作者の春と申します
題名通り仮面ライダー剣とリリカルなのはのクロスです
もしかしたら独自解釈が出るかもしれません
そして何よりご都合主義です
また、作者がSSを書くのは初めてなので、駄文ですので、アドバイスをもらえると嬉しいです
それらに耐性がある方のみお読みください
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土砂降りの雨のなかとある廃墟で2人の青年が向かいあっていた。血で濡れた右腕を抑えた青年が叫ぶ。
「全てのアンデッドは封印した!残っているのはジョーカー、君一人だ!……でも……君とは戦いたくはない!」
その叫びにあるのは悲しみと躊躇とほんの少しの希望。しかし――――
「戦う事でしか……俺とお前は解りあえない!」
こうして非情にも運命は彼らに戦いを強要する。片方は自分の愛する人類を守るため、もう片方は自分の呪われた宿命のために。
「うおおおおおおおぉぉーー変身!!」
『Turn up』
剣崎はベルトのレバーを引き駆け出す。それと同時に青いヘラクレスオオカブトのレリーフのゲートが生まれ剣崎がそれに通り抜けると紫紺の戦士『仮面ライダーブレイド』に変身。
対して相川始──ジョーカー──はカリスラウザーにカードをラウズ。始の姿はカリスに変化。2人の戦いが始まった。
戦いの間、剣崎はふと過去を振り返った。なぜこんなことになったのか。始とは最初は敵対していた。しかし戦いを続けるうちに共闘しあい、いつの間にか親友と呼べる存在になった。だから自分はハートのキングのカードを渡すことで始がジョーカーの本能を抑える手助けをしたし、始が暴走したブレイドのキングフォームを止めてくれたこともあった。信頼できる関係だったのだ。だから──────
ガキィン
「ぐわっ」
考えごとをしていたからか注意が逸れてしまっていたらしい。気がつけばカリスアローの斬撃を連続して食らっていた。
「剣崎なにをしている!?例えお前が手加減しても、俺は容赦しない!」
「くそっ!」
カリスの斬撃をブレイラウザーで受けつつ反撃を試みる。
「(だめだ俺にはできない。始を封印するなんて。それにこいつにも家族が…… 「剣崎戦え!さもなくば死ぬぞ!!」
戦おうとしない剣崎に苛立ったのか、カリスは一枚のカードを取り出しバックルの溝に通す。
『Evolution』
カリスのまわりに13枚のカードが舞い次々とカリスと融合してゆく。カリスは二段進化した赤い姿、ワイルドカリスとなった。
「(始の奴本気でやるつもりか?こっちも本気で戦わない確実にやられる。そうなったら戦える人間はもういなくなってしまう…ならば今ジョーカーを封印しないと…しかしそれじゃあ…)」
仲間として戦い、人間として生きようとしている親友を封印し、彼の家族である一人の少女の笑顔と幸せを奪うことになってしまう。
そのことが自分の剣に迷いを持たせる
一方、カリスにはブレイドを本気で殺す気はなかった。
こうもしなければブレイドは自分を封印しようとしないから、自分のような化物でさえ救おうとする大馬鹿者だから、遠慮なく自分を倒すように促す必要があった。
自分を受け入れ家族として接してきた人達や仲間と言える存在にあえなくなるのは確かに寂しく悲しい。
自分を慕ってくれる少女はきっと誰よりも悲しむだろう。
でも自分にとって本当に悲しいのは大切な人達が自分のせいで死んでしまうことなのだ。
いつダークローチが彼らの命を奪うのかわからない。
こちらが 殺す気でかかれば剣崎も全力でかかってくるだろう────そう考えていた。
ブレイドもこのままでは勝てないと判断したのかラウズアブゾーバーに『Absorb Queen』をセットし『Evolution King』をラウズ。
13体のアンデットと融合した黄金の戦士ブレイドキングフォームとなる。
「ウエエエエエエエェェェイ!!」
キングラウザーでワイルドカリスに切りかかる。
キンッ キンッ ガキン
キングラウザーとカリスアローがぶつかり合い火花を散らす。長い長い戦闘のはてに互いの体は傷ついてゆく。
カリスからは体中から緑の血を流しブレイドは金色の鎧の一部は破損し、所々黒く焦げ、煙がでている。
「ハァハァ……剣崎……次で終わりだ……決着をつけよう。」
「いいだろう」
『Wild』
カリスは鎌型の武器ワイルドスラッシャーとバックルのカリスラウザーを合体させ、ハートのカード13枚が融合したワイルドカードをラウズした。
『Spade Ten』 『Spade Jack』 『Spade Queen』 『Spade King』 『Spade Ace』
ブレイドも自身の最強の技を発動させるために五枚のギルドラウズカードを使う。
『Royal Straight Flash』
「うおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉ!!!」 「ウェエエエエエエエエエエエエエエエエイ!!!」
2人が同時に駆け出し満身の力をこめて切りかからんとする。巨大な力と力がぶつかり合う。ぶつけるのはお互いの最強の必殺技。し
かしブレイドとカリスではパワーの面においてブレイドの方が勝っている。
鍔迫り合いの中徐々にブレイドがカリスを押し始める。
(これで俺は負け封印される……これでいいんだ…)
ブレイドの刃はもう目の前まできている…しかしカリスを一刀両断しようかという直前、ブレイドの刃は止まった────否、ブレイドは己の剣を止めてしまったのだ。
パワーのバランスが崩れる。形勢は逆転してしまい、カリスの刃がそのままブレイドを両断した。
「ぐ…ぐわああああああぁ!!」
剣崎は苦しみながら雄叫びをあげ、ブレイドアーマーは小規模の爆発をおこし、やがて剣崎の身を包む鎧は消え、スペードのカードが辺りに散らばる。
なぜ?どうして?自分は一体何をした?劣勢だったのは自分だった…おまえはその黄金の刃で自分を切ればよかったのに……それさえすれば全てが終わったはずだったのに────────
カリスは何が起こったか自分が一体なにをしたか理解できずその様子を茫然と眺めることしかできなかった。
数秒後、我に返ると恐る恐る剣崎の体に触れ、体を揺らす。
そして親友の名を呼ぶ。
否、叫んでいた、認めたくなかった、そして泣いていた。
本当に死ぬべきなのは自分であり、こいつが生きるべきなのだ。
「剣崎、おい剣崎、起きろ。仮面ライダーなんだろ?戦えない人に代わってお前が戦うんだろ?俺を封印して世界を封印するんだろ?おい剣崎────」
何度も何度も体を揺さる。しかし、返事はない。当たり前だ。この世の何処にもしゃべる死体などありはしないのだから。
「剣崎、おい剣崎…剣崎いいいいいいいいいいい!!!」
始の体が緑と黒の本来の姿ジョーカーアンデットへと変化する。
緑色のエネルギー波が辺りを吹き飛ばす。
そこにはただ、人間の友を抱いた一体の化け物の、野獣のような悲しみの叫びが、豪雨に紛れていつまでも響いていた……
世界中のあらゆる所がパニックに陥っていた。
どこからか無限に出現する黒い怪物。
拳銃程度では死なず、対抗するには軍隊レベルの装備が必要だった。
しかし、いかに現代の軍事力が優れていようとも、無限に生み出される数の暴力には敵わない。
次々と出現する黒い怪物を倒すために、ライフルよりも爆弾、爆弾よりミサイル、ミサイルよりも核。
負の連鎖は続いてゆく。
たとえ無限の数の怪物を、核の光が消滅させても、その光に人間がいたとしても、世界の崩壊は止まらない。
世界はいまにもリセットされようとしていた────────