をナズナが塞いだ。ナズナがあんなことするのって珍しいな。「何かあったのか?」「…いえ、マスターは気にしないでください」「ええっ、関係ないって、嘘はいけn「アリシア?」…何でもありません!」ナズナがアリシアを見るとアリシアは顔を真っ青にして敬礼した。ナズナの表情はこっちからは、見えないが、どんな表情をしているんだ?「スカさん、何があったか知らないか?」『フフ、ナズナが君にk「こんなとこに麺棒が」…何もしなかったんだ』創造主のスカさんがナズナに負けるはずない。なら本当になにもなかったんだろう。それより、ナズナはどこから、あのパンをこねる棒を取り出したんだろう?ていうか、何故今それを取り出す必要があったんだ?まあ、あとで聞いてみたらいいか…「じゃあ俺も手伝うとしますかね」手伝うとは言ったが、もう準備はほよんど完了していて、あとは、食器などを運ぶだけだった。そこでおばちゃんも合流し、おばちゃんの食材も合わせ準備は完了した。「じゃあ、いただきます」全員で一気に箸を鍋によせる。これといったこだわりもないので皆が自由に食べたい具を取る。「サラ、野菜も食べなくちゃだめよ」「えぇ~、野菜は苦手だよ~」アリシアがプレシアさんに食の偏りを注意される。「ナズナちゃんは少食らしいから、いっぱいたべなきゃね」「はい」おばちゃんがナズナにたくさん装う。「いや~、平和だよな…」≪君も肉食いすぎだよ。野菜を食いなさい≫本物の家族ではないんだけど、確かに家族のような温もりを感じた。<あとがき>平穏編が終わってしまいましたね。次回からはAs編が始まります。始まるといっても時期は、12月じゃないんですが…ナズナが寝ている間に何をしてたのかはご想像にお任せします。感想で聞かれました血液の変換資質の凄さですが、実はあんまり凄くありません。凄さといえば、低魔力でも戦えるところでしょうか?今回の話でも触れましたが、主人公の血は外に出るとある程度は増えます。常人よりは血の気が多い奴です。そして、恐らく鈴木が大技を使うことはないと思います。大技はナズナです。反則技はあるんですが…、それが出るのはラストぐらいでしょう。鈴木の戦闘スタイルは、将来的にフェイトさんよりになるようにナズナは訓練しています。そして最近は、「主人公はナズナだろ?えっ、違うの?」と黒胃も思い始めてます。では!また次回!!