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No.5159の一覧
[0] ループ(リリなの転生物)前書き [BIN](2009/02/24 00:14)
[1] ループ(リリカル転生・習作)[BIN](2009/01/01 01:45)
[2] ループの二(好評のようなので)[BIN](2009/01/01 01:46)
[3] ループの二ノ一[BIN](2009/01/01 01:48)
[4] ループの二ノ二[BIN](2009/01/01 01:50)
[5] ループの二ノ三[BIN](2009/01/01 01:52)
[6] ループの二ノ四[BIN](2009/01/01 01:52)
[7] ループの二ノ五[BIN](2009/01/01 01:52)
[8] ループの二ノ五ノ外――ムカつく変な奴。(俗にいう外伝)[BIN](2009/01/01 01:54)
[9] ループの二ノ六[BIN](2009/01/01 01:54)
[10] ループの二ノ七[BIN](2009/01/01 01:54)
[11] ループの二ノ八[BIN](2009/01/01 01:54)
[12] ループの二ノ終[BIN](2009/01/01 01:55)
[13] ループの二・五ノ一[BIN](2009/01/01 01:55)
[14] ループの二・五ノ二[BIN](2009/01/01 01:55)
[15] ループの二・五ノ三[BIN](2009/01/04 03:45)
[16] ループの二・五ノ四[BIN](2009/01/01 01:53)
[17] ループの二・五ノ五(修正しただけ)[BIN](2009/01/01 01:52)
[18] ループの二・五ノ六[BIN](2009/01/01 01:52)
[19] ループの二・五ノ七(ゴメン、また修正だけなんだ)[BIN](2009/02/23 22:06)
[20] ループの二・五ノ八。[BIN](2009/01/01 01:49)
[21] ループの三ノ一(すずか編 通称どN)[BIN](2009/01/03 03:10)
[22] ループの三ノ二(すずか編 通称どN)[BIN](2009/01/04 03:44)
[23] ループの三ノ三(すずか編 通称どN)[BIN](2009/01/07 00:03)
[24] ループの三ノ四(すずか編 通称どN)修正しました[BIN](2009/01/11 03:07)
[25] ループの三ノ五(すずか編 通称どN)修正しました[BIN](2009/01/11 03:07)
[26] ループの三ノ六(すずか編 通称どN・完結)[BIN](2009/01/13 13:50)
[27] ループの四ノ一(やっとこさA,s…に入れてない?!)[BIN](2009/01/19 10:45)
[28] ネタ、作者の病気。反論は受け付けない俗にいうIF-----TS注意!![BIN](2009/01/10 23:02)
[29] 作者の病気は皆の病気?今回は軽度、前回は中度-----TS注意!![BIN](2009/01/17 08:23)
[30] ループの四ノ二(やっとこさA,s…に入れてない?!)[BIN](2009/01/19 10:44)
[31] ループの四ノ三(やっとこさA,s…に入れてない?!)[BIN](2009/01/21 21:02)
[32] ループの四ノ四(やっとこさA,s…に入れてない?!)[BIN](2009/01/21 23:54)
[33] ループの四ノ五(やっとこさA,s…に入れてない?!)修正しただけなんだぜ?[BIN](2009/01/22 10:24)
[34] ループの四ノ六(やっとこさA,s…に入れてない?!)[BIN](2009/01/25 00:54)
[35] ループの四ノ七(やっとこさA,s…に入れてない?!)シグナムの紹介を追加[BIN](2009/01/26 20:29)
[36] ループの四ノ八(やっとこさA,sに入りました!!)修正[BIN](2009/02/08 23:00)
[37] 俺のあたまがバニングス!!!!!!!!!!! 熱病だ…自重しようTS注意!![BIN](2009/02/23 22:30)
[38] ループの四ノ九(やっとこさA,sに入りました!!)ミスッタ、ゴメンなさい[BIN](2009/02/23 22:28)
[39] ループの四ノ終(やっとこさA,sに入りました!!)修正しました[BIN](2009/07/07 22:21)
[40] ループの五ノ一[BIN](2009/04/13 03:32)
[41] ループの五ノニ[BIN](2009/04/26 20:00)
[42] ループの五ノ三[BIN](2009/05/11 22:58)
[43] ループの五ノ四[BIN](2009/05/13 23:20)
[44] ループの五ノ五[BIN](2009/05/18 01:48)
[45] ループの五ノ六[BIN](2009/05/18 01:45)
[46] ループの五ノ七(ヴィが活躍?)[BIN](2009/05/22 00:52)
[47] ループの五ノ八[BIN](2009/05/31 23:39)
[48] ループの五ノ九[BIN](2009/06/11 23:06)
[49] ループの五ノ十[BIN](2009/06/23 22:17)
[50] ループ・たたり編。開始[BIN](2009/06/20 14:29)
[51] タタリ編ー2[BIN](2009/07/07 22:15)
[52] タタリ編ー3[BIN](2009/07/24 23:29)
[53] タタリ編ー4[BIN](2009/07/07 22:11)
[54] タタリ編ー5[BIN](2009/07/24 23:27)
[55] タタリ編ー6[BIN](2009/08/15 01:35)
[56] タタリ編七[BIN](2009/09/12 21:06)
[57] タタリ編八[BIN](2009/10/15 01:49)
[58] タタリ編九[BIN](2009/10/21 02:16)
[59] タタリ編十[BIN](2009/11/16 02:55)
[60] タタリ編―十一[BIN](2010/01/22 23:08)
[61] タタリ編十二(少し修正・改行)[BIN](2010/03/23 03:03)
[62] タタリ編 十三(修正しました)[BIN](2010/03/23 02:48)
[63] 日常?(修正しました)[BIN](2010/03/23 02:44)
[64] 日常2?(修正しました)[BIN](2010/03/23 02:39)
[65] A'sに入った!! 一[BIN](2010/03/23 03:22)
[66] ループのA'sの一[BIN](2010/04/20 23:55)
[67] A´sの二[BIN](2010/05/12 19:12)
[68] A'sの三[BIN](2010/06/08 22:45)
[69] A'sの四(2010.06.12修正)[BIN](2010/06/12 01:33)
[70] A'sの5[BIN](2010/07/03 21:15)
[71] A´sの6[BIN](2010/08/27 20:45)
[72] A´sの7[BIN](2010/11/24 23:35)
[73] A´sの8[BIN](2010/12/31 23:29)
[74] A´sの9[BIN](2011/03/27 16:24)
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[5159] A'sの5
Name: BIN◆5caaab55 ID:784a3ac9 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/07/03 21:15







ヴォルケンリッター・シグナムはつい先程ビルに叩き落としたフェイト・テスタロッサを上空から見下ろしながら感じて居た。性的な意味では無い。本能という部分で漠然と感じて居た。


見られている


だが、どんなに周りに探りを入れても一向にその正体は解らない。サーチャーでは無い。結界内に自分達のモノ以外は存在していない。その事はシャマルに念話でも確認した。
しかし、どうにも気に成る。結界の外からは見られてはいない筈…シャマルが妨害しているのだ。次元管理局嘱託魔導師と名乗った少女が居たことから嗅ぎつけられた事は解っては居たが、どうも違う。
管理局の者が見て居るのならば納得は出来る。それでも、細かには見れない筈だ。だが、自分が感じる視線は確実に自分を捕えて居る様に思える。

(何処から…)

誰が見て居るのかは大凡の見当は付いている。明智良哉だろう。だが、あの少年が此方の戦力を知っているとは思えない。その片鱗を味わえたのはヴィータだけだろう。ならば、この視線は何なのか?
もしかしたら、あの少年の近しい者が以前の自分達を知っているのかも知れない。そう考えると明智良哉の近くに居た男の魔導師が居る事を思い出した。案外ソレが当たりなのかも知れない。
そうと成ると、一番最初に狙うのは誰だろうか? 視線を感じる自分が居るのだから、自分なのだろう。

(私かシャマル…どちらを狙うか、十中八九私なのだろうがな…気づけた事が救いか)

もっとも弱い者か、強い者のどちらかを潰す。弱点を強く叩くのは当たり前だし、強い駒を潰すのも一つの手だ。前者は此方の士気を崩すには持ってこいだし、あちらの士気向上にも繋がる。後者も此方の士気を崩すには十分な選択だ。

自分ならどうするだろうか?

必然的にソレが答えの様な気がする。眼前を見れば少々疲労したフェイト・テスタロッサが私を見て居た。ふむ、中々に良い魔導師だ。太刀筋も良いし未だに諦めて居ないあの目も良い。
惜しいなと思う。後数年も研鑽を続ければ以前のシグナムと良い勝負が出来るだろう。戦いの中で成長する様な天賦の才が在るとするのならば今ここで行動不能にしておくべきなのだろうが、ソレは解らない。
解るとすれば次に戦う時なのだろうが…それも解らない。既にシャマルには逃走の準備を擦る様に指示しているが、シャマルの事だ一人ぐらいは蒐集する算段をしているのだろう。
その為にも、時間は稼いでおいた方が良い。

既に相手の名前はヴィータから聞いているが、改めて聞いた方が気分は良い

「良い相棒だな。貴公、名は?」

「フェイト…フェイト・テスタロッサ。この子の名前はバルディッシュ。貴女は?」

「良い名だな。我が名はシグナム。ヴォルケンリッターが剣の騎士にて烈火の将。我が愛剣の名はレヴァンテイン!! 問おう、此処は一度引いてはくれないか?」

答えは聞くまでも無いのだろうが…時間稼ぎには成る。何よりも、若い才能を潰してしまうのは嫌だ。

そんな時だ、悪寒が私を貫いた。

「ッ!! 紫電―――――」

振り返る勢いそのままに、私は全力でソレを薙ぎ払った。

「――――一閃!!」

閃光に衝突。痺れる右腕。強い衝撃が腕を通して体に伝わる。打ち払う心算で全力で薙いだ私の一撃は、その衝撃により私自身が弾かれる事でその成果を見せた。

右腕の感覚が無い。痺れは在った。だが、動かそうにも痺れが邪魔をする。良く見ればレヴァンテインにも亀裂が幾つも奔っていた。眼前を見る。この異相結界内でモノを幾ら壊そうが元在った場所には何の影響も無いから良いが…

倒壊しているビルを見ると怖気が奔る。更にその攻撃が在った場所は抉れ、クレーターが出来ている。砲撃? 否、アレは…

其処には当たり前のようにあの少年が居た。瓦礫に刺さっている槍を掴みさも当たり前のように言い放つ

「初めましてベルカの騎士。此処で終わってくれませんか?」

「初めましてベルカの戦士。逆に貴公が此処で果ててはくれないか?」


やはり、お前はそうなのだな。明智。










どんどんと近づく月に思う。

なぜこんな事に労力を削がねばならないのかと。

思ってみたが、結局は自身の目的の為なので苦笑しか出て来ない。そんな下らない事を考えて居ると、目的のポイントを過ぎて居た。肩に乗っている久遠が心細そうにかぼそく鳴いた。

「…大丈夫だ。」

「クゥ…」

まるで怖がっていないと訴えるかのように首を振る久遠を見ると、其処ら辺にいる様な子供を連想してしまい可笑しくなった。そして、自分も年齢的には大して変わらない事を思い出すと余計に可笑しくなった。

「久遠、何をすれば良いか解るな?」

(お手伝いと援護。それと支援?)

「あぁ、正解だ。」

「クゥ♪」

得意そうに尻尾を振る姿は愛らしいのだろう。そんな久遠が実はとんでも無い威力の攻撃が出来ると知れば、知った人間は嘘だと思うに違いない。それ程のギャップがある。
その久遠のサポートが無ければ今の明智良哉では、右腕の力を十全に発揮出来ないのだから情けない。

シュベルトを構える。幅広い突撃槍から徐々に細身に成って行く。柄よりも大きかった刃はどんどんと縮まり短くなる。刃の全長はおよそ30㎝、幅は柄と同じ程度の大きさ、全長は約2m。

最初に纏っていたのはミッドチルダの魔導師らしい服を意識したBJだった。ソレが少しだけ変わる。軍服の上からコートを羽織っていた形から軍服にコートが絡みついた形になっていた。その姿はライダースーツを着て居る様に見える。

顔を隠す仮面も無ければ、体の各部位を護る為の甲冑もない。

『Anfang』

槍がそう吐いた。パキっと槍頭が割れる。中心から割れ、更にその二つがまた割れる。現れたのは四つ叉の槍。その中心に在るのは槍頭の無い短い突起のみ。

「久遠、頼むぞ?」

(久遠、頑張る!!)

魔力刃が形成される。ソレは中心から伸びた。周りの槍頭よりも少しばかり長いソレは徐々に長さを増しデバイスと同じ長さに成る

『Kompression』

デバイスがそう吐くと魔力刃は最初に形成された時の半分以下の大きさに成った。再び、その槍頭は伸びる。

『Kompression』

繰り返す。何度も、何度も何度も何度も。何度も繰り返す。既にその術式では無理なのだろう。圧縮された魔力はその強固な外殻を突き破り漏れだそうする。

『Vermischung…Sperrung.』

続けよう。右腕から異音が連続して起こる。久遠が右肩の上で毛を逆立てる。

右腕から異音が連続して起こる。右腕が熱くて仕方が無い。

右腕が異音を連続して放つ。右腕から何も感じなくなった。

『gemischter Chor. Ausklang』

「Eine schrittweise Ende」
「轟き、奔れ。祖は我が欠片也」


『Durchbohren, Werfen.』

「ブリューナク」
「轟雷閃衡」

魔力と霊力は似ている。明智良哉と久遠の考えた結末。その二つは酷く似ている。氷村との戦いで解った事だ。久遠は最初から確信していた事だが、明智良哉が魔力を『圧縮』する事に長けていなければひたすらあの時間を繰り返していた事だろう。
魔力と霊力の違いはその大きさだ。この世に在るモノ全てには形が在る。ソレが認識できるか認識できないかの違いだ。全てが形は違うが小さな塊で出来ている。霊力はその粒が小さく結び付きも小さいが内包する力は魔力と同等かそれ以上のモノであり。
魔力は霊力よりもその粒が大きく、内包する力は同等かそれを下回りその結び付きは霊力よりも強い。
元からリンカーコアから精製…正確には蓄積し害の無い様に加工する内臓器官でありそれは肉体が死んでしまえば当たり前のように動かなくなる。肉体が生きて居れば問題なく機能するが…は生きて居ないと使えないモノだ。
霊力は生きて居ても死んでいても使えるモノだ。其処にその存在が在ると言うだけ使えるモノだ。最初にその力の認識、使える程度の容量が在るかの問題もあるがそういうモノだ。

魔力を人が使うには生きて居なくてはいけない。命が無ければ使えない。そして生体エネルギーの一種でも在る。リンカーコアに蓄積、加工された瞬間からそういうモノに成る。
そして、その下地には霊力が存在する。大きさは関係なく生物には全て微弱ながら霊力が存在する。
だからとは言えないが、この二つは相性が良い。良すぎるのかもしれない。霊力は魔力からの影響を受けにくい。魔力もそうだがその分、霊力と比べると他の力に影響されやすい。霊力は重力等に僅かながらの影響を受けるがその他の影響を受けにくい。その為か魔力を持って霊力を打ち破ろうとする普通の儘では殆ど影響を受けない。擦りぬけてしまうかのように手ごたえを感じれない。
故に魔力をギチギチに圧縮し魔力を構成する小さな粒を壊してしまうぐらいに構成の隙間を潰さなくては成らない。霊力が魔力を擦りぬけれないくらいに堅めてしまわなければ影響を与える事は出来ない。

明智良哉がとった行動は、その堅めた魔力の内に後天的に備わってしまったモノを久遠のサポートで詰め込むと言う事だった。


話は変わるが魔導師には個人でそれぞれの特徴が在る。人間なのだから当たり前の事だが。その中でも一番に上げられるのはスキルだ。それも固有スキル。レアスキルと呼ばれるモノが上げられる。
その次に上げられるのが体質。魔力変換体質と呼ばれるモノだ。コレは魔法を介さずに魔力を自然に他の現象に変える事が出来る体質を持つモノの事を言う。フェイト・テスタロッサの雷等がそう。しかし、魔法式を通すという一手間を加えれば適性しだいではできるのでアレば便利というのが一般の考えである。
しかし、コレはアレば良いな程度のモノではない。一手間掛ける時間を省ける分、速く行動を行えると言う事で敵対する者からすれば堪ったものではない。その分ロスが無いのだから隙が出来にくい。

明智良哉が後天的に得た資質はコレに近い。そして、酷く扱い難い。現状では久遠がいなければ本来の力を発揮出来ない上に自身では静電気程度の威力しかない。それ以上を出そうとすれば何が起きるか解らない。
自爆覚悟でするにも博打の要素が高すぎる。
しかも正確には久遠が居れば良いと言う話ではない。接触していなければならない。肉体的でも精神的でもどちらでも良いがこの二人に関して言えば後者は無理なのだ。根本の存在が違い過ぎる為にどちらにも悪影響を及ぼす。
契りはしているがアレとは別の意味での接触が必要なのだ。さらに言えば夜の一族の血の影響が在る為、その契りからの発展系の契約を出来ないでいるのが現状である。
明智良哉は久遠を抱えたまま戦闘を行えるほど強くはない。久遠がどうなっても良いのなら出来るが、久遠に無いかが在ると自身の右腕がどうなるかも解らない。故にヴォルケンリッター等の古兵との戦闘は無理なのだ。

そして、明智良哉がシグナムよりも優れているのは今この状況のみであり。この攻撃は奇襲。そして、この奇襲で一定の結果を残せなければ辛い持久戦しか残っていない。


つまりは、全力で最大の威力を誇る攻撃が出来るはこの一回きり。

そして、その攻撃はシグナムに逸らされてしまった。腕一本を一時的に使えなくする事には成功したが全てを見せるには早すぎるのが今だ。何よりも、過去でその奇襲と限定条件下での全力で引き分け。気が重たくなるのを自覚しながら明智良哉は口を開き簡単な言葉をシグナムと交わした。







アースラのブリッチではリンディ・ハラオウン含め、スタッフ全員が一瞬茫然とし手を止めてしまった。明智良哉の取った行動にも驚くには驚いたが動けないほどでは無かったが、問題はその威力に在る。
アースラスタッフ。それもブリッジに詰める職員は在る程度は明智良哉の事は知っている。特にリンディとエイミィは知っている。明智良哉の魔力値は当然知っている。自分達が知る限りではAAA-。ソレが魔力だけを見た場合の明智良哉の評価だ。

「ハハハ…艦長。良哉君の今の魔法何ですが威力的に見ればS-なんですけど…」

「理論上は可能よ。条件が有るけど少なくともあの子なら可能だわ。なのはさんのもそうだけど…この子の圧縮技術もとんでも無いわね…クロノったら、あの短い期間で一体どこまで詰め込ませたのかしら」

一目見ただけでどのような技術を使っているかを言い当てるリンディの目にもエイミィは驚くが、それ以上に驚いている人物が別の場所から結界内に突入した。



「いや、入るの楽に成ったけど…アイツ奇襲かけたな?!」

ルーダーはそう言いながら結界内に突入し、直ぐに障壁を張った。

ビキリと嫌な音が聞こえた瞬間にバックステップし、後ろに跳ぶ瞬間に魔法を解除する。一瞬、支えを失った襲撃者がバランスを崩した隙にその後ろからアルフが殴りかかる。

「貰った!!」

「?! 危ねぇ!!」

「シッ!!」

襲撃者はバランスを崩した儘、踏み止まる事はせずに前に倒れこむ。自分から飛び込むように前に…否、地面に跳ぶ。突きだされた両手が己の体重を支えれる様に。ルーダーの警告は僅かに遅く、アルフは顎に踵が当たるのを防ぐ為に首を逸らす。

ピッと頬に掠り、其処が熱を持つ。

(行ったん引くか?)

その選択肢が頭に浮かぶが、眼前を見ればソレが出来なかった。顎を狙った一撃は完全にフェイクだった。本当の狙いはルーダー・アドベルトだった。
ルーダーは襲撃者のアッパーを両腕を交差する事で受け止めたが余りの威力に体が撥ねあがった。

(チィ!! アタシは眼中に無いってかい?!)

アルフはルーダーの援護に行こうとしたが辞めさせられた。上空へ撥ねあがったルーダーが爛々と光る眼でアルフを見て居たからだ。その瞳が言っている。

其処に居ろ

その顔には余裕が見えた。其処で冷静に成る。翌々考えれば魔力強化されているとはいえ、BJを纏ったAランク魔導師を打ち上げられる筈も無い。

「…悔しいけど、アタシより隊長さんの方がやっぱり適任か…」

アルフは動く事無く二人の様子を観察する事にした。ルーダー・アドベルトが何をしたいかが解っているからだ。此処まで来て何をするかが解らない様な低能ではない。2対1のこの状況。巧く隙を見つけてやろうじゃないか!!

即席のコンビが此処に生まれた。




空を駆け、ビルの屋上に降りる。その事から、相手が何を望んでいるのか襲撃者…ザフィーラは直ぐに理解出来た。まぁ、己に武装が無い事も関係しているのだろうが自分が一番得意とする領分を選ぶとは…好感が持てる。
ザフィーラはそう思った。

「自分で飛んで威力を殺したか…戦い慣れてるな。名は…何と言う。管理局の魔導師」

ルーダーは内心引き攣った笑いを上げたかった。管理局に勤めて十年、何度も負けたでも生き残って来た。その感が伝える。今は勝てない。勝てる状況じゃない、情報が少なすぎる。
さらに言えば、相手の使う魔法からミッド式ではなくベルカ式だと言うのは一目了然で相手の立ち振舞いと身体特徴から使い魔。ベルカでは守護獣と呼ばれるソレだと解ったし、相手の主が高潔なモノだとも予測出来た。
つまり、名乗り名乗られたらならば…ソレが戦いの場での事ならばそれはベルカの者達からすれば神聖な戦いの儀式に他ならない。名乗り合った相手と、誓って不正の無い戦いを行うと宣言する事だ。
冷や汗が流れるのが止まらない。

(…ベルカはその辺が特に厳しいからなぁ。横槍いれるなら確実に仕留めねぇと後が怖い)

「時空管理局巡航L級8番艦。次元空間航行艦船アースラ武装隊隊長ルーダー・アドベルト」

「ほう、一部隊の隊長か…俺の名はザフィーラ。ヴォルケンリッター・盾の守護獣、ザフィーラだ!!」

名乗りが終わった瞬間から、戦いの始まりだ。だからこそ名乗る前から体が直ぐに動く様にしなければならない。何の変哲もない右ストレートを右斜めに進む事で回避、ボディ狙いで左で殴るも左ひざで防がれる。

(魔力で外殻強化してなかったら拳が痛んでたな)

「ダラァ!!」

ザフィーラの軸足を右のローで刈り取る。右に跳ばれ避けられる。右足を止めずに振り切りその勢いの儘倒れこむように左側へ重心移動。右足が地面に付いた時点で左回し。
案の定ザフィーラはルーダーの左足前に進み足の内側に左腕を盾に擦る様に当て突っ込む。
胴体。股間から胸までを阻むように障壁を張るも、バリアブレイクが込められた右の拳が障壁を砕く。その間の時間で射線上に起動されたデバイスと右手を突っ込む。

ビキィ

先端で受けたせいだろう。罅が入った。同時に攻撃は防げた。その場から後ろに跳び引き間を保つ。

「股間狙うとか容赦ないねぇ」

「ハッ、防いで置いて良く言う」

違いねぇ。

「防がないと玉無しに成るだろうが、守護獣」

「問題無い。どの道非殺傷だ。死ぬほど痛いだけだ、魔導師」

こいつ…

「男の風上にも置けない所業だぜ?」

「何、名誉の負傷にしておけば良いだろう?」

警戒しているな? それなら、やり方を変えますか…

「これでも、もう一人子供が欲しい身でね。頑張らなきゃならないんだよ」

「良かったな。まだ潰れてない」

時間稼ぎに徹しましょうか!!

『Fire』

四つのスフィアが射出された。










一人と一人。ソレを見守る一人。見守る側に成ってしまったフェイト・テスタロッサは動くに動けなかった。動いて良いのかも解らなかった。頭の中では?マークが浮かび続けて居た。
敵対している二人は、然も当たり前のように話している。最初の一言は明確な敵意が在ったと思う。たぶん、そうだと考える。が、それでも今の状況が解らない。先程まで自分が刃を合わせて居たシグナムと援軍として来た明智良哉は仲がよさそうに話している。

「やはりな…砲撃級の魔力を込めた投擲か…また無茶な真似を」

「ソレを言われると何も言えないな。だが、アレの真芯を捕える貴女も出鱈目だ」

二人は一定の距離を保ったまま話している。私が見た限りでは二人が動いたのは互いの獲物を構えなおした時だけだ。一体なんなんだろうか? 私にはあの二人の行動が解らない。

「あぁ、私も咄嗟の判断にしては出来過ぎだと思っているよ。」

「化け物め。咄嗟に出来る事がアレか? 戦いたくないな、貴女とは。」

「そう言うな。実はな、血が滾ってしょうがないんだ。かなり前から、貴公の戦いを見てな。さて、もう良いだろう? これ以上は私も仲間から在らぬ疑いを掛けられそうだ。」

ゾクリとした。背筋が凍った様な寒気を覚えた。違う、さっきまで私と戦ってたシグナムじゃない。震えが止まらない。何? コレは何? 怖い。あの騎士が怖い。

「我が名はシグナム!! ヴォルケンリッターが烈火の将!! 剣の騎士だ!!」

「…明智良哉。騎士名等も持って居ないし字も持って居ない。強いて言えば執務官候補生予定? かな」

見る間にリョウヤのBJが変わって行く。胸当てが追加され具足が追加され手甲が追加された。徐々に頭も兜に包まれていく。

狼を模した様な兜。手甲は肘から突起の様なモノが生え、具足も膝から似た様な突起が生えた。指先まで丁寧に包まれたその姿は二足歩行する獣の様で、槍を構えて立つ姿はとても鋭く見えた。
戦いの合図は無かった。強いて言えば突然だった。お互いが計ったように動いた。リョウヤの踏み込みはただ速かった。シグナムの踏み込みは巧かった。
激突音が響く。私はその中に入っていけない。入ってはいけないと思った。私では駄目だ。スピードに付いていけ無い訳ではない。一撃の威力が劣っている訳でもない。ただ、あの中に入れば自分が堕ちる事は解った。
私はリョウヤとコンビネーションの訓練をした事が無い。私はリョウヤの戦い方を知っている訳ではない。逆もそうだ。下手な援護は邪魔にしかならない。私にはただ見て居る事しか出来そうもない。
でも、ソレは嫌だから。何も出来ない自分は、もう嫌だから。私は一定の距離を取り他に援軍が居ないかを警戒する事にした。








(速い!!)

シグナムは素直に称賛する。直線的な動きでは自分よりも速い。先程まで戦っていたフェイト・テスタロッサと同じか、若干劣る程度の速さ。何よりも気迫が違う。血が滾る。間違いなく自分を殺しに来ている。
否、殺す気で責めてきている。

一合目、腹を狙った刺突を撃ち落とす。

交差。瞬間に反転打ち上げ。逃げられる。

静止。心が弾む。興奮が体を熱くする。突撃、連撃。

下がりながら交わし、剣で弾き、流す。それでも止まらない。

(速い…それでいて、何て正確な?!)

突きが放たれた瞬間に肩に魔力ダメージ。問題無し、騎士甲冑を抜ける一撃では無い。
突きがやむ事が無い。だが、連続した攻撃には必ず終わりがある。その隙が少なくても攻撃のチャンスが在る。
ソレを見逃さずに捌く。避ける。迎撃し少しでも相手に疲労を蓄積させる。

(弾け弾け弾け弾け!!)

敵は人間だ。バケモノでは無い。怪物では無い。故に完璧では無い!!

「そこぉ!!」

横薙ぎの一撃は明智を捕えたが、槍の柄に因って防がれた。吹き飛ばし、距離を開けて息を整える。

末恐ろしいとはこの事を言うのだろう。子供の肉体で身体強化の恩恵を受けて居る事を含めても四十七の突きは恐ろしいモノが在る。コレが、後十年…体が出来上がりリーチも伸び体力も付いた頃には一体どれほどの速度が…

「…やはり、防がれたか……」

だが、フェイト・テスタロッサと同じように速い分、装甲が薄い。






ジクジクと鈍い痛みが背中に、ジンジンと痺れる腕が横にダランと垂れ下がっているこの状況。嗤いたくなってくる。何もかもが違う。以前のシグナムとは全く違う。技術、膂力精神的タフさ。
以前とは全く違う。以前ならば、あの連撃に対して連撃で対抗しようとする筈だ。ソレが無理と解ってから今の反応ならば解る。だが、最初からあの対応は今までとは全く違う。自分の知るシグナムとの気性と全く違う。

『主?』

「…傲慢に成ったもんだな。自分の知る事が全て正しいとでも思っていたらしい。」

馬鹿馬鹿しい。ソレが本当ならば、今頃普通に暮らしている筈だ、自身の望みを叶えている筈だ。慢心だ。惰弱だ。弱く成ってどうする? 明智良哉!!

「往くぞ、シュベルト。自分の望みは自分で掴み取る。利用できるモノは何でも利用して下衆は下衆らしく目的を達しよう。」

『御意』

自分が出来る最大の踏み込みから跳躍、そのままSonic Moveで一直線に近づき急停止。相棒を突き出す。結果、弾かれる。
行動を止めずに薙ぎ払う。結果、避けられる。
薙ぎ払いを無理やり止めての打ち下ろし。結果、剣で流される。
全ての行動がシグナムの作る流れに吸収され、自然とシグナムが攻撃しやすい間が出来る。

風が巻き込まれ、叩き潰される様な音が体の横を通り抜ける。続けて打ち上げられる剣に冷や汗が止まらない。そのまま、薙ぎ払い柄で受け止めそのまま流す。戦いの流れを作れなければ何も出来ずに敗北するのが目に見えて居る。
剣を流し、体を流し、相棒を短く持って薙ぐ。其処に相手は居ない。動きを止めずに上昇する。一瞬前まで体が在った場所に回し蹴りが炸裂していた。恐ろしい事にシグナムの目は明智良哉を捕えたままだ。
其処には一片の油断も慢心もない。純粋に楽しんでいる意思が存在する。その事に怖気を覚える。戦いが楽しくて楽しくて堪らないとでも言いたそうにその目は明智良哉を見ている。
まるで、お前もそうだろ? と、友人に語りかける様な親しみの情まで見える様な、そんな瞳が明智良哉の目と合った。

「っ?!」

ブルリと背筋が凍りつく。それでも動くのを止めれば墜とされる。だから動かなくては成らない。明智良哉の奥底で何かが必死にそう叫ぶ。本当なら此処で逃げ出したい。戦いなんて下らない。
そんな事はしたくない。本音を言ってしまえばそうだ。臆病と馬鹿にされてもソレが一番良い。選べるのならばそうしたい。だが、その選択肢は選べない。

故に、明智良哉は動くのを止め待ちの体勢に入った。無防備に構える。一定の距離は保たれたままだ。

シグナムと明智良哉の差は大きい多少の自信が在ったスピードでは倒せず。力押しでは負け、技術の勝負では勝てる見込みが無い。負ける要因なら腐る程在る。記憶違いの能力は仮想敵として在ったシグナムの何倍も強い。

だからこその待ち。だからこその『後手』

どんな達人にも隙が在る。その小さな小さな隙を付けば勝ち。どんな勝負も拮抗すれば在る程度の美しさというモノが存在する。圧倒的な力が圧倒的弱者を打ちのめす瞬間は、第三者から見れば爽快な気分を見せてくれる事だろう。
だからこそ、待つ。攻撃を待つ。

「諦めたか?」

「何、少々飽きただけだ。」

シグナムは明智良哉の言葉に眉を寄せた。だが、直ぐに不敵な表情に戻り言う。

「良いだろう。互いに全力では無い。此処は一つ、その挑発に乗ってやろう。負ければ重傷、勝てばこの首くれてやる」

だから、失望させてくれるなよ?

言外の言葉が明智良哉に冷たい火を灯す。熱く無い。凍える様な冷たさを持った火を付ける。

「紫電―――」

その攻撃方法は文字通り一閃。

繰り出されるアクションキー。

「――――一閃!!」

完成されるスキルワード。美しい程に鮮烈な吹き荒れる火炎の魔力。もはやソレは爆発に近い。

横薙ぎの速く鋭い一閃、槍の柄を斜めにし流す。

『Blitz Action』

接触した瞬間に槍を回転、右から繰り出された一閃を柄で流し受けながらの一連動作。半回転した槍が縦に、石突が上に刃が下に。

繰り出すは打ち下ろし。超高速移動魔法の恩恵を受けたカウンター。ソレは当たり前の様に掲げられた鞘を砕くだけで終わった。

(この勝負。貰った!!)

全ては想定した範囲内。機械の様のに次の行動は速やかに、迅速に、精密に、流れる様に、まるで呼吸するかのように放たれる。





鞘を盾にし石突の一撃を防いだシグナムは笑いが止まらないとばかりに、内心では喝采を上げて居た。
興奮する自分と、冷静にソレを見る自分が存在しその冷静な自分は素直に称賛し、興奮するシグナムはソレを嘲った。確かに、このカウンターは素晴らしい。だが、経験が足りない。
この程度の事は在る程度の技術と胆力が有れば実行できるモノだ。そして、この程度では今の自分には届かない。それが、シグナムの下した判断だった。と、同時に目の前の少年が自分の主とさして変わらない年齢で在る事を思い出す。
自分が相手に求める実力を、十にも満たない少年に求める方がどうにかしている。そう考える。そう、考えると…この少年の実力は決して低く無いと認める。騎士の称号を与えても受け入れられるギリギリの力量はある。
多少劣っていたとしても、将来性がある。否、確実に今よりも強くなるのは明白。考えるまでも無い。

(此処で折れてくれるなよ…明智?)

流れた剣をすぐさま引き戻し、終わり。ソレが普通の筈だった。此処までくればソレが妥当で在った。これ以上ないぐらいのタイミングだった。

空気が抜ける微かな音が聞こえた。体が反射的に後ろに下がろうとする。

突然の衝撃。そうとしか言えない衝撃が全身を叩き、脳を揺さぶる。打撃も斬撃も喰らっていない。なのに全身を衝撃が打った。霞む視界の中、ソレを見つける事が出来たのは運が良かったのかもしれない。
明智良哉の騎士甲冑(BJ)の変化を発見した。兜だ。微妙に兜の形が変形している。口元が見えて居た筈の部分。狼の顎が閉じて居た。その代わりに、正面には空洞が在った。
頭の中には理解不能の文字が浮かぶ。視界が少し歪む。立てない事は無いが戦闘には支障を来す。そして、自分の体に起こった事を一つの違和感と共に理解する。

(耳が聞こえない?)

だが、ゴウゴウと風が吹く様な音が聞こえる。

(まさか?!)

驚愕の攻撃方法。その事に体が硬直する。その一瞬は致命的だった。明智良哉の槍は突撃槍に戻っていた。その厚い刃は幅が在り、斬られれば斬撃と打撃を同時に与える凶悪なものだ。
ソレが割れる。まるで、顎を開いた鰐の様に。

投擲される二又となった槍は、愛剣をその間に挟み過ぎ去っていく。

互いに素手の状態。相手の武器を奪うどころか自分の愛槍まで手放す事に理解が追いつかない。
空中に居ると言うのにダンと踏み込む音が聞こえる様な気がする、激しい踏み込み。瞬間姿を見失い、己の直感に従い後ろに跳ぶ。避けれると思った中段突きは拳一つ分の間を埋めれずに止まる。
それが、フェイクと気づくのが遅かった。途中から曲がる中段突き等ない。そんな拳は無い。本命は肘。更に一歩踏み込まれる。後ろに逃げるにも足元が覚束ない。空中だからこそ飛んで居られるのだ。
耳と一緒に平衡感覚も少し狂っている。後ろに飛んだつもりが全くと言って良いほどに飛べて無かった。振りぬく様な旋風が掠った。そう感じた。だが、結果は酷いモノだ。騎士甲冑が剥ぎ取られていた。腹の部分に横一閃の切れ込みが出来て居た。

(あの騎士甲冑はそう言う意味だったのか…ハハハ。面白い!! だが、拙いな・・・)

続けて放たれる蹴り。大きく飛ぶ騎士甲冑を斬られる。
止まらない回転。顔を横に倒し反り避ける。後ろに移動する事は常に行っている。頬に焼けつく痛み。
止まらない旋風。鋭い手刀。正しく剣その物。斜めに胸当てに傷が付く。
止まらない連撃。腕を掴まれた。引き寄せられる体。髪を掴まれ下へ。顔を狙う膝。中る前に髪を掴んでいる手を握り、明智良哉を飛び越すように前宙。
背中に痛み。擦られた様な痺れ。

右手に魔力を集中させる。本来ならば自害用の魔法。だが、それこそが切り札にもなりえる。勝負はまだまだ決まらない。決まる訳が無い。なぜならまだまだ自分達は全力で無い。
そんな思いが心を擽る。それは心地の良いむず痒さを伴い、まだ足りないと渇望する麻薬の様な思い。だが、それは求められなくなってしまった。

結界が壊される破砕音。同時に首根っこを引っ張られ息が詰まる。

時間稼ぎは終わった様だ。










クロノ・ハラオウンは周囲の捜索に集中していた。誰かに入れ込む事を任務中にする事は出来ない。故に明智良哉がシグナムと戦っているのを視界の隅に置いた後、無言で結界内を探し回った。
事前に闇の書と言うロストロギアをの情報を多少集められたのが良かったのだろう。

闇の書・守護騎士プログラム。雲の騎士団。ヴォルケンリッター。

烈火の将・剣の騎士、シグナム
鉄槌の騎士、ヴィータ
湖の騎士、 シャマル
守護獣、ザフィーラ

この情報は大いに役立つ。人数が把握できると言うのは現場で重要な事だ。コレに加え2~3人、人数を増やした人数が居ると過程して捜索を行う。闇の書のマスターは居ないかもしれないが、協力者がいるかも知れない。
だが、時空管理局に表だって喧嘩を売る様な組織は多く無い。其処まで大きい組織は柵によって行動を制限されている。動いているとなれば噂位は立つ。故に、協力者は少数と過程。
そして、ヴォルケンリッターが蒐集を行っていると判断するには、少し前から多発している衰弱事件との繋がりが多く。繋ぎ合わせれば納得してまう。最悪、別に犯人が居るとも考えているが、何故蒐集を行っているかが不明の為に考えるだけに止めている。

(ん? なのは…何を…まさか?!)

「あの状態で魔法を打つつもりか?! 」

だが、在る意味ではチャンスだと言う事も理解していた。今、この結界内で一番弱っている高ランクの魔力を保持しているのは間違いなく高町なのはだ。
ならば、この隙に蒐集に動くモノが居る筈。

(チッ…あの馬鹿は何をやっている。止める…いや、止めたんだろうな。)

気に入らないモノ同士だが、認めれる部分は認めている。それは一種の友情の様なモノなのだろう。ユーノ・スクライアは押しが弱い。高町なのはは押しが強く頑固だ。もしかしたら、鉄槌の騎士の足どめをしているからなのかもしれない。
フェイトも周囲を警戒しているのが見えた。その判断は正しい。あの二人。フェイト・テスタロッサと明智良哉はコンビネーションの訓練をしていないし、お互いの戦闘スタイルも理解していない。

組ま無い方が安全だ。

そして、高町なのはを蒐集と言う名の魔法が襲った。胸から生えるかのような女性の手、その反応を辿り発見。僅かな魔力に気づけた自分を褒めたいくらいだとクロノは思った。

「動くな!! 時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ。管理外世界での戦闘に傷害行為、さらに最近多発している魔法生物衰弱事件への関与の疑いがいが君達には掛かっている!!」

「くっ?! 管理局!!」

「即時戦闘行為の停止!! デバイスの機能解除し投降しろ!! 話は艦の中で聞こう」

クロノの中で憎しみと言うモノが声を上げた。

そいつらは殺人犯だ

幾つもの世界を破滅へと追いやった。

幾人もの魔導師を再起不能にして来た。

家族を奪った!!

魔法を撃て!! 裁きを下せ!! 殺人には殺人を!! 報復だ!! 復讐だ!! 当然の権利だ!!

そう叫ぶ。クロノ・ハラオウンの中でその声が反響する。

叫んで、叫んで叫んで叫んで…反響し消えて行く。ただそれだけだった。

そんな事は絶対にしない。私刑等絶対にしない。復讐等してやらない。クロノ・ハラオウンは執務官だからだ。法の番人。法の狗。管理局の狗。好きな様に呼ばせれば良い。犯罪者には法の裁きを受けさせる。
執務官の仕事であり、誇りであり、義務だ。其処に私情を挟むなんてもってのほかだ。

ソレがクロノ・ハラオウンの建前だった。本音は年相応のモノ、ただ単にかっこ悪い姿を見せたくなかった。

不意に感じた僅かな危機感。今までの経験が咄嗟の防御を選択した。ガードの上から伝わる衝撃。一撃の重みは自分よりも上だと言う事が解った。
突然の不意打ち。その魔法の隠匿術は素晴らしいとしか言いようが無かった。魔法技術でも上だと認識。
視線が襲撃者を捕える。距離が離れてしまい。騎士の声しか聞こえない。襲撃者は仮面を被った男。自分の目はそう捕えるが、もしかしたら女かも知れない。
重い一撃を今まで一番の精度を持って受け流した。その事から違和感が湧いてくる。何かが違う様な気がしてくる。だが、その違和感が何なのかが解らない。だからこその違和感。しかし、今はソレを考えている時間が無い。

「っ、何者だ!!」

「時間は稼いでやる。さっさと逃げろ!!」

「っ………」

僕の言葉は無視しての行動に腹が立つがソレは当たり前の反応だ。直ぐに接近しバインドで拘束しようとするも、全てを紙一重で避けられる。まるで、何処に攻撃が来るのかを解っているかのように。
結果として、僕があの二人を捕える事は出来なかった。悔しいがあの二人、特に仮面を付けた魔導師は僕よりも数段上手だった。誤魔化す事はしない。

「クソっ…」





音を使った攻撃は巧く言った。これだけでも十分な報酬だ。明智良哉はそう思う事にした。出来ればまだ試したい事は在ったのだが、最後の最後で逃げられてしまっては仕方が無い。
ずきりと左手が痛んだ。手刀を使った時のミスが原因だろう、少々焦り過ぎたようだ。しかし、自分とシグナムの間にある差を考えると憂鬱になる。今回はお互いに顔見せの部分が強かったので良かったが、次からはもう無いだろう。
出来れば最初の一撃で仕留めたかった。
本当にアレは怪物だ。どうするべきか? 考える事はソレだけだ。正直な話、シグナムとはもう戦いたくない。十回戦っても一回勝てるか勝てないか程度の勝率しかない。アレはもう反則だ。

三半規管にダメージが在った筈なのに、必殺が出せない。視線で牽制された。そして、出せば必ず相討ち覚悟で攻撃してきただろう。そして、俺が倒れる。確実にだ。
最後の瞬間、出せるタイミングが在ったがその前に守護獣に持って行かれた。お互いに腹の内を見せずに済んだのを喜べば良いのか嘆けばいいのかが解らない。

『明智君、御苦労さま。直ぐに転送するわ。』

「了解です。」

空間モニター越しにリンディ提督に返事を返す。さて……これからどう動くか?













あとがき

クドわふたー…ふぅ。な、BINです。元気ですか? 作者は責任倍増給料微増でてんやわんやしてます。
今回はアレです。どれだけ戦闘を簡単に出来るかを考えたりしてました。どうだろうか? 
個人的にはこれ以上どうしようもないんですが・・・・苦手なんだもの。仕方がないよ…

なのはA`sの記憶がかなり薄れているので、自身は有りません!!また見ないとなぁ。



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