「そういえば、スカさん」『なんだい?』「守護騎士、動き出してるよな?」「あまり大事にはなっていないが、ごく最近魔導師の襲撃が合ったらしいよ」「そろそろ休憩も終わりか…」第25話「戦いたくはない もう傷つけたくないから! ビビリ的な意味で」「マスター、今日は、とうとう模擬戦をします」「了解だけど、いったい誰が?」サラーブの訓練用施設、通称・スカ式拷問部屋俺は今この部屋に立っていた。この訓練施設はスカさんとプレシアさんの合作で、かなり性能がよくいつもここで訓練をしている。STSのスバルたちが使っていて用に実際に廃墟なども用意できたりする。他にもスカさんなりの天才(鬼畜)的なアイデアもたくさん組み込んでいる。「その点は大丈夫です、ドクターたちが用意してくれているようです」『安心してくれたまえ』「…そう」“スカさん”が用意してくれたのね。うれしくて涙でそうだよ。最近ようやく体力的にも訓練が辛くなくなってきたと思った途端これか。ナズナってなのはの遺伝子も入っているし、なのはと違って訓練のことを人に、プレシアさんに相談するからかなり効率よく鍛えられてるのは、わかるんだけど…「痛いのは苦手なのは変わらんよなぁ」痛くない訓練、苦しくない訓練なんてないのはわかってるけれど、それでも嫌なことは嫌だよな…実際、ナズナのおかげで強くなれている気はするんだけどなぁ…『何くだらないことを言ってるんだい、準備しときなさい』「了解了解。セットアップ」いつも通りスカさんをセットアップし、医者っぽい姿になる。いつ見ても今から戦いますって服装じゃないよなこれ…。今から診察しますよみたいな。「それでは、マスター準備はいいですか?」「ああ、いいよ」なるべく軽めの相手がいいな…。というか相手を用意したって、どっかから怪物とか魔獣とか拾ってきたんだろうか?それとも格安で魔導師を雇ったのか?「わかりました。プレシアさん、よろしくお願いします」「わかったわ」ナズナは俺からの返事を聞くとプレシアさんのとこに行ってしまった。「人物データ入力、魔力値決定、戦闘タイプ決定」プレシアさんがわけのわからない単語を次々とボードに打ち込んでいく。眼鏡をかけているので、いつもより知的で素敵!「いいわ、再現完了。始めるわ」プレシアさんが最後にボタンに触れると俺の目の前が光りだした。そして周りの風景も少々変わり岩が並ぶ草原へと変わっていた。「あれは?」『魔導師再現システム。魔導師の詳しい情報を細かく打ち込むことによって、その魔導師にかなり近い力を持った幻影を生み出す』「それ多用したらすごいんじゃない? 戦いで使えそう」『残念。この訓練施設からでてしまったら幻影は消滅するよ』「…それは残念」そうこう話しているうちに目の前の光は収まり一匹の獣がいた。体毛は炎のように赤い…いや、オレンジ? だった。「…アルフ?」声をかけようとした瞬間、何かいやな感じが頭によぎりそれを変に感じたとき思いっきりアルフに頭突きをされ岩に殴り飛ばされた。「っかっは!」『フローターフィールド』スカさんが瞬時に展開してくれたフローターフィールドで何とか致命傷を負わずに済んだが、少し眩暈がした。『君は馬鹿か? 戦いが始まっているのに敵に話しかけるなんて』「っ悪い、少し気を緩めてた」『これからは気をつけたまえ。来るよ!』スカさんの宣言どうり、アルフは俺に襲い掛かってきていた。sideナズナ「調子はどうでしょうか?」「私たちが睨んだとおり、あの子攻撃への反応速度はあなたよりも高いわ。あの性格故にだけど」「はい」確かに画面に映っているマスターは敵の攻撃をかわし続けている。だが…「まだ恐怖感が抜けないし、反応ができても体がついていかない。あっ当たった」「はい。致命傷だけは絶対にかわしているんですが、ほかの小技などが、あっ、また当たった」マスターは、相手の攻撃を怖がり時々目を瞑ってしまうときがある。それに、小技などの隙が少なく早い攻撃には当たってしまう。「あの使い魔は近距離戦が得意なだからし、今度は中距離や遠距離も試してみないと。そろそろあの技使うかしら?」マスターは必死に攻撃をかわし続け相手を睨んでいるだけだった。「マスター、がんばってください」私は首からかけている十字架を強く握った。sideout「っくそ! こいつっ!」アルフの猛攻は依然続いている。こっちから攻撃しようにもそれより先に相手から攻撃がきてしまう。こっちが肉体強化の魔法を使っているのに、かわしたりするので精一杯だ。腕に攻撃が当たる、俺はそこからわざと血を噴出させた。「よしっ! ならっ!」俺は両手から魔力、血液で出来た小さな刀、赤いメスを出した。「ドクターストップ!」勢いよくアルフの両足に景気よくぶっ刺した。アルフは突然の俺の行動に難色を浮かべたが、すぐに俺に襲い掛かろうとしたが「--っ!?」「残念動けないよな? それは攻撃力皆無な刀なんだ。攻撃系の魔法じゃなくて、捕縛系のバインドなんだ」「--っ!!」まあアルフの怪力ならすぐに解放されてしまうだろう。だから、俺はそのアルフが拘束されているうちに、戦う舞台を用意をする。「今日は、レバー食いたいな」『戦いが終わってからだね』スカさんと冗談を交わしながら、腕に魔力を込めるイメージを浮かべる。そしてその間に腕から出した血を一箇所に撒き散らしておく。「ブラッティ・クロウってとこだな」俺の手は真っ赤に染まっていた、まるで誰かの腹を裂いたかのようにそしてその見た目は人の手ではない、まるで獣の爪だ。「よっしゃ! 来い! 出来るだけ手加減してね!」『君は本当に最後まで決めれないんだね』俺の掛け声が合図かのように、アルフはメスを破壊し俺に向かってきた。偽者だからだと思うが、無表情が逆に恐怖を煽る。「文字どうりこれでも食らえ!」俺は咄嗟に赤く染まっている拳を突き出し、アルフの大きく開いた口に一撃を叩き込んだ。アルフは食いちぎろうとしているのか牙をガジガジしている。だが、このブラッティ・クロウは強度だけは洒落にならないほど硬い。別に他に特殊能力とかないんだけどね。まだまだ改善の余地あり。「顎ががら空きだぜ! ヒャッハー!」謎にテンションを上げ、残っているもう片方の爪でアルフの顎を殴りつける。そのまますっ飛んでいき、岩にあたり粉塵が巻き上がった。「やったか!?」『その台詞は…』あまり近づかないで、その場所を見ていると、粉塵からオレンジの光が浮びそれが魔法陣だと理解したときには、魔法の弾丸が発射されていた。「どわぁああぁああ!!」慌てて爪で直撃するものを瞬時に見極打ち落とそうとするがそんな技量が俺にあるはずがない、10発中6発当たってしまった。そして相手はさらに魔法陣の輝きを強くしさっきよりも多い数を放ってきた。 「嘘! 手加減してって言っただろ!?」打ち落とすのは不可能、さっきの学習したことを活かし草原を走り抜ける、途中当たりそうになったのは、爪ではじいていたが8発目が当たったとき爪が崩れ中の魔力が散ってしまった。「うわっ! 万事休す!?」『これは今すぐ降伏のポーズをとらなくちゃね、ほら、仰向けになって』「うっうるさい! まだそれは嫌だと思うプライドがあるんだ!」俺の魔力変換資質“血液”は、少量の魔力で戦えることが特徴だ。さっきのブラッティ・クロウだって、少量の魔力を俺の血でコーティングして戦っている。つまりあの爪を使っているだけでは、魔力は消費しない。だけど、その爪が破壊されると、新しく作り直さなきゃならない。「魔力は心配ないんだけど、血がな…」『さっき爪を作ったとき、少し血液をケチっただろ』「…いや、ちょっとだけな」煙がはれ、アルフが姿を現し、こちらにゆっくり近づいてくる。「強者の余裕ってか?」『冗談言っている場合かい? くるよ』アルフは俺の爪がなくなったとわかると、間髪いれず、飛び掛ってくる。『プロテクション』障壁を張り、アルフの攻撃を盾で受け流す。「くそっ! ここで覚醒とかしてみたい!」『何言ってるんだい。来るよ!』アルフは俺の盾に受け流されながらも、次の攻撃に移った。盾をそのまま食い破り、俺に攻撃を加えるつもりらしい。「やばいな。普通のプロテクションにしてのは、失敗だったかも」『今更遅い』アルフの作戦通り、俺のプロテクションを突き破りまたまた、俺の体に頭突きをくりだしてきた。「げふっ!」耐え切れるはずもなく、思いっきり吹き飛び地面に叩きつけられる。バリアジャケットを着ているのでそこまで大きなダメージではないが、血が抜けている。この体では、小さなダメージでも結構体に響く。「っ痛い…」倒れ付す俺にアルフが近づいてきている。俺の撒いた血が赤い絨毯に見えてきた。「やっぱ勝つのはまだ無理か…」『そうだね』アルフが俺の目の前に立つ。『けど…』俺にトドメをささんと腕を振り上げる。もちろんこれは訓練なので死ぬことなんてなく俺の負けで終わりなんだが。『ここまでやれば上出来だ』アルフが腕を振り下ろすのは不可能だった。なぜなら、無数の赤い針がアルフを貫いたから。『引き分けってとこだね』「……」俺が覚えてられるのはそこまでだった。sideプレシア・テスタロッサ「マスター!」対戦結果は引き分けで終わった。あの使い魔程度に苦戦するのもどうかと思うけど初心者が短期でここまで育ったと考えれば十分なのかもしれない。『まあ、結構手を抜かしてただろう?』「ええ。まだあの使い魔に人の形態をさせていないし」あの子の使い魔は人の形状と狼の形状を変化させ戦うスタイルだ。狼だけで突っ込んでいく戦い方が多いが、それでも人で戦うときもある。「それよりまだあれ出来てなかったのね」『血液魔法を使っているときに、さらに別の魔法を使うことかい?けっこう成功できているんだが、あの場面で失敗したらあの攻撃に全弾命中だよ?』「そう、ならいいわ。最後のあれは考えたわね。まさか血が罠になっているなんて、あんなの聞いてないわよ」最後のあの無数の赤い針。戦いの最中に撒き散らした、腕から出てた血だろう。何を撒き散らしているのかと思っていたが、まさかあんな使い方があるなんて思いもしなかった。『ああ、あれかい。初めて聞いたときは私も驚いたよ。なんせ怖いから罠を張っとく魔法を考えたとか言い出すんだよ』「ふふ、彼らしいわ」あの性格だ。戦うのは極力避けたいんだ。今回の模擬戦だって死なないのがわかっているからこそあんなに余裕だったんだろう。『さて、そろそろ彼の治療をしなくてわね、私の部屋から増血薬を持ってきてくれ』「わかったわ」今晩は、次の訓練のカリキュラムをナズナと相談しよう。おまけ「トリック・オア・トリート!」目を覚ましたとき寝ている俺の体に馬乗りになって黒い魔女の姿のアリシアが目の前にいた。「…何してんの?ていうか、何故ここに?」「トリック! オア・トリート!!」どうやら答えを出す気は、全くないらしい。トリック・オア・トリートか、つまりハロウィンと言うことだろう。「今はお菓子持ってない」「イタズラ決定!」「ちょ! やめっ! 今動けないから!」「水性マジック~♪」「やめて! いやっ! アーーっ!!」「マスターも仮装したんですか」「…ああ」ナズナの言ったとおり、今の俺は顔に骸骨が書かれている。どっかのいたずら魔女によって「ナズナは死神か」「はい」ナズナの姿は黒いローブを羽織り、ダンボールで出来た鎌を持って、大量の骸骨を入れたリュックを背負っていた。「んで、アリシアが魔女で、おばちゃんが…」アリシアと遊んでいるおばちゃんを見ると、おばちゃんは仮装してない。まあ、子供の仮装に大人がお菓子あげなきゃいけないよな。「アリシア! こっち向いてー!」全身黒の服を着て、頭にネコミミを付けているカメラを構えている大人が見えるのは気のせいなんだろう。きっとあの金髪の悪い魔女の使い魔的な存在なんだろう。言うことちゃんと聞くいい使い魔なんだな。うん。<あとがき>主人公の初戦闘の相手は、コピーアルフさんでした。次で平穏編が終わり、As編が始まっていきます。では!また次回!!おまけ2本編で名前が出なかった魔法の紹介チャイルド・フィア(Child Fear)使用者:鈴木 嵐かなりの少量魔力と少量の血液で発動できる赤い針のような形状の魔法。太さや大きさは使用する魔力・血液によって変わるが、一発の威力は低いので、大量に使用するのが基本的な戦術。名前の由来は、注射のイメージらしい。ブラッティ・マイン(Bloody Mine)使用者:鈴木 嵐血液を地面に撒き散らし、そこに罠を張る設置型魔法相手がそこに入ると同時に発動し、相手をチャイルド・フィアが貫く。そして術者が目標としたもの以外は発動しないので、味方を攻撃してしまうこともない。地面だけでなく空中にも設置しておける