<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

とらハSS投稿掲示板


[広告]


No.5159の一覧
[0] ループ(リリなの転生物)前書き [BIN](2009/02/24 00:14)
[1] ループ(リリカル転生・習作)[BIN](2009/01/01 01:45)
[2] ループの二(好評のようなので)[BIN](2009/01/01 01:46)
[3] ループの二ノ一[BIN](2009/01/01 01:48)
[4] ループの二ノ二[BIN](2009/01/01 01:50)
[5] ループの二ノ三[BIN](2009/01/01 01:52)
[6] ループの二ノ四[BIN](2009/01/01 01:52)
[7] ループの二ノ五[BIN](2009/01/01 01:52)
[8] ループの二ノ五ノ外――ムカつく変な奴。(俗にいう外伝)[BIN](2009/01/01 01:54)
[9] ループの二ノ六[BIN](2009/01/01 01:54)
[10] ループの二ノ七[BIN](2009/01/01 01:54)
[11] ループの二ノ八[BIN](2009/01/01 01:54)
[12] ループの二ノ終[BIN](2009/01/01 01:55)
[13] ループの二・五ノ一[BIN](2009/01/01 01:55)
[14] ループの二・五ノ二[BIN](2009/01/01 01:55)
[15] ループの二・五ノ三[BIN](2009/01/04 03:45)
[16] ループの二・五ノ四[BIN](2009/01/01 01:53)
[17] ループの二・五ノ五(修正しただけ)[BIN](2009/01/01 01:52)
[18] ループの二・五ノ六[BIN](2009/01/01 01:52)
[19] ループの二・五ノ七(ゴメン、また修正だけなんだ)[BIN](2009/02/23 22:06)
[20] ループの二・五ノ八。[BIN](2009/01/01 01:49)
[21] ループの三ノ一(すずか編 通称どN)[BIN](2009/01/03 03:10)
[22] ループの三ノ二(すずか編 通称どN)[BIN](2009/01/04 03:44)
[23] ループの三ノ三(すずか編 通称どN)[BIN](2009/01/07 00:03)
[24] ループの三ノ四(すずか編 通称どN)修正しました[BIN](2009/01/11 03:07)
[25] ループの三ノ五(すずか編 通称どN)修正しました[BIN](2009/01/11 03:07)
[26] ループの三ノ六(すずか編 通称どN・完結)[BIN](2009/01/13 13:50)
[27] ループの四ノ一(やっとこさA,s…に入れてない?!)[BIN](2009/01/19 10:45)
[28] ネタ、作者の病気。反論は受け付けない俗にいうIF-----TS注意!![BIN](2009/01/10 23:02)
[29] 作者の病気は皆の病気?今回は軽度、前回は中度-----TS注意!![BIN](2009/01/17 08:23)
[30] ループの四ノ二(やっとこさA,s…に入れてない?!)[BIN](2009/01/19 10:44)
[31] ループの四ノ三(やっとこさA,s…に入れてない?!)[BIN](2009/01/21 21:02)
[32] ループの四ノ四(やっとこさA,s…に入れてない?!)[BIN](2009/01/21 23:54)
[33] ループの四ノ五(やっとこさA,s…に入れてない?!)修正しただけなんだぜ?[BIN](2009/01/22 10:24)
[34] ループの四ノ六(やっとこさA,s…に入れてない?!)[BIN](2009/01/25 00:54)
[35] ループの四ノ七(やっとこさA,s…に入れてない?!)シグナムの紹介を追加[BIN](2009/01/26 20:29)
[36] ループの四ノ八(やっとこさA,sに入りました!!)修正[BIN](2009/02/08 23:00)
[37] 俺のあたまがバニングス!!!!!!!!!!! 熱病だ…自重しようTS注意!![BIN](2009/02/23 22:30)
[38] ループの四ノ九(やっとこさA,sに入りました!!)ミスッタ、ゴメンなさい[BIN](2009/02/23 22:28)
[39] ループの四ノ終(やっとこさA,sに入りました!!)修正しました[BIN](2009/07/07 22:21)
[40] ループの五ノ一[BIN](2009/04/13 03:32)
[41] ループの五ノニ[BIN](2009/04/26 20:00)
[42] ループの五ノ三[BIN](2009/05/11 22:58)
[43] ループの五ノ四[BIN](2009/05/13 23:20)
[44] ループの五ノ五[BIN](2009/05/18 01:48)
[45] ループの五ノ六[BIN](2009/05/18 01:45)
[46] ループの五ノ七(ヴィが活躍?)[BIN](2009/05/22 00:52)
[47] ループの五ノ八[BIN](2009/05/31 23:39)
[48] ループの五ノ九[BIN](2009/06/11 23:06)
[49] ループの五ノ十[BIN](2009/06/23 22:17)
[50] ループ・たたり編。開始[BIN](2009/06/20 14:29)
[51] タタリ編ー2[BIN](2009/07/07 22:15)
[52] タタリ編ー3[BIN](2009/07/24 23:29)
[53] タタリ編ー4[BIN](2009/07/07 22:11)
[54] タタリ編ー5[BIN](2009/07/24 23:27)
[55] タタリ編ー6[BIN](2009/08/15 01:35)
[56] タタリ編七[BIN](2009/09/12 21:06)
[57] タタリ編八[BIN](2009/10/15 01:49)
[58] タタリ編九[BIN](2009/10/21 02:16)
[59] タタリ編十[BIN](2009/11/16 02:55)
[60] タタリ編―十一[BIN](2010/01/22 23:08)
[61] タタリ編十二(少し修正・改行)[BIN](2010/03/23 03:03)
[62] タタリ編 十三(修正しました)[BIN](2010/03/23 02:48)
[63] 日常?(修正しました)[BIN](2010/03/23 02:44)
[64] 日常2?(修正しました)[BIN](2010/03/23 02:39)
[65] A'sに入った!! 一[BIN](2010/03/23 03:22)
[66] ループのA'sの一[BIN](2010/04/20 23:55)
[67] A´sの二[BIN](2010/05/12 19:12)
[68] A'sの三[BIN](2010/06/08 22:45)
[69] A'sの四(2010.06.12修正)[BIN](2010/06/12 01:33)
[70] A'sの5[BIN](2010/07/03 21:15)
[71] A´sの6[BIN](2010/08/27 20:45)
[72] A´sの7[BIN](2010/11/24 23:35)
[73] A´sの8[BIN](2010/12/31 23:29)
[74] A´sの9[BIN](2011/03/27 16:24)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[5159] A'sに入った!! 一
Name: BIN◆5caaab55 ID:784a3ac9 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/03/23 03:22










獣は観察する。ソレは狩りの基本であり、狼を素体としている獣からすれば本能に従った行為だった。

知恵を持った獣は考える。如何にして獲物を捕えるかを…

男は決断する。短絡なのかもしれないが、あまり時間を掛ける訳にもいかない。

結界の展開、構成等は自分のもっとも得意とする分野でもあった。それゆえの帰結だったのかもしれない。




女は既に待ち構えていた。場所の決定、戦場の確保、自分達が有利な地形を選択し万全とは良いがたい「二人で戦う」為の万全を用意した。一部開けた場所は薄っすらと湿っていて、座ってしまえば濡れてしまうだろう。そんな事を思いながら彼女…シャマルは時を待つ。


意外な事に、任意の人物を転送する場所にバインドを設置するのには骨が折れた。普段ならばそんな事は無いのだが、かなりシビアな設定を使ったのが原因だと自覚しているので仕方が無いなとタメ息を吐く。



シャマル、ザフィーラの意思は完全には一致してはいない。



確かに明智良哉の存在は危険だ。近くに管理局員が居る事で、もし自分達の存在が知られれば一気に八神はやてまで捜索されてしまう。そうなれば、言い訳はできない。
なによりも、あの戦闘能力は危ない。補助と後衛をする自分では相対すれば先ず勝てないだろう。

前衛が必ずいる。足さえ止めれば自分には勝機がある。

前衛のみならば、少々危険な位だが楽観は出来ない。明智良哉の速さは脅威だ、シグナム、ヴィータなら何とか防ぐ事は出来るだろうが、自分では無理だ。一対一で勝てると確信出来るのはシグナム。ヴィータも勝てるだろうがかなりの損害が出ると考える。


ザフィーラと自分は論外だ。まず、あの速さについていけない。


戦うならば今回の様に罠を張り、相手の不意を付き短期決戦で一方的に行わなければ勝てる見込みは少ない。

故に、卑怯と言われるかもしれない策を使う。ヴィータもシグナムも今回の様な策はあまり好くでは無い。自分もそうだが…自分は参謀なのだ。仲間の誰もが考えつかない事を予測しておく必要があり、どんな最良の結果が待っていようとも最悪を過程しなければならない。


相手にどんなに信頼と信用を置いても、腹の底では疑わなければならない。必要ならば仲間も捨てなければならないが…ソレに関しては余り心は痛まない。


なぜなら、自分達はプログラムであり本体である『闇の書』が無事ならば幾らでも再生が出来る。

その事から、今回の作戦を考えついた。勿論、最悪の場合は自分のみ逃げ切らなければならない。今の主は綺麗な人だ。容姿の話ではなく、心の話し。優しく思いやりがあり包容力も有る。器も大きく、最高の主と言っても良い。


自分以外の騎士達は言い訳や嘘が下手だ。だからこそ、自分がその役目を担わなくてはならない。

本当ならば、後の二人を呼びたいがソレは出来ない。

もしかしたら



「殺さないと…」



シグナムならば大丈夫だろう。ヴィータは少々危うい。だが、ヴォルケンリッターと主には悪い。

今回の事は自分の独断で行わなければならない。主は絶対に守らなくてはならない。否、護らなくてはならないのだ。

待つ時間の長さに緊張が続き、口が渇く。無意識に唇を甞めると世界が震えた。





明智良哉にとって、この世界移動は完全に不意打ちだった。体は鍛錬のお陰で温まっていたが、如何せん体力を消費しているしこの場での奇襲は想定していなかった。それも当たり前の事だ。

明智良哉は自分の事をヴォルケンリッターが監視していた事を知らない。コレはシャマルの偵察技術の高さにも関係する。


そして完全に不意を打たれた明智良哉の体は膠着する。当たり前だ、心の隙を突かれた持ち直すには数瞬の時間を要する。コレは致命的だ。何よりも歴戦の兵であるヴォルケンリッターがその様な格好のチャンスを逃す筈もない。

なによりも、今まで近くに潜んでいたザフィーラに気付けなかった明智良哉のミスだ。背後から蒼い影が強襲する。直ぐにシュベルトを起動させたが遅い。襲いかかる拳を避けようと体を捻る。これすらも拙かった。

現れる光のリング、ソレは体を捻りかけた明智良哉の体を見事に捕え空間に固定する。明智良哉は咄嗟にカートリッジを排出し、槍の切っ先より魔力刃を射出するがソレは簡単に避けられる。

クロイツが既にバインドの解除を行っているがまだ、最低でも数瞬の時間を要する。その時間は明らかに自分にとっての不利を意味し、危機を表す。


(拙い!!)


空間に固定されている為叩かれても受け身が取れない、衝撃も逃がせない。大ぶり一撃は明らかに意識を奪う為の力が籠っている。此処で捕まるのは失態であり、今後の計画の大きな汚点となる。明智良哉はこの一撃を避ける事は出来ない。完全な絶体絶命だった。

此処で動いたのはラプラスだった。明智良哉は忘れてしまっているが明智良哉の付けている眼帯には防御の為の魔法術式が刻まれている。魔力が有れば自動で展開するソレの制御はラプラスにもできる。


ザフィーラの顎を狙った拳は展開された術式に阻まれる。コレで稼げたのは一秒にも満たない僅かな時間のみ。


だからこそ、思考する時間が出来る。

だからこそ、ザフィーラは警戒する。

だからこそ、シャマルは観察する。


だからこそ、その思考の結果が最良でも良いでもない結果に繋がる。


死闘を多く経験し、知識としても保管している。これは、明智良哉が誇っても良いモノだろう。命の遣り取りの中で『捕獲』という行為を行おうと思えば確実に相手の三段上の実力が必要になる。もしくは相手よりも確実に劣っている必要がある。

前者は余裕、後者は侮りが在るからだ。どれだけ気を引き締めても相手より圧倒的に強ければソレは知らない内に油断を生む。その状況で致命傷に近い傷を負えば自ずとソレに気付く事は出来る。


だが、ほんの僅かな掠り傷程度では自分で気を引き締める位しか出来ない。人…知能を持ち良識を持ち悪い考えもでき理性を持つ生物は完璧では無い。理性と本能が存在すれば僅かな差異と矛盾が生まれる。だからこそ間違え、乗り越え、正し、整え、より良い方向へ向かう事が出来る。

人は人が過小評価、過大評価出来る程の生物では無い。

人は己が思っているより劣っている。人は理想を描き夢を見るがソレを完璧な形で再現出来ない。叶わせる事が出来ない。矛盾を内包している時点でソレは無理なのだ。

ザフィーラ達ヴォルケンリッターも例に漏れず、矛盾を抱えている。ソレは心と呼ばれるモノを持っていれば自ずと自覚する事が出来る。どう思って居ようと現実では叶わない。だからこそベストでは無くベターが在る。妥協という言葉が存在する。

それが出来ないモノは挫折する。折れ、朽ちて逝く。誰も彼もが妥協し、最良を望みながらも次善に手を伸ばす。考える事が出来るからこそ派閥が生まれ闘争が生まれ破滅が訪れ再生される。ソレは絶対なのだ。誰も彼もが間違えながら生きて行く。誰も彼もが後悔して生きて逝く。


存在するのはソレを諦められるか、諦められないか。どちらかだ。そこから更に朽ちるかそれでも次こそはと抗えるか、どちらかだ。導き出された結果がある。

その過程で此処さえ違えばと言う箇所が在る。悲しい事に、この場に居る三人は全員が抗える生き物だった。それだけなのだ。


明智良哉は僅かな思考時間を得た。そして、目の前の存在を正しく認識する。故に予め蓄えて在った知識が答えを導き出す。ヴォルケンリッターは何れ再生されると言う『史実』を。明智良哉の最大の特性は繰り返しに因る未来知識だ。

ソレは繰り返す度に薄れ消えて行く氷の様なものだが、確かな利点でもある。だからこそ、対応策を用意する。もう、ソレを行ったのが何時だったかも忘れている。

だが、知識として蓄える為には必要な行為でもある。単純に書きとめているのだ。何処にでもある様なノートに。

詳しいか詳しくないか、ソレはその時の自分に確認を取る以外方法がない。細かい事などは既に忘れてしまっている。大事な事も同じだ。もう、声すら思い出せない人達が居て思い出が在る。だが、ソレは補完できる。

知識として補完出来る。人物等は正確と気性が解れば合わせる事は出来る。大きな事件はその流れを書き留めておけばいい。『闇の書事件』は関わった事が無い。

故に報告書位しか見た事が無い。それを見た経緯すらも別件を調べて居た時に見たモノだ、当時の自分の興味を引く事でも在ったのだろう。闇の書事件の報告書、その最後の方には確かに記録されている。


八神はやてにより、一度消え去ったヴォルケンリッターが再生されたと。


遅いか早いか、それだけの問題だ。此処で一人失おうとも彼らの行動は変わらない。より慎重になるか、仇討にくるか。恐らく前者に近い後者だ。在る程度まで安全を確保しなければ動く事は無いだろう。

今回でもかなり危ない橋を渡っている筈だ。その程度は解る。当たり前のように思考…気持ちが切り替わる。逃走を考え、殺傷を考える。冷静に確実に殺しに掛かる。

僅かな時間で導き出した結果、明智良哉はバインドから解放されザフィーラの一撃を喰らう。顎に拳を当て力に逆らわずに顎をずらし首を回し体を回し遠心力を味方に付け相手が逃げられない速度で右腕を振るう。

手刀を作った右手、その先には圧縮・収束した魔力が刃を形成する。右腕の長さが一センチ程度伸びた程度の幅だが、ソレは確実にザフィーラの命を奪うには十分だった。


ザフィーラは自身の迂闊を呪う。確実を求めた。ソレは仕方が無い。余り気づ付けては残りの獲物を捕え難くなる。だからこそ一撃で決める。顎が砕ける一歩手前の力加減。故に力がはいる。ソレ位デリケートなのだ。

魔力ダメージで相手を気絶させるには大きな魔力を使う。本来ならばじわじわと弱らせ、確実に倒さなくてはならない。だが、今は贅沢を言って居られない。だからこそ、緊張が生まれる。だからこそ焦りが生まれる。

明智良哉を出来る限り速く捕獲しなければ、捕獲しても意味が無い。他の二人に気付かれてからでは遅いのだ。管理局に知られるにはまだ早すぎるのだ。

何よりも明智良哉とルーダー・アドベルトと言う戦力と、ファラリス・アテンザと言うレア・スキル持ちが的に回るのは厄介なのだ。明智良哉を敵に回すのは危険なのだ。

久遠と言うイレギュラー…未知の生物が敵に回るのは拙いのだ。幾ら自身にどうにか出来ると言う自信が有っても拙いのだ。

明智良哉とシグナム、ヴィータに面識が有るのが原因だ。焦るのは仕方が無いのかもしれない、第三者が彼の心境を知ればそう思うかもしれない。だが、戦いを知るモノは焦ったお前が悪いと思う。焦りが力みを生み、力みが隙を作りだした。


その隙が自身の危機に繋がり相手の好機に成るのは直ぐに考え付く事だった。


(なんと…)


ザフィーラは思う。


(…未熟)


己の迂闊と失態。相手の技術と切り替えの速さ。


(すまぬ)


確信する。既にこの少年は人殺しを経験していると理解し、ソレが必要だったと割り切っている事を。

骨を切られ、肉を裂かれ、血管を断たれる。その後、目と目が合う。僅かな…本当に僅かな時間、目が合う。その瞳が、表情が物語っている。

無機質な視線、変わらない表情。


(侮った…ソレが敗因かだが…)


(我等の勝ち…だ)


明智良哉の胸元から生える、仲間の手。その手が明智良哉のリンカーコアを握り締めるのを見て、ザフィーラは逝く。


シャマルは明智良哉が此処まで出来る事に恐怖を感じた。そして、明智良哉と言う少年は間違いなく障害になると判断した。リンカーコアを握り締め蒐集を開始する。

明智良哉の呻き声が聞こえ、倒れる音が聞こえた。

サーチャーでその姿を確認し、数分待ってから現場に向かう。完全に気を失っている様だ。無抵抗な少年に対して、腕一本…と黒い感情が湧き出してくる。前は無かった事だ。この感情を胸の奥に押し込むと、この感情さえ、今の主の恩恵なのだと理解し愛しく思う。

仲間の体は既に消えてしまっていた。その事を悲しく思う。コレで自分達の愛する主の心に傷を作ってしまう。だが、書が完成すれば元に戻す事が出来る。ソレが悲しくも心強い。

常に一歩引いた位置取りを心がけて居たのが良かったのだろう。急に沸いた寒気に体が一歩無意識に下がり、右腕が撥ね飛んだ。その事に気づくのに数瞬。

事態の理解に全てを合わせて一秒。咄嗟に発動させた旅の扉に左腕を差し込み、初動を防ぐ。

明智良哉は気を失って等居なかった。稀に居る蒐集後も意識を保っていられる人間だった。己の失態だった。迂闊にも程が有った。仲間が討たれた事に動揺が有った。ソレが原因だった。

初動を止める。槍が薙がれる前に腕を抑え込み、体を動かす。同時に左腕に痛みを感じる。


(折られた!!)


腕に力が入らない。拳は作れど腕は上がらず。更に引っ張られ体が前に流れる。体勢を崩され、嫌でも相手に目が行く。眼前に迫る肘、眉間に当たるのを防ぐため額で受け止める、脆い障壁を張るのも忘れない。

少しでもダメージを減らさなければならない。ガチっと音がし、頭が後ろに跳ぶ。体ごと吹き飛び距離が開く、涙が流れるが目を閉じる事は無い。閉じれる訳が無い。眼前には既に敵が迫っていた。


(は…やい!!)


バインドの設置が間に合わない。槍は既に体に触れる直前。否、切っ先は既に腹に刺さり始めて居た。


(はやてちゃん…ごめんなさい)


鋼が体を貫く嫌な感覚。突撃槍というのが厄介だ。傷口を広げて行く幅広いソレは確実に死を与えてくれる。だが即死では無い。


(ごめんなさい…シグナム…ヴィータ…ちゃん)




BJを着て居て良かったと、明智良哉は場違いな事を考えながら戦闘状態を説いた。勿論、シャマルの死体からは距離を置き消えるのを眺めながらだ。血の匂いは取れ難い。自分が今厄介に成っている場所で、こうも新鮮な血の匂いをさせて居ては要らぬ誤解を与えてしまう。

そう考えて、今のBJよりも高速戦闘用の方が良かったかと思いなおし頭を掻いた。コレで先が解らなくなった。うまくいけば直ぐにでもヴォルケンリッター達は捕えられ八神はやてを確保出来るかも知れない。

ソレに越した事は無い。闇の書の暴走は起きないかもしれない。ソレは良い事だ。

闇の書を確保出来れば遅かれ速かれ解析がされる。そうすれば、ベルカ…聖王教会が手を出してくるだろう。

此方の側から向こうに恩を売れる。貸しを作れる。パイプが出来る筈だ。ソレが険悪なモノか良いモノか、少しでも良識があれば後者の関係を目指すだろう。貸しは保険だ。


そこまで考え、帰る準備を始める。帰ったら言い訳を幾らか用意しておかないといけない。ソレを考えるのは非常に面倒臭い。そう考えていると、一つ。不自然な事に気づく。自身がシャマルに負わせた傷は致命傷だが、即死の傷では無い。

痛みで気絶したのか、ショックで心臓が止まったのか? それでも、あの反応は不自然だと今更ながらに気付きシュベルトを構え腰を低く落とす。

だが、その行動は既に無意味なモノだったと明智良哉は理解する。

再び現れる光のリング。不自然なシャマルの体…左手が折れて居るのは知っている。自分が折ったのだ、知らない筈が無い。その左腕は何処だ? 

シャマルは木に寄りかかる様にして座り込んでいる。体も若干傾いているし、顔も伏せられている。体の影で良く見えなかった。注意力不足だった。


その事を今嘆いても既に遅い、その左腕は背後に有ったのだ。


「しまっ!!」


声を上げてももう遅い。

体は空間に固定され動けない。首に回ったバインドが変化するのが解る。コレはチェーンバインドだ。ソレはグイグイと力強く明智良哉の気管を圧迫し血管を圧迫し、頸椎を軋ませる。

即死でも無いのに安心してしまった自分に反吐が出そうになりながらも、バインドの解除に全力を注ぐ。蒐集されたばかりのリンカーコアは悲鳴を上げ痛みを訴える。それ以上に脳に血が回らずに視界が霞始める。


(くっ…そぉぉ)


シャマルが頬笑みながら顔を上げた。その顔色は青を通り越していた、白く美しい頬笑みを携えて、彼女は最後の力を振り絞る。


「貴方の…勝ちで…終わらせない…わ」


背中の肉が抉られるのが解った。残っていた全魔力を使った過剰な強化、ソレがシャマルの必殺の一撃だった。僅かな魔力しか残っていない明智良哉にソレを防ぐための力は無い。BJは当たり前のように破かれ、肉を抉られ、その中のモノを握り締められた。


左の胸に近い所から、ブジュっと何かが潰れる音が聞こえた。


「私と…貴方の…相討ち…引き分けよ」


ニィと口の端を釣り上げ、シャマルは逝く。


心臓を潰されたにも関わらず、明智良哉は無表情にその結果を受け入れ倒れ逝く。





明智良哉が目を覚ますと、其処には見知った天井が広がっていた。髪はまだ黒く、体には酷い筋肉痛がある。目の前には綺堂さくらが目を見開いていた。


(前回はこんな事は無かったぞ…)


そう思った明智良哉に久遠が「クゥ」と心配そうに鳴いた。




綺堂さくらは驚愕に身を固めた。起きる筈が無いのだ。起きれる筈が無いのだ。ソレが解っているから確認を行う為に来たのだ。なんだ、この出鱈目な生物は当たり前のように目を覚ましたではないか。

理解できない。自分の知る常識が当てはまらない。明智良哉の血筋に『特殊な血』は居ない。調べる限りではその存在は認められない。ならば、それ以前に居たのだろうという考えは浮かばない。

簡単な話だ、そんなにも昔に一度有るか無いかの可能性が有ったとしてもこうは成らない。先祖返り等と言う生易しいモノでは無い。コレは新たなる異端だ。それ以外に有ってはならない。

己よりも上位の存在、精神・肉体面でもその存在の密度で遥かに上回る久遠という妖孤に対して明智良哉と言う人間は弱すぎる。何れは食われるか自己崩壊する事しか出来ない筈の存在が当たり前のように存在する。

何処の喜劇だ? 自分達の一族の血が混ざった程度でその差は埋められる訳がないのだ。ソレで埋められるような差ならば遠の昔にこの小さい島国は自分達が治めている。誰にも気取られないように…


目の前で向くりと起きた少年に異常を感じられないこの現状が『異常』なのだ。


(氷村遊と同等? はっ、コレがその程度の存在ならどれだけ幸運なのよ私は!!)


危険だ。危険すぎる。この存在はこの生物は危険だ。人間だが何かが決定的に違う。

明智良哉はゆっくりと私を見た。目と目が有った。その瞬間、私は深海に引きづり込まれた様な感覚に襲われ動けなくなった。


明智良哉は自身が目覚めたタイミングに驚いたモノの、直ぐに何時もの思考を取り戻した。幸いな事に久遠が自分の近くに居るという事実が安心を与えて居た。此処に久遠が居る事で、明智良哉は自分の知りたい情報を直ぐに得られた。

今が、氷村との戦いから何日経った日かが直ぐに解った。そして、何故自分が前は起きて居なかったこのタイミングで起きられたのが直ぐに解った。心臓に有る鈍い痛みがソレを教えてくれた。

ただ単純に余りの痛みに脳が覚醒したのだ。

その事になぜだか笑いが込み上げてくる。殺されて起きる。まるで夢を見て居る様でとても滑稽だった。だが、その事が今の明智良哉には可笑しくて堪らなかった。襲撃のタイミングが解り、其処に何が有るのかを知り、其処で誰が待ち受けているのかが解った。

そして、先程までの自分は咄嗟の判断で引き分けに持ち込めた。否、持ち込まれたが正しい。が、それが愉快で堪らなかった。獲物が向こうからやって来たのだ。さて、どうしようかと考え思考の海に埋没しようとすると、大きな敵意が自分に向かって放たれた。

その放出元を見ると、二度ほど顔を合わせた顔が有った。何かを警戒し決心している瞳だったが、それはとてもとても微笑ましく見えた。だからこそ、この相手に対して何も思えないし思う事も無い。唯その姿を見つめ返した。


腹を満たした肉食獣はそれ以上、獲物を得ようとは思わない。

象は一匹の蟻に気付かない。

一滴の雨粒は大海に影響を与えられない。

一粒の砂は、砂漠に何の影響も与えない。


久遠と言う霊的上位存在との契りとは呪いであり祝福と同義なのだ。明智良哉に霊的な位置に置いて絶大な守護者が憑いたのだ。例え、明智良哉がその力の万分の一も使えず。死ぬかもしれない危険性を今まで以上に抱え込んだのだとしても、この存在の力強い。

蛇に睨まれた蛙。その表現を自分自身が体現するとは今まで思った事も無かった。

綺堂さくらは脂汗を掻きながら口を開いた。ソレは命を賭しての絶対の防衛線。これを踏み越えるのならば死が待っていようと踏み込む。その覚悟の言葉。


「貴方は『私達』にとっての『何』?」


明智良哉は頬笑みながら、過去に言った言葉をそのまま伝えた。


良き隣人・友人…と


その言葉は綺堂さくらに絶対の警戒と安堵を与えると同時に希望を抱かせた。


(防壁は堅い…私と忍は無理。すずかに託すしかなさそうね…)

「OK、解ったわ。私達にお互いを気づ付ける理由はまだ無い。そう言う事ね」

「えぇ、俺達はまだ互いを理解できないししていない。」


さくらは踵を返し部屋を出る。その短い間に一言だけ残す。


「忠告、『私達を甞めない事ね』本気に成った女は怖いわよ」


バタンと戸が閉まると明智良哉はタメ息を吐く様に呟いた。


「身を持って経験していますよ」





次の日、ファラリスに居合刀の事を頼みそのまま風呂に入った明智良哉が入浴後の脱衣所ですずかとバッチリ対面したのは、さくらと忍の陰謀だったりする。










あとがき。

うん。しょっぱなで一死。サイコロの調子が良くてテンションが上がってきているBINです。実を言うと私、やってみたい事が有るのでちょっとやってみようと思います。
ぶっちゃけパクリです。
人様の良い所は取り入れた方が良いと思うんだ!!(言い訳)


彼の軌跡


アギ・スプリングフィールドとチャチャゼロが新世界に繰り出した瞬間に出迎えてくれたのは火球だった。

当然の如く驚きチャチャゼロを盾にしようとし投げ飛ばされるが、火球は突然現れた二名に驚いたハンターの一人に当たり当たらずにすんだ。

その事に安堵しながらも「アレ? 俺の所為でリアルに一人逝ったんじゃね?」と考え、魔力の塊を作りだして破裂させて目くらまし。


リオレイアピヨる。

ハンターもピヨる。

アギチャは逃げる。


洞窟に入り、外から聞こえる咆哮に「パネェ、飛龍パネェ」と半泣きのアギと「火球ヤベェ、マジ火球ヤベェ」と頭の悪い事を言うチャチャゼロ。

ホトボリ冷めるまで洞窟で待機する二人。「速くハンター殺られないかなぁ」と中々に酷い事考えるが、ブンブン煩いランゴスタに切れる。麻痺毒たっぷりの針を十本回収。

外からは絶え間なく「ギシャァァァァァ!!」と咆哮が聞こえる、時々「チクショー!!」とか「何でこんな時に限って…ランポスがっ?!」とか聞こえるも聞こえないふりの二人は順調にランゴスタの素材を集め始める。

いい加減、咆哮も聞こえなく成って来たので入り口付近まで近づくと何だか重たいモノが入口より急接近。ソレに衝突し洞窟の奥まで転がるアギチャ。飛んできたモノは尻尾で美味しそうな赤身が切断面から見える。其処でバカ(アギ)が一言言う。


「コレ、食えるんじゃね?」

「マ・ジ・デ!!」


さっそく調理に取りかかる。その時になって周囲のマナが前よりも豊富だったり、外氣が凄く豊富だったりする事に気づくも調理に集中。尻尾をチャチャゼロが横に真っ二つにし、アギがその半分の方から氣で強化した指を器用に使い肉を綺麗にこそぎ取り、火を起こしてフライパン代わりにする。

調理中に「レイアもレウスも尻尾に毒が…」と気づき、取りあえずチャチャゼロ生贄に安全性を試すも「ウマーー!!」と歓喜するだけのチャチャゼロに「そう言えば、コイツ人形だった。」と気づき、自分達の居る場所からかなり下にランポスが居る事を思い出し肉を投げてみる。三十秒後、毒死したランポスが五体。チャチャゼロ切れる。


喧嘩勃発。


取りあえず、自分が人形で毒が効かない事を心得ていたので冗談で切れてみたチャチャゼロ。でも、アギはそんなこと知らないので、焦って近くに有ったモノを投げる。何だか丸っこいモノだった。序に掴んだ瞬間ニチャァとした感触が有った。

チャチャゼロ、半分冗談で気を抜きまくっていたので避けれず呑み込む。なんとなく焦る。

別に何とも無いので「冗談ダゼ?」と誤解を解くが五秒後倒れる。アギ、マジで焦る。なぜ焦ったかと言うとチャチャゼロがTyatyazeroになったからだ。意味が解らない。

簡単な話し、アギが投げたのが雌火龍の宝玉で呑み込んだチャチャゼロの核と成っているモノと変な反応を起こし人化した。序に龍の因子も持ってたりする。何よりも問題なのがボン、キュッ、ボンの美人だった。


その姿にムラムラしない息子に気づき「俺はEDじゃないんだ!!」と密林の中心で漢が叫んだ。


真っ裸は困る(社会的に)ので洞窟から出て、レイアが居ないのを確認してから亡くなっている女ハンターから装備とインナーをパチって火葬(証拠隠滅)をして洞窟に戻る。途中爆発音とエセ中国人みたいな悲鳴が聞こえたが無視して進む。


その時の会話を抜粋


「現地で剥ぎ取って来た」

「誰が上手い事言えとwww」


チャチャゼロの言語機能がUpした。



次から続けて良いかな?


因みにアギチャ編とマブラブ(ぶち壊し)Fate(これもぶっ壊し)とかも有る。ドレか一つだ。話しにするには時間が無い。私の精一杯だ。足りない所は自己の脳内補完で許して






何時もの↓

明智良哉。

さっそく一死。シャマルと引き分け。
さくらと忍に嵌められる。
すずかに全裸を真正面から見られる。逆に見る。
その時に言った言葉。

「…出ろ(表へ)」


ザフィーラ

さっそく一死。油断大敵。情報不足。
やっぱりコイツも漢臭がする。どうなるか?


シャマル

シャマルゥでもシャア丸でもシャ○でもない。
必殺料理人でも無い。
最後にやってくれる人。



こんなとこかな?

さて、修正するか。後、この間、我慢できずに上司を殴ってしまった。社会人的にマズイ。
そいつは昨日地方に飛ばされたけどな!! 何故だか人事の人に酒を奢られた…俺はどうなるのだろうか?


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.038325071334839